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第17話 正しき道へ ❸
「え?嘘!!レイたんはモテるわよ!
その顔がスケコマシじゃない訳ないじゃない!」
傍で聴いていた兵藤が「おい!」と謂う
康太は爆笑していた
榊原は「レイはシャイで人見知りするから、近づけないんですよ!」とフォローする
レイは首を傾げて「ちゅけこまち?にゃに?」と聞いた
兵藤は「こんな捻くれたじぃさんの事は気にしなくて良いんだよ!」と言いレイの耳を塞いた
「あんまし変な事を言うなよ!
穢れてないレイが穢れるじゃねぇかよ!」とボヤく
「ボクも穢れてない少年だわよ?」
「嫌々、お前は百戦錬磨のジジィじゃねぇかよ!」
「失礼ね!ピチピチの少年に向かって!」と怒る
レイは兵藤の手を振り払い「れちゅ ぴちぴち!」と怒った
兵藤は笑ってレイを撫でていた
烈は「じぃさん、明日は正装?」と聞く
素戔鳴尊は「そうじゃな……一応式典みたいなモノじゃからな!」と謂うと
康太が「え!正装!!」
烈が「肩凝るのよね!」と続けた
康太は「ならジャージ入れて行くしかねぇな!」と謂う
「そのつもりよ!母しゃん!
直ぐに着替えてジャージよ!」
「だな!」
似たもの親子はボヤきつつ、正装を脱いだ時の算段をする
烈は「駿馬かしら?それとも汗血馬かしら?奔馬かしら?赤兎馬なんかなら楽しみだわ!」とウキウキ呟く
外では今も馬が歌を歌っていた
烈は今度楽器を与えたら演奏しないかしら?と考えていた
「ねぇりゅーま、馬でも使える楽器ないかしら?」と謂うと竜馬は「今度考えてみるよ!」と謂う
【R&R】のメンバーとXmasイベントの話に盛り上がり、アーネストとジョージは何もない世界に………改めて【音楽】を響かせる意味を痛感していた
音楽は国境も人種もない………
歌を聴けば皆笑顔になる
この意味を知らなかった
頭ではそんな音楽奏でたいと想いつつ………
実際にはそれがどんな事なのか?解らなかった
この何もない世界に来て、音楽に触れて、始めてその意味を知った
多分 竜馬や【R&R】のメンバーもそうだったんだろう………
Strong HiのメンバーもRODEOÑのメンバーも魔界へ来た意味を胸に刻んだ
素戔鳴尊の屋敷では「素晴らしい音楽をありがとう!」と言い感謝の手紙を持って訪れていた
音楽を聴いてくれた人の感想がこんな近くで聴ける………
皆 涙を浮かべて【ありがとう】と言ってくれる
そんな優しい思い………何時の間にか忘れてしまっていた
皆に聴いてもらえる歌を作ろうぜ!
そう言い始めたバンドだった
康太と榊原は良い風が吹いているのを感じていた
その夜は朝まで飲んで騒いでいた
朝早く 烈とレイは竜馬を叩き起こし、メンバーも叩き起こし湯殿へ向かう
皆で背中を流し合いっこし、お湯に浸かる
レイは「ねぇ れちゅ とうじは みきゃんよ!」と謂う
「冬至?まだ早いわよ!
それに魔界はみかんないわよ
冬至はみかんじゃなく柚子ね!」
「ゆじゅ?ゆじゅ いれりゅの?」
きっとレイの頭の中には瑛太と京香の子の柚が描かれているんだろう………
「そっちの柚じゃないわよ!
おみかんの柚子ってのがあるのよ!」
「むびょうちょくちゃい!」
「そうね、無病息災に効くのよね!」
烈とレイの会話を聞いていてアーネストは「無病息災って何?」と聞く
兵藤が「無病息災とは一年間病気もせず災いもなく過ごせる願掛けだよ!」と教えた
ジョージは「なら、そのユジュ風呂っての?やりたい!」と謂う
烈は「年末は12月21日の冬至の日よ!」と謂うと「「ならその日飛鳥井に行きユジュ風呂っての入る!」」と謂う
烈は「会費払ってね!メンバーも食費入れて来てくれてるのよね!
そして冬至の日は去年は柚子買って来てくれたのよ!」と謂うと
アーネストは「会費払う!ユジュは何処で買えるか解らないから連れてってよ!」と謂う
ジョージも「俺も会費払う!だからユジュ風呂入りたい!」と謂う
「なら父しゃんに話しとくわね!」と謂う
お風呂を満喫して出ると朝を食べ、烈は正装に着換えた
レイも榊原が正装に着替えさせる
そして正装に着せると「着崩れするので暴れないで下さいね!僕達も着替えて来ます!」と言い炎帝の屋敷へと向かう
暫くすると閻魔がやって来た
「素戔鳴殿、烈、準備は出来ましたか?」と言い入って来る
そして正装したレイを見つけ
「レイ来てたんですか!
