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第4話 眼光炯炯 ❷

飛鳥井一族の菩提寺 楽巌寺には寺の誰も知らない地下の隠し倉庫が在った その中に禁術の巻物とか財宝を隠し持ち、何時しか知る者もいなくなった それが墓を移転する時に見付かり、地下の中のモノは総て一旦 崑崙山に在る烈の屋敷の中へと鬼ちゃん達に頼み運び込んだのだった 烈はわざわざ見付かった地下の隠し倉庫を有り難く再利用させて貰い、より強固なモノにして菩提寺の地下まで繋ぎ地下牢を作った 無論、禁術の巻物も菩提寺の忌日に遺し、倉庫に戻した(財宝は有り難く納骨堂の建設に使わせて貰った) その倉庫は邪なモノは何人たりとも近付けない結界を張り、寺の住職だけが継げる相伝としても遺す事にした その倉庫と地下牢には特殊な細工がしてあり、携帯なんて、その中では機能しないのは当り前 漆黒のジャガーでさえ来るのは不可能な領域となっていた 烈は門倉に逢いに地下牢へと向かう 幾つもの扉の錠を解錠し、また施錠してやっと地下牢へ着くと、牢の中で一人の男が目を瞑り静かに座っていた 烈は「門倉仁志?」と問い掛けると、門倉は目を開けた 門倉は「誰?」と問い掛けた 烈は「名乗って欲しくば、己の名を告げよ!」と宗右衛門の声で告げた 門倉は子供なのに……嗄れた老人の様な声で話す存在を見た 「俺は………門倉仁志です」 門倉が答えると、烈は皮肉に唇の端を吊り上げて嗤った 門倉はその笑い方に………ある人を重ね………驚いた瞳で烈を見た 「儂は飛鳥井宗右衛門!今の名前は飛鳥井烈じゃ!」と自己紹介をした 門倉はターゲットの名前は告げられてはいなかったのか? 不思議そうにな顔をして「飛鳥井………」と力なく呟いた 「儂を狙っておったのじゃろ? なんだ………儂の情報は伝えられてはおらなんだのか?」 「今 何号線の道路を走ってる、車種と色とナンバープレートの番号を告げられ、その車を追え! そして隙あれば事故に見せかけて事故らせよ! 見事事故らせたら報告を入れ、その場を離れよ! そう謂われただけで……ターゲットの個人情報は一切聞かされてはいない…………」と答えた 烈の眼が蒼く光る その瞳に映し出された門倉は、己の人生さえ諦め……潔く覚悟を決めていた 「馬鹿な女に騙され、馬鹿な従兄弟の口車に乗せられ、再び道を踏み外したな………門倉仁志!」 馬鹿な従兄弟の口車に乗せられ……… やはり門倉は何処かでずっと自分を見下し駒のように使い捨てして来た従兄弟の影を感じていた 今回もやはり……アイツに謀られ……使い捨ての駒にされたのか……… 門倉は拳を握りしめ……唇を噛み締めていた 「此処で警察の調書を取る事になる! 主は全てを包み隠さず答えられよ!」 「はい………その代わり……貴方は俺に全てを話してはくれませんか?」 「刑事の取り調べが終わったら、総て包み隠さず資料を交えて話すとしよう! そして門倉、主の身の振り方は儂が決めるとしよう!主は我が母を裏切り……踏み躙ったのじゃから罪は重いぞ!」 「母?……誰?」 すると烈はニコッと笑顔を浮かべると 「ボクの母は飛鳥井康太! 貴方に縁のある存在なんじゃないかしら?」と言った 門倉は「あぁ……ぁ……君は康太の子供だったのか………」と呟いた 門倉はそう呟いた後に…………顔を覆った 烈は唐沢に電話を入れた ワンコールで電話に出た唐沢に 「門倉仁志を捕獲したわ! でも彼は………ターゲットの名さえ知らされていない………使い捨ての駒だった 彼の処遇はどうなるかしら?」と少し困って問い掛けた 唐沢は烈の言葉を聞くなり 『ターゲットの名も知らず付け回していたと謂うのか?』と困惑の声で問い掛けた 「何号線の道路を走る、車種と色とナンバープレートの番号を告げ、後を追わせ、事故らせたら離脱して消えろ!と言われていたみたいよ!」 『本当に末端の末端の使い捨ての駒かよ! 取り敢えず俺の部下に調書を取らせる事にする! 何処へ行ったら良い?』 「飛鳥井の菩提寺にいるわ! 駐車場まで来たらラインして、迎えに行くから!」 『了解!』 唐沢との電話を終えると、城之内は唐沢を待つ為に地下牢を出て行った 烈は椅子を持って来て、門倉の前に座った 「門倉、どうして母しゃんを裏切ったの?」 「裏切るつもりなんかなかった……… 好きになった人の助けになりたかった……それしか考えられなくなり、金払いの良い仕事をする為に、飛鳥井建設を退職した……それしか考えられなくなっていたんだ………」 「ボクをずっと付け狙っていたのも、指示を受けたからなのね?」 「事故に見せかけて……事故らせたら連絡を入れる その後は関わりを持つ事さえ許されてはいなかった!」 「本当に役割分担だけしてるのね 門倉は事故らせ役、事故った後は別の担当がいる訳ね! その事は此れから来る役人に話してくれる?」 「解ってます!総て包み隠さず話します!」 門倉は覚悟を決めていた 罪に問われるのは確実なのだ…… しかも自分は知らない内に……康太の子に手に掛けようとしていたのだ…… 彼は絶対に許しはしないだろう………… 「ねぇ門倉、そんなに愛していたの?」 突然聞かれ、門倉は本音を吐露する 「はい……愛してました………」 愛して……愛して……愛していたからこそ全力で護ってやりたいと覚悟を決めたのだった 「何処かで……その道を逝けば破滅が待ってると思わなかったの?」 「あの人の傍を離れ………道を踏み外した時から………あの人に狩られる日は覚悟をして来ました……」 「貴方の言う、あの人って母しゃんの事かしら? この先、貴方が………門倉仁志が、我が母に逢える日は来ない! 貴方はボクの命を狙ったんだから、ボクの好きにすると決めたのよ! ボクは母しゃんの様に甘くはないわ! 駄犬は地獄に落して矯正してやるのよ! 使えない駄犬も要らないけど、牙を剥く駄犬はも要らないのよ!」 