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第19話  I present to you the greatest gift of all.

烈は「ちぃちゃんは菩提寺の下働きとして生活を始めるわ! 貴方はちぃちゃんの子として、父を気遣い生活をするのよ! 近い内に魔界で四龍の役割を公表するわ! その時貴方は地龍が息子と公表する! そして鱗艶が成人になった年に魔界へ帰還され、金龍が後継人として成人龍の仲間入りして仕事をして貰うわ!良いわね!」と問い掛けた 虹龍は「はい、構いません!それで良いです! でも少し質問良いですか?師匠」と答えた 烈は「良いわよ、何?」と聞く 「鱗艶が成人になった年って…どうやって見極めるのですか?」 「貴方の鱗はまだまだ柔いのよ! 何度も何度も鱗を生え変わらさせ鍛え上げ、磨き上げて行く必要があるのよ! 年輪を重ねた鱗と謂うのはね、美しいのよ この場を崑崙山と繋ぐから青龍と金龍と黒龍の鱗艶で説明してあげるわ! ボク程、龍の鱗に詳しい者はいないわよ! 一目見ただけで、その者の生活状況、法力等を即座に見極めるからね! 怠惰な奴は鱗に艶なんかないわ! 日々鍛錬して己を鍛え上げている者だけ、鱗に艶が出るのよ!」 そして烈は魔法陣の紙を取り出し呪文を唱えた 魔法陣は部屋一杯に広がり……… あっという間にその場は崑崙山の景色に変わった 烈は「霞ケ浦辺りの大怨霊を無間地獄へ落とした時の転移の護符なのよ! もしもの時の為に護符を余分に作っておいて良かったわ! あの大怨霊が一瞬にして無間地獄に堕ちてくれたんだからね!」と手の内を明かす 金龍、黒龍、青龍は龍に姿を変えた 烈は「まずは金ちゃん、かなりの年月をかけて金ちゃんの鱗は鼈甲の様な輝きを見せているわ!」と説明して金龍の鱗を触らせた 康太は「何時見ても金運上がりそうな色してるな!客間の床の間のオブジェに似てる気がするんだけど………まさかな?」とボヤく 虹龍は金龍の鱗に触れて違いを確かめた 虹龍は「確かに………凄く硬い……だけど凄い輝きだね!」と謂う 「当たり前よ!今も金ちゃんは日々鍛錬して己を鍛え上げているからね! 次は黒ちゃん、黒ちゃんは最高の鱗艶の時に婚姻させたからね、今は一番鱗の調子良いんじゃないかしら?」と謂う 虹龍は黒龍の鱗を触れた 硬く年輪を重ねた金龍と違い、黒龍の鱗は靭やかに艶々だった 感心してると烈は青龍の横に立ち 「父しゃん触れさせて!絶対に鱗尖らせないでよ!」と謂う 榊原は「解ってますよ!」と謂う 烈は「ボクの父しゃんは美しいでしょ? 鱗は龍族で一番鋭く靭やかで、蒼が濃く出て一番漢として脂が乗ってるのよ 師匠が言ってたけど、青龍は脱皮してる分、鱗は翼竜並みの鋭さで、靭やかて刃よりも鋭いと教えて貰ったのよ!」と謂う 虹龍は、そーっと青龍の鱗に触れた 斬れ味満点の鱗は薄くとても美しかった 烈は「虹も鱗を何度も生え替わらせて鍛えて強くなって行くのよ! あ、鱗が生え変わりそうな時は謂うのよ! 勿体ないからボクが再利用してあげるからね!」と謂う 虹龍は「はい!美しい鱗になれる様に日々鍛錬して行きます!」と言った 烈は「赤龍の赤もね綺麗なのよ、ボクね赤いのの背中に乗るのも好きなのよ! ほら、早く見せてよ!」と謂う すると一生も龍に姿を変えた 「ね!赤いでしょ?今はかなり深み出てるのよね!さてと、次はちぃちゃんよ!」と謂う 地龍は気弱に龍に姿を変えた 烈は「病み上がりなら仕方ないけど、もっと鱗艶に磨きを掛けないと駄目よ! 多分ね、ちぃちゃんはバーントオレンジ、樺色になれるのよ! 黒龍はムーンレスナイト(闇夜色) 赤龍はカーマイン(唐紅色) 青龍はラピスラズリ(瑠璃色) 地龍はパーントオレンジ(樺色) 色見本で言えばその色なのよ! だからボクはその色になれるまで、修行させるわよ!そして虹に誇れる父になりなさい! そしてもう一人の子の父になりなさい! まぁボクが育てるから、親子の対面は魔界へ帰ってからになるけどね!」と謂う 地龍は「俺は日々鍛錬し鱗艶を増し、自信をつけるよ!そして我が子に誇れる父になるよ!」と言葉にした その瞳はもう悔いて後ろを向いてはいなかった 「虹、父と生活出来る?」 「出来ますよ!寧ろそんな時間さえ持てなかった時間を埋めるべく当たり前に穏やかに生活してやります!」と謂う 烈は「人の姿に戻って良いわよ!さぁ還るわよ!」と謂う 金龍が「その前に少し………良いかな?」と話し掛けた 烈は「何?」と問い掛けた 「あの卵を地龍の家から助け出した時から思っていたが………あんな柄した卵は目にした事はない………」 地龍の家に落ちていた卵は………草みたいな柄の上に色んな色が混じっていた この世の色の総てが入った様な不思議な柄の卵だった 龍の卵の色は本体と同じ色 虹龍は虹色に輝く卵で、他の龍は単色一色 その虹龍とも違う色に………これは何の卵なんだ?と思った程だった 「……………」 烈は答えなかった すると康太は八仙の屋敷の裏にある烈の屋敷に皆を引っ張って行った 「なぁ烈、オレもあんな柄の卵は見た事はねぇぞ!」と問い掛けた 「当たり前よ、あの卵は特別な存在なのだからね!」 「特別?虹より特別な存在なのか?」 「そうよ、そこまで龍族の危機だったのよ 龍族が今世終焉を迎える所まで来てしまった だから、虹が出て天龍が出て次代の金龍が出た そして黒龍の行く末を心配していた存在は輪廻の輪に入られ………女神の力はなくなったが、強い力を持つ銘の腹を選んで生まれたのよ! まぁあの子達の心配はしなくて良いわよ! ボクが責任を持って見るからね!」 達???卵は一つで達?? 