正装、似合ってますよ!」と言い抱き上げた
素戔鳴尊は奥から正装に着替えてやって来た
烈は素戔鳴の為に正装を作った
和装と洋装の二種類を作り、今日は洋装を着ていた
「それでは逝きましょうか?」と謂う
素戔鳴尊は「朱雀後を頼む!式典が終わると話がある故待つがよい!」と謂う
「了解!ならお気を付けて!」と言い送り出す
素戔鳴達が出掛けると、宇迦之御魂神がやって来て「ご飯は食べたの?」と問い掛けた
兵藤は「朝は食べたぜ!」と謂うと宇迦之御魂神は「そうですか、今晩までお泊まりなんですよね?ならば山菜採りに行きますよ!」と言い連れ出した
兵藤は「山菜採りって油断してたら大変な事になるぜ!気を引き締めて行くんだぞ!」と謂う
竜馬や【R&R】のメンバー、RODEOÑのメンバー、Strong Hiのメンバーは????状態だった
そして山に入り………本当に魔界って変な世界だと痛感させられた………
大きなキノコが「お前、俺を食うのか?食われる前にお前を食ってやる!」と襲って来たり
明らかに山菜だろ?お前?って言う姿してるのに………ゼンマイが伸びて……搦めやがり……
熊獣がやって来て………襲われそうになったり………
宇迦之御魂神が熊獣目掛けて飛び蹴りして伸ばしたり………と大変な目に遭っていた
その頃烈は桃源郷近くの地獄界に入った所に来ていた
龍王も参列し馬の贈呈式が行われた
立派な駿馬の系譜の馬だった
滞りなく馬の贈呈式は行われ、閻魔が儀礼に乗っ取り感謝を伝える文を読み上げ式典は終わった
式典が終わると龍王は烈に近付き
「今日は黒龍達は来ておらぬのか?」と問い掛けた
烈は「あの二人は今人の世に修行に行かせています!紅花様は御屋敷から出た事のない生活をなさっていた御方ですから、いきなり魔界で暮らさせるのはハードルが高いので、人の世で半年から一年は過ごされ身も心も鍛え上げられ、己の身は己で守れる程武術を嗜まれたら魔界へ帰り生活されるのです!」と話す
龍王は「ならば………一度………人の世におる紅花に合わせて貰えぬか………」と申し出された
「それは人の世に逝かれると謂う事なのですか?」と尋ねた
「我等地獄界の者達も時代に取り残されぬ様に外聞を広げる様に世界に目を向け始めた
儂は逝くならは娘のおる世界をこの目で視てみたい………」
「ならば許可を取って来て下さるならばご案内致しましょう!」と謂う
龍王は烈の手を握り締め何度も何度も「ありがとう………」と礼を言った
龍王と話を終えると元始天尊が烈に近付いて来た
「烈、近い内にまた八仙の所へと行く!
その時に施術をする………あの施術は時間が掛かる故、式典の後にチョチョイと出来る様なモノではないからな!」
「無理なお願いしたのはボクの方だから…天ちゃんが都合の付く日で良いからお願いね!」
「分かっている………じゃが痛みを伴う施術になるが………耐えられるのか?」
「彼ならば耐えて堪えて耐え抜いてくれるでしょうね!
人の世の彼は死したから、別人にならねば生きられないのは分かっているからね………」
「…………そうか………それ故の施術の頼みなのであるのだな………了解した!
此方も準備を整え次第、八仙の所へ向かう!
八仙から連絡が来たら……其奴を連れて参ってくれ!」
「有難う天ちゃん………本当に無理なお願いを聞いてくれて有難うね!」
「全てリセットさせ生かせたい者がおるなれば、儂も協力してやりたいと思ったのじゃよ!
生きている内に地獄を見た者なれば………別の人生を与える慈悲はあってもよいと儂も思うから………」
烈は深々と謝意の思いを込めて頭を下げた
神髄師は烈の頭を上げさせ
「儂も其奴の新たな人生の手助けをしてやれるならば、協力してやりたいのじゃから、頭は下げずともよい!」
「彼の生い立ちは施術する日に話すわ!
本当に翻弄され続け、踏みにじられ続けた人生だったからね………ボクの………過去の記憶とシンクロしちゃったのよ………
でもボクは業が深いから復讐する道を選んてしまった………でも彼は復讐さえせずに堪えて堪えて………自分の過酷な環境を足掻いて藻掻いて何とかしようとしていた
そんな彼に………違う人生を与えて生かせたいと思ってしまったのよ………」
神髄師は八仙から聖神の過去の話をされた事がある
聖の神と呼ばれていた頃の話しは、かなり壮絶で復讐に走っても当たり前だと思った
なのにそれ以上の過酷な世界に身を投じている者がいるのか…………
神髄師は言葉もなかった……
神髄師と施術の約束をして、地獄界を後にした
桃源郷近くの仙界へ入ると、烈がまだやる事があるから!と、一足早く帰宅した
それを皮切りに解散となり其々の所へと還る事になった
閻魔は「お前達はどうするのだ?」と問い掛けた
康太は「オレ等は人の世に還る事にする……オレは宗右衛門がやる事には口も手も出さねぇと決めてるんだよ!」と笑って言う
閻魔は「『最近の母しゃんは何でもかんでもボクに放り投げやがるのよねぇ〜』と烈が何時もボヤいてますよ?」と笑って言う
「まっ、オレは孝行息子に楽させて貰ってるかんな!」
「近い内に神々の役割を決めます!
聖神が敷いたレールに乗らねばなりませんので、その時は顔を出して下さいね!」
「了解だよ!兄者!」
「気を付けて還るのだよ!炎帝、青龍!」
別れを告げると閻魔は、貰い受けた馬に跨り、魔界へと帰還した
康太と榊原は崑崙山へ入ると、そのまま人の世に帰還すると告げて帰って行く事にした
後は竜馬がその目で見れば良い
その場に自分達は不要だと………烈の屋敷で着替えて正装を八仙に託すと、康太と榊原は人の世に還った
烈はアル君を飛ばし素戔鳴尊の屋敷に到着すると、正装を脱ぎ捨てジャージに着替えると
「りゅーま、一緒に見に行きましょうか!」と謂う
兵藤は「二人で大丈夫か?」と問い掛けた
烈は「此れはりゅーまが通らなきゃならない道だからね!」と謂う
竜馬は覚悟を決めて烈と共に素戔鳴尊の屋敷を出た
そしてアレクに乗ると魔界を通り越して………一度も立ち寄った事のない地獄エリアへと足を踏み出した
地獄エリアは馬は入れぬ領域
烈は「アル君帰って良いからね!」とアル君とアレクを帰した
そして地獄の門を鬼に開けて貰い中へと入る
死者しか立ち入れぬ領域だった
鬼は「ヒョッコ達の所ですか?」と聞く
「そうよ!」と謂うと鬼はリヤカーを持って来て
「乗ると良い!」と言ってくれた
烈と竜馬がリヤカーに乗ると鬼は走って目的地へ急ぐ
そしてかなり走って止まると、其処は死者を管理して、鬼達が働く場だった
リヤカーから下りると烈と共に歩き出し………鬼達の作業を漠然と見ていた
が、その中に混じって見知った顔が必死に仕事をしている目にして、立ち止まった
弟の…………敦之だった……
竜馬は唖然として敦之を見ていた
あんな顔していた?
あんな必死に仕事しているなんて………
嘘みたいだ………
高飛車で人を見下す傲慢な弟と面と向かって話すのを諦めたのは何時だったか?
