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第23話 虎視眈々 ❶

秋月は動く事さえ叶わずに………諦め覚悟を決めるしかなかった そんな秋月の心境とは裏腹に…………烈は呑気に話し始めた 「少し前にね、我が家に仕掛けたホイホイに引っ掛かり無間地獄へ落された魂があったのよ 周防切嗣、彼はやっと己の死を受け止め、閻魔大魔王様の量刑に掛けられ輪廻の轍に入る為に魂の修練に入ったのよ 貴方も死を歪められているのよ! このまま無間地獄へ堕ちなさい! そして魂となり閻魔大魔王様の量刑を受けなさい!それしか残る道はない! でなくば、跡形もなく消えるしかないのよ!」と言葉にした 秋月は「切嗣様は………地獄に堕ちましたか………」と呟いた 「地獄に堕ちられただけでも物凄い温情だと思いなさいよ! 弄られた魂が天国に逝ける訳ないじゃない! 天界の結界に触れただけで跡形もなく消えるわよ! 貴方の魂もね、穢れ過ぎてるし、闇に染まり過ぎなのよ! だから無間地獄に堕ちて魂の浄化を受けて、輪廻の轍の中へ入りなさい!」 「私の魂は………穢れ過ぎてて消えるしかない 切嗣様の為だけに謂われるままに殺戮を繰り返してしまった……… 今度も言われるまま来て、楽勝だと高を括ってましたが………神に匹敵する存在に勝てる気はしませんでした………」 「神かは知らないけど、この人はね、弥勒院厳正が子息………貴方を操ってるヤツの倅よ!」 秋月は悲痛な顔をすると涙して 「あれは………もう人ではない………」と言い恐怖に顔を歪めた そう言葉にした瞬間、何かが飛んて来る気配を感じて、烈は無間地獄の中へ秋月を落とした 秋月は魔法陣に吸い込まれる様にれ姿を消した それと入れ替わり………目の前に………テスカトリポカ、本人の姿をした何かが姿を現した 「秋月を辿り来たのかしら?」 そう問われ不敵に嗤う男は 「あの男にはそれだけの価値しかないからな!」 そう言い、射程距離に詰めて烈の前に立つ男は、楽しげに唇の端を吊り上げて嗤っていた これだけ間合いを詰めれば、そんな命を奪う事など容易いと想ったのか嗤っていたのだ 烈は突然現れた存在を目にして 「元は一つの体を持つ存在 そして元は主の分身だった 分身を個体として存在させ増やして凶暴化させ鍛え上げたのが漆黒のジャガー 夜の闇が深く染まる黒曜石から生み出した存在!」と挑発する様に謂う テスカトリポカはフンッと鼻で笑うと 「知ったかブリか?」と問い掛けた 「違うわよ!天地天聖天動説に基づき、導き出しボクに星が教えたテスカトリポカの真実よ!」 「その根拠は?」 「空っぽだからよ! 漆黒のジャガーみたく、中身は闇に染まった空っぽだからよ! 上手くコピっていても、中身はスカスカの張りぼてなのよ!」 「まぁ言ってろ! お前を仕留められたら御の字だからな!」 「あら?ボクを仕留める気なのね!」 烈が謂うと弥勒が烈の前に出て庇った 烈は「នោះហើយជាអ្វីដែលខ្ញុំកំពុងនិយាយអំពី」と言葉にすると その後ろにラルゴ達七賢人八賢者が並んで立っていた 賢人ラルゴ、ミルゲ ノア 【Kiixpoloua tlamantli tlen kalaki itlampa.】 賢者アーロン、カレブ、タイラー、イーロン 【Den minste motstands vei er lysets vei nimic nu o poate opri】 賢人レオ、セオ、アーサー、ルーク 【إنه يفضي إلى مساعدة نقطة ضعف الفرد كسر الميت 賢者ラドルフ、アロイス、アルク、ロック 【condanna!】 烈が【Σαϊσέι.!】 全員で【jernkledd her og nå】 七賢人【ветеран】 八賢者【octogenar】 飛鳥井烈が【επιφανειακά σαφές αλλά στην πραγματικότητα δυσνόητο】 呪文を放つ テスカトリポカの姿をしていた者は、呪文を受けると、その姿を維持出来ずに漆黒のジャガーの姿になるしなかった そして漆黒のジャガーはドロドロと蕩ける様に………姿を消して行き………液体となった 追跡はないのを確認すると烈はペコッと師匠に頭を下げた 「お師匠様達ありがとうなのよ!」 賢人ミルゲが「この地に邪なモノが近付けば、我等は総て消し去ると決めておる!」と謂う ラルゴも「でなくば、儂らの平穏な日々は崩壊するからな!」と嗤った 烈は「ではボクは家に帰り寝ます!神威と弥勒とクーたんはどうする? お師匠んとこで飲んで行っても大丈夫よ」と謂う 弥勒は「お前一人で大丈夫か?」と聞く 「神の道を通り還るだけだから大丈夫よ!」と謂う 神威は「儂は明日も仕事じゃし、飛鳥井の家で熱燗が待っているからな!