何か引っ掛かるのを感じつつも………… 康太は「あの卵………お前が面倒見るのか?」と問う 「今世は顔合わせに重きを置いているからね 次代の竜胆手に入れられて万々歳だわ!」と謂う 「え?あの子………次代の竜胆に据えるのか?」と問い掛けた 「そうよ、親の温もりをなくして幾日も卵が生きられる筈などないのよ! 釈迦に聞いたら、どうやらあの子は………尊い血を濃く受け継ぎ生まれたのやも知れぬ! 尊い血なれば己を護る力を発動出来るのも納得じゃ!と申されたのよ! ならば次代の竜胆配置して、ついでに次代の恵方を配置してボクは明日へ繋げて配置を終えて、生を終えるんだと想ったのよ!」 「因みに次代の恵方は?」 「それは企業秘密なのよ!」と康太に目配せをする! すると康太は頷いた 金龍は「本当に………あの柄は病気とかではないのか?」と心配して問う 「違うわよ、多分…………だけどね本体は透明に近い体をなさってるんじゃないか?って想うんだけど、何せ生まれてすらいないからね解らないわ そしてボクは龍は今世間近で見ただけの奴だから、確かな事は言えないし解らないわ………」 金龍は顔色を変えて「透明じゃと!」と立ち上がった 烈は「え?………だから確かな事は言えないって言ったじゃない!」と少しビビり涙を浮かべ謂う 榊原は我が子を抱き締め怯えさせぬ様に護った 黒龍は「親父、烈が怯えてる!少し落ち着け!」と言った 金龍は座って「あぁ……済まない………」と謝罪した そして「昔………我が兄………天龍がまだ長をしていた頃………透明な龍の話を聞いた……… 烈は言葉を濁した………と謂うのは………」と呟く様に言葉にした 「…………ボクはね何処かの国の二番煎じの様な龍族とか作りたくないのよ! 魔界の為に存在する龍しか要らないのよ 中華圏とかに在る龍の伝承や伝記をなぞるんじゃなく、魔界に特化した身体を持つ龍族を作りたいのよ! それは我が母の願いでも在り、悲願だと思っているのよ! だから同じ様な顔触れは要らない! でもボクは生き死に関われないし、領域侵犯してる訳じゃないから………確かな事は言えない だけどボクは七賢人八賢者の弟子として、龍族の成り立ちを聞き知る者で在る! そして配置を許された者でも在る! それを踏まえて聞くと良いのよ! 龍族は何もせねば…………1000年持たぬ内に滅ぶ………と謂う事を!」 康太は知っていたのか? 顔色一つ変える事なく……… 榊原も冷静に受け止めていた 取り乱しているのは………金龍と黒龍だった 黒龍は「………龍族は滅ぶのか?」と呟いた 「そうね、近年は子も生まれなくなってるでしょ?炎帝が次代の四龍を揃えて以降……子は極端に減少しているんじゃない?」 言われてみれば………確かに…… だが龍族も後継者が子を成し、ある程度育ってしまっているから……… 婚期が近い者がいない現状もあるのだが……… そう想いハッとある事に気付き金龍は顔色を変え 「高齢化が進み………若手は晩婚となり………将来の担い手は減少している………」と呟いた 「まぁ、それも有るけど、子が出来ないのよ だから浄化された地に暮らさせたりしたのよ 誓約の地に住まわせたのは、そんな因果関係もあるのよ! 婆婆が龍族の未来が出た………と星詠みの結果を教えてくれた だからこその、魔界を上げての黒龍の挙式でもあったのよ! 婚姻に憧れを持たせ、結婚、出産させる、そんな目論見もあったのよ! 神も………数を減らして以来増えてはいないわ まぁ使えない神などいなくても結構だけど、それだと詰むのよ……… だからこその神々の役割分担であり、世話を焼いて婚姻させて子を成させるのよ! その手始めが黒ちゃん、その次がかるちゃんで結婚って良いぜ!って広めて増やす計画なのよ!」 何か言ってる事が凄くセコい……… だが楽観視出来る状況でないのは………解る 康太は「確かに………神は数を減らし子を減らして来てる…………このまま減り続けるならば……… 次代に託していない神は消滅する……… そして龍族に限らず………魔界は機能しなくなり………破滅へと向かう……… それはテスカトリポカが蒼い地球(ほし)を消滅させる事を阻止したとした後も、魔界が直撃する現実なんだよ!」と現実を語る 皆が黙り………現実を受け止め兼ねていた 烈は「皆で協力して、続けさせるのよ! ボク達は絶対に負けない! だから金ちゃんもお節介焼いてお見合いさせまくるのよ! あ、かるちゃん、どう? 黄龍の妹の子、気に入りそう?」と前向きな話をする 金龍は「あぁ、今やっとお付き合いを始められた所じゃ!どうなるかは?気になるが………見守っていく所存じゃ! この話は………当然閻魔殿の知る所なのか?」とやる気になり問いかけた 「ええ、知っているわよ! えんちゃんと共に婆婆の所へ出向き話を聞いたからね! えんちゃんはショックを受けていたわ! だって、そうでしょう? 代々続いた閻魔が、ひょっとしたら?自分の代でなくなるのだから……… そればかりか、魔界も消滅の危機……受け入れられる訳ないじゃない!」 烈の言葉に………閻魔の苦悩を垣間見る……… 「でもね、明日は続くわ! 続かねばならないのよ! 必死に明日を信じている者の為に…………終わらせてはならないのよ!」 康太が、炎帝が、常に言葉にする事だった 榊原は「そうですね、明日は必ずやって来る! だからこそ、守らねばならないのです!」と言った 烈は笑って母に「じゃないと井筒屋の沢庵食べられないものね!」と謂う 康太も笑って「だな、井筒屋の沢庵食えねぇなんて嫌だからな、明日は永遠に続いて貰わねぇとな 其の内魔界でも井筒屋の沢庵食える様になる様に………頑張って貰うかな! 来てるんだろ?仲良し達! 地獄に落とすなんてな……長年正直に生きて来たんだから天国に逝かせてやれよ!」