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第5話 暴動 揉みくちゃ もぉ嫌だ!

烈は楽しく焼き肉を堪能した晩 後を付けられている事を両親に話した 両親は門倉の事は一切聞かなかった ただ「此れは新手か?」と尋ねた 烈は動画を開いて見せて「多分 此れは門倉がヘッドをしていた暴走族の仲間の一人だと想うのよ!」と答えた 「門倉は消えたから次……って訳か……」 「指示を出してるのは大仏武士、そしてその大仏に指示を出して操っているのは………」 烈が言い難そうに口淀むと、康太は「海坊主か?」と問い掛けた 烈は「多分ね……」と口にした 康太は「ならば叩き潰すしかねぇな!オレの子を狙ったんだ!文句なんて言えねぇんだよ!」と吐き捨てた 「ボクね人を軽んじるヤツがこの世で虫唾か走る程に大嫌いなのよ! だから、このボクを付け狙い、蝿の様にブンブン鬱陶しい輩は、絶対に転生なんかさせる気もないし、生きてる事こそが許せないのよ! だから無限牢獄に閉じ込めて転生さえさせる気は皆無なのよ! 徹底的に叩き潰してやるわ!」 烈はそう言い嗤った 背筋さえ凍える笑みに……榊原はパシッと頭を叩いた 「無茶するんじゃありませんよ! 幾ら特大の勝機を呼んでいたとしても、君は不死身じゃありません! 1000年続く果てに兄達を導かずして逝く事は、私が許しません!」 圧倒的な迫力に烈は降参の白旗を上げるしかなかった 「解ってるわ父しゃん!約束するわ!」 「ならば無事に帰って来なさい! まだ怪我も治りきってないのでしょ?」 烈は父に抱き着き「父しゃん!」と泣いた 榊原は烈の背を優しく撫でて 「烈に尾行が付くって事は、翔達は大丈夫なのですか?」と問い掛けた 「にーに達は少し様子を見なきゃだから、学校は休ませて!ちっこいのも幼稚舎休ませて! そして凛太郎に連絡を取って当面は幼稚園の上で生活してて!」 「了解しました! 総ては君が還って来たら動き出す………と言う事で宜しいですか?」 烈は父から離れると頷いた 「ボクは明日の晩、崑崙山に逝くつもりだったけど、一足早く崑崙山に行き八仙の後ろの屋敷で待つ事にするわ! そして地獄界から帰還したら、尾行する奴等を逆に尾行してやる気でいるのよ! 何時までも大人しく、やられっぱなしでいる訳ないじゃない!」 「それは良いですね! 烈はその人材に幾らか支払うつもりならば、僕達も幾らか支払いましょう! そしてキッチリ尾行させて、目には目を、歯に歯を!を、キッチリ味わって貰いましょう!」 「良いわね、それ!」 烈が言うと康太も「だな!」と言う そしてその夜、人知れず烈は崑崙山へ向かい、人の世から姿を消した 康太達も何時もの様に会社に出勤して………姿を消した そして飛鳥井の家族を見失い………血眼で真矢や清四郎の居場所を探った 本人が見つからないなら、身内を狙う! だが真矢と清四郎も自宅には還って来ているのか? 解らなかった! 真矢と清四郎は都内のマンションに住んでると、雑誌で取り上げて貰い、大々的に公表していた その都内のマンションは竜馬が相続したマンションで、セキュリティは万全でゴキブリ一匹入るのは不可能と謂われたマンションだった (まぁ、本当に一匹も入り込めてないのか?は定かではないが……) イギリスにいる竜馬に事情を話して 「東京の部屋を貸して欲しいのよ!」と謂うと、 竜馬は二つ返事て了解してくれたのだった 「良いよ!烈の頼みならば貸しちゃう! どうせゴキブリ一匹入るのは不可能なセキュリティ万全な部屋だからね! 逆にこの部屋を使って貰った方が身の安全は確保出来るしね!」とまで言い了承してくれたのだ 竜馬は撮影の時は、帰国して部屋を使っての撮影に協力して貰ったのだった! 柘植はスタッフ達に指示を出してモデルルームバリの部屋を生活感溢れる演出をして撮影に挑んだのだった だから公表している東京都内のマンションでは、端から生活はしていないのだ 幾ら見張って、出て来るのを待ったとしても、其処には現れはしない そして尚且つ、今回も真矢と清四郎は幼稚園上のマンションに一緒にやって来ていたのだった 康太は「烈が帰還したら、やられっぱなしのこの状況をひっくり返す気でいるかんな! それまでは不自由な想いをするが我慢してくれ!」と言った その夜 【R&R】は世界に向けて配信した その配信には烈がちゃんとメンバーと一緒に写っていた 烈は何処から見ても烈で、烈は髪を金髪にして明らかに昨日とは違う姿を晒していたから、尾行してる奴等は何時出国したのよ?何時金髪にしたのよ???と驚いていた だが画像を鑑識しても………声は烈本人で………姿も烈本人だった………… 烈はイギリスに来て直ぐに竜馬と合流し、美容室へ行き、髪を金髪にして貰っていた 竜馬が「濁りのない美しい金髪にして下さい! そして尚且つ、脱色した髪がバサバサにならない配慮をお願いします!」と注文したから、それは美しく脱色されていた 案外 金髪も似合っていた メンバーは金髪にしたリーダーが可愛くてテンション上がりまくりだった その勢いで撮影に入った 金髪の烈がメンバーと並び笑っていた 「【R&R】から皆さんに報告です! 今年のXmas、24日、25日限定で、我ら【R&R】はイギリスと倭の国で、一晩限りのXmasイベントをやります!」 竜馬はニコニコして「まだ具体的な案はまだ出てないけど、イベントしたいね!ってずっと話していたんだよ!」