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第14話 百折不撓 ❹

悔しい思いも沢山しただろう……… 自分にもっと力があれば…… そう想い魔界図書館の呪術系の本を総て読んで力をつけようとしたのだろう… 素戔嗚尊は呪術に優れ、大地を自由に操り天候させ変えてしまう力を持っていた そんな祖父の孫なれば………死に物狂いで聖神は学んだのだろう… なのに聖神は誰一人殺める事なく、復讐を遂げた 裁かれる為だけに復讐をした 処刑が決まると聖神は自分の持ってる物全てを処分して家まで処分した 何もかも綺麗サッパリ消し去り……葬り去り…処刑される事を望んだ………… そんな思いをした烈ならば、【力】は生きて逝く糧になると言えるのだろう…… 康太は「まぁ力は有って困るものじゃねぇかんな!心技体を鍛え上げるのは武士道では必要な事だしな!鍛え上げられれば良いんだよ!」と言い烈の頭を撫でた 崑崙山へ飛ぶ前のモデルルームに到着すると、榊原は少し離れた公園に気配を消して降り立ち烈と康太を下ろし、人の姿に戻った そして車を取りにモデルルームへと向かう ………が、モデルルームは真っ赤な火柱が上がって消防隊員が消火活動をしている最中だった 烈はそれを遠目で見て「やってくれたわね! モデルルームと崑崙山のボクの家、同時に狙ったのね!なら素戔嗚尊の家も狙われたのかしら?」と不安げに呟いた 火事の現場に飛鳥井遼太郎 瑛太郎 宗太郎が検証に立ち会っていた 遼太郎は人混みの中に烈を見付けると駆け寄り 「烈!!モデルルームから出火したと警察から連絡があり来たのです!」と告げた 烈は落ち着いた声で「出火原因は?」と問い掛けた 「それはまだ判りません! 鎮火してからの検証になります!」 四方八方 防犯カメラが仕込まれているのだ 烈は【R&R】企業向け調査会社の社長をしている暦也に連絡を取り 「開発地区マンションのモデルルームが燃えたのよ!」とラインを送った 『モデルルーム?んなの燃やす意味あるのかよ?』とボヤいた 「用心して其処を使ったから、ボクんちと勘違いしたのかも………」 『それならあり得るか………了解、防犯カメラ調べて不審なのいたら警察に連絡してやる!』 「頼むわね!」 と、一応、放火ならば犯人は映っているだろうと踏んで頼む まぁ崑崙山にいた時の様に火球か?ミサイルか?ならば防犯カメラには映らないが…… それなら一点集中してモデルルームだけ燃やすのは不可能になる あんなのが堕ちて来たならば……この辺一帯が火の海になる モデルルームだけ燃えてる現状なれば……それは放火と見て間違いないだろう! 榊原はテキパキと指示を出して、出火の状況を警察関係者に問い掛けて遼太郎達に他の場にモデルルームを設ける様に準備して会議に掛けられる様になさい!と指示を出した 烈は犯人は必ずや現場に戻る!なんてドラマでは良く見る定番がなきゃ良いな……と安易に考えていた すると突然 人混みからナイフを持って来た女が飛び出し、烈目掛けて突っ込んで来た が、烈の前にケントが出て庇い、烈を護ったケントが刺された だがケントは怯む事なくナイフを突き刺したまま、女を投げ飛ばし取り押さえ、その場にいた警官に女を突き出した そして「ナイフには一切触れてません!なのでその女が現行犯なのは明白! まぁこの近くは防犯カメラならば、わんさかと仕込んでいるので紛う事なく、烈を狙っていたと証明出来ます!」と言ってのけた 康太は榊原に「久遠に連絡入れていてくれ!」と言った 榊原は即座にケントが刺された事を告げた 久遠は『直ぐに連れて来やがれ!』と叫んでいた 康太は刑事に「この辺りの防犯カメラは烈が把握して取り付けの指示を出している! そして防犯カメラはARЯK警備保障が管理している そちらへ聞いてくれ! オレはケントを病院に連れて逝くかんな! クー プー ルー スー、烈を護りやがれ!」と言い警察の許可を取りその場を離れた 暫くするとその場に飛鳥井暦也がやって来た 警察官は暦也を眼にすると、姿勢を正した この度 暦也は正式に有栖院家の麻莉亜の婿として、黄泉の旅路に出る前の置き土産だとばかりに、翁が正式に発表した まぁ発表と言ってもテレビとかのメディアに公式に出すのではなく、政財界の人脈に正式に公表したのだった その中に警護対象である飛鳥井暦也の名もあり、顔を知らされている警察官は姿勢を正し敬礼した 翁は既に各方面に有栖院家の総ては【後継者】が継いだ事を発表した その【後継者】が有栖院家総ての資産を引き継ぎ、頂点に立つ事になる! だがその発表を、何の準備もなくすれば、有栖院家の後継者の命を狙う者も出て来る始末となるのは明白 有栖院家の血を引く末端までは騒ぎ出す騒動になる そう見越した翁は『総ての発表をする前に準備が必要だろう!』と謂い 国内最大の警備会社を暦也に与えた テレビのCMでも目にする程の最大手の警備会社を暦也は相続した 翁は『歴代の翁がそうして後継者を護って来たのじゃ! 我はそろそろお呼びが来る故、その役目は我ではなくお前がやれ! お前が我が子を、そして後継者を命を懸けて護るがよい!』