ほら烈、毘沙行くぞ!」と言い神の道を開いて行ってしまう 弥勒は「俺もまたの機会にするわ!」と言いクー達と共に神の道に入る サクサク進み飛鳥井の家に出ると、神威は「熱燗!」と言い客間へ向かった 烈も客間へ行くと「小腹が空いたわ!ヘルシーなの食べたいわ!」と謂う 慎一が野菜を持って来ると、烈はパリパリ野菜を食べ始めた 弥勒は阿賀屋に「見せ場がなく終わっちまったわ!」とボヤいた 阿賀屋は笑って「飲むぞ!」と言い鷹司と共に飲み始めた 烈は野菜を食べると自分の部屋に行き寝る事にした 宴会は夜明けまで続き……家族は本当に嬉しそうに飲んでいた 翌朝 何時も通りに掃除をして洗濯をしてキッチンへと向かう 食事を終えると烈は康太に近付き 「少し話をしませんか?」と問い掛けた 「おー!良いぞ!何処で話す?」 「ボクの部屋でどうです?」 「うし!なら行くとするか!」と言い烈の部屋に移動した 烈の部屋は炬燵があるから康太は、炬燵に入り 「んじゃ、話を聞くとするぜ!」と言った 烈は母の目を見て「神取羅刹の現在の所在は?」と問い掛けた 「羅刹?今は飛鳥井蓮を名乗っている 妻と子が出来て幸せな家庭を築いている筈だが?」と言った 「出来るならば、海坊主が関わった者総ての存在の所在を総て明らかにして! でないと洗脳か傀儡にされているか解らない現状になってるのよ! 少し前から飛鳥井への株式操作とか仕掛けて来てるヤツとかがいたのよ! 株式操作の方はダニエルが介入してくれて、手を打ってくれたわ! そしてそれを調べる為に、オリヴァーの弟子のアンソニーを使い逆に仕掛けて罠を張っているのよ! 飛鳥井へのハッカーを誘導した鯖落ちも狙われたし、少しここいらで気を引き締めないと………気付いたら手遅れになるわよ!」 康太は唖然としていた 「それって何時頃から?そうなってるんだ?」 「Xmasのイベント少し前には、西村が回線が繋がらない時があるんです………って困ってたのよ、気づかなかった? だからオリヴァーに話を通して調べて貰ったのよ アンソニーは今 ハッカー集団を集めて、より強固な力を手に入れているわ! で、アンソニーが謂うには鯖落ち確定な程に集中攻撃とも言っては過言ではない程にネット攻撃受けててね、我が社は衛星回線だけどね、集中攻撃受ければダメージは食らうモノなのよ!」 「お前がイベントで忙しそうにしてる時を狙ったか?」 「だと思うわ、そうなると社内のスパイも警戒しないとならないのよ!」 「頭のチップ対策はしてあるんだよな?」 「してあるけど、時空虫雷食べてたじゃない! アレみたいに改良されれば、打つ手はないわ……」 「瀬能も………社内の機密情報盗む為に利用されたのか?」 「そうね、社員の名簿、企業秘密、等など利用価値はあったのよ! だから整形してまで恋人の顔に似せて与えたのよ 免震構造システム、偽のモノを分かりやすい場所に置いて置いたのも、手の内を見る為だったからね、それで瀬能ちゃんがターゲットなのだと確信したのよ!」 「何故……瀬能が狙われた?」 「心が空虚で満たされない者を選ばれただけ!」 「何処までも卑劣なヤツだな!」 「その卑劣やヤツ、ご本人の姿で登場して来たわ!まぁ元は同じ存在だから当たり前なんだけどね」 「お前を恐怖で引き攣らせたかったのか?」 「どうなのかしら?」 「会社………気を付けるって言っても、どうやったら良いか解らねぇぞ!」 「そこなのよ! でもね、社内に盗聴器仕掛けるとするじゃない ボクが用心してジャミングシステム作動すると、配電盤やられるかもなのよ そしたら今度こそ鯖落ち確実にされて復旧までに時間かかるダメージ与えられる そしてそれをマスコミに流せば………追いかけ回されたボク達の家、ついに発見!となるじゃない!」 康太は頭の中で最悪な連鎖を描いて 「あ~全て焼き尽くしてやる!」と怒りを口にした 「無闇矢鱈に燃やせば解決となれば良いけど、無駄な労力になるから止めておくのが一番よ!」 「畜生!腹が立つ!頭脳戦とか頭痛がしてくる話は嫌いなの知っててやって来るのか?」 「それは知らないわ、海坊主関係の真贋の情報がどれだけ流れたのかさえ解らないからね!」 「どう出るよ?」 「決定打を打って来るのを見て、下方修正するわ そしたら………飛鳥井の家はまた引っ越ししなくちゃならないけど、仕方ないわよね?」 「あぁ、最近じゃ難なく準備して移動出来るかんな!引っ越しなんて苦でもねぇぜ! 幼稚園の上に移動するのか?」 「今度は違うわよ! 場所は当日になって解るわ!」 「おう!オレ等は何処でも構やしねぇよ! それより仕掛けて来る予想とか付いてるのか?」 「そうね、母しゃんの誕生日辺りが頃合いなのかも………誕生日休んでくれたら動き出すかもね 向こうはあまりボクの存在は知らないからね ボクはまだお子様だからチョロイと思われてるのかもね!」 