と話す メンバー、一人一人が想いを込めて話すと オリヴァーが「【R&R】はヨニー©イギリスが全精力を注ぎ映像に特化した世界を作り出します!」と言う 烈は「よぉ!社長!」と言う 【R&R】の凄さはスタッフまで【R&R】の仲間と言っちゃえる事なのだ 烈は「我等【R&R】はスタッフとも力を合わせて創り出す最高の世界をお届け出来たらと想っています! ねっ!オリヴァー!我等チーム【R&R】は一切の妥協は許さず旬な【今】をお届けするんだよね!」と笑顔で言われたら、メロメロなオリヴァーは頑張っちゃうのだった オリヴァーはカメラを真摯に見つめ 「我等は竜馬と出逢い活動を始め、そしてリーダーを迎え【R&R】となった! Ryuma Retsu 二人の頭文字を取り我等は【R&R】として活動を始め今に至る 我等はリーダーの元に集いし集団として誇りとプライドを持ち活動して来ました! これからも我等は常に新しい足跡を遺し、前へ前へと進んで逝くつもりです! 最高のイベントが出来る様に我等は心血を注いで逝く所存です!」 と告げた メンバー達はカメラに向かい深々と頭を下げ、そしてにこやかに手を振り映像は終わった 烈を付け回していた集団は、烈が何時国外に出たのか? さっぱり解らずにいた…… してやられた! トドメを刺すべきターゲットを見失った輩は…… 嫌がらせに飛鳥井の家族…………果ては飛鳥井の一族に縁のある者の襲撃を敢行する事にした まずは手始めに楽巌寺………飛鳥井の菩提寺と言う事でじじぃと女子供しかいないと踏んで襲撃し……… 城之内と竜之介に返り討ちにされた また夏海と華絵も薙刀を持ちバタバタと倒して逝く様は、圧巻の強さ………としか表現しようがなかった 倒れた奴等を縄でグルグル巻きにして山積みにすると、城之内は康太へ電話を入れた 夜中に城之内から電話があり驚いた康太は、更に電話の内容で驚いたのだった 「真贋、菩提寺に暴漢が押し入った! どうするよ?コイツ等?」 連絡を受けた康太は声が裏返り 『え!!まぢかよ!お前等は大丈夫だったのかよ?』と問い掛けた まぁ城之内親子は心配ないが…………菩提寺には職員も住んでいるのだ 「夏海と華絵が薙刀でバサバサ薙ぎ倒して行ったし、倅が頑張って殴り倒していたからな! 俺も負けてられねぇ!って頑張って全員倒したぜ!」 菩提寺にか弱き婦女子はいない様だった………… 康太は『そうか………なら唐沢に連絡するから、待っててくれ!』と言って電話を切った 電話を切り振り向くと、榊原が唐沢に連絡を入れている最中だった 唐沢は『俺は外せねぇ会議の最中だから、班員を向かわすわ! 烈が叩き上げてくれた班員達だから、俺じゃなくてもキッチリ仕事してくれるからな!』と言い、唐沢は即座に維弦を菩提寺へ向かわせた 西園寺維弦は…………仕事を任され菩提寺へやって来た が、縄でグルグル巻きにされ、積み重なる……物体に…… 「暴漢に………襲われたのですよね?」と確かめた程だった 城之内は「我等からは手は出さぬが、やられるならばキッチリお見舞いすると決めている! それが宗右衛門の教えであるからな! 命までは取ってないから安心されるがよい!」と答えた 薙刀を持つ婦女子は汗一つかいてなくて…… 夏海に至っては「準備運動にすらならぬわ!」と言う程だった 華絵も「誠に不甲斐ない奴であったな!」と笑い飛ばした 維弦は調書を取ると、グルグル巻きにされ山積みになってる暴漢を回収して、菩提寺を去った そして班長に「飛鳥井の婦女子は強くて怖いですぅ!!」と嘆きのラインを入れた それを見て唐沢は笑った 「か弱き乙女などいないからな……… 例え息の根を止められたとしても、最期の瞬間まで闘い、その場に仁王立ちして倒れなかった飛鳥井源右衛門の様に………その魂は受け継がれているからな……」 残っている班員は班長の呟きを耳にして、真に強いおなご達なのだと想った 翌朝 【R&R】の配信はニュースで流された 家族は皆 朝食を食べた後 着けたテレビで流れていたから、それを目にして驚いていた 一生は「あれ、本物の烈なのかよ?昨日までは黒髪だったよな?」と問い掛けた 昨夜までと明らかに違うから………ダミーなのか?と想う程だった 康太は「だろ?どうやったかは?解らねぇけど、自分に目を向けさせる為にわざわざ金髪にして、昨日とは明らかに違う姿を晒して流したんだよ! 昨夜遅く、菩提寺に暴漢が押し入ったらしいからな……烈もレイも見つけられなかったから、近場を襲いやがったんだろうな!」と告げた それを聞いていた聡一郎は「え!大丈夫だったのですか?」と問い掛けた 「……喧嘩を売る相手を間違えているよな? 関東最強の元暴走族総長だった男に喧嘩を売って勝てる訳ないやんか! しかも菩提寺で生活してる婦女子達は、宗右衛門の教えが良いからな、己の身は自分で守れ!を徹底して薙刀習ってるかんな…… 薙ぎ倒して、あっという間に屍の山が出来てた事だろうよ!」 聡一郎は言葉もなかった…… 一生は笑って「だよな、滅法強いからな、あそこの女連中は!」と言う 隼人が「女が強いのは、我が家も変わりないのだ!」と言うから…… 【は〜や〜と〜ぉ〜!】と一斉に女性陣から言われちゃうのだった 隼人は藪蛇だ………と想いつつ 「ヤバい時はオレ様を助けるのだ!」と言った 玲香は「仕方がないのぉ〜!」と笑うのだった 翔は「僕達はまだ夏海ちゃんみたいに薙刀上手く使えないからな………」と言うと 流生も「あんな風にグルグル振り回したら怖いって思っちゃうのがいけないんだよね……」と思い出し言う 薙刀をグルグル振り回して、まるで踊ってるみたいに美しく使い熟すのは無理だと想った 康太は「薙刀は宗右衛門の教えを聞いてれば、同じ位には使えるさ!」