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第7話 世紀の挙式 ❶

康太は「なら総理になるのは誰よ?」とヤケクソになり問い掛けた 烈は「それはこれから政府三役が検討して話し合いの場とを持つ事となると想うわよ 最悪……もう一期勝也がやるしかない可能性も出てくるかもだけど………それも政府三役が話し合い、誰か急遽擁立すると想うわ でも各派閥共に人材不足だからね………出来るかしら?」と歯切れ悪く謂う 康太は「人材不足?それはねぇだろ!」と信じられないとばかりに言う が、堂嶋も「ですね、今現在、過去最高に人材不足なじゃないんですかね? 補欠選挙やるか、解散総選挙やるか?何方かに振るしかないか?と言われてますから!」と謂う 康太は「え?それはどう言う事よ?」と不思議そうに問い掛けた 烈は「門倉一族から、ほら闇献金貰っちゃってる政治家が摘発されちゃったじゃない! あれでボロボロ問題になって、辞職しなきゃいけない議員が出ちゃってるのよ! もぉね何処の誰かの告発が大変な事態を巻き起こしているのよね………その余波ね………」とボヤいた 皆はその大変なの巻き起こしたのお前ですがな…………と心で呟く 康太は「狙ってたのか?」と問い掛けた 烈は「まさか、其処まで深読みして出てないわよ ボクはさ、あまりにも煩い蝿がいたから叩き潰そうとしただけよ! 狙ってなんかいないわよ! 狙ってやるなら、絶対的な存在をもう少し育てて、不動の地位を築かせてからやるわよ!」と不本意な出来事だと謂う 「二階堂では届かねぇのか?」 「二階堂で届かない訳じゃないのよ! でもねもう少し覇気があり指導力がある奴ならば…………国民も納得するしかないのよ……… でも勝也はもう総理を引いた身だと言い切るならば担ぎ出し教育しないとねならないわね!獅童が!!」 「お前は?」 「ボクはまだ完全に潰してないから、それまではそれに集中するのよ!」 「政治屋は……ならば大変な想いをする事になるんだな……」 闇献金でボロボロ吊し上げられた政治家のニュースを見てウンザリしてニュースを見るのを少しの間辞めとこう!と想った程だった 「んとに政治屋はクソだな!」と吐き捨てた 「まぁね己の利益優先にしちゃうと、そうなるわね!」 康太はそんなのは百も承知しているから、安曇の置かれた立場を想い 「勝也も大変だよな………」と呟いた 烈は「この先幾度も幾度も正義ちゃんが総理に、って話は出るわよ! 総理になって欲しい政治家1位になれちゃう人だもんね!だからどうするか?なのよ 多分だけど外部の意見も取り入れて!ってなると…………獅童が召喚されるわ! するとボクも駆り出される可能性もあるからね そしたら協力しないとなのよ!」と謂う 康太は「了解した!でも定期連絡は怠るなよ!」と釘を刺す 「勿論よ!母しゃん! 近い内に総理のご子息の結婚話が盛大に盤上に上がるから!」 「おー!それは活気付いてええやんか! 頑張れよ!宗右衛門!」 あくまでも他人事に謂う 宗右衛門が表にいる時は絶対に真贋は表には立たない 暗黙のルールがあったのだ 「それも追々話させて下さい!」 「…………まぁ追々な…………」 烈は母の手助けが、必ずや必要になるのを知っていた だからこそ、勢いに乗って話をしちゃった方が上手くいくわね!と思ったのだ 烈は今 会社では免震 耐震 制震の講義をして その他の雑務も抱えていた その合間を縫って鳳城由香里とエリック・トンプソンを来日させ安曇家にご挨拶に行く算段をつけたりと多忙な日々を送っていた そして10月中旬、満を持して由香里とエリックを来日させ、安曇家にご挨拶の運びとなった その流れで「夜は宴会したいのよ!料亭の予約お願い出来ますか?」と両親に頼み、料亭を予約して貰い盛り上がる宴会を開く事になった その流れで貴之と鳳城葵の挙式の話をもって行き、母の協力を得る事に成功した が、表に宗右衛門が立つ時、真贋は裏にいる!を徹底的にを守り、表には出てくれそうもなかった…………情報戦では出てくれると言うから心強い援護射撃を手に入れたもの同然だった そして鷹司緑翠と阿賀屋蒼佑と謂う強い援軍を手に入れ、協力して貰い挙式の準備を始めたのだった 康太も協力してくれる事になり、順調に周囲に告知して、挙式へのプログラムを立てられる事となった その合間を縫って拓美と拓人の矯正に入った 四季から拓美と拓人の話は聞いていた あの二人は自分の母親の事を悪く謂って蔑んでいる………… だが他は教師達は皆 口を揃えて謂う…………【とても良い子だ!】と。 特に目立つ行動はなく、自主的に何かをする事もなく………良い子の仮面を着けやり過ごす………それだけだと判断した このままだと二人の将来は早々に頭打ちになるしかないと判断し、宗右衛門は二人に会った そしたら喧嘩を売られて、そのまま修練の日々へ送り込んだ まぁ菩提寺は今 宿泊施設で生活する子供が一番多い時だから、チャンスだと思ったのもあった そんな日々をやり過ごし、スケジュールを調整する………目が回る程の忙しさだった ふらふらの烈を目にする 10月終わりがけだと言うのに、まだ骨折は治ってはいなかった 腕を吊ってはいないが、固定して定期的に通院が必要となっていた 流石と10月も終わりの頃だと顔や頭の怪我は治っていた 11月に入ると直ぐに、烈は宗右衛門の着物を着て、安曇と登紀子と貴之夫妻と共にテレビに出た 登紀子は由香里の見立てた服を着て、メイク等もやって貰いテレビに出ていた 鳳城はメディア慣れしていて、堂々とした語り口で喋る姿は政治家の妻としては申し分のない女性に映った事だろう 相賀は2度目の前で康太と烈が傷付けられたのを目の当たりにしてトラウマになっていたから……… 始終 烈に寄り添い、烈に何かあったら自分が代わりになる気でいた そんな相賀の心配はよそに、無事に難なく連日メディアの仕事を受けていた 【世紀の挙式】とまでタイトルが付く、盛大な結婚式となる テレビの取材に雑誌の取材………連日の取材に烈は疲労の末……熱を出して倒れ、久遠にドクターストップが掛けられた 烈の代打で阿賀屋蒼佑と鷹司緑翠が安曇夫妻と貴之夫妻と共にテレビに出る 鷹司は「我等は前世からの絆がある故、今世はまだ小さい宗右衛門に代わり代打で出る事になった!」