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第20話 本音
【R&R】の東京ドーム公演は大盛況で幕を下ろした
その夜、阿賀屋と鷹司が用意した旅館に泊まり込み宴会に突入した
飛鳥井の家族も榊原の家族も神野達もコーラス隊に参加した者達総てで宴会に突入させた
飲んで騒いで、楽しく過ごす
康太は「しかしめちゃくそ豪華なコーラス隊だったな!」と笑って言う
自分も!自分も!とノーギャラコーラス隊はドンドン増えて、隼人も咲楽我空も宸睿(チェンルイ)等など一度でも参加した者が参加して凄い事になっていた
隼人は旅館に到着するなり、メンバーや早瀬を捕まえて
「なぁ頼朝、オレ様と歌おう!
そしてコンサート開こう!」と誘う
早瀬は「………俺はコメディアンですけど?」と困り言う
「お前はもうそんな枠は超えてしまってるのだ!」
困った顔の早瀬だが「ならば是非に!」と受けるのだった
そんな二人のやり取りを見て、笙も我空も清家も【ならば我等とも!】と名乗り出て収拾が付かない状態になる
ワイワイ騒いで笑っていた
烈は隣に座っている兵藤に「明日、朝早く、ラインするから、ボクが指定した場所に美緒たん連れて来て!」と謂う
兵藤は何も言わず「了解した!」と言った
話があると言われていたから覚悟はしていた
その時がやってきたと謂うだけの事だった
テレビでは【R&R】のXmasイベントの話題で盛り上がっていた
……が、芸能界の重鎮 阿賀屋蒼佑氏が
「【R&R】のXmasイベントにて、森紅緒が我が子や元夫と再会した感動的なフィナーレで幕を閉じた
だが、親子関係はイベントの様に終わりはしない!
あの二人は双子の親としての責任を今後は果たさねばならない!
その為の顔見せであり、家族の絆を再構築をして親の責任を果たさせる為だけに、飛鳥井宗右衛門が配置した
親なれは、子の為に骨身を削るのは当たり前の事!
疎遠だった今までが異常だと申そう!
マスコミが必要以上に結婚当初の二人を追い回し、破局させ果てに両親は我が子を手放し施設に預けるしか無かった
だからこその、親子の再構築が必要だと宗右衛門が決めた
なので必要以上なマスコミの追及や取材は御遠慮願いたい!
阿賀屋 蒼佑 】と異例の声明を出した
東京ドームから義泰と志津子は拓美と拓人と紅緒と久遠を連れ出してホテルへと向かった
事前に烈にホテルを頼んておく様に謂れ、志津子は部屋を2つ頼んだ!
志津子と義泰は久し振りの親子の時間を見守る様に……過ごした
そして子供が眠る時間になると、義泰と志津子は双子を部屋に連れて行った
志津子は「話し合いをなさい!貴方達が今後親として二人に関わるのなら………どんな風に時間を作るか?話し合いをなさい!」と言い部屋を後にした
部屋に取り残された久遠は、紅緒に深々と頭を下げた
「俺は……不器用な男で愛人の子として生きて来たから、極力目立つ事を嫌い……総てに関わらない様に………生きて来てしまった………
我が子と暮らせる様になってからも………俺は忙しいのを良い事に…言い訳ばかりして逃げていた
烈にズバッと言われたよ………愛人の子たから何?
逃げているだけじゃない!と謂れ現実を突きつけられた…………本当に済まなかった
お前を………苦しめた……」
と謝罪した
昔の久遠なら絶対にしない謝罪だった
「良いんですよ……私も逃げて………現実を見る事はなかった
自分は何という不幸の中にいるんだ………と嘆き悲しんでいた
烈と会い………烈に不幸なのは貴方が不幸を呼んでるからよ!と言われたわ……
不幸に酔ってるから、不幸しかやって来ないのよ!とズバッと言われたわ
ならば……両親は私が呼んだ不幸の所為で事故に巻き込まれ死んたの?と聞いたわ
すると烈は、あの日あの時あの場所で死ぬのは運命だと言われた……
それが人が持つ定めだと……言われた
天命尽きて……死しただけ、でも両親は凄く無念で泣いてるわ!
だって不幸の中にいる娘がまた不幸に染まるのは視たくはないの………と言われたわ
そんな時に癌が見つかった…………
烈には生きる気がないなら死んじゃいなさいよ!とキツい事言われたわ
生きたいなら形振り構わず叫ぶのよ!
死にたくない!って踏ん張るのよ!
そしたら貴方の未来は開いて行くわ……って言われたわ
それ以来……形振り構わず生きて来たわ!
だって死にたくないんですもの!」
そう言い笑う顔は………久遠の知っている………顔ではなかった
久遠は「俺は我が子に向き直らず逃げていた……
だから上辺しか見てなかった………
皆が口を揃えて謂う………あの子は良い子よ!
と謂う言葉に騙されてしまっていた………」と本音を吐露する
「仕方ないわ、歳を重ねると狡猾さを覚えてしまうからね…………」
「お前は…………本名も森紅緒なのか?」
「そうです、両親が一度に他界して……生きる屍になっていた時……烈と出会いしました
彼は私に違う人生を歩ませてあげる!と言ってくれたのです!
私は作曲家の森重郎さんの養女になりました!
両親を一度に亡くした私が…森先生夫妻の子供になり………気に掛けて貰う様になりました
森の姓を名乗り名を紅緒に改名しました
裁判所で正式に改名したので、今は森紅緒です!」
「そうか………俺は母を亡くした………
そして天涯孤独になる所を………親父の戸籍に入り、親父の奥さんと養子縁組して正式に飛鳥井を名乗っている
今の名前は飛鳥井譲だ!
飛鳥井記念病院の院長をしている!
お前の主治医が誰か知らないが、お前さえ良ければ………俺がお前の主治医になっても良いか?」
紅緒は驚いた顔をして久遠を見て
「主治医に………なって下さるのですか?」と思わず呟いた
「あぁ、今後の検査は俺が担当する!
