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第10話 世紀の挙式❹
烈は一生に詳しく話してやった
「地龍と結婚したけど、銘は心の何処かでずっと
引け目を感じていたのよ!
銀龍は銘を気に掛けていたけどね、心を開かない銘に心を痛めていたわ
どうしたら?心開いて貰えるかしら?とボクは何時も銀龍に相談されていたからね
そんな時、金龍がボクを殺し掛けた
それで総てが噴出した様に、黒龍も空回り始めて、心の余裕さえなくなったのよ
金ちゃんを人の世に連れて行ったのは、修行の為だけじゃなかったのよ
己を見返し、己と向き合う時間が必要だと思っていたのよ
金龍は【絶対】な龍族の未来を夢見過ぎていたのよ!
破滅へ進んていると知らずにね………いたから距離を取り己と向き直らせた
そして黒龍、次代の長として気負い過ぎていたからね…………このままでは黒龍も破滅へ向かうしかない未来しかなかった
だから人の世に行かせたのよ!
此処まで解らない事ある?」
「………俺は……そんな事さえ知らずにいたんだな……」とショックを隠せないで呟いた
「貴方達はさ便利な宝珠持ってる癖に本心隠しすぎなのよ!携帯代わりなら捨てちゃえば?」
「ぐっ!!!宝珠は龍一体につき一個しかねぇから捨てたくねぇよ!」
「まぁ本気で捨てろなんて言ってないわよ!
なら続けるわよ!」
「あぁ………」
「次代の金龍も未熟過ぎてなってないから、夏海ごと人の世に行かせてからは、銘は本当に孤立して行ったのよ
銀ちゃんが心配する程にね………
でもね神が神の神髄を占うなんて寿命縮める様なモノだからね、運気はしか詠めないけど現状は把握出来たし未来も詠めたわ
このままなら地龍と銘は死ぬわ!
だって次代の地龍いるし、多分自分は兄弟の中でも一番劣る存在だから、いなくても大丈夫
なんて考えて、二人で手を取り………強引に黄泉の旅路を渡るしかないのよ
銘の心も………地龍の心も壊れ切って疲れ切っているからね……
それは閻魔の耳にも入ってて………だからこの場に相応しくない話、と片付けたのよ
貴方さ……我が子が心を壊して………死ぬ様見たくないでしょ?」
「え?それ康太に聞いたのか?」
「人の世の一生の運命ならば、星を詠むのも可能なのよ!」
「俺は………我が子には笑ってて欲しいって何時も思っている……
銘も………流生も……幸せでいて欲しいって願っている………」
「ならさ、貴方は地龍をサポートしなさい!
地龍は少しの間菩提寺に置いて、その間に一人で立っていられる様に自立させたいのよ
銘も夏海に依存するんじゃなく、己の足で立っていられる様にね」
「…………俺は地龍の傍に行っても良いのかよ?」
「無関心に傍にいるだけなら、マネキンで事足りるのよ!
そんなマネキンバリなら要らないけど、共に菩提寺の為に働いてくれるならば、傍にいるのを許すわ!傷は舐めあっちゃ駄目なのよ!
そんなのは同類相憐れむだけだからね、必要ないわ!必要なのは尻を蹴り上げられる強さと、立てないならば背中を押してやる優しさだけよ!」
「ならば蹴り飛ばし発破をかけ、立てないならば背中を押してやるよ!」
「銘は………心配しなくて良いし、気にかけなくても大丈夫よ!
華絵がいるからね、華絵に頑張って貰うから!」
「豊乃姫………畏れ多くね?」
「彼女はそれが役割の存在となったから!
魔界へ還ったとしたら、太極拳やってる老人達を蹴り飛ばして貰わなきゃ!」
その為の太極拳なのかよ?…………一生はクスッと笑った
「貴方は笑ってなさい!
そしたら周りも笑えるからさ、深刻に考えちゃ駄目よ!考えたいならボクに聞くのよ!
母しゃんは相談向きじゃないからね!」
「だな………ならずっと笑っててやんよ!」
烈は一生を抱き締めた
その暖かさに………一生は何も言わす目を閉じた
そして何時しか眠っていた
その頃、龍王は烈が作る酒類にほろ酔いになり上機嫌だった
龍妃も甘いワインにほろ酔いになり、皆で笑っていた
龍妃は「今度もまた来たいですわ!お忍びで………娘に会いに来て、こうして宴会に参加したいですわ!」と言葉にした
龍王は驚いていた
夫婦になって以来 龍妃から何かを頼まれた事はなかった
こうして自分の望みを口にする事さえなかったのに…………
龍王は「あぁ、閻魔殿に許可を取り娘に会いに来て、素戔嗚殿の屋敷で宴会に参加したいですな!」と謂う
素戔嗚尊は笑顔で「それは楽しいですな!」と答えた
羅刹天は「烈は恩人なんです!龍王様!!」と泣いて訴えていた
神髄師は「酔い過ぎじゃ!羅刹天!」と謂う
ワイワイ楽しい宴会だった
龍王は「素戔嗚尊は親子3代、誠 良く似たお姿をなさっている!」と褒めた
「有難うございます!
じゃが孫は儂より頑固者で、倅より綺麗好きで誰に似たのやら………」とボヤいた
建御雷神も転輪聖王も「「お前似だろうが!」」と謂う
龍王は羨ましく素戔嗚尊を見ていた
魔界での絶対的な存在
その夜は 何時までも楽しい笑い声が響いていた
世紀の挙式と謂う事もあり、慌ただしく朝を食べて迎賓館へと向かった
大歳神は天照大御神と黒龍の家に迎えに行き
大歳神は花婿を、天照大御神は花嫁を、連れて行く算段を取っていた
新婚な夫婦を叩き起こし「おーい!黒龍、今日は挙式だろうが!早く支度しやがれ!」と怒鳴った
天照大御神は花嫁の手を引くと馬車に押し込み、迎賓館へ支度へ向かう
烈は一生とレイとお風呂へ入りに向かった
そしてお風呂から出ると赤龍は自宅へ龍族の正装に着替えに行った
烈もレイと共に正装に着替える
大歳神は毘沙門天と共に正装に着替えて、世紀の挙式に参加する
本当ならば十二支天全員参加したかったが………名前被りがあるから喧嘩になり収拾がつかなくなって………毘沙門天だけが来た様だった
毘沙門天は「アイツ、世紀の挙式に参加するって頑張ってたみたいだけど、羅刹天が名前被るんだから全員不参加で良いよね?とイチャモンに近い事を言って来たから………逃げて来てんだよ!」とボヤいた
大歳神は「あ~アイツは烈が絡むと面倒臭え奴になるからな………
しかもお前達って纏まりねぇよな……」と面倒臭げに謂う
レイは「びちゃ!」と毘沙門天に抱き着くと、毘沙門天は嬉しそうだった
「そんな暇ないわよ!」と急かして迎賓館へ行く
大歳神は「儂は肩凝るのは嫌なんじゃ………」と謂うが素戔嗚尊が息子が欠席なんて冗談じゃなかった
迎賓館へ行くと烈は皆に指示を出して回った
烈は「かるちゃん、まりちゃん、あみちゃん、その話は挙式の後で良いかしら?」と謂うと三柱は頷いた
「なら今日は世紀の挙式よ!
