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第16話 正しき道へ ❷
ケントは既に駐車場の前で待っていた
烈はケントの車に乗り菩提寺へと向かう
少し早めに菩提寺へ行き、掃除のチェックをせねばならないからた!
そして暦也に菩提寺の周りに不審者かいたら直ぐに通報して貰える様にラインを入れた
すると即座に携帯が震えた
暦也から『了解!』と短い文が入った
携帯をサコッシュに入れようかと思っていると、再び携帯が震えた
画面を見て見ると兵藤からだった
『烈、今日は元総理と会うんだろ?
何故に俺等を置いて行くんだよ!』と怒っていた
竜馬からも『飛鳥井へ行ったけどいないしゃないか!今何処にいるのさ!』と謂う
烈は「ボクは菩提寺に行くのよ!兵藤きゅんも竜馬もメンバーも菩提寺に来てくれて構わないわ!
待ってるからね!」とグループラインの方で返した
烈は駐車場に配備員の配置を指示し、参道から入り階段のない方の道を進む
ゴミ一つ落ちてないか?確かめ歩く
夏海や華絵、その子供達は学校へ行く前に掃除をしてから登校している
その登校と偶然バッタリ逢う
尊、龍星、七生、海、昇、陵は仲良くランドセルを背負って登校中だった
烈!!と声を掛けられ手を振り登校していく六人を見送り保養施設へと向かう
今日は太極拳はお休みたった
警備上、不要な人間は少ない方が良い
太極拳に来るお年寄りには、機材の点検が入っていて、職員総出でやらないとならない為にお休みにさせて貰います!と告げておいた
また知らずに来たとしても、寺の入り口は閉じられて中へ入る事は出来ない様にした
菩提寺の楼門が閉じられる事は滅多とないが、楼門を閉じれば出入りは不可能な作りになっているから、知らずに来たとしても帰るしか無かった
菩提寺は階段の前に楼門、登り切った所に中門が在った
その中門さえ閉じる事は滅多とない
それだけの来客を想定させる物々しさに、職員達も気を引き締め取り掛かっていた
兵藤と竜馬が来ると謂う事で、竜之介が駐車場で待ち構えていた
楼門を閉じられていても、関係者は別の通り道が在るのだ
今回はその通り道も兵藤と竜馬が来たならば閉じる事になっていた
元総理達には道場の方に車を停めて貰い、入って貰うつもりでいた
其処から入る事が出来るのは、菩提寺の総管理をしている宗右衛門しか鍵を持っていないから、宗右衛門自ら開けに行く事になる
兵藤と竜馬が菩提寺にやって来て、その物々しさに何時になく緊張したピリピリした空気が伝わっていた
烈は貴也を呼び出し正装させた
竜之介に手伝って貰いバイクを買い付けに行った帰り道にオーダーメイドでスーツを作って来てと依頼されていたから、連れて行き採寸をしてスーツを作った
貴也は出来上がったばかりのスーツを着て保養施設の3階に既にいた
そして迎える時間になり、烈はサコッシュから鍵を出すと道場へ続く裏門を開けた
黒塗りの車が2台、駐車場に停まると安曇御一家は車から降りた
安曇は大きな荷物を手にして
烈の姿を見ると「烈!!」と近付き、荷物を置いて抱き締めた
登紀子も「烈、ありがとう!」と言い烈を抱き締めた
貴之と鳳城……嫌、今は貴之の妻の葵も車から降りてその横に立った
警護の者が安曇達を護る様に立つ
烈は挨拶もそこそこに「それでは此方へお願い致します!」と言い保養施設の方へ連れて行った
そして菩提寺の敷地内に入ると裏門を閉じた
閂で閉じた後に幾つも施錠し、更に鉄製のゲートを閉めて施錠した
そのゲートの上には尖った鋭利な槍みたいな者が幾つも出ていて、侵入は不可能になっていた
其処までして、安曇御一家を保養施設へと連れて行く
保養施設3階へ移動すると、其処は大きなテーブルが出されて座布団が敷かれていた
上座に貴也が座っていた
安曇と登紀子は部屋に通され、最初は気づかなかった
が…………良く見れば………貴也だったから、息を呑んだ
安曇の家にいた頃より、貴也はガタイが確りして、偉丈夫になっていた
貴也の横には兵藤貴史と三木竜馬が座っていた
安曇達御家族はその反対側に座った
皆が席に付くと烈は深々と頭を下げ
「今日は態々のお越しありがとう御座いました!
今日、お呼び立て致しましたのは、貴方の長男である安曇貴也の行く末が決まりました事を此処にお知らせする為に来て戴きました!」と前置きをしてご挨拶をした
安曇は「貴也……暫く見ない内に逞しくなられたのだね……」と声を掛けた
貴也は家族に深々と頭を下げ
「私は………父さん……母さん……貴方達に多大な迷惑を掛け親不孝を致してしまいました……
どうか………お許しを!」と謝罪した
登紀子は「もう良いのです………貴方が生きていてくれれば………それで良い………」と言い目頭を押さえて泣いた
あの日 貴也は烈に真っ二つにされ消されたのだ
命なんて尽きたと想っていた
その息子が生きて、逞しくなり精悍な顔つきで目の前にいるのだ
その顔は………貴也の祖父 安曇総太郎に酷似して………やはり祖父のDNAを受け継いでいるのだと想うのだった……
貴之とも違う………その顔は紛れもなく祖父に似た顔だった
貴之は岩崎に似て優男の雰囲気だった
烈は「安曇貴也の養子先が決定致しました!
それを安曇の御家族にも伝える為に、こうしてお越し戴いたのです!」と告げた
安曇は「因みに………何方へ我が子は養子に出されるのですか?」と問い掛けた
「摂家 五家 近衛の家に貴也は養子に入ります
この話は摂家 五家 鷹司からの申し入れで、家を廃れさせ潰すのは惜しい、誰か養子に頼む!
との要請に基づき貴也を養子に、との話を持ちかけ、あちらの家には既に貴也の資料を渡してあります!
そして少し前に鷹司の推薦も届き、総てが揃った状態でご夫婦て話し合われ、是非とも御養子に……との事で了承されています!」
登紀子はまさか………そんな家に養子に行くとは思ってもおらず
「摂家 五家 近衛で御座いますか?」と口にした
「申し分のない話だと想うし、もうこの話は決定事項なので覆りはしない!」
安曇は「それは解っているよ………登紀子も私も………少し驚いただけです!
貴也は変わりましたね!
その瞳には確かな自信と信念の輝きに満ちている
もう前の貴也とは総てが段違いです………
だから何もかもが信じられずにいる………
それだけだよ………烈………」と本音を吐露した
烈は宗右衛門の声で
「貴也は主等の目の前で地獄に落としてやった
以来、貴也は地獄で己を見つめ直す生活をさせていた
魔界でも地獄の生活は過酷で、ひ弱な貴也は日々食っていく為に苦労した事だろう
地獄は働かず者食うべからず、を実践した世界じゃからな
仕事量で食事の量も決まる
そんな過酷な世界で働いておったのじゃよ!