真っ直ぐに射抜かれる瞳の冷たさに……門倉は身震いをした 「生まれた時から従兄弟に利用されて来た 貴方の従兄弟はクズでどうしよもない奴だったけど、実家は金持ちで幾つか会社を経営している一族だった 貴方の親を始め、親族の多くは従兄弟の親の会社で、働いていた 貴方の従兄弟は、親の衣を借り好き勝手やって、下手して捕まったとしても、万引きもイジメも総て仁志がやった、俺は仁志に脅されたんだ!と謂い、周りの者も、一族の者も貴方の親さえも味方につけて、誰も貴方を信用しようとはしなかった 仕方ないわね、従兄弟の家はお金持ちで、殆どの一族の者は従兄弟の親の会社に勤めていた 嘘だって解ってても、謂われた事は反論さえ許されず、我が子だって貶める……… そりゃグレるわよね! でもグレたって従兄弟に踊らされ、絵図を描かれ桜林の生徒会に喧嘩を売り飛鳥井康太を引き出した あの日、あの時、貴方の道は正しい方へ直されたのに……… 馬鹿ね………何処までも従兄弟に弄ばれ地に落ちるのね!」 門倉は烈の言葉を聞き、静かに涙していた 「この先も貴方は従兄弟に弄ばれる人生を送るのかしら?」 「…………」 「貴方も何処かで感じていたんじゃないの?」 「…………あぁ…………」 「本当に愚かで馬鹿者ね………」 烈が言うと門倉は堪えきれずに泣いた 愚かで馬鹿者の末路は………使い捨てのゴミの様に呆気ない……… 静かな空間に門倉の嗚咽が微かに聞こえていた 暫くして唐沢が班員を連れてやって来た 城之内が駐車場まで出向き、唐沢達を地下牢まで連れて来てくれたのだった 唐沢は地下牢に静かに座る門倉に目をやると、部下達に 「調書を取れよ!」と言った 維弦達3人は牢の前にやって来て門倉の調書を始めた 維弦が「名は?」と問い掛けると 「門倉仁志です!」と確りとした口調で答える 調書に書き込み質問をする、を繰り返す 唐沢は班員に調書は任せて烈と話をしていた 烈は「罪に問われるのかしら?門倉は?」と問い掛けた 「尾行していただけじゃ、罪には問われないな! まぁ他にも幾つか………叩けばホコリは出るだろうが………其れを今更叩いて出す気はない!」 「ならさ、門倉に協力して貰い、次のステップのヤツ誘き出す?」 「同じだよ、次の奴を誘き出しても、元まで辿り着くまでに大元は死んでるパターンだろ? それより大仏武士をしょっ引いた方が手っ取り早い!暦也から騙した女と消えた女の証拠の資料を提出して貰ったから、今は女達の住所を所轄の警察官に行かせて調べさせている! 地道な仕事だが、失踪するまでの間の関連性を洗わせている! 富士の樹海へ捨てられた女の身元も確かになったからな………此れから動き出すつもりだ!」 「富士の樹海に捨てられた女の親族は消されてるわよ………多分……… 彼女が夢枕に立って訴えて来たからね 親や兄弟まで足が付かない為に殺された……… そして山中に捨てられ………自分の所為で親族を巻き込んでしまった………と嘆き悲しんで助けを求めて来たからね 女達の身元が解ったら占うからデータお願い出来るかしら?」 「了解した!」 「ならば門倉の身柄はどうなる?」 「大仏が絡んだ事件は本人に徴収してやるし、多少の道交法は揉み消してやるから、お前の好きにしろ!」 「恩に着るわ唐ちゃん、出来るならば門倉仁志は死んだん事にして欲しいのよ! 今宵 それはそれは上手く門倉の乗ってた車を事故に見せかけて崖から落とすから、後の処理お願いね!」 「んとに康太と言いお前と言い、面倒な仕事させるよな?」 「唐ちゃんとボクの仲じゃない!」 「どんな仲だよ!」 「茶飲み友達じゃない!」 「まぁそうだけど、ならば宗右衛門、キッチリと富士の樹海の女や、失踪者の女達の件は頼むとする!女達が今何処にいるか?行方はお前が出て占ってくれ!」 「了解よ!」 唐沢との話が着くと、維弦達の調書も終わった 維弦は「班長、彼からは何も情報は出ません!」と言う 「役割分担好きな奴だからな、仕方ない! ならば俺等は富士の樹海に捨てられた女性の身元の確認に行くぞ!」 唐沢が言うと維弦は「烈君、僕とも今度お茶しない?」と言う 「奢りなら行くわ!」 烈はそう言うと名刺を維弦に渡した 「後ろに携帯電話の番号書いてあるから!」 「有り難う!烈君、なら待たね!」 そう言い唐沢と班員は共に帰って行った 烈は暦也に「門倉を捕獲した時の車、アレを使って門倉を、事故死に見せてこの世から消し去って欲しいのよ! 唐沢とはもう話が付いてるから、お願いね!」とラインで送信! すると暦也からは『あ~面倒だけど今夜片付けておくわ!』とラインがあった 烈は嗤うと「さぁ、門倉仁志行きましょうか!」と言った 「え?何処へ?」 「地獄へ楽しい遠出と洒落込みましょう! 貴方の人生の清算をさせてあげるわ!」 「え………俺は………刑務所に入れられるんじゃ………」 「そんな生半可な優しさなんてないからボク! 刑務所で労役なんて優しい仕事じゃなく、その根性も性格もその運命さえも全部ひっくるめて変えてやるのよ! 死にたくなる程の過去の自分の精算をし、苦痛と苦しみと絶望を味わえば良いのよ! そしたら、貴方の果ての道はボクが導いてあげる事にするわ! 不法入国の外人の戸籍か、記憶喪失にでもなって新しい戸籍を作るか? それは弁護士と改めて考えるとして、今夜………人の世の門倉仁志の人生は終焉を迎える! その後の人生は貴方次第だから! さぁ行くわよ、楽しい地獄へ御案内して差し上げるわ!」 門倉は大人しく烈の言葉に従った 烈は城之内に「門倉を連れて行くから後は宜しくね!この事は内密にお願いね!」と告げた 城之内は嗤って「委細承知した、気を付けて逝かれよ!」と見送った 烈は神の道を開いて門倉と共に魔界へ向かった この日二度目の神の道は結構キツく、烈はヘロヘロになり暗闇を歩いていた 黙って烈の横を歩いてる門倉は 「疲れているのか?」と問い掛けた 「そうね、もうヘロヘロよ………」 烈が言うと門倉は 「俺は逃げる気もないし、お前に危害を加える気はない………だからおぶって連れて行っても大丈夫か?」と問い掛けた 「ボクに危害加えるならば、その場で命はないわよ! だから連れて来たのよ、なら背負って疲れたのよ!」