とあくまで代打だと念を押し 阿賀屋も「そうそう、今世の宗右衛門はめちゃくちゃ大変だし、小さかったりするからドクターストップ掛かっちゃったので、我等が代打で来ました!」と話す テレビ局側は…………何方も表に出て来ちゃいけない御人だから、それはそれは緊張して話を聞いていた あくまで代打! 其処まで追求する事を許さなかった! 11月15日【世紀の結婚式】は行われた 婚姻の儀は明治神宮で行われた 厳正にて静粛な婚姻の儀は、行われた 和装に身を包む花嫁は、テレビクルー達も見惚れる程に美しく、皆躍起になり花嫁を撮影していた また花婿も和装が良く似合い、誠しやかに進められる婚姻の儀に、テレビを見ている結婚を控えている者達は和装も良いな!と思わせた事間違いなしだった 宗右衛門は婚姻の儀の見届人の一人として、式に参列した 烈は【R&R】の時に映る顔とは違い、静粛な場に相応しい威厳と貫禄を兼ね備えていた 安曇勝也はずっと泣いて、登紀子はそんな夫を労る妻として映し出されていた そして始まる披露宴 今の時代に鳴りを潜めていた盛大な結婚式は帝国ホテル 鳳凰の間で行われた 帝国ホテルの鳳凰の間は1000人規模のパーティーでなくは貸し出したりはしない由緒正しい部屋だった バブルの頃はこの鳳凰の間で芸能人が挙式する事は多々とあったが、バブルが弾けて不景気になり………… コロナ禍もあり……今もそれ程大きな挙式を開ける存在はいない その鳳凰の間での挙式 それが意味する権威と象徴 それがあると意味する事だった 披露宴会場に、来賓が続々と来場して来る 政界からは派閥の枠を超えて、の出席となった 芸能界からは重鎮と呼ばれる俳優や女優 政財界からは蔵持や戸浪の姿もあった 皆 宗右衛門と御近付きになりたいが…………途轍もない力を秘めた子は脅威で………動く事すらままならなかった 烈は披露宴の最初のうちだけ顔を出し、途中でお子様の時間は終わりを告げて帰って行った 途中、三木繁雄を見付け、烈は繁雄の手を引いた 繁雄は手を引かれ下を見ると烈だったから 「どうした?烈!」と抱き上げてスリスリした 烈は三木の耳元で「少し話をしませんか?」と問い掛けた 三木は顔を引き締め………「了解した!」と言い烈を下ろした 烈は披露宴会場の近くの旅館の離れを貸し切り、披露宴か終わった鷹司や阿賀屋達と神野達と共に盛り上がる気で借りたのだった 烈は離れの一番静かな部屋に入り、ソファーに座った 三木も烈の正面に座った 「貴方さ、どんな子育てしたら、あんなロクデナシが出来上がるのかしら?」と痛烈な先制パンチを入れた 「烈………それは敦之の事か?」と尋ねた 「そうよ、ボクはね安曇貴也、貴教、そして三木敦之を地獄に落したのよ 腐った性根を叩き直すまでは出さない気でね! 貴也は変わったわ 彼は今後 安曇を捨てさせ、養子に出したら政治家として貴方の前に姿を現すでしょうね 貴教も今後大人になるまでに、ある程度叩き上げて現実を見せて教えて行くつもりなのよ! でも………敦之だけがスタートラインにすら立ててない……… 矯正出来る見込みがあるならば、地獄で過ごさせるつもりだったけど………見込みも改心もないなら………ボクではどうも出来ないわ!」 お手上げだと謂う烈の言葉に、三木は苦しげに顔を歪め 「敦之は………竜馬を馬鹿にして貶していた 三木を継ぐ次代の政治家になるのは、敦夫を継げるのは自分だと有頂天になっていた………… けど、竜馬が3年でオックスフォード大学を卒業して学位を取り、大学院まで出て心理学者としての異名も持つと、【R&R】のプロフィールを見て……… 馬鹿にしていた存在が………全く別次元で活躍して………果ては政治家になると知ると………其処から敦之は変わって行ってしまった………」 と辛い胸の内を吐露した 「あれはねお馬鹿な敦之が目にする様に智美に頼んで目に着く所へ置いて貰ったのよ 見ないならば、大々的に公表してやる気でいたのよ!りゅーまは馬鹿でも愚か者でもない 力の差を見せつけてやったのよ! そしてポキッと折れた心のまま、もっと叩き潰してやったのよ! 何故なら、そんな傲慢で武尊で愚かなヤツのままでいたら、今後の先が視えているし、そんな所で折れてたら政治家になんてなれないからよ!」 三木は言葉もなかった………… 烈は三木を黙って見ていた 三木は烈を黙って見ていた 烈は「もっと取り乱すかと思ったわ!」と言った 「俺が取り乱して敦之が矯正されるならば、取り乱すさ! でも貴方は飛鳥井康太の子であり、飛鳥井宗右衛門を名乗る御方………… 土台抵抗なんて出来ませんよ…………」 「あのままなら智ちゃんが哀れすぎるわ! せめて…………人の心位取り戻させたら、還してあげるわ!」 「いいえ、烈!政治家として筋道を立てて下さいよ!俺は康太に言われ竜馬を手離した 三木が終わってしまうならば、終わってしまえば良い…………だけど終わらないならば…… 俺のポジションの政治家は用意して下さい! それが飛鳥井家真贋の為になります!」 