と謂う 「スカウトしたら、来たいって言ったのよ! だから桜林で働いていたおばちゃんとか、井筒屋のおばちゃんとか、死しても働く場所用意したら働く?と聞いたのよ! 無理矢理じゃないわよ!失礼ね! まぁ天国逝けるけど、烈ちゃんの所で働いても良い!と言ってくれたからスカウトしたのよ! でも魔界は大根ないからね 今 苦労して大根らしきモノを作ってる最中よ!」 「お、なら大根出来たら沢庵食べられるじゃねぇかよ!魔界で食う井筒屋の沢庵、最高やんか!」 と康太は嬉しそうに謂う 烈も「でしょ!母しゃんの好物のプリン、再現してる最中だから待っててね!」と孝行息子は謂うのだった 魔界へ還ったとしても母の大好きなモノで満たした世界を作る 康太は嬉しそうに笑っていた 黒龍は「俺の妻はこの先どうしたら良い?」と尋ねた 「紅ちゃんは菩提寺で臨月まで働いて産休に入るのよ! 銀ちゃんが出産と産後のサポートに入ってくれるからね! 妊娠中は無理しない様に注意深く生活させるのよ!そして何か少しでも異変があったら謂うのよ 我慢とか絶対に駄目よ! 痛い、辛い、何か何時もと違う、それは直ぐに謂うのよ! 例え夜中でも黒ちゃんは直ぐに人を呼び対処させるのよ!でないと手遅れになってしまうわ! そして産後は無理せず養生するのよ 子(卵)をひねり出しているんだから、産後の方が休まないと駄目なのよ! 良い?黒ちゃん、少しの油断が大変な事に繋がるから、妻を気遣い様子を見るのよ! 貴方が我が子をその腕に抱く日まで、大切に妻を労り暮らすのよ!」 「承知したよ!烈!」 黒龍は妻の手を強く握り締めた 愛しい愛しい存在なのだ! 絶対に護ると決めて妻にしたのだ! この手から零れ落ちてしまう苦しみなど………したくはないのだ 一人の女を愛して愛して尽くした聖神の様に……… 烈は「さぁ帰りましょうか?年末は何かと忙しいのよね!」と謂う 榊原も「会社の大掃除、君はどうしますか?」と問い掛けた 「大掃除、出るわよ!メンバー全員で社内を見て回るわ!その前にりゅーまがテスト出すから、年末だしチェック入れちゃうのよ!」 榊原は笑顔になり 「それは良いですね!」と言った 会社が活気付く そして正され軌道修正掛けられて行くのだ 烈が呪文を唱えると、菩提寺の保養施設三階の部屋へと移動した 多少体に負荷は掛かるが身重な紅花を想えば、此れが最大の移動手段だと思ったのだった 烈は「虹とちぃちゃんは旧職員寮で生活を始めるのよ!少し部屋は小さいけど2DKあるし、一人一部屋確保出来るからね!」と謂う 虹は「それって海・昇・陵が住んでる建物の部屋ですか?」と問い掛けた 次代の四龍のお世話をしてくれる者を、金龍に頼んで派遣して貰った 養父母みたいな存在に世話を焼かれ生活する疑似家族みたいな生活をさせていた 次代の四龍は親を知らない 生まれて直ぐに八仙の裏に預けられ生活させられたのだ だからせめて人の世にいる間位は……偽りだとしても家族の愛を教えてやりたいと思ったていたのだった 次代の四龍の養父母に白羽の矢を立てられたのは、金龍と黄龍兄弟の両親だった かなりの高齢だが、まだまだバリバリの現役で逝ける元気のいい、金龍に良く似た両親だった 頼んだら、ならば儂が鍛え上げてやろう!と言ってくれたのだった 金龍と黄龍の両親は、天龍を亡くして以来、ひっそりと魔界の片隅で暮らしていた 魔界の政治的なモノに関与する気はないと、総てを拒絶して………隠居を決め込み、金龍達とも距離を取り生きていたのだった 金龍は烈に頼まれ、没交渉だった父親に会いに行った 金龍は渋々連れて行ってたのだった 態々会いに行った金龍の父親は金龍を100倍頑固にした感じだった 話を聞く気もない頑固親父を見て、烈は鼻で笑い 「もう若くないから、出来ないって素直に言えば良いのに!」と挑発した 「何を!!小童めが!儂は若い者には負けはせぬ!」と見事に挑発に乗った 「えー!本当に?無理しなくて大丈夫よ! 人の世で生活するのは大変よ! まぁ金ちゃんと黒ちゃんは余裕だったけどね 菩提寺でやってる太極拳でさえ手伝えないでしょ ごめんね、そんな老人に声かけちゃって!」 なんて言われれば……… 「小童らに出来た事ならば儂に出来ない事はないわ!行ってやるさ!何処へでも!」 金龍両親は………こうして人の世に越させられ、次代の四龍の育ての親に収まり、人の世で暮らしていた 頑固一徹な父が……人の世に来て太極拳してるとは………金龍は驚きだった 金龍母はそんな倅に笑って「隠居してからのあの人は元気も覇気もなくしてました………」と苦しい胸の内を話した 今は3人の子の親として菩提寺で暮らしていた だから虹が父と暮らしたとしても、不平不満が出る事なく過ごせるのだ 烈は「そうよ、大じじには二人の事を気遣う様に頼んでおくからね! きっと大ばばも気に掛けてくれるわ!」と謂う 烈は金龍父と母の事を大じじと大ばばと呼んていた 頑固一徹な親父は…………良く見ぬ内に………生き生きと生活していた 虹龍は「母さんは何時頃還れますか?」と聞く 虹龍は銘の事を【母さん】と呼んていた 当然 地龍の事を父さんと呼ぶ以上は、銘の事も母さんと呼ぼうと決めた虹龍の決意に近い想いだった 「そうね、近い内に会いに行こうか?虹!」 「そうですね!それが良いです!」 何だか皆が前向きに動き出していた そして歩み出す第一歩は揃ってい泣けばならない……… そう想えるからこその配置なのだと想う 話が着くと榊原と康太は帰って行った 一生は烈と共に買い出しに行く予定だった 「りゅーま呼ぶからね、今夜は宴会ね! 皆呼んじゃおうね!」と嬉しそう ラインをして買い物に行くわよ!