と言う 門倉は烈の前でしゃがむと烈は門倉の背におぶさった 背負われて神の道を行く 「此れは何処まで歩けば良いんだ?」 「真っ直ぐに歩いて、貴方の明日が途絶えていなければ出口が見えるから!」 烈はそう言い寝息を立てて寝た その無防備な姿に……信じて大丈夫なのか?………と呟いた 返って来る言葉はなく………門倉は只管歩いた すると目の前に出口らしき光が見えて来た 光に導かれ外に出ると、愛馬に跨った素戔嗚尊が待ち構えていた 「寝てしまったか……」 素戔嗚尊は烈を抱っこすると、門倉を馬の後ろに座らせて捕まらせると、愛馬を走らせた! 素戔嗚尊は烈と門倉を素戔嗚尊の屋敷にまで連れて行った 素戔嗚尊は門倉に烈を抱っこさせると 「連れて参ってくれ!」と頼んだ 門倉は烈を連れて素戔嗚尊の屋敷の中へ入ると 素戔嗚尊は「その布団に寝させてくれ!」と言った 門倉は烈を布団に寝させると、黙って立っていた 素戔嗚尊は「其処へ座るがよい!」と言い飲み物を門倉の前に置いた 「主は明日から此処の横の倉庫を改造した部屋がある故、其処で生活を始められよ! 其処には既に住人もおる故、切磋琢磨して過ごされよ! そして明日からは、朝早くから地獄の鬼達の手伝いをして、昼から儂と共に畑に出て野良仕事をするのじゃ! そして夜は烈が出した宿題をやる それを当分はやる事になる、その後の事は烈が決める!」と言った 「俺は……此処の近くで誰かと暮らすのですか? 貴方やその人を殺してしまうかもしれませんよ? 信用して良いのですか?」 素戔嗚尊は天羽々斬を手にすると、門倉に刃先を向けた 門倉は身動ぐ事なく剣を見ていた 「儂は負けた事などない! 主に殺気があるのならば、即座に刺していたが………… 主には殺気がない………儂を殺す気など皆無であろうて!」と言い天羽々斬をしまった 門倉は何も言わなかった 「その諦めた目では何も見えはせぬじゃろ! 明日を見ねば、主の明日など永遠に来ぬだろう そして人の世には還れはせんだろう……」 素戔嗚尊はそう言うと軟膏を取りに行き、烈の服を捲り傷口に軟膏を塗った トキが「素戔嗚殿ぉ〜!クロスと共に新作植えて来ましたよ!」と言い部屋に入って来た そして寝ている烈を目にして 「烈………大丈夫なのか?」と問い掛けた 「今宵は二度神の道を開いているから、ガス欠なのじゃろうて! 少し寝れば元気になるじゃろう!」 素戔嗚尊は立ち上がると夕飯の支度を始めた トキはテーブルを拭いたりして手伝いを始める ボーっとしている門倉を嘴で突っつき「お前も手伝え!」と急かす 「ほらほら、食器を並べて!」と食器の置き場を教えて貰い手伝いをする 生まれて初めての事だった 両親は夜遅くまで働いて、あまり家にいなかった 朝 テーブルの上にお金が置いてあり、それで朝と昼と夜をコンビニで買い食べていた 年末年始だって家族が揃う事なんかなかった…… 両親は従兄弟の会社で働き、優遇されたい変わりに息子を庇う事はなかった そんな家が嫌で仲間を持ち遊び歩く様になった ………が、何処へ行っても従兄弟の影がついて回った……… 温かい家庭を持ちたかっただけなのに…… 気付けば……何もかも奪われてなくなっていた……… 門倉は漠然とそんな事を考えていたら……トキに突っ突かれ 「ボーっとするな!」と怒られ、お皿を取りに行き並べたり食事の準備をした こんな風に家の手伝いなんてした事なかった………… 料理が出来たら皆で食卓を囲み、ご飯を食べる そんな事………した事なんてなかった 門倉は何故か信じられず……夢でも見ている様だった…… その夜、ガス欠の烈は起きる事なく寝ていた 門倉の魔界の生活が始まった……… 朝 起きて食事を取る頃、烈は起きていた 皆で食卓を囲みご飯を食べる 其処には素戔嗚尊の屋敷の隣の倉庫を改造した部屋に寝泊まりしている安曇貴也の姿も、宇迦之御魂神の姿もあった 皆で朝を食べて、食べ終わると各々食器を洗いに行く 烈は素戔嗚尊に「黄龍んとこの馬、子供産んだかしら?」と問い掛けた 素戔嗚尊は「あぁ、生まれたから5頭貰い受けた!一頭、タカシに良く似た仔は炎帝が貰い受けると約束したから炎帝の屋敷に貰われて行った 殆どがアルとタカシに似た仔で、黄龍は悪いからと、炎帝の馬に似た馬も二頭儂にくれ、今回の出産では総て引き渡し手元には遺さなかったぞうじゃ! まぁ龍族の相談役に頭を下げさせたんじゃ、黄龍としてもアルとの仔は総て儂と炎帝にとの事で手元には残さず総て引き渡してくれたんじゃよ!」と話す 烈は「なら門倉が乗れそうな一頭を渡して役務に着かせてね! そしてもう一頭を貴也に乗せて、二人はこれより一緒に役務をさせてね! だから馬達に道案内お願いね 道を覚えさせ役務に着かせてね! じぃさん今後も宜しく頼むわね!」と話す 素戔嗚尊は烈を膝の上に乗せて 「貰い受けた日からアルとタカシとアレクが付き添い魔界を案内しておったから、役務に通わせる事は可能じゃよ! それよりも烈、門倉の名を着けねばならぬぞ! 鬼達や儂らはどう呼んだらよいのじゃ!」と言う 「そうね、門倉の名を捨てさせ、新しい名前で呼ばせないとね!」と言うとサコッシュからノートを取り出し計算を始めた 「馬の名前は今度顔を見て決めるわね! 今は門倉の変わった運命を占ってるのよ!」 と言い只管文字の羅列が繰り広げられていた 「門倉の今後名乗るべき名は 一陽(いお) 一陽来復に掛けて授けるわ! 一陽来復って言葉はね、冬か終わり春が来る事 悪い事か続いた後に幸運が開けると言う意味なのよ!貴方にピッタリでしょう! じぃさん、門倉の事は今後は一陽と呼んてね!」 そう言い烈はノートに【一陽】と名を書いた 素戔嗚尊は「一陽か、よい名じゃ!ならばこれよりは一陽と呼ぶ事にする!」と言った 烈は貴也に「あの二人はどう?」と尋ねた 貴也は「………貴教は今は僕を拒絶して、役務を与えられる様になったので、必死に其れを熟してます………多分僕を見れば甘えて弱音を吐いてしまうので………敢えて拒絶しているんでしょうと思っています! ですが………敦之は………未だに高慢でどうしよもないですね……… 今は誰の言葉にも耳を貸さないので、捨ててあります!」