定期検査も俺が担当する!
お前を絶対に………死なせはしない!
癌は寛解させねば安心は出来はしない
だから一緒に………治して行こう!」
「ありがとう譲さん………貴方とまたこうして話せる日が来るなんて………思ってもみませんでした
貴方は目立つのは嫌な人……そもそも私と結婚したから………貴方の人生を狂わせてしまったんだと思っていました…………」
「それは違う………俺は一途にお前に惚れてお前を愛していた………
だけど俺は………お前が芸能界と謂う世界に生きている現実を……理解していてなかった
当時 人気絶好調だったお前の人気を理解していてなかった………
無関係な人間に嫌がらせされ、マスコミに追いかけられ………自分がお前に不釣り合いな人間だと思い知らされ卑屈になっていた
俺も………弱かったんだ………
お前を丸ごと背負い、お前の人生を背負って逝く覚悟がなかった…………
お前から離れてやる事こそが………お前の為になると………双子の育児に追われているお前を見ずに出した結論だった…………」
始めて聞かされる久遠の苦悩だった
当時………互いを知ろうとする作業さえしてなかった事が伺えられて…………
本当に互いを見ずにいたんだと痛感した
紅緒は「私は………育児を手伝って欲しかった………
だけど大学病院勤務の貴方は激務で………
自分がしっかりせねば……と自分で自分の首を絞めていた………今なら解るのにね………」と言葉にした
未熟な二人が出会い、未熟な恋愛をした
……………未熟な二人は我が子が出来て………互いを追い詰めた
「俺は………我が子の存在が怖かったんだ………
生まれて始めて目にする赤子に俺は………お前とこの子らを背負っていけるのか?と怖くなった
その頃俺は………大学病院で派閥競争に巻き込まれたくないのに巻き込まれ利用され……ミスを押しつけられ………精神的に追い詰められていた
廊下を歩けば愛人の子が良い気になるな!と陰口を叩かれ………自分の存在を………消してしまいたい位追い詰められていた………
こんな俺がいたら………お前まで巻き込んで……苦しめてしまう………そう想い財産は総てお前に渡し、俺は国境なき医師団に入り海外へ旅立った
あの頃………逃げずにお前にその話をしていたら………俺等は二人で子育て出来ていたのか?
とか………考えなかった日はない
お前の姿をテレビで見れば……あぁ頑張ってるんだな………お前の傍を離れて正解だったんだな
とか色々……せんない事を考えていた……」
「きっと未熟な私なら………そんな貴方の大変な話を聞かされたとしても………子育てが大変過ぎて………
手伝ってよ!と訴えて聞かなかったでしょうね
今ならば貴方の置かれていた立場も境遇も理解出来ても………当時の私じゃ無理でした………」
「俺も………若さだけで怖いものなんてなかったからな………」
「そうですよ!愛さえあれば乗り越えられる!
挫折も苦労も知らなかったですからね………」
「茶飲み友達になろう!
そして拓美と拓人の両親として………生きてくれないか?」
「………何か言われるかも知れませんよ?」
「今の俺ならそんなの笑い飛ばしてやるさ!
宗右衛門が出ればマスコミすら圧力掛けてくれそうだしな!」
久遠はそう言い笑った
あぁ………その顔に惚れたのに………その顔をするなんて………狡い……
「なら茶飲み友達になりましょう!」
「あぁ、スタートラインは同じでなくてはならないからな!
我が子が血反吐を吐いて這い上がってるならば、俺等は我子の為に猛火に飛び込む覚悟が要るからな!」
「そうですね!」
「…………烈に………」
「え?何ですか?」
「烈に再婚相手は紹介されたのか?」
「あぁ、それですか………まだですよ
せんせーと向き直って、踏ん切り着いたら考えようかしら?と言ってましたからね
あの子はホロスコープばかり見て、何だか未来を知ってるのに教えてくれないケチな子ですから!」
何て事を謂うんだ………と久遠は苦笑した
久遠は紅緒に手を差し出した
「ならば、俺と始めてくれないか?
お前と話せる機会があったら……言おうと想っていた………アイツ等の名実共に親にならないか?
直ぐには無理だから茶飲み友達から始めて、我が子と過ごそう………親子の時間を刻んで行ってくれないか………」
紅緒は久遠の手を取り………
「譲さん………」と名を呼んだ
良い雰囲気になる…………が、紅緒は笑って
「烈に『せんせーとは茶飲み友達から始めるのよ!茶飲み友達は一メートル以上の距離を取り接するのよ!』と言われてるのよ」と謂う
久遠は紅緒の手を離し、思わず抱き締めようとしていたのに………と残念そうに想い
「ま、茶飲み友達だからな!」と笑った
「烈が茶飲み友達の【茶】が取れたら、友達になるでしょ、友達の絆を結んで【親】になり
それ以降は紅たんに任せるわ!
どうしたい?どうなりたい?
その人と地獄に堕ちても良い覚悟が決まったら、共に逝けば良いのよ!
と、言われてるのよ
譲さん、貴方と離れて過ごした日々を埋める時間を下さい!」
「あぁ………離れてた時間を埋める様に話そう!
でも、其の内手位は繋がせてくれ!
堂々と手を繋ぎデートすらした事ないからな
手を繋ぎデートしような!」
「………デートですか?
それって恋人がする事ですよ?
貴方今………恋人いないのですか?」
「いない………好きな人すらいない……
やはりお前の顔を見て………好きになるのはお前だけだと思ったんだ………
お前は恋人………いるのか?」
「いるわよ!」
久遠はショックな顔をした
「私には常に気に掛けてくれる、ちっこい恋人が二人いるのよ!
もぉね紅たん、と来られるとメロメロよ!
私を愛して大切にしてくれるちっこい恋人がいるのよ!」
と紅緒は笑った
久遠は苦情して「それは最強だな……相手は烈とレイか……フェミニスト絵に描いた様な王子様じゃねぇかよ!」とボヤいた
そして医者の顔になり
「烈、無理していたからな大丈夫か?