一縷の望みを託し言葉にする 烈は冷静に静かに三木の言葉を聞く が、康太と違って……三木は烈の駒ではない……と謂う事が大きく伸し掛かる 「飛鳥井真贋の為?何それ? 三木繁雄、母を出せば、ボクが謂う事を聞くと想ってるの?」 鋭い蒼く光る瞳が三木を冷たく射抜く 三木の背中に冷や汗が流れる………… 「……………っ………」 「例え母の為だと謂われても、ボクは飛鳥井の果てに役に立たぬのならば動く気はない! ボクは誰かの謂う事にフラフラと誘導され、謂う事を聞くなんて事は絶対にない! 総て己の目で確かめ、それが使えるかを確かめ決める! そして使えもしないクズならば斬って捨てる! それが母の為だとしても…………躊躇はしない! 総ては、果ての飛鳥井の為 家の為、1000年続く果ての為にしかボクは動きはしない! そして誰もボクにはモノは申せはしない! ボクは飛鳥井宗右衛門! 甘い存在だと想われたら、宗右衛門の名折れ! クズを育てる気はないのよ! クズはゴミ箱へ入れなきゃ! 三木繁雄、ボクをナメるな!」 低い声で言われ………三木は言葉をなくした そして何も言わず烈は部屋を出て行った 三木は言葉もなく……動けなかった……… 圧倒的な気迫、甘さなど百万光年果てに捨て去った様な厳しさしかなかった……… まだ子供なのに………… 康太よりも厳しく………礼節に則り、己を律し果てを逝く あれが飛鳥井宗右衛門なのか……… 康太を出せば……何処かで聞いて貰えるんじゃないか? そんな甘い考えを持っていた 真贋の駒の自分は、何処かで融通が利いて貰えるんじゃないか? そんな甘い考えなど即座に叩き落されん勢いで否定された 烈が出て行った後 康太が部屋に入って来た 「繁雄………飛鳥井宗右衛門と謂う御人は甘い存在じゃねぇ! 違えるならば…………母と慕うオレだとて斬れる存在なんだよ! 総ては1000年続く果てへと繋げる為に、今世は生を成された存在だ! オレだとて、宗右衛門には何も言えねぇんだよ!」 と声を掛けると三木は振り返った 「本当にな………甘くない御方だ……… でも正義の為に動かれていたから………俺の為にも少しは………と想った………」 「敦之は地獄に落とされても高慢な態度は改めないらしい……… 貴之と貴教は己を見つめ直して、叩き上げられている最中なのに、敦之だけがスタートラインにも立ててねぇんだよ! 何処かでお前が助けてくれる………そんな想いがアイツをクズにさせているんだよ! お前………どれだけアイツの尻拭いして来たんだよ それが敦之をクズにするって……解らなかったか?」 「…………康太………アイツは親父を継ぐ奴だから………そんな想いが………家族の中でアイツを特別な存在にしてしまった………と気付いた時にはもう遅かった……… 敦之が竜馬を馬鹿にして、落伍者の様に言い出し始めた時、注意はしていたが………エスカレートして行ったんだ 敦之は自分は選ばれた人間なのだから、敦夫を継げるのは長男の竜馬ではなく、自分なのだから! と謂う特別な存在をアピールし始め……… 家族の中で君臨し始めた 智美をまるで召使いの様に使い始め…………智美は精神的に追い詰められ入院したよ そんな頃………竜馬のプロフィールを目にして…… 落伍者だと想っていた竜馬が、着実に実力をつけ威風堂々とした姿で【R&R】のサブとしてインタビューを受けている姿を見て以来………荒れ始めたんだよ……… 其れからは手がつけられなくなり………今後の事を考えねば……と想っていた矢先に警察に補導され…… 警察に出向き身柄を引き取ろうとしていた矢先に、唐沢から連絡があった 敦之は今後は宗右衛門が引き取られ、根性叩き直されるそうだから、鑑別所に行った気でお前等は騒いだりする事なく受け止めろ! と警告を貰った……… 俺は何処かで……宗右衛門に預けておけば、康太が取り計らってくれ、良い方向へ進むだろう…… と、心の何処かで思い込み………楽になろうとしていた………… だから宗右衛門相手に………お前を引き合いに出して………何とかしてくれと頼んだ 答えは…………想像を超える厳しい一撃だった……」 三木の声は疲れ果て………その苦労を垣間見る 「繁雄……」 康太はなんと言って良いか?解らなかった が、三木は此処までスッパリ斬られて尻を蹴り飛ばされスッキリしていた 「何か………吹っ切れたよ康太 智美も少し前に烈と逢ってたらしくてな、吹っ切れた顔をしていた 此処まで未練や情や一縷の望みまでも、スッキリ斬られたら、逆に吹っ切れるんだな……… 俺は愚かな父だった……… だが今後は愚かなままではいたくはない! 康太、頼みがあるんだ………聞いてくれないか……」 「聞ける事なれば聞いてやる!」 「俺と智美の想いを綴ろうと想う 総て出し切り………印籠と謂う事でアイツへ贈る それを宗右衛門に託すから届けて貰える様に頼めねぇか?」 「文ならば………オレが届けてやっても良い……」 「それだと………俺等の情が断ち切れない 宗右衛門へ託す事で……我ら夫婦は我が子へ向き直りやり直す事にする! それには…………一切の情を断ち切らねばならない そうしなければ………スタートラインに立てない 俺等夫婦も敦之も…………時を同じくしてスタートラインに立てなければ意味が無い………」 「了解した!必ずや宗右衛門へ渡す! だからお前達はお前達の想いを込めて断ち切ってやれ!」 そして…………其処から始めて行けば良い……… 康太はそう思った そして康太は「湿っぽい話は此処までだ! 今日は婚姻の後の慰労会だぜ! 飲み尽くして祝わねぇとな! でもお前、出遅れてるから残ってるか解らねぇから………」と焚き付けた 三木は「あ~呑兵衛ばかり集めやがったんだろ! ならばさっさと行くぞ!康太!」