年内は魔界で過ごさせるつもりじゃったが、事態は変わった
世界が変われば、政治の世界も変わる
摂家 五家 近衛の役割を叩き込む為に一年は菩提寺で働かせ鷹司に勉強に行かせ、御養子先の両親との交流を深める為の時間に要する事にした
もう既に体は鍛え上げられておるからな、後は教育と御養子先との御両親との交流を深める為に使うと決めて人の世に戻したのじゃよ!」
と今後の果てを話す
話されたと謂う事は………もう覆り様のない現実なのだ
登紀子は三つ指を着いて深々と頭を下げ
「勿体ないお話、貴也が引き受けたのであれば、我等は貴也の幸せを願い見守る事に致します!」と述べた
烈は「何を謂うのよ?登紀ちゃん!あちらの御両親との親睦を深めて、より良い関係を築いてくれなくっちゃ!
貴ちゃんやユキやノリはそれに続けないじゃない!」
安曇は「あの……貴ちゃんは解りますが………ひょっとしてユキやノリは貴之と貴教に御座いますか?」と問い掛けた
「そうよ、同じ様な名前ばかり着けやがって!
紛らわしいのよ!
んとに昔は流行っていたのかしら?
飛鳥井も名前に必ずや【太】を入れて呼ばせて………流行りなの?ねぇ流行ってたの?」
と目を座らせて謂う
兵藤は「烈、ユキとノリで良いから落ち着こうか!」と謂う
「取り乱したわ!
でユキはもぉ妻貰っちゃったから、後はもぉ雑草魂全開に行くだけよ!
ノリは後少しムキムキになったら、人の世に戻り鷹司の家の書生として住み込みで学び、政治家になれる時までに叩き込むつもりよ!
まずは書生、そして高校の年齢になったらケンブリッジ大学へ放り込み、スキップなしで勉学と青春やらせるのよ!
青春時代の友は晩年の友になれるのよ!
そんな友達作らせて人間として成長させつつ、政治家にするのよ!
安曇貴教、三木敦之、この二人は曲がらない魂を植え付けて育てるから、手強わくなるわよ!
そして切磋琢磨して倭の国をより良い未来へ導くのよ!その為の布石であり人生であり、国民の代表てしての顔を育てねばならないのよ!」
安曇は嬉しそうに笑い
「そうですか……我が子にはそんな未来があるのですね………」と呟いた
「勝也、貴方さ近衛ご夫妻と仲良くなりなさい
総理も辞めたし、後は人脈繋いで惜しまれる人生を消費して逝かなきゃ!」
「それは素晴らしいですな!」
「登紀ちゃんも近衛の奥方と仲良くなって、もっとお洒落して自分を磨くのよ!」
登紀子も嬉しそうに笑って
「はい!それは嬉しい日々です!」と言った
「今日は貴ちゃんは安曇の家に帰りなさい!
道を覚えたらバイクで行くか電車で会いに逝くと良いのよ!出来なかった親孝行、してあげなさいよ!
養子に行ったとしても、貴方はこの二人の息子だから親孝行するよ!
そしたら貴方の運命の相手と出逢わせてあげるからね!」
「泰然自若の精神で傲る事なく生きて行き、其の内巡り会えるのを待ってます!」
烈は何も言わずに頷いた
安曇は大きな荷物を出して
「モデルルームが焼けちゃんだろ?
その時絵画が燃えて、意気消沈していたから絵を探したんだよ
そしたら真田瑞穂と謂う登紀子の友人から、絵ならば、これなんかどうですか?と謂れ貰い受けたんだよ!それで持って来たんだよ
喜んでくれるなら嬉しいよ!」
と言い烈に渡した
烈は絵画を貰い受け、兵藤に手伝って貰い包装を解いた
そして現れた絵に烈は唖然として
「………あ…………この絵………」と言い涙した
安曇は何か不快にさせたのか?と心配になり
「烈、どうしたんだい?」と焦って問い掛けた
宗右衛門を出して
「この絵は……若くして早世した風舞(ふうま)の作品………間違いない
この絵の隅っこにのサインが入ってる
此れは我が友 風舞と宗右衛門の名を合わせて
【Fusou】のサインにしてあるのじゃよ!
このサインが入る絵は我が友の証
そしてこの蓮華畑は………友達と一緒に行った光景なのじゃよ!」
そう言い烈は絵を涙しながら眺め呟いた
「燃えてしまった………友の絵なのに………
こうして再び友の絵に出会えた!
本当に感謝致す!」
と宗右衛門は深々と頭を下げ感謝を述べた
安曇は「御友人の絵であられましたか………」と謂う
登紀子は「なら烈、真田瑞穂と謂う方は、その絵を描かれた方の妹さんのお子なのです!
早くして亡くなった兄の家を相続して、結婚した
ので、名字は変わってますが、今も友人の母親はその家で暮らしています!
叔父の絵が離れのアトリエにあると言ってました
そしてその絵は………我が友に譲ると遺言を遺されていたそうなのです
友の家のアトリエへはよく行きました
壁に彼女の叔父と御友人の写真が飾られていたのですが………ひょっとしたら………宗右衛門殿、写っているかも知れませんね!」と謂う
「あぁ………大和の外れの西洋館には、友の見舞いに良く通った………その時皆で写真を撮った
その写真が出来上がる前に………友は逝ってしまった…………」
登紀子は友人から聞いていた話、そのままだと貰い泣きをした
「まさに………貴方は私の友の母親の叔父に当たる方の友人なのですね
友人の母親からは、その話は何度も聞きました
一度、彼女の母親に逢って下さいませんか?
その絵は叔父が妹に一番幸せだった頃の絵だよ!と言われプレゼントされた絵だそうです
友が母親から引き継ぎ、何故か登紀ちゃんに託すわ!と、下さった絵なのです!