熱出していねぇかな?」
と心配になり携帯を取り出してラインをした
「烈、体調はどうだ?
熱出ているなら、直ぐに駆け付けるぞ!」
そうラインすると直ぐ様返信が来た
『せんせー、体調は何とか大丈夫よ!
それより紅たんとはどう?
再婚はボクの許可取ってね!』
「お前の許可なんて未来永劫取れねぇだろ?」
『双子の親になってくれるなら即許可しちゃうわよ!そして何より紅たんを幸せにしてくれるなら、ボクは嫁に出す気はあるから掛かって来なさいよ!』
「まずは茶飲み友達から始める
【茶】を取れる様に努力して、友達になり共に親になり恋人になりたい
俺等は親だけど、誰よりも愛し合う恋人になりたいと康太と伊織を見ていると何時も想うんだ!」
『Excellent!良い答えよ!せんせー!
なら後は2人の好きにして良いわよ!
ボクは双子の親として我が子を支えて欲しいだけだからね!じゃまた明日ね!せんせー!』
そうしてラインは終わった
久遠はそのラインを紅緒に見せた
紅緒は嬉しそうに笑ってそれを見た
二人して夜通し話をした
会えなかった時間を埋める様に話をした
久遠は近い内に二人で紅緒の両親のお墓に逝く事を約束した
その後は紅緒の両親の墓へ行く
その時は拓美と拓人を連れて逝くと約束した
そして紅緒の主治医として支えて逝く事も約束した
紅緒は双子の親でいたい……と本音を吐露して
久遠とも………何も話さず終わってしまったから、気がかりだった………と話した
だけど少し前までは死にたがりの自分だったから………そんな資格すらないと……話した
親を一度に失い、癌が見つかり………このまま治療しなかったら両親の所へ逝ける……と想っていた
と話した
久遠は紅緒の服の隙間から見えるリスカ痕に耐えきれなくなり………
思わず久遠は紅緒を抱き締めた
力強い腕に抱かれ………紅緒は始めて安堵の涙を流した
義泰と志津子に連れられて部屋へ逝く拓美と拓人は、何だか信じられずにいた
あんなに助けて助けて欲しかった祖父母が傍にいる………
だけど自分達はもう………その手は必要なかった
拓美は「じぃちゃんとばぁちゃん、バイト出来る年になったら初給料で旅行に連れて逝くからさ、長生きしてよ!」と謂う
助けて………傍にいさせてよ………と弱音を吐かれると想っていたのに………違って驚いていた
拓人は「僕達は愚かで傲慢な裸の王様だった!
だが今はそうじゃない、宗右衛門の教育の元……
本当に地獄に落とされ何も無い世界に放り込まれ過酷な日々を送る事になった!」と謂うと拓美も続けて
「だけど其れは総ては僕等の行いの所為だと今なら解る!
あのまま……大人になる方が怖い………
僕達は裸の王様だったけど、そのなけなしの王冠ですら剥ぎ取られ、今はスッカラカンのガキになった!クソガキ位が可愛いって言われたさ!」
「だよね、良い子よりクソガキの方が余っ程可愛げがあるし、生きてる過程が刻めてる!
と言われたし、僕達はクソガキ様に成ると決めたんだ!って事で、此れが僕等の姿です!」と謂う
義泰と志津子は二人を見て涙を浮かべていた
「僕さ初めて母さんに抱き着いて泣いちゃった
やはり………母さん欲しいよ
父さん、母さん射止めてくれるかな?」
「父さんだから不安だけど、宗右衛門が焚き付けていたから、茶飲み友達になり【茶】が抜け友達になり恋人になるのも近いんじゃないかな?」
「僕等、母さんとの時間なかったし、人の世に還れるチャンスがあるなら、母さんと過ごせる時間作りたいんだよね!」
「いっそ再婚しないかな?」
「だね!」
拓美と拓人は話に折り合いを付けると、義泰と志津子に向き直った
拓美は「嫁イビりは駄目よ!ばぁちゃん!」と謂う
拓人も「そうだよ!嫁は大切にね!じぃちゃん!」と謂う
昔は【おばぁちゃま】【おじぃちゃま】だったのに………
良い子じゃなくなると【じぃちゃん】【ばぁちゃん】になるのか………
と義泰と志津子は笑っていた
この方が断然良い!
人間味溢れて、今時の子だ!
志津子は「嫁イビりなんしませんよ!私が掃除が甘いわよ!紅緒さん!とか謂うと思ってるの?」と笑って言う
義泰も「紅緒さん、飯はまだか?と謂うと思ってるのか?儂はまだ医者として病院に出てるし、志津子は飛鳥井の副社長だからな
そんな暇なんて皆無じゃないか!」とボヤく
拓人は「だね、でも今後は【家族】で過ごす時間を作ろうよ!」と提案すると拓美も
「だね、宗右衛門なれば時間は自分で作るものじゃ!と怒られるからね!
時間を作って家族の時間を作らなきゃ!
父さん、母さんを押し倒してやっちゃえば良いのにね!」
「こら!拓美!それは言っちゃ駄目だよ!
宗右衛門だから礼節に乗っ取り茶飲み友達からだよ!【茶】が取れて友達になり、交際はそれからだよ!すっ飛ばしたら………未来永劫母さんが離れて行っちゃうじゃない!」
「それは大変だ!なら茶飲み友達だね!
僕達も茶飲み友達になろう!
ばぁちゃんとじぃちゃんも茶飲み友達になるのよ!」
義泰と志津子は、うんうん!と頷いた
変化を遂げた我が孫は………少しだけ強引かも……
でも、それが何だか嬉しくて………
志津子は涙した
拓美と拓人は「「あ~ばぁちゃん!ごめん!泣かせた!!」」と慌てた
義泰は志津子の涙を拭い、そっと抱き締めた
「なに、嬉しいんじゃよ志津子は!