と言いスッキリとした顔で笑って言う 康太は流石 宗右衛門マジックと思った 彼処で甘やかす事こそが、三木のスタートの邪魔をすると詠んで厳しく突き放したのか……と視る ったく………お前は優しい奴だよ! 康太は三木と共に宴会場に戻った 宴会場は呑兵衛の吹き溜まりになっていた 神威は既に酔って酒瓶抱えて上機嫌で笑っていた 烈は宗右衛門の着物を脱ぎ捨て、桜林のジャージを着ていた 「あ~もぉ~疲れるのよね………」と連日の取材合戦に駆り出され顔を出していたりしたから疲れ果てていた 戸浪と蔵持は烈と楽しく話をしながら飲んでいた 「ぜんちゃん、また せいぞーじぃさんとお茶しようね!」 「はい!また誘って下さい! 和華子も楽しみにしてます!」 蔵持が謂うと戸浪は「和華子さんとは?誰ですか?」と問い掛けた 「ぜんちゃんの奥さんよ! 物凄い美人さんでね、元市長の姪なのよ!」 戸浪は「今度合わせて下さい!」と謂う 蔵持は「はい!烈がくれた私の幸せなんです! 是非とも、戸浪さんにも合わせられたら、と思っていました!」と謂う その物腰は昔と比べるとかなり柔らかい 地獄を見た蔵持だからこそ、今の幸せ、今の遣り甲斐を噛み締めて、ゆっくりだが着実に歩を進めているのだった 仲良く烈と飲んでると鷹司と阿賀屋が乱入してくる! 阿賀屋は「烈ぅ〜、この前 ぜんちゃんにおごって貰っちゃったぜ!和華ちゃんとも楽しい時間を送ったんだぜ!」と報告 戸浪は「この方は?」とまだ顔見せしてなかったから問い掛けた 「この方はね阿賀屋蒼佑を継いだ方なのよ 前世からの腐れ縁なのよ!」と紹介した 戸浪は阿賀屋に「戸浪海里です!以後お見知りおきを!」と自己紹介した 阿賀屋は「あ!烈の御学友のパパさんだ!海里って呼んで良いか?俺は阿賀屋蒼佑を継いだ者 真名は一等親と前世からの友人しか知らない 故に蒼佑と呼んで下され!」と謂う スッカリ意気投合していると鷹司が割り込んで来る 鷹司は「ぜんちゃん、旬の鰤の鍋作るからご夫妻で来てくれ!そして怪しい荷物は我にご相談あれ!」と言う 蔵持は笑って「獅童君の所の鍋は絶品だから和華子も楽しみにしてるんだよ!」と嬉しそうに言う 鷹司は戸浪を見て「若旦那ですね!霊障、祟り、何でもご用命下さい!鷹司緑翠に御座います!」と自己紹介した 烈は「鷹司はね政治屋や経済界の帝王学を叩き込む教室を副業でやってるのよ! そのうち煌星と海も通わないとならないから、顔見世出来て良かったわね!」とニコニコして言う 鷹司は烈の耳元で「敦之、どうなった?」と問い掛けた 「…………あれは厳しいわね………でもまだ中学生なら矯正は効く年だし気長に長期戦よ!」 「そうか……天賦の才は誰にも負けねぇ才覚なのにな…… 天は二物は与えねぇが天賦の才は与えられたモノの特許みてぇなモノだからな! 高名な政治屋のDNAを受け継ぐってのは、誰にも受け継がれる訳じゃないからな 当然、怨霊と化した安曇聡太郎のDNAを受け継いだ貴也と、安曇勝也のDNAを受け継いだ貴教も、天賦の才を秘めてるからな、教え甲斐がある奴だと今から期待してるんだよ!」 「貴也は近い内に獅童預かりになるかもね!」 「おっ!それは楽しみだ!」 鷹司が謂うと阿賀屋が「その前に【R&R】のXmasイベントだろ? ドーム押さえてやろうか?」と簡単に言う 「それって東京が付く方のドーム?」 「当たり前じゃねぇかよ! ドーム全部を使いイベントやりたくねぇか?」 そう言われ烈は瞳を輝かせ「やりたい!」と言った 「なら押さえてやるよ! お前が言い出すと思ってXmasイブの24日 抑えてやってたぜ!」 「有り難う蒼佑!」 烈が謂うと阿賀屋は「まずは乾杯だな!宗右衛門は小さいからな、俺等が祝杯はあげてやる!」と謂う 鷹司も「そうじゃな、お前は飲めねぇから儂等が飲みまくり、祝杯上げてやる事にしよう!」と何度も乾杯をする 神威も酒瓶で乾杯すると、何故か毘沙門天も混ざってて乾杯していた 飛鳥井の家族や榊原の家族も楽しげに飲んでいた レイが烈の傍に来ると「やっちゅける?」と聞く 烈は笑って「それしなくて良いのよ!それよりレイたん、ぜんちゃんも若旦にゃもいるわよ!」と謂うとレイは蔵持に抱き着いた 蔵持は嬉しそうにレイを膝の上に抱き上げていた 康太がやって来るとレイは少しだけキツい目をして康太を見た 烈がそんなレイの口にカニパンを押し込んだ 「母しゃん、やっと問題一つ片付いたわ! でね、怨霊を無限地獄に落とす日、母しゃん力を貸してくれませんか?」と謂う 康太は笑って「良いぜ!元はオレの見過ごした罪だしな!」と謂う 「それは違うわ!母しゃん 総ては人間の欲の果ての出来事よ! そんな果ての事までは、母しゃんの預かり知らずな事なのよ!」と謂う 康太は烈の思いを受け取り 「しかし………あんなに育った怨霊は目にした事がねぇよな……… 京の都に出た怨霊より大きくねぇか?」 「京の都に出た怨霊が、もっと美味しいの食べまくって太っちゃった、そんな感じね!」 「相当うめぇのあったんだな!」 と話してると鷹司が「おい!太ったレベルじゃねぇだろうが!」と怒った 「とうとう兄者は錫杖突き刺して、壊したんだからな! あの錫杖は術者が10年かけて作ったヤツなんだぞ!そんなに簡単に直らねぇんだぞ!」とボヤいた レイは「ちゃくじょーってにゃに?」と問い掛けた 阿賀屋はそれはそれは詳しく携帯を取り出して教えてやった 「ちょ!辞めろ!蒼佑!!」 と康太は慌てた が、レイは「あ~ちょれね、びしゃのあるにょね!」と謂う 毘沙門天は「あ~!俺の錫杖は辞めてくれ!あれは菩薩に下賜された大切な宝だから! 壊したりなんかしたら………半殺しの目に遭う!!」と止めた 何ってのを教えるんだ!!