と言った 暦也は知人のツテを借りて、後継者を護る為にイギリスからSPのプロを来日させARЯK警備保障の中にSP部門を取り込み、拡大させ要人警護に乗り出す事にした ARЯK警備保障は国内最大の警備会社と合併した事により、国内最大の警備会社となった その手腕は見事なモノで、翁も心置きなく旅立てると喜んでいた それに伴い、資産の整理も始めた 膨大な会社を取り纏めるのも大変になって来たと謂う事で、会社も見直し整理を始めた 有栖院家総資産 系列会社 全ての権利は後継者が引き継ぐと翁は発表した そして整理する会社のリストの中で国内最大の生コンの会社は烈が相続する事になった 康太は国内最大の輸入材木会社を相続する事になった そして自分の所有している資産の総てを有栖と栗栖と烈に分けて、自分は身一つになり 120年生きた人生に終止符を打つ事にした 己の死後 遺産問題で異議など申されない為に、会社ごと譲渡したのはそんな訳があった 翁を引き継いだ次代の当主が、少しでも駒を動きやすく出来る為に…………と人材の整理と会社の整理を行う 有栖院家は戦後から高度成長期を支え続けた 戦前は華族と呼ばれた貴族社会に生きた家柄だった その家柄は今も受け継がれ、倭の国の歯車に組み込まれた企業を育て君臨していた 有栖院家は歴代天皇の側室を送り出す事により、莫大な資産を手に入れて来た 幕府が終わろうが天皇が変わろうが、その立場は変わる事なく受け継がれて来た その翁が後継者を発表したのだから、一族の者は元より、政財界等も震撼させる出来事となった 表の世界には一切出る事のない有栖院家 その由緒正しき家は倭の国の経済を支えていた 莫大な資産のお溢れに預かろうとする者は何処にでもいる 飛鳥井暦也ならば、そんなハイエナを跳ね除け、後継者を守れると確信した 風雲児に惚れた娘には手を焼かされたが、今となっては娘の目は確かだと謂う事なのだ 飛鳥井宗右衛門が認めた存在 飛鳥井家真贋が一目置く男 彼に後継者を託したとしても、宗右衛門の目の黒い内は大丈夫だろう!と謂う安心感も在った その極秘の存在が現れたりするから………… 警察官は上役、署長まで駆り出され対処する事になった 暦也は防犯カメラを調べに来いと、大まかな事を告げると会社に戻った 烈もある程度話をすると、遼太郎に後は託してタクシーを呼び会社へと急いだ モデルルームをどうするか?考えねばならないからだ! 車内で烈は一生に「カズ、今時間あるかしら?」とラインした 一生は烈からのラインを気付くと直ぐに返信をした 『あぁ、今飛鳥井に還るつもりで車の運転中だ! 今は信号待ちだから、返信したんだよ!』 「飛鳥井の家に還る前に病院に顔を出し欲しいんだけど?頼めない? 母しゃんと父しゃんが付き添ってくれてるけど、ケントが刺されちゃったのよ……… だから見て来て欲しいのよ!」 『え?ケントが?何が在ったのよ?』 「詳細は病院にいる母しゃんにでも聞いてね! ボクは開発地区のモデルルーム燃やされちゃったから、会社に行かないと駄目なのよ! だからお願い出来ないかしら?」と頼んだ 一生はそのラインの内容を見て心配した 『烈、大丈夫か?ケントは病院に行き見て来てやる! 開発地区のモデルルーム燃やされたって………放火か?お前は大丈夫なのか?迎えに行こうか?』と心配してラインを返してくれた 「ボクはタクシーの中よ! 此れから会社に逝くのよ! 放火されたなんてニュースで流れると………マスコミ来るから対策を考えないとなのよ! 後 モデルルームなしで、マンションは売り込むの難しいからその対策もしないとなのよ」 『ならケントの状態だけ確かめて、会社へ顔を出してお前の仕事を手伝ってやるとするわ!』 と言ってくれた 「カズも忙しいのにゴメンね!」と返す 澄香の形跡を追って来るのは解っていたが………… まさか放火されるとは………甘かった 火災保険は掛かっているが………簡単に燃やされて良いモノなどないのだ! そして放火の場合、モデルルームだと補償を受けられるか?と謂う問題も出て来るから、頭が痛い現実が待ち構えているも同然だった 会社に到着してタクシーを降りると、一階正面玄関から入り、受付嬢に挨拶してエスカレーターに乗る その時、水野と出会し、烈は「お時間あるかしら?」と尋ねた 水野は書類を持ち固まっていると、愛染が水野の書類を持ち「この書類は俺が提出しとくから、行っておいで!」と言った 烈は「あ~愛ちゃんもしろたんと一緒に後で面談室に来てくれないかしら?」と謂う 愛染はハッと表情を曇らせ「了解しました!」と答えた 烈は水野と共に五階へ向かった 面談室の前逝くとIDを翳してロックを解錠した ドアを開けるとサクサク中へと入る ソファーに腰を下ろすと、水野も覚悟決めて面談室の中へと入りドアを閉めた 烈は水野に「もう直ぐ2年になるわね、どう?目は醒めたかしら?」と問い掛けた 水野は「はい!この前一色が貴方と面談したと言ってました! 僕は事務仕事が性に合ってるので、このまま事務関係に残りたいです!」とハキハキ答えた その顔はもう悲観した顔ではなかった 「事務仕事?それはどれを指してるの? 経費査定 電算室 経理課 総務 人事 資材管理課どれ? まぁどれでも貴方の好きな場所に行かせてあげるわ!」 「電算室が僕の性に合ってます!」 「そうね、貴方は不正を見逃さない的確な数値を調べるのにずば抜けて凄いと中村も言ってたわね なら来年 仕事始めの日から電算室に定着しなさい!その様に告示で皆に知らせる事にするわ!」 水野と話を終わらせようとしていると、ドアがノックされた 「どうぞ!」と謂うと会社に顔を出した一生が愛染と城田と共に立っていた 水野は「ならば、僕は此れで失礼します!」と言い部屋を出て行った 一生はソファーに座ると「ケントは入院するまでもねぇと手当てを受けて家へ帰らせた! でねぇと仕事しようとして車に乗り込もうとしていたからな、伊織が帰らせたんだよ!」と言った 「2、3日は休養取らないと駄目かしら?」 と烈が心配して謂う 一生は「直ぐにでも復帰する気でいたのを、無理矢理帰らせたんだよ! 