お前等が宗右衛門の教えに腐らずに過ごした……
じゃからこんな時間が持てたのだからな……」
「「じぃちゃん………」」
「年末年始は一緒にいられるのか?」
拓人が「それは解らないよ!だって僕達突然人の世に連れて来られて菩提寺で過ごして………」
拓美が「菩提寺から一生さんに連れられエステに行かされ美容室で髪を切られ箱に閉じ込められていたんだから………何も解らないんだよ!」と謂う
義泰は苦笑して「まぁ宗右衛門じゃからな!」と謂う
志津子は「ならば菩提寺へ還らねばなりませんね!でも菩提寺にいるならば時間を作り逢えますね!」と謂う
拓人は「地獄に帰るなら無理だけどね………」と謂うと拓美も「だね、地獄に逝くならじぃちゃん達は白装束の方だもんね!」と謂う
二人は納得して頷いていた
義泰は「儂はまだ逝かぬ!そして死したら白装束の方へは逝かぬ!
儂は既に志津子と共に魔界へ逝く事が決められているからな!」と謂う
拓美は「医者不足してるもんね、ならば僕も名医になって死後の仕事GETしないと!」と謂う
拓人は「神威の事務所で仕事して死後の仕事をGETする!そしたらじぃちゃんとばぁちゃん達と死しても一緒にいられるね!」と謂う
義泰は耐えきれなくなり涙した
顔を押さえて………嗚咽を漏らす………
志津子は優しく義泰を抱き締めた
「ならば私達は死しても家族ですね!」
と嬉しそうに涙した
こんな感動の時間を送る家族や元夫婦がいるのに………
烈は飲兵衛の巣窟にいた
阿賀屋が「デッカい釘刺しといてやったから、白昼堂々と手を繋ぎデートしても騒がれやしねぇよ
もし騒がれたとしても好意的に書かれるだろうから、その前にお前今枝使って手を打つ気だろ?」と笑って言う
「そーね、特集組ませて紅緒の過酷な過去書かせようとは想ってるわ!」
「まぁ次から次へとどうしてあぁも不幸の連鎖が続いたんだよ?貧乏神でもいたのかよ?」
「あの不幸は自分で呼んでたのよ!
不幸な人間は、不幸を呼ぶよのよ!
だからこそ、辛かろうが、悲しかろうが人は笑うのよ!
笑えば明日がやって来る
長くて苦しい夜だって、明けない夜はないと信じて笑うのよ!
それが出来ない奴は………不幸に酔い知れ不幸を呼ぶのよ!
総ての行いの半分は、己の行いに掛かってるのよ
まぁ両親の事故は運命ね、あの日あの時あの場で死ぬ運命だったのよ
もし仮に運命を変えたとしても、遅かれ早かれ死す運命だったのよ
死す運命を跳ね返される人間は滅多といないわ
もしいたとしたら………それは最強の運命と意志で己の未来を変えれる存在だけよ!
まぁ紅たんも今は笑って乗り越えられる強さを秘められたからね、せんせーに合わせたのよ
不幸を呼ばない為に母となり、強く立てる様に………ね
母は強いのよ………まぁ弱い奴もいるけど、大抵は我が子の為に苦労なんか薙ぎ倒して逝くのよ!
ボクの母しゃんは最強に強いのよ!
紅たんに母しゃんの強さがあれば……殴り倒して運命変えれたのにね………」
「お前の母は特別製だからな………
あんなに強い母なんてこの世に存在しねぇよ!」
「でも………母しゃんは弱いわよ
誰よりも脆くて………誰よりも強い
痛みが解るからね………その痛みごと断ち切る強さで乗り越えているだけよ!」
「強い奴ってのは、そうだろ?
痛みも哀しみも熟知してるからこそ、斬れるんだ
まぁお前の母は最強過ぎるから、数に入れるな!」
それを聞いてた康太は阿賀屋の首根っこを固めて
「それはどう言う意味だよ!」と喧嘩を吹っ掛けた
阿賀屋は早々に「ギブ!ギブ!」と謂う
毘沙門天が「止めてやれ!炎帝!死してしまうじゃろうが!」と止めた
「んな軟かよ!」と康太は阿賀屋を離した
阿賀屋は「俺はか弱い御当主様だからな!」と謂う
「闘うの好きな癖に!」とボヤく
「あ~!それは企業秘密で頼む!」
「なら井筒屋の羊羹で手を打ってやんよ!」
「俺は金は持たぬからな、使用人に買いに逝かせるとする!」
「んな面倒いなら要らねぇよ!」
「そんな事を申すな!真贋!」
「なら飛鳥井は大掃除をしつつ宴会の日々に突入する!
【R&R】がいる以上は連日誰か呼びやがるからな!だから酒とツマミをカンパしやがれ!
それで手を打ってやる!」
「ならさ、お歳暮が来まくるし、上等な酒が来まくってるから、総て飛鳥井へ持って逝く様に使用人に指示しとくわ!」
「そんなに沢山は要らねぇよ!」
「まぁまぁ、芸能界の重鎮してると、お歳暮凄いんだわ!」
「飛鳥井は上司や上役にお歳暮は宗右衛門が早々に撤廃したからな、お歳暮は来ねぇんだよ!」
「なら持って逝くから待っていやがれ!」
阿賀屋が謂うと鷹司が便乗して来る
「なぁ真贋、鷹司の家のハムとか酒とか持って来るからさ、年末年始いて良いか?」
「おめぇんちは年末年始は盛大にやるんじゃねぇのか?」
「兄者がそれは撤廃しやがったんだよ!
儂の………その……蔵が………大変じゃから………ちかよらない為に………」とモゴモゴ言い訳をする
「蔵?」
「まぁ良いではないか!
さぁ飲んて騒いでやろうではないか!」
此処で誤魔化したが、後日 飛鳥井の家で真相がバレる事となるのを………鷹司は知らなかった……
この夜は打ち上げ!