…………虫の知らせだったのかも知れませんね!」
「彼女が望むならば…………」
「ならばお逢いする時間の調整を致します!」
宗右衛門は絵画を見て
「笹尾風舞とは桜林が士官学校として士官を育てている時に出逢った
彼と同室の我等は何時も一緒にいた
が、彼が結核を発症し………退役を余儀なくされても、仲は続いた
彼は絵を描くのが上手かった
絵を生業にしたらどうだ?と謂うのに彼は、お前が見てくれれば良いよ!と欲のない事ばかり言っていた………
彼はまだ20代だった………大和の僻地に建てられた洋館から出る事も許されず………生涯に幕を下ろした………
そんな彼がくれたのは……儂が大好きな木蓮の花だった
…………儂は験を担いてその絵を何かあれば展示場や会社に飾った……
その絵が燃えてしまったから意気消沈しておっが、こうしてまた出会えた…………」
少しだけ思い出を語った
安曇達は宗右衛門の友への想いを感じていた
幾ら時が経とうとも、友を語る想いは尽きぬのだと感じていた
部屋に沈黙が訪れた
安曇は「この後は何か予定は御座いますか?」と問い掛けた
烈は「少しだけホテルで会食して飛鳥井へ行こうと思ってるのよ!」と謂う
安曇は「それは嬉しいよ烈……」と喜ぶ
竜馬は「この絵、また梱包して車のトランクに入れておくね!」と謂う
「りゅーまはホテルへ行く前に、ボクと少しだけ話をするのよ!」と謂う
竜馬は「了解っす!」と答えた
兵藤は「安曇の方々はあの黒塗の車でホテルへ行かれるのですか?」と問い掛けた
安曇は「仕方がないんだよ!元がついても【総理】だった以上は最低限の警備は付くんだよ
でもホテルへ逝って、飛鳥井の家に逝くならば警備の者には帰らせるとする!」と謂う
兵藤は「俺は今日はマイクロバスで来てるからな乗せて行くぞ!」と言ってくれた
「ならホテルの会食すっ飛ばして飛鳥井へ来る?」と問い掛けた
安曇は「それは良いね!」と上機嫌だった
「ならさ勝也、警備の者には兵藤きゅんの車でホテルへ逝くと伝えて!
だから貴方達は先にホテルへ向かってくれ、と伝えて!」
「承知した!」と言い烈に言われた通り、兵藤の車で、ホテルへ行くから護衛の者は先にホテルへ行くっててくれ!」と電話して伝えた
警備の者は了承いたしました!と言いホテルへ向かった
烈は「スー!」と謂うと姿を消してたスーが「了承やねん!」と気配を消した
その後から烈は動く事なく、じっとして微動だに動かなかった
暫くしてスーが戻って来て
「やはり信号無視で突っ込んで来やがってたわ!
まぁ運転手は歴戦の兵、上手く躱していたが、どてっ腹に突っ込まれていたわ!
乗ってたら即死やで!自分ら!」とボヤいた
兵藤は「どうして解った?」と問い掛けた
「解ってないわよ!
ボクは性格が少しだけ、捻じれてるから人の裏をかくのが大好きなのよ!
で、スケジュール通りに行ったならば、潜んでたりしないかしら?と思っただけよ!
安曇勝也が逝去する事によって、堂嶋正義の力を削ぎたい輩はいるからね!やるわよ!それ位!」
竜馬は「なら何故、此処に来るまでに………仕掛けて来なかったんだ?」と聞いた
烈は「ルー、スー!」と謂うと二匹は姿を現した
ルーは「それは上から警護してましたからね 不穏なの来たら即座に消したからですよ!」と謂う
スーも「其処までせんと派閥のトップで影響力ある奴は削れんからやろ!
まぁ本当に猫使いが荒いわ!
ほら、堂嶋に連絡して無事だから、と伝えとき!」と謂う
安曇は言われるまま堂嶋に連絡を入れた
堂嶋は「勝也さん!貴方無事なんですか!」と叫れた
安曇は「無事だよ………此れから烈と共に移動する所だよ!」と告げた
『何処へ行かれるのですか?』
その問いには安曇が答えるより早く
「それはラインでね!正義ちゃん!」と言い電話を切らせた
直ぐ様 堂嶋からラインが来た
『何処へ行かれるのですか?』と。
「病院で診察よ!」
此れで堂嶋ならば、意味が分かるだろう
『ならば俺も診察を受けます!』
「そうね、それが良いわ!」と書いて烈をラインを終えてサコッシュに携帯をしまった
「兵藤きゅん、勝也達を飛鳥井に連れて行ってね!
りゅーまは少しボクとお話がしたいらしいからね!」
兵藤は「了解した!」と言い保養施設の3階から出て行った
烈は竜馬に「親とは話せた?」と問い掛けた
「あぁ、こんなに本音で話したのはないんじゃないかって程に………本気で話した
スタートラインは同じじゃないとならない!
烈の言葉を信じて親父達は必死に親子の関係を修復しようとしている………
あんな親はハッキリ言って初めて見たかも知れない…………」
「貴方はさ、三木繁雄の倅だからね!
三木は継がないけど政治家にはなるのよ?
ボヤボヤしてたらアツに負けちゃうわよ?
あれ位のお年頃は吸収力凄いからね!
今 帝都大学とかオックスフォード大学とかケンブリッジ大学とか入試のテキスト運ばせて学ばせてるから、人の世に戻すまでには、少しはマトモになってると想うわ!
そしたら、りゅーまは嫌でも弟と顔を合わせるけど、どうするの?」
竜馬は昨夜とは違い、烈の目をちゃんと見て
「まずは先手必勝、拳骨カマしてやるっす!
人を馬鹿にするのもいい加減にしろよ!と言ってやり、でもお前は弟だからな、相談ならば乗ってやると言ってやります!」と答えた
烈はそれを聞き「まぁまぁ………ね」と謂う
「まぁまぁで許しておいてよ!
俺はまだまだ此れからもっと成長して、烈の視てるもっと先に立ってやるからさ!」
清々しい笑みを浮かべ謂う竜馬に、烈は
「クーたん、ポコンしちゃって!」と謂う
クーが姿を現すと竜馬の頭をポコンっと叩いた
「痛いよぉ〜クー!」
「竜馬の奢りでパフェ食わせてくれるなら、許してやるさ!」
「お前は蒼佑の回し者かよ!」と竜馬はボヤく
クーは悪どく笑っていた
「さぁ帰るわよ!
ボクね宗右衛門の着物脱ぎたいのよ!」
「なら帰るっす!」
竜馬が謂うと烈はケントを呼び寄せた
そしてケントの車で飛鳥井の家へと還る
車内で烈は「崑崙山から還ったら本格的に打ち合わせやるから!」と謂う
竜馬は「その前に俺等のイメージを見て入れてくれないと駄目だからね!」と念を押す
「解ってるわよ!」
「あ!それより【R&R】に組み込ませたバイク便の会社が気になっていたんだけど?」
「あぁ、ボク尾行されていたじゃない!
それを逆手に取って尾行し返してやった時に使った子達を、何か在った時の為に抱き込む方が賢明と判断して取り込んたのよ
もし尾行されていたならば、即座にあの子達を動かせば追跡し返してくれるわ!」
「それは良いっすね!
で、普段はどうしてるんっすか?」
「主な収益はバイク便よ!
会社とかは重宝して使ってくれてね
かなりの収益あげているのよ!
やはりドライブテクニックが半端ない子達だからね、荷物を扱うのも迅速丁寧を掲げた社訓通りに働いてくれているわ!」
「バイク便、あまり目にする機会なかったかな……」と呟いた
「その日の緊急の書類ならば市内なら当日配達を確約してるのよ!