皆 良いわね!」
三柱はコクコクと頷いた
炎帝と青龍が迎賓館へやって来ると
「かるちゃん、まりちゃん、あみちゃん………
かるちゃんって迦楼羅で、まりちゃんは摩利支天で、あみちゃんは阿弥陀如来か………チャレンジャー過ぎだろ!烈………」とボヤいた
そして炎帝と青龍を見付けると「遅いわよ!左右に立つのよ!あみちゃん配置お願いね!」と謂う
阿弥陀如来は「それでは貴方達は署名を入れる時の見届人なので新郎新婦の左右にお願い致します!」と指示を出す
炎帝は「すまんな………その呼び方が嫌なら止めさせる………」と謂うと阿弥陀如来はニコッと笑って
「気に入ってるのでお気になさらずに!」と謂う
烈は摩利支天に「奥さんの具合どう?産後の肥立ちが悪い様ならお薬持って行くわよ!」と話す
摩利支天は「ありがとう烈、大分お前に貰った薬で良くなって来ているんだよ!」と話す
「産後だからね、体力も気力もなくなってるから、じぃさんに頼んでお肉差し入れに行かせるわね!」
「ありがとう!」
「良いのよ、勿論、かるちゃんもお肉差し入れするからね!
それよりも黄龍の妹の娘との縁談はどうなった?」
真っ赤な顔をして迦楼羅は「お付き合いする事になった………」と謂う
摩利支天も「それはおめでとう!」と祝福する
烈はテキパキ指示を出しつつも、こうして楽しげに話をする
龍王ご夫妻や羅刹天、元始天尊が花嫁の席に着くと、素戔嗚尊達も閻魔の横に座った
迎賓館の祝福の鐘が高い全土へ向けて鳴らされると
「えんちゃん 開始の合図が鳴ったわ!挙式の始まりよ!」と謂う
世紀の挙式が始められた
美しいステンドグラスが光り輝く講堂のドアか開けられると、真っ赤な絨毯の上を、真っ白なタキシードを着た新郎と、純白のウェディングドレス新婦が入場して来る
祭壇の前には大天使ガブリエルが待ち構えていた
妖精達が喜ばしい場を盛り上げようと、飛び回る中、挙式は始められた
烈が挙式のプログラムを妖精に持たせて飛ばす
大天使ガブリエルは
「今日の佳き日は天界の天空神 三神もお目出度い事だと申しておりました!
魔界は神の前で愛を誓う儀式もないので、人の世の婚礼にあやかり指輪の交換しちゃいます!」と謂う
烈は綺麗なビロードの上に指輪を2つ乗せてレイと共にやって来た
「此れは御二人の御両親がこの日の為に作られた指輪です!
なので絶対に入らない!なんて事はないわよね?」と謂う
金龍は「絶対に入る!寝てる間にサイズを測り、九曜神に大枚取られて作ったんだから!」と訴えた
龍妃も「寝ている間に姥に頼み図らせ作ったので大丈夫です!」と謂う
烈は「それでは指輪の交換です!まずは花嫁から花婿に指輪をして差し上げて!」と謂うとレイか指輪を、うんしょうんしょと持って行った
紅花はレイから指輪を受けてると黒龍に指輪を嵌めた
指の節が有るから……中々と嵌めにくくて……困っていると
「ガブたん押し込むのよ!」と烈に言われ押し込んた
そして何事もなくニッコリ天使の笑みを浮かべた
「次は花婿から花嫁に!」と謂うとレイがニコッとして指輪の箱を上げる
黒龍は指輪を手にすると指輪を嵌めた
スルッと指輪は嵌り、紅花の指で光っていた
烈はレイが戻るのを待って、レイの目を押さえると
「其れでは誓いの口吻を!」と謂う
黒龍は花嫁のベールを上に捲り上げると………誓いの口吻をした
「其れでは誓いの言葉を!」とキスしてるニ人に言うとやっとニ゙人は離れた
黒龍は「そんなの用意してないよ!」と謂う
「二人は名実共に夫婦になったのよ!
その二人が用意した文章なんて読み上げてちゃ駄目なのよ!
さぁ、永遠の愛を誓うのよ!
我が母と父の様に、強い強い愛で結ばれるのよ!」
黒龍は紅花を見つめ
「俺は貴方だけを愛して生きて行きます!
俺は………貴方の喜ぶ様な言葉が言えないかも知れません………
不器用なので貴方を怒らせてしまうかも知れません
それでも俺は………貴方とその都度話し合い、ずっと仲良く生きて行きます!愛します!
炎帝と青龍の様に幾年月経とうとも、変わらぬ愛を誓います!」と言葉にした
紅花は「私は貴方を愛して生きると誓う!
この先………どんな苦難があろうとも、黒龍を愛すると誓います
烈殿の御両親の様に幾年月経とうとも、共に生き愛すると誓う!」と言った
烈は目頭を押さえて、うんうん!と頷いていた
康太は…………たらーんとなっていた
その横で榊原は感激して、烈同様に頷いていた
素戔嗚尊が笑って「主等は誰にも恥ずぬ烈の両親なのじゃよ!」と言った
魔界の神々が祝福の言葉を贈り、紅花は魔界の一員となり生きて行くのだ
「其れでは結婚証明書に署名をお願い致します!」
と烈が言うと炎帝と青龍に署名の紙を渡す
炎帝と青龍は調印台に紙を乗せると二人にペンを渡した
二人はその結婚証明書に躊躇う事なくサインした
「まりちゃん、かるちゃん、あみちゃん、神々に花の入った籠をお渡しして!
新郎新婦は一度お色直しされた後、晩餐会へ主席なさるのよ!」と謂う
摩利支天、迦楼羅、阿弥陀如来は神々に花の入った籠を渡して回った
閻魔は「退席なさる御二人に祝福の花のシャワーをお願い致します!」と言う
退席して行く新郎新婦に祝福の花のシャワーを降らせ、祝福した
大天使ガブリエルは「結婚式、見届けさせて戴きました!魔界と地獄界の更なる協力に期待をしていると、天空神様達は仰られてました!