と伝えた 烈は貴也の言葉を聞き「そう………なら捨てて置いて構わないわ! 貴方は今後は一陽に色々と教えてあげてね! 今の貴方ならば、何が真実で何が間違っているか?わかるでしょ? その後ろ向きでどうしよもない性格も矯正してくれるならば助かるのよね!」とボヤきつつ言う 貴也は「貴方の役に立てるならば、頑張ってみます!」と昔では想像さえ着かない柔らかい笑みを浮かべ言う 最近は体力も着いて来ているのか? 腕とか胸筋に肉が着いて来ていて、逞しく姿を変えつつ在った 烈はそんな貴也を目にして、その変化を嬉しく感じつつ、二人を素戔嗚尊に託した 「ならじぃさん、ボクは還るわ! 後の事はお願いね!」と言い祖父に抱き着き別れを惜しむと、素戔嗚尊は烈をギュッと抱き締めて、そして離した 「後の事は任せておくがよい!」 そう背中を押され、烈は歩き出す アル君に乗り烈は閻魔の邸宅へと向かった 閻魔の邸宅の入口にある執務室へ入るドアは鍵が開いていた 烈はドアを開けて入ると閻魔が待ち構えていた 「烈、遅いです!」 閻魔は烈が来るのを待っていたのだった だが烈は夜遅くになって来ず、朝イチで執務室入口で待っていたのだった 「ゴメンね!えんちゃん、ガス欠で寝ちゃったのよ!」 「そんな所だと想い朝イチで待っていたのです!」と言い閻魔は烈を執務室へと連れて行った 執務室に行くと其処には羅刹天と神髄師が座っていた 羅刹天は烈が席に着いて座ると 「地獄界は何時でもお前達を迎える準備は出来ておる!」と告げた 神髄師も「だが何があったとしても……命の保証は出来かねる……それでも逝くと申されるのじゃな?」と改めて確認する 「逝くに決まってるじゃない! で、向こうは了承してるのよね? 行って辞めたは通用しないわよ!) 神髄師は烈の言葉を聞き、覚悟を決めた様な瞳をして 「それは大丈夫じゃよ! 話ならば等の昔に着いておる! 後はタイミングの問題じゃった!」 「ならば魔界は飛来クラゲの雄を手土産にするわ! 地獄界には飛来クラゲに似たのがいるとか? 雌を捕獲して養殖してみたら食べるのに困らないのが出来るわよ! 飛来クラゲは一度に百匹近くの卵を産卵し、殆どが稚魚となるからね、魔界も養殖を始めたから、成功する事間違いなしよ!」 「ならば我等は蜜蜂を! 地獄界の蜜蜂は兎に角デカいので養殖方法を書いて渡すとする!」 烈は蜜蜂と聞き「刺さない?」と泣きそうになり問い掛けた 羅刹天は「危害を加えねば刺しはしない! 物凄い繁殖力だから、育て方を伝授するので、育てて見てくれ!」と言う 閻魔は「解りました!互いの不足部分を補い、切磋琢磨して逝ける事を願います!」と言うと羅刹天と神髄師は頷いていた 烈は「ボクは此れから人の世に還り、片付けなきゃならない事をして来るわ! 人の世の明後日、魔界時間の明日の朝早く地獄界へ逝くから、その時は黒龍を崑崙山へ連れて来てね! そしたらボクも合流して行けるからね!」とスケジュールを告げる 閻魔は「承知した!」と了承し 羅刹天は「では我等は此れにて!」と神髄師と共に地獄界へと還って行った 閻魔は「烈、総て………整えて置きます! 地獄界へは建御雷神と素戔嗚殿が同行致します! 彼等でなくば飛来クラゲは持っては行けないので………宜しいですね!」と伝えた 「了解よ!えんちゃん!取り敢えずさっさと延期延期で伸び伸びのラーメン張りに伸びたスケジュールを片付けちゃわなきゃね……」 「………今回は……大丈夫なのですか?」 「四面楚歌な状況は去ったから、あるとしたら暴動かしら?」 「………暴動はあるのですか?」 「だってずっと待ってたんだから、チャンスがあれば、あっという間に火は着くわよ!」 「………出来るならば………無難にやり過ごせたら…と言う思いはありましたがね………」 「大丈夫よ!えんちゃん! ボクは今 特大級の勝機を呼び込んでるから! 絶対に死んだりしないわよ! まぁ怪我はするかも…………だけど、それでも軽いモノになると信じたいわ………」 風もないのに揺れる髪に、炎帝を思い出す 閻魔は笑って「まぁ………命有っての物種ですからね!死なぬならば……まぁ何とかなりますね!」と言った 「じゃ、えんちゃん、ボクは此処から神の道を開いて還るわ! 人の時間の明後日の朝、行く前にえんちゃんに連絡いれるわね!」 そう言い烈は神の道を開き人の世に還って行った 閻魔は建御雷神を呼びに行くと、素戔嗚尊の元へ向かい地獄界へ行く準備を始めた 神の道を通り、人の世に戻って来ると……… もうすっかり夜だった 魔界へ行って半日寝ちゃって潰れてるから、一晩過ぎてる事になる 飛鳥井の家を出て、唐沢と行動を共にして一ヶ月近く家には還ってはいなかった 烈は菩提寺の保養施設へと向かうと、3階に上がり、お布団を敷いて寝る事にした 保養施設の3階へ上がると誰かが既に寝ていて、烈は少し警戒し電気を着けた すると布団には白い猫の耳が見えた 烈は「クーたん?」と問い掛けた クーは眠そうに目を開け烈を確認すると 「メンテは終わったから還って来たらお前は魔界だったから、此処で寝てれば来ると謂われたから待っていたんだよ!」と言った 「プーたんは?」 「飛鳥井の兄さん達の所へ戻ってるだろ?」 「なら安心ね! ボクは片付ける事だけしたら、また魔界へ行かないと駄目なのよ!」 「それは創造神から聞いてる! 此処で寝てたら烈が来ると予言したのも創造神だからな!」 「そうなのね、なら寝たらボクは会社に顔を出して、暦也とも電話しなきゃだし」 「なら寝ちまえ!」 「そうするわね!」 烈はお布団に入り込むと、直ぐに静かな寝息を立てて眠りに着いた クーも眠りに着き………深い眠りに落ちて行った 朝早く 城之内が様子を見に来て、烈が寝てるのを発見した 城之内は「烈、還っていたのか?朝を用意させるから一緒に食うと良い!クーの分も用意するから、俺の家へ来ると良い!」