【R&R】のメンバーとスタッフと仲間と家族で祝う夜だった
東京ドーム 設備撤去組は後日、宴会の場を用意して打ち上げをしたのは謂うまでもない
皆 平等に、をモットーなリーダーは皆で打ち上げをしたのだった
打ち上げを早々に抜け出して旅館の部屋に移り、烈と兄とちっこいのは眠る
北斗達は別の部屋で既に寝ていた
烈は兄達に「貴教と敦之の支度してくれて有難う!」と礼を口にした
流生は「何か雰囲気変わってて驚いた!」と謂うと音弥も「流石、DNA解る顔になっていたね!
敦之は写真で見た三木淳夫ソックリで、貴教は勝也さんソックリになっていた
兄達はウンウン!と頷いていた
そんな話題にされている貴教と敦之は、家族と一緒にいた
敦之は三木と妻の智美、そして子供達と我が家に還った
竜馬もイベント後は三木の家に還れ!と謂れ繁雄と共に還ったのだった
三木の家の応接間に…………家族全員が揃った
こんな事は………一度もなかった
竜馬は家族を極端に嫌い……小学生で家族と距離を取り………グレたからだ………
三木は幸せそうに家族が全員揃った姿を見て………目頭を押さえていた
妻の智美も横で同じく目頭を押さえていた
良く似た夫婦だった
竜馬が「泣くなよ父さん、母さん!」と謂うと娘の敦美がタオルを二人に渡した
竜馬は「敦美、渡すならハンカチだろ?」と謂う
「兄さん、この二人は涙脆くてハンカチじゃ足らない時があるのよ!」と謂う
「俺……そんな事も知らなかった………」
「まぁ兄さんは家族と距離取ってたし仕方ないわよ!」
とドライに謂われる
弟の茂樹に「姉さん言い方!」と注意される
そのまた下の弟の智樹に「姉さんは何時もドライだから!」と納得され………
小学生の智恵に「そーね、姉さんはキツいからね
だからアンドロイドなんて言われるのよ!」とカウンターパンチを受けていた
敦美は「うっ!言い過ぎよ!智恵!」と反撃
末娘の繁美は笑っていた
敦之は「父さん、母さん、済みませんでした!」と謝罪した
三木は「竜馬とは………話をしたのかい?」と問い掛けた
「はい!地獄にいる間に話をしました
会うなりビンタかまされました!
兄さんはきっと殴り倒す気満々でしたが、烈君がビンタよ!と言ってたのでビンタで収まりました!
そしてもう兄さんには逆らわないと決めました!
そして僕は人の世に還ったら鷹司の書生として、鷹司に住み込み学んで、大学行く年になったらケンブリッジ大学目指します!
スキップは許されず、学んで友と絆を結び永遠の親友を作るべく努力する
そんなカリキュラムが用意されています!」
と今後の事を話した
三木は驚愕の瞳を敦之に向けて
「鷹司の書生………本当に受け入れて貰えるのかい?」と口にした
敦之は「え?反対されるのですか?」と問い掛けた
「違うよ、鷹司で学べるだけでも奇跡なんだよ
政治家になってる者で鷹司緑翠の推薦状を持って来たのは堂嶋正義唯一人!
況してや書生など取ってはおらぬ筈………
鷹司の書生になりたい奴ならば五万といる
教室に通えるのも一握りの許されし存在だけだ!
竜馬が鷹司に通えているのは、宗右衛門の力添えが在ればこそ!
一般の政治家風情が入れる教室ではないんだよ!
だからこそ、驚いたし、信じられずにいたのだよ!」
敦之はそんな凄い事なの?…………と信じられずにいた
智美が「鷹司は摂家 五家 由緒正しい御家柄でもありますからね………
家柄もさる事、あの家は祓い屋をしている本家の緑道、政治屋や財界人の教育を施す獅童兄弟が今も家を守り家業を継いでますからね!」と謂う
竜馬は「母さんは詳しいんだね?」と謂うと三木は
「母さんは摂家 五家 九条の家の末娘だからね
三木淳夫が結んだ婚姻でもあるから……姫と呼ばれた母さんと結婚出来たんだよ!」と答えた
だから母方の縁者は皆 凄い金持ちの家に嫁いでいたり、家業を極めているのか……と竜馬は想った
竜馬は「この前 安曇御一家に菩提寺で会ったよ!
その時烈が、貴也さんが養子に行く先が………
摂家 五家 近衛の家だと聞いた」と何気なく謂うと両親は驚いた顔で竜馬を見た
三木が「それって…近衛明嗣氏…のご養子になられると謂う事……なのか?」と問い掛けた
「そうだったよ、俺と貴史は見届人に指名され、烈は勝也さんに貴也さんの行先が決定した、と話していたからね
あ、でも口外はしたら駄目だよ!
俺がうっかり話しちゃったのがいけないんだけど……」と謂う
三木は「うっかり口外など出来る御家柄ではないんだよ!竜馬!
こんな風に聞くのも憚れる存在なんだよ
あぁ………そうか、貴也さんはご養子に出られるのか………行方が解らないと騒がれていたが、圧力があったのか?ある時から話題にすら上がらなくなった………そう言う事か……」と呟いた
敦之が「僕はずっと貴教と一緒にいた………
その頃貴也さんも地獄にいたんだよ
何かと気に掛けてくれて話し掛けてくれたんだけど………貴教が貴也さんを拒絶してからは……話す機会もなかったな
優しくて大人で………ムキムキな人だったよ!」と謂う
すると竜馬が「だね、ムキムキになれたから地獄から出したのよ!と烈が言ってたな!」と続けた
敦之は「僕も後少しムキムキ度が足らないと言われてるんだよ………
でないと鷹司の書生は務まらないって言われた
何でも百科事典を数倍分厚くして固くした様な書物を山のように持たないといけないらしいからね!」と身震いしながら訴えた
「そーだよ、それは書生に限らず、自分の使った書物は自分で片付ける!
そして先生が使った書物も生徒が片付けるんだよ
必死に限界まで持ってるのにさ、あの人意地悪いからその上にヒョイと置きやがる時があるんだよ!すると容赦なく足の上に書物が落ちやがるんだ!!痛いの何のってないよ!