と毘沙門天は阿賀屋を睨み付けた 「遥か昔から、おめぇは余計な事ばかりする!」 「毘沙の癖にちぃせぇんだよ!」と笑い飛ばす 烈は「名は出しちゃ駄目よ!それは企業秘密なのよ!」と毘沙門天に言う 「出さねぇけどさ、遥か昔から見てる顔なんだよな………」 「男前だから良いじゃない!」 「いやいや俺の方が男前だ!」 毘沙門天が謂うと、神威が毘沙門天の首根っこ捕まえて「男前なのは儂じゃ!」と謂う 康太は酔っ払いを横目に見て 「んとに呑兵衛はどうしよもねぇよな!」とボヤく 烈は笑っていた レイは「ちゃくじょー!」と思考を巡らしていた 「あ!じじょーぼちゃちゅのあった!」 と叫ぶとレイは呪文を唱え始めた 康太は「あちゃー!本当に地蔵菩薩から錫杖奪いやがる気だ!」と嘆いた 烈は「地蔵菩薩は法輪とワンセットだから、泣いてもらっちゃう?」と謂う 「………仕方ねぇか、地蔵菩薩にはまた新しいの作らせれば良いか!」と納得 毘沙門天は「地蔵菩薩とかは釈迦とか弥勒の領域なんじゃ…………」と空恐ろしく謂う 「まぁ人の世のピンチだから仕方ないわよね!母しゃん!」 「だな、仕方ねぇわな! まぁ文句言いたいなら閻魔の方へ! って言ってやれば良いさ!」 康太と烈が話していると弥勒が姿を現し 「文句など申す気はない! ほれ、地蔵菩薩の錫杖だ!」と言い鷹司に錫杖を渡した 鷹司がそれを受け取ると、弥勒は烈見て 「少し話がしたい……」と言った 「良いわよ!ボクも話がしたかったから!」と謂うと立ち上がった 康太も立ち上がろうとすると、弥勒は「お前は来なくて良い!」と言った 康太は「それは出来ねぇよな?伊織!」と謂うと、榊原が烈を抱き上げ警戒していた 弥勒は「………俺は烈に危害を加える気はない! 盟友の孫に………何か出来る訳ねぇの知ってて警戒するなよ!」と謂う 康太は「まぁ何だ、オレ等は何も言わねぇ! でも烈はオレの子だからな、欠かせぬ存在を護らねぇとならねぇかんな! 壁になっててやるから話をしろよ!」と謂う 一歩も引かない姿勢に、弥勒は諦めて 「ならば話を!」と言った 榊原は烈を下ろすと、4人は宴会の部屋を出て行った 神威はそれを見送り………即座に動いた 三木と話をした部屋を崑崙山と繋ぎ、烈の屋敷の中で話をする そして結界を張る そこまでしてやっと烈は 「さぁ話をしましょうか!」と言った 弥勒は「アレはもう…………親父じゃねぇのか?」と問い掛けた 「基本は海坊主の魂で、本人よ! 弥勒院厳正は………元妻だった女が闇堕ちした時に………漬け込まれ手下の様な存在になった それを隠し源右衛門が逝くまでは………何とか己を保った が、源右衛門が黄泉の旅路に出て眠りに着いた後は……ワンセット転生の海坊主も眠らねばならなかったのに………老衰するまでは手下として炎帝の邪魔をしていた そして黄泉の旅路に出た後は……杜撰な管理だった魂の管理庁から、魂を奪還された 美濃部の一族を調べてて解った事は、美濃部は菅原道真の子と美濃部郷の長の娘が、契り子を成した一族の最後の末裔………甲賀五十三家を継ぐ血を引く者の末裔として………ボクの暗殺を視野に入れ動き出した! そんな事は弥勒も調べてるわよね?」 的確な真実に…………弥勒は言葉もなく…………黙って頷いた 「で、海坊主の後を追う為にボクの邪魔をして追えたのかしら?」 「邪魔が入り………気配も消えた……以来……消息も掴めねぇ!」 「貴方は母しゃんと懇意にしているかも知らない存在だけど、ボクはそれで許せる程甘くはないわよ!ボクの邪魔をするならば………幾ら素戔嗚尊の盟友だとて………容赦をする気はないから!」 吐き捨てる様に謂う すると崑崙山の烈の屋敷にいつの間にか来てたのか? 「それは百も承知をしているであろうて!なぁ聖王!」と言い素戔嗚尊が姿を現した 烈は知っていたのか?知らん顔をしていた 康太は「孫が気になって出て来たのかよ?」と問い掛けた 素戔嗚尊は「我が孫は時として容赦のない鬼になるならのぉ〜! 倅が『親父殿、友が気になるならば行った方が良いぞ!儂は止めんぞ!倅は………んとに素直じゃねぇからな!儂の謂う事なんか聞くかよ!』と呼びに来たのじゃよ! だから姉上に送って戴いたのじゃよ!」と謂う 康太は爆笑した 「叔父貴が来たなら、オレはもう関与しねぇよ! オレは母者関係には一切口は出さねぇと決めているかんな!」と言い、榊原と共に宴会場へ戻って行った 烈は「貴方さ、手を下せないならば、黙って指を咥えて見てなさいよ!」と吐き捨てた 弥勒は烈を真っ直ぐに見て 「親父殿は俺が止めて………トドメを刺す! だから聖神こそ、黙って見てやがれ!」と宣言した 「良いわよ、黙って見ててあげる! でもトドメを刺す時は閻魔大魔王の前にしてね!」 喧嘩を売ったのに…………烈の意外な言葉に弥勒はえっ??となった 「既に閻魔大魔王とは話が付いてるのよ! 海坊主の来世の源右衛門とのワンセット転生は………残念だけどないわ ならば好いた女のいる場へ送る………そして来世は夫婦になれる様に計らい転生させる気なのよ もう既に飛鳥井の轍からは斬った存在だけど、そのまま消したら弥勒院厳正が何の為に闇堕ちしたか……解らぬから………取り計らいはされているのよ!だからカタを取るなら、キッチリ閻魔大魔王の前でね! 見届人として建御雷神、素戔嗚尊がなると決まってるから、後は好きにすれば良いわ! だけど………次にボクに刃を向いたならば、瞬殺で消し去って差し上げるわ! ボクは、神を再生する事も出来るけど、消し去る事も出来る………… それだけ覚えておいて! この次はないから、次に邪魔するなれば………貴方だとて消し去ってやるから!」 