何を言っても無駄だと背を向けたのは竜馬だった
竜馬は弟の顔を目にして………涙が止まらなかった
敦之は視線を感じて顔を上げると………
其処に竜馬がいて………唖然となった
烈は「さぁ、りゅーまお約束よ!」と謂う
竜馬は笑って「グー?」と聞く
「パーで軽めね、あの子達はまだ仕事があるからね!」
「うし!なら軽めにいっとく!」
そう言うと竜馬は敦之の前に立った
面と向かい………こんな間近で顔を見た事なんてなかった………
竜馬は敦之にビンタをかまし、嗤った
「此れは今迄の生意気なお前に対しての、制裁だ
そして俺とお前はどうあっても兄弟だからな、乗り越えて逝くべき事なれば……お前の目を醒させる
それかお前の兄としての努めだからな!」
「兄さん………」
「今後は生意気は許さねぇからな!」
「はい!解ってます!」
「お前も政治家になるんだろ?
ならばお前は三木淳夫を超えやがれ!
俺は何者にも囚われない闘いをする
だからお前も誰にも囚われねぇ、お前の闘いをしろ!」
敦之は目から鱗な竜馬の言葉に………
「僕は………僕の好きに生きて良いの?」と問い掛けた
「良いに決まってるやんか!
政治家にならねぇなら、別の道を行けば良いだけの事!俺等は誰にも縛られねぇ世界に生きているんだ!」
「政治家になりたいよ………でもそれは……人生の年輪を積み重ねて逝かないとなれないと………教えてくれた
だから僕は僕の年輪を増やして……ライバルの貴教に負けない様に生きてみたいんだ!」
「ライバルがいると謂う事は良い事だ!」
「兄さんにもいるの?」
「いるさ!負けたくないのに負けちゃうと悔しくて泣けて来る………
そんな時 烈は…………」
「優しく慰めてくれるの?」
「嫌々、彼は傷口に塩じゃないタバスコ、嫌ジョロキア塗りたくる奴だぜ!
甘くはないよ厳し過ぎる奴だからね………でも俺は烈の示す果てへと逝きたい!
だから苦しくても悲しくても辛くても逝くんだよ
俺は俺の道を逝く、だから敦之は敦之の道を行くと良い!」
「兄さん………」
「敦之………」
仲の良い兄弟はやっとスタートラインに立てた
そんな所を見ていて欲しいのに…………烈は……
貴教と話していた
「どう?ケンブリッジ合格ラインいけそう?」
「どうだろ?得意分野とそうでない所の差は激しいかな?」
「年内は精一杯、此処で過ごしなさい!
まぁ人の世に還ったとしても、家には還れないけど、まぁ親には会わせて上げるわ!
そして兄弟にも会わせてあけるわ!
貴方は人の世に還ったら、鷹司の家の書生として鷹司の家に入り、高校入学の年に志望する学部と照らし合わせて大学を決めて留学するのよ!
今回はスキップは許さないわ!
大学生活を送り、友達を作りなさい!
バイトして生活費を稼いで世間を知り、学業と私生活を充実させつつ、海外と倭の国の生活水準、お国柄の特性を知るのよ!
そしたらロードに託して教育して貰うから、それまでは日々精進なさい!」
「何か………凄く焦っていたし………自分は優遇されて当たり前なんだと………愚かな考えをして天狗になっていた…………
魔界に落とされても、少しの間は助けが来るんじゃないかって甘えていた
でも、そんな甘えさえ吹き飛ぶ場に連れて来られ、目が醒めたし………自分を見つめ直す時間が出来ました!
人の世に戻っても鷹司の家で書生として学べるならば全て吸収するつもりで頑張るよ!
あの………昨夜の演奏会………クロウ達が連れて行ってくれたんだ!
そして音のない世界に響く音楽に………泣きたくなる程………嬉しかったです!」
「年内は頑張るのよ!
後少し、ムキムキになると良いんだけどね
強い心は隙入る事さえ許さない強い心となり、貴方達を強くしてくれるわ!
どんな困難な事が起きたって、此処での修行の日々を思えば乗り越えられるわ!
だから【力】を着けなさい!
力がなくてボクは闘う事さえ放棄して、復讐する道を選んだ
ボクがもっと強かったら闘えたんじゃなかって………今も悔いならあるのよ………
だから強くなりなさい!
大切なモノを手放したくないならば、強くなりなさい!良いわね!」
烈の言葉が心に響く
貴教は「はい!頑張ります!」と言った
竜馬は「烈ぅ〜俺頑張ったのにぃ〜」といじけた
烈は敦之に向き直ると
「三木りゅーまは敦夫の従兄弟の名前なのよ
志半ばで逝った従兄弟の名を着けた
そしてその顔は三木敦夫が愛して止まない妻で、
元女優の五代雪乃にソックリなのよ!
でも本人はつい最近まで自分は養子なんだと思っていたのよ!
それでグレて真贋預かりとなり、ボクと出会ったのよ!
実際 りゅーまは大人気ないし、我儘謂うけど、誰よりも傷つき、誰よりも両親や兄弟を愛しているのよ、だから今後は仲良く過ごしなさい!
いずれ……貴方とりゅーまは白熱した討論を繰り広げる政治屋になるでしょ?
無限の可能性を秘めたキャンパスに、己の絵を描いて行きなさい!
貴方は何者にも囚われない兄の血が流れてるんだからね!」と謂う
敦之は吹っ切れて清々しい笑顔を見せていた
「次はノリか……貴ちゃん位ムキムキにならないかしら?」
貴教はプンプン首を振り
「無茶振りが過ぎます!」とボヤいた
「でも勝也の血を引いているからね
絶対にムキムキになれるのよ!」
そりゃ血は引いてるけど…………
烈はクスッと笑い貴教の服を捲り上げると
「まぁいい感じに筋肉は着いてるわね!
トレニングメニュー今度持って来るからね
それをやって少し筋肉着けるのよ!