「前世でもあまり繋がりなかったのか?」 「向こうが近寄ろうともしなかったのよ!」 「何でだ?」 「知らないわよ!でも源右衛門曰く『行く行くは宗右衛門は飛鳥井と関わりなき者になるから関わりを持つ必要はない!』とか言ってたと言ってたわ!」 「おい!それって!!」 宗右衛門の魂は冥府の闇に突き落とすから消滅するのを知っていた…………? 「多分ね、当時は意味ワカメだったけど、今ならば………ジワジワ侵食されていたのかも知れないって想えるわね!」 「今世 惚れた女の為に闇堕ちしたと想ってたが?違うのか?」 「それはもう解らないわ………だが海坊主は美濃部一族の記憶を継承した存在だとしたら? 飛鳥井へは何代か前の源右衛門がスカウトして飛鳥井の轍に入れた 其れ程に海坊主には力があって源右衛門が惚れ込みたっての願いで、って事だから 家を追われ滅びるしかなかった一族ならば、破滅を願うのは………当たり前なのかも知れない それでも惚れた女の為に……何とか踏ん張って来た 添い遂げられないならば、陰ながら惚れた女を見守って来た 自分も家庭持ち、子を持った だが想いは惚れた女に囚われ……惚れた女の為に完全に闇堕ちした 海坊主の妻はやるせない想いをして夫を恨んだ だが最期まで海坊主の妻として生きてやる事こそ復讐だと………死んで行った 浮かばれないわよ………本当に………」 康太は言葉もなかった……… そしてこの話を烈の部屋のドアを開けた弥勒も言葉もなかった 弥勒は「今の話は本当の事なのか?」と問い掛けた 烈は弥勒を見て「どの話?」と問い掛けた 「お袋が………親父を恨んで死んで行った……ってのは!」 「ならさ、弥勒は結婚した伴侶が心は常に他に有るとしたら?どう想う? あぁ、弥勒は結婚しても心は炎帝にあったから、どうでも良いのかしら?」 「烈………そんな意地悪は言わないでくれ! 俺は今は妻と子に向き直り、家族として生きて行くと決めているんだ!」 「なら澄香にはずっと惚れた男がいて、心は何時もソイツが占拠してるとしたら?」 「そんなのは許せない!」 弥勒は間髪入れず答えた 康太は「それが答えだろ!海坊主の心は何時だって惚れた女にあった 嫁としたら心中穏やかでいられるか? ならば最大限の復讐をしてやるしかねぇだろ! 離婚して自由になんかしてやるか! それで命の灯火を削り……絶望して挙句の果てに自害したんだからな!」と謂う 「お袋は病気で死んだ筈だ!」 「死ぬ少し前には入院していた 見舞いにも来ない夫に絶望して己で命を絶ったんだよ!もう何も期待しない!もう何も想いは残さない!もう………すべて消し去ってやる!と自殺した!その魂は源右衛門が黄泉の旅路へ送り出したから知っている!」 「………本当に親を見てこないにも程があるな……」 弥勒は苦笑した 烈は「悔やむのは辞めなさい!悔やんでも貴方の母は帰っては来ない!」と謂う 「母さんは………今………」 「貴方の母だった人は今 魂の修練地獄で己の生涯の穢れを祓う為に日々精進してるわ! 今の魔界は海坊主程度の奴じゃ入り込めないから、取り込むのも無理だから大丈夫よ! 貴方に母親まで討たせるなんてしないから!」 弥勒はその場に崩れ落ちて………涙した 涙してる弥勒の姿を目にして烈は 「この試練こそ貴方に与えられた神としての資質を磨く為に課せられた鍛錬だと想いなさい! 貴方は神だった癖に働かなかった そして助けを求める声を聞かなかった だからこそ【痛み】を与えられた とか想ってれば大義名分出来るんじゃない?」 と謂う 康太も「だな、今後は良い神になるだろうさ!」と笑う 弥勒は涙を抜くうと「畜生!」と叫んだ その背後から「辞めなさい!この親子には貴方でも敵いませんから!」と謂う声が聞こえた 振り返ると榊原が立っていた 弥勒は「伴侶殿………」と呟いた 榊原は弥勒を立ち上がらせ、康太と烈に 「既に客間には来客が来てます! 朝を沢山買い込んでワクワク来てますから!」と告げた 烈は「早くとは言ったけど早過ぎない?」とボヤく 榊原は「それは君が晟雅達に連絡しなかったツケが来たんだですよ!」と謂う 烈は炬燵のスイッチを消すと、慌てて客間へ急いだ 客間は昨夜の飲兵衛にプラスして神野達も来ていた 烈は神野達と共にいる竜馬に 「りゅーま、あきましゃいるし撮影しましょう!」と謂う 竜馬は喜んで「おっ!生配信!」と言った 「ボク予定着けて2月中旬 イギリスに行くから、そしたら目を付けてるグループのコンサートに行きたいのよ!」 「どのグループ?」 「シャステナと謂うグループなのよ!」 「シャステナ?どんな意味?」 「多分倭の国のヤツ中にいるんじゃないか?って想ってるのよ! 覆面バンドらしいけど、シャステナと謂うのは瀟洒なと謂う意味合いを持つ言葉なのよ! 【すっきりとしてあか抜けしているさま、俗っぽくなくしゃれているさまを意味する形容動詞】だからね!」 