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第8話 世紀の挙式 ❷

烈は会社に行くと宗右衛門の部屋のある6階へ向かった 宗右衛門の仕事は今、総てストップを掛けていた 今は唐沢から依頼された行方不明者の星を詠み、生死を詠み、大仏との関係を詠む それをPCを駆使して詠んで行く 暫くして宗右衛門の部屋がノックされたが、烈はそれさえも気付かずに夢中に星詠みをしていた キリがついて一息付くと、ソファーに父と母が座っていて、烈は驚いていた 康太は「めちゃくそ根詰めてましたがな!」と謂う 烈は唐沢からの行方不明者のリストを手渡した 康太はそのリストを手渡し貰い、パラパラと視た 「あれ?………この女………この前行方不明者の特番で家族が出て泣きながら帰って来て!と訴えてた子やんか!」と謂う 烈は驚いて母の開いているリストを視た 烈は即座にそのリストを写メして暦也にラインで 「唐ちゃん、この人の家族が行方不明者の捜索の特番で出てたらしいのよ………本当なの?」と書いて送信した 榊原も「母親が余命幾ばくもない状態の中、娘に帰って来て欲しい……娘の顔を見て死にたい……と訴えていた親子ですね……」と謂う 康太は「おー!それ!!」と謂う 烈は唐沢にもその事を書いてリストの写メを付け 「行方不明者の捜索特番に出て、情報提供を呼び掛けていたらしいのよ! 裏がないか?調べて欲しいのよ! 母親の余命が幾ばくもない………ってのも本当なのか?調べてね」と書いて送信した 「テレビに出てもロクな情報なんて出て来ないわよ……… 大仏の妻って謂う女が切れ者でね 女関係は総て取り仕切って詐欺まがいの売春やらせていたのよ 逃げ出したくても………大仏とのセックス動画撮られて……脅して身動き取れなくして、女は金持ちの男に売っていたのよ! 女には安い金で扱き使い、用済みになったら消されるのよ! 何処から綻びが出るか解らないからね……徹底してるのよ!」と謂う 榊原は「………強欲で世界は自分中心に回ってる………と考えてそうな女だ……吐き気がします!」と謂う 「ボクもね………素戔嗚の一族に蹴落とされ時………中にこのタイプの女もいたのよ…… 完全犯罪に酔いしれるタイプなのよね………」と吐き捨てた 康太は「辛いなら………やらなくて良いぞ!」と謂う 烈は「でもねやらないと完全犯罪立証されちゃうからね、綻びを探り瓦解させないと大仏まで届かないのよ! 多分、女を騙して吸い上げたお金、門倉の一族の事業に一部流されているらしいと、唐ちゃんから報告あったからね、使途不明金を徹底的に叩いて吐かせると、警察関係者は威信をかけているからね、政府も闇献金で辞職者出したから、全面協力の姿勢は取ってるし、流れに乗らなきゃ……総ては闇の中になっちゃうのよ!」と謂う 康太は「…………でもお前ずっと熱があるんだろ? 慎一が熱が下がらないって言ってた」と問い掛けた 「あれは連日連夜、テレビに出たり、取材に時間を取られたりして、引っ切り無しにアポがあり受けてたら………ご飯食べる暇もなくてね………だから少し体調崩したのよ……」 「その結婚式終わったのに、まだ熱が下がらないって慎一が言ってたぜ! 何してるんだ?さぁ吐きやがれ!」 有無を言わせぬ圧倒的な迫力に烈は諦めて話す 「魔界へ毎夜行ってるのよ………」 「え?魔界へ行って何してるのよ?」 「婚姻の儀の取り仕切りをやってるのよ 粗相のない様に礼節に則って、魔界で初めての外部の嫁を娶うって事で上へ下への大騒ぎなのよ」 「オレ、それ、知らなーずなんだけど? 誰が外部の嫁を娶うのよ?」 「黒ちゃんが地獄界 龍族長 龍王様の娘御 紅花(ホンファ)様を嫁に娶うのよ! そして二人は鳳凰の両親となるのよ!」 「紅花(ホンファ)って………ひょっとして飛龍なのか?」 「そうよ、それで魔界の鳳凰問題にもケリがつくわ! そして黒龍は紅花を一目見て恋に堕ちた 紅花も黒龍を一目見て恋に堕ちたのよ 二人はもう互いから離れられない運命で結ばれたのよ!」 「それって何時頃話に上がっていたのよ?」 「黒ちゃんの鱗艶が最盛期になった頃、そうね黒ちゃんが龍族の長になった時に運命が変わったのよ! 今は龍として一番輝ける年齢に突入したのよ! 鱗艶もより漆黒になったからね、焦ったわ 鱗艶に翳りが出たらOUTとなるからね、でも黒ちゃんは頑張って鱗艶を磨き続けてくれたのよ! だから満を持しての最大の婚姻の儀が開かれるのよ!」 だから烈は忙しく熱を出してまで頑張っていたのかと理解した 烈は「勿論、母しゃん達が魔界へ還ったならば、ボクはその時も頑張って婚姻の儀の取り仕切りをするわよ! 礼節に則って盛大な婚姻の儀を開くと約束するわ!」と笑顔で言う 榊原は「それは嬉しいです!」と笑顔で言う 「あ、そうだ、青龍の衣装変えようと思ってるのよ!無論、龍族の婚姻の儀の衣装もね! 黒ちゃんの婚姻の儀を見れば解ると想うけど、龍族の衣装はより本人に似合い、尚且つ躍動的に動けないとならないからね 個人個人でデザインして作らせているから! もう過去に婚姻の儀を挙げた頃のカビた衣装は、あまちゃんちや、ボクの部屋のオブジェになってるかしら?」 康太は烈の思いが嬉しくて笑って 「え!青龍の婚姻の儀の衣装が母者の家やお前んちのオブジェになってるのかよ?」と言う 「そーなのよ!何かに使えないか?と思っていたらね、九曜ちゃんが来て『儂がええオブジェにしてやるわい!」と言ってくれたのよ!」 「お前……最近 九曜神と仲良いな……」 「女神像の時、頑固で嫌だと言う九曜神と賭けして勝ったのよ! それ以来、お前には勝てる気がしねぇ…… 倅の匂いプンプンさせて来やがって!と怒ってたのよ 九曜ちゃんの倅って誰なの?ボク知ってる人かしら?」 