鷹司の書生は3ヶ月と持たない過酷なブラック企業だと言われてるからね………体力ないと続かないのよね!」
とサラッと謂う
敦之は「因みにどれだけのブラック企業なんですか?」と尋ねる
「参考書とか百科事典って凶器になるのよ……
ふらついたら容赦なく山積みで持たせるから足に落ちたら………死ぬわよ!」
烈はこんなサイズだと、到底参考書や百科事典のサイズじゃないのを教える
竜馬も「あぁ、鷹司……あそこの先生は鬼だから!俺と貴史はどんだけ絞られ、どんだけ泣かされ、どんだけ叩き込まれたか………」とボヤく
だが容赦なく「イベント終わったら獅童んとこ行くのよ!」とサラッと謂う
「……あの人……5キロはある錫杖振り回して危険っす!」とボヤく
「緑道はもっと重い錫杖振り回してるわよ!
地蔵菩薩の錫杖だからね!」
「あの兄弟は本当に危険っす!」
竜馬が謂うと貴教と敦之は青褪めた………
どんだけブラック企業で、恐ろしい場なのよ………
でも竜馬は真顔になると姿勢を正し
「だが鷹司の教室に教えを請えれる者は、一掴みの天才と鷹司に直接頼める者だけ!
俺と貴史は烈の頼みで預かって貰っているから、それはそれは腕によりをかけて鍛え上げられている…………それ位………特殊な事なんだよ
其処の書生になれるのは鷹司緑翠が認めた者だけ!だから与えられた環境がとても優遇された所だと思うと良い…………ま、あの先生は厳しくて中々着いてくのは大変だ
まぁ宗右衛門の前世の親友だから納得な御人だからな!」
烈は「まぁ獅童だから甘くはないけど、それでも歴代政治家を生み出して来た実績と信頼があるのよ!彼の推薦状を持って国会に入れば、即座に目の敵にされ実力を試されるわ!
常に実戦の世界に身を投じれる環境になれるなんて政治家てしては最高の環境よね!」とニコッとして謂われる
竜馬は肩を窄めて「これだよ………この御人は己にも厳しいから、人にも厳しさを求め当たり前だと想うんだよ!」とボヤいた
烈は「取り敢えず兄弟の絆も何とかなったし、この先が楽しみね!
獅童には更にレベル上げて仕込む様に頼んておいたから!
あ、そうそう、貴之ね、今獅童に仕込まれてるから、かなり泣いている頃ね
あの人はさ、己の信念も理念も一度ぶっ叩き壊して踏み潰すからね
しかもかなりレベル上げさせて仕込んでる最中だから、来年鷹司の書生になれば目にするわね!
あ、そうそう、安曇の子の近況を教えなきゃ!
貴也は養子に行き、養子先で政治家になるわ
そして貴之、彼は結婚して後少しで妻が子を産むわ、パパになる以上は更なる躍進をさせないとね
皆 本来の道に戻り、己の道を歩き始めているのよ!スタートラインは同じでなくてはならないからね!
貴方も人の世に戻ったらスタートラインに立つのよ!
勝也の子供が3人共に政治家になるなんてね!
兄弟がライバルとなり、敦之がライバルとなる
うん!いい感じね!」
と至極満足そうに呟いた
烈は鬼を呼び寄せ
「今日は兄弟に会わせたから時間のロスあったけど、此れは聖神が許した時間故、その時間も労働した事にして食事は最大レベルで与えてね!」と告げる
鬼達は烈にメロメロで「了解です!聖神!この子達は最初に来た時より柔らかくなって、頑張っています!腐る事なく続けた偉い子です!」と敦之と貴教の事を謂う
その言葉に敦之と貴教は涙ぐみ………嬉しくなった
「ではお願いね!」
「了解です!」
「後少し頑張りなさい!」
烈は拓美と拓人を見る事なく口にする
そしてその場を離れて行ってしまった
自分達は………何一つ未来が決まっていないのか………
二人はショックを隠せなかった
敦之は「君達はまだその時でないだけ、でも此処でやり直すチャンスを与えられたんだから、腐る事なく行くしかないんだよ………」と謂う
貴教も「僕らはさ、本当に傲慢で鼻持ちならない奴だった………今なら哀れな道化師だったって想えるよ………
何の為に張っていた虚勢なのか?
何の為に人を見下した態度を取っていたのか?
本当に自分を見返して……馬鹿だった自分を痛感させられた………
でもさ、僕等は未来があるんだよ!
何度でも失敗したらやり直せる時間も、選択肢もあるんだよ!
君達は弁護士や医者になるんだろ?
どんな弁護士になりたいの?
どんな医者になりたいの?
未来の自分を考えてみなよ!
君達なら何でも上手く熟せるだろうけど………
だけど今のままの君達みたいな傲慢で優しさや思い遣りも欠如した者の手にだけは掛かりたくはないよ!
自分ならどう思う?
そんな医者や弁護士のお世話になりたい?
医者も豊富にいる時代だよ?
弁護士も豊富にいる時代だよ?
選ぶ側は自分の命や人生を任せる人を探す
君達は選ばれるに相応しい人間だと想える?
其処から見直して逝くしかないんだよ!
此処は叫んでも誰も助けてはくれない世界
僕だってどれだけ叫んだか解らないよ
でも誰も助けてくれない………
泣いても叫んでも………誰も助けてはくれない
だけど、そんな世界でも繋がりはあると思えた
拒絶していたのは自分で………周りはそうじゃないって気づけた
見方を変えれば鬼さん達は何時だって見守っていてくれた
それが烈からの頼みだから護っているんだけど、それでも僕等に変なモノが近付かない様に護ってくれていた!
そんな優しさ忘れていたよ………
だから気に掛けてくれている兄さんに頼って生きているんじゃなく、己の力でまずは何とかしなきゃ!って兄さんを拒絶して一人で何とか仕事を覚えた
この世界で生きた日々の事は絶対に忘れない!
だって僕等の生きて行く指針になるからね
辛い時、悲しい時、思うんだ
あの地獄の日々以上に辛い日々などない!と。
そしてそんな日々を生きた自分ならば、乗り越えられない壁はないんだと!