と言った 音弥は「烈、薙刀美味いよね!弓も上手いから……その領域に達するのはまだまだだよ………」とボヤく 「まぁ昔の飛鳥井は刺客もいたりしたからな、天井一突きしたりする為に薙刀を使い熟せるか否かで寿命が10年違うと謂われたし、己を狙う刺客なれば弓矢で射抜く位しねぇと生き残れなかったからな、そりゃ上手いだろうさ! 因みにオレも結構な使い手なのは前世の記憶と体感で何とか使えてるって事だからな 生きて来た過程も練度も違うのは仕方がねぇよ それよりも、宗右衛門の教えを守り日々鍛錬すれば、そこそこは使えるし、薙ぎ倒すのも可能だ!」 何と言う過酷な過去を話されても………想像すら出来ないってば………と想う そして我が弟を想う 烈  怪我してない? ヘルシーなの食べてる? まだ怪我治ってないのに……… 翔達は気を引き締めて、烈の変わりに家族を守れる程には強くなろう!と心に誓った 飛鳥井の家を出た烈は、崑崙山へと行こうでしたが、刺客の目を背ける必要があると踏んでイギリスの地にいた 1日早く姿を消した烈はエミリア王女に頼み、女王の許可を取り、時計塔の魔術師の手により イギリスの地に転送されていた 竜馬や【R&R】のメンバーと連絡を取り撮影をした後、再び崑崙山へ転送してくれと頼んだのだ 烈が命を狙われているのは承知の女王は、エミリア王女からの伝言を受け烈を転送してくれたのだった 多分 自分の方に意識を集中させ家族に被害が行かない様にしたいのだろう………と察して全面協力したのだった だから烈は明らかに倭の国にいた昨日とは違う演出をする為に、髪を脱色し金髪にしたのだった そして【R&R】のメンバーと撮影して、あたかもイギリスにいます!アピールを成功させた後 幾つかメンバーと動画を撮った それを小出しに配信する様に頼んだ 取り敢えずイギリスに烈がいる、そんな信じられない映像が流れ……… 彼奴等は映像を調べるだろう だが幾ら調べたって、烈本人なのは変わらない 烈はメンバーと暫しの別れをして、崑崙山へと転送して貰った 強行軍な転送は結構体に負荷を受けるのだ 八仙はそんな烈の為に薬湯を煮出して飲ませた そして閻魔が来るまで裏の屋敷で寝る様に言った 烈は閻魔が迎えに来るまで、裏の屋敷で寝ていた 傷がズキズキ痛む 関節がギシギシ痛む 時空の負荷に体が耐えられなかったから、風邪を引いた時みたいに体が怠く関節が痛いのだ 烈は眠りに落ちると、クーは烈を護る様に横にいた 閻魔が呼びに来ると、クーは烈を起こした 烈は起きると顔を洗いに行き戻って来ると、閻魔が持って来てくれた正装に袖を通した 黒龍は既に龍族の長の正装を着ていた 素戔嗚尊が寝ぼけてる烈の髪を整え、服を直してやる ビシッと正装を整え、八仙の屋敷に行くと羅刹天が待ち構えていた 羅刹天は烈を見ると近寄り抱き締めた そして離すと「馬車を用意致しました!どうぞ!」と案内しドアを開けた 烈と黒龍と閻魔が乗り込むと羅刹天も乗り込み、「馬車を出せ!」と命令した 素戔嗚尊と建御雷神は荷馬車に飛来クラゲを乗せているから、そのまま馬車の後を並走して走った 桃源郷へ入ると、花の香りにクラクラしそうになった 桃源郷を素通りして地獄界の境界へ入り、警備の者に検査され許可を得ると、地獄界へ入り街へと向かって走って逝く 地獄界は広いから半日馬車に乗って、お尻が痛くなる……との戦いだった そんな辛い思いをしてやって来た地獄界 街並みは…………中華な文化を引き継いだ様な建物ばかりだった 今の中華圏ではなく、諸葛孔明とか英雄がいた頃の中華圏の街並みが広がっていた 最近、玲香は中華圏の俳優にハマって、今も根強い人気のある中華系ドラマ 陳情令を見る為だけに番組に入っていた 玲香は「倭の国の俳優も良いが、中華圏のドラマも良いではないか!」と楽しそうに言い孫達とドラマを見る そのドラマで見た様な雰囲気のする街並みに烈は 「ばぁたん来たら興奮するわね!」と呟き笑った 閻魔は魔界とは違う世界観の凄さに、魔界も負けてられない!と思った 黒龍はドナドナされる馬の想いを味わって……… 俺………どうなっちゃうの?と心細い想いでいた 地獄界に到着すると、既に用意されたレセプションが幾つか控えていて、慌ただしくレセプションへ突入した 飛来クラゲと蜜蜂との交換式を大々的に開いた 素戔嗚尊と建御雷神が飛来クラゲを元始天尊へ引き渡す そして蜜蜂を渡して貰い、友好の証の交換会は、盛大な拍手が巻き起こり、成功した 解き放たれた飛来クラゲは自分に良く似た軟体動物に惹きつけられる様に近付き、周りを泳いでいた 軟体動物………嫌、飛来クラゲより少し小さいサイズのクラゲみたいなモノも、飛来クラゲに興味を持ち、互いを観察し合っていた 素戔嗚尊は「敵意を向けていないから番うのも時間の問題じゃな!」と安堵して言う 閻魔と烈と黒龍、素戔嗚尊と建御雷神は魔界からの客人として、歓迎レセプションを幾つか行われ盛大に歓迎…………されたのだった 地獄界に一晩泊まる予定だった それまでに、地獄界へ来た一番の目的に突入した 地獄界でも一番由緒ある屋敷へ案内された 黒龍はめちゃくそ緊張していた まるで見合いの会場の様に………厳かな雰囲気の中、正装をした閻魔は大礼まで着けて威厳に満ちて、一国一城に君臨する指導者たる者の風格を滲ませていた 横に座る烈も何時もと違い、威厳ある顔で座っていた 見届人として素戔嗚尊、建御雷神も正装をして座っていた そんな中 襖をスパンと開けられ……… それはそれは美しい女性が入って来た 父親らしい男も韓服を着て贅の限りの宝飾品を着けていた 男と女性が席に座ると羅刹天は紹介を始めた 「此方の方は龍族八部衆を取り仕切る長 龍王に在られる! そしてその御息女は飛竜 紅花(ホンファ)様と申します!」 