しかも郵便代も値上げしたじゃない!
速達料金でも当日の配達は無理だから、利用者は増えつつあるのよ!」
「制服とかあるの?」
「今の所はないわ!
それもメンバーが来たら話そうと想っていたからね!」
「ならデービッドにデサイン頼もうよ!
【R&R】のロゴ入れてさ!」
「そうね、ライタースーツとかヘルメットまで揃えて支給しちゃいたいとは思っていたわ!」
「良いすね!」
車内は楽しい会話が弾んた
そしてあっという間に飛鳥井記念病院の前へ到着した
ケントは烈と竜馬を降ろすと待機所に帰って行った
烈と竜馬はマンションのエントランスに入り、管理室へ行き、モニターを見て不審者がいないかチェックした
このマンションと病院と薬局にはARЯK警備保障が管理して、即座に駆け付けられる様に24時間体制で防犯カメラでチェックされていた
またそれに伴い防犯カメラは四方八方張り巡らしてあり、どの角度からも見られる様になっていた
不審な行動、その場に10分以上滞在する、明らかに尾行している、その動きを事前にプログラムして認識させAIが検知する
検知したら即座に警備システムが発動され、警察と警備会社の両方て現場に駆けつける事になっていた
取り敢えず不審者はチェックして、裏へと向かう
飛鳥井の家に還ると、堂嶋が安曇御一家と共に応接間にいた
康太と一生が烈と竜馬を出迎えてくれる
烈は「ボクは早く着物を脱ぎたいのよ!」と言い部屋へと行ってしまった
竜馬は源右衛門の部屋へと戻り風呂に入り着替えて来る
烈も宗右衛門の着物を脱いで風呂に入り、ジャージに着替えて応接間に戻った
烈はソファーに座る前に「ごめんね、着物早く脱ぎたくて、着替えを優先しちゃったわ!」と言い座った
堂嶋は「大体の話は貴史に聞いた………最近一部の議員の間で【近衛】の家の者が数年以内に国会議事堂に戻って来る…との噂は本当だったのか……」と呟いた
「もう噂になってるの?早いわね
でも安曇の家に話は通した以上は覆りはしない現実として盤上に上がったからね!」
「この話は何処から出た話しなのですか?」
「摂家 五家 鷹司の方から!
まぁ元々近衛にお子がいなかった訳ではない
留学中に事故死に見せ掛けて消されたのよ!
以来、あの御二人は誰が何と言おうと、断固として跡継ぎ問題は口にはされなかった
それを獅童が説き伏せて動かした
そしてボクの方に話が来たから【近衛】の家の未来を占った
そしたら家は続くと出た!
ならば、とボクは貴也を地獄に落とし、再生プログラムを発動させたのよ
楽な日々じゃなかった筈よ
それでも耐えて耐えて、貴也は乗り越えた
その身体を見れば、貴ちゃんの努力した日々が解るんじゃない?
だからボクは一年の年月を掛けて、近衛の両親と絆を繋がれ養子へ入る工程を立てたのよ!」
其処まで壮大な話だとは思ってはいなかった
が、その顔を見れば……鍛え上げられ、過酷な日々を生きた過程は伺えられた
堂嶋は「こうして改めてみれば貴也は安曇総太郎氏にソックリですな!」と謂う
烈はニャッと笑い「そう謂われると思っていたのよ!」と言い携帯を操作してタブレットに画像を送信すると「りゅーまタブレット出して!」と言った
竜馬はバッグの中からタブレットを取り出して烈に渡した
烈はタブレットを受け取り、携帯から送った画像を表示させるとテーブルの上に置いた
康太はタブレットを覗き込み「安曇総太郎?………嫌、違うな?誰よ?この人は?」と問い掛けた
「この人は近衛のご当主、近衛明継氏の写真!
彼は今 引退した頃の安曇総太郎氏と同じ様な顔をしているでしよ?」
康太はマジマジと近衛明継の顔を眺めていた
堂嶋は「あ、国会におられる時は髭を着けておられますよね?」と謂う
「近衛家は、歴代お子に恵まれぬ家だったのか?
恵まれても、その命を狙われ消されてしまっていたのか?
常に後継者問題に困っていたのは事実
明継の先代のご当主は、安曇総太郎の双子の片割れなのよ!
一人は安曇の家に残し、もう一人は近衛の家に養子に出した
昔は双児は凶兆とされ離されて生きるが定めで、当時お子がおられなかった近衛に一人は御養子に出された!
近衛明継はその彼の子供だから、顔が似ていても不思議ではないのよ!
だから貴也が養子に入ったとしても、違和感もなく存在出来るのよ!
昔の政治家の繋がりは結構、罷り通る手法なのか?養子に出されてる子多いのよ!
まぁ地盤を引き継ぐ為にお子が必要となっていたからね!」
康太と堂嶋と安曇は納得していた
登紀子は「………安曇総太郎が双子だとは知りませんでした……」と呟いた
康太は「昔は結構家の為に養子に出される奴は多かった!
ましてや双児なれば、生まれた瞬間乳母に託し家から連れ出され二度と帰れぬ因習さえあったかんな!
後に近衛に養子に出されたのだろう
んなの登紀子が知る訳ねぇやんか!
そう謂うのは秘密裏に行われるんだからな!」と慰めた
登紀子は近衛明継の顔を眺め
「誠……我が父 総太郎に酷似しておりますね
今日………久しぶりに目にした貴也が………我が父 総太郎に酷似していて驚きました………」と呟いた
烈は「血は濃いからね、その人を形成する時に受け継いで生まれるのは当たり前なのよ!
だけどね、血より強いのは絆なのよ!
だから貴方達は今後は絆を強くする為に日々努力して行って下さい!」と謂う
康太は大役を終えた我が子の頭を撫でた
「母しゃん………今日ね勝也と登紀ちゃんがね
燃えてしまった我が友の絵をくれたのよ!
ボクね嬉しくて泣いちゃったのよ!」と報告した
登紀子がその時の経緯を話す
そして「私の友達は女学校時代の友人です!
今回 大切にお付き合いしてる子の絵が燃えちゃった話をしたのですよ
そしたら『私の家にすごく綺麗な絵があるのよ、それを登紀にあげましょうか?』と言って下さったのです!まさかその絵が前世の宗右衛門の御友人の絵だなんて想いもしませんでした!」と謂う
康太は「人の繋がりは否ものだかんな!
何処へ繋がるかは誰にも解らねぇから、大切に繋いて逝かねぇと駄目なんだよな!」と謂う
其処へ料理を作っていた榊原が呼びに来て
「料理が出来ました、今回は誰も呼ばないのですか?烈」と問い掛けた
「今回はメンバーがいるから、それで良いわ!」
メンバーは客間で手伝いしてるだろうから謂う
来日して来た日に飛鳥井の客間を占拠して過ごす気満々な彼等は食費を支払って来た
かなり分厚い封筒を差し出して
「年末年始もおるねん!