と言う 烈は起きると「了解したわ!お布団を畳んだら食べに行くわね!水萌に手間かけさせて悪かったわね!」と言いお布団を畳始めた 城之内は「俺等は烈が元気でいてくれるならば、他の事は気にならないから大丈夫だ!」と笑って部屋を出て行った お布団を畳み、烈は軽く髪の毛を直すと城之内の家へ向かった 水萌は烈の姿に「烈!!」と抱き着きスリスリした そしてヘルシーな特別な朝食を出してやると、烈はそれを食べ始めた クーには栄養豊富なお肉を用意した クーは美味しくそれを食べていた 食事が終わると烈は「少し保養施設の3階にいるから!」と言い城之内の家を出て行った 烈は保養施設の3階に逝くと、テーブルを出して座布団を押し入れから出して座った そしてサコッシュから携帯を取り出してチェックした 暦也からラインが入っていて『全て完了!』と入っていた 烈はニュースを開き事故の記事を調べた 【群馬県道196号 妙義山付近の県道で、昨夜未明事故がありました! かなりスピードを出して走行中の車はカードレールを突き破り崖下に落下、大破して炎上! 死体は炭となり判別も着かない程でしたが、車のナンバープレートから門倉仁志さんと判明 スピードの出しすぎによる事故と警察側は判断し事件性はないとの事です!】 と書かれていた 此れで門倉仁志の人生は終わった事になる 次は門倉を陥れた従兄弟、強いてはその一族の解体! お金だけあると豪語していた一族の経営は、今はかなり厳しく、その為に政略結婚、政治献金によるキャッシュバック等と汚職に贈賄、叩けば埃だらけの一族の明日は………ない……と判断 その起爆剤が門倉武士、今は大仏武士を地獄に落とす算段をせねばならなかった 落とすなら無間地獄、二度と再び腐った魂が生まれ変わらぬ様に無限要塞にでも閉じ込めようか? 等と考えていた 多分 向こうも門倉の死は知った事だろう ならば次は………大仏が出て来るだろうか? 自由に使えた駒が消えたのだ だがまだまだ門倉同様の駒ならばいるのだろう…… ならばまだ……直接は出て来ないか? そしてその指示をしているのは……多分美濃部一徳……海坊主だろう……… だが海坊主は飛鳥井烈を知らない 烈が生まれた頃には名も聞かなくなっていたから、弱っていたのか?他界したのか? は、解らぬが、海坊主なのだから、飛鳥井宗右衛門ならば知って入るだろうが……… 源右衛門とワンセット転生して来るヤツに取って、直接の関わりはないから力も知らないだろう その上今世は七賢人八賢者の弟子になっているなんて知らないだろう…… 互いに互いの手の内は解らない……… また其処へ辿り着くのはまだまだ先の事だろう……… 向こうがこっちの手の内を考えている様に、こっちも相手の手の内を考えているのだ……… 烈は仕事を終えた事、そして地獄界に行く事を母に伝える為にラインした 「母しゃん お肉の約束破ってゴメンね 唐沢達、内閣調査室の皆を魔界へご案内して帰還して、ガス欠で保養施設の3階で爆睡しちゃって、寝ちゃってたのよ でね、ボク明日の晩には崑崙山へ行き、地獄界に逝くから、それまでに会社にも顔を出して調整するわね!」 すると、直ぐ様康太から電話があった ワンコールで出た烈に康太は 『内閣調査室の奴等は無事に魔界を知る事が出来たのかよ?』と問い掛けた 「ええ、滞りなく魔界を知って貰える事が出来たわ! ありがとうね、母しゃん ボクを送り出してくれて! 唐ちゃんが指導者として身が立つ様に鍛え上げられ、見届けられたのよ!」 『ならば唐沢はもう大丈夫だな!』 「内閣調査室に西園寺維弦がいたわ! 西園寺家 本家の直系だから国司に連絡したら書状を届けられ頼まれたのよ! だから、叩き潰す事なく鍛え上げて来たからね 生かしてやった恩を売っておいたから、必要な時はその恩を返して貰ってね!」 『おー!それは良いな! なら、此れから会社に来るのか?』 「そうよ、クーたんも戻って来たし、地獄界にクーたん無しで逝くのはキツかったけど、大丈夫そうだから!」 『うし!なら今日から免震構造の講義を頼むわ!社員達からお願いされてるかんな! 烈が来たらやるわ!って言っておいたからな! 地獄界に行く間は休んでも良いかんな、ミッチリ仕上げてくれよ!』 と、康太は笑って言う また母は面倒な事を放り投げしやがったのだ 榊原に電話が変わり『ならば頓挫していた約束の焼き肉にしましょう! あ、烈、榊原の両親が逢いたがってましたから誘ってあげて下さいね!』と言う 「了解したわ!ジュージュー焼き肉なのね! ばぁたん達にラインするわ!」 と言い電話を終えた 烈は真矢に「ばぁたん今夜は焼き肉よ!」とラインした すると真矢は烈に電話した ワンコールで出た烈に『烈!逢いたかったです! 夏季休暇も一人だけ先に帰っちゃうし……心配していたのですよ!』と安堵した声で言う 「ゴメンね……ばぁたん 執拗にボクの後をつけ狙っていたヤツがいたから、母しゃんが危険を察知して、ボクやにーに達は菩提寺へ行っていたりして避難していたのよ ボクはまた数日間留守にするからね その前に豆腐とか豆腐とか豆腐とかの料理ばかり食べていたから、父しゃんが焼き肉してくれる事になったのよ!」 なんか大変そうな話を聞き真矢は何か言う事は止めようと思った 『烈、焼き肉なのね、凄く楽しみだわ! ならば私と清四郎はお肉を買って行きます! 慎一に安くて美味しいお肉を聞いて買いに行きますね!』 「それ凄い楽しみよ! なら夜に待ってるからね!」と言い電話を切った そして清四郎にも「じぃたん、焼き肉よ!楽しみね!」とラインを送った 清四郎は『烈!夏季休暇以来だね、仕事は……終わったのかい?』と問い掛けた 「また行かなきゃいけないけど、明日の夜までは皆と過ごしたいのよ!」 『そうかい、ならば私も烈がいる間は飛鳥井に泊まり込もうかな?』 「それは良いわね! ボク此れから会社に顔を出して講義を開いて帰る予定だから、そんなに遅くはならないわ!」 『なら待っているからね!』 