では私はこの成婚をお伝えせねばならないので、失礼します!」と飛び立って行った
新郎新婦は、一旦控室に行きお色直しをして晩餐会へ場を移すのだった
そして炎帝と青龍が人の世に帰る時に同行し新婚旅行へ行く事が決まっていた
人の世の見聞を広げる為に一週間、熱海とか都内を見て回り、人の世を知る旅行へ行くのだった
烈は新郎新婦が控室に立つと
「後はお願い出来る?じぃさん!」と言う
素戔嗚尊は「あぁ、後は任せておくがよい!」と言うと烈は一生にレイを託してその場を後にしようとした
烈は朝からタロウに頼み、地龍と銘を崑崙山にある烈の屋敷へと連れ出して貰っていた
一生は「俺は一緒に行ったら駄目か?」と問い掛ける
「駄目じゃないけど口挟まないでね!」
「解ってる………」
「ならレイたん連れて来て!」と言うと一緒にその場を後にした
康太は動けないのを知っててやる辺りが烈だなっと想っていた
「んとに………オレの息子は素直じゃねぇよな……」とボヤく
榊原は「君の頑固さを受け継ぎましたからね!」と言う
「嫌 お前の悪どさやろが!」と言う
「僕は悪どくなんてないです!」
「………ならばやっぱし大歳神の子なんだよ!」と笑う
「そうですね!大歳神の子ですものね!」
康太と榊原が言うと大歳神は「こんなちびっとの料理………食った気がせん………我が家で毘沙門天と共に飲んだらいかんか?」
「晩餐会終わってからにしろ!
オレだって、肩凝る料理は食いたくねぇんだよ!」
「あ~酒が飲みてぇな!」
「後少し!さぁ営業スマイル浮かべやがれ!」
「仕方ないのぉ〜!
素戔嗚尊に良く似た笑顔してやるともさ!」
そう言い大歳神は父と良く似た笑みを浮かべ、営業スマイルを浮かべた
晩餐会は盛大に行われ大成功を迎えた
烈は一生とレイと共に崑崙山の八仙の屋敷の裏にある自分ちへ向かった
烈はドアを開けると「クロウ、地龍達を連れて来てくれた?」と問い掛けた
クロウは「はい!ご夫妻をお連れ致しました!」と言い屋敷を出て行った
烈はソファーにドサッと座ると銘の包帯だらけの手を見て「また切ったのね………」と呟いた
地龍は窶れて疲れ切った顔をしていた
烈は一生に「カズ、人の世に逝くわよ!
カズは人の世に着いたら、一足先にせんせーに心身衰弱した病人診て貰えないか?聞いて来て!
一人は衰弱、一人は………精神病んでリスカ繰り返してる事も伝えてくれるかしら!」と言う
一生は「何で………こんな所まで追い詰められてるんだよ!!」と泣き叫んた
「カズ、此れが現実なのよ!
もう、地龍だけじゃ支えられないわ!
このままじゃ………二人して消滅するしかないからね!」
地龍は「愛しているんだ………銘を……」と訴えた
「愛を間違った方へ発動すると互いに破滅へ向かうのよ!カズ、早く逝くわよ!もう一刻の猶予もないわ!」と言う
一生は銘を背負うと、烈は神の道を開いた
神の道を通り、久遠の病院を目指す
地龍は力なく歩いていた
烈とレイが急かして地龍を歩かせる
一生は久遠の病院へ到着すると、走って病院の中へと駆けて行った
烈は柘植に「ねぇきょーちゃん、着ない様な服ないかしら?
着ない様な服で尚且つ、まだちゃんと着れる服ないかしら?」と尋ねるラインを送った
柘植は直ぐ様ラインを返した
『着ない服なら沢山あります!
妻の服の趣味と合わない服は纏めて段ボールに入れてあります!
それで良ければ持って行きますが?』と言う
「ならその服、貰いたいわ!
それとマキたん位の女性の服とかないかしら?」
『妻の服、ですか?
今 妻は妊娠中なので、少し派手目の服はもう着れないわ、と少し前に私の服を整頓した時に、妻の服も整頓し段ボールの中へ入れてあります!
何処へ持って行ったら宜しいですか?』
「此れから飛鳥井に来てくれないかしら?
駐車所に一生いる様にするから!」
『了解しました!』
ラインを終える頃、一生は久遠を連れてやって来た
久遠の目には限界を遥かに超えた二人が映し出されていた
「あ~、限界超えてるがな………入院な!
そして女の方は総合病院へ連絡入れるから、精神科の医師に見せるとしよう!
で、入院な、即座に入院だ!今すぐに入院だ!」
そう言い烈の顔を見て
「お前も疲れ切ってるな
様子を見てやるから着いて来い!」
と言う
烈は「カズ、柘植が地龍の服を持って来てくれるのよ!悪いけど駐車で待ってて受け取ってくれない?」と言う
一生は「お〜了解した!だからお前は少し休め!レイを連れて逝くからな安心しろ!」と言いレイを抱き上げて駐車場の方へ向かった
久遠は烈と一生の会話を聞いていて、そう言えば?と思い出し
「あ~!烈と同じ破滅の御剣とかと謂う奴で貫かれた奴だ!地龍って言ってな!」と言う
「それはボクは知らないけど、地龍ちゃんと奥さんの銘よ!」
「何か不幸全部背負って生きてます!って感じのツラしてるやんけ!」
「総てを拒絶してたら…何も見えなくて、そうなるわよ!」
久遠はスタッフに地龍と銘を検査に行かせた
烈は問診票に「城之内茶太郎、妻 メイコ」と書いた!