世話になるから支払うねん!」とデービッドが謂う
榊原は「なら味噌汁とご飯だけでも文句は言いませんね!」と笑って少しだけ意地悪を言う
ヘンリーは「それでも良いよ!皆で食べたいんだ!
あ、そうだ!この前、父さんに大土鍋割れてなくなっちゃったって烈が言ってたよ!
って連絡したらスチール製の大鍋持参で今度来ます!と言ってたよ!」と言う
どんだけ大土鍋好きだったのよ………と想う
そんなメンバーがいるし、安曇の御家族もいる
その上に皆など呼べはしない………
部屋は十二分に入れる余裕があるが、今夜は此れで良い………と想うのだった
客間に行き手伝いをする
そして料理が出来上がると【R&R】のメンバーは上機嫌で席についていた
榊原は安曇家御一行様を席に着けさせ、堂嶋も座らせる
楽しい宴会が始まり、最初は少しぎこちない雰囲気だったが、後はもう楽し家に話に花が咲き、夜更けまで笑い声が絶えなかった
その日 安曇家御一行様は泊まって行った
堂嶋は近くの家へと帰って行った
鳳城は源右衛門の部屋に行き寝る事になった
雑魚寝は危険だと玲香が連れて行き寝させた
楽しい時間に包まれ少しだけ眠る
そして翌朝、兵藤は安曇家御一行様を送って行った
烈は朝早く起きて着替えると、流生の温室へと向かった
今は野菜も総て収穫を終えて土に肥料をやり眠らせていた
流生の温室には綺麗な薔薇が咲いて甘い匂いを放っていた
レイもやって来て流生のお手伝いをする
レイのプランターには、またチューリップの球根を植えて貰ったから、お水をやっていた
お水やりの手伝いをして部屋に戻ると、掃除洗濯と毎日のローテーションをやる
そして洗濯が終わるまでに朝を食べて、食べ終わったら干す
烈はベランダに洗濯物を干すのがお気に入りだった
洗濯物を自分の部屋に持って来て干す
今日は天気があまり良くないから室内干しを出して干す
そして干し終わると応接間へ行きメンバーと合流してマンションの方へ向かう
今の家からの方がマンションは近かった
歩いてマンションへ逝くとセキュリティを作動して中へと入る
メンバーはスーツケースをゴロゴロ引いての移動となった
マンションには着替えがあるから手ぶらで良いのだが、今回は撮影の機材も持って来ているのだ
Xmasイベントアピールの撮影をして配信する為に、新しい機材を導入する為に持参で来ているのだ
マンションのリビングへ逝くと、烈はソファーに座った
竜馬は烈に紅茶を淹れ、ティーポットとカップを前に置くと烈の部屋に行き、準備を始める
そして準備が整うと、竜馬がブラインドを全て下ろし、其処へ投影させ自分が考えて来た映像を投影した
竜馬は「俺はRODEOÑのいるイギリスとStrong Hiのいるアメリカと倭の国の【R&R】と3箇所同時中継でプロジェクションマッピング作動させる、始めての試みでも良いと想うんだ!
当初の3日の予定だけど2日…いいや、1日でもでも構わない
皆と一緒にXmasを迎えたいだけなんだから!」と謂う
メンバーは本当に竜馬は成長したと痛感していた
烈は「一日で燃え尽きても良いわよ!東京ドームなんだから!」と謂う
ダニエルは「なら一日で、その日を最高のXmasにしたい!」と謂う
イーサンも「だな賛成!2元中継で何処まで臨場感出せるかは分からないけど………総て出し切りたいな!」と謂う
デービッドも「俺も賛成やで!でもな、総て出し切るには最低でも3時間は必要やで!」と2時間じゃ収まらない事を告げた
ヘンリーも「あ、それは僕も思った!
一日で燃え尽きるなら3時間必須だね!」と賛同
フレディも「それ賛成、良いじゃん!【R&R】流って事で3時間の長丁場イベントやろうよ!」と賛成!
そして話し合う
急遽 RODEOÑとStrong HiとZOOMを繋ぎ話し合う!
話が決まってしまえば、後は進むだけたった
RODEOÑのメンバーもStrong Hiのメンバーも声を掛けて貰えて感激していた
今や【R&R】は人生再生、発掘のプロとまで謂わせる押しも押されもせぬ立場に確立していた
烈は「Xmasだもん、好きな人と楽しく過ごせるイベントが良いわ!」と謂う
烈の好きな人の中に自分達も含まれている!!
その喜びにRODEOÑのボーカルのアーネストとStrong Hiのボーカル ジョージは
「「今直ぐに倭の国へ行って打ち合わせをしてやる!」」と言った
其処でZOOMは途切れ…………翌日 本当に彼等は倭の国へとやって来たのだった
烈は彼等を飛鳥井の家に連れて行き、おもてなしをした
週末までそんな感じで過ごし、金曜の夜
烈は一足早く魔界へ行く事を決め皆に
「ボクは後少しで出かけないとならないのよ!
なので週明けまで音信不通の世界へ行くのね!
だから打ち合わせは来週まで待ってね!」と告げた
アーネストは「何処へ行くの?」と聞く
ジョージも「音信不通の世界って?」と聞くから
「なら貴方達も来る?荒廃した何もない世界へ
其処から中世ヨーロッパの昔みたいな世界に……
でも何もないわよ、テレビや車も何も無い
当然携帯さえ使えない世界よ!」
烈が言うとヘンリーは「あぁ、烈は彼処に行くんだ!」と口にした
イーサンは「僕も行きたいな!久し振りに素戔鳴殿に会いたい!」と謂う
アーネストは「何処へ行くんだい?俺も行きたいな!無理なの?」と尋ねる
ジョージも「せっかく来日して来たんだから連れて行ってよ!」と謂う
烈は「後悔しない?」と問い掛けた
二人は「「しないよ!」」なんて言うからメンバーは天を拝んでアーメンと神に祈った
烈は最高の笑顔を浮かべ
「ならばボクは旅立つから一緒に行きましょうね!」と謂う
兵藤はそれを聞いていて「チャレンジャーな奴らだな………」とボヤいた
竜馬は「増えても大丈夫なの?」と問い掛けた
「人を連れて行くのは言ってあるし、許可も取ってあるのよ!