弥勒は烈に深々と頭を下げた 「…………俺は父だった人に………目を向けてはいなかった………だから闇堕ちした事は知らなかった…… 教えてくれないか? 親父は………何時……闇堕ちしたのだ?」 「弥勒院厳正は妻だった女と別れた 惚れた女だが、女は家を背負って行きねばならぬ 弥勒院も源右衛門の傍からは離れは出来ない 二人は泣く泣く別れ別の人生を歩き始めた だが、厳正の妻が黄泉の旅路に渡って暫くした頃、元妻の翡翠から連絡があった 我が子を守ってくれないか? そう頼まれ………厳正は悩んた 翡翠の子は不義の果ての近親相姦の二重苦を背負っておった 翡翠と羅刹は義理と言えど親子で、羅刹は血の繋がりのある子供だと解っていて……… 夫の生前から羅刹を溺愛し、まだ精通が通らぬうちから、倅と呼ぶ子の体を舐め回し、精通した後は契ってセックスに溺れた そりゃ鬼の子を孕んで当たり前だし、羅刹は我が子に生まれて来るな!と呪いを掛けた そして生まれた子は、真っ赤な髪で角が生えていて生まれるなり喋った……鬼の子だった その子を翡翠から助けてと頼まれた時には、厳正はテスカトリポカと契り………闇堕ちした 以来、海坊主は炎帝の命を狙い続け、今はボクの命を狙い続ける様になった だから、かなり前に闇堕ちしてるのよ!」 「そんな昔からなのか……」 弥勒は言葉もなかった 「海坊主はそれだけ元妻を愛して、闇に堕ちても貫き通したかったのよ! でもボクに刃を向け始めた以上は徹底的に潰す! だから弥勒高徳、ケジメを着けなさい!」 「ケジメ?どうしたら良い? お前の謂う事は何でも聞く……それがケジメになると言うならば何でも聞く!」 「ならば未来永劫、炎帝の傍に行っちゃぁ駄目よ!」 「………っ!!!」 あまりの衝撃に弥勒は頭を抱えて蹲った 素戔嗚尊は「こらこら、烈……そんな意地悪を謂うモノではない………」と執り成した 「そう、じゃあボクと不本意だけど少しの間、覇道を結びなさい! 本当に不本意だけど、覇道を結んでれば海坊主が出た時、直ぐに来られるでしょ? まぁ貴方の場合、母しゃんとしか覇道を結びたくないかもだけど、仕方ないじゃない! 弥勒院厳正はボクとレイたんを狙ってるんだから!」 「烈………」 素戔嗚尊は困って孫の名を呼ぶ そんなに不本意、不本意謂うモノではないぞ………と言いたいけど、的確に母しゃんとしかと謂う辺り、言葉もなくなった 弥勒は「お前は素戔嗚尊の孫で、魔界の為に尽力している存在! そんなお前を俺は蔑ろにした事は一度たりとてないぞ!お前を避けた事も、守らなかった事もない!傍にいれば必ずや護る! だから不本意だけどなんて言わないでくれ…………」と情けなく訴える 「弥勒………酷な事をさせるわ! 此れより先は倍速でボクは進むから、確実に近い内に………貴方に辛い事をさせないといけなくなるわ………だから、貴方は関わらなくても良いと想うのよ……… 総てはじぃさんとたけちゃんと、えんちゃんが取り計らってくれる様に話は着いてるからね」 「それでも!それでも…………俺は親だった人に対して………道を外れた今、倅である自分がキッチリとカタを取るべきだと想う……… だから………俺を弾かないでくれ……… お前と覇道を結べるならば、喜んで結びたい でも康太でさえ………オレは烈の果ても覇道も追う事はない!と謂うからな……… 実際 お前を追うのは苦労した………」 「追いやすくしておいてあげるから、ケジメは着けなさい! それで話は終わりよ! さぁ弥勒、とぅしゃんと毘沙とお友達が来てるから、宴会場へ戻って飲んで騒いで来ると良いわよ!」 「あの阿賀屋って…………だよな?」 「あ、それは企業秘密でね、お願いね!」 「了解した!」 「毘沙も姿現したら駄目な存在だからね……… 何でこうもバンバン姿現しちゃうかな? んとに困った奴等ね!まぁ大歳神も豊穣の時期でも酒飲みやがって、豊穣祈願しろよ! 米不足じゃない!高いじゃない!と思うのよね!」 烈がボヤくと弥勒は爆笑した 「んとに、そうじゃな! さてと、素戔嗚、飲んだくれの世界へ行くぞ!」 弥勒はそう言い烈を抱き上げ、素戔嗚尊と共に宴会場へとやって来た 呑兵衛仲間に建御雷神も見付けると 「何でいるのよ?」と弥勒はボヤく 「見届人だからじゃない?」と烈はしれっとして謂う 弥勒は烈を下ろすと、呑兵衛の仲間入りした 康太は「お疲れさん!」と言い薄めたジュースを渡した 烈は「父しゃん 着物着てたから背中痒いのよ、かいちゃった……」と謂うと榊原は心配して烈のジャージを捲り上げた するとかさぶたが捲れ上がり血を出してて、慌てて慎一に言い救急セットを頼んだ 慎一はバッグから簡易救急セットを取り出すと榊原に渡した 榊原は烈の傷を消毒して、ガーゼを貼りテープで止めた 破滅の御剣の傷はやっとかさぶたになり、治りかけだけど、物凄く痒くて………ついついかいちゃっていた 手当てが終わると大空が烈にサラダを渡した 烈はそれを受け取り、食べ始める 戸浪は「【R&R】のイベントの協賛に名を連ねたいのですが?駄目ですか?」と近寄り問いかける 蔵持も「私も協賛に名を連ねたいのです!」と謂う 阿賀屋は「すげぇじゃんか!協賛になって貰えよ!」と謂う 「そうね、有り難うね!若旦にゃ、とぜんちゃん!」 二人は笑顔で頷いていた 時空の裂け目からクーとプーが血だらけで戻ると、榊原はウエットティシュと消毒液を取り出し、慎一に目で合図をした 慎一は頷き、プーを捕まえると消毒液をぶっ掛けウエットティシュで拭き始めた プーが「痛いやんか!我輩達はやっとの想いで還ったのにあんまりや!」と嘆いた クーも「時空の狭間に堕とされて……漆黒のヤツに狙われ消されようとしたけど…必死に戻って来たのに………」とボヤいた 康太は眉を顰め「時空の狭間に堕とされた? それ詳しく話せ!」