と謂うと皆喜んでお出かけして来た そして、その夜は宴会をした 神野達や祖父母も招いて宴会をした 翌日からは烈は家へは帰っては来なかった 東京ドーム近くのホテルに泊まり込み、廃小学校の体育館を借りて体育館一面にプロジェクションマッピングを設置してイギリス、アメリカ同時に回線を繋ぎ映像を投影する イギリスとアメリカに渡ったスタッフ達は微調整を繰り返し、誤差なく調整をする その合間を縫って曲目を決める Xmasと謂う事でRODEOÑとStrong Hiのメンバーには10曲すつ曲の宿題を出しておいた そして【R&R】は竜馬とメンバーに一曲 烈が一曲と曲を作り歌う 烈があの夜歌った歌を編曲し、詩も少しジャズ風に変えて作り上げて行く そんな作業をコツコツやりつつ、会社の社員に向けてのテストを作成 竜馬が心理学を駆使して問題を作り上げ、メンバーが肉付けして作り上げて行くのだ それをPCから兄達に送り、兄達はそれをプリントアウトして枚数を揃えてホチキスで止める そんな作業を会社へ出向き会議室を占拠してやっていた 弟も頑張ってるんだから!と兄達は自分達が出来る最大限で頑張っていた 烈の休憩中には良くZOOMをして話している 兄達は弟に菩提寺、嫌、楽巌寺の餅つき大会が決まったよ!と連絡を入れた 完全会費制で餅つきは見学出来るけど、そのお餅を食べるのは事前に引換券が必要となる 引換券とお餅との交換で、引換券を持たぬ者にはお餅は渡さない! それを告知して境内や町内会、学校とかの掲示板に張り出し徹底させる そのPOPを作ったのは兄達だった 【   餅つき大会告知 12月28日、楽巌寺で餅つき大会があります ですが近年の餅米の高騰を受けて、無料での開催は厳しいのでお餅は少額ですが、掛かります 事前にお餅引換券を購入して下さい! そのお餅引換券がない人には、残念ですがお餅は渡せません! 引換券がないのに食べられる状態が出来てしまえば、お金を払って引換券を買った者から不満が出ます! その所、御了承して餅つき大会に御参加お願いします!       楽巌寺住職  城之内 優 】 ウサギが餅つきしてるイラストを太陽が描いて、堅苦しくなくして書かれていた 餅つきは引換券は300円で大根おろしと、きな粉と、あんこ、海苔のトッピングを選べ プラスチック容器に2個入ったモノだと分かりやすく書かれていた 烈はPCに送られて来る餅つき大会の詳細に、兄達の努力を垣間見て嬉しくなっていた 「絶対に成功させようね!にーに達! イベント終わるまで、レイたん達の事お願いね!」 とラインする 『レイは寂しそうだけど、太陽と大空が烈の写メでポスター作ってXmasプレゼントとして贈ったのね そしたら部屋に貼ってご機嫌だったから大丈夫よ!』 器用な太陽ならポスター作るのなんてお手の物だろう! そして機械に詳しい大空なら出力操作したり手伝ってくれたのだろう 兄達の優しさに触れ烈は心が温かくなった 忙しい時間の暫しの憩いの時間となっていた 忙し過ぎる日々に烈の体は限界を迎え、体調崩して熱出して久遠を担ぎ出し、主治医としてXmas当日は約束通り、イベント会場の控室にいてもらう事も決定した 久遠は「俺は病院が………」と逃げ腰に謂うと、義泰はメスを持ち 「宗右衛門の約束を違えるなど………命をもって償わねばならぬ!」と追い掛け回し…………一歩も引かぬ姿勢は志津子も同じで 「宗右衛門の申し付けが聞けぬなんて………」とメスを持ち自害しかけて久遠を慌てさせた そんな義泰と志津子夫妻の協力の元控え室をGETしてくれたのだった 義泰は烈が何の無策で久遠を控え室にいさせる訳がないと想っていた 竜馬は「烈、イベント用の箱、こんな感じでどう?」と聞く 烈はそれを見て「何か………リボンが嘘くさい………」と注文を着ける 竜馬は裏方スタッフに 「リボン、このままだとパチモノのプレゼントしかステージに上がれない!! そんなの………この【R&R】が納得出来る訳がない!!!」と迫力でリティークを指示する 裏方スタッフは腕によりをかけ掛けて仕上げに入る 施工の社員も投入して、裏方スタッフと共に動き回る 施工のスタッフは嬉しそうに仕事をしていた そんな忙しい日々の合間に烈は 「少し魔界に行って来るわね!」と謂う 竜馬は「何日もするは困るよ?」と訴えた 「大丈夫よ、崑崙山の方が時差少ないから、崑崙山へ出て用を済ませて来るから!」と言い神の道を開いて烈は姿を消した 竜馬は烈の歌う曲をアレンジしていた 神野、須賀、柘植、相賀はアレンジした曲を収録した歌にコーラスを入れて練習していた 真矢と清四郎、隼人と笙もコーラスに希望してその日はコーラスの為だけに出ると決めていた そのコーラスに清家も参加してだんだん増え続けるコーラス隊となった メンバーも大満足だった 朝早く菩提寺の試練の間に出ると烈はラインを入れた 「菩提寺にいるから迎えに来てね!」とのラインに竜馬は安堵をしていた 兵藤は「なら俺が迎えに行くとするわ!」と忙しいメンバーに変わり申し出てくれた リーダー不在は少し不安だが、メンバーや竜馬は不在だからこそ頑張ってスタッフを動かしていた 12月23日 夜に設営を始めるのだ その場で戸惑っていたら時間ばかり食うのだ そうならない為にシュミレーションをさせ、動けるように打ち合わせに余念がなかった アメリカとイギリスに散らばったスタッフにも同じ様にZOOMで指示を出す そして幾度も衛星を繋げてのチェックに余念がなかった 兵藤は菩提寺へとやって来た 烈は保養施設の一階に夏海と華絵と紅葉と共にお茶を飲んでいた 烈は兵藤を見つけると 「あ、兵藤きゅん!」と声を掛けた 兵藤は「お疲れ!さぁメンバーの元へ行くぞ! メンバーや竜馬はお前が来たら飯を食うと言ってるからな!お前は食ったのかよ?」