「コンサートのチケット、買ったの?」 「オリヴァーに頼んでおいたわ! 日程が決まればメンバー分用意してくれるんじゃないかしら?」 「なら見に行こうよ!」 竜馬は楽しそうにワクワクと謂う 「その前に生配信よ! ゲストはそこの四人!」 「応接間?」 「そうね、そうしましょう!」 竜馬はバタバタ走って行った 翔達は「手伝うよ!」と後を追う 応接間の遮光カーテンを全部閉めて、景色が入らない様にミッチリ固定する 皆で撮影の準備してると真矢と清四郎、そして隼人がやって来て笑顔でソファーの後ろに立った 烈は「隼人とじぃたんとばぁたんも出る気?」と謂う 三人は元気良く頷いた 竜馬は「なら座っちゃって!」と謂う 三人も座り神野達も座る 烈と竜馬が真ん中に座り撮影は開始した 「あけましておめでとう御座います 【R&R】リーダー烈です!」 「明けましておめでとう御座います 【R&R】サブ竜馬です! そして三社共同事務所から代表と俳優三人をお迎えしての新年生配信です!」 竜馬が謂うと皆が【明けましておめでとう御座います!】と新年のご挨拶をした 烈は唇の端を吊り上げて嗤うと 「2月中旬 ボクはイギリスに行く予定なのよ 新しい発掘作業しようかと想ってるのよ ボク等は留まらない! 前へ前へ前進あるのみ! だからイギリスにいる間に色んなコンサート見に行くわ!」と挑戦状を発信するみたいに謂う 竜馬は「今回はオーディションはしない! でも是非見て!と言うグループがいるなら観に行くよ!概要は【R&R】のホームページを見て! 今頃オリヴァーが必死に概要作ってるから!」と笑う 「ねぇ、三社共同事務所も春の祭典とか考えてないの?」 と、唐突に烈が聞く 須賀は「それやりたいんだけど………実行は出来てないね……」と情けなさそうに言う 柘植は「三社共同事務所で行くならば、総てのタレントを投じてやる事になるからね 是非 【R&R】のお力添えしてくれるなら実現したいとは想ってるよ!」と言葉にする 神野は「でもバードル高いだろ?」とボヤく 相賀は「外国からのタレントも多くエージェント契約してるからね、彼等も投入出来るならば、壮絶だろうね!見たいよ!」と謂う 竜馬は「春の祭典とかは時間が足らないから無理だけど、期限を何処かで焦点を合わせてやれば不可能じゃないよね?」と謂う 烈も「不可能じゃないわね!」と謂う 隼人は「オレ様はまだまだ走り続けるのだ! 走って走って走り続けるのだ!」と謂う 「隼にー!ボクを背負って走り続けてね!」 「おー!任せとくのだ!」 そう言い隼人は笑った 凄く清々しい笑顔だった その顔は高校の頃良く見た顔だった 康太と謂う最大の友人を手にして笑っていた頃の隼人の笑顔だった 真矢も「ばぁたんもまだまだ走り続けるわよ!」と謂うと清四郎も 「じぃたんも走り続けるからね!」と笑って言う 神野も負けてられない!とばかりに 「俺だって走り続けるからな!」と謂う 相賀も「儂もまだまだ隠居はせんよ!走り続けてやるからな!」と強気で言う 柘植も「私も子供が生まれるので息切れしてる場合じゃありませんからね!」と謂う 須賀も「私も妻と子の為に走り続けますとも!」と謂う 烈はそれを確認して 「なら今年は大きなイベントやるしかないわね!」 「リーダー、俺 馬車馬の様に働くから!」 竜馬は嬉しそうに謂う 烈は「と謂う事で新年一発目の配信を終えます!」と謂う 隼人は「少し待つのだ!オレ様は今年も写真集を出したいのだ! 今年は鍛え上げた肌を晒して写真集を出したいのだ!」と訴える 「隼人にー、スキー上手かったわよね! その滑り、ファンの子に見せたら?」 「オレ様が滑って……絵になるのか?」 「何を謂うのよ!まだまだね!隼人にーは! 絵になるんじゃないのよ!絵にするのよ! どんな場所にいても、どんな姿をしていても、その中で光る宝石の輝きを見せる! まだまだね!隼人にーは!」 烈が謂うと隼人はムキになり 「オレ様はどんな姿をしていても光るのだ!」と謂う 烈は「あきましゃ、隼人にーを北海道辺りに連れて行ってスキーの仕事させたら?」と謂う 神野は笑ってカメラ目線て「そんな仕事募集しています!」と言った 隼人は「藪蛇なのだ!」と叫んだ 「それじゃ、またね!」と烈と竜馬は手を振り生配信を終えた 竜馬はカメラを片付けると兄達は遮光カーテンを開けた 撮影を終えると皆で客間に行き、買って来てくれた朝を食べた その頃 神野の事務所 Ever yours芸能事務所にはテレビ局や制作会社から自治体から、スキーウェアーの会社等からの依頼の電話やFAXが休みなく入り、当番で事務所にいた者は、一人では捌けずに小鳥遊に連絡を取り助けを求めた 「小鳥遊さん、助けて下さい! 今直ぐに事務所に来て下さい! 仕事の依頼が凄く来てて、一人ではとてもじゃないですが無理です!!