「銘………名前がまず悪いわね!」
と問診票を書き終えた烈がボヤく
そんな烈を引き摺り、久遠は検査へ向かう
一生が駐車場へ行き柘植が来てくれるのを待った
抱っこしてるレイが眠ってしまったから、一生は起こさない様に静かにドアを開けて、シートを倒してレイを寝かせた
暫く待つと柘植と神野と須賀と相賀が病院の駐車場までやって来てくれた
四人は車を駐車場に停めて、車から降りると
柘植は「一生!あれ?烈は?」と問い掛けた
「烈は元総理のご子息の結婚式を挙げ、そして関係者の結婚式をプロデュースしたり多忙だったから、久遠に捕まり病院です!」と言う
柘植は納得し「この服は誰が着るんだい?」と問い掛ける
一生は苦悩を浮かべた顔をして……
「魔界の者とその妻の為に頼んだ服です!」と本当の事を口にした
柘植は「魔界の方だと服には困りますね!私達で協力出来るならば、何でも言って下さい!」と謂う
一生は「烈は病院です、飛鳥井の家に来ますか?」と尋ねた
すると皆頷き、一生はトランクから台車を取り出すと貰った服の段ボールを積み上げた
「凄い量の段ボールですね!」と一生が言うと
柘植が「私が烈との電話を終えて、服を用意する為に自宅に帰ろうとすると、横で聞いていた彼等も『烈のピンチなら自分達も服を用意する!』と言い出したんです
なのでそれぞれが自宅へ行き、段ボールを持ち寄り、此処に来たのです!」と謂う
それでこんなに凄い事になっていたのか………と納得
一生が荷台に段ボールを積み上げていると、立体駐車場の関係者専用出入口を開けて、慎一が駐車場に車を停める為に入って来た
慎一は車を停めて降りると
「一生、還って来てるのか?」と心配して問い掛けた
一生は慎一にレイを頼もうと、助手席のドアを開けるとレイを抱き上げた
「康太と伊織はまだ還って来てねぇけどな、烈が今、多分診察されてる!」と答えた
慎一は「家には翔達がいるからレイは頼んで来ようか?」と謂う
一生は「頼めるか?」と言い慎一にレイを渡した
慎一は「少し待っててくれ!」と謂うと早足で裏へと急ぐ
飛鳥井の家のドアを開けると、翔達が「お帰りなさい慎一君!」と出迎えしてくれた
慎一は「寝てるので少し見ててくれませんか?
俺は烈を見に行くので!」と謂うと、翔はレイを受け取った
流生は応接間のドアを開けると、翔はソファーの上にレイを寝かせた
太陽がブランケットを掛けてやる
音弥と大空が「烈に似た縫いぐるみ持って来なきゃ!」と言い取りに向かった
慎一は病院へと急いで向かった
すると、烈が久遠に怒られていた
「骨折は治ったか知らないが、お前食ってたのか?下手したら栄養失調だぞ!」と怒った
慎一が来るのを確認すると久遠は
「栄養となるドリンク出すから、薄めて飲ませてくれ!薬も処方箋で出しておくから、分量計って一緒に飲ませてくれ!頼むぞ!」と謂う
慎一は「了解しました!」と言う
久遠は烈に「メイコは駄目だ、下手したら死んててもおかしくない栄養状態だ!
眠らせてICUで管理して、体調を少し整えた後にカウンセリングを受けさせる
茶太郎は疲れ果てて、眠ってねぇんじゃねぇか?って健康状態だから、個室にぶち込んで薬で眠らせておいた
体調は嫁よりも早く戻るだろう
退院したらどうするのよ?」と問い掛けた
「菩提寺で働かせるわ!
食わせて寝させて働かせる、まずは其処から初めて行くしかないのよ!」
「だな、菩提寺へ行かせるなら安心だな!
俺は助けてやった命を粗末にされるのが一番嫌なんだよ!」と怒り謂う
「せんせー、ボク眠いのよ、かえって良いかしら?」
「おー!飯食って寝ちまえ!
茶太郎は個室に妻はICUにぶち込んどくから、明日から気にしてやってくれ!」
「ありがとう!せんせー!」
烈は一生と共に飛鳥井の家に還って来た
一生は台車の上の段ボール箱を応接間に積み上げて行った
帰宅した瑛太と清隆と玲香は、烈とレイを見掛けて喜んでいた
また神野達もいるから、楽しく飲み始めた
慎一が薬を取って還って来ると、デリバリーを注文した酔っ払いが楽しく飲んでいた
烈とレイは軽く夕飯を食べると、寝に行った
烈は泥のように眠り………昼前まで起きなかった
起きてご飯を食べていると、一生が烈の前に座った
「済まなかった………烈………」
と一生は謝罪した
一生は彼処まで酷い事になっているとは思ってもいなかった…………
何処かで地龍も大人だし何とかするだろう………と楽観視していた
烈に聞いて如何に自分達が無関心だったが悔いたが………
その悔いさえ遥かに超えて………自分を殴りたい程の衝撃だった
「それは何に対しての謝罪なの?」と烈は問い掛けた
「愚かな自分………愚かな四龍の兄弟……愚かな兄弟の謝罪だ」
「それは必要ないわ!
そんな謝罪など意味を成さないわよ!」
「烈……俺はどうしたら良いんだ?」
「それは赤いのが自分で導き出さないと駄目な答えよ!」
「俺は考えるのが苦手なんだよ!」
「なら貴方は直感で動きなさいよ!
この事態を放っておけないならば、弟を助けてやりなさいよ!」
「放っておけない………」
「ならボクに答えなんて聞かなくても良いのよ
赤いのは自分の信じた直感だけを信じて進めば良い!」
「烈………だけど俺だって迷うんだよ!
動けない時だってある………」
「そしたら慎一きゅんにレイたん放り投げて貰うから、レイたんキック受けなさいよ!」
烈は笑って言う
一生は涙を浮かべながら…………「烈…………」と呟いた
「さてと、カズは茶太郎の様子を見て、退院出来そうなら菩提寺に話を通しておいて!
宗右衛門が預ける奴だと言ってくれて構わないわ!」
「アイツは菩提寺で働くのか?」
「心が弱るとね、体も弱って行くのよ
体が弱れば気持ちも痩せ衰えてしまうのよ
それを続ければ、人も魔族も生きる術を見失い、堕ちて行くしかないのよ……
地龍はまさにそこにいるから、誰の話も聞かないわよ
だからこそ、菩提寺で働かせて日々を暮らさせる
四龍はね四兄弟いるから力を使えるのよ!
もし地龍が消えてご覧なさい
もう四龍としては成立しなくなるから、力も衰えて次代に引き継ぐしかないのよ
でも次代はまだ数千年足らないわよ!
人生の経験も法力も力も、足らない尽くしだわ
そしたら魔界では四龍の兄弟の、存在意義さえなくなるわよ!」
「それは………嫌だ!我等は四龍の兄弟としての矜持も誇りもある!」
「まぁそれがあっても、地龍欠いだら誇りも地に落ちるしかないのよ!」
「地龍には何が何でも頑張って貰う!」
「地龍はね………一生と同じね」
「え?…………それは何処らへんを指してますの?」
「親だと言えない………我が子を目にしても誰よりも遠くて誰よりも他人なのよ………
変な所ばかり似てるのね………貴方達は………」
「それって虹龍?」
「そう、あの子は根性ネジ曲がっていたから叩き直してる最中よ!
それはそれは流にーが腕によりをかけて頑張ってくれてね!
今は少しはマシになったわ!
だからこそ、菩提寺へ地龍が来ても大丈夫になったってのもあるのよ!
時とタイミングが合わねば逆効果にしかなれないのよ!
だから気に掛けてあげてね!」
「了解した!
……本当にな変な所は兄弟なんだよな………」
「そうね………でもそれが貴方達兄弟なんじゃない!」
嫌な程に似てる兄弟じゃない!