一度骨にヒビいったし……あれは凶器だよ
敦之、腕力付けるんだよ!
俺はあの日以来、定期的にジムに通い腕力着けてるんだからね!」
「嘘ぉ…………烈君が言ってたのマジなのね………」
「烈は嘘は付かない!絶対にだ!
だから俺等はリーダーに着いて逝くんだよ!」
竜馬が謂うと智美が「あの箱から出て来た子は?誰なの?演出か何かなのかと想ったけど……違うのかしら?とも想うのよ」と謂う
敦之は「あの子は双子で飛鳥井拓美と拓人と謂う兄弟なんだよ!」と答えた
竜馬が「森 紅緒の息子になる………そして元夫が久遠先生だと烈から聞いた!」と説明した
「あの子達はね、皆が口を揃えて【良い子】だと謂われていた子なんだよ!
身近で接して良い子の本領発揮みたけど、良い子って仮面着けて、人当たり良く過ごしている方が怖いって想った………
まぁ今は彼等は宗右衛門にバキバキに良い子の仮面へし折られて………良い子じゃないんだけどね
でも今の方が良いよ!」
三木は遥か昔のスキャンダルを思い出していた
若き女優が大恋愛の末結婚し……育児ノイローゼになり………離婚して子供を手放した……と。
それが更にスキャンダルに拍車を掛けて騒がれていた
三木は「そうか………正常な家族の在り方に宗右衛門殿は導かれたのだな………」と呟いた
竜馬は「この家はXmasだというのに、料理もないのかしら?」と烈の口調を真似て謂う
智美は「あら?烈の真似?」と笑い
「キッチンに用意してあるわよ!」と謂う
家族水入らずで、何のこだわりもない時間を送れるのは始めてだった
何時だって敦之が嫌味のオンパレードで空気を悪くしていたから………
キッチンに行き皆でXmasの料理を堪能していると
敦美が「私 ILove烈の会社に入るから!」と爆弾発言した
竜馬は「え?【R&R】の会社か?」と問い掛ける
敦美はハーバード大学をスキップしまくり、去年成人式を迎えた、すぐ下の妹だった
「違うわよ!飛鳥井建設!
烈からのラブコールで管理部統括主任に着いて、経営を管理する事になったのよ!
まぁ今は【R&R】の方でも会計監査の役員任されてるけどね!」
「何それ!俺は知らなかった!」
「兄さんは烈以外どうても良いヤツじゃない!」
「………グッ!!」
「烈は人誑しだから口説かれたら何だってしてあげたくなるのよ!」
敦美は笑っていた
そんな顔………家族は見た事がなかった
智恵は「嘘!!笑ってる!」と信じられずに呟く
他の兄弟も同じく言葉もなかった
敦美は「失礼ね!私だって笑うし怒るし、お腹も減るのよ!」と言いチキンに齧りついた
三木はそんな家族を見て笑っていた
妻の智美も同じ様に笑っていた
そして賑やかに料理を食べ話に花をかさせ皆が笑う
三木の家がやっと家族全員同じ方を向けた頃
安曇も家族で過ごしていた
新居に貴教を連れて還った
客間に家族全員顔を揃えた
登紀子は「貴教は知りませんでしたね、貴之の妻の葵さんです!」と紹介した
葵は「貴之の妻の妻の葵だ!以後お見知り置きを!」と謂う
貴教は「兄さん結婚して子まで拵えてらしたのですね!僕は知りませんでした!
宜しく、貴教です!
でも僕は人の世に還ったとしても、この家で過ごせそうもないのですが………宜しくお願い致します!」と謂い笑う
屈託もない笑顔の貴教は、安曇勝也に良く似た顔をしていた
安曇は「人の世に還ったら何処で暮らす事になっているんだい?」と尋ねた
「鷹司の家で書生として住み込みになる事は決定しています!」
登紀子は「烈が言ってましたね……獅童さんが書生を取るのは………たまにありますが、書生から次のステップへ行った者はいない…………
貴方は見事に次へ逝ける様に頑張るのですよ!」と声を掛けた
貴教は「母さん、それ脅しだよ!それでなくとも………烈君にもっとムキムキにならないと……って言われてるんだから!」とボヤいた
貴也は「足の指骨折したくなければ、腕力着けなきゃ!」と笑って言う
「貴也兄さん………どうやったらそんなにムキムキに成るのさ!」と言う
貴也は「素戔鳴殿と毎日畑仕事して、数時間剣のお相手して貰っていたんだよ!
とてもじゃないが……あの方の渡してくる剣は持ってるだけで手がプルプルして来て………
それでも稽古に付き合って下り、平気になって来た頃、何でも出来る様になって来たんだよ!
今も定期的に道場で鍛えているからね、自分の身は自分で護らないと狩られて再び地獄に来る事になるからね!と言われてるんだよ!
そしてその時は白装束の方だからね!なんて脅されてるから気は抜けない!」と謂う
安曇は「摂家 五家 近衛に御養子に入られるのなれば………自己防衛は必要だからね!
前の御子息は………事故に見せかけて一族に消された………と何ともきな臭い事言われてるから、こその鍛錬なんだろうね!」と謂う
貴教は「兄さん……そんな大変な家に養子に行かれるのですね………」と呟いた
貴也は笑って「地獄で過ごした日々以上に過酷な日々などない、そう思ってるから僕は何だって出来る!きっと貴教もそうなるよ!」と謂う
貴教は「僕はこの先まだまだ修行の日々ですから!ハーバード大学へストレートで入りスキップを許されずに永遠の友となるべく人達と交友関係を結び、人脈と経験を積まねばなりませんからね!僕が政界に入る頃、貴方達を相手に負けない闘いをしてやりますとも!」と言い笑う
「僕は政界のバランサー的存在にならねばならないから、お前に負かされる事はないよ!」と笑う
貴之は何も言わなかった
登紀子はそれが気になり………「貴之?………」と声を掛けた
貴之は「僕は僕の道を逝く!それは誰かの闘いではなく、市民の代表として政治の場に立つと決めているんだ!」と答えた
もう揺るがない政治の道を歩み始めていた
安曇は「それで良い!何が正解か?なんてない世界だからね!