紹介を受け紅花と呼ばれた姫は、少し頬を染め………めちゃくそ黒龍を意識して 「紅花と申します! 宜しく頼みます!」と言った 黒龍も紅花に目が釘付けになり、少し頬を染め 「魔界 龍族 族長の黒龍と申します!」と言った 二人は意識しあいモジモジとしていた 恋に堕ちた瞬間だった 烈はきちんと正座して、深々と頭を下げ 「龍王殿には我儘を申し上げました! 我等の神の断絶………それだけは避けねばならぬと羅刹天殿と元始天尊殿に頼み事を運ばせて戴きました所存です!」と礼儀に則り相手を敬い言葉にした 龍王はにこやかに「此れは政略結婚ではない! なので娘が恋に堕ちれば、我は何も申すつもりはない!出会いの場は提供した 後は、二人がどうなるか?ではないか?聖神 嫌 飛鳥井烈殿!」と言った 龍王は烈の経歴を知っている様だった 烈は「はい、此れは政略結婚等ではない! 黒龍と紅花殿が好いて結ばれるのであれば、強いては魔族の存続に繋がる 凄らしい効果を齎してくれるかもですが、二人が興味もないと申すのであれば、ご破算で構いません!政略結婚等と言う愛のない生活を強いる気は毛頭御座いませんから! 黒龍を占い、運命の相手がいて、その相手が魔界の存続に繋がるやも………と出たので、出会いの場を用意して戴いただけの事です!」と申し上げた 閻魔は「………龍王殿は烈の事………お詳しいのですね?」と少し警戒し問い掛ける 龍王は「元始天尊が烈殿をべた褒めしておったのじゃよ! そして気難しい羅刹天さえも、烈は我を救ってくれた恩人だと申す! 二人から聞く貴殿は星を詠み運気を詠み果てを詠む! そして何より……七賢人八賢者の弟子で在られると言う そんな貴殿からの縁談の申し入れなれば、大切な娘を会わせてみようと思ったのじゃよ そして奇しくも七賢人ラルゴは我の旧友でもある!その旧友の弟子なれば誠意を尽くさねばな…と思ったのじゃよ!」と話す 烈は「我が師匠の旧友であられましたか!」と笑顔で返した その屈託もない笑顔に裏はない 何故かそう思わせる不思議な男だと龍王は思った 黒龍と紅花はもう何も耳には入らない 互いだけ見つめて………モジモジしていた 烈は黒龍の背中を叩くと「お庭でも散歩なさったら?黒龍エスコートして差し上げて!」と言った 二人はモジモジとお庭に出て言った 龍王は「この縁談は烈殿が詠んで配置なさったのか?」と問い掛けた 烈は「はい!黒龍は長になり運気が変わった 彼は永遠に嫁は娶る気はなかったが、運気が変わり嫁を娶ると出たのです そして二人は出会うべくして出会い……結ばれる そして鳳凰を孕み………出産する! 魔界には鳳凰の後継はおりません! 今後も鳳凰が生まれる気配はなく……現鳳凰はそれで責められ嫁を変えろ!とまで言われている……… だからボクは占った 次代の鳳凰は何処から生まれるか、を! そしたら運命はまだ我らを見放してはいなかった 黒龍が出会い恋に堕ち娶る姫が鳳凰を妊む!と出た………だから元始天尊と羅刹天に飛竜との見合いの場を設定してと頼んだのです!」と話した 龍王は「確かに飛竜は鳳凰を妊む……が、前の娘は鳳凰は孕みはしなかった……… だから一族から責められ………自ら命を落した それ以来……飛竜は望まれても嫁がせる事はなかった…… なのに今回の縁談……鳳凰目的なれば断ろうと思っておった…… 娘は……鳳凰を妊むと言うのか?」と呟いた 「運命の出会いと言うのは惹きつけ合う磁石の様に、互いを結びつける運命を孕んでいるのよ! この日、この時、二人が出会う運命なれば、磁石の様に惹かれ合い結ばれるが運命! その運命の果てにお子が存在する! そのお子が鳳凰でなくとも、二人は我が子を愛して育てるであろう! お子は我が生命と同等に等しい宝であるからな! だからこその縁談であり、結び付きなのです!」 と烈の説明に言葉を失い…………… 龍王は涙した 悲運に散った我が子の運命も……この子に託せば散りなどしなかったのだろうか……… 「娘は……」 宗右衛門は龍王を真っ直ぐに見て 「貴方の娘は等の昔に転生され、本人の望み通り何も持たない人の子として生まれて幸せな余生を何度も迎えておる! だから貴方が、悔いるのは止められよ! 貴方か悔いる事が、娘御を解き放っておらぬ事になる! 娘御を憂いて悔やむ必要などもうないのじゃよ……… 今後は娘御の幸せだけを願ってやると良い!」と言い放った 龍王は顔を覆って涙した 黒龍は庭園を回り戻って来ると、龍王に 「正式に交際の申し入れをさせて戴きます! 娘さんを嫁がせる気はおいでですか? 娘さんを嫁に娶るならば、私はこの命に変えても絶対に護ると誓います!」と正式交際の申し入れをした 龍王は「お前は?どうなのじゃ?紅花よ?」と問い掛けた 紅花は父の瞳を真摯に見つめて 「私も………黒龍殿の事をもう少し知りとう御座います! そして嫁に………と申されるならば、私が夫となるべに黒龍を護って差し上げますとも! 私は護られるだけのお飾り人形ではない! 共に生きるならば、互いを敬い、互いを守り、互いを助け合う、そんな夫婦になりとう御座います!」と申した 黒龍はますます紅花の強さに惹かれ、彼女の手を握りしめ 「貴方は強い、そのブレない体の芯を見れば解る!