一生は吹っ切れた様に笑った
清々しい笑みだった
「さぁ、12月までにある程度は片付けるわよ!そしたらボクは【R&R】に集中するからね!」
「あぁ、俺等も全面的なバックアップを約束する!」
「カズ、多分 母しゃん達は『烈が先に帰ったんだからきっと何とかするよな?
ならオレ等は新婚してようぜ!』
なんて意地の悪い事考えて………多分3日は新婚してそうね……
だからボク会社に顔を出したり、地龍を菩提寺に連れて行って、虹に釘刺して置かないとだし……」
と予定を口にしてボヤいた
一生は「それあり得る!」と爆笑していた
烈と一生は慌ただしく動き始めた
そんな風に息子が忙しくしてるのを見越して楽しようと考えていた
魔界での盛大な【世紀の挙式】と銘打った結婚式は無事横槍もなく終えた
披露宴も終わり、新婚旅行は炎帝と青龍が人の世に帰る時に一緒に倭の国へ行く予定だった
炎帝は「は〜やれやれ!披露宴は終わったぜ!
兄者は龍王夫妻や羅刹天達が魔界へ帰還するまでが大変だろうけど、オレ等はお役御免で良いんだよな?」とボヤきつつ謂う
青龍は「烈、多分人の世ですよね?良いんですかね?」と聞きつつも疲労感を滲ませて宴会の席を立った
迎賓館の出口に行くと閻魔が「烈どうしました?龍王がお帰りになられる前にお会いしたい、と申されてますが?」と問い掛ける
「あ〜烈は人の世だ、多分だけどな地龍と銘連れて行ったんじゃねぇのかな?」
閻魔は顔を強張らせ………
「銘………烈が出るまでもないでしょう………」と謂うと呟き、気を取り直して顔を引き締め
「龍王様がお会いしたいと謂うので連れて来て下さいね!」と謂う
炎帝は「なら明日の昼前に、烈を迎えに行く
夕刻帰られる前に、合わせれば良いやんか!」と冷酷に告げられ………閻魔は引くしかなかった
「この縁談は烈が黒龍の運気を詠み、羅刹天殿達を動かし繋いだ縁談ですので、立役者がいねば………成り立たぬのは理解戴けますよね?」
閻魔は敢えて敬語で話した
「理解してますよ閻魔大魔王様!
ですが、ずっと気を張っていた我が子ですので、人の世に行き医者に診察させる位は許されますでしょ?」と敢えて敬語で返した
「地龍の事は………近い内に話さねばならないと思っていました
四龍の一柱が欠ければ、四龍は存続さえ難しくなる………均等な力のバランスが失われる
その意味を………話すつもりでした
ですが、この場で話す事ではないので辞めます
明日 龍王様と烈との会談があります!
それまでに、烈を戻して下さい!頼みますね!」
そう言い閻魔は龍王夫妻と共に貴賓室へと向かった
この晩、龍王夫妻は其処でお泊りになり、明日帰られるのだ
炎帝は青龍に「家に還ろうぜ!久々に洗ってやんよ!」と謂う
青龍は嬉しそうに笑うと「それは嬉しいです!」と言いスキップせんばかりに妻の手を取り愛馬に乗り炎帝の屋敷に行く
炎帝の屋敷は閻魔の邸宅からかなり離されて建て直されていた
湯殿の位置は変わらぬが、屋敷は湯殿を挟んで裏側になった
閻魔の邸宅の並びになっていたが、烈が切り離してリメイクしたと謂う
それに伴い、雪の住む場は食堂の上になった
今までは炎帝の屋敷に住み込み過ごしていたが、今は食堂の上の住居に移り住み、食堂のおばちゃん達と過ごしていた
食堂のおばちゃん達は、家族と死別して孤独で身軽だったから閻魔の邸宅に住み込み食堂の仕事をしていた
閻魔の執務室を広く作り、食堂を外に作った時に、おばちゃんや雪の為の部屋を食堂の上に作った
2LDKの個室に其々が生活をしていた
雪は生まれて初めての自分の家に、感動して嬉しくて堪らなかった
今までは部屋を間借りしていたみたいな感覚だったが、自分の家となるべく部屋が出来たのだ
炎帝の屋敷の使用人なのは変わらずだが、雪はおばちゃん達に世話を焼かれ仲良く生活していた
炎帝が不在な時は時々食堂のお手伝いもする
そうして仲良くなった神々や魔界の住人達とのコミュニケーションも多くなった
毘沙門天は訪ねていくたびに溌剌とした雪を見られて嬉しくて堪らなかった
寂しい家で主を待つだけの生活も好きだったが、今は日々の生活に彩りを添えて輝いていて、雪は嬉しくて堪らなかった
そして主が還って来たのだ
雪は忙しく動いていた
炎帝の屋敷はより機能的になり厩舎は馬ファーストに仕上げてあった
天馬と風馬の子にと養子に貰った馬と、タカシそっくりの馬がいた
もうスッカリお父さんとお母さんな2頭だった
炎帝は厩舎に馬を止めタカシにそっくりの子を見る
「んとにタカシそっくりやんか!
なら、この子はチビタカシだな!」
と名付けた
ネーミングセンスのなさに………青龍は烈と同じ匂いを感じていた
炎帝は「早く湯殿へ逝くぜ!」と言い急かす
湯殿へ行くと、周りを木々で隠して、塀までしてあった
何度も使ったが……此処までする?っと謂う気分だった
炎帝は服を脱ぎ素っ裸になると
「此れって烈だよな?」と謂う
青龍は苦笑して「ですね、部屋も変えてありましたからね………玄関入り口が2階になってましたからね………」とボヤく
一階は寝室にして、どデカいベッドを入れた
湯殿から直ぐにベッドインしても大丈夫な作りにしてあった
そして青龍の部屋、炎帝の部屋、そして二人の執務用の衣装部屋が作ってあり
一階にあった雪の部屋は移動したと告げたられた
炎帝は「何処へ行ったのよ!」と聞くと雪は嬉しそうに笑顔を漏らし
「僕の【家】は食堂の2階に2LDKの【家】を貰い移り住みました!