「お前、詠めねぇの?」 「九曜ちゃんは素直じゃないから…………簡単には詠ませてはくれないのよね それでも深く探ろうとするなら………ボクの寿命削る事になるのよ この年で……御愁傷様は嫌だから深詠みもしないわよ だから倅、と言われても………サッパリなのよ」 「九曜は神野の父親だよ! 隼人の父親でもある………」 烈は驚いた顔をして「嘘!似てないわよ!養子?」とか言った 「養子じゃねぇよ!実の父親なんだよ! 神野も隼人も母親似だからな!」 「え〜知らなかったわ! なら あきましゃ………あんな頑固親父になる可能性もあるのね…………」 と言い烈は身震いした 九曜………お前さ、どんだけ烈の前で頑固親父やったのよ?と思った 神野が頑固親父…………それは土台無理な話だと想う 「晟雅は頑固親父にはならねぇだろ? お前の頼みなら地球の裏側だって行ってくれるだろうさ!」 「そうなんだけどね………何故か……あきましゃは親と謂う存在を恨んでるのよね…… どうしてかは?どれだけ占っても出て来なかったのよ………そっか、あの頑固親父に苦しめられた事があるからなのね………」 と烈は納得した そんな簡単な話じゃない事は烈も承知しているだろうが………人の過去、人の古傷を抉る様なモノなだから流しておく 榊原は「黒龍の婚姻の儀は何時執り行われるのですか?」と問い掛けた 「そろそろ、えんちゃんが来て正式に御招待の儀をやってくれるわよ!」 「そうですか、ならば今夜あたりですかね? 烈が言うならば、今夜狙ってくると視た方が賢明ですね!」 と榊原は言う その横で康太も頷いていた 最近の烈と閻魔のコンビは空恐ろしい最強なのをカマしてくれるから…………用心しておかねば!と想う 康太は「そうか、黒龍の運命が変わって…………愛する人を見つけてくれならば……オレは最高に嬉しい!」と涙を浮かべて言う 「長になって黒ちゃんは色々と吹っ切れたからね そして今後は龍族の為、魔界の為、そして自分の為に生きると決めたのよ! もうお人好しの黒龍じゃないからね、押せば何でも聞くとか思ってる奴等は手痛い竹箆返し食らったわよ!」 榊原も兄を思い「そうですね、兄は変わりましたね!で、烈、その鱗艶ってのは何ですか?」と問い掛けた 「父しゃんはね魔界へ還ってから1000年は鱗に艶が出て脂が乗った年齢になるのよ! そんな時の龍はね鱗の艶も良くなって、人の世の男で言えば働き盛りの年齢位だから、一番フェロモンが出て男前度が上がるのよ! 黒ちゃんの鱗は漆黒度が増して、艶もでるから鱗艶とボクは詠んでるのよ! 父しゃんは最近、蒼が増して鱗艶も増して男前度が上がってるのよね やはり母しゃんの愛が増してるのよね あ、そうそう、金ちゃんね、あの年だけど妻への愛に鱗艶が増してて、拝みたい程、床の間に来て欲しい程に艶々なのよね やっぱ愛は老いに勝る活性剤なのよね 眼が痛いのよね…………」 康太は驚いていた 榊原は「そんなに父は良い鱗艶してるのですか? クソじじぃなのに?」と問い掛けた 「金ちゃんは変わったわよ そして心が広く寛容になり穏やかになった ただね、笑うとね目尻にシワが出来て、幸せシワが出来ちゃったけど、頑張ってくれてるの だから父しゃんが見たらきっと、え?艶々ですがな!となるわよ!」 「ならば今夜、会いに行きます! そして鱗艶見て来ます! 負けてられませんからね! 僕は妻の為に、誰よりも艶々でいたいのです!」 烈は笑って頷いていた 康太は「ありがとうな!」と呟いた 烈は聞かなかった事にして 「と謂う事でボク達来週はお休みなのよ ボクは明日からお留守になるわね!」 「ならオレ等も明日からお留守になろうぜ!」 康太が謂うと榊原は「それは良いですね!兄の婚姻なれば手伝い盛大に行わねばなりませんからね しかし………龍王………娘を手放しましたね……… 門外不出と言われたお子なのでは? 僕は其処まで地獄界には詳しくはありませんが、それでも地獄界の龍王が娘の話ならば聞いた事はあります!」と話した 「羅刹天と元始天尊が頑張って説き伏せてくれたのよ! だからこそ、お見合いの場をセッティング出来たのよ! あの二人がいなくば、紅花と知り合う事すら出来なかったわ!」 それを聞き、榊原は素朴な疑問を投げ掛けた 「兄は………政略結婚するんじゃありませんよね?」 「違うわよ、愛のない婚姻だと、絶対に鳳凰は生まれないわよ! 二人は目が合った瞬間、恋に堕ちたのよ! 兵頭貴史を目にした瞬間、シャルロット王女が恋に堕ちたのと同じ様に 兵頭貴史がシャルロットを目にした瞬間、恋に堕ち、今後の人生を共にしようと心に誓った様に、黒龍も紅花を目にした瞬間、恋に堕ちたのよ! 二人が興味を示さないなら、この縁談はご破産で良い!そう言う約束だった だけど黒龍が長になった時に運気は変わったのよ 共に龍族を導く妻の存在が視えて来たから、ならば鳳凰問題もあるし、これでほーちゃん夫妻は責められなくても良くなるのならば、って思惑もあったわ 責められ、体調を崩し寝込む程に詰られていたからね……… だからこの縁談が成功したら、鳳凰孕んでくれるから、その問題も片付く………と一挙両得狙ったのよ………まぁボクもボコボコにされて今も骨折治ってないけどね……」 榊原も言葉もなかった…… 其処まで魔界の事を想い………魔族一人一人に向き合っていたのかと……… 今更ながらに想う 会社で社員の一人一人に向き直っている宗右衛門だからこそ、魔族に向き合い真摯に考えたのだろう……… 烈は「地獄界で盛大な結婚式を挙げた後、桃源郷でも両親とのお別れの儀を行い、嫁ぐ娘に最大の見送りをし嫁がせる それを済ませた後、魔界で盛大な婚姻の儀となるのよ! 当然、龍王ご夫妻と見届人として、羅刹天と元始天尊がお越しになるから、警護は大変になるわ でも………成功させねばならないのよ! 