なので俺を護って下さい! 俺も貴方を護ってみせますから! この乱世の混沌とした世を互いを守り合い、生きてはくださいませんか?」 と言葉にして言う 紅花は頬を染め「黒龍殿!」と黒龍だけを見つめる 黒龍も「紅花殿!」と紅花だけ見つめる 烈は「あ~もぉ〜二人は引き離したとしても離れそうもない程に互いを求め必要としてるのね! でも、独身のボクには、あっちっちな恋人は目の毒なのよね!」とボヤく 素戔嗚尊は「恋路を邪魔するでないぞ!烈!アル君に蹴られるぞ!」と宥めた 羅刹天も「この縁談、上手く行き一安心ですな!」と大役を任され成功して安堵の息を吐き出した 烈は「龍王殿、この二人は今夜は、この屋敷で匿っては貰えませんか?」と告げた 龍王は「それは構わぬが、どうしてじゃ?」と尋ねた 「ボク達が宿泊施設に帰れば暴動が起きるからです!」 龍王は顔色を変えて「暴動?」と尋ねた 「今 クーたんが向こうは準備万端だぜ!と知らせてくれたのです! なので此れよりは2人を危険な目に合わせたくはないので!」 白い猫?が龍王の目の前で大きくなり、二足歩行の姿になる クーは龍王の前に立つと深々と頭を下げ 「我は創造神が創り、烈に与えた護衛、クーに御座います!以後お見知り置きを!」と自己紹介した 龍王は言葉もなかった 素戔嗚尊は「動き出したか……」と言った 羅刹天は「誠……愚かな………」と呟いた 烈は立ち上がると「それでは御暇させて戴きます!龍王殿に出会えて本当に嬉しかったです!」と言葉にした 龍王は「また会っては下さらぬか?」と言葉にした 「桃源郷横の賢人と賢者が住む地なれば、会うのも可能に御座います! 会いたいのならば師匠に申し着けて下さい!」と言うと背を向け襖を開けた 龍王は「暴動が起きるのが解っていて……貴殿は来られたと申すのですか?」と訴えて来た 烈は「説明は天ちゃんお願いね!そして天ちゃんは来ないでね!怪我したら大変だから!」と言い閻魔と素戔嗚尊、建御雷神と羅刹天と共に部屋を出て行った 黒龍が後を追おうとしたら、紅花が 「後を追ってはなりませぬ! 貴方に何かある方が魔界のダメージとなります!強いては私が婚姻出来なくなるのです! 飛び火が此処まで来たならば、迎え撃ちましょう!それまでは今後の話を致しましょう!」と言う 誠 肝の座った姫だった 黒龍はそんな姫を心底好きになった 黒龍は心より笑顔を浮かべると 「貴方とならば未来永劫……共に逝ける…」と本音を吐露した 「妻になるならば、誰よりも愛せる存在でなくてはならない……… だが俺は………誰も愛す事はなかった…… 愛する努力はして来た………… が、次代の龍族の長と言う肩書に………皆が近付き……そして俺に幻滅して皆……離れて行った だから独身で誰も愛する事なく生涯を終えるのだと想っていた だけど貴方とならば、同じ目線で共に闘い、共に涙して、共に生きているけど感じた」 二人は磁石が惹かれ合う様に互いを抱き締めていた 龍王は烈の言葉を思い出していた 『運命の出会いと言うのは惹きつけ合う磁石の様に、互いを結びつける運命を孕んでいるのよ! この日、この時、二人が出会う運命なれば、磁石の様に惹かれ合い結ばれるが運命! その運命の果てにお子が存在する! そのお子が鳳凰でなくとも、二人は我が子を愛して育てるであろう! お子は我が生命と同等に等しい宝であるからな! だからこその縁談であり、結び付きなのです!』 あぁ………我が娘は生涯の伴侶を得たのだ……… 龍王が感慨深く涙している時 烈達は用意された宿泊施設に戻った 部屋に案内され、烈は草薙剣を出し、閻魔はアスカロンの剣を出した 素戔嗚尊はロンギヌスの槍を出し、建御雷神は韴霊剣を出した そして夜半過ぎ、暴動は煽りに煽られ市民まで巻き込み、烈達の宿泊施設を襲った 大勢の地獄界の奴等が押し入り、対抗しようにも………地獄界の奴等が多過ぎて………揉みくちゃにされる 烈は「また揉みくちゃ?もぉ嫌よ!揉みくちゃはぁ〜!」とボヤきつつ草薙剣で斬って行く ……が、敵が多すぎて…………距離を詰められ過ぎて………… 相手の武器が容赦なく襲って来る 油断すると蹴飛ばされ殴り付けられ 拳か武器が当たったのか? 烈は視界が半分になり……ズキズキとした痛みと視界の悪さに…………奥の手を使った 烈は「仕方ないわね、本当なら使いたくなかったけどね!」と言い護符を取り出した 「とうしゃん!マサカリで少し削ってよぉ〜!」と頼み護符を放り投げ、父を召喚した 呼ばれたら絶対に来てよ!と約束し護符を渡されていた大歳神は約束を守り、護符に導かれ姿を現した 姿を現した大歳神は、マサカリを飛ばしワラワラとしている輩を吹き飛ばした 閻魔は「大歳神!助かりました!相手が近過ぎて、手も足も出ませんでした!」とボヤいた 閻魔もかなりやられて血を流していた 素戔嗚尊も建御雷神も敵が近過ぎて、周りを削るのに手一杯でワラワラしている奴等にやられていたのだった それこそが向こうの目論見だったのだ 羅刹天も血を流していた だが「よくも、我が師と言える烈に怪我をさせてくれたな!」と怒り、自分の持ってる部隊を呼び出した 武闘派の羅刹天は五帝に与えられた配下を持って、日々地獄界の為に闘い治安を維持して来たのだ 呼ばれた羅刹天の配下の者が加わり、攻防戦を繰り広げる 烈は羅刹天に「この者達はテスカトリポカに体を弄られドーピングを施されているから………倒れないし、雷だって食ってしまうから雷で停止させるのも不可能な改良型の存在みたいね!」と言う 羅刹天は「改良型?