食堂の2階には、食堂で働くおばちゃん達もいて、何時だって気を使ってご飯を食べさせてくれるんです!」と謂う
炎帝の家で帰らぬ主人を待って暮らすよりは………
其方が雪も嬉しいだろう
一階の雪の部屋がなくなった分、二人用の衣装部屋まで作ったのだ
そして二階は応接間、重厚感のあるソファーと机が置いてあり、広々とした応接間は宴会に突入しても良い様に広々とした作られていた
そしてキッチンテーブルが置いてあり、キッチンがあり……
まるで幼稚園の上の様な作りになっていた
初めてこの屋敷を見た時、何処かで見た様な懐かしい気分に囚われた
そしてあぁ、飛鳥井の家だ、しかも幼稚園の上の家だ!と気付き、炎帝と青龍は嬉しくて堪らなかった
前よりも住みやすく、快適な家に我が子がしてくれたのだ
そんな二人は湯殿で龍になった夫をせっせと洗っていた
「気持いいです!」と妻に洗って貰いデローンと伸びる
炎帝は「湯殿も前よりも快適だな!」と洗い場が龍サイズで広くなっていた
そして流す時はシャワーが使えた
「かわよ!」とお風呂に拘った息子ならではの心遣いだった
炎帝は「相当………川で体洗うの嫌だったんだな……
まぁ、オレも川で体洗うのはキツいって想うけどな!」とボヤく
青龍はバツの悪い顔をすると
「私は………面倒臭い時、湖に入りザバザバしてました………」と謂う
「嘘!綺麗好きな青龍なのに?」
「貴方が謂う程に私は綺麗好きではありませんよ
まぁ埃は嫌いですし、汚れたテーブルや誰が使ったか分からぬモノには、触れたくもないから水拭きしてましたがね………
お風呂は………面倒な時は湖でザバザバ泳いで汚れを取ってました
だからこその、水場の横の家なのです!」
と、全てを話す
炎帝は嬉しそうに笑うと
「此れからはオレが洗ってやるからな!
あの湖の横の家は烈に取られたんだろ?
ならもう戻れねぇかんな………」と謂う
「あの家、僻地で不便ですが………どうするのですかね?」
「んなん、オレに解らねぇよ!
オレ等は此処で住むしかねぇかんな!
より快適にして貰ったんだ!新婚しようぜ!」
「愛してます奥さん!」
「オレも愛してるかんな!
もぉ………オレの中……お前が欲しくて開いてる……」
「なら見せて下さい!
私にお尻を見せて開いて見せて下さい!」
そう言われると炎帝は四つん這いになり、両手をお尻に触れて………左右に開いて見せた
すると………赤く熟れてヒクヒクと痙攣して……
物欲しそうに開いて何かを探っているかのように………開閉していた
青龍はその貪欲な熟れたお口に口吻た
「あっ……青龍っ………イキそうになるから止めっ…」
青龍は膝が痛いだろうから、仰向けに寝させて足を抱えさせ、左右に開いた
「もぉ欲しくて堪らないって言ってますよ?」
舌を差し込み吸う
舌をキュッキュッと締め付け、足らないと更に締める
青龍は指を差し込んだ
そして烈に貰った小瓶を取り出すと、蓋を開けて赤く熟れたお口に流し込んだ
「え?何っ?………」
「此れは烈が作った試験的なオイルだそうです!
迎賓館にいる時に貰いました!
『凄く感じるオイルよ!ガンバなのよ、父しゃん!」とくれたのです!
因みにこれは黒龍にも渡して頑張らせたみたいです!」
オイルを炎帝の秘孔の中へ垂らされ、皮膚に吸収されると、熱く体が火照る
「烈の野郎!此れ媚薬じゃねぇよな!!」
「多分 媚薬でしょうね!
さぁ私を欲しがりなさい!
そしたら君と一つに繋がりますから……」
「欲しいっ………挿れてくれよ!」
余裕もなく謂れ青龍は炎帝の中へ挿入した
一つに繋がり、互いの熱を感じ夢中になる
青龍は抽送を早くした
一度目は余裕もなく欲しがり尽きたが……
二度目は炎帝の中へ注いだオイルが、青龍にも吸収され………熱く強く膨張させていた
「大きっ………青龍……ダメっ………イッちまう!」
中を擦られただけでイキそうになる
それ程、青龍の性器は血管が浮き出て硬くなり、あらゆる場所を擦り上げ堪らなくしていた
口吻けが深くなる………舌を絡め………吸う
乳首も痛い程に勃ち上がり………爪で摘まれるだけで………限界を超えそうになる
だけど青龍の指が、炎帝の性器の根本を強く握り締め………イカせてはくれなかった
頭がクラクラする
目がチカチカする
世界が揺れる
ガシガシ抽送を激しくされ
パンパンと打ち付ける陰嚢の音が強くなる
青龍はキツい程に締めつけられ………久々のキツさに眉を顰めた
「私を食いちぎる気ですか?」
「ねぇ……イカせてぇ……ぁ……あぁっ………一緒に!」
青龍が指を緩めると炎帝はイッた
青龍のお腹に夥しい精液が撒き散らされる
そして炎帝の肉壁に精液を撒き散らす
炎帝の中で狂った様に………ドクドク注がれる熱に………尽きぬ終わりを感じていた
青龍はシャワーで泡と精液を流すと、寝室へと行き、再び愛の契りを始める
尽きぬ愛は夜が明ける頃、やっと静かになった
朝になると雪は湯殿の掃除をして綺麗にする
そして朝の準備をして並べる
多分………朝は無理だろうけど、昼には食べるだろう………と準備しておかずの上に虫除けの蚊帳みたいなのを置く
これは烈が教えてくれた布織の布を使い、竹の芯を傘状に伸ばした枝に布を縫い付けて作られていたモノだった
まだ市販は始めてないが、そのうち考えている商品だと教えてくれた
青龍達が起きて二階へ上がって来ると雪は寝室のシーツを剥がして掃除をする
そして烈が考案して作ってくれたモノで、洗濯を始める
魔界には便利な洗濯機はない
皆 手洗いをして干している
天照大御神と素戔嗚尊と炎帝の家には便利グッズが試作品と謂うカタチで多く入れてあった
炎帝は「雪は?」と問い掛けると
青龍は「洗濯ですかね?」と返した
食事を終えて雪を探すと、雪は洗濯をしていた
雪は手回してゴロゴロと何やら回していた
炎帝は「それは何だよ?」と問い掛ける
「此れは洗濯機です!電源がないので手動ですけど!」と謂う
丸い樽の大きい版みたいモノに、ハンドルを付けたみたいなのモノだった
炎帝は「どんな作りになってるのよ?」と問い掛けた
雪は「ちょうど洗いは終わって、お水を抜くので見せます!」と謂う
洗濯機と謂うモノの蓋を開けて見せる
「烈が固形の洗濯石鹸を作って売り出したのです!
それが凄く良く洗えて、汚れが落ちると人気になり、固形の洗濯石鹸がバカ売れしたのです!
その収益金で洗濯機を作ってくれたのです
粉石鹸も作ってくれたので、こうして洗濯するのも楽になりました!
あ、洗濯機の構図ですね
此処に櫛で使ったプラスチックみたいな羽根があって、洗濯物を回して汚れを取ってくれるんですよ!粉石鹸入れて回すと、ゴシゴシしなくても汚れは落ちます!