だから良い体験だと僕は想うよ
だから君達も腐る事なく頑張って!」
と謂う
少し前の自分達ならば、こんな事を言われても………先を示された者の優越感で言ってる…………そんな気がしただろう
たがそれは違う………と今ならば解る
拓美と拓人は貴教の言葉を黙って聞いて心に刻んだ
甘えていたのだ
何でも許されると………甘えていたのだ
自分達は何の苦労もしなくても………ある程度の事なら熟せる
自分達は天才だとでも思っていたのか………
だが今なら、其処まで頭が良かった訳じゃないと………烈が持ち込んだテキストを見て痛感させられる
これじゃ弁護士にすらなれない
上には上がいる
自分達はそれから数えたら………底辺に近い
小さな世界のお山の大将だったのだ………
拓美は「今なら貴教君の言葉を理解出来るよ!
前は解ったフリして、馬鹿じゃない?と想っていたけど………そんな考えしてる自分が馬鹿だと今は解る!」と本音を吐露する
拓人も「何もない世界に放り込まれ………誰も助けてくれない世界に来て、始めて自分達は甘えていたんだと痛感した
甘い祖父母が僕達を守ってくれる………そう想っていた
だけど【飛鳥井】と謂う一族の中で生きるには………祖父母でさえ宗右衛門には逆らえないのだと解らされた!
それで如何に自分達が増長していたのか知ったよ
まぁ僕達は良い子の仮面を被り、それなりにいたら周りは、あの子達は良い子だと言ってくれたしね………そして有頂天になり気に入らない奴を、周りの奴を誘導して排除して更に優越感に浸っていた…………今思うと最低な奴だと痛感させられた
それを自分にやられたら?
【現実】として夢に見せられ………何で信じてくれないの?と叫んてる自分を見せ付けられた……
人は簡単に裏切るし、簡単に寝返り
今 自分の言いなりになっていたとしても、強い奴が現れ『アイツを排除しろ!』と言われれば標的は自分に返る………それさえ解らない愚か者だって知らされたよ
誠実に生きる………それって凄く難しく険しい道だったって………今なら解るよ
薄っぺらい自分を幾ら装っても………結局ハリボテなんて直ぐに見破られちゃう……
そして何もかもなくす未来しかない………
そんな未来は嫌だから………僕達は実績を積んで、良い子じゃない、流されない自分となり逝きたいと想うんだ!」
と本音で言う
四人はかなり仲良くなっていた
烈は拓美と拓人も鷹司の書生に出しても良いかしら?と考えていた
鷹司は政治屋だけではない、政財界、弁護士、医者を輩出して来た高難度の政経塾なのだ
声こそ掛けないが、その性格や体格は見ていたのだった
性格も貴教と敦之に矯正され柔和になってそうだし、まとめて放り込むのも良いわね!
なんて考えていたら、竜馬に「烈、顔が悪どすぎ!」と言われた
「失礼ね!りゅーま!」
「また良からぬ事、考えていたんだろ?」
「まぁね、今後の事を考えていたのよ!」
「それよりさ、このリヤカーお尻痛いよ!」
「掘られた痛みよりマシだから我慢よ!」
「掘られた事あるのかよ?宗右衛門!」
「ないわよ!でも掘った子が座るのも無理かも………と言ってたからね
それよりはマシって事よ!」
と、しれっと謂う
地獄門までリヤカーに乗せて貰い、外に出ると愛馬を呼び出し乗って素戔鳴尊の屋敷に還る
屋敷に到着すると、メンバー達は夕飯の準備をしていた
烈は厩舎にアル君を戻すと、屋敷の中へさっさと入り座敷に座った
素戔鳴尊は「ならば烈も帰還したし、少し話をするかのぉ!」と言い座敷に座った
兵藤はレイを膝に乗せたまま座敷に着いた
兵藤は「話しとは何ですか?」と問い掛けた
素戔鳴尊は「其々の神の役割りの見直しをする!
四龍の役割を明確する、その話が出た時に、其々の神の役割分担も明確にしようとなったのじゃよ!」と告げた
兵藤は「俺は輪廻転生を司る神、それは譲らねぇぞ!」と少しムッとして謂う
烈は「それは変わらないわ!ならばどの領域までの輪廻転生を司る気なの?朱雀一人でそれが叶うつもりなの?」と問い質した
するとグッと詰まった
烈は「その為の役割分担なのよ!まだまだ役割分担がなくて遊んでる神もいるじゃない!
其れ等を使い役割分担を明確にし、その力も明確にする!それが四龍の未来を担う為になるのよ
四龍の力は、イマイチ誰も理解していない
一人欠けても大丈夫っしょ!的な考えが抜けない!だから地龍が蔑ろにされ追い詰められるのよ
だから四龍の成り立ち、それて力の分配、其れを確立する必要があるのよ!
それに伴い神々の役割も決めるわ!
だから聞いてるのよ、朱雀一人で魂は管理され正されて逝くのか?ってのを!」と一歩も譲らぬ迫力で問い掛ける
兵藤は何も言えなかった…………
「朱雀は迦楼羅を御存知か?」
「え?迦楼羅?顔は知ってる!」
「迦楼羅は天龍八部衆の一尊よ、今はもう存在すらしてないから、迦楼羅は龍族から離れた
だけど炎帝が正して配置した
迦楼羅は金翅鳥王と呼ばれ、仏教では、鳥頭人身の姿をしているのよ
その姿は鳳凰の様に美しく羽を広げると336万里もあると語られているのよ
その、かるちゃんを補助に着けて魂の管理庁の責任者とするのよ!
そして朱雀が魔界へ還ったら朱雀が総責任者として立ち、不正はないか見張り動かすのよ!
そう言うシステムを築かねば詰むわよ!」
兵藤はグッと言葉に詰まった
自分一人の力では限界を感じていたからだ………
兵藤は「ったく………何処まで逝ってもおめぇは康太の子供だよ!」とボヤいた
「異存はないの?」
「ねぇよ!願ったり叶ったりだよ!」
「ならば朱雀、貴方も明日帰るまでに神の選出を手伝うのよ!」
「え!今夜は徹夜か?」
「寝れると思わないのよ!
