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欲求不満 ⑭
「……っ環……っ」
熱っぽい囁きが露木君の男らしい体臭と混じり合って鼻腔をくすぐる。
「あっ!あ……ッ、も、またっ」
限界が近いのか露木君は俺の腰を抱え直すと更に強く打ち付けてきた。肌のぶつかり合う音が一層激しくなる。俺はもうされるがままで、ただ甘い声を上げる事しか出来なかった。
「環……っ、出すよ……」
「んぁっ! あ、あぁっ!」
最奥まで突き上げられたと同時に熱い飛沫を叩き付けられて目の前が真っ白になった。同時に俺も再び絶頂を迎えてしまい、腹の上に白濁を撒き散らす。
「っ、はぁ……っ」
露木君は俺の上に覆い被さるように倒れ込んできた。お互いの荒い息遣いだけが部屋に響く中、汗ばんだ肌と肌が触れ合う感触にすら感じてしまいそうになる。
「環……」
名前を呼ばれて顔を上げると、すぐに唇を塞がれた。そのまま舌を差し入れられて口内を蹂躙される。歯列をなぞり上顎を舐められるとゾワリとした感覚に襲われた。その間も下肢は繋がったままで、ゆっくりと腰を動かし始めるものだから堪らない。
「わ、ちょ……っ、も、だめだって」
「ごめん、全然足りない。もっとしたい……」
甘えるような口調で囁かれてドキリとする。「お願い」と耳元で強請られて背筋が震えた。そんな風に言われたら断れるわけがないじゃないか。
「……っもう、一回だけ……だからね?」
結局こうして受け入れてしまう自分が憎らしくなるけど仕方ない。惚れた弱みというやつだろう、きっと。俺は小さく溜息を吐いてから露木君の首に腕を回して引き寄せた。
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