と聞く 「まだよ、水萌の手を煩わすまでもないからね 食べてないわよ!」 「そうか、なら行くぞ!」 そう言い兵藤は烈を連れて行く 烈は後ろ手を振り歩いて行く………その姿は初等科の頃の康太の姿と重なる 唇の端を吊り上げ皮肉に嗤う その歩みには淀みがない 兵藤はデジャヴを見ている様でやるせなかった 駐車場に出て兵藤の車に乗る 助手席に乗ると烈はサコッシュから携帯を取り出し、話し始めた 兵藤は黙って運転をしていた 烈は総て英語で雑談をして笑っていた そしてなんか約束して電話を切った 兵藤は「誰と話していたのよ?」と問い掛けた 「クリスよ、東京ドームのイベント、倭の国で見ちゃうそうよ!」 「え!あの人多忙な方なんじゃ………」 「そうだけど、イベント終わったら旅館貸し切って打ち上げするから、飛鳥井の家族も呼ぶように、ってさ! 兵藤きゅん、連絡お願いね!」 「了解!後で康太にラインしとく!」 「その時話があるそうよ!」 「え?何の話?」 その問いには答えずに 「美緒も呼んておいてね!」と言う 兵藤はそれ以上聞いても教えてくれないだろうから……… 「了解した!」と言い運転に集中した 烈は何やら独り言を言い突然「え?そうなの?」と言い兵藤に「そこ右に回って!」と言った 兵藤は言われた通りに右に回り 「これだと遠回りになるぞ!」と言った すると烈の背中に張り付いていたスーが 「クーがそのまま直進やと車突っ込む言ってたんや!」と言う スーは烈の影から出て後部座席に座り足を組んだ ルーもその横に座り「クーは先回りして視てましたからね!」と言う 兵藤は「そう言う事ね!」と言い遠回りしてホテルへ向かった 帰りの遅い烈に竜馬は心配して何度も何度も電話をかけて来た スーが「煩いわい!遠回りして向かっとるから黙っとき!」と一蹴して電話を切ってしまった 烈は笑って、直ぐ様真顔になり 「兵藤きゅんは暴漢に襲われたとして、何処まで自分を守れる?」と問い掛けた 兵藤は考え「不意を突かれたら……負けるな! 俺はそこまで腕っぷしが強くないからな!」と答えた 「ならイベント終えたら菩提寺で、兵藤きゅんを守れる式神を授けるから!」 「え?それって何故??」 「詳しい事もイベント後にして貰える? イベント中はクーとルーとスーが兵藤きゅんを護ってくれるから!」 「…………俺は狙われているのか?」 「………少し待てば話すわよ!」 そう言い烈は何も言わなかった ホテルに着くと裏口の関係者用の入り口に回りホテルの中へと入る 目立つとホテルに迷惑になるからだ  こうして着実にイベント準備に追われ、その合間にインタビューを受ける インタビューを受けた【R&R】は全身黒のスーツに、黒いネクタイをして、黒いサングラスをして…………シックを通り越して……… まるでマフィアみたいだと………言われていた 嫌 マフィアと謂うかヤクザ? そう囁かれヒソヒソされていた 全員黒髪だったから、最初は【R&R】だとすら分かられていなくて………… ヤバい集団が来やがった…………位にしか思われていなかった たが小さい烈を見て、【R&R】だと気付き……… インタビュアーが「何故今回は全身黒………で、黒髪なんですか?」と質問した程だった 烈は「Life is so boring without change.!」と答えた メンバーはリーダーの言葉に頷いていた そして年相応の悪戯っ子みたいな笑みを浮かべ 「ね、りゅーま!」と謂う 竜馬が「Life is so boring without change. 変化のない人生はとても退屈だ!との言葉通り、我等は常に何物にも囚われず自由なパフォーマンスを心掛けている 今回のドームやイベントの宣伝アー写はこの姿で行こう!とリーダーの提案なので、徹底して今はこの姿でいます!」とフォローを入れた 記者達は成る程!と感心して、イベントに対する想いを問い掛けた 烈は「MIBみたいに格好良いって謂われるの期待していたのに………マフィアやヤクザはないわ………」と嘆いた ヘンリーが「大丈夫だよ!リーダー!きっと他の人達にはMIBみたいに格好良く見えてるから!」とフォローした そして一斉に記者達を睨む! その迫力に………統制の取れた仲の良さに…… 記者の一人が「You are the best gift of all!!」と賛辞を述べた 烈はその言葉をくれた記者の方を向いた よく見ると今枝浩二が其処に紛れていた 烈は「Thank you. .. the highest praise!」と年相応の顔で笑った 後は竜馬が表立って話をして、今回のイベントの話をする 記者会見はつつなく終わりを迎えた 一日に何度もこんな取材を受ける そして話すを繰り返す 記者会見が終わり控室に逝くと、烈は今枝にラインをして 「来るなら来るって言ってよ!」と送信した 記者の顔なんてロクに見ないのだ 今枝は『今回は本当に皆さんの顔を見に記者会見に出向いただけです! 私は一記者として貴方達を目にしたかったのです!』と返信があり烈は唇の端を吊り上げて嗤った 「どう映った?貴方の瞳に?」 『やはり貴方達は面白い! 常に歩みを進め、其処に留まらない姿は何時だって私に勇気をくれます!』 「密着取材の申し込みに来たのかしら?と想ったのに………」 『ええ、それも近い内に貴方の大好きな井筒屋の羊羹持参で申し込みに行くつもりです! ラインで済ませるなんてしませんよ!』 「なら楽しみに待ってるわね!」 