と言った 世紀の結婚式をクーとプーは時空を護って、邪魔されない様に………守っていた 結婚式が終わり、披露宴が無事終わり安堵していると…………急に時空が裂けて………堕ちてしまった………と二人は説明した プーは「戻れん所まで堕ちたから、出口を探っていたら皇帝閻魔が来てくれて………出口に導いてくれたんやけど……外に出た瞬間、不意打ち突かれて、漆黒のヤツに切り裂かれ怪我したんや! 我輩達は皇帝閻魔を護っていたんやけど、皇帝閻魔は強いのな、逆に助けられたんや!」と説明した 榊原は「僕はクーとプーを久遠に見せます!」と謂うと康太も「ならオレも行くとする!」と謂う 二人はクーとプーを連れて宴会場を去った レイは「れちゅ、れい……ねむい…」と謂うと烈も 「ボクも限界かしら?」と言い隣の部屋に敷いてあるお布団へダイブした 兄達もその横のお布団に入り眠りに着く 北斗、和希、和真、永遠もその横で眠りに着いた 凛と椋はとうの昔にお布団に入り眠っていた 呑兵衛達は、宴会場で倒れる様に寝るだろう まだ宴会場で飲んでる弥勒は素戔嗚尊に 「烈………容赦のない所、若かりし頃のお前に良く似てるな!」と話す やはり血は争えないと痛感したと弥勒は言う 出逢った頃の素戔嗚尊は、大蛇を千切りにしたと謂われる程の腕の立つ存在だった 頑固で融通が利かなくて……駄目だと言うのに梃子でも動かない 本当に良く似た親子で孫だと、弥勒は笑った 大歳神は毘沙門天と楽しげに酒を飲んていた 彼の周りには沢山の人が集い、共に酒を飲んていた 「本当にソックリだよ、お前の倅と孫は!」と謂う 建御雷神も「誠……あの頑固さは素戔嗚と紛う事なく似てて嫌になる!」と笑う 素戔嗚尊は「烈は儂より頑固じゃ!」とボヤくが 「「一緒じゃわい!」」と謂れる 暫くして久遠を引き連れて久遠が、康太と榊原とクーとプーを連れて戻って来た ついでに義泰と志津子も横にいた 康太は「烈は?」と聞くと慎一が「子ども達は皆 寝に行きました!」と答えた お子様の起きてる時間ではないのだ 久遠は「烈、中々治らねぇからな、明日来たら検査するわ!」と言った 包帯だらけのクーとプーは頷いていた 安曇と登紀子がホテルの傍で、烈達が宴会を開いていると聞き、お礼も兼ねてやって来た 貴之と葵は大事を取ってホテルの部屋を取り、泊まっていると謂う 登紀子は「烈は?」と康太に問い掛けた 「お子様は寝る時間だろうが!」と答えた 榊原は「烈はまだ骨折も怪我も治ってませんからね………疲れたのでしょう、寝ています!」と謂う 登紀子は「阿賀屋様や三社共同事務所の計らいで、テレビ局からの放映権で挙式の費用は賄えました! 披露宴も御祝儀を沢山戴きました なので………此れを宗右衛門殿にお渡し致そうと参りました!」と言い、袱紗で包んだ分厚いモノを取り出した 康太は「それは本人に渡してくれ!オレは渡されたらネコババするかんな!」と言い受け取ろうともしなかった 康太らしくて登紀子は「ならば、そう致します!」と袱紗で包んだモノをしまった 康太は「宴会場に来たんだ、楽しく飲んで行けよ!」と謂うと、志津子と玲香と美緒が手を振って登紀子を呼んだ 登紀子は笑顔でそっちに歩いて行った 安曇は戸浪と蔵持を見つけ、その横で楽しげに飲み始めた 二人は挙式に参列していて「良い結婚式でした!」と言った 安曇は「宗右衛門が入ってくれればこそ、迎えられた日でした!」と言った 蔵持は「あの方はまだお子様故、寝に行かれましたけどね!」と謂う 戸浪も「煌星と海との同級生なんですがね…………」と偉大すぎる同級生ってのも複雑だと言う そんな日常を吹き飛ばし飲む 今までの辛さも悲しさも吹き飛ばし飲む 明日の為に飲む 宴会場は凄い笑い声が何時までも響き渡っていた 翌朝 皆 どんよりと二日酔いで、出された味噌汁を美味そうに飲み、1日の始まりを迎えていた 安曇は烈を見付けると 「この後 お時間を下さい!」と声をかけた 烈は「登紀ちゃん、お茶する?この近くに静かなカフェあるのよ!」と話す 登紀子は「では其処で、お話をしお願い致します!」と謂う 烈は頷いた そして朝食を食べ終えると、旅館を出て行った 代金は前日に総て支払っておいたからだ お酒は持ち込みOKだったから、規定料金以外は持ち込みと持ち寄りだった 鷹司の家と阿賀屋の家の盆暮れの戴き物を総て運び込んでくれたから、と、【R&R】のスタッフに買いに行かせたのとで、何とか大宴会は成功させた 朝には【R&R】のスタッフが片付けに来て、ゴミを片付け清掃をして、旅館に返す算段だ 其れ等を此方でやるから、かなり安く離れを借りられたのだった 阿賀屋の屋敷からも使用人を貸し出してくれると謂うから、それでテキパキ片付けてくれるだろう カフェには阿賀屋と鷹司もやって来ていた 登紀子は「挙式も大成功致しました! 挙式 披露宴はテレビ局の放映権と御祝儀でお釣りが出る程でした なので宗右衛門殿にはお礼を、と思いました!」と言い袱紗で包んだ分厚い包を取り出した 烈は「要らないわよ!ならそれ、鷹司に渡してよ!此れより貴之は鷹司の教室でお世話になるんだし!」と謂う 鷹司は「…………儂も要らん!教室に入る時、その分の費用を払われよ! ならば、それは、今回の功労者である阿賀屋へ渡されてはどうだ?」と謂う 阿賀屋は「冗談、そんなの渡す暇にさ、美味しいの食べさせてよ! 料亭の料理とかは飽きてるから、地味だけど美味しいを所望する!」と謂う 烈は「あ、慎一きゅんと父しゃんの作ってくれるスィートポテトが美味しいのよ! おイモ食べたいなら、お金払うのよ!」と謂う 阿賀屋は現金は持たない派だから 「登紀子、その中から二万円だけ俺にくれ! それで安納芋を箱買いしてやる!」