それは何故解るのです?」と問い掛けた 烈はポケットから雷玉を取り出すと地面に叩き付けた ピカッと辺りが光る するとその場にいた者達は、大きく口を広げ雷を吸収していた 羅刹天はそれを見て「うわぁ~、何だよ此れは!」と叫んだ 烈は「ボク達が来るのが解っていたから、最新のでお出迎えしてくれたんじゃない? 天界でアイツの足をもぎ取った御礼してくれてるんじゃない?」とボヤくと羅刹天は 「そんな礼なんか要らねぇよ!」と吐き捨てた 大歳神はマサカリを反対向けて飛ばす まさに刀背打ちで、切り裂いて半分にする訳にはいかないから……… 大歳神は「なぁコイツらキリないから真っ二つにしても良いか?羅刹天よぉ〜!」と疲れ果てて来たから言う 羅刹天は「仕方あるまい!大歳神、真っ二つにして構わぬ!」と言うと、大歳神はマサカリを刃の向いた方で投げ付け真っ二つにした ……が、流石地獄界、此処は道教の国 キョンシー生み出しちゃった国でもある 半分になった奴等は己の半分の体を無理矢理引っ付け蘇る キリがない 後がない 何にもない ないないない! 揉みくちゃにされ殴られ蹴られ…… 烈はキレた 「らーくん、燃やして良い?」 と問い掛けた 羅刹天は「燃やして死ぬのか?コイツら?」と問い掛けた 烈は「皇帝閻魔の焔を一度だけ貸して下さる様に約束をして来たのよ! 命に関わる時に一度だけ使って良いと謂れ焔を授かって来たから今、それを召喚して燃やしてやるわ!」と言うと呪文を詠唱し始めた 呪文を詠唱していても、お構い無しで殴られ、体が宙を飛ぶ 地に落ちたら蹴り飛ばされる が、その詠唱は途切れる事なく続けられ………… 烈の手に紅蓮の焔が灯ると、烈はそれを固まっている奴等に放った ギャァァァァァァァ! 悲鳴が響く 焼かれて悶え苦しむ悪鬼が、苦しさのあまり逃げ惑う が、皇帝閻魔の焔は、確実に燃え上がり辺りを全て焼き付くす勢いで燃え上がっていた 烈はクーの肩を借りて「とーしゃん、じぃさん、たけちゃん、らーくん!こっちに来て!」と言い自分の傍に呼ぶと、皇帝閻魔の焔はその周りを避けて猛威を放ち燃え上がった 羅刹天の配下の者も羅刹天の傍へやって来る ポタポタと烈の頭を血が流れる中、全てを見届ける為に踏ん張って立っていた 羅刹天は自分の服の袖を破くと、それで烈の頭の傷を押さえた 焼け焦げた匂いが辺りを包む 「皇帝閻魔の焔は総てを焼き消すまで消えはしない!」 烈の言葉通り紅蓮の焔は燃え上がり………闇に扇動された者達を焼き消して行った 烈は「ボクの後ろにいてね!でないと焼かれちゃうからね!」と言い皆を守る 羅刹天は「烈大丈夫か?」と烈の体を支えていた 「初っ端からワラワラ囲まれるとは思わなかったから、出遅れたわ……… 出鼻を挫かれ、ワラワラに囲まれ手も足も出なくされるとは…………向こうが一枚上手だったわ 同じパターンは繰り返しはしないと言う訳ね 魔界と同じパターンならば、武器を手にしてる分有利かと思ったんだけど………身動き取れなきゃ………意味なかったわ!」 と、今回の暴動を鑑みて言葉にする 素戔嗚尊も「槍なれば………バサバサ薙ぎ倒せると思っていたが………束で来られたら……振り回す事さえ無理であった…………間合いがないと武器は役に立たぬ……魔界へ帰ったならば超接近戦も視野に入れた闘い方も鍛錬に組み込まねばならぬな……」と未熟故に……血を流す結果となり悔しそうに口にした 閻魔は「暴動が起きるのは解っていたが……我等が地獄界の者を傷付けたりしたら? …………界界戦争に発展するのではないか?………と初手が遅れた故に手も足も出ない状態となりました 本当に不甲斐ない………」と悔しそうに謂う 紅蓮の焔は暴動に出た者達を焼き尽くし……ワラワラと逃げる者にも引火して、逃げ去る事を許さず燃え続けた 其処へ心配して見に来た元始天尊が来て、羅刹天は事の詳細を告げた クーは「我等は傷付きすぎた………烈達を人の世の病院へ連れて行くけど構わねぇか?」と問い掛けた 元始天尊は烈の傍へ駆け寄ると、血を流し今にも気絶しそうな烈を目にした 「天ちゃん………この焔は皇帝閻魔に一度だけお借りした非常時に繰り出した奥の手! なので放っておいても自然に鎮火する筈……… ボク達は少し傷つき過ぎたから、此処いらで御暇させて戴くわ! 天ちゃん、お願いだから………黒龍を魔界へ送り届けて縁談を成功させてくれないかしら? ボクは……どうやらそれは無理そうだから………」 そう言い烈は意識を飛ばし……倒れた 大歳神が素早く烈を受け止めると、強く抱き締めた 元始天尊は「貴方達を人の世に転送致します!」と言い魔法陣を出すと閻魔と建御雷神と素戔嗚尊は大歳神の周りに固まった クーが「また崑崙山で逢おうぜ!神髄師!」と謂うと、元始天尊は「あぁ、クー、烈の様子を聞かせてくれ!」と言い烈達を転送した 元始天尊は行き先を久遠の病院へ設定した 羅刹天が入院していた事のあるの場への転送は可能だったからだ! 気持ち悪い時空の揺れに吐きそうになり……眩い光に目を瞑り耐える 眩い光が消えると、其処は飛鳥井記念病院の中だった 患者でゴッタ返す中、血だらけの者達が姿を現したから、皆その姿を見て「きゃー!」と悲鳴が上がった 即座に病院のスタッフが駆け寄り、飛鳥井神威を見付けると、神威が抱き上げる子に目が行った 金髪だったから一瞬誰?となったが………… やって来た久遠は神威に抱き上げられてる子に目をやった 久遠は「烈か?」と問い掛けた 神威は「あぁ、怪我しちまって、血を流し過ぎて気絶している!」