明日には通常業務に戻るだろうさ! それより………愛染と城田かいるって事は………瀬能の事か?」と問い掛けた 烈は「あら、カズは良く見てるのね?」と謂う 「いやいや!良く見てなくても、食堂で通夜みたいな顔してれば気になるだろうが!」 「あのさ、ボク、腕を治す旅に出てたりしたから………何時からあんな風なのか?解らないんだけど?」と問い掛けた 愛染は「ここ最近はずっと浮かない顔をしていた………… だけどアイツは時々だけど…………こんな風になるんだよ…………」と辛そうに話す 城田も「愛した恋人を……目の前で亡くして…辛い想いをしていた時があるんだよ………立ち直ったと思っても時々はあぁなるんだよ…………」と答えた 城田の言葉に烈はPCを操作しつつ、瀬能の星を詠む 「愛した人ならば………余計別れは身を引き裂かれる程に辛いモノだもの…… ふとした瞬間、胸に突き刺さり思い出す 愛が深い程、虚無感は半端ないからね……… ボクも愛した人を護り切れないと……愛する人の手を離して………それ以来胸に突き刺さる想いは中々自分では持て余してしまうのよ……」   本音を吐露して、ほんの少しだけ弱音を漏らす 烈はPCの画面から目を離す事なく、運命を詠んていた が、突然顔を曇らせ「カズ、瀬能ちゃんをせんせーに頼んで銘と同じ病院に入れてくれない?」と頼んだ 一生は眉を顰め「それって瀬能は……何処か切ってるって事なのか?」と問い掛けた 「此れ見てよカズ!ココ、運気が地を這う様に低迷してるじゃない! 今の瀬能の精神状態は地を這う気分なのよ! そんな奴は何かと共感したら躊躇する事なく死ねるのよ…………ボクがそうだったようにね……… 死を視界に入れてるヤツって極端に思考も視野も狭くなるのよ! そして………愛した人に未練を残し過ぎてて後悔ばかりしてるのかしら? だから彼女の幻影でも作り出して見れちゃうし、呼ばれれば喜んで死んじゃうわよ もう己の思考は停止して何も出来なくなってるのね……… 今は心を無にして仕事してるけど、其の内仕事も儘にならない程に死に焦がれ、死ぬ事でしか救われない………とか思っちゃいそうね! 先ずは心のケアをして闇を抜いて、菩提寺に放り込むわ!」 一生は「…………其処までになってるとは………」と言葉もなかった 「此れを見てよカズ、しろたん、愛ちゃん!」 烈が言うと皆PCの画面を凝視した 「瀬能ちゃんの運気はこの先低迷を続け………ほらココ途切れちゃう可能性を残している 今手を打たないと途絶えるわよ! それは即ち、死する事しかないのよ!」 一生は「うし!俺と愛染と城田で瀬能を久遠の所へ連れて逝く! そして久遠に銘が入った病院へ頼むと謂うわ!」と愛染と城田に目配せした 愛染と城田は立ち上がると、城田は 「一生さんは車で待ってて下さい! 俺と愛染で瀬能を連れて逝きます!」と謂う そして三人は面談室を出て行った 烈はエレベーターのタッチパネルを操作してエレベーターを呼んだ ドアが開くと乗り込み6階へと向かう 6階で停まると烈はエレベーターを降りて宗右衛門の部屋へと入って行った 部屋に入ると秘書を呼ぶ 西村がやって来て「火事どうなった?」と問い掛けた 「遼太郎達が残って処理してくれてるわ! ボクはモデルルームを新たな場所に設置しないと駄目だから会社に戻ったのよ!」 「康太と伊織が戻ったら役員集めて会議開くしかねぇか?」 「そうね、それしかないわね 報道規制とか………どうするか?話もあるしね」 「なら二人が戻ったら会議室用意するから、用意出来たら内線で呼ぶ!」 西村が出て逝くと、烈は溜息を着いた 何でこうも次から次へと出て来るのよ? きっと烈がいなかった頃の康太も、こんな事態に何度も遭っているのだろう…… それを仲間や愛する人と共に、時には一人で立ち向かい片付けて来たのだ……… 烈は今後の対策を考えて、打てる手は打とうと、色々と仕事していた かなりの時間が経ち、仕事に没頭していると内線が鳴り、烈はスピーカーボタンを押した 『用意出来たから一番大きな会議室に来い!』 康太の声だった 烈は6階に作った一番大きな会議室へと向かった 倉庫と化していた部屋と、烈が寝泊まりしていた部屋を壊し会議室にしたのだった ドアをノックして中へ入ると!相談役 会長 社長 真贋 そして各部署の部長クラスの人間が勢揃いしていた その中に唐沢と西園寺維弦を見付けると、烈は何も言わずに席に着いた 康太は「先ずはモデルルームの火災からな! ケントを刺した女が防犯カメラにガソリンばら撒いて火を点ける姿が映りだされていた 暦也が動いて防犯カメラの映像を警察に提供して、女には余罪が着いた で、その女………大仏の息の掛かった女だった」と説明した 烈は「あぁ、だから唐ちゃんと維弦が出て来るしかなかったのね!」と納得した 唐沢は「洗脳されてるのか、壊れたカセットテープみたいに一つの事しか言わない! 『此れは聖なる粛清の証!此れは穢れた存在を火刑に処さねばならぬ大義!此れはあの方に報いる善行であり大義である!』とまぁ暗記する程に同じ事しか言わねぇんだよ! 取り敢えず頭のチップは警戒したが、あればチップと謂うより洗脳に近いな!」と説明した 「なら補償問題は責任能力ないのかしら?」 「責任能力問われれば、精神鑑定の結果だから、何とも言えねぇし、途轍もない時間を要する すまねぇ………俺等は何の力にもなれねぇ!」 「野次馬沢山来てたじゃない? どう処理する気なの?」 「其処なんだよ………誰もが納得の表面の公式な動機考えて貰えません?」 「大仏の女は警察の中なのよね? そして大仏も、外に出てない なら誰が指示出したのよ? まぁ………海坊主だろうけど………死者なのよね」 「生きてる者で何とか!」 