清四郎はそう言いラインを終えた 烈はケントに呼びに来て貰い、ケントの車に乗り飛鳥井の家へと還った 自分の部屋に行き歯を磨きお風呂に入り身支度を整えた そして浴室から出て背中の傷、中々治らないから先に久遠に見せないと駄目かしら? と思案していると、兄達が烈の部屋に顔を出した 兄達は烈の背中の傷を見ると手早く薬を塗ってガーゼを当てテープで止めた 流生は「病院に行った方が良いね!」と言う 大空は「今日は僕達も会社に顔を出すから!」と弟の世話を焼く 烈はスーツに着替えると先に病院へと向かった 久遠の治療を受け看護師に手当を受け、処方箋を出して貰うと薬を取りに行き、会社へ向かった 飛鳥井には兄達専用の護衛と運転手としてリック・村上が新しくマイクロバスを買って送り迎えを担当していた 烈はケントの車で会社に向かい、兄達はリックの車で会社へ向かった 会社に到着すると烈と兄達は講義の為地下の講堂へ向かう 烈は「みかちゃん呼んで来てくれると助かるわ!」と言うと太陽が御影に連絡を入れた 暫くすると東堂御影がやって来て準備が整うと、母に連絡を入れた 「講義の準備は整ったから社員を呼んでくれる?」 烈のラインを受けて康太は『お前今会社か?』と問い掛けた 「そうよ、にーに達が手伝ってくれたから準備は整ったのよ!」 『なら社員に放送を掛けて講堂へ向かわせるわ!』 康太は榊原に「放送掛けてくれよ!」と言うと榊原は新しく取り入れてくれたマイクのボタンを押した 社長室から社内に放送が入れられる様に、と烈は施工の社員達に頼んでてくれたようで、烈が内閣調査室へ出向いている間に工事に入ってくれていたのだった 榊原はマイクのボタンを押し 「2時より講堂で飛鳥井宗右衛門による講義が始まります! 参加したい社員は講堂へ向かって下さい!」と話す マイクを切ると榊原は「何か凄く便利ですね!」と嬉しそうに話した 康太は「それだけ社長が直接話さねぇとならねぇ状況って事だな!」と言う 「………副社長は当面、志津子がやる事になりましたね!それって烈の意向なのですか?」 先程行われた役員総会で、宗右衛門は不在だが代理の人間が出て(代理人は 飛鳥井神威だった)それはそれは凄い迫力で、異論さえ申す事は許さぬ気迫で、宗右衛門の意向である!と水戸黄門の印籠ばりに言い、副社長は飛鳥井志津子、補佐飛鳥井栗栖と表明して、満場一致で可決されたのだった 当面はこの体制で行い、女性目線のイベント会場、女性目線の気遣いが生きてる設計を売りにして逝くと、今後の方針も決められた 烈は内閣調査室へ出向き仕事している間の出来事だった……… 講堂には社員達がゾロゾロ集まり2時少し前に、講堂の扉が閉められ施錠された そして始まる免震構造の講習会 巫山戯た宿題の答えを書いた社員は………勉強のし直しをさせられ現場へ送られる事となった それが嫌なら退職すれば良い! 嫌ならば食らいついて這い上がるしかない! ローテーション部署異動はまだまだ始まったばかりだと言わんばかりに、バンバン部署異動させられる! そして社員達には「部署異動で成果が上げられない時は施工へ出向、其処でも成果がないなら別の業種へ転職を勧める事となる!」と誓約書にサインさせていた やる気のない者には働く場さえ与えたくはない だが解雇理由には弱いから、現場で叩き込み、自主退職したいなら辞めれば良い!と言う姿勢を貫き通しているのだ 今の時代、職を選ぶ権利はあるが、会社も社員を選ぶ権利はあるのだ やる気皆無の社員など給料泥棒以外の何者でもないのだ 社員達は講堂に足を踏み入れた瞬間、ピリピリとした緊張感を感じていた 飛鳥井宗右衛門が久々に壇上にいる! それだけで社員達は背筋に冷たいモノを感じずにいられなかった…… 皆はサクサク動き席に着きテキストを取り出す それを2時ピッタリには行い、講義を待つ 2時ピッタリに烈は「講義を始めます!」と言い窓のカーテンを閉めてプロジェクターを作動した テキストに沿って映像を投影して講義を始める 何故、今、免震構造なのか? それの重要性 免震 耐震 制震 それの使い分けをしてビルを建てる重要性 等など、分かりやすく噛み砕き講義する そして御影が出て「ヨニー©ウッズスタン社は今回大々的に公表した免震構造システムの基盤を倭の国でも特許を取り世界4ヶ国で特許を取った事になります! 我等ウッズスタン社はこの免震構造システムを倭の国でも大々的に発表し飛鳥井が関わっている【R&R】の建築現場に使用しています!」と前置きを話し 「この度、ヨニー©ウッズスタン社は倭の国で事業を展開する事になりました! 私はヨニー©ウッズスタンJapan社の社長となります東堂御影です!以後お見知り置きを!」 と言い深々と頭を下げた そして頭を上げるとプロジェクターにヨニー©ウッズスタンJapanが取り扱う免震構造システムを映し出す 「この免震構造システムはヨニー©ウッズスタンJapan一押しの特許システムなので類似さえ許す事はしません! 来週にはヨニー©イギリスから役員が勢揃いしますので、大々的に倭の国で公表します! なのでこの場でこのシステムを皆に見せた所で真似など出来はしないし、特許を取ったモノを真似したら罪だと解らぬ馬鹿はいないと判断し説明しています!」 