助けてください!」 と悲鳴交じりに言われ、小鳥遊は慌てて事務所へと出勤した 事務所はFAXが止め処なく流され宙を舞っていて、電話は鳴り響きとんでもない事態になっていた 当番の社員は一人で、鳴り響く電話の対応にファクス、コロコロと依頼が入るPC画面等などに、パニックになる程で、泣きながら小鳥遊に助けを求めたのだと謂う事態を理解した 取り敢えず、依頼をPCに取り込み 「社長に聞いてから返答の連絡を入れさせて貰います!」と返した 終わらない作業を片付けつつ、小鳥遊は何故にこんな事態になってるんだ!と、怒り狂って神野に電話を入れた 絶対に社長が何かしたに決まっている!! 電話に出た神野に『貴方、何してくれたんですか!』と開口一番で怒鳴った 神野は何が何だか?解らず 「え?俺何か怒らせる事した?」と理由が解らず問い掛けた 小鳥遊は事務所に仕事の依頼がバンバン来て、パンクしそうだとスタッフから連絡を貰い事務所に行ったら、凄い事になっていた!と告げた 神野はまさかそんなに早く仕事の依頼が在るなんて想いもしてなくて……… 「済まなかった………」と只管小鳥遊に謝った 小鳥遊は『北海道の観光大使の仕事まで来てるんですよ!』と怒る 本当に恐るべし【R&R】…………だった 小鳥遊は『今貴方何処にいるんですか?』と問い掛けた 「俺?俺は飛鳥井に皆が集まるから行くって言ったやんか!だから飛鳥井にいる!」 『なら飛鳥井に行くので少し時間を貰って下さい!』 そう言い小鳥遊は飛鳥井へと急いで向かった 一生が「小鳥遊来るんだな、なら迎えに行くわ!」と言い立ち上がると玄関へ向かった 神野は「まさか………こんなに早く反応があるなんて………」と唖然として呟いた 「今は何処も不景気だからね、活力源になれる存在がいるならば、投入したいと想うのは当然ね!」 烈が言うと竜馬も「そうっすね!スキーウェアーのCMとか来そうっすね!」と笑って言う 一生が小鳥遊を連れて客間に来ると、即座にノートPCを開いて、仕事の依頼の多さを見せた 竜馬はその中からスキーウェアーの会社からのCM依頼を目にして 「あ、やはり目をつけるっすね!」と謂う 小鳥遊は「烈、どの仕事が隼人に合ってるか、選別に協力お願いします! そして欲を謂うなら、撮影に付き合って貰えますか?」と謂う 「仕事の選別はしても良いわ! でも撮影には立ち会えないわ!」 「え?寒い場所は駄目でしたか?」 「ボクと行く方が命の危険度が上がるからね!」 烈が謂うと竜馬は秋田での雪崩の話をした アレは仕組まれた雪崩で、飛鳥井の家族を狙ったモノだと伝えた 「それにボク忙し過ぎて年末ギリギリまで入院してたのよ! 秋田には静養の為に行ったのよ! 其処で雪崩起こされてマスコミがわんさかと来たからね、帰って来たのよ そんなボクが付き添う方が危険度が上がるから遠慮したいのよ! しかも今年の年末年始は榊原の祖父母は呼ばなかったのよ 其処まで念入りに警戒して……あれだからね」 烈が言うと真矢は「烈に連絡取れないし、年末に飛鳥井へ行っても音信不通で………心配してました!」と烈を抱き締めて言う 清四郎も「飛鳥井の家族とも連絡が取れなくてね どうしたんだろ?と心配していたんだ 烈は康太と同じで危険が迫ってくると………私達と距離を取るからね 今回もそれだと想ったんだよ………」と悲しそうに言う 小鳥遊は言葉もなかった 竜馬はじぃーっとPCの画面を見ていた 「烈、スキーウェアーのCM、手掛けてやったら?」 「コンテまでならね」 「なら【R&R】投入して映像作ったら? オリヴァーが自然が綺麗に映るカメラの精度上げたと言ってたから試運転したいんだよ!」 「そう、なら皆を招集し指示は出すわ ボクはあくまでも現地には行かない!」 「それで良いっす! 温泉宿借り切ったら、温泉入って楽しむっす!」 竜馬が言うと阿賀屋が 「なら俺は温泉宿で待機しててやる!」と言い出した 鷹司も「おっ!それはよいな!儂も待機組に入れてくれ!」とノリノリだった 神威は「雪の有る内にやらねぇと、雪が解けたら来シーズンまで待たねぇと仕事にならねぇぞ! 早くしろ!儂も温泉に行きてぇからな!」と謂う 竜馬も「雪のある内で、尚且つ2月上旬までにお願いしますね!」と謂う 烈はPCの画面を見て怪しそうな仕事は警戒しながら選別をする 「出版社のスキー特集とスキーウェアー、合体させて撮影朝から一日で終わらせたいわね! 今回の連休、金曜の夜移動で土日と月曜入れたら撮影に3日は使えるからね、その時にあらかた片付けてしまいたいからね!」 烈が言うと小鳥遊が「掛け合うよ!」と言った 須賀と柘植は羨ましく、それを見て自分とこのタレントも何故売り込まなかったのか………と残念がった 烈は「ボクは指示とコンテまでだがら! 現場に痕跡解れば仕掛けられるからね!」と線引きする 小鳥遊は「解っています!