魔界と地獄界の久々の目出度い話題だからね 大成功収めないと……この先は暗いわ……… だってもう結婚しそうなヤツいないじゃない!」 と謂う 考えて見れば、婚姻しそうな奴は四龍ではない 四神も………朱雀しか独身はいない 婚姻の儀はまだまだ先の事だろうし……… 烈は「【世紀の挙式】魔界でもやってやるのよ!」と息巻いていた 榊原は「それは頼もしいです!我等も手伝います!ついでに赤いのと司命も連れて行きましょう!人手は多い方が良いですからね!」と楽しそうに言う 康太も「おっ!そうだな!1週間留守にする!って家族には言っとこうぜ!」と乗り気だ そして「オレ等が行くんだ、体調万全にしやがれ!烈!」と言うのだ やる気の母はもう誰にも止められない 烈は「解ったわ、骨折はまだ無理だけど、体調は整えるわ!」と約束した 烈の手は、骨折して固定していたから、此れから機能回復のリハビリが入っているのだ 体調は整えて行かねば!と烈は心に決めた 康太は夕飯の時に家族に「オレと伊織と烈と一生と聡一郎は明日から1週間位留守にするから!」と告げた 一生は「え?俺?………」と聞かされてないやんか!と思った 聡一郎も、そう言う事を謂うなら事前にお知らせ…………してよね!と想っていた 烈は「ボクこのままだと手は二度と動かなくなるかもなのよ!だから母しゃんが………リハビリの旅に出てくれるのよ!そーちゃんカズ一緒に行ってね!」と謂う それが理由じゃねぇだろうな………と想いつつ一生は「当たり前やんか!お前がリハビリ頑張るなら、俺等もサポート全力でするよ!」と謂う 聡一郎も「そーです!だから義母さん達は安心して待ってて下さいね!」と言う 家族は頷き、安堵していた 烈は骨折が長引き、本当に不自由していたから、治るならば……と想っていた 康太は神髄師来るし、治して貰うとするか!と一石二鳥を狙っていた その夜 閻魔大魔王が大礼まで着けた正装で現れ 「夜分遅くにすみません! 黒龍の婚姻の儀のお知らせに来ました!」と姿を現した 康太はリビングのソファーに座り待ち構えていた その横には一生も聡一郎もいた 「オレ等も婚姻の儀は手伝うかんな!」 「僕も兄の婚姻ならば、全力で協力します!」 「兄貴の婚姻の儀なんだからな!頑張るさ!」 「黒龍の婚姻の儀なれば力仕事は司禄に頑張らせ、僕は指示を出しますって!」 と皆 好き好きに謂う 閻魔は「あれ?烈は?」と問い掛けた 一生はソファーで寝ている烈を指差して 「お子様は寝てる時間だ!まぁ何だ、俺が背負って連れてけば問題ねぇだろ!」と言う 康太は「さぁ逝こうぜ!」とやる気満々だった 閻魔は「総ての指揮は烈がしてるので、烈に聞いて下さいね!私は地獄界の方々のおもてなしをせねばならないので、料理や警護の調整で手が回りません!」と言う そりゃ寝不足で熱も出るわな……と康太は思った それでもやり通さねばならない【世紀の挙式】だった……… 一生は烈を背中に背負い、隣のビルのマンションへと向かう そして青龍の背中に乗り込むと魔界へ向かった 烈は途中で目を覚まし 父の鱗を手にして笑顔で「やはり父しゃんの鱗艶は最高ね!母しゃんの愛が募っててピカピカね!」と謂う 青龍は嬉しそうに笑うと「烈起きたのですか?父の背中で寝てて良いのですよ!」と謂う 「魔界時間に入る時間障壁超える時は、必ず気持ち悪くなるのね、だから目が醒めちゃった……」 烈の言葉に康太は「え?んなんあるの?」と問い掛けた 「時間が切り替わる境界があるのよ そこを通過すると魔界時間の始まりなのよ ボクはそこを通過する時に気持ち悪くなるのよ」 聡一郎は「知りませんでした………そんなのあるのですね」と謂う 康太は「総ての世界に時間障壁ったから、時間の流れが違う世界となるんだったな…… 遥か昔過ぎて………自分で作った事すら忘れてたわ!」とボヤいた 「母しゃんが創ったのね………どうりで破られない完璧な時間障壁だと思ったわ」 「でもな、そんな些細な違いに気付くのお前位なもんだろ?」 「そうかしら?歪むのに?」 「歪む?何だよ?それ?」 「時空を超える時、時間障壁はグニャと時空ごと歪むのよ、ボクはそれが気持ち悪くてね………」 「おい……そもそも時間障壁にそんな機能はねぇんだよ! 時空………弄られってぞ!創造神!」 康太は怒って口にした "それは誠の事なのか?だとしたら……クーとプーとルーとスーに言い付ける故、烈はそっちも魔界にいる間に調べてくれると有り難いのじゃが……” 「おい!クーとプーは知ってるけど、ルーとスーは知らねぇぞ!」 "それ極秘に警護にあたらせている者じゃ! 今回目にするであろう!” 「烈が名付け親か?」 "ネーミングセンスは主と同じであろうて” 「失礼な!」 創造神は高笑いを気配を消した 烈は「………続けて呼んじゃ駄目よ……」とバツの悪い顔をした 「留守かよ!誰が留守だったんだよ!」 「………闇龗神と高龗神、二柱合わせておかみのかみと謂うじゃない! でね最近降るなら一気で豪雨災害じゃない! 降らない時はダムが渇水する程だから、仕事してないのかしら?と二柱の所を尋ねて、少し説教しようかと大歳神連れて行ったのよ でもね二柱とも留守でね……調べたら長い間姿を見た者はいないとか……… でね何度行っても留守だったから………ボクねイライラしちゃってたのよ そんな時に来たから……ルーとスーになったのよ」と説明した 康太は「雨神か………そう言えば存在解らねぇな…… お前………何度位訪ねてるんだよ?」と問い掛けた 「もぉね数え切れない程よ! とぅしゃんも十二天に頼み定期的に訪問を頼んでるらしいけど……存在も所在も掴めないのよ」 「……それって………下手したら……」 「取り込まれてるのを視野に入れなきゃ駄目な時が来てるのよ! 