「なら、あの女は精神錯乱してて、この前死した門倉の女って事で発表したら? 門倉がボクの暗殺に乗り出してて、メンバーは逮捕され門倉は事故死した 故の逆恨みとか、どうかしら?母しゃん?」 考え込んでいた康太だが、話を振られて 「だな、それしか納得いく説明なんてねぇよな……本当に厄介な事してくれたな! こっちは保険も下りるか解らねぇのに、新たなモデルルーム作らねぇとならねぇんだからな!」 と康太はボヤいた 維弦は「西園寺家の空きショールーム有るですが、其処をお貸ししましょうか? 祖父なれば喜んで宗右衛門に協力してやれ!と申すでしょう!」と提案した 烈は地図を出すと維弦にPCを向けて 「どこらへんなの?」と問い掛けた もう借りる気満々の烈だった 維弦はマップを操作して売り物件の近くの結構繁華街の場所を指さす 烈は「このビル?」と問い掛けた 維弦は「そうです!一階の道路に面したショールームです!」と答えた すると康太が「烈!棚ボダやんか!」と言った そして二人はハイタッチして喜んでいた 「母しゃん!タイムロスなくモデルルーム開けるわね!」 「だな、宗右衛門肝いりのマンションだからな、頓挫したら母ちゃんや父ちゃんがぶっ倒れるかんな!何としてでも成功させるぞ!」 「そうよ!成功させましょうね! ありがとう維弦、今度お茶奢るわよ! そしてもっと大盤振る舞いしてあげるわ! 料亭なら、唐ちゃんの班の人全員ならば奢るわよ!」 維弦は「それは嬉しいよ烈君!」と喜んだ 唐沢は「ならば所轄の刑事と連携して報道へはその様に流すとする!烈の名を出しても?」と問い掛けた 「良いわよ、どうせ野次馬は飛鳥井建設のモデルルームっての知ってるからね……… その燃える様をアップしまくってると想うから仕方ないわ!」 「では、俺等はこの辺で! 烈、奢ってくれるなら、この山を乗り越えてからにしてくれ!」 「何時でも時間が取れたら言ってよ!」 「あ、忘れる所だった お前………摂家 近衛の家に何の用があって近づいてるのよ? 護衛に当たってる方から、飛鳥井烈が接触してるんだが……… どうしてか?聞いてくれ?との話が来たんだよ」 「それは摂家 五家 近衛家に養子に来られる方との調整に尋ねているのよ! 摂家 五家 鷹司の方から後継者の話が来てね それで後継者となるべく存在を見繕ったのよ 他意はないわ………まぁ警戒されても仕方ないけどね、気になるなら鷹司緑翠に尋ねられると良いわ 近衛の家は後継者がいない このままだと御家断絶も視野に入れねばならぬから、鷹司家が動かれているのよ」 唐沢は「え?そんな事情があり動いてるのか…… この事は護衛の者に話しても構わないか?」と尋ねた 「良いわよ!でも極秘にしておいてね! 近衛の家に養子に来たい奴なら五万といるから、知ったらどんな妨害に出るか?解らないからね!」 「護衛の者は口が硬い、護衛する死命があるからな!ペラペラ話すような奴は護衛にはならないからな!ではその様に伝えておく!」 「まぁ其の内表に出る話だけど、時期とタイミングがあるのよ! それを無視したら全てが台無しになるのよ だから極秘に漏れる事なくお願いね!」 「了解した!ならば奢って貰える日を楽しみに頑張るとするか維弦!」 「そうですね、そんな楽しみないと、やってられませんからね!」 「それじゃ報道各所には所轄の警察と連携して流すとする!ならまたな、康太、伊織、烈!」 「後で西園寺の方からショールームの鍵を持って越させますね! そしたら直ぐにモデルルームを再開させて下さい!少しでも協力出来て僕も祖父も嬉しいです!では、またね!烈君!真贋、伴侶殿!」 と言い唐沢と維弦は帰って行った 康太は直ぐ様、召集した役員達と共に、燃えたモデルルームの家具をどうするのよ?とか話し合いを始めた モデルルームを作ると謂うのは、その空間に生活が在る風に作らねばならないのだ 快適な空間、スムースな生活動線、其れ等を織り交ぜて家具の配置をする! 観葉植物も使いその空間を作り上げる 烈は「レンタルの観葉植物………補償問題どうなるか?話をしないとね………」と気が重い風に言う 榊原が「観葉植物の業者に問い合わせてみないと、ですね………」と資料を開く 今後の話し合いをしている間に、西園寺家からモデルルームとなる物件の鍵が届けられた 鍵の管理は遼太郎兄弟がなり、秘書課預かりとなった 家具の調達と観葉植物のレンタル それを各々役割分担して片付けて逝くと話がついて、会議は終えた 会議が終わる頃、もう終業の時間はとっくに過ぎていた 榊原は烈に「ケントは今日は休ませました!なので君は僕の車で帰りなさい!」と謂う 烈は康太と榊原と共に地下駐車場へと向かい、飛鳥井へと帰った 車の中で康太は「瀬能、どうなった?」と問い掛けた 「銘と同じ病院へ入れてくれる様に頼んだわ 切ってるからね……視えない場所を切って切って、切りまくっているから………少しの休養が必要なのよ…………」 「あんで切りまくってるって断言出来るのよ?」 「運気の低迷、そして生命の危機 事故でないなら、己で死ぬ自死しかないのよ なら………と調べたのよ それで多分だけど……切りまくってるんじゃないか?って………でも腕を捲り上げて見た訳じゃないからね………あくまでも憶測の領域は出てないけどね………」 「憶測じゃねぇ現実だ! オレと伊織が帰ろうとしてると、瀬能が一生と愛染と城田に連れられて来たんだよ! で、オレと伊織も気になり久遠の所へ着いて行ったんだよ! 