本当にご迷惑は掛けない様にします!」と謝罪した 「逆にボクが行けばご迷惑になるのよ! だから気にしないで! それに今は本当にボクの周りにいるだけで、危ないのよ!」 そう言い烈は考え込んだ 神野はまた距離を取られると想い 「俺等はまた距離を取られるとか嫌だぞ!」と訴えた 「やる事があるから距離は取らないわ! 距離取る気なら新春から対談なんてしないわよ あ、最近………笙パッとした仕事ないんでしょ? なら笙、我空、篁とかコミコミで滑らせたら? 最近は冬だと言うのにそんな番組もないからね 頑張ってみたら? あ、番組とかはボク達【R&R】はノータッチでお願いね! ボク等までコミコミは困るのよ!」 小鳥遊は「解ってます!スキーの番組か、テレビ局のプロデューサーに聞いてみます!」と謂う 烈は「そのプロデュサーが【R&R】コミコミでと言って来ても絶対に断ってね!」と釘を刺す 神野は「当たり前だ!」と謂う 相賀が「そんな図々しい事を抜かせば、叩かれマスコミに売られテレビ局も窮地に追いやられる 特に今は………コンプラに神経質になっているから………大丈夫だと想う」と言った テレビ局はタレントのスキャンダルを発端に、いろんな場所に飛び火して大変な事になっていた 今 下手な動きしたら本当にトドメを刺されてしまうだろう………… 須賀も柘植も頷いていた 烈は「ならば【R&R】を招集するわ!雪と大自然をいかに料理出来るか、カメラの試運転ね!」と謂う 竜馬も「旅館貸切るっすか?【R&R】へのギャラは旅館貸切と飛鳥井の家族や諸々の宿泊費で手を打つっす!」とちゃっかり謂う 小鳥遊は「了解!スキーウェアーの会社と出版社と話をつけ直ぐに動くとするよ!」と謂う 烈は「おーちゃん、テレビ局の人に知り合いいるならさ、往年の榊 清四郎と榊原真矢夫妻のスキーの腕前とか撮らせたら? それプラスして笙も出しちゃって親子で滑るシーンとか映しちゃったら?」と提案する 相賀は目尻を下げて「それ良いね!旅行番組に売り込んでみようかな?」と謂う 「ばぁたんの温泉の風景も撮ったら? 本当に年を感じさせない肌の艶してるのよ 同年代の憧れの的のばぁたんだから、艶々見せたいのよね バスタオルで隠して入る風景とかどう?」 相賀は困った顔をして 「それは真矢次第だよ……」と謂う 真矢は「年寄りの入浴風景なんて公害なだけよ」と謂う 烈は怒り「何謂うの!ばぁたん! ばぁたんは美しいわよ! 年輪を重ねて今を積み重ねた美しさがあるのよ! だから同年代の女性は、ばぁたんの等身大の姿に憧れるのよ! 会社の食堂のおばちゃん達は皆、榊原真矢は作られた美しさじゃない! 女優として生きた積み重ねと、日々生きた積み重ねが見られる等身大の美しさが在る女優さんだと褒めてくれるのよ! ボクが孫だって分かる前から言ってたからね 本当に榊原真矢に憧れ、幾つになっても美しく在りたい!とばぁたんのCMの化粧品をお小遣いを貯めて買って使ってるのよ!」と謂う 真矢はその言葉に嬉しくなって涙していた そして「あ~そう言えば私………エステとか最近行ってないじゃない!」とボヤいた 神野は「え?女優さんって常にエステとかヒアルロン酸打ってるんじゃないの?」と謂う 清四郎は「本当に真矢は着飾らないんだよ! そりゃ式典や何かあればエステに行き整えるけどね、ヒアルロン酸とか痛いのは論外な人なんだよ!」と謂う 相賀は「そうだね、真矢さんは本当に着飾らない等身大の女優だからね」と謂う 柘植は「どうしたらそんな体型維持出来てるんですか?」と問い掛けた 歳を重ねれば重力に負ける 何処もかしこも……重力に負けるのだ 柘植も最近運動不足が祟ってジム通いを始めた 烈が何も言わず……お腹の脂肪を摘んだからだ……… 幸せ太りしちゃった 愛する妻と子に美味しい料理を振る舞い……自分も太った 我が子は離乳食の真っ只中で、料理に拘り作り続けているのだ 妻の真紀は出産後、職場復帰した 今は総合病院は辞めて、飛鳥井記念病院にいる 医療ビルが建ったら、その病院の外科、産婦人科の医師になるのだった その為の調整をする為に飛鳥井記念病院に移ったのだった 忙しい夫婦に代わって、柘植の両親が孫の面倒を良く見てくれている ボツ交渉だった親とは………孫が生まれた日に烈が連絡を取り呼び出してくれたのだった 両親は孫を産んでくれた嫁に対して、感謝の言葉を口にして労り大切にしている 烈が「ならさ、青森から出て来て息子夫婦と孫の傍に越して来たら?  雪も深いし、何かと不便だから故郷を捨てるんじゃなく、故郷を恨みたくないなら距離を取ったら?」