そうラインを終えると烈はリハーサルへ戻った 竜馬達【R&R】はRODEOÑとStrongHiとの打ち合わせをしていた そして烈は唯一出演を依頼した女優と神野達コーラス隊と歌と踊りを合わせていた 烈の歌はRODEOÑとStrongHiには既に楽譜を渡してあった 当日は演奏をして貰うつもりだった 打ち合わせと取材、連日時間が足らない程の忙しさだった やはり烈は体調を崩し、久遠が付きっきりで管理していた 何とししてでもやり遂げる! そんな烈の気迫に………久遠はサポートしつつ止める事は出来なかった 念密な打ち合わせをして12月24日に日付が変わると【R&R】のスタッフは機材を搬入してプロジェクションマッピングを設置した 設置は朝日が昇っても続けられた そして迎える12月24日 東京ドームで行われる最高の一日! 花火一発打ち上げて始まるイベントが幕を上げる この日のメインイベントの為に、この日を最高に迎える為に烈は、兄達や一生と慎一に頼み事をしていた ①まずは貴也にスーツを着させ準備させておいく ②その間に菩提寺から貴教、敦之、拓美と拓人を連れ出す ③貴教と敦之は飛鳥井へ連れて行きお風呂に入れて磨き上げてスーツ着せて準備をする ④拓美と拓人は予約したエステの店に連れて行き地獄で草臥れた肌を整えさせ磨き上げて、その後に美容室へ行き髪を切りセットした後、スーツに着替えさせ東京ドームに連れて来てね! ⑤拓美と拓人は【R&R】のスタッフに引き渡し、貴教と敦之も東京ドームへ連れて来て関係者席案内のスタッフの指示に従い座らせておいてね 以上の事をお願いするわね! とラインでお願いした 一生と慎一は腕によりをかけて、烈のお願いを聞き入れた 朝一番に一生は貴也に電話して 「今日は出掛けるから、迎えに行くまでにスーツを着て待機しておいてくれ!」と謂う 貴也は「解りました、スーツを着て待ってます!」と答えると、次のミッションへ移行した 菩提寺にいる貴教と敦之を有無を言わせず車に乗せて、慎一は飛鳥井の家へと向かう 拓美と拓人を連れて一生は、烈が予約しておいたエステ店へと向かう 指示の元、二人は動いていた 絶対に失敗させねぇからな! 慎一、一生兄弟はやる気に燃えていた 飛鳥井の家で待機をしていた兄達も燃えていた 飛鳥井の家にやって来る貴教と敦之を、風呂に入れ磨き上げる様に頼まれているのだ! 太陽は「地獄にいたんだよね?彼等は? ならばヒアルロン酸の入浴剤入れちゃう?」と問い掛ける 音弥は「だね、草臥れた肌でいたら僕達の仕事を疑われちゃうもんね!」と入浴剤を入れ掻き回す 流生は「この日の為にボディーソープも香水入りにしたもんね!」と謂う 大空は「シャンプーもリンスもお高いの母さんに頼んで買って貰ったからね!」と謂う 翔は「何が何でも我が弟の為に!」と手を差し出すと、その上に手を重ね【おー!】と気合を入れる その手の上にちっこい手が三つ重なる そして北斗と和希と和真と永遠の手も重なる 北斗は「僕はスーツ担当するね!」と謂うと 和希も「僕も手伝うよ!」と謂う 永遠も「勿論僕も手伝う!」と気合を入れていた 隼人が「ならばオレ様は美容師呼ぶとするのだ!」と謂うと全員が賛成した 美容室を飛鳥井の家には越させて待機させる 其処へ貴教と敦之が到着した 兄達は気合を入れて風呂場へ二人を引っ張って行った 二人は「「え??え???え!!!」」と驚いていたが、有無を言わせぬ気迫で服を剥ぎ取り裸にしてシャワーを掛けた 「自分で洗えるって!」と謂うのを黙らせ磨き上げる 頭を洗われ、体を洗われ………ヒアルロン酸のお風呂に突っ込まれる 貴教は「何だかヌルヌルするよ?このお風呂?」と謂う 兄達も軽く体や頭を洗い湯船に入る 音弥が「ヒアルロン酸のお風呂よ!」と謂う 太陽が「お肌に良いのよ!」と謂う 敦之は「え?お肌!!お肌………必要なくない?」とボヤく 翔が目を座らせて「何謂うの!漢の身だしなみ忘れたら駄目よ!」と謂うから何も言えなくなった ツルツルのピカピカになると湯船を出てシャワーで流し、お風呂から出る 和希と和真が待ち構えていて、体を拭く そして腰にタオルを巻くと隼人が美容師を連れてやって来た 椅子を座らせ髪を切る ドライヤーで乾かしつつチョキチョキ 男前に変貌を遂げる 一人片付けると次へ 片付いた方から、バスタオルを剥ぎ取る 「ぎゃー!エッチ!」と叫ぶがなんとその! 下着を差し出し履かせると、聡一郎登場 「このスーツはね、僕と隼人が身内割引でデービッドに頼み、トンプソンでオーダーメイドしたスーツだよ! さぁ、着るんだよ!」 ニッコリ笑みを浮かべ謂う 人形バリの顔が…………怖い………… 二人は成すが儘にスーツを着た そして聡一郎がネクタイを結んでやる 隼人がネクタイピンを止めてやる その間に兄達や北斗達はスーツに着替えに行った 身内割引でスーツを作ったのは二人にだけじゃなかった 北斗、和希、和真、永遠達やちっこいのもこの機会に作った レイは新調したスーツを着て 「そーたん、おちょこまえ?」と聞く 聡一郎はメロメロで「レイ、似合ってるよ!凛も椋も似合ってるよ!」と謂う 兄達もスーツに着替えてやって来た このスーツはデービッドに頼み、烈とお揃いで作ったスーツだった デービッドはケチなリーダーの為に、リーダー割引で作ってくれたのだった 聡一郎も隼人も着替えに行き、スーツに着替えて来ると、慎一も着替えてやって来た 着替えが終わると慎一は 「菩提寺に頼んだお弁当が運び込まれている頃なので行きますよ!」と謂う 全員で外に出てマイクロバスに乗り菩提寺へと向かう 聡一郎は乗れなかった大人を乗せて菩提寺へ向かった そして菩提寺の駐車場に車を停め、菩提寺の保養施設へ向かう 保養施設へ逝くとスーツを着た貴也がいた ペコッと会釈をする姿は大人びていて……全くの別人みたいに感じていた 菩提寺に連れて来られた日から、此処で暮らす用になり貴也と会った 最初は誰?