久遠も瀬能の弱り具合を見て怒り狂っていたな そして即座に診察室に連れて逝き服を脱がせた そしたら身体中切り刻まれていたから、久遠は即座に銘を入れた病院の友人に連絡を取っていた 下手したら銘よりも重症だ!って怒り狂ってたぜ どうしてあぁなったのよ? って言ってもオレ達は魔界にいたから経過は解らねぇんだよな………」 「愛染と城田は愛する人を亡くした想いに囚われてるんじゃないか?………と言っていたけど…… あれは囚われてるレベルじゃないのよ! 今も血を流している傷に塩を塗り込んだみたいに傷付いているのよね……… まぁ何度も病院へ行き逢って話して聞こうとは思っているわ 取り敢えず、心も体も弱ってるから病院に入れたかったのよ」 「良い判断だ! 判断を間違えれば死へ突き進むしかねぇ眼をしていたかんな……… アレがギリギリラインだっと想う!」 「ボクの眼は母しゃんの眼と違い果ては詠めないからね…………」 「でもお前はオレの眼に匹敵する星詠みの力を得ているじゃねぇかよ!」 「その精度はあまり高くないのよ……… 顔も知らない相手は皆無だし、長い間離れていたりしたら、詠むのも困難だからね」 「離れていたら、オレの眼だって何も映らねぇよ!オレの眼だってそんなに性能の良い眼じゃねぇかんな!」 「そうなの?ボク、母しゃんは凄い眼を持ってるんだと想った!」 「んなに凄くねぇよ! お前やレイが闇を映す様に、オレは果てを映す だけどそれは分岐点に来てなきゃ何も映らねぇ! オレは瀬能は視えなかったかんな………分岐点に来てなかったのか?と想わず想っちまったぜ!」 「母しゃんは魔界に来る前に瀬能ちゃんを眼にしたの?」 「あぁ、三人で食堂にいるの、何度もみかけたぜ!」 「なのに何も映らなかった?」 「烈!!」 物凄い悪意を感じて康太は叫んだ 烈も「母しゃん!」と叫んでいた 此れは悪意以外の何物でもない! 「ならば少し体を休めた後に記憶を遡り確認に行くしかないわね! 弥勒使えねぇから紫雲龍騎使うしかないわね!母しゃん!」 「だな、入院させて少し落ち着いたら、瀬能の記憶を紡ぎに行くしかねぇかんな!」 「ならばボクも同行して見に行くわ! 多分……何か仕込んでたら、紫雲じゃ荷か重いわ」 「ならオレも同行する! 我が社の社員に手を出そうなんて巫山戯た真似は許せねぇかんな!」 榊原は「当然僕も逝きます!凍らせて即座に叩き潰して差し上げます!」と言った 飛鳥井の家に到着すると立体駐車場一階の関係者専用のゲートをIDを翳して開けると、榊原は車を停めた そして康太と烈と共にマンションへ入ると直ぐに管理室に行きモニターを確かめる そして不審な人物がいないのを確認して裏へと向かう 気配が在る時はマンションへ上がり、仕掛けて来るのを待つ 裏へ逝くまでに細工がしてあり、不審なものがその領域に入り込もうとしたら無間地獄へ堕ちる様になっていた 閻魔が精査して闇に染まってなければ浄化して現世に戻してくれる様に話をしてあるのだった 今回はマンション裏の自宅へと還る 家に還るとレイが飛び出して来て烈に飛び付いた 烈は笑ってレイを抱き締めて「どうしたの?レイたん?」と尋ねた するとレイはニブルヘイムの声で 「ケントを刺した女………真っ黒でした それは貴方の眼でも解りましたよね?」と問い質した 「それは視えていたわ!」 「ならあの女の後ろに見知らぬ男が視えましたか?」 「それはボクには視えなかったわ 母しゃん!父しゃん!」と両親の顔を見た 兄達がレイを呼びに来て 「レイ話があるなら応接間で話をするのよ!」と言い烈も両親も応接間へと押し込んた レイは榊原に買って貰ったキッズ携帯を額に押し当てて「う〰️ん う〰️ん う〰️ん」と烈と同じ様に唸りながら目を瞑っていた 康太は「烈と同じかよ!」と笑っていた 榊原も「便秘かと心配になります!」と謂う 兄達は頷いていた 念写が終わるとレイは携帯を康太に渡した 康太は携帯を受け取り、画面を見ると……………固まった 榊原も覗き込み「………!!」と驚いていた 携帯の画面には弥勒院厳正が映っていると想いきや………厳正の弟子の那智の姿が在った 康太は「那智やんか!やはり……海坊主の手下になっていたか………」と呟いた 榊原は「康太、この画像の端っこに見切れる様に海坊主がいます!」と謂うと康太は 「え?嘘!」と再び画面を凝視した すると弥勒院厳正が那智を操る様に背後にいた 烈は「この映像、ボクの眼から視えていたの?」と問い掛けた レイは頷いた 烈は「ボクは其処まで視えてなかったわ………まぁケントが刺されちゃったから驚いてそれ所じゃなかったんだけどね……… この人が那智って言うのね…… フルネームは神取那智……」 烈はサコッシュの中から閻魔帳に載っていた資料の写しを取り出し、PCを取り出してホロスコープを操作して、神取那智の生い立ち、人生の経緯全てを打ち込み、レイの念写の神取那智の顔を見て操作する PCは物凄い速度で、神取那智の運命を読み解こうと作動していた 狂った様に画面はコロコロ変わり、数字の羅列が画面にコロコロ変わって表示される 烈は黙ってそれを見ていた 榊原と康太とレイも黙ってそれを見守っていた すると突然…………外から『ぎゃぁぁぁぁぁ!』と謂う声が響いた 烈は背筋が凍り付く様な笑みを浮かべ 「ホイホイいっちょ上がり!」と呟いた 流生が「ホイホイ?それってGの御屋敷の事?」と問い掛けた 「そうよ!我が家に来ようとする歓迎してないヤツ(害虫)の事を言うのよ!」 そう言い烈は首に下げた八咫鏡の欠片を手にすると 「えんちゃん、海坊主の関係者が無間地獄に堕ちたのよ!不在の魂の回収をお願いね!」と呼びかけた 直ぐ様 閻魔の声が響いた 『了解しました!