と謂う言葉に……年老いた両親は限界を感じていて………都会へやって来て生活を始めた 豪雪地帯に住む柘植の両親にとって年老いた体に雪下ろしや雪かきは日々が辛かった 年々人が減り………雪の重さで軋む家鳴りに怯える日々は愛した地さえ恨みたくなった だからこそ家を売り、田畑を売り、倅の近くにやって来た 両親は孫が熱を出したら仕事を休んでくれたりと、何かと協力してくれいる 両親は普段は生活の為に飛鳥井の会社の掃除をしていた それを朝早くから昼までする 嫁の真紀とも仲は良好で、真紀も柘植の両親は大切にしてくれている 烈の計らいで飛鳥井の家族向け社宅に入り、自分達の生活は自分達で回していた 真紀の両親とも仲良くしてくれ、両家は協力し合いサポートしてくれていた 柘植は最初、両親を養うのは容易いと想っていた が、蓋を開けたら両親は就職先も探し、家も烈の計らいで社宅に入り、息子とは程よい距離の生活を始めていた 益々、柘植は烈に感謝をした 感謝をしても足りない…… だからこそ、どんな協力だって惜しまない! そしてやはり真矢の歳を重ねても老いを感じさせない姿は興味津々だった 真矢は「私は普段は特別に何もしてないわ! 女優じゃない私は孫達の為に在るんですもの!」 とそう言い笑う真矢は美しかった だから烈がコッソリと 「ばぁたんには毎日のトレーニングのメニュー渡してあるのよ! 【R&R】には専属のトレーナーいるでしょ? 鳳城由香里と謂う鬼のトレーナーがね 柘植も由香里に、そのポッコリお腹の時に扱かれたじゃない! それをばぁたんは毎日やってるのよ 由香里とZoomで話して定期的にメニューを変える! 由香里はその時のばぁたんの体調やリズムを計算してメニューを組むのよ!」と教える 柘植は「ならば私も授業料払ってメニューを出して貰い鍛え続けます!」と心に決め言葉にする 相賀は「話が脱線したね、ならばテレビ局の方には話してみるよ!」と謂う 「じぃたんとばぁたんは凄く綺麗に滑るのよ! 是非その姿をカメラに収めて欲しいわ!」 真矢は「私と清四郎が滑れるの……何故知ってるのですか?」と烈に問い掛けた 「母しゃんが撮った写真集に載っていたの見たのよ!滑ってる時の軸のズレの無さに、かなり滑れると想ったのよ!」 烈が言うと康太が「烈はその人の立ち姿見るだけて、ある程度の力量解るかんな! 何をやるにしても体の軸のズレを見るんだよ! 正解だ!烈!この二人は伊織同様に上手いぞ!」と教えてやった 相賀は「ならば隼人のスキーの日程に被せてロケを組みましょう!」と約束してくれた 須賀も「私もスキー特番やって貰えないか?聞いてみます!」と謂う 小鳥遊はもう動く気はないのか?その場に寛ぎ話をしていた その夜は楽しく宴会へと突入して、翌朝早く皆帰って行った 1月6日 仕事初めの日 烈は朝早く飛鳥井の家を出て会社へと来ていた 秘書の西村達と共に、巫山戯た回答をした奴や、力不足な奴は現場へ移動となるからだ! ローテーション部署異動はまだまだ続いていた その社員の本質を視て他部署へと回す そして色んな部署を知り、会社を知る 飛鳥井は女性社員だとて容赦なく現場へ回す そして現場を知り戻って来た社員は戦力となるが、現場と謂う所に女を出して優遇されようとする社員は挫折して辞めるしか無かった 現場は男女関係なく、厳しい怒号が飛び交う ナヨナヨしてたら即座に還れ!と言われるのだ 最初は辞めようと心が折れる子もいれば、辞めたら食えない現実に踏ん張り仕事を覚えようとする子もいる 其処で篩に掛けられ選別されて行くのだ そして烈は容赦なく篩にかけるのだった 現場へ行く社員 他部署へ行く社員 其れ等を作成したのをコピーして三階の入口に貼り出す そして全社員分コピーした用紙を入口に置く エレベーターで上がって来た社員は、出勤早々それを目にする訳だった 部署移動の張り紙の中には 「一色和正は広報宣伝部 水野千秋は電算室へ ローテーション部署異動終了となる!」と書いてあった 朝 3階に来た一色は、この前話した通りの部署異動の告示に気を引き締めた 最近は恋人の水野とか別々に出勤していた 一色は車で、水野は交通機関を使い出勤していた 水野も少し遅れて出勤して告示の紙を目にする 社長の榊原がやって来ると告示の紙を目にして 「明けましておめでとう御座います 今日から仕事始めとなります! 皆さんはこの告示の様に部署異動をお願いします! それでは気を引き締めて、引き継ぎをして今日は、半日で仕事始めとさせて戴きます!」 と言葉にした もう文句を謂う人間はいなかった 辞める気のヤツは、文句を言っても通らないのを理解しているから、資格を取ったら辞める気でいる者や、辞めずに踏ん張ってやると資格を取ろうとする者やまちまちだったが、皆 大人しく移動部署へ向かった 対した混乱もなく仕事初めの日は迎えられた その日から何事もなく日々は過ぎて行った 兄達は地下駐車場から直通で兄達の仕事部屋へ直行して、其処で宗右衛門の指導の事をしていた 部署を回るのは辞めていた 烈も今は各部署を回る事はなかった 正月休みも終わり日常へ戻った1月7日  三連休に突入する前に 烈は銘を配置する為に、退院させてた銘を菩提寺へと連れて行った 三連休は隼人の撮影を入れ【R&R】の皆を招集したから強行軍でも仕方がなかった 烈は保養施設3階に四龍の兄弟や、金龍 銀龍 虹龍と次代の四龍と康太を集めた 烈は銘を横に座らせて 「やっと退院したから頬を引っぱ叩き、名前を変えて、再出発となりました! 