倭の国の神々、八百万の神々の所在の確認をお伊勢さんの狐が始めたばかりだからね………」 「それだと……めちゃくそ時間が掛かるな! そうか………水神殺める事が出来るヤツがいたわ…… 力を取り込み………見せしめの為だけに魂だけ遺させた……… 忘れていた訳じゃねぇけど……汚い手使う奴はいた……… そうか、そんな昔からオレ等は弄ばれていたのかよ?」 「大歳神の元、倭の国の神々が集結して来てるから………それも世紀の挙式の後ね………」 「お前、修理手伝ってくれるなら、時間障壁オレが治すとするわ!」 「ならめちゃくそ目が回る1週間になるわね!」 「仕方ねぇよ、歪まされて黙っていたら男が廃る!」 「解ったわ、カズ、そーちゃん頑張りましょうね!」 一生と聡一郎はもう既に諦めの境地で「「了解!!」」と返事をした 龍の榊原は黙って感心していた 自分も少しだけ時間の壁を抜ける時、グラッと歪みを感じていたからだ……… 魔界に到着すると、魔界は異様な盛り上がりを見せていた 金龍が忙しそうに、閻魔を呼びに来る! 「おお!閻魔、警備システムを烈の指示通り発動させてある! 抜かりはないか、チェックして下され!」と言い 龍になり閻魔を乗せてけ天高く飛んで行く 榊原は「何ですか!あの輝きは!!」と言った 康太も「だな、床の間に飾れば金運アップ間違いなしだぜ!」と謂う 一生は「俺も鱗艶増させねぇと置いてかれそうだな………」とボヤいた 烈は「カズ、ボクの謂う特訓受けたら艶々になれるわよ!」と……此れを買うと運気上がりますよ!と謂う詐欺ばりの台詞を吐く 一生は「おっ!ならそれを教えてくれよ!俺も艶々になりてぇからな!」と疑う事なく謂う 「カズは既にボクが出した課題始めてるからね、大分体が出来て来ているわね! その積み重ねを地道にしてリキちゃんの愛を増したら艶は出るわよ!」 「なら紅蓮の赤目指してみるよ!」 「それ凄いわ!ならカズの上に乗って飛ぶの楽しくなるわね! カズは綺麗な赤になれるからね、艶々の赤い鱗の生え変わりは貰いたいわ! そしたら九曜ちゃんに頼みオブジェにして貰おうかしら!」 と楽しそうに話す 聡一郎は「ならそのオブジェ、僕の家にも欲しいです!素戔嗚殿の近くに建ててる新居に合うと思うんですよ!」と謂う 「そうね、その為にも鱗艶ますのよ!カズ!」 「おー!任しとけ!」 「さてと、世紀の挙式の行程表通りに、手伝って頂戴ね!」 と言い烈は閻魔の執務室へ行き、行程表を手にした 康太は行程表に書かれている「迎賓館ってなんぞよ!」と問い掛けた 「閻魔庁知ってるかしら?」 「おー!それは知ってる!あの城みたいなのがそうなんだろ?」 「あの横に白亜のお城みたいなのが見えるでしょ? あれが迎賓館と呼ばれる建物よ! 世界会議も視野に入れなきゃいけない情勢を踏まえて、他国の要人等を受け入れる事も視野に入れて、動き始めたのよ まぁ魔界は遅い程なんだけどね…… 地獄界も冥界も仙界もhellも人の世の会議の場を提供を視野に入れ、建て始めているからね 無論 魔界もね閻魔庁の建設と併用して、迎賓館の建設に踏み切ったのよ! 迎賓館の横には大規模な会議が開ける会議場も併設させたから、結婚式はその大ホール横の大聖堂で開かれる事になったのよ! 魔界もね世界会議視野に入れての実験を今回する様なモノだから、気合いの入れ方も違うのよ!」 其処まで壮大な計画を口にされ………言葉なんてなかった 其処へ司禄がやって来て 「おー!烈、来てるなら警護のチェックしてくれねぇと、黒龍が花婿のクセにやろうとするだろうが!」とボヤき、烈を引きずって連れて行ってしまった……… 「うわぁ~母しゃん、父しゃん、迎賓館まで来てね!」 と言うのがやっとで、連れて行かれる 康太は「取り敢えず、迎賓館に行くとするか!」と言った 康太は厩舎へと向かった すると………厩舎にはアル君と良く似た馬が天馬と風馬に世話を焼かれていた 康太は「おい………黄龍んちの馬生まれたのかよ?」と謂う すると「そうじゃよ、それはアル君の子じゃ!」と声がして振り向くと天照大御神が立っていた 「母者……もう名前は付いてるのかよ?」 「名は主が付けるがよい! それより早く逝かねばならぬのであろう?」 「あぁ、そうだった、ならな母者!」と慌てて天馬に乗り飛んで行く 一生は龍になり聡一郎を乗せて飛ぼうとしていると 「ほら、主等の馬じゃよ! 茶色が赤いのの馬でチョコ、黒い方が司命の馬でクロじゃ!」と謂う 聡一郎は「また腹減りの時に名を着けましたね! 二頭合わせてチョコクロじゃないですか! きっとサンマルクのチョコクロ頭に描いてましたね!」とボヤく 一生は「んじゃチョコ、お前は今日から俺の馬だ!宜しくな!」と謂うとチョコはご主人を舐めた 聡一郎は「ならばお前はクロですね、今日からは僕の馬です!」と謂う 少しだけツンとして早く乗れアピールする 一生はそれを見て「聡一郎ですがな!」と笑った 天照大御神は聡一郎の後ろに乗り込むと 「ならば行くとしようぞ!早く逝かねば青龍がピリピリするから寒くて叶わんくなるではないか!」と急かした 聡一郎は「じゃ、あまちゃん捕まってて下さいね!」と言いクロを飛ばして駆けてゆく 一生は「いい馬だな、コイツ!」と謂う 「その馬は素戔嗚の馬の子じゃよ! 素戔嗚の長年愛した愛馬は最後の出産をして………黄泉の旅路へ旅立った 素戔嗚は四頭遺して、二頭は主らにとの事じゃ! 大切に愛して育ててやってたもれ!」 聡一郎は「そんな大切な愛馬の子を………貰って良いのですか?」と問い掛けた 「大切な愛馬の子じゃから………烈の大切な【カズ】と【そーちゃん】に託すと決めたのじゃよ! どの道、魔界へ還れば馬が必要な生活になるのであろうて! 主等の馬は………名付けなかったから、とっくの昔に何処かへ行ってしまったのじゃからよいではないか!」 