と思った程に変貌を遂げていて解らなかった だけど自分の中の血が………兄だと教えた 貴也は誰よりも動き、食事の準備をする 貴教と敦之も負けずと手伝う 地獄では全て自分でやらねば、誰もやってはくれない世界にいたのだ せっせと動き仕事を見付ける 慎一は一生から逐一ラインが入るのをチェックした お昼のお弁当を食べて片付ける その頃、烈が頼んでおいたバスが到着して、皆パスに乗り込む 貴教は兄の隣に座り、話をした 最初はぎこち無い感じだが、鷹司での書生に入る自分達の事を話して、やはり凶器となるべく書物があるのを教えて貰った そして貴也は少し前にその凶器を落として足の指を骨折したと話した 敦之と貴教は…………恐怖に戦慄いていた なのに貴也は「それなのに久遠先生からはカルシュウムが足らんからだ!と怒られるし……… 鷹司先生は鍛錬が足らんからだ!と怒られてね 分だり蹴ったりだったんだよ!」と爽やかな笑顔を浮かべ、とんでもない事を謂う 貴教は「本当に凶器なんだ………」と呟いた 敦之は「そりゃ………烈が謂うんだならパチモノじゃないのは当然だけど………ムキムキの貴也さんでそれなら僕達…………詰んでない?」とボヤいた 貴教は「………それでも僕等はその道しか無いから、ムキムキにならなくっちゃ!」と覚悟を決めた 敦之は「うちの家系………ムキムキいないがな……」とボヤく 三木の家系は殆どの人間が痩せている……… その最たるが三木竜馬だ 「兄さん……ムキムキだったかな?」と呟く 聡一郎が「竜馬は結構烈のスパルタで腹筋は割れてるよ!」とサラッと答えた 敦之は「兄さん……ムキムキかよ!」とボヤいた 聡一郎は笑っていた 隼人は「そうなのだ、あぁ見えて竜馬は腕っ節も強いのだ!」と謂う 敦之も貴教も「「僕達も負けないから!」」と闘志を燃やしたのは謂うまでもない! 東京ドームに到着すると、貴教と敦之は関係者席スタッフに預けて、自分達は康太と榊原達が座ってる所へ歩いて行き座った 誰が座るのか? 席はバラバラで座らされた 少しだけ心細くなっていると、隣に座った人間に………驚き言葉をなくしたのは謂うまでもない その時 花火一発打上げられ、イベントが始まった 烈と竜馬は和太鼓の前にいた メンバーがサポートとして入りバチを握る イギリスのRODEOÑとアメリカのStrongHiが待ち構える中、二人は和太鼓を叩き始めた 見事な連携で和太鼓を殴り叩く まるで舞を舞う様に、軽やかに動き入れ替わり叩き上げていく その合間にメンバーも代わる代わる和太鼓を叩く 一通り和太鼓の演舞を終えるとRODEOÑが演奏を始め歌い始めた その上に早瀬頼朝がコーラスを被せ臨場感を出して逝く Xmasに合った軽やかで明るい歌声が、映し出されるプロジェクションマッピングにマッチしていた ホログラムでRODEOÑとStrongHiを舞台に上げて映し出す きっとイギリスとアメリカでは舞台にいる【R&R】のメンバーや烈や竜馬がホログラムで立体的になり存在しているだろう 【R&R】は古式ゆかしき【和】を追求して花柳流のお弟子さん達に踊らせた 烈も着物を着て舞を踊る その踊り方は師範代レベル踊りで、お弟子さん達は感激しまくりで一緒に踊っていた 3時間ある長丁場なのだ 観客を退屈させない為に、メンバーは頑張っていた 烈は………メイクして女性モノの着物を着て踊っていたから、最初はリーダーだとは思われなかった が、アップになりウィングすると、観客がおぉぉぉ!と歓声を上げた 客席からは【リーダー!】と応援の声も聞こえる 観客席とステージが一体感を出して盛り上がっている時………… 拓美と拓人は心細げに……… 「此処は何処なんだろ?」と話をしていた 「解らないけど………扉が開けられるまで出ちゃ駄目と言われてるから………」と椅子に座り、その時を待っていた あの地獄の日々を想えば、狭い所に閉じ込められたって………怖くなんかなかった 拓美は「何か……僕達、何があっても平気になっちゃったね!」と笑う 拓人も「本当にね、でも僕達はもう良い子の仮面を着けていた時とは違う!」と謂う 「当たり前じゃない! 別に良い子でいようとなんて思ってなかったしね!」 「楽だからしてたんだよね、今なら解るよ!」 「あのままクズにならずにいて……良かったと今なら想うよ!」 「だね、クズのまま死して地獄に落とされるのは勘弁だと今なら想うもんね!」 「罪の数だけ贖罪の日々を送るなんて……大変過ぎて無理だと想うもんね!」 「裁かれる側にだけはなりたくないよ!」 二人は顔を見合わせて笑った 「「だからこそ、曲がった道には逝かないと決めたんだ!!」」 烈が教えてくれた日々だった 飛鳥井宗右衛門が敷いてくれた道だった 拓人は「何か、何も無い世界にい過ぎたから………文明が過ぎるの……着いてけないよね」とボヤく 拓美も「だよね、一から自分で何もかも作らなきゃならない世界だったからね……… こんなモノに溢れ飽和した世界にいたら分からなかったよ!」と謂う だからこそ、自分達を見直せたのだ! それは今の自分の指針になっていて、この先も曲がらない様に自分を導いてくれるだろう! そんな他愛もない話をしていると、足音が聞こえた 「大丈夫?」と心配する声が聞こえる 「「大丈夫です!」」 「動くから、取っ手に捕まってて!」 声を掛けられ、二人は天井から伸びてる取っ手に捕まった そして大きな箱から出る事なく移動が始まる……… 何処へ連れていかれるのかな? 不安はない ワクワクした気分で二人は笑っていた イベントは終盤に差し掛かり、StrongHiとRODEOÑが早瀬頼朝と共に歌を歌っている頃 ステージ中央に作られた所に大きな箱が運び込まれた 烈は「せんせー熱っぽいのよボク………」と控室から呼び出し診察をして貰っていた ステージ中央に大きな箱が設置されると、烈は久遠の手を取り走り出した 「おい!