精根尽き果てるまで搾り取ってあげるわよ!」
「お前が言うと本当に卑猥に感じる!」
烈は笑っていた
そして神々の選出に入る
どう言う訳か【R&R】のメンバーも竜馬も書類を渡され選出に入った
それは夜明けまで続き………寝不足のまま人の世に還る事になった
人の世に還ると………週明けの月曜の朝になっていた
烈は家に還ると少し寝た
少し寝て起きると時計は午前9時を指していた
疲れ過ぎててそんなに寝てないわね……このままじゃ久遠に怒られるかしら?と想いつつ起きると、お風呂に入り
何時も通りに掃除と洗濯をして、身支度をしてキッチンに行き朝を食べた
キッチンに行くと一生がいた
何故こんな時間までいるのかしら?と思っていると
「康太が遅れて烈達が還るからと、世話を頼まれたんだよ!」と謂う
烈は「お眠なレイたんは、今日は休みになってるから、兵藤きゅんのベッドの中へ入れておいてね!
メンバーはどうせ起きないから、放っておいて構わないわよ!」と謂う
一生は「了解!俺は今日はイギリスから来てくれた調教師の人から出された資料を読む為に休み取ってるから家にいる!
何かあったら連絡してくれ!」と謂う
烈は「少し話さない?赤いの?」と謂う
一生は「おー!良いぞ!」と言いお茶を淹れて烈と自分の前に置いた
一生は席につくと「で、話は何だよ?」と問い掛けた
「前に言ったでしょ?四龍の役割分担を変えるって!」
「おー!言ってたな!」
「で、赤いのはどんな役職に就きたい?
愛と平和と言っても目に見えないからね………
その役職はイマイチなのよ!」
「だな、俺もまぁ存在してるけど、具体的な仕事なんてしてねぇからな………」
「赤いのは魔獣とかの言葉も解るの?」
「どうなんだろ?動物全般は解るけど、獣は言葉が通じるか?解らねぇな!」
「ならば、その精度を上げなさいよ!
赤いのは今度、獣の言葉を聞いたり、馬達の言葉を聞いて掛け合わせたりして繁殖させたりしたら?」
「それって今やってるのと大して変わらねぇじゃんか!」
「だから良いでしょう!」
「黒いのはどうするのよ?」
「黒いのは龍族の長の仕事あるから、四龍としての役割を果たす時に出れば良いわよ!」
「四龍としての役割って?」
「結界やバランスを司る為に四龍はいるのよ!
東西南北、四神がいる様に魔界の東西南北のバランスを司るのは四龍が務め!
それも今後は明確にして行くわ!」
「なら蒼いのは?」
「彼は法を司る者、法皇だとか大層な役割から始められるのではなく、裁判官的な立ち位置で法を裁く存在になる!それに伴い、陪審員と弁護士必要だからね、魔界学校で専門知識を教えていくのよ!」
「…………なら地龍は?」
「彼は地脈の管理と火山の管理をして貰うわ
仙界は幾つもの山があり、火山があるか知ってる?
其れ等をボクが教えるから、今後は地龍が管理して行くのよ!
まぁ四龍の最大の役目は魔界のバランス!
一柱欠けてもバランスは取れなくなるからね!」
「何か魔界も変わって逝くんだな………
俺は仕事を明確にして貰った方が、働きやすくて良いな!
愛と平和を司るって、一体何してるんだよ?と揶揄されまくりで来たからな
何か気が楽になったな!」
「赤いのは愛情深いからね、間違ってはいないのよ!そして誰よりも平和的な解決を望んて動くからね、まさにその通りなんだけどね
目に見えないモノは、周囲に解らせるのは無理だからね、目に見える方法で知ら示るしかないのよ!」
「何か………褒められてる?」
「褒めてないわよ!本当の事を言ってるだけよ!」
「そんな風に言ってくれるたけで………何か嬉しいな……」
「カズはこれからもにーに達を護ってやってね!
近い内に茶色いのが菩提寺へ行ったら、虹とは親子として生活させるわ!
そして魔界へ還ったら虹は地龍の子だと公表する
そして後見人として金ちゃんが出て来て、更なる龍族の団結を強めて逝くからね!
今欠けさせる訳には行かないのよ!
まぁボクも大概酷い事を言ってるのは分かってるけどね…………歪んだ魔界の果てを正さねばならないからね………貴方は地龍の助けになってあけてね!」
一生は烈の頭を撫でてやり
「お前は酷い事なんてしてねぇよ!
酷い事してたのは………無関心に来てしまっていた俺達だからな………
それよりお前……顔色悪くねぇか?」と謂う
「魔界から帰還して来たばかりだからかしら?
何か怠いのよね………」
「早目に今日は帰れ!
久遠に予約入れといてやるからな!」
「ありがとうカズ!」
仲良くしていると「じゅるい!」と言いレイが一生の胸に飛び込み、撫でて貰おうとする
一生はレイの頭を撫でてやり
「腹減ってねぇか?」と聞く
「ぺこたん!」と謂うとラップを剥がしてチンして用意してやった
烈は「ならボクは会社に行くわね!」と言い部屋に戻りスーツに着替えた
そしてケントを呼び出し会社へと向かう
車の中で烈は竜馬に「早く帰るからね!還ったら打ち合わせするのよ!」と送った
会社へ行くと宗右衛門の部屋に入り仕事をする
飛鳥井は今、免震構造 耐震構造 制震構造の勉強をより詳細に教えている最中だった
巫山戯た解答をした者達は、何度も何度も試す様な試験でも巫山戯た回答をしたから解雇した
不当解雇だ!何だ!と騒いで労基に駆け込み不当解雇だと訴えたが、会社側は訴えた者の巫山戯た解答や仕事風景を動画で遺していて、それが証拠となり不当解雇ではなく正当な判断と見做された
スケープゴートは何時の世も必要なのだ
今回の解雇騒ぎは会社中に知れ渡り、会社側としても毅然とした態度で社員達に知ら示めて行く態度を見せた
何度も何度も改善しても、やはり中が腐っていると………腐敗は伝染して腐って行く
だからこその改革であり、緊張感なのだ
給料を貰う
それは容易な事ではないのだ
労働の対価として給料は支払われるのだ
労働もしてないのに対価は与えられない
ましてや巫山戯た解答を平気で何度も何度も出して来る奴など飛鳥井建設には不要なのだ
その姿勢を貫き、より社員の質の向上を目指す
その何とも気に長い出口の見えない作業を延々とやる
だが此れはまだマシな状態なのだと烈は解っていた
高齢だった源右衛門の目が届かずに無法地帯になってしまった状態で渡され正して来た真贋は凄いな………と烈は思う
烈が宗右衛門として表に出た時にはある程度は正されていたのだ
それを伴侶と仲間共に正して来たのだと思うと………想像を絶する苦労が垣間見える
烈が書類に没頭していると
「お前寝てなくて大丈夫なのかよ?」と声が掛かり顔を上げた
何時の間に来たのか?其処には康太と榊原がソファーに座っていた
烈は「母しゃん、父しゃん…疲れ過ぎて寝れなくてね、帰りに病院に行くつもりなのよ!