と告げる 久遠は「お前も他の者も怪我してるけどな! さぁ、順番に診ますので、まずは処置室へどうぞ!」と言い血だらけの集団を移動させた 久遠は烈の腕が腫れ上がり黒く鬱血してるのを目にすると、レントゲンを先に行かせた そして神威に「暴行でもされたのかよ?」と問い掛けた 神威は「あぁ集団暴行だな、親父殿や閻魔、建御雷神も羅刹天も血だらけで、暴力や武器でやられて血を流している! 儂は比較的に軽症なのは、烈に召喚されマサカリ飛ばしまくったからだ!」と何だか理解不能な説明をした 久遠は素戔嗚尊と閻魔、建御雷神に目を向けると 「また貴方達かよ!本当に年寄りの冷や水だから無茶するなって、この前言ったよな?」とボヤく 閻魔と素戔嗚尊と建御雷神は、本当にこの医者怖い!鬼だ!でも魔界の鬼は此処まで怖い鬼じゃないぞ!と思うのだった 逆らえずブンブン頷き謝る 看護師の鈴木泰地がやって来て、烈のレントゲンの結果が出たと知らせに来た 久遠は泰地に「この者達もレントゲンをして怪我の様子を診てから処置を頼む! 命知らずな奴等だから、特に痛い消毒薬で消毒してやってくれ!」と言いレントゲン室へと走って行った そんな殺生な……… 鈴木泰地はキラーンと瞳を輝かせ患者を見た あ…………コイツも鬼だった………… 「さぁ、レントゲン室へ行きますよ! その後は久遠先生の仰る通りに特に痛い消毒薬で消毒して差し上げますから!」 と言い患者を引っ張って行った オニぃぃぃぃぃ〜!此処にオニがいるってば! 閻魔と素戔嗚尊と建御雷神は、引き摺られレントゲン室へ連れて行かれた 久遠は烈のレントゲンを見た 右腕は肘からポキッと折れていた 肋は更にヒビが酷くなり、後は全身打撲と刀傷による裂傷、全治軽く見積もっても一ヶ月の重症だった 久遠は閻魔の所へ行くと「烈は家族には極秘で動いているのかよ?」と問い掛けた 閻魔は「両親は知ってるそうです……が、少し前から烈は尾行されたりして、家族から目を逸らせる為に別行動していたから………判断は炎帝に聞くしかないでしょう!」と言った 人の世の両親の判断に問うしかない 久遠はそれを聞き「ならコッソリ康太に聞くとするわ!」と言った そして神威の所へ行くと「携帯出しやがれ!」と脅す様に謂う 神威は「携帯………有栖に持って越させるから少し待て!」と謂うと公衆電話へ向かい小銭を出して電話した 何せ烈に召喚され来たから、携帯なんて持ってなかった ズボンのポッケにタバコを買おうと小銭入れだけ入っていたから、それで電話を掛けた 神威は電話に出た有栖に 「あー!悪い、儂の部屋から入院時のボストンバッグとテーブルの上の携帯を久遠の病院に届けてくれねぇか?」と電話で頼む 有栖は『貴方さ、怪我したの?』と心配そうに聞く 最近の有栖は志津子や拓海と拓人のお陰もあり、感情も出て来て元気で溌剌な性格になりつつあった 「少し、な。だから荷物と携帯頼めるか?」 『解ったよ、直ぐに持って行くね!』 そう言い、電話を切った 暫くして有栖が神威の部屋にある入院用のバックと携帯を手にしてやって来た 神威は携帯を渡して貰うと久遠に差し出した 久遠は携帯を借りると、康太に電話を入れた ワンコールで電話に出ると『あんだよ?神威?何かあったか?』と言う康太の声が聞こえた 「悪い、俺だ!久遠だ!」 『………っ!!烈に何かあったか? お前がわざわざ神威の携帯で掛けて来るって事は…………そうなんだろ!』 「あぁ、勘が良くて助かる! 秘密裏で入院させるか?家族には連絡いれるか?悩んでてな、それで電話したんだよ! 神威に聞けば、尾行されてたんだって? ならお前等が病院に来るのは逆効果って事だな ならば烈は入院させておくから、一報はしとくべきかと想ったんだよ! それと素戔嗚と閻魔と建御雷神も仲良く怪我しやがって来たんだよ! 彼奴等は当分入院な!って事で知らせておいたからな!」 『…………あぁ……頼む、すまねぇなゴタゴタに巻き込んで………』 「まぁ慣れてるから構わねぇよ! 烈は腕を骨折してるし、かなりの重症だからな、また一週間は目が覚めねぇだろ! 詳細は神威が伝える事になる! 俺は此れから烈の骨折のオペとなる!」 『あぁ……烈を頼む…』 「ならな、後で保険証のコピーだけ頼むな!」 『了解した!』 そう言い電話を切った、そして無造作にズボンのポッケに押し込んだ 榊原は「……暴動………本当に起きたのですね……」と問い掛けた 「あぁ、烈は重症らしい………暴動が起きるのは解っていて行った筈だ……… それなのに重症って事は………向こうが一枚上手だったって事だ! そして天界での仕返しとばかりに、頑張った結果だろ!んとに………クソ小賢しいぜ!」 と康太は吐き捨てた 「レイは?飛んでませんか?」 「今回の用意周到な胸糞事案を考えれば、レイが飛んで来た時には、飛んで火に入る夏の虫状態になるのは明白だから、烈は絶対にレイを飛ばさない対策してるだろ! レイが飛べば家族の居所は即座に分かる そしたら家族諸共皆殺しの作戦だったのかもな 大切なモノを削り取り絶望の淵に立たせたい! そんな思惑が見え隠れしてる以上は絶対にレイは飛ぶなと言われてるさ!」 「本当に鬱陶しく小賢しい!!」 榊原は何時になく感情的に吐き捨てた レイの想いを思えば………飛んで行きたかったろうに………… 瞳を共有していたならば、一方的にやられる烈を黙ってみているしかなかったと謂う状態だったのだろう……… 自分が飛べば家族の居所も知れてしまう そしたら家族は目の前で殺されるかも知れない…… 飛ばずにいれば………視界が血に染まる烈を見ねばならない………… 何方も地獄……… こんな想いをちっこいのがして良い訳が無い! 