「ならば大切に育てます! 留守の間は司禄に頼んで置きます!」 聡一郎が謂うと一生は「なら俺は親父に頼んでおく事にするわ!」と謂う かなり空を飛んで、やっと閻魔庁へ到着した 閻魔庁の周りは何時もの様に、女神像が蒼く光り、霧雨の水を飛ばしていた 天照大御神は一生と聡一郎を連れて、閻魔庁とは反対の方へ向かう 其処は一般の者は近づく事さえ出来ない程に厳重な警戒態勢が敷かれていた 警備の者は天照大御神を見ると、直ちに槍を立ててご挨拶した 天照大御神は「此処が迎賓館の入り口じゃよ! 迎賓館はこの入り口以外は出入り出来ぬ領域となる!そして迎賓館を取り囲む柵はタングステンとダイヤを混ぜて創られた鉄壁の包囲網となる 曲がらぬし、乗り越えようモノならば串刺しになる程鋭利じゃから気をつけるがよい!」と説明する 天照大御神は迎賓館の中を案内する 「此処は政府要人1000人まで収容可能な世界会議を、視野に入れたホールじゃよ! そして裏が世界会議に参加する者の宿泊所で、その横が世紀の挙式が挙げられる大聖堂となっておる!」と説明 大聖堂の中へ入ると烈の檄が飛ぶ 「あ~、赤い絨毯は当日で良いから!」 慌てて絨毯を敷いていた者が、絨毯を片付ける テキパキ指示を出し、魔族を動かせる 誰一人、遊んでいる者はいない! 黒龍は「どうだ?」と当日の衣装の最終チェックをする! 烈は黒龍の衣装をグルーッと見てチェックする 「次は婚姻の儀の時の衣装よ!」 「え?この衣装は何なんだよ?」 「それは地獄界へ入る時の衣装よ! 次は地獄界での婚姻の儀の衣装よ!」 着替えさせる係の者は振り分けられた衣装の中から、次を出して着せる そして着ていた衣装をシワなく伸ばして、包む その繰り返しをしていた 「次は魔界での龍族の婚姻の儀の衣装よ!」 幾つか衣装のチェックをして、最終的に魔界での婚姻の儀の衣装を着る 黒龍の婚姻の儀の衣装は漆黒の王様の様な衣装で、黒龍の鱗を加工したスパンコールを散りばめ、光沢を持たせていた 烈は「ほら、グルーッと回るのよ!」と謂う 回っても、動いても着崩れせず、尚且つ漆黒の婚礼の衣装は黒龍に良く似合っていた 「良いわよ、脱いで! 次は新婚旅行の衣装よ!」 と謂うと婚姻の儀の衣装を脱がせて、綺麗に片付け、新婚旅行の衣装を着せる スーツと燕尾服をたして二で割った様な衣装は、黒龍に良く似合っていた 最終チェックを、終えると烈はその光景を見ていた母に「母しゃん、この衣装当日まで預かっておいて!」と頼む 康太は「良いぞ!オレが保管して当日渡すとする!」と約束してくれた 烈はある程度キリが付く所まで片付けると、康太に「テラスでお茶でもしない?」と言った 康太と榊原は頷き、烈と共にその場を離れた 雅龍は赤龍に耳打ちすると、頷き司命にも耳打ちした 大聖堂の螺旋階段を登って行くと、テラスがあった 烈は其処に座り母と父に水筒を渡した 「油断ならないのよ 地獄界との婚姻に表立って異議は唱えないだろうけど、あわよくば潰してやる気でいるのよ だから、ボク達が席を立つじゃない、すると場の空気も緩むし、黒龍の婚礼衣装を隠そうとするヤツも出て来るのよ!」 康太は階下を見て「だな…お前がオレに荷物を頼むなんて事はねぇからな………で、戻ったら衣装ないんだろうな………」とボヤく 「まぁ見ててよ、そんな奴の末路を! この聖堂のガラスは天界から下賜されたモノなのよ!そして、この聖域は天空神がおられる空間と同じ性質を持つのよ!」 「あぁ、だからあんなに居心地良い空間になっていたのか………」 「だから邪な奴が入り込むのは不可能なのよ! また邪な考えをした時点で………」 烈が言い掛けると『うわぁぁぁぁぁー!』と謂う叫び声が聞こえた 「即座に無限地獄に堕ちるのよ、其処から振り出しに戻りやり直す道が用意されるのよ! ボクね、消すばかりが矯正の道じゃないと気付いたのよ!」 無限地獄に堕ちてやり直しの道しかないモノになるか? 瞬殺で消されるか…… 何方も選べない道だわな………と康太は想う 何方も地獄………逝くも地獄、引いても地獄………堕とされても地獄……… まぁ此処は魔界、地獄の番人みたいなモノだけど……… 榊原は「聖域なのですか?」と問い掛けた 「そうね、天空神がおられる空間と同じだから、女神達やあまちゃんは心地よい空間じゃ! と謂うけどね、邪な心を抱く奴は、まぁ地獄かしら?」 と簡単に言う 「邪な心を抱かねばよいのです! さてと、サクサク片付けますよ! 烈は地獄界の黒龍の婚姻の儀の立会人になるとか?」 「それは怪我する前の話ね! 今回はボク行かないから! 桃源郷までの婚姻の儀の立会人は閻魔は無論だけど、素戔嗚尊 建御雷神 転輪聖王の三軆で行かれる事になるのよ! こんな骨折も治らないボクが行っても……仮に攻撃されたとしても太刀打ち出来ないからね……… まぁ骨折してなくても太刀打ちは無理だけど……」 榊原は訝しんで「それだけが理由ですか?」と問い掛けた 「ボク狙いなら婚姻の儀の邪魔にしかならない ………ってのもあるのよ 紅花様がどうしても黒龍に嫁ぎたい、離れるならば今此処で命を断つ!とまで申し上げて、婚姻を急がせ嫁がせてくれる龍王の想いを………誰にも邪魔などさせはしない!」 榊原は「ならば桃源郷からは僕と炎帝が護衛に着きましょう! 誰にも邪魔などさせはしない! 桃源郷ならば名前被りはいませんよね? またいるのでしたら、隠れてて貰いましょう!」と強気の発言をして烈の背を押してくれる 康太も「うし!黒龍の護衛は任せろ!だからサクサク時間壁直そうぜ!」と謂う 烈は「後少し待ってて、ルーとスーがクーと合流する時、プーも来てくれるから!」と謂う 康太は「ルーとスーもクーに良く似てるのか?」