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欲求不満 ⑫

「あ、あぁっ!そこっ、や……っ」 「あー、やば……。気持ち良すぎ。ごめん、ちょっと余裕ない」 露木君は切羽詰まったような声で呟くと俺の腰を掴み直して激しく抽送を始めた。肌がぶつかり合う音が部屋中に響き渡る。パンッ、パァンという乾いた音と共に結合部から溢れる水音が混じり合って耳からも犯されているような気分になった。 「っ、あ! あぁっ、んっ!」 枕に顔を押し付けたまま必死に声を抑えるけど、容赦のない責め立てに口からはひっきりなしに甘ったるい声が上がる。 「環。こっち見て」 低く濡れた声で囁かれて、ゆっくりと首を回すと頬に手が添えられて正面を向かされる。露木君は情欲に満ちた目で俺を見下ろしていた。その顔は普段の優しい彼のものとは全く別人のように思えてドキリとする。 「あ……っん、ふ」 そのまま唇を重ねられ舌を差し込まれると口内を蹂躙するかのように激しく貪られた。いつもとは違う、余裕のない声や性急な動きに翻弄されつつも、不思議と嫌ではなくて。むしろ露木君に求められているという事が嬉しくて堪らない。 「っ、環……ごめ、出すよ……」 切羽詰まった声で囁かれてコクコクと首を縦に振ると一層激しく突き上げられた。そして最奥を穿たれると同時に熱い飛沫を叩き付けられる感覚に襲われて俺も呆気なく達してしまった。 「あ、あぁっ! あ、ついの……出て……っ」 ビクビクと痙攣しながらシーツに倒れ込もうとする俺の身体を引き寄せながら、露木君が再び腰を揺らし始める。

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