榊原は康太を抱き締めて泣いた 「レイは………どんな想いで………」 「ならさ、伊織………オレ等が抱き締めてやろうぜ!」 「それは良いですね!」 康太と榊原は慎一の部屋のドアをノックした ドアを開けた慎一は「どうしました?」と問い掛けた 康太は「レイは?」と言うと、慎一はレイ達が寝ている部屋のドアを開けた すると布団を被り丸くなり震えている体を見つけ、榊原は部屋に入りお布団を捲った 涙で濡れた瞳が榊原を見る 榊原はレイを抱き上げると、ギュッと強く抱き締めた 怒りを滲ませた康太がレイの頭を撫でると 「オレも大概腹が立つから大仏、ぶっ潰す! オレ自ら追い込んでやんよ!」と謂う するとズボンのポッケに押し込んだ携帯が震え、取り出し見ると神威から電話があり、電話に出ると 『星詠みの婆婆が予言を、天照大御神に託されたそうで、儂の前に天照大御神が姿を現された 婆婆は、烈が追い込む果てが狂うから炎帝には絶対に手を出させるな!との事だ!』と言った 康太は「え!母者………人の世に来てるのかよ?」と呟いた 『今夜は病院に泊まり夫と弟の説教をされるそうじゃ! んで、明日は菩提寺へ儂の事務所のスタッフに迎えに越させるから連れて行くつもりなんじゃ!』 「なら菩提寺で待ってれば会えると謂う事じゃん!」 『9時頃には連れて行く予定だ! 総ては、烈がやるから手は出すんじゃねぇぞ!』 「解ったよ、でもレイが泣いてて……腹が立ったんだよ!」 『レイが泣いておったのか? 親父殿が聞いたらカチコミに行きそうではないか!炎帝、よしなに頼む! 聞いた親父止めねぇとならねぇな!ならな!』 そう言い、電話は切れた 康太はスッカリ勢いをなくし 「んじゃ寝るとするか!」と言った 榊原は「レイは今夜は僕達が添い寝します!後は頼みます!」と言い慎一の部屋を出て行った そしてレイを自分たちの部屋に連れて来て、添い寝をしてやった 康太はレイを抱き締めて「オレだって………めちゃくそ辛いんだよ!」と胸の内を吐露した 「こーたん………」 ズズッと鼻を啜り謂う 榊原もレイを抱き締めて 「昔は……何時だって康太が、嵐を背負って何時だって皆と距離を取り一人で無茶をしに行っていました………今は烈がまるで、康太の様に……嵐を呼び……暴風圏の中にいて……皆と距離を取りと一人で行ってしまう 何時だって僕は見ているしか出来なくて………僕だって辛いんですよレイ………」と本音を吐露する 「いおたん………」 康太は「巻き起こした台風は、起こした本人しか止められねぇ…… そして動き出した宗右衛門を止められる奴なんて………この世にいねぇじゃねぇかよ! 悲しくても辛くても…見てるしか出来ねぇんだよ! ならば目を背けずに見るしかねぇんだよ!」 レイは頷いた だが……涙が止まらないのは仕方がない……… レイは康太と榊原に抱き締められながら………… 二人の温もりに支えられながらも……烈を想った 烈………烈………烈……… 会いに行けない状況は辛くて……… 何も出来ないのも辛くて…………… レイは涙するしかなかった だけど、今夜は泣いて泣いて涙するけど………… 「あちたからは………なきゃにゃい……」 だって烈が頑張ってるんだから……… 康太は「ちっこいんだから泣いたって良いんだよ!だから泣けレイ………感情を押し込めるんじゃねぇ!そんなの烈が望んでいる訳ねぇじねぇかよ!」と言い背中を撫でた レイは押さえきれず泣いた 泣いて………泣いて………泣き疲れて眠りに落ちるまで泣いた 康太と榊原は黙ってレイを抱き締めていた………… 翌朝 レイの目はパンパンに腫れていた 兄達は何も言わずレイの目を氷嚢で冷やしてやったりと世話を焼いた この子が泣くのは烈の事だけ…… やるせなくて兄達はレイを甘やかし、椋と凛も甘やかした 五通夜を無事に完遂した凛と椋も傷だらけだから、甘やかしてやった そして怪我しているレイ、凛、椋の傷の手当をしてやった その日 康太は「オレ等は昼からの出勤になる!菩提寺の合祀の墓の状況と納骨殿の状況を見て来ねぇとならねぇからな!」と告げた 榊原も何時もと変わりなく 「そうですね、烈不在なので、詳しい指示をせねばなりません! 烈からの指示書通りに間違いなく工程通りに行われているか? ちょくちょく確かめにいかねばなりません!」と謂う 墓石は総ての魂抜きして、墓石は粉砕してコンクリートの粉にして廃棄処分にした 其処まで徹底してやらねば、墓石と謂うのはどんな災いを齎すか解らないと宗右衛門の言葉に従い行った! それを飛鳥井の家族は知っているから、宗右衛門の変わりに見に行かねばならないのだと想った 玲香は「大変じゃが宗右衛門の留守故、目を光らせて遂行して下され!」と謂う 瑛太も「ヨーコがまだいてくれるので、仕事は心配せずにいて大丈夫です!」と笑う ヨーコは兎に角 仕事が早いのだ サクサク片付けてしまうから、回って来る仕事量に目が回ってしまう程なのだ 今は烈がいないから、御影もヨーコも飛鳥井の仕事をしていた 榊原は笑って「ヨーコは僕の不在の時はグッズスタン社から貸し出して貰いましようか?」と謂う 家族は【それは良い案だ!】と言った 朝を食べてるヨーコは「何時でもご用命下され!」とスッカリ玲香の教育に染まり謂う 楽しい朝食を終え支度をすると、康太と榊原は菩提寺へと向かった

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