と皮肉丸出しで話す姿はカフェにいる御影ではなかった ヨニー©ウッズスタンJapanの社長の顔をしていた カフェの仕事は今月一杯で辞める事が決まった 御影の講義は皆を夢中にさせ、あっという間の2時間だった 講義は明日も入っていて、明日の講義の後に宿題を出すと言う 講義が終わると御影はカフェへと向かい、今月一杯までは精一杯働くと決めていたから仕事をしに向かった ヨニー©ウッズスタンJapanは取り敢えず、【R&R】のビルが建つまでは研究所は綺麗の研究所の横に新しく研究施設を建てて合同で使い研究する事になっていた 事務関係は八雲の動物病院の上のビルに入る事が決まっていた 先ずは小規模精鋭で地盤を固めて、【R&R】のビルに入る その方針でアジア圏に特化した商品を生み出すと決めたのだった 着々と準備は整って行き、イギリスからスタッフも集まりつつあった 烈は講義を終えると宗右衛門の部屋に戻った 講堂には母も父も来ていた 母が視ているのを知っていた …………が、烈を視た所で何も視えないのは解っているから、探る事も勘繰る事も辞めた 烈からは閻魔との面談風景しか視えては来なかった 羅刹天と真髄師との話し合いは……結構身に危険迫ってますがな………と思わずにはいられなかった が、それしか視えては来ない……… 門倉の事故のニュースは結構大々的に放送されていた たかが事故のニュースなのに、焼けて残骸になった車が映し出され……何かの意図を感じていた が、宗右衛門が動いた気配はない 暦也がマスコミを操作する事もない 唐沢が動く事もない やっと始動し始めた内閣調査室は仕事が山積みなのだ、そんな余計な仕事をする暇などないのだ 一生が今朝早く「おい、これって、あの門倉か?死んだって本当なのか?」と携帯の画面を見せて問い掛けた それで康太は事故のニュースを知った 康太は「烈を付け回していたかんな………事故らされてガードレールを突き破って飛んだって……不思議じゃねぇだろ?」と言った 一生は「え?烈を付け狙っていたのかよ………カーチェイスしたなら相手が悪かったよな…… ケントは死線を何度も超えて来たSPなんだからな そうか………馬鹿な奴だな………今度も従兄弟に踊らされていたのかよ………」と呟いた 康太は「本当に………愚かで馬鹿者だな……少し前に烈が暦也の報告書をZoomで聞くか?と言ってくれたから聞いたんだよ! 飛鳥井建設は半年で辞めていた……オレはそんな事さえ知らずにいたんだって想ったら腹が立った オレは遼一と共に働いているもんだと想っていたかんな………そう言えば悠太の捜索の時は門倉は協力してくれけど、それ以来見てなかったな………って現実に打ちのめされた……… オレは社員の事……何も知らなかったんだなって…」と吐き出す様な吐露に一生は 「飛鳥井建設の社員が、何百人居ると思ってるんだよ! それに烈が会社に顔を出す様になってからは、宗右衛門任せだったからな、余計社員に目を配る事が疎かになってたから仕方がねぇよ! それでなくても現場へ行ってる社員ならば、全員の把握は無理だろ? 遼一だって今はずっと現場で、会社で姿を見る事なんてねぇからな、それと同じ事だろ!」 「オレ……そんなに宗右衛門任せかな?」 「社員関係は烈任せだろ?」 そう言われて、康太は笑って 「その烈な、明後日には地獄界に行くんだよ……… 閻魔との会談は視えたけど、その後烈がどんな目に遭うのか? 残念な事に烈の果ては一切詠めねぇんだよ……」 とボヤいた 地獄界に逝くと聞き一生は 「俺が着いて逝こうか?」と心配して言った が、康太は「それは無理だな、名前被りはお前が消えるか?向こうが消えるか?だからな逝く事は許されねぇんだよ!」と言う 「地獄界に赤龍いるのかよ?」 「あぁ、龍族天賦衆も五帝もいる だからオレらも迂闊に地獄界には逝けねぇんだよ! だからこそ、地獄界と魔界は暗黙の了解とばかりに互いに静観を決め込み交流はして来なかったってのもあるからな!」 「聖神は地獄界にはいないのかよ?」 「素戔嗚尊、大歳神、聖神は倭の国の古来の神だからな、倭の国で生まれ倭の国にしかない神だから、地獄界には存在すらしていない! だから羅刹天や元始天尊が魔界へ訪問する事も出来たんだよ!」 「でも十二支天には羅刹天はいるやんか!」 「十二支天は羅刹天が魔界に来る時は、魔界へは来ては駄目だと通達が入るから名前被りが行われる事はないんだよ!」 「あぁ、それなら魔界へ来る事も可能だな! なら俺は………残念だが付き添うのは無理だな」 「でも烈を視た感じだと建御雷神も素戔嗚殿が飛来クラゲを土産として持って行く為着いて行くらしいから、そんなに心配はしてねぇよ! まぁ暴動は起きる運命らしけどな、クーも還って来たかんな、大丈夫だろ?」 「暴動起きるのは確定なのかよ?」 「らしいぜ、それは天界へ行く前から定められていた運命らしい 人の世で門倉に命を狙われ、地獄界では暴動に巻き込まれあわよくはトドメを刺され、天界では本体にトドメ刺され死ぬ んな絵図を描いていたらしいからな……」 「そんな状況だったのかよ?」 「それで破滅の御剣で烈とトキを串刺しにして一石二鳥狙ってとどめを刺したんだからな!」 「烈の傷………治ったのかよ?」 「破滅で刺されてるから、相殺されても治癒は遅いみたいで………未だに完治してねぇ!」 「烈………」 「なぁ一生、豆腐とか豆腐とか豆腐とか……湯葉の料理ってどんなんだと思う?」 「………それって想像するの……かなり難しいな…… それ誰が食っていたのよ?」 「烈!」 「え?烈…豆腐とか豆腐とか豆腐とか湯葉食っていたのよ?」 「らしい、唐沢も同じの食ってたのかな? アイツ等は同じ所にいたから、どうなんだろ?」 「俺、唐沢に聞いてやる!」 一生はそう言うと唐沢にラインした 「豆腐とか豆腐とか豆腐とか湯葉の料理ってどんなんよ?」 単刀直入に問い掛けると、忙しいのか?かなり遅れて 『ありとあらゆる豆腐を使った料理だ! 高野豆腐とか湯豆腐とか煮たのとか焼いたのとか、豆腐の田楽とか………湯葉巻きだな!』 「お前と烈はこんなヘルシーなの食ってたのかよ?」 『そうだ、烈がヘルシーなのしか受け付けないのよね!なんて抜かすから俺も道連れで豆腐とか豆腐とか豆腐とか豆腐とか……湯葉料理だった! もぉな体から全ての油分が抜けたぜ! もぉなカサカサでかなり困ったな…… そんなヘルシーなのばっかり食ってたからな、今もな肉食っても胃が受け付けなくて困ってる!』 大変な生活を垣間見て……一生は康太にラインを見せた 康太は爆笑だった 一生は「お疲れ様だったな!今度うちに肉を食いに来いよ!」とラインを送った 『今は止まっていた仕事を片付けないとならないし、烈も地獄界から還ったら捜査に協力してくれるって言うからな、それまでに失踪者リストに添い、親族の聞き込みかあるんだよ!』 