貴也は貴也の、貴之は貴之の、貴教は貴教の、道を行きなさい!」と謂う
すると貴也は笑って
「ユキとノリですよ、父さん!」と謂う
貴也が謂うと安曇は「烈が怒ってたね…同じ様な名前ばかり着けやがって!と………」とたらーんとなりボヤく
貴教は「そうだ。僕ノリと言われてる!
敦之はアツと言われてるよ!
舌噛むんだよ!と怒られるけど、それは僕の所為じゃないよね?
でね、地獄にいた拓美と拓人はタブルタクと呼ばれ、ミとトと呼ばれてたよ!
烈君、舌っ足らずだからね……早口みたいに謂うと舌噛んじゃうもんね!」と謂う
登紀子は「似たりよったりな名前がいけないんでしょうか?」と悪い気になり口にした
安曇は「そう言っても今更変えられないからね………」と言い我が子を見た
貴也は「父さん……お止め下さい!」と言った
安曇勝也に着けられた名ではないが………
父に始めて逢った日に「貴也君」と呼ばれたこの名は気に入ってるのだ
安曇は「今更無理だよな……」と謂う
貴之は「僕はユキで良いですから!烈君にそう呼ばれるの好きですから!」と謂う
でも………兄弟格差は気になるのだ
「でも兄さんが貴ちゃんなのに対して、僕がユキで貴教がノリなのは良いとしても、格差ありませんか?」と謂う
貴教は「兄さん、僕はノリで良いの!!酷いよ!!」と訴える
貴之は笑っていた
「お前は弟だから、ノリで良いじゃないか!」
と謂う
でも貴教は「えー!なら兄さんもユキで良いじゃないか!」と反抗した
貴之は「そんな事を謂うのはこの口か!」と言い貴教の口をムギューと捻った
「痛いってユキ兄さん!」と抵抗
「ノリの癖に!」
「ユキ兄の癖に!」
他愛もない兄弟喧嘩だった
だが、この兄弟は一度も兄弟喧嘩をした事がなかった…………
安曇は笑っていた
登紀子も笑っていた
貴也も笑っていた
葵もそんな仲睦まじい兄弟の姿に笑っていた
拘りが解けて………家族になった瞬間だった
登紀子は葵と共に心ばかりのXmasの料理を並べて行く
そしてお酒を用意して安曇と貴也と貴之は仲良く飲み始めた
成人して………一度も我が子とこうして酒を飲んだ事はない……
安曇は嬉しくて………嬉しくて………泣きながら飲んでいた
貴之は「養子に行ったとしても、遊びきます!
その時はまたこうして飲みましょう!」と謂う
安曇は何度も何度も頷いた
登紀子も珍しく飲んでいた
貴也は「母さんが飲むなんて珍しいですね………」と謂う
すると貴之は「最近は母さんは良く玲香さんや美緒さん達と女子会して飲んでるよ!
父さんも総理辞めて家にいるから、二人して晩酌してるよ」と謂う
貴也はそんな姿は目にした事がなくて…………何か少しだけ嬉しかった
感情のない母が………泣いて笑って、楽しげに父と晩酌してるなんて………信じられなかったら………
安曇の家族もやっと同じスタートラインに立ち、同じ方を向いていた
皆の上に幸せな時間が訪れHappyXmasとなった
その頃 飲兵衛の巣窟で康太と兵藤は笑いっぱなして、飲んていた
兵藤は「明日、何か烈が話があると言ってる………
まぁ前から近い内に正式に話があるとは謂われていた………何の話かお前なら詠めるか?」と問い掛けた
康太は「俺に烈関係の事を聞くな!」と謂う
「本当にお前はアイツの事が詠めねぇのか?」と聞いた
「詠めねぇ訳でも視えねぇ訳でもねぇよ!
でも視るだろ?微妙に果てを変えやがるんだよ!
視るだろ?全く違う何かにすり替えやがるんだよ
だから無駄な事はしねぇと決めたんだよ!
少し前………アイツはオレの運命を被りやがった!
それが出来るヤツ相手にするのは………オレだとて荷が重いんだよ!
オレはラルゴは知ってるけど、他の奴は知らねぇ!だがアイツは七賢者八賢人の弟子と謂う立場を良い事に運命さえイジれるんだよ!
んなヤツの果てなんか絶対に視るかよ!」
何と言う言い分…………
「そうか………なら何の話なんだろ?」
「だがな、予想は着く、多分………遠距離恋愛してるお前達の今後のスケジュールか何かだろ?」
「それに美緒、必要か?」
「お前の御相手考えてみろよ!
今までの様な訳に逝くかよ!
お前に責任ある行動をさせる為だけに用意した烈の果てだかんな………容易く逝くと想うな!」
「俺は相手には真摯に誠実であろうと決めて接している………が、遠距離恋愛なのは仕方ねぇだろ?
俺は烈預かりなんだから………背いてまでイギリスに居られねぇでしょうが!」
「憶測飛び交ってるらしいからな………
それでパパラッチがお前の周りをブンブン飛んでるんだろ?
オブライエン家がある程度圧力掛けねば、お前今頃丸裸にされてっぞ!」
「あぁ………クリス様様だな………
あの人さめちゃくそデカい鉄鍋作らせていたぜ!