まぁ多少増えたのは仕方ないけど、何とかなるわよ!」
兵藤は「俺が乗せて行くか?」と問い掛けた
「全員で神の道通って行くわ!」と謂うとメンバーは少しだけ耐えられるかな?と気構えた
そして烈は両親に「魔界へ行ってます!メンバー達は連れて行くので、その様に言っておいてね!」とラインを送った
康太は風呂から出て寝る準備をしている時に、そのラインを受け取って嗤って返信をした
そして『皆って……ひょっとしてイギリスとアメリカのバンドの奴も含まれているのかよ?』と尋ねた
「そうよ、行きたいと言ったからね!」と笑顔のスタンプを添えて送信
康太は「本当に宗右衛門は意地クソ悪いよな?」とボヤキ
『健闘を祈る!俺等も明日には行くから!』と送信!
烈はそのラインを受け取り携帯をしまうと神の道を開いた
そして皆で神の道へ入ると……神の道は閉じられた
康太はラインを榊原に見せて嗤っていた
榊原も「本当に宗右衛門は人が悪い……」とボヤいた
皆チビる思いをするだろうけど………
その頃神の道を歩くメンバー達は、慣れてはいても怖さは無くなりはしなくて………
ヘッピリ腰で歩いていた
まぁ歩けるだけマシだった
アーネストとジョージは「わー!」「ぎゃー!」と叫びまくりクーとルーとスーに蹴り飛ばされていた
そしてどれだけ歩いたのか?解らない程 暗闇を歩き………
やっと出口の光を見えてきて走って外に出ると………其処は何もない荒廃した世界 崑崙山へと出た
烈はまずは崑崙山の八仙の屋敷の方へと向かう
「八仙、ほーちゃん呼んでくれないかしら?
朱雀だけじゃ乗れないのよね!」と謂う
八仙は「そう来ると想い金龍を呼んでおいたわい!」と謂う
暫く待つと金龍が来てくれ
「皆乗るか良い!」と謂う
兵藤は「全員は無理だろ?俺に乗って行っても良いぜ!」と謂う
そして朱雀に姿を変えると、アーネストとジョージは言葉もなく唖然となっていた
それをルーとスーが蹴飛ばし朱雀の背に乗せる
烈は金龍の背にメンバーと共に乗り込み、金龍は安堵した様に天高く飛んだ
金龍は「烈………済まなかった………我等は何も見ていなかった………」と謝罪した
「金ちゃん過去を悔やむのは辞めなさい!
時間は巻き戻せはしないのよ!
また時間を遡って行ったとしても、過去は変えられない
だから前を向いて逝かないと駄目なんじゃない!」
「じゃが………烈………我等は……どうしたら良いか解らず動けぬのじゃよ………」
「それも話さなきゃと想い来てるわよ!
金ちゃん、あまり気苦労ばかりしてると鱗艶が翳って、ショボい龍になっちゃうわよ!
そしたらボク………あまり乗りたくないかも………」
「え!それは嫌じゃ!
儂は烈に乗って貰えないなんて嫌じゃ!
ならば鱗艶を磨き努力する!
今一度家族に向き直り、家族の在り方を妻と話し合うとする!」
「まぁ良い年した奴らだから、金ちゃんが其処まで悔やまなくても良いのよ!
それより虹龍は地龍の子として魔界に大々的に知ら示めるからさ、その時は金ちゃんは祖父として、虹の後見人になってやって!」
「それは………許されるのか?………」
「誰が許さなくても、ボクが許すから大丈夫よ!
そして次代の四龍の兄弟の祖父としても、まだまだ鱗艶翳らせて貰ったら困るのよ!」
「烈!儂は頑張る!
孫に誇れる祖父としていたいからな!」
「そうよ!ボクのおじいちゃんでもあるのよ!
レイたんの祖父でもいて欲しいのよ!
だから頑張って!」
「儂は烈もレイも可愛い!
だからどの子も同じ様に愛す!」
「それは頼もしいわ!」
にこやかに笑っていると素戔鳴尊の屋敷に着いた
金龍は烈達を下ろすと、人の姿になった
そして自分も人の姿になると、烈と共に素戔鳴尊の屋敷の中へ入った
朱雀もその後に続いたから素戔鳴尊の屋敷に到着すると、アーネストとジョージとルーとスーを下ろすと人の姿になった
皆で素戔鳴の屋敷に入ると、リビング横の客間へと向かう
テーブルの前に座ると竜馬は
「此処は魔界と謂う場所だ!
イギリスとかアメリカだとhellやINFERNOとか呼ばれる場所と同じ意味を持つ場所だ!」と教えた
ヘンリーは「僕達も最初連れられて来た時は何もなくて唖然としたけどさ………
僕は此処が好きだよ、だから死しても魔界へ来たいと閻魔様に申し入れした程だもん!」と笑って言う
素戔鳴尊は皆の前にデカチゴを切り分けて出してやった
そして取り皿を出してやる
デービッドも「素戔鳴はん!お久しゅうやわ!」と謂う
イーサンも「逢いたかったです!」と言い
サムエルも「私も逢いたかった!」と素戔鳴尊に抱きついた
ダニエルも「僕も逢いたかった!」とバクして
フレディは「さぁ今夜は僕達の演奏会ですね!
さぁアーネストとジョージも楽器を作りなさい!」と謂う
アーネストは「え?楽器??ないの??」と呟いた
ジョージも「え???何故に作る?」と頭が考える事を拒否っていた
竜馬が「此処は音楽の無い世界だったから楽器なんて無いんだよ!」と謂う
だが…………烈の馬は歌ってる
今も馬の歌が聞こえる…………
音楽の無い世界?嘘だろ?…………
烈は「ボクの馬は竜馬やメンバーが来た時に歌に触れたから、覚えて歌っているだけよ!
魔界で始めて【音楽】を奏でたのは竜馬なのよ
その後にメンバーが皆に演奏してくれたのよ
今回も頑張って皆に音楽を披露してね
その為に皆を連れて来たんだから!」と謂う
アーネストは「一から作る…何か出来るか解らないけど………やってみるよ!」と謂う
ジョージは「なら俺は烈の馬に歌を教えて、歌わせるとする!
それを本番、俺が演奏して馬が歌を歌う!
それを披露してやるさ!」と謂う
アーネストは「それ僕も参加させてよ!」と謂うとジョージは「なら一緒にやろうぜ!決まったならば楽器探して作ろうぜ!
そして歌を教えねぇとな!」と謂う
素戔鳴尊は「竜馬が作った楽器に似たのならば、弦とか謂うのを張ってないのがある!