直ぐに回収に向かわせます! 心配していた素戔嗚殿の屋敷は、レイの総結界で難を逃れて無事です!当然 素戔嗚殿もピンピンして今 無間地獄に堕ちた者を回収しに行きました!』 「じぃさんピンピンしてるなら良かったわ 人の世の弥勒を連れ込んだモデルルームは燃やされたわ! その処理に当分は忙しいけど、馬を貰うから行かないとなのよ!」 『羅刹天殿と神髄師殿は人の世の週末に来るので、予定は入れないで下さいね!』 「了解したのよ!それなら海坊主の関係者の回収お願いね まぁ神取那智なら、苦労なく戦力潰せるんだけど、そんなに簡単じゃないだろうからね! 海坊主関係のヤツだからお願いね!」 『閻魔帳に載ってる者なれば、閻魔帳が開かれ総てが明らかになるので大丈夫です! それでは確かめに行きます!』 そう言い、通信は途絶えた 烈はPCを床に叩きつけて 「電波を追って来たのかしら? それとも………気配?………何かしら? 電波を追うのは無理だと思ったんだけど……… なら何故追って来れたのかしら?」と不思議そうに呟いた 翔が「媒体があるから追えるとか?」と口にする 流生が「だね、それか式神か何か仕込まれたのか?」 音弥は「何か渡されなかった?」と具体的な事を聞く 太陽は「名刺とか、烈なら差し入れとか?」と問い掛けた 烈は「ボクは昼過ぎに会社に行ったから、何も貰ってないのよね………名刺交換した相手もいないし 新たに建築してるマンションのモデルルームが燃やされて、その煙は吸ったけど……まさかね……」と不安げに呟いた 康太は「だからこその放火だったのか?」と口にした 榊原は「ならば放火の時に何かしたのですね?」と訝しんで謂う 「ボク 少し早いけどイギリスへ逝くわ! 家族とは少し間を空けないと被害が来る可能性があるからね…………」 康太は烈を抱き締め 「面倒事は家族で片付ければ良い! お前だけが被らなくて良い! オレ等は………その覚悟の上で飛鳥井を名乗っているんだからな!」と言った 翔も「そうだよ!烈!僕達は兄弟なんだから、荷物は分け合おうよ!」と言い烈を抱き締めた 流生も「僕らは飛鳥井の六人兄弟なんだからさ、皆で乗り切って行こうよ!」と言い弟を抱き締める 音弥も「だね、僕らも少しは役に立てる様に鍛えてるんだからさ!」 太陽は「烈はさ、少しは僕等の事を信用してよ!」 大空は「烈が怪我する方が僕等は辛いんだからね!」と言い 兄達は烈を抱き締めた その上にレイが飛び付き、凛と椋も飛び付いた 仲の良い兄弟とちっこいのだった 流生は「さぁお風呂で清めようね!レイ、烈を清めるのよ!」と謂う レイは「れい、ぎゃんびゃる!」とガッツポーズをした 兄弟とちっこいのが応接間を出て逝くと、康太と榊原も部屋に行きお風呂に入った そして煤も穢れも祓うと、キッチンに行き何時も通りに食事を作り皆で食べた 清隆は「後少しで12月ですね!慌ただしくなりますね!」と謂う 玲香も「Xmasイベントがあるからな、見るのが楽しみだわい!」と嬉しそう 絶対に失敗は許されないXmasイベントが其処まで迫っていた 烈は翌日から更に精力的に動いていた 近衛の後継者となるべく者の筋道は年内に軌道に乗せねばならない! その為に魔界へ行き、安曇貴也に逢いに向かった そして貴教、敦之を見て一陽も眼にして頃合いを確かめた そして貴也を連れて人の世に戻った まずは菩提寺へ連れて行き、城之内に逢わせた 保養施設の3階に通された烈は、テーブルの前に敷かれた座布団の上へ座った 「城之内、今日から菩提寺に住み込む安曇貴也よ 彼は一年位、菩提寺で預かって欲しいのよ 午前中は菩提寺でお勤めして午後から鷹司の方へ通わせるから、午前中は他の子と同じ様にお勤めさせてね! それと、車とバイクの免許、再交付させて欲しいのよ 頼めるかしら?」 「倅に警察署に行き再交付の手続きをさせよう! で、彼は一年預かれば良いのか? その後はどうなる?」 「近衛の家に養子に入れて、政治家としての階段を上がって貰うつもりなのよ!」 「それは本人が了承してるのか?」 「ええ、本人の了承なくして果てへは導けない また本人が覚悟して進まねば、心が折れて頓挫してしまうしかない険しい道だからね! 覚悟を決めて進まれるのよ!」 「了承した!ならば此れから倅を呼ぶから、後は竜之介に話してくれ!」 そう言い城之内は倅を呼ぶために、席を離れた 烈は「近い内に登紀子と勝也、そして貴方の弟の貴之とその妻に会わせるわね!」と言った 貴也は「…………あの人達には会わせる顔などありません………」と答えた 「貴方はさ養子になり姓は変わるけど、親子である事実までは変えられませんから!とボクに言ったじゃない! まさにその通りだから、合わせるのよ 貴方の道は【安曇】の轍から離れてしまうけど………それだけの話なのよ 貴方の両親は安曇勝也と登紀子なのよ! そして近衛の両親を親に持ち、貴方は己の道を行きなさい! そうすれば、自ずと貴方の道が視えて来るからね!」 「はい!私は………弟の教育係として政策秘書に収まり、生涯を終えると思っていました………」 「貴方も政治家の親を持つ子として、父親と同じ様に生きたい………そんな想いが有ったんじゃない? そんな自分の想いを押し込めて、真贋の望む果てへ逝こうとした……… だから歪んでしまったのよ! 歪んだ視界では真実なんか見えはしない 貴方は迷路に迷い込み迷子になった だからボクが軌道修正を掛けて、貴方の進むべき道を示した! さぁ、今後の貴方の道は照らしてあげるから、貴方は想いのままに進みなさい! 多分 今後近衛のご両親と会われ、近衛の家の事を聞けば、貴方の本質に近いと想うだろうから、そしたらその道を進むのよ! 