まぁ体調悪くなくても病院に行くんだけどね!」と謂う
「え?そろそろなのか?」
「そうね、そろそろ体も戻ったし、菩提寺へ放り込むわ!
そしたら、菩提寺はかなりの人手あるから、バザーやイベントやるつもりなのよね!
で、年末じゃない、会費取って餅つき大会も道場の子や太極拳に来てるお年寄り向けにやろうと思ってるのよ!」
「お!餅つき大会か!楽しそうだな!」
「菩提寺の整頓していたら杵と臼が3個も出て来たからね!やりたいけど、米が値上げしてるからなぁ………状況見ないと中々踏み出せないのよね」
「だな、飛鳥井も米好き沢山いるからな………米の値上げは手痛い出費だな!
況してや餅つき大会となれば沢山人は来るだろうし………会費払ってねぇのが紛れ込んだら問題とかになりそうだしな………其処をどうするか?だな!」
「そうなのよ!会費払ってる者と紛れ込んでタダで食べようとする奴の線引き……難しいのよね
かと言って誰でも来て良いわよ!と大盤振る舞い出来る財政状況じゃないからね!」
「まぁそれも城之内と考えていけば良いやんか!」
「そうね!そうするわ!
でも今日は宗右衛門の占いして、免震構造の宿題に目を通して帰るわ!
少し怠いから病院に行ってから家に帰るわね!」
「おー!そうしろ!お前に倒れられたら頓挫しちまうモノが多過ぎるかんな!
それにイベントもやるんだろ?
健康管理も仕事の内だかんな!」
そう言い康太と榊原は宗右衛門の部屋を出て行った
榊原は宗右衛門の部屋を出て
「烈、顔色悪いですね
彼はそれに気づいてますかね?」
「アイツ、滅多と鏡見ねぇかんな、どうだろ?」
風呂に入りドライヤーで髪を乾かし寝癖さえ着いてなければ大丈夫!的な奴なのは前世からそうだから解るのだ
宗右衛門はあまり自分の事は構わない
まぁ康太もそうだが、康太には榊原と謂う伴侶がいて、その伴侶が世話を焼いてくれるから身形は整っているのだが………
烈は前世から寝癖が基準で、髪と身なりだけ整え、目ヤニさえ付いてなければ良い!
ジャージ大好き、前世は甚平大好きな奴なのだ
「彼は前世から自分には無沈着でしたからね……
その癖 阿賀屋と色恋沙汰や刃傷沙汰を常に起こして………それなのにお金は払うけど私生活まで介入させる気はない!と感情の機微さえ解らぬ御人でしたからね………」
「だな、今世はまだ小さいから色恋沙汰はねぇけど、前世からの付き合いは……もぉ腐れ縁で済まねぇ領域になってるかんな!」
「ですね………もう少し自分に頓着してくれませんかね?」
「あ~!そう言えば翔が『烈はモテないと自分で言ってるみたいだけど………本当に人誑しだからコロッとイってる老若男女いるのにね!」って言ってボヤいてたぜ!」
「竜馬が何時も人誑しって言ってますからね!」
「まぁ人誑しは宗右衛門になってからずっとだかんな、今更治らねぇだろ?」
「ですね、あれは天性の人誑し………しかも無自覚って厄介な存在ですからね」
「まるで叔父貴じゃねぇかよ!
あの血筋は一途な癖に人誑しなんだよな!」
「しかも無自覚なので、なせそうなった?と首を傾げていますからね!」
「取り敢えず一生に烈を病院へ連れて行って貰うとするか!」と言い一生にラインを入れた
「烈に連絡取って病院へ連れて行ってくれ!
かなり顔色悪かったからな頼むな!」
そうラインすると直ぐに返事が返って来た
「だよな?顔色悪いし本人も体調悪いって言ってたからな、久遠には連絡入れて診せる気だったからな、大丈夫だ!
烈に連絡取って病院へ行くとするわ!」
康太は烈の事は一生に託して、仕事を上げて行った
12月に入れば烈は【R&R】の方で多忙となるだろう………
それまでに体調を整えねばならなかった
烈は仕事を終わらせ会社を後にすると病院へ向かった
病院には一生が待ち構えていて、久遠の所へ連れて行った
連れられて来た烈を見た久遠はあまりの顔色の悪さに、急遽検査を入れた
かなり悪い数値を叩き出し………久遠に
「入院が嫌ならば通院しやがれ!
そして改善が見られねぇならば入院させるからな!イベントがあろうが、何があろうが知るか!
己の自己管理を恨め!」と宣言された
その日から健康第一に据え置き、仕事とイベント重視な生活を始めた
12月になる頃にはやっと、体調を取り戻しイベントに心血注げるまでになった
会社の方はイベント重視と謂う事で、宗右衛門の仕事や決定事項は来年に回してもらった
それでも年内決裁と待ってくれない案件はリモートで片付けて行く
12月に入るとイベントの正式発表が出された
それに伴いチケットも売りに出された
本当なら半年前に公表、チケット販売が通常なのだが、【R&R】は突然イベントを発表するのもファンの間では有名な話だと、売りに出されるなりほんの数十分でチケットはSOLDOUTになった
アメリカとイギリスでも同時発売になり、2ヵ国も数時間でSOLDOUTになった
それまではYouTubeのチャンネルの方でイベントの事を話して浸透させて行った
メンバーが揃いイベントの事を熱く語る
そしてメンバーは「リーダーは多忙過ぎて体調崩して主治医のお世話になる程で、夜は早々と寝てるんだよ!」と謂う
どうしても2ヵ国でZoomで中継しながらYouTubeすると、夜遅くなるから烈は不参加だった
初日は顔を出したが、その顔色の悪さに………
コメント欄は『リーダー大丈夫ですか?』と心配のコメントばかりだった
竜馬は「世界一多忙な小学生だから、烈は………
でもイベントは手は抜いたりしない!