と忙しくて目が回るとボヤく 「今度差し入れするから頑張れ!」 『楽しみにしとく!』 そう返されラインを終えた 榊原は一生と唐沢のラインを見て 「本当に豆腐オンリーだったのですね………」と笑った そして「一生、今日は仕事を早く終わり買い物に出るので慎一GETしておいて下さい! 多分 烈の事なので神野達も呼ぶでしょうから、沢山買わねばなりません!」と気合を入れていた 其処へ榊原の両親からラインがあり 『お肉、私達も買い物に行きます! 烈の事だから神野達も呼ぶでしょうからね!』 と入ってて苦笑して康太と一生に見せた 一生は「おっ!流石親子だな!」と言い笑う そして「なら慎一GETして待機してるわ!」と言い社長室を出て行った 榊原は「門倉……本当に死したのですか?」と尋ねた 「どうだろ?烈の意識はもう狙われた過去に留まってねぇかんな視えねぇんだよ まぁ烈を視るなんて不毛な事はしねぇけど、気になって視てたら閻魔との会話しか視えては来なかったからな………オレにも解らねぇんだよ!」 「…………本当に愚か者ですね……彼の魂は地獄へ堕ちて………今は死者となって………(地獄に)いますかね?」 「…………多分いるだろ? 人を殺めようとしたんだから天国へ逝ける訳ねえかんな! 此れよりは罪の数だけ試練を与えられ……再生の道を辿るしかねぇ………」 「逢いに行かれないのですか? 殴ってやらないのですか?」 「………烈に考えがあるなら………その行為は邪魔をするだけだからな、やらねぇよ!」 「烈は門倉をどうする気ですかね?」 「それが解ったら苦労はしねぇよ 解らねぇから下手に動けねぇんだろうが………」 「宗右衛門ですからね彼は………」 「宗右衛門は己の命を狙った奴を刑務所送りなんて楽な労役で許す筈はねぇ! 本当の地獄の苦しみを与え………それでも許せないならば無間地獄へ落とすだろうさ! それに今は無限要塞なんてのも作ったらしいから、本当にどうしようもない魂は其処へ落とすだろうさ!輪廻も許さねぇ永遠の空間に閉じ込め………明日なんて迎えさせねぇ… ある意味本当の地獄を見せる気だろ?」 「案外根深い性格してますからね………」 榊原がボヤくと康太は爆笑した 「それが飛鳥井宗右衛門だろ? オレ等は何時の世も宗右衛門に泣かされて来たじゃねぇかよ?」 「…………そうでした! もう死ぬ!と訴えても、死んだら倍速で生まれ変わって来い!なんて無茶言われましたからね!」 「だな、んとによぉ宗右衛門は無茶苦茶言う奴だったよな!」 康太も榊原も笑う それでも愛する我が子なのだ そして飛鳥井の中の絶対的存在なのだ! 榊原は「ではお肉を買いに行きます!」と言う 康太は「オレは瑛兄の車で帰るとするよ!」と笑って告げる 榊原は社長室を出て行った 康太は会長室へ行き「瑛兄、一緒に帰ろうぜ!」と言った 瑛太は「康太!ならば早く仕事を上げますとも!」と言い仕事を上げて飛鳥井の家へと帰って行った その頃の烈は「あきましゃ、お時間あるかしら?」と神野を誘った 神野は『お前のお誘いならば何時でも時間はある!』と喜んだ 横にいた須賀は『烈、私は誘ってくれないのですか?』と即座にラインした 柘植も『烈!!私は?私はお呼びがないのですか?』とラインをする 相賀も『烈、年寄は誘ってくれぬ気ですか?』とラインする ピロン…ピロンとラインの通知音に烈は苦笑してグループラインで 「皆を誘うわよ! 今夜は父しゃんが焼き肉をしてくれるのよ! だからお酒買って来て欲しいのよ!」 須賀は『ならば聡一郎をGETして買いに行きます!最近彼は安いお店を知ってますからね!』と言う 皆 親指を立てたスタンプを押して送信すると買い出しに向かった 烈は神威にも「今夜は焼き肉なのよ、食べに来るかしら?」とラインを送ると 『すぐに行く!』と返信があった 烈は兄達の仕事部屋に逝くと「ボク帰るわよ!にーに達も帰るわよ!」と声を掛けた 流生は「烈、僕達もそろそろ帰ろうと支度していたのよ!」と言う 「今夜は焼き肉よ!にーに! ボクね高野豆腐とか湯豆腐とか出汁豆腐とか、肉に見立てた豆腐とか……毎日豆腐とか豆腐とか豆腐とか………湯葉だとかでカサカサなのよ!」とボヤく 大空と太陽は「今夜は」「お肉よ!」「「沢山食べるのよ」」と弟を抱き締めた 皆で地下駐車場まで向かい、烈はケントの車で、兄達はリックの車で帰宅する ケントの車に乗り込むと烈は「多分尾行されるから遠回りして、ボクを警察署で降ろして!」と頼んだ ケントは「了解です!」と言い何時も帰るコースから離れて走り始めた 烈はケントは着けてるバイクを確かめると 「真横に着いたら少し並走してくれる?」と頼んだ 後ろを暴走族のバイクが走る そのバイクが烈を確認しようと真横に並びピタッと引っ付いて走行して来た 烈がカメラを、構えて撮影をしているのを察知すると、バイクは離れて行った ケントは警察署の駐車場に車を停めると、烈は車から降りて建物の陰に隠れて様子を見た ケントの車が走って逝くと、その後ろを追うように他の車が着いて行くのを確認する 地獄界から帰って来たら、烈は尾行する車を逆に此方も尾行してやる気でいたのだ やられてばかりで堪るか! そんな思いだった だから城之内に「走りに自信がある子を何人か貸して欲しいのよ!頼めるかしら?」とラインしたのだった 城之内は『了解した!走りに自信のある奴等を、何人位所望なんだ?』と問い掛けた 「最低でも10人、尾行出来るだけの腕前の人材を頼みたいのよ! その人達には少ないけど報酬も払うわ! 詳しい事は神威の事務所のスタッフの子と話を詰めて行って欲しいのよ! 信頼出来る腕の子ならば仕事も紹介出来るかも知れないから!」 『それは喜ばれるな!ならば神威の事務所の者と話を詰めるとする!』 城之内がそう言いラインを終えると、烈は神威の事務所の電話番号とラインを書いて送信した 総ては人の世に還った時に動き出す…………

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