此れは命令でも指示てもない 貴方が決めて見極めて進めば良い、道なんだからね 慎重に自分の未来を描いて、それに近付ける様にその道を進みなさい!」 ストンっと心に流れ込む言葉を烈はくれる 貴也はだからこそ、信じて明日へと進もうと決めたのだ 竜之介がやって来て、貴也に「免許の再交付手続きですね!では逝きましょうか! あ、戸籍謄本とか住民票はどうします?」と問い掛ける 「住所はこの菩提寺の寮に変更してくれるかしら?」 「解りました、なら区役所に先に行き手続きしてから警察署に逝きましょうか!」 と言い貴也は竜之介に連れられ出て行った 城之内はそれを見送り 「飛鳥井のモデルルーム、燃やされたんだって? 朝のニュースで見て、水萌は卒倒して倒れた その場には康太も伊織もお前もいたんだろ?」 「ケント刺されちゃったからね、今日は暦也が回してくれたSPと一緒に来てるのよ!」 と謂うと城之内は静かに佇む外人のSPに目をやった その男は静かに気配を消して立っていた 烈は城之内に「ARЯK警備保障の中のSP身辺警護部門の中の私設警備のマーフィー・ダグラスよ 一応彼が私設警備の方の責任者なのよ!」と紹介した 朝早く早々に出勤したケントの姿を見て、もう一日位 安静にしてろ!と康太は怒った 即座にマーフィーに連絡が入り、ケントを事務仕事にさせ自分が出て来たのだった 榊原が始めたSPの会社は、コロナ禍に突入した頃から高額な支払いが出来なくなった経済状況を抱え、固定客を減らしていた 今はスッカリ家族の為のSPになりつつあったから、この際だから榊原は既存のSP会社を烈に譲渡した 今後はARЯK警備保障 SP身辺警護部門に取り込まれて行く事になった イギリスやアメリカから軍隊上がりの特殊部隊を退役した者達に徹底的に訓練をさせ、SPとして磨きをかけた精鋭が続々倭の国とイギリスで同時にSPの会社に働き始めた ニック、ケント兄弟 リック村上 そしてイギリスから来たマーフィー・ダグラスと謂う男が、ARЯK警備保障の枠を超えて、飛鳥井専属の私設警備に当たる事となった 私設警備の事務所は八雲の動物病院に入っているビルの上に配備した そのビルには東堂御影が社長を務めるヨニー©ウッズスタンJAPANの事務所も入っていた 研究施設は綺麗の研究施設の横に建てられ、稼働を始めていた 工場は台湾に開き、部品を作らせていた 台湾の工場は御影が視察に行き、オリヴァーと共に契約した下請け工場となった 丁度 倒産した会社の工場がラインを残したまま放置されている、と買い付けに当たっていた担当が見付けて来たから、御影はずっと現地に飛び調査に入っていた 厳重な審査を重ね社員を雇い稼働を始めた 本当なら倭の国に工場を構えたかったが、時間とコストと土地がまだ手に入っていなかったから、取り敢えず台湾で稼働させる事にした そんなこんなで、ウッズスタンJAPANもアジア圏に特化した商品を目指して開発を進めていた 烈は城之内と話を終えると「またね、城之内!」と言い保養施設を出て行った 車に乗り込む前に紫雲龍騎から思念が飛ばされて来た 『12月に入り落ち着いたら 瀬能の過去へと渡り視て参る! 今少し様子を見たが……本人も混乱してて中へは入れぬからな………』 「ならボクと母しゃんと父しゃんも一緒に逝くわね!モデルルーム燃やす時に細工したのよアイツ! それでボクんち特定しようとして、無間地獄に落としてやったヤツいるのよ だから警戒しないと……ダメだから逝くわね!」 『承知した!何度も見に行き落ち着いて、中へ入れそうになったら知らせるとする……… 飛ぶ日が決まったら本殿儀式の間に参ってくれ!私が瀬能の過去へと導くとする!』 「悪いわね、お願いね!」 『気にするでない!我はお前の為に、動けるのは嬉しいのだ!』 「その前に年末の餅つき大会の件を話し合わないとならないのよ! 今年の菩提寺は盛り上がるわよ!」 そう言うと烈は車に乗り込んだ そして会社に出社すると、宗右衛門の部屋に行き、席に着く 「そう言えば、PC壊しちゃったからな………」 と烈は呟いた 竜馬からのプレゼントだったのに……… 烈は竜馬に「そろそろ大々的にXmasのイベントの話に取り掛かりたいわ!」とラインした すると直ぐ様 竜馬から『もう俺等は取り掛かってる!リーダーに会うまでに大まかな筋道は見せられる様に頑張ったんだよ!』と返って来る 「それは楽しみだわ! 12月24日は東京ドームよ!」 『解ってるっす! ドームに特化したスクリーンをオリヴァーが作ってくれたから、俺等はそれを使うの楽しみなんだよ!』 「よりちゃんにまた司会してくれないか?聞いてみるわね!」 『彼、アメリカのイベント以降引っ張りだこだけど?大丈夫なのかな?』 「ボクの誘いは何があっても駆け付けると約束してくれたのよ! でもまぁXmas限定なら………司会者は要らないかしら?」 『それは烈に任せるよ! それよりそろそろイベント会場を押さえないとならないからね もぉ遅い位だけど、どうする? それも話をしにそっちに還る事にしたっすよ!』 「ロードの方は大丈夫なの?」 『俺は貴史より若いから、来年から定期的に行き経験を積むって事で話が着いたんっすよ! 貴史もそれで許可が下りて帰国すると想う!』 「そうなのね………倭の国の政治家は、想ったより大変かもね…… だから実績と経験は積んだに越した事はないわ」 『それも帰国したら聞くっす!』 「ボクにも提案があってね! それを話したいから待ってるわね!」 『了解っす!』 