と問い掛けた それに答えたのはクーだった 「クーとスーは隠密活動に特化した性質を持つから、体の色は漆黒の黒と白の斑で………乳牛みたいな見た目だ!烈は最初……モーとモーモーにする気でいたんだからな!」とボヤいた 「黒白の斑?………乳牛みたいな身体してるのか? 何でまた……そんな容姿にしたのよ?」 「黒くも白くもなれるカメレオンみたいな躰してるらしいと創造神は言ってたぜ!」 「成る程、だから極秘に護衛に当たらせてる者と言ってたのかよ?」 と、康太は納得した 其処へ黒と白の斑模様の猫が時空を超えてやって来た スラッとしたフォルムは乳牛とはかけ離れていた 烈は「この黒が多めの子がルーで、白が多めの子がスーよ!」と紹介した ルーは「ルーです、此れから時間障壁の修理ですか?微力ながらお手伝いします!」と謂う スーは「まぁ面倒さかいサクサクやるで!」と投げやりな子だった 烈は「尻尾の毛抜くわよ!」と怒ると、スーは尻尾を隠して「それは嫌やわ!堪忍してや!」と謂う 「本当にプーに教育させると………こうなるのね!」とボヤく クーは「俺はルー担当だったからな!」と謂うとプーが「我輩はスーを担当したんや!」と種明かしの様に言う 「さぁサクサク直しに行くわよ! あれは簡単には直らないわよ! 婚姻の儀までには修復しないと………わんさかワケわかめの生き物が押しかけてきそうで嫌なのよ!」 「おい!烈!!そのワケわかめの生き物ってなんだよ!」 スーが「それは地球外生命体の変なヤツですわ!」と簡単に言う 「それ、知らねぇよオレは!」 「入りやすい所から侵入してしまえるんですわ! その修理を儂等が任され直していたんですわ! 無論 飛鳥井の家や会社の時空壁は直して来たのは我輩達なんやで!」と謂う 「オレ………ワケわかめの地球外生命体はパスしたいってば!」と榊原に抱き着いた それをベリッと引き剥がし 「サクサク逝くで!」と急かす 榊原は「我が家の猫は本当に自己主張強いですね!」とボヤきつつ………妻と烈と共に迎賓館の外に出た 烈は外に出る前に「カズお願いね!」と婚礼の儀の衣装を託した 一生はそれを受け取り、崑崙山の烈の屋敷へと運ぶ事にした 崑崙山の烈の屋敷は、許された者しか中へは入れなかった 一生は許されているから、自由に烈の屋敷に入れた 一生……嫌、赤龍が迎賓館を出て行きやすく、尚且つ後を追わせない様に、出口には地龍が立ち、雅龍や黄龍、金龍も警戒して一生を護る様に立っていた その横には素戔嗚尊、建御雷神……転輪聖王が立っていて………近寄るのは困難な状況を作り上げていた 一生はそんな彼らに守られ、外に出ると崑崙山の烈の家を目指して龍になり飛んで行った 時間障壁を直しに来た康太達は「大丈夫なのかよ?」と問い掛けた 烈は「大丈夫よ、じぃさん達がカズを護ってくれるだろうから!」と謂う 康太は「んとに……邪魔しようとする奴は減らねぇな………何度正しても一向に減らねぇ………んとに嫌気が差して来るぜ!」とボヤく 烈も「そうなのよ!手を変え品を変え来るからね……本当に嫌になるわ……… 腐った魔界なんて更地にしようかと………何度も思ったもの………」と本音を吐露する 榊原は「それでも君達は逝くのでしょ?ならばサクサク時間障壁を直したらどうです?」と謂う 烈は「本当に父しゃんは………」と謂うと康太も 「オレ等の事を熟知しやがって!」と謂うと 「嫌になるぜ!」「嫌になるわ!」と声を揃えた クーは笑って「通常運行じゃねぇかよ!」とボヤく スーは「サクサクやるねん!」と発破をかけ 時間障壁の修理に乗り出した 康太は時間障壁の可視化をさせ、何処を狂わされたのか? 確かめる事にした 遥か昔過ぎて………忘れかけてた呪文を唱え、可視化させる そして皆…………言葉をなくす クーは「ボロボロ………」と呟くとプーが「ですがな………」と続けた 康太は天を仰ぎ「おい!此れは新品を張るしかねぇぞ!」と告げた "なれば、その時間障壁障壁は烈が破壊の呪文を唱え、壊すがよい! 壊れてなくなった後に、新しい時空障壁をガブリエルに届けさせよう! だから魔界全域の時間障壁を確認するがよい! その後に、魔界の時間障壁は総て張り直し邪魔立ては出来ぬ様に天空神に婚姻の儀の間は目を光らせておくように申し付けておくとしよう!” そう言い創造神は気配を消した 烈は「魔界全域の時間障壁を可視化させて母しゃん!そしたらボクが破壊して消して逝くから!」と謂うと康太は次々と時空障壁を可視化させた 烈はその時空障壁を破壊の呪文を唱え、破壊して逝く 広大な魔界だから、1日で張り直しなんて無理な話だった だが、張り直さねば……時空から地球外生命体がウヨウヨ出て来る可能性もあると謂う…… 其処へガブリエルも時空障壁を持って現れたから、扱き使われるハメになったのは謂うまでもない 張り直ししてる最中に………やはり緩んだ時間障壁を超えて地球外生命体がボロンっと零れ落ちる 定番のクラゲの大きいのみたいなのは良いが……… 何かワケわかめの生き物は………気持ち悪かった 動きもフォルムも総て気持ち悪い 康太は時間障壁の可視化を頑張った 烈はサクサク時間障壁を破壊した クロウ タロウ シロウ ゴロウ達 烈の御付きの鬼も呼び寄せ破壊した瓦礫を山積みにして行く ガブリエルはルーとスルーと共に新しい時間障壁を張る クーとプーは歪んだり、弛んだりしない様に確認し定着の呪文を唱える スーとルーは的確に時間が刻まれる様に、魔界時間を合わせる 今日は半分、明日は残り半分を張り替える予定を立て、頑張る 榊原も妻と我が子を気遣い手伝っていた 半分 張り終わるとヘロヘロのデロデロで、榊原は宝珠を使い赤いのと地龍を呼んだ 「今直ぐ回収に来て下さい! リヤカー必要かも知れないので、持って来て下さいね!」と送信 暫くして赤いのが愛馬にリヤカーを引っ付けてやって来た 榊原はリヤカーにクーとプーとルーとスーと烈を入れる 一生は「おい!