烈!!何処へ逝くんだよ!」と叫ぶ だが聞いちゃいない 大きな箱の前に来ると烈は 「I present to you the greatest gift of all.!」とマイクを持ち叫ぶと歌い始めた! 竜馬がステージ裾に待機している森 紅緒を連れてやって来る コーラス隊が大きな箱の前にズラッと並ぶ その錚々たる顔触れに………観客からは悲鳴にも似た声が上がる 烈は嗄れた宗右衛門の声で英語で歌い始めた the greatest gift of all Today is the best day to have fun and make everyone happy The days of crying and suffering and screaming. Even the days when you ' re broken and tired and ready to die, today is a fun Xmas to forget and enjoy! 今日は最高の楽しい日 皆が幸せになれる日 だから君だけに贈るよ 最高のプレゼントを! 泣いて 苦しんで 叫んだ日々を 壊れて 疲れて 死のうとした日も 今日は忘れて楽しむの だって楽しいXmas そんな貴方に最高の贈り物 らんらんらん  らんらんらんらん らららららん 今日は最高の思い出を 貴方に贈るわ さぁ笑って前を向いて 明日は幸せを 掴み取るのよ 幸せな日々を! 泣いて 笑って 辛い日も 今日は楽しいXmas らららららん らららららん らららららん 貴方に贈るよ最高の贈り物! 【I present to you the greatest gift of all.】 と謂うと森紅緒と久遠を大きな箱の前に立たせた そして竜馬とメンバーは箱のドアを開けた 一気に眩しくなり目が眩む 拓美と拓人は眩む視界の先に……… 父を見た そして隣に…………写真で見た母を見た 烈は歌いながら拓美と拓人の手を引っ張り箱から出す すると大きな箱はステージから運び出され、皆の目に……… アカデミー賞を受賞した女優 森紅緒と………男性と子供の姿を見た プロジェクションマッピングには二人が結婚式を挙げる姿が投影された 其処でやっと観客は………忘れ去られた過去のスキャンダルを思い出す 若い子は全く知らないスキャンダルだった 幸せな結婚式の二人 そして双子を産み退院する女優 その場に父の姿はなかった そして窶れ果て………子を手放し幾度も自殺未遂を起こし……… 自暴自棄になっていた頃の姿……… 両親を亡くし……… そして癌の手術をする姿が流れる 烈は紅緒の手を取り 貴方は一人じゃないのよ だから笑って 泣いた分だけ笑って Happy HappyXmas  貴方に贈るよ 最高の贈り物! と歌った 「さぁ手を取って、別れ別れになったけど、貴方達は生きている そして何度でもやり直せる! 家族にならなくても良い だけど親子であるのは忘れないで! 紅緒とせんせーは二人の親であるのを忘れないで 家族のカタチは違えど、此処から始める物語を……続けて逝くのよ!」 拓美と拓人は生まれて初めて母に抱き着いた わんわん声を上げて泣いた 紅緒は優しく我が子を抱き締めた 烈は久遠も我が子を紅緒ごと抱き締めさせた 「メリー・クリスマス! どうか貴方達の上にも幸せな時間が訪れます様に………!」 そう言いメンバーもリーダーの横に並び深々と頭を下げた 烈は「よりちゃん、お客様を見送って!」と謂う 早瀬頼朝はマイクを取ると 「皆様 【R&R】のXmasイベントへようこそお越し下さり有難う御座いました! 此れにてイベントは終幕致します! 皆様 お忘れ物がない様に、お気を付けてお帰りください!」 そう言い、英語でも同じ事を告げた RODEOÑとStrongHiが演奏を続けていると、早瀬は歌って客を送り出す アーネストの声とジョージの声が重なり、ファンは最後に最高の贈り物を貰い気に入ってしまっていた やがて音楽が終わり……スポットライトは消される そこまで来てやっと観客は帰宅の途に着くのだった 烈の声で「気を付けてお帰りください! 家族や愛する人がいる人は、愛する家族とお過ごしください 愛する人を亡くしたり、愛する人がまだいない人は、家族を思い浮かべ電話でもしてください 愛は当然にある日常じゃない 掌から零れ落ちる時は本当に呆気なく落ちちゃうから、掴んで離さないで! また会いましょう! ボクはまだまだ高みを目指して逝くから! I present to you the greatest gift of all. このイベントが貴方達にとっても、最高の贈り物になれば嬉しいです!」と放送が入り皆、ハンカチで目頭を押さえて出口へと向かう 烈は紅緒に「Xmasの夜位、家族で迎えなよ! 控室に義泰と志津子呼んだから、楽しい時間を過ごしたよ!」と謂う 紅緒は「烈………有難う………」と涙して謂う 拓美と拓人は母と手を繋いでいた 久遠はどうしたら良いか?解らずにいた 「せんせー、今宵位は素直に家族でいられる時間を楽しんでね! ボクは母しゃんと………酔っ払いの巣窟へ行くから!」と謂うと康太は爆笑した そして仲の良い親子は東京ドームに近い旅館へ向かった 義泰と志津子はスタッフに案内されやって来ると、紅緒と拓美と拓人と共に 「レストランへ行きましょう!」と言い出掛けた 不器用な久遠は借りて来た猫並みに緊張して、皆で食事を取る為にレストランへ向かった 今宵 皆の上にと幸せな時間が流れます様に……… メリークリスマス!

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