そしてワインの樽で何か出来ないかと、樽も持って来てある!」と謂うとアーネストとジョージは喜んで素戔鳴尊に抱き着いた
そうと決まれば楽器作りを始めた
【R&R】のメンバーと竜馬の楽器は前に置いて行ったのが出してあった
メンバーはそれをより良い音に改良を尽くす気だった
烈は「楽器作りの前に畑に行かない?魔界の作物がどうやって成るのか見たくない?」と誘う
皆で畑へと向かう
兵藤も愛馬のレイモンドを呼び出し乗る
烈はアル君とスィーツ兄弟とタカシのいる厩舎へ向かう
兵藤は「増えてますがな!」と笑った
「アル君が子作りしちゃったからね!」とボヤくと、アル君はクシュンとして涙と鼻水を垂らした
素戔鳴尊は人数分の馬を持って来ると、皆に好きなのに乗って良いと言った
そして皆で畑へと向かう
馬に乗れないジョージは竜馬が乗せて畑へ行く
アル君とスィーツ兄弟は飛びながら歌う
アーネストは「それ……RODEOÑの歌じゃん!」と謂う
烈は「アメリカのイベントの後、歌っていたからね覚えちゃったのよ!」とサラッと謂う
しかも音程も確りしてて、上手かった
畑に行くと……妖精達が飛び交いキラキラと羽根が西色に光って…………
人生で一度も見た事かない程に………美しく感じていた
アーネストは「おとぎの世界かい?此処は?」と呟く
ジョージも「此処は天国?」と呟いた
昔 親がくれた本に書いてあった様な……世界だったからだ
烈は「此処は魔界よ、通称【地獄】死者の魂を管理する世界よ!」と夢砕く事をサラッと謂う
クロスが飛んで来て「烈!!」と名を呼ぶ
小さくて………それでいて何?この生き物は??
とメロメロになりクロスを見る
「この方は妖精国の小妖精の王子様のクロスと謂うのよ!」
烈が紹介すると「クロスです!宜しくお願いします!」と謂う
烈は「新作どう?」とクロスに話す
魔界の山は四龍が所持する山と閻魔が管理する山がある
烈は閻魔が管理する山に段々畑を作り、山の景観を損なわない作りの果樹園に挑戦していた
段々畑低層は茶葉が主流となっていた
中層から高層に果樹園を作り、パット見果樹園があるのさえ解らない外観となっていた
山の中層から高層にかけては柑橘系の果樹園に初挑戦していた
魔界の山々は魔力が濃いから、茶葉にしてもかなり収穫しても翌日には元に戻っていた
クロスは「茶葉は市場に流せる程になりましたが………果樹園はまだ微調整必要だから、烈に聞いて調整する気です!」と謂う
「今回はそんなに長くはいないからね、今回て無理なら通って調整するわよ!」
と、今後の予定を立てて行く
其処へ素戔鳴尊もやって来て、デカスイカを荷台に乗せていた
デカい果物ゾーンには畑に埋まって傷つかない様に日に当たりやすくて、尚且つ傷つかない為のレーンが作ってあった
そのレーンの上で成るから出荷もレーンの上でやれる様になった
烈が農家の特番を見ていて、其れをアイデアに、魔界に特化したのを作ったのだった
色々と工夫がされてる畑だった
そして植える敷地も増やし安定供給の作物や、定番の味噌や醤油、ワインやお酒の作物の場所の管理や植え替えは、新卒の鬼たちにやらせていた
新作や果物の敷地は結界が張ってあり、一般人や関係者でない者は入れなくなさせた
区分を決めて、管理され安定に繋げて、市場は其れを買う者で賑わっていた
魔界の食を守るに相応しい管理体制になり、その管理は閻魔庁がしていた
クロスは最近魔界を騒がせている話題を烈に話した
「烈、最近ね、魂の管理庁の横に要塞の様な建物が、建てられていて………皆 怖がってるんです」と謂う
「魂の管理庁の横?
それってボクの研究室かしら?」
クロスは「え!!!烈の建物だったのですか?」と驚いて謂う
「ボクの建物と謂うより、研究室ね!
そしてその建物凄く高くて長いでしょう?
研究室と診療所を併設して建ててあるのよ
魔界には病院はないからね
擦り傷や腹痛、解熱剤位は研究室で何とか作り量産したいなって思っていたのよ!
そして医者………老衰で死んだら義泰連れて来ようかしら?と、えんちゃんと相談中なのよ
だからの建物なのよ!」
と詳しく話す
兵藤はそれを聞いていて「義泰、死しても酷使されるのかよ?」と呟いた
烈は悪どい顔をして「少し前にねボク、義泰に問い質したのよ!
【もし今世の生を終えたとしたら、誰と共に地獄へ堕ちる?】ってね!
そしたら義泰は『儂は地獄行き決定かよ………ならば志津子と共に手を繋ぎ共に堕ちたい!』と言ったのよ!
『愛した人は良いの?』って聞いたら『彼女は転生して幸せになってくれれば………それで良い!
共に行くのは志津子と決めておる!』と謂うからね、志津ちゃん地獄行き決定しちゃったのよ!」と嗤う
康太………お前の子………こんなにも悪どいぞ………
と心の中で呟く
まぁ康太ならば笑い飛ばすだろう
それが飛鳥井宗右衛門だ!と謂うだろう
烈は「医者を確保したけど、そんなに直ぐじゃないからね、それまでは特効薬考えないとなのよ!」と謂う
兵藤は「無理せず頑張れ!」と謂う
烈は「黒龍と紅花の前では言えなかったけど、黒龍が妻 紅花が鳳凰を産んでくれるのよ!
此れで責められ続け、体を壊して死にそうな鳳凰の妻も助かるのよ!
まぁ黒ちゃんに全てを背負わせる気はないけどね
黒ちゃんの立ち位置に魔界の運命が掛かっていたのは確かなのよ!
それを覚悟して黒ちゃんは頑張ってくれたのよ
無論、政略結婚とかじゃないわよ!
二人は出逢った瞬間恋に落ちる運命だったのよ
兵藤きゅんがシャルロット王女を一目見た瞬間に恋に落ちた様にね
二人も一目見た瞬間、恋に落ちたのよ!
政略結婚なんてしたら、鳳凰なんて生まれはしないわ!
鳳凰は己の運命を視て腹を選ぶからね!
現鳳凰の妻は余りにも非力で鳳凰は孕めはしない
もし孕んたとしても、それは命と引き換えとなる定めとなる
だから次代の鳳凰は生まれなかったのよ!
でも此れで後継者問題も片付く!
黒龍が妻はもう時期 妊娠の兆候を得て妊婦となる!
そしたら桃源郷近くのボクの家で出産まで過ごさせ、出産させる
お師匠達の総結界の中で護られ、横槍など入れさせはしない!
それて生まれたお子は黒ちゃん夫妻が育てる
愛して愛して育てる!
此れで魔界の鳳凰問題も片付き、責められ続けた鳳凰の妻も体調を戻すのよ!」
烈の言葉に兵藤は「そんなに責められ続けていたのかよ?」と問い掛けた
「ええ、銘や夏海が受けた虐めと同じよ!
見てない所で遣りやがるのよ!彼奴等は!