そしてお水を流す時は、此れをスライドして流すんです!
そして濯ぐ時はまた閉めて、レイが洗濯用にお水を引いてくれたので、水道の蛇口を捻るとお水が出るので、此れで濯ぎます!
濯ぐ時は泡がなくなるのを確かめて、なので蓋は開けときます!
そして泡がなくなったら水道の栓を閉めて、脱水です
排水の栓をスライドして開けて、回すんです
すると僕が絞らなくても絞ってくれて、干したらすぐに乾くんです!」
と雪は興奮して説明する
そして「あ!此れはまだ内緒です!洗濯機が有るのは、この屋敷と天照大御神様と素戔嗚殿の所だけですから!
天照大御神様は閻魔様と共同で使われます!
豊乃姫がお帰りになられましたら、此処か天照大御神様の所の洗濯機をお使いになられるとの事です!天照大御神様は僕の洗濯物も此れで洗えば良いと仰られたので、僕の洗濯物も食堂のタオルも此処で洗濯しています!」と話す
炎帝は「当たり前だと思っていたが、魔界には洗濯機はねぇんだよな!
役職持ってるなら使用人を雇い、ソイツ等にやらせれは良いけど、他はそう言う訳にはいかねぇもんな…………」と今更ながら言う
青龍も「今まで大変でしたね雪………」と大変な日々を想い労う
雪は笑って「僕の部屋ねランプあるんです!だから夜は雨戸閉めて過ごす様に烈が言ってくれてランプが使えるんです!
それで沢山の北斗からの手紙や本が読めます
夜でも気にせずに過ごせて………本当に幸せです!」と謂う
今はまだランプさえない家庭が多いのだ
ランプの光なんて漏れてたら、どんな嫌がらせされるか解らない
だから雨戸閉めて大好きな本や北斗の手紙を読んでいれば良い、烈の気配りなのだろう!
炎帝は「さてと、烈迎えに行くぞ!」と謂う
青龍は「時間を遡り帰るので時間差なく来られる様にします!」と謂う
炎帝は「なら雪、大変だろうけどお掃除宜しくな!」と頼む
雪は「お気になさらずに!行ってらっしゃいませ!」と送り出した
青龍は外に出ると龍になり人の世に烈を向かいに行った
その頃の烈は、久遠の所にいた
「地龍はまだ自力で飯も食う力すら残ってねぇからな、体力を戻さねぇと退院は無理だな!
今は点滴で栄養補給してるけど、おもゆから始めている
今の所残さずに食ってるから体力次第だな
それと妻の方、これ以上自傷行為しない為に、管理して貰える施設に送る事にした
うちじゃ目が届かねぇからな!
取り敢えず地龍に、飯を食う様に説得しやがれ!
良いな!食わねぇと弱る一方だからな!」
「了解したわ!それじゃ、地龍に逢う事にするわ!」
「そーしてくれ!地龍は取り敢えず個室に放り込んである!
体力さえ着いたら菩提寺へ行かせて働かせまくれ!」
久遠が言うと一生が「病室、名前出てる?」と問い掛けた
「取り敢えず城之内茶太郎と出してある!」と言い久遠はカンファレンスルームを出て行った
烈は「死にたがりの説得ほど大変なのないじゃない………」とボヤく
「済まねぇな………烈……」
「カズ、一発!とボクが言ったら殴るのよ!」
「了解!殴り倒してやるさ!」
二人はエレベーターに乗り、個室の階へ向かった
個室の階へ行くと「城之内茶太郎」と書いたネームプレートを見てドアをノックした
「どうぞ!」と声がするのを待つが………無音のままだからドアを開けて個室へ入った
すると………個室には康太と榊原がいた
烈は「母しゃん?父しゃん?」と呟いた
烈の声に榊原は振り返り、物凄い笑顔で
「龍王様との会談残ってるそうですね!
なのに勝手に帰っちゃダメじゃないですか!」と謂う
烈は「え?ボクと?聞いてないわよ!それは!」と訳が解らないと謂う
康太は「なら龍王様たっての要望なんだろうな、と謂う事でお前、龍王と話さねぇと閻魔自ら来るぞ!」と謂う
「えんちゃん困っちゃうわね………なら逝くわよ
その前に少し話をしませんか?」
「何の話をするんだよ?」
康太は問う
「父しゃんは四龍の成り立ちを理解してますか?カズにはもう話したけど、四龍の力のバランス、理解してますか?」
榊原は「…………それは知りません、我等は四龍として生を成した、それ以来四龍の役割を全うして来た…………それだけです」と答えた
「もし四龍に地龍欠いだらどうなるか?解りますか?」
榊原は考え込み思考を巡らすが、答えなんて出なかった
地龍は起きて烈と目が合うと深々と頭を下げた
烈は地龍の横の椅子に座ると
「話は長くなるから座りませんか?」と言った
康太も榊原と一生は椅子を持って来て、ベッドの周りに座った
「最初は星詠みの婆婆が異変を察して、ボクとコンタクトを取りたいと八仙に行って来たのよ
だからボクは桃源郷近くの師匠達がいる所まで出向いて話を聞いたのです!
星詠みの婆婆はボクに言いました
このままだと四龍は近い内に力のバランスを崩し瓦解する………と。
その時 ボクは賢者アロイスに四龍の成り立ちを教えて貰いました
元は一つの龍だったが、その膨大な力故に星も壊さん力を皇帝閻魔が脅威に思い、力を分散させた
それが四龍の始まりなのです!
四龍は元は一つの龍だけあって、その一人が欠けると力は衰えて…………四龍は存続すら出来なくなる
………と、聞きました!
そして賢者アーサーは始まりの書の話をしてくれました!
神々が生誕した時に刻まれた星と生誕の記録
それを管理するは賢者アーサー
今回師匠達は神々の力が奪われたかも知れないと謂う仮説を立てました
だからボクは倭の国にいるならば、と、雨神を訪ねに行ったのです!
まぁそれはさておき、師匠は四龍の星も教えてくれました
その星が翳りを見せている、と婆婆が謂う
見えるかしら?」
と烈は指を差し四龍の星を指し示した
康太と榊原、一生の目には………四龍の兄弟の星が見えた
視えたが…………一つの星に黒い靄が掛かり………今にも消えそうだった
榊原は「なっ!!!…………此れは何なんですか?烈!!」と訴えた
「貴方達は今 フルに力は使えない筈!
空を飛んでてもなんか何時もより早く疲れない?」
一生は「…………年かな?と想っていたんだけど違うのな!」と謂う
「青龍が人の世に渡り宝珠を得ずに暮らした日々だとて、四龍の力はそのままだったから、力は使えた筈よ!