何だよ!この牛柄の猫は!」と問い掛けた 「黒が多い方がルーで、白が多い方がスーです!」 「留守………この猫だったのか………」と一生はボヤいた 地龍はリヤカーの烈を抱き上げると、龍になり 「素戔嗚殿の家に運びます! 大切な烈をリヤカーでなんて運ばせません!」と言い飛んで行ってしまった 一生はリヤカーにクー達を乗せたまま 「素戔嗚殿の家に届ければ良いか?」と問い掛けた 榊原は「ええ、私は妻を休ませたいので、炎帝の屋敷にいます!」と言い龍になり飛んで行ってしまった 一生は愛馬を走らせ素戔嗚尊の屋敷を目指した 途中 スーが「ドナドナされる牛やないか……」とボヤいた 一生は爆笑し「烈がお前達を何処かへやったりするかよ!」と言う ルーは「僕はルーと申します!」とご挨拶をした スーは「わてはスー言いますねん!以後宜しゅうおたの申します!」とご挨拶 「お前等は烈と共にいて良くなったのかよ?」と問い掛けた 「今回で表に出てしもたから、ええやと想うで!」 「そうですね、もう裏に行ってもバレバレですからね!」 全然違う性格してる猫達に一生は笑っていた 素戔嗚尊の屋敷に到着すると、一生はリヤカーを外し、水と餌をチョコに与えた 「ご苦労だったなチョコ!」 「なんと呼べば良いのだ?」 「俺は赤龍、だから赤龍で構わねぇよ!」 「赤龍!!俺は赤龍の馬になれて嬉しい!」 赤龍はチョコを撫でた アル君が「カズ、烈は屋敷の中だ、後の事は任せろ!」と謂うから、チョコをアル君に託し四匹の猫を抱き上げて素戔嗚尊の屋敷に入って行った ルーとスーは「「デカチゴの匂いがする」」と一生の手から飛び下り駆けてゆく クーとプーはそんな気力さえないみたいでだら~んと抱き上げられていた 一生は「大丈夫かよ?クー、プー!」と問い掛けた クーは「カズ、疲れたからお風呂で洗ってくれ!」と甘えた プーも「なら我輩も洗うから洗って欲しいわ!」と謂う 素戔嗚尊は「赤いの烈も込みで風呂に入って来い!茶色のは外で風呂に入ると浮気を疑われるから入らんからな!」と笑って言う 一生は「了解!ほら烈風呂に行くぞ!」と謂うと烈の着替えを手にして湯殿へ向かった 烈は「ボク、体流したら湯に浸かってるから、クー達を洗ってやって!」と謂う お湯にプカプカ浮いていると素戔嗚尊が烈を呼びに来た 「烈、神髄師がお前の骨折を気にして来て下さっておるから出て来るのじゃ!」と呼びに来た 烈はお湯から出ると体を拭いてジャージを着た そして素戔嗚尊の屋敷に入って行った 応接間には神髄師が座っていた その横には羅刹天もいた 羅刹天は烈を見るなり飛び付き…………泣いた 「俺等が退院しても烈は意識さえ戻らなくて………心配した!!」と心底心配して内心を吐露する 神髄師は姿勢を正すと覚悟を決めた様な声で 「どうなさりたいですか?聖神………」と問い掛けた 烈はソファーに座ると羅刹天も横に座らせた 「どうしたい?とは? 地獄界の奴等をどうしたいか?って事かしら?」 「…………そうに……御座います!」 「どうもしないわよ! 今後もどうもしなくて大丈夫よ! あ、天ちゃん、ボクの骨折治して! 本当に不便だし、今回それを理由に魔界に来てるのよ!」と何でもない風に言う 「貴方は………憎くはないのですか?」 あんなに理不尽に暴力を奮われて……蹂躙され………命の危機まであったと言うのに……… 「別に………どうでも良いのよ! ボクは相手に何も求めてはいないからね だから、謝られても、補償すると言われても、心も動かないし、どうでも良いとしか思えないのよ!」 神髄師は言葉もなかった 「だから天ちゃん、手さえ治してくれたら手打ちで良いわ! 今後はより良い交流をせねばならない未来を視野に入れて、些細な事で荒立てなくないのよ! だから何もしなくて良いし、詫びなんて考えなくて良い!地獄界と魔界は今後も友好条約を違える事なく切磋琢磨して逝く! それだけ考えて逝ければ良いのよ!」 「本当にそれで………宜しいのですか?」 「今回ボク、皇帝閻魔の焔で焼いちゃったから、謝罪を要求されるならば……ボクの首一つで手打ちとして欲しいのよ! 要求するのは………それだけよ! 幾ら天ちゃんと仲良くしてても…………魔界に弓引くならばボクは黙ってないから!」 「そんな事態に突入するならば、此の命擲ってでも止めまする! 貴殿に弓引く日は………儂の命のある限りはない! そして儂の命の灯火が消えようとも、羅刹天や同じ考えを持つ者がそれを阻止してくれるであろう!」 「ならチャラで良いのよ!天ちゃん わざわざ波風立てなくても良いのよ! でもね、手は治してね!」 神髄師はホッと安堵の息を吐き捨てると……… 「では烈の手を診させて貰いますかな?」と言う 羅刹天が「久遠医師に骨折状況は聞いて来てるから、骨は引っ付いたから、後は神経を刺激しない様にリハビリするだけ、と言っていた 元始天尊殿にもそれは伝えてあるから!」と言う 神髄師は烈の手を探り治して逝く かなりの時間を要して烈の神経を解しズレを治し骨を引っ付けておいたプレートを抜き取った 「此れはもう不要であろう!」と言う 烈は手を動かした 肘をポッキリだったから、固定されて動かせずに不自由したのだ 烈はニコッと笑うと「動くわ!凄い!自由だわ!」と言った 神髄師はホッと安堵の息を吐き出した 「今日は天ちゃん達、還るの?」 「はい、明後日、婚礼の儀が地獄界で盛大に行われますから!」 「桃源郷の両親とのお別れの儀は青龍と炎帝が付きそうから、名前被りの者は遠ざけておいてね!」 「はい!承知いた!ならば炎帝殿と青龍殿の名前の者は桃源郷から遠ざけましょう! 一応 報告はして龍王殿にも情報は共有致します!