と謂う 登紀子は袱紗に包んだのを渡すが、阿賀屋は「二万円で良い!」と謂うからお財布から二万円だけ取り出し渡した 阿賀屋はニッコリと笑って「有り難う!」と言った その笑顔を見て………周りにいた女がバタバタ倒れた 烈は「このクソ女たらしが!」とボヤいた 阿賀屋は「このクソ人誑しが!」と反撃する 鷹司は「どうでもええが、本当に地蔵菩薩の錫杖貰ってええのか?まぁ兄は喜ぶけどな………」 と不安そうに錫杖をジャラッと言わせる 烈は「弥勒が良いって言うんだから、貰っておけば良いのよ! 法輪とワンセットだから効力あるわよ!それ!」と謂う 「それって本物の地蔵菩薩が持ってるヤツだったりする?」 「まぁ本物でしょうね、それは蒼佑が一番良く知ってるでしょ?」 「まぁな、アイツが渡すヤツならば、そりゃ本物しかないよな……」 「まぁ有り難く貰っときなよ!」 鷹司は頷いた 登紀子は「ならばこのお金は取っておいて、鷹司さんの所へ学びに行く時にお渡しすると謂う事で宜しいですか?」と問い質した 「そうね、登紀ちゃんと勝也も、近い内に父しゃんと慎一きゅんが作るスィートポテトを食べに来ると良いのよ!」と謂う 阿賀屋は「俺は芋を箱買いするぜ!慎一に見て貰いたいからラインしとかねぇとな!」と謂う 安曇は「それは楽しみだね!」と笑う ニコニコと夫婦は優しい笑みを浮かべ、落ち着いた風だった 「じゃ、ボク、せんせーに消毒して貰わなきゃだし、会社にも顔出すから行くわね!」 と言いながらケントにラインを入れる 暫くするとケントから『店の前に停まってます!』とラインが入り、烈は立ち上がった 鷹司と阿賀屋も立ち上がり「「乗せてけよ!烈!」」と謂うから一緒に店を出て行った 烈がケントの車に乗り込むと、阿賀屋と鷹司も乗り込んだ 鷹司は「儂は霞ヶ浦に頼む!」と謂うと 阿賀屋も「なら俺も其処で良い、屋敷のヤツに呼びに越させるから!」と謂う 烈は「なら先に霞ヶ浦へ行って、その後せんせーの所へお願いね!」と謂う ケントは先に霞ヶ浦の元安曇邸近くまで乗せて行くと、二人を降ろし そして横浜に戻り、飛鳥井記念病院に向かう 烈を病院の前で下ろすと、ケントは「待ってるので終わったら声かけて下さい!」と言った 烈は病院の中へ入ると受付をして、診察を受けた 久遠は烈が来ると、検査を入れて徹底的に調べる事にした 久遠は、烈が飛鳥井の家に帰ったと聞いた時から、慎一に頼み烈の毎朝の体温を取らせていたのだ その体温は37℃超えだったから、化膿した傷か、骨折した骨が上手く着いてないのか? 等など色々な事を視野に入れて検査をした 化膿している傷の組織検査、血液検査等を始め、 レントゲンを撮り骨の具合を見る 久遠は「ずっと熱出てたよな?また力使っていたのか?」と問い掛けた 「力を使うと謂うより、多忙過ぎて………寝不足とガス欠で倒れるを繰り返していたのよ………」 「俺の所へ来た時にそれ言ってなかったよな?」 「…………言うと動くの制限されると………思ったのよ 実際……ドクターストップ掛かったし………」 「そりゃ掛けるだろうが! 患者が日々弱って行くんだからな!」 「テレビに出て、その合間に雑誌の取材入っていたからね………気が抜けなくて………疲れたのよ そして行方不明者の星も暇を見つけて探って詠んでいたからね、疲れちゃったのよ あ、そうだ!今回限界きてるのは、トラウマが刺激された相賀もなのよ! 連日弱っていたから、検査入れて調べてね!」 「おう!柘植に言い相賀連れて越させて検査するとするわ! それより世紀の挙式だっけ? お前それに関わっていたんだな!」と今更ながらに呟く 「まぁ口を挟んだ関係上見届けなきゃならなくなったのよ ボクが表に立つ時、真贋は出ない!と謂うルールだからね………ボクがやるしかなかったのよ」 「少し、休まれよ!」 「そうしたいけど………来週には少し留守にするのよ!」と謂う 「忙し過ぎないか?」 「まぁね、でも12月はイベントあるから、それまでに総て片付けておきたいのよ!」 「ならば、それまでに体調を整えられよ!」 「了解なのよ! せんせー、何かスッキリした顔してるわね!」 「あ~、一生と慎一の壮絶な話に………俺はまだ幸せなだと思えた 実際………母親との幸せな時間があった………と思えたんだよ そして今は………両親も揃っている現状を受け止めて、親孝行しよかなって思っている それと………家族として暮らすならば………やはり我が子には父として接しようと心に決めた もし…………お前が俺に戻してくれたならば……その時は親子の時を刻もうと思っている!」 「まだ少し戻れないわね 良い子の仮面を剥ぎ取り、己を自覚させてる最中だから! 良い子の仮面つけたヤツが、弁護士と医者とか………冗談じゃないからね! 鋼は熱いうちに叩いて叩いて鍛え上げるから斬れ味が増すのよ! まぁ其の内、面会位なら許してやるわ! でもまだ駄目ね、己が不幸な子供だと不幸に酔ってる内は、合わすのも無理ね!」 久遠はそれを聞き………静かに胸の内を吐露する様に……… 「俺は…………あの人の幸せを祈ってる………そうお伝え下さい!」と言葉にした 「あの人も貴方の幸せと……あの子達の幸せを願ってます!と言ってたわ!」 久遠は驚いた顔で烈を見た 「じゃ、ボクは帰るわね!」 「あまり無茶するなよ!」 烈は頷き、久遠にを背を向け歩いて行った 烈はケントに連絡を入れると、ケントは病院の前に車を着けた 烈はケントの車に乗り込むと 「会社へお願いね!」と謂う ケントは会社へ車を走らせた

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