より火を早く通せる素材で作らねばならない!と研究室上げて研究させてるのな………
金持ちって………無駄な所に力注ぐのな………」
「その鉄鍋はどうやら飛鳥井へ来るらしいぜ!」
「え?飛鳥井の為に研究室上げて研究させていたのかよ?」
「らしいな、烈と竜馬が言ってたぜ!」
康太はそう言い笑った
そして兵藤を視て
「明日は………凄い事になるな………」とボヤいた
「え?それは何なんだよ?」
「はてな?明日になれば解る事じゃねぇかよ!」
と康太は笑って後は何も言わなかった
榊原は「烈は本当に大変なのに………」と、それでなくとも飛鳥井建設の社員達に事前にテスト用紙を渡したり、と大変な事をやってる日々を想う
作られた抜き打ちテストは、兄達のPCに送られて来て、兄達はそのテスト用紙を社員分作成して、答案用紙を着けて配る
テストの上に解答提出期限を設け、配ったりと大変な思いをしていた
烈はそれを【R&R】のイベントの合間にやっていたのだ
やっとイベントが終わったのだ………
少しはゆっくりさせてやりたい気はあるが……
多分 スケジュールは目白押しなのだろう………
阿賀屋が「姫との婚姻は大変だな……」と兵藤に声を掛けた
兵藤は「うるせぇよ!大変でも何でも逝かねぇとならねぇんだよ!」と謂う
それを聞いていた鷹司が「良く言った!ならば更に練度を上げて仕込むとするわ!」と嗤った
兵藤は「藪蛇じゃねぇかよ!」とボヤいた
鷹司は「真贋、主も逝くのか?」と問い掛けた
康太は「オレは逝くつもりはねぇよ………肩凝るの嫌だしな!
…………の予定だが………」と謂う
「良くもまぁ幾度生まれ変わっても、宗右衛門は大変な事をしておるのぉ………」
「まぁそれが宗右衛門だからな!」
「今世は………もう二度と宗右衛門には逢えぬと想った………そしてアヤツは今世は何故か小さい………
一緒に酒を飲むまでまだ数十年はあるではないか!」
「一度、アイツの魂が消滅しかけたからな……
冥府の闇の中に落とされたらしいからな………
お前や神威と年齢のズレがあるのは仕方がねぇよ
やっと腹に宿っても一度流産して生まれなかったからな……」
「本当に大変な目に遭ったのじゃな……」
「まぁ飛鳥井から宗右衛門消したら、1000年続く果てへは逝けねぇからな!
オレに対しての最大の嫌がらせしやがったんだよ!」
「誠………セコい奴だと言いたい………」
「オレもそう想う!
んとに、ちまちま嫌がらせなら嫌と謂う程に受けて来たかんな!」
「まぁ、飲め!真贋!」
盛り上がり………飲兵衛の夜は更けて逝くのだった
一晩中 笑い声が旅館の離れから聞こえていた
こうして【R&R】Xmasイベントは幕を閉じた
【R&R】のメンバー達は満足だった
その夜、アメリカのStrongHiとイギリスのRODEOÑから連絡が入った
StrongHiのジョージは
「倭の国逝くからさ、打ち上げパーティーやろうぜ!」と謂う
RODEOÑのアーネストも「狡いよ、打ち上げやってるんでしょ?
ヘンリーのインスタにその様子が載ってたから!
僕達も打ち上げやりたいよ!
だから倭の国へ逝くからね!」と謂う
竜馬は「もうリーダーは多分寝ちゃってるよ!
お子様は寝る時間だってば!
そして俺は今リーダーの傍にいないんだよ!」と抵抗する
「ならリーダーに伝えといてよ!」
「我等が逝くって!お願いね!」
と言いラインは途切れた
そっちこそ、打ち上げしてるんだろ?
と竜馬は想った
やっぱ烈の傍に行きたいな……と想う
今頃 旅館では飲兵衛が楽しく打ち上げをしているんだろうな……
メンバーも楽しく飲んでるんだろうな……と想う
竜馬はさっさと自分の部屋のベッドに潜り込み
「烈ぅ〜、俺もその場にいたかったよぉ〜!」と叫んだ
竜馬の虚しい響きが闇夜に消えて逝く………
阿賀屋は「何時の世も宗右衛門の傍は楽しい時間を送れるな!」と笑った
毘沙門天は「そうそう、あやつの周りは何時だって人が集い飲んでおったわな!」と思い出を口にする
神威は「そして今は恋愛に胸を痛めるヤツもいるしな!青臭い青春じゃな!アオハルじゃ!」と酒を飲みまくる
康太は「収拾つかねぇじゃねぇかよ!」とボヤいた
榊原は「ホテルの部屋を取ったので、僕達はそちらへ行きましょう!」と康太の手を引っ張りスキップせん勢いで宴会場を後にした
瑛太は「今も尚新婚ですか………」とボヤく
一生は「まぁ、そうじゃねぇと逆に心配になるでしょうが!」と取り成す
瑛太は「烈、大丈夫ですかね?久遠先生が熱が引きやからねぇぞ!」とボヤいてました
「多忙過ぎなんだよ烈は……」
「明日は私達は会社です!
烈の事頼めますか?」
「あぁ、解ってるよ!」
「政財界が集まる、昼食会と晩餐会は康太と伊織を投入する予定です!」
「こんな年末に?昼食会と晩餐会?
何かあるんですか?」
「解らないけど、烈経由で招待状が来てるんです
差出人は倭の国の内閣総理大臣からですけどね………」
「出席しねぇ訳には逝かねぇな………」
「今 会社のトップは伊織ですから社長と真贋セットで出してやります!」
瑛太はほくそ笑んていた
「烈経由なので絶対に参加させます!
烈が『えーちゃんお願いね!』と頼んだのです
死しても約束は違えません!」
物凄い気迫だった
一生は「俺と慎一は電車に乗りたいちっこいの達の希望を叶えるべく交通手段使い連れ帰る予定だけど、大丈夫ですか?」と問い掛けた
「大丈夫だよ!一生!
最近康太と伊織は楽しすぎだからね!」
「それもそうですね!」
二人は乾杯!とカチンッとグラスを合わせて乾杯すると飲み干した
聖夜の夜は………楽しげな声が響き更けて行った
何も知らない清隆と玲香、京香は皆と楽しげに話をして楽しげに飲んていた
康太!兄は何時だってお前を誰よりも愛してます
なので、年末まで誰よりも頑張って下さいね!
ふふふふ………瑛太は楽しげに飲んていた
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