それでも………来るならば……消えるのは地獄界の者……皇帝炎帝と伴侶の青龍に勝てる者など、この地獄界には存在致しませんからな!」 「天ちゃん、今度デナスと大トンガラの苗を渡すわ!大トンガラは突き刺さって成るからね 是非 味わって貰いたいわ!」 「烈………」 「どうしたの!そんなに気を張っていたら疲れちゃうわよ!」 神髄師はふうっーと息を吐き出した 其処へ素戔嗚尊が地龍に手伝って貰って切ったデカスイカを、あの畳の様な皿に置いて持って来た 地龍は素戔嗚尊にお皿一杯のデカスイカを貰い 「では妻に食べさせたいので帰ります!」と言い還って行った 烈はそれを目で追い、溜息を着いて………気を取り直し 「此れはね人の世のスイカに良く似た味のデカスイカなのよ!デカ過ぎてね、二人ががりでしか切れないって難点があるけど、美味しいわよ!」と言う 羅刹天と神髄師はデカスイカを食べて 「「美味しい!」」と口にした 「今度ね地獄界から貰った蜂蜜使ったレシピでスィーツ作るからね!待っててね!」 神髄師は「それは楽しみであるな!」と笑顔で謂う 素戔嗚尊は「このデカスイカは八仙の所へ届けておくから、近い内に取りに来られるとよい!」と謂うと二人は喜んだ 神髄師と羅刹天はお口を真っ赤にして美味しそうに食べていた 烈は「じぃさん、骨折治ったのよ!」と謂う 神髄師は「烈は少しだけ体の軸がズレてるやも……骨折した手を庇い歩いて軸がズレたやも……」とプロの目で烈を見て謂う 羅刹天は「手伝うのでズレを直しては下さらぬか?我が師をお助け戴けませんか?」と頼む 神髄師は「主に頼まれずとも、治す為に此処におるのじゃからな!」と笑う その後、神髄師は羅刹天の協力を得て………烈の身体の歪みを取った 烈はまた「ぎょぇぇぇぇ!痛いにょよ!!!」と捻ったり引っ張ったり引き裂かれそうになったりして…………身体の歪みを取って貰った 羅刹天と神髄師は笑顔で「「それでは世紀の挙式でお会い致しましょう!」」と言い還って行った 烈は再び湯殿へ向かい…………プカプカとお湯に浸かって痛みを和らげていた そしてお風呂から上がると夕飯を食べて、早々に寝た! 素戔嗚尊はクー プー スー ルーとトキと共に晩酌をしていた すると建御雷神が妻と転輪聖王を連れて来て、金龍も来て、赤いのと一緒に酒を飲み楽しい時間を過ごしていた 赤いのは「烈が倭の国古来の神の不在にイラついて、その所為でこの二人がルーと、スーになっちまったんだよ!」と話す 建御雷神は「大歳神が今 伊勢に行き神の使いの狐様を使い神の所在地を回っておる! 烈は消えた神の存在を確かめた後、神々の復活を、創造神に頼むと申しておる………… どうなるか解らぬが………炎帝の知る所となった今、全てが明らかにされ盤上へ上がる事となった と謂う事は今後は倍速で動き出す その手始めが………黒龍の挙式じゃからな 我等とて動ける体制は取っておるのじゃよ!」と謂う 転輪聖王は「今回は絶対に邪魔なんてさせねぇよ!今後も烈の邪魔など一切させねぇ! クソ親父だとて………邪魔はさせる気はない!」と己に言い聞かせる様に謂う 一生はそれを静かに聞いていた 外では馬が歌を歌っていた 酒好きの猫が増えたのに……何も言わず飲んでいる 転輪聖王は「お前等、牛柄と謂うより、鶉の卵柄だな!」と言い笑った ルーは「何方も嫌です!」と謂うとグビグビ酒を飲む スーは「まぁ何方も似てるやないか!」と気にせず酒を飲む クーは「んとに、クセが強くて困る!」とボヤいていた プーも「飛鳥井が四匹も要らん謂うたら、お前等は他所へ逝くんやて!」と意地悪言う ルーは「嫌です!」と言いスーは「追い出されても居着くし!」と気にしない 転輪聖王は爆笑した 一生は「猫部屋、用意して貰うしかねぇな!」と真剣に考えていた 聡一郎がヘロヘロで素戔嗚尊の屋敷に来て、ご飯を食べ始めた 一生は「猫が二匹増えるから猫部屋作るか?」と問い掛けた 聡一郎は「まだ部屋余ってるから猫部屋作れるけど、この子達は飛鳥井へ来て大丈夫なの?」と問い掛ける スーは「もう裏に行ってもバレバレですがな!」とボヤくと、聡一郎は「それもそうか!」と笑った 夜更けまで素戔嗚尊の屋敷は笑い声が絶えなかった 楽しい時間だった 朝方、ヘロヘロの神威が「親父殿、飯食わせてくれ!」とやって来た 「汚れて疲れて………ヘロヘロではないか?どうしたのじゃ?」と倅の心配をする 「閻魔、いるか?」 「閻魔は支度をしに御自分の屋敷に帰られましたよ!ヘロヘロの酒の残った姿で婚姻の儀の進行は無理なので着替えに行かれてるよ!」 と聡一郎は教えてやった 「ならば呼んできて貰えぬか?」 神威が謂うと聡一郎が懐から鏡を出して 「閻魔!神威が呼んでるよぉ〜!」と大声で叫んだ 一生は「ちよっ!お前………!!」とあまりの煩さに文句を言う その声で烈が起きて目を醒ました 「そーちゃん、朝からハイテンション過ぎよ!」とボヤく そして神威がいるのを目にして 「とぅさん………状況は?」と問い掛けた ガツガツとご飯を食べ「それは閻魔が来たら話す!」と言った 暫くすると閻魔がやって来た 閻魔は神威を目にすると「状況は……どうでした!」と問い掛けた 神威は箸を置き、茶を啜ると「状況は最悪、伊勢に倭の国の神々を集結させた………が、半分も来なかった 来なかった神々を空狐と天狐が探り、その配下の狐を使い調べに行かせた所……… 還って来た配下の狐は一部しかいなかった 後は消されて…気配さえ掴めぬモノとなった 儂等は倭の国の神として、倭の国を支えて参った自負がある……… が、結果はこうも………神々を消されて………しまっていた 十二天は怒りまくりだった……… と謂うのが儂が動いて得た結果じゃ!」と答えた 烈は黙ってそれを聞いていた

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