ボクもね………それはそれは陰湿な虐めされたわよ
生きるのが嫌になる程の………朝なんて来なければ良い………と思える程の虐め
兵藤きゅんにはきっと想像付かないだろうね
ボクは弱かった
だから虐められた
それも総ては理不尽なイチャモンに近い嫌がらせだった………
それをされるとね………日々精神は削れて行くのよ
己が死ぬか?其奴等を殺るか?
それしか考えられなくなる………
視野が狭くなり……追い詰められて行くのよ
己で己を追い詰めて雁字搦めにしてる事さえ気付かないのよ………
そして心に血溜まりの花を咲かせ………呪詛を吐き続ける………
夏海は少し強かったから………其処までじゃなかったけど、銘はもう心も体もボロボロよ
復讐する気力さえない程にね生きる屍になっていた
こんな腐った魔界…………更地にしてやろうかと何度も思ったわ………
こんな魔界消えてなくなれ!
毎日 毎日 全てを恨み……復讐する事だけ考えていた
ボクは復讐に逃げた、そしてボクにはニブルヘイムがいてくれたから、誰も殺める事は………しなかった
銘には誰もいなかった
そして地龍にも誰もいなかった
孤独に苛まれ………共に黄泉の旅路に出向くしか……術はない………そう想い婚礼の儀が終わったら二人で旅立つつもりでいた………
そんな所に紅花を入れられる訳ないじゃない
世間知らずな子を魑魅魍魎の中へ入れる様なモノじゃない!」
と言い、兵藤に紅花が置かれた境遇を話した
兵藤は言葉もなかった
其処へ「れちゅ!」と言いレイが現れ烈に飛び付いた
烈はレイを抱き締めて「レイたんどうしたの?」と問い掛けた
「れちゅ にょ たまちぃ かなちんでた!」
だから飛んで来たと謂う
烈はレイを抱き締めて「ありがとうレイたん!」と謂う
素戔鳴尊が「レイも来たし、果物を切る故食べるがよい!」と言いデカメロンを切り皿の上に乗せた
レイは「じぃたん!」と素戔鳴尊に飛び付き甘えた
「ほらほらレイも食べるがよい!」と言い皿に取ってやる
皆でデカメロンを食べて一休みした
烈は「じぃさん、どんな馬かしら?」と謂う
素戔鳴尊は「………歌は歌えぬ馬だろう………」と謂う
そもそも天馬は喋れるが歌は歌わない………
烈は少しがっかりして「そうよね、でも立派な馬なんでしょうね!じぃさん、子が生まれたら貰うのよ!」と謂う
「そうじゃな、くれるならば貰っておくとする!」と言い、皆でデカメロンを食べた
アーネストとジョージは楽器になるモノを見つけ、試行錯誤して使えるようにする
そしてアル君に歌を教える
飲み込みの早いアル君とタカシとアレクとスィーツ兄弟は、教えてもらった歌を歌っていた
烈は首の八咫鏡の首飾りを手にすると
「カズ、レイたん来ちゃった!」と呼び掛けた
暫くして「え?レイいねぇのかよ?」と返って来る
人の世は慌ただしい朝になっていた
一生は急いてレイの部屋を見に行くと………抜け殻だった
『レイ、いねぇわ!
康太には言っとく!』
「悪いわねカズ!」
『良いって事よ!今日は土曜日だし、幼稚舎は休みだからな!ラッキーだったな!』と笑う
烈は何かあった時の為に………と八咫鏡の欠片を使って通信出来るモノを開発した
まぁ開発と言っても八咫鏡の欠片を粉々にして織り交ぜ声を響かせる様に雷石の粉と色々なモノを混ぜ込み試行錯誤して作り上げた八咫鏡2号と名付けた通信機器だった
用がある時に連絡が付けられる様に一生に渡したのは正解だと北叟笑む
レイ不在を告げて通信を終わる
アーネストとジョージの楽器も出来上がり、世界樹の前の広間へ行く
そして楽器を調整していると、魔界の住民が
「演奏会するのですか?」と尋ねて来た
烈は「そうよ、今夜は告知なしのサプライズ演奏会ね!聞けた人はラッキーね!」と謂う
皆は直ぐに友人知人に広めて拡散されて逝く
夕刻を過ぎた頃、演奏会は始まった
アーネストとジョージが口ずさみ楽器を鳴らす
アーネストは良い音がする樹の実を神楽鈴の様に取っ手に装着して鳴らしていた
ジョージは樽の太鼓を鳴らしていた
綺麗な鈴の音と重低音な太鼓の音が、アル君とアレクとタカシとスィーツ兄弟の声に合い、綺麗なハーモニーを醸し出していた
ヘンリーは「凄い!彼処まで歌えるの!!」とアル君達とスィーツ兄弟の歌唱力に驚いていた
竜馬も「俺等も負けてられないっす!」と頑張る
アーネストとジョージの演奏は7曲を演奏して終わった
何故7曲かと謂うと、アル君が覚えられる曲数が7曲だっただけだが………
そして【R&R】のメンバーが演奏する
皆 夢心地に演奏会を酔いしれ盛大な拍手で演奏会は終わりを告げた
何時の間にか来てたのたのか?
康太と榊原が「お疲れさん!」と出迎えてくれた
素戔鳴尊の屋敷に戻り、その夜は弥勒と澄香も呼び宴会となった
素戔鳴尊の屋敷は妖精が飛び交い、魔族で溢れ賑やかだった
烈とレイはお腹も膨れ、リビングのソファーに座り
「れちゅ やま けずりゅ?」と問い掛ける
「う〜ん、今山では茶畑と果樹園作ってあるから、削りたくないのね!」と謂う
レイは地図を出すと「ここまでにゃら まきゃいよ!」と謂う
魔界はまだまだ眠ってる場所は多い
半分は地獄になっているが、半分は魔界として機能させていた
が、まだまだ誓約の地以外にも山が豊富にあり……岩ばかりの地もあるのだった
烈は地図を見て「そうなんだけどね……」と謂う
レイは「けちゅ にょ いっちゅん!」と謂う
烈は「レイたん、しなくていいのよ!そんな事に力使わなくて良いのよ!
ボクはレイたんに力を使わせようと傍にいるんじゃないからね!」と優しく抱き締めた
「れちゅ………」
「工夫して、苦労しても皆で手に入れる!
だから龍族は苦労して誓約の地に家を建てたのよ
そして日々違える事なく精進して生きて行くの
そうした日々が大切なのよ!
レイたんもかけがえのない日々を沢山作って胸に刻んで行って欲しいのよ!」
「れい ぎゃんびゃる!」
「友達沢山作るのよ!」
「りんね、うちょみたいらけど……もてりゅのね!」
「え?………凛………嘘………」
「りょぉーも きゃもきゅな ところぎゃいいって もてりゅのね」
「え!!椋も!ならレイたんは?」
「ぼきゅ……あんまち……もてにゃい
ともらちも………あんまち………いにゃい……」
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