そのイベントで、何とリーダーは歌うから!
新曲はリーダーが作り、リーダーが歌うから!
楽しみに待ってて下さい!」と発信した
【R&R】リーダー、渾身の新曲はリーダーが歌う!なんて翌日のワイドショーを賑わせたりした
それに伴い、イベントを共にしたタレントがXmasイベントに参加したい!との申し出があった
烈は総てのタレントに「今回は誰一人使う気ないから!」と断った
神野や須賀、柘植は誰か一人位使ってくれるんじゃないか?って思っていたからショックを受けていた
神野は「他の事務所のヤツとか使うのか?」と問い掛けた
須賀も「別に我が事務所の子を使えとは言いません!協力したいのは変わりません!」と謂う
柘植も「森は貸し出します!他の子は使われないのですか?」と問い掛けた
神野は「え?柘植の事務所の子は使うのかよ?」と問い掛けた
烈は「少し訳ありでね、彼女だけ使うのよ
他は誰一人使う気ないのよ!
祖父母も隼人も清家も使う気ないのよ!」と謂う
神野は「協力はさせてくれねぇのか?」と問い掛けた
「………森 紅緒以外は使わないのに………協力してくれるの?」
「別に誰かを使わねぇなら協力しねぇなんて言ってねぇよ!
俺等は烈、嫌、【R&R】の協力してぇだけだからな!それは皆も変わらねぇよ!」と謂う
須賀は「烈、歌うんだって?」と問い掛けた
「そうよ、今回のコンセプトは「貴方に贈る!」だから………それを歌うわ!」
柘植は「一人で?歌うのですか?」と問い掛けた
「きょーちゃん達コーラス入れてくれるの?」
神野は「俺は音楽1だった………」と弱音を吐く
「ボイトレしてボクと共に歌ってよ!
たった一曲の為に出てよ!
ボクはその一曲に総てを賭けるわ!」
神野は覚悟を決め「よし!出る!だけど社長が出るんだから、コーラスはうちの事務所の奴も参加したら駄目か?」と問い掛けた
「え?たった一曲のコーラスの為に?」
「お前が全身全霊賭けるならば、俺らも本気出してお前をサポートしてやる!」
「コーラスの場に立ってくれるならば……
何百人連れて来ようが構わないけど………ノーギャラよ?」
「【R&R】に金支払って貰った日には……事務所畳んで逃げ出したくなるから、ノーギャラで良い
金を払って貰うなんて日にはより完璧にやらねぇと金なんて貰えない!と皆裸足で逃げ出すわ!」
とボヤく
須賀と柘植も頷いていた
相賀も何故か頷いていた
相賀は今 三社共同事務所の責任者をしていた
何処の事務所にも所属してないタレントや、倭の国で活躍したいタレント等を【三社共同事務所】の名で立ち上げた事務所で管理してマネージメントをする
宸睿(チェンルイ)やシェリー・レイ、中村翔太、エリオット高崎、早瀬頼朝等がその事務所に入り倭の国での仕事をしていた
シェリー・レイはあれから烈に会いに来日して来た
シェリーは烈を見ると深々と頭を下げて謝意を伝えて来た
「あの日、貴方に図星を刺されて………私は後頭部を鈍器で殴り飛ばされた衝撃を受けました
自分では解っていたんです……だけど貴方が謂う様な人間になんて私には無理だと思っていました
そしてドンドン追い詰められて行きました
そしてその時の彼女とは別れる事になってしまった………私は後悔した………そして己を偽り生きて逝くのか?このまま自分の人生に嘘を着いて…………
そう考えたら怖くなりました…………
だから貴方の謂う様に世間にカミングアウトしました………
最初は好奇の目で見られました………
そしてビアンに渡す仕事なんてない!とまで言われました…………
でもそれが嘘偽りのない自分なので恥じるのは止めました
親にも縁を切られました
普通の子が良かった………と泣かれました
普通の子?私は普通の子じゃないの?
そう思うと遣る瀬無くて………私は何と親不孝な子なんだ……と苦しみもしました
そんな時………LGBTの活動をしている人と出会いました………
その方は烈の知り合いの方のは……驚きでした
その人に住みやすい環境や多様性を拒否され辛いならば闘わなきゃ!と言われました
自分達は己に素直なだけのLGBTQ+なのだからね
と謂れ………内向的だった自分と決別しビアンである自分を受け入れ仕事して行こうと決めました
そんな時、倭の国の事務所からお声が掛かりました、私はその助け船に乗って倭の国まで来ました
そして誇れる自分になろうと……今を行きています!」
と報告されたのだ
烈は嬉しかった
少しのお節介でウザがられで良いから自分に素直になり生きて欲しっかたからだ
そんな報告を受け、烈は前向きに自分を見つめ歩き出したシェリーの姿に【頑張れ!】とエールを贈った
清家も松川屋円十郎が息女 椿姫との婚礼が決まった
二人は烈の読み通り、始めて目にした瞬間、似たような感性を持っているのだと理解した
共に生きるならは、同じ感性、同じ価値、同じ方向を見れる存在か?
それが結婚の重要性を感じていた椿姫だった
清家は少し捻くれサド気質があったが、痛みを叩き込みボキボキにプライドも粉々に圧し折って以来、真面目に生きようと真っ直ぐな道が出来上がった
元は愛人の子として冷遇されて来たのだ
共に生きる相手を見つければ、その人だけ愛し、価値観はケチに近い価値観を持つのだ
椿姫にピッタリだと阿賀屋に見合いの場を用意させて、絶対に嫁に行くから!と松川屋に太鼓判を押して見合いさせたのだ
成功しない訳かなかった
その清家もイベントに出たい!と言って来たが断った
祖父母も今回は遠慮して貰った
其処までのイベントなのだと………家族は黙って見届けようと決めたのだった
その代わりドームの観客席に関係者用の席を作ると約束した!
だからこの席に招待するから見守っていて!と言われれば飲むしかなかった
真矢と清四郎は孫のステージを見るのだ
共演でなく観客席で見る
それはそれで楽しみだと二人は受け入れてくれた
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