だけど今 地龍を失えば……四龍は終わるわよ!
誰かが欠けた力では、四龍は維持など出来はしない!それが理解出来ましたか?」
「ええ………理解出来ました」
と榊原は答えた
康太は「ならば、何で銘があぁまで弱ってるのよ?」と問い掛けた
「銘、見たの?」
「あぁ、地龍の所へ来る前にICUから銘を見た
今 見ないと移動させると謂うから見るしかなかった!」
「銘はね、龍族から結構嫌がらせされていたのよ
夏海もそうだけど、結構嫌がらせ多かったのよ
まぁ嫌がらせは龍族だけじゃなく、神々からも馬鹿にされ、取るに足らないモノみたいな扱いされたからね
今の銘には女神の力さえない
そんな女が何故地龍の妻なんだ?
と、地龍も揶揄され、四龍で一番劣るなんて言われてるのよ!
四龍はどの者も役割があるのよ!
それを謂うなら愛と平和の龍の方がパチモノじゃない!とボクは言いたいわよ!」
一生は「烈ぅ〜」と情けなく謂う
「まぁ四龍の兄弟も役割分担は今後変えるわ!
皆に可視化出来る仕事をさせるつもりよ!
でね、夏海がいた頃はまだ銘も嫌がらせも堪えていたのよ………
でも夏海を人の世にやっちゃったじゃない………
だから銘の中の何かが壊れちゃったのよ
それ以来、銘は外には出なくて、引き篭もる様になって行ってたのよ
銀ちゃんはそんな銘に心痛めていたのよ
烈、私はどうしたら銘を安心させられますか?
何をしたら……銘は笑ってくれますか?
銀ちゃんも追い込まれて行っていてたのよ
そんな時、金龍がボクを殺し掛けたのよ
それで金龍達の事、夏海達の事、地龍の事………
一気に噴出しちゃったのよ
虹龍もね八仙の所へ行くたびにクソ生意気な事しか言えない馬鹿に成り果てたから、半殺しの目に合わせてやったのよ!
だからお馬鹿な子達もテコ入れを始めていたのよ!
でも虹を菩提寺へ先に送り飛ばしちゃったから、地龍を送れなくなっちゃったのよ
だから………流にーに虹の矯正を始めて貰ったのよ!次代の四龍を送ったのも、その為!
足らない尽くしの奴等が四龍を継いだら終わるわよ!父しゃん達が積み上げた功績も名声も地に落とし泥まで塗るからね
矯正中なのよ、それで今少しまともになったから、地龍を虹龍の親だと大々的に公表してやるつもりなのよ
親が子に負けてるなんて情けないわよ!地龍
貴方はさ、もっと早く誰かに助けを求めるべきだったのよ!
貴方は自分の評価低過ぎなのよ!
四龍の中で一番劣ると思ってるの?
まさか、力は分散して分け与えたのよ神祖 龍神は!
だから誇りなさい!貴方は神祖 龍神の子孫なのだと!」
地龍は俯いて泣いていた
「食べない、寝ない、心も体も痩せ衰え、何も見えなくなった
だから星に翳りが出てるのよ!
四龍は均等、どの者が欠けても成り立たない!
オドオドするな!胸を張るのよ!
俯くな!地面しか見えないわよ!
貴方の明日は地面に転がってるのかしら?」
榊原はじれったくて………地龍の胸ぐらを掴んで殴り飛ばしてやりたくなった
「カズ、軽めのジャブを!」
と烈が言うと「了解!」と榊原よりも速く地龍の胸ぐらを掴み、頬をパシンッと叩いた
「こんなもんか?烈?」
「そうな、殴り飛ばすのが解らせる手段じゃないからね!
貴方さ、どれだけ母を泣かせれば良いの?
銀龍が息子の変化を解らないと思ってるの?」
地龍はボロボロ涙を流して
「母さん……」と呟きシーツを握りしめた
「カズ、後は頼めるかしら?
3日後には菩提寺へ連れて行きたいのよ
だから体力着けさせて!」
「了解!」
「じゃ、ボク魔界へ行って来るわね!」
烈が言うと榊原が「僕が乗せて行きます!」と言った
康太も「だな、お見送りの儀あるやんか!戻らねぇとな!」とボヤいた
3人は隣のマンションへ移動すると、屋上から龍になり魔界へと向かった
康太は「夏海や銘が虐められてるなんて………知らなかったな………」と呟いた
「母しゃんのペットの火龍っていたじゃない!
あの人達、今は魔界にいないわよ!
行き倒れている所を賢人ノアが拾って、冥界近くの溶岩山で生活させていると、前に聞いたわ
余所者………ってのは魔界では生き難いのよ
ボクも途中から魔界に来たから、虐めの限りを尽くされたわ!
生きてる方が辛い日々を送っていたわ………
夏っちゃんは強いから、そんな奴等は気にも止めずに生きられるわ
でも銘は違う、彼女は女神の力を奪われた何もなくした負い目しかない!」
康太は「そう言えば火龍と飛龍………いつの間にかいなくなっていたな
親父殿の所へ行っているのかと想っていたが、違うんだな………そうか………虐められていたのか……」と呟いた
「まっ、陰険な事しか出来ない奴はなくなりはしないと謂う事よ!
どうしても虐められちゃうと引き篭もるからね………そして自己嫌悪に陥り……死のうとする
そんな銘を傍で支えて地龍も限界だったのよ
ボクみたいに虐めた奴等皆を恨んで復讐する奴もいるけど、地龍と銘は絶えたのよ
只管 堪えて 耐えて 絶えたのよ………」
「お前の復讐は命懸けやったやんか!」
「でも貴方は最後の晩は自由にして良いと言ってくれた!
だからボクはニブルヘイムに会いに行けたし、お別れを言えたのよ!
そしてニブルヘイムの眼を貰えた………
だからボクは貴方の様な慈悲深い人になりたいんだけど………中々難しいわ!」
榊原はクスクス笑いながら飛ぶ
康太はそんな深くは考えてなかった……とは言えなかった
康太は何も言わず烈を抱き締めた
烈は嬉しそうに笑い「オイルどうだった?父しゃん!」と問い掛けた
榊原は「凄かったです!最高でした!また下さいね!」と謂う
「まだまだ改良してる最中なのよ!
自分で使う訳にはいかないじゃない!
だから乳牛に使ったり、豚獣に使ったりして効果を確かめていたのよ
で、発情しまくるのを確認して黒ちゃんに渡したのよ!
まぁ黒ちゃんにどうだった?って聞いても惚気しか聞けないから………ね!」
話をしていると閻魔の邸宅へ到着して、青龍は妻子を下ろすと、人の姿に戻った
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