竜馬との遣り取りを終えると烈は康太に 「瀬能ちゃんが落ち着いたら、過去へと飛ぶ様に紫雲とは話がついたわ! ボクはその時は、紫雲と共に行くつもりなのよ!」と送る 直ぐ様康太から『了解!ならオレ等もその時は共に逝く!』と返って来る ラインを終えると烈は「お会い出来ませんか?」と何処かへ連絡を入れた ホテルで待ち合わせを約束すると、烈は宗右衛門の部屋のクローゼットを開くと、上質なオーダーメイドのスーツを取り出して着た 烈は「西村にエンパイアホテルの部屋を予約して!」と頼んだ 予約が取れると西村は部屋に予約の取れた部屋番を持って来た 「ボクは少し出るから、聞かれたらそう答えておいてね!」と言う 「取り敢えず何をしに行くか聞いても構わねぇか?」 「高貴な方と少し話をして来るのよ だから最高級なオーダーメイドのスーツを持って来てるのよ!」 「高貴な方か、何か肩が凝る話だな」 「そうなのよ!でもね、そのちまちまとした作業を飛ばしては何も始まらないからね……」 「なら行って来い!社長に聞かれたらそう伝えとくから!」 「お願いね!」 そう言い烈は宗右衛門の部屋を出て行った マーフィーにエンパイアホテルへ向かって貰う エンパイアホテルへ到着すると、車を預けてマーフィーは烈と共に車を降りた そしてラウンジへと向かう ラウンジには既に気品溢れる着物を着た御婦人と、紳士な姿の殿方がソファーに座っていた 烈は「お待たせしちゃいましたか?」と問い掛けると御婦人は笑って 「家が傍なので来るのは早いだけです!」と言った 取り敢えずフロントにマーフィーは向かい、部屋のカードキーを貰って来るとエレベーターで上がり部屋へと向かった 部屋のドアを開けると、烈はお二人を先に入らせてから部屋に入った そしてソファーに座ると 「お二人の御養子にと考えている安曇貴之に御座います!」と言い安曇貴之の資料を二人の前に置いた 紳士の方はその資料を目にして「今彼は?」と問い掛けた 「少しだけ脱線しちゃいましたから、彼は魔界で生活をさせていました! 今じゃスッカリ本来の姿になられた! 彼は霞ヶ浦の安曇総太郎の邸宅で暮らし、横暴な独裁的な家庭で暮らし、感情も愛も総て家に食い尽くされ、道を逸れた だから何もかも奪い地獄へ落してやり直しさせたのよ! 複雑な家庭も彼を歪める原因だった だけど総ての原因は己の意志の弱さ故に引き起こした悪行! 罪の対価は受け取ったから、彼はやり直す人生を手に入れた 今後は彼は曲がらぬ道を逝かれる事でしょう! それも総ては真贋の果てが歪まされ狂わされた事による起因………… それを正し軌道修正を掛けるは飛鳥井宗右衛門である、我の務めだからね!」 御婦人は「今度お会いしとう御座います!」と言葉にした 「会わせるのは簡単! ですが、お二人は貴也と親子となるべく覚悟は出来てらっしゃるのですか?」 おっとりとしているが、芯の強い瞳が烈を射抜き、御婦人は笑い飛ばした 「覚悟ならば、等に出来ておりますよ! 我等は家の為に養子を取るのではない! お子となるべく子と絆を深め【親子】になる為に養子を取るのです 我等は子を亡くして以来……二人でずっと生きて参りました このまま家が廃れるならば、それはそれで仕方がない事だと諦めもしました! ですが鷹司がそれだと利益主義なヤツに財産を奪われるばかりか、【近衛】の家の役回りさえ理解しちゃいねぇ奴等の好き勝手にされる! 近衛明継と美沙子が守り通した家を好き勝手にされ、本来の正しい道へいけなくなる事になる それでもよいのか? 嫌なれば養子を取られ、その子に全てを託されよ!飛鳥井宗右衛門に話を通す そすれば宗右衛門が後継者を選んでくれる! 軌道修正はアイツが役目! 宗右衛門が示す果てへと行かれよ! と鷹司の要望を聞いた時から、私も主人も覚悟ならば出来ております!」 「今日はその確認の為に参りました! 近い内に貴方達に貴也を会わせます! 貴也は一年は菩提寺で過ごし、鷹司の教室へ通う なのでその一年で、貴方達は貴也との絆を深められる事を勧めます! 貴方達も貴也を目にすれば、直ぐに気に入れる事でしょう! 彼はもう道は違えはしない! なので大丈夫です!」 「解りました、楽しみにししております!」 御婦人は嬉しそうに謂う 紳士は「彼のご両親とは顔見知りだが……あまり良くは知らないのだよ! この機会に、家ごと仲良くなりたいと思っている!」と言う 「それは嬉しい事だわ! 貴方達の養子になったとしても、両親の事は忘れないだろうし、また忘れる必要なんてないからね 家族ぐるみで仲良くなってくれるならば、この絆は更に深くなり、良い影響を齎してくれるだろうからね! 美沙ちゃんは登紀ちゃんと気が合うから、友達になれるわよ! 明ちゃんは勝也とゴルフ仲間にでもなってみれば?彼も不器用な男だから……… 家族を誰よりも愛しているのに、それが伝わらないし、本当に不器用過ぎて空回りしちゃけど、優しい男なのよ!」 美沙子は「登紀子さんと友達になれるならなりとう御座います!楽しみです!」謂う 明継も「勝也さんとは挨拶以外しなかったけど、趣味が合えばご一緒出来れば嬉しいですな!」と嬉しそうに謂う 「では、近い内に正式な顔見せを致します! その後で、其々の両親と顔見せ …………何か結婚式みたいな流れだけど…… 知り合っていて損はないから、大丈夫よ! 其の内、貴也の嫁でも見付けて来る事にするわ! それで近衛は果てへと繋がり、役割は守られる ボクもそれを見届けられて、有難き幸せなのよ!」 話を終えると、烈はホテルの支払いをして、お二人と別れて菩提寺へと向かった

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