人の世の名前と魔界名共に明咲(めいさ)と呼ばせます! 本来の名をガラッと変えても違和感を残すから、基本ベースは崩さずに運気を詠み着けました 貴方は虹龍の母として、明るく強く強かに咲き誇り己に誇りなさい! 其れこそが貴方の生きる指針となるでしょう!」と命名の紙を出して謂う 康太は「明咲か、良い名だ!己の人生に悔いを残さず明るい未来に咲き誇り、倅にも誉れる人生を送りやがれ!」と言った 明咲と名付けられた銘は皆々に深々と頭を下げ 「御迷惑をお掛け致しました! 少し前の私は身も心も痩せ細り………この世から消える事ばかりに囚われていました でも今は違う………もっと強く強かになり………魔界へ戻れるまで武術を習い己を鍛えて行こうと想っています!」と言葉を紡ぎ出した 烈は「貴方の生んだ子は未熟児過ぎて………まだ卵の中にいるわ! でも必ずや生まれてくれるけど、あの子達は貴方には渡せないのよ!」と謂うと明咲は驚いた顔で烈を見た 「あの子…………生きているのですか?」 「生きてるわ、そして今は眠ってるわ もう少し安定したら卵から生まれくれるそうよ そしたらボクが引き取り、ボクが育てると決めてるのよ! あの子達は飛鳥井の礎に組み込み、1000年続く果てに繋げ、転生を繰り返し生きて行く事になります! 恵方と竜胆、次代の選出をせねばと想っていたけど、思わぬ所から現れてくれたので、礎に入れました! まぁ貴方達は我が子を捨てた様なモノだから、ペナルティで鱗艶が成人になるまでは会えなくなるけど仕方ないわよね!」 烈が謂うと榊原が「それも止む無しですね! 生きている事さえ知らなかったんでしょうから…… しかし烈……父に解りやすく話して下さい! 一つの卵に2体存在する龍の卵など………私は知り得ませんよ? 魔界の龍は多産で一度に卵を何個も産みますが………一つの卵に2体とは………前代未聞の出来事です!」と問い掛けた 榊原は烈が卵を回収した時【達】と言っていたから予感はあった 予感はあったが………そんな龍など聞いた事などないのだ 金龍も「一つの卵で双児なのか!」と驚いていた 銀龍も「そんな龍など聞いた事さえ有りません……」と不安げに話した 黒龍も「龍の双児など………前代未聞で聞いた事さえない!」と話した 銀龍は「話して下され!」と頼み込んだ 康太は「話してやれ!烈!」と言った 烈は「母しゃんは………理解しているのでしょ? ボクがあの子達と言った時には………」と聞く 康太は「あ~何となくな!だからそれを話してやれ!」と謂う 烈は「此処では話せないわ!命狙われてるのに、消されたら果か狂うからね!」と謂う 榊原は「ならば何処で話しますか?」と問い掛けた 烈は立ち上がると「其れでは着いて来て下さい!」と言い保養施設を出て行った 皆も後を追う 菩提寺の本殿の中へ歩を進め、皆は儀式の間に行くのかと想っていた ズンズン歩いて行き、関係者以外立ち入り禁止の扉を鍵を使い開ける 烈はジャラジャラ鍵の束をサコッシュの中から取り出していた 「早く入って!」と謂れ皆を扉の中へ入ると施錠した 長い廊下があるたけの簡素な廊下なのに、何故にこんなに秘密裏に隠されて施錠されてるの?と言った感じの廊下を歩いて行く そして何個か扉を開けて施錠を繰り返す そして牢屋がある方でない廊下を歩いて行き鍵を開けた すると其処には立派な応接室にソファーが並んていた 烈は「早く入って!」と謂う 皆慌てて入ると烈は鍵を掛けた 烈はスタスタ歩いて行きソファーに座った そして座るなり「茶は出ないわよ!」と謂う 榊原は「茶はどうでも良いので【達】の説明お願いします!」と謂う 烈は静かに話し始めた 「龍族が魔界へ渡った頃、魔界は皇帝閻魔が統治して直ぐに始まった天魔戦争も終結直後の頃だった 神々の数を減らし魔界は日々血に染まり数を減らして行っていたそんな世界に終止符が打たれた頃、龍族が魔界へ渡って来たのよ 神々が減った魔界だからこそ、龍族は迎え入れられた 元は地獄界にいた龍が、魔界へ来て龍族を纏め上げた、それが始まりの神祖の龍だった 神祖が妻を娶り天龍 金龍 黄龍 白龍 応龍 鮫龍 紅龍 水龍等を生み出し、其れ等が交わり色んな色の龍を生み出した 神祖の龍は龍族が今世途絶えるのを知っていた そして金龍が倅を殺して………自害して……… 黒龍が…………禁足地で……父の跡を追う未来を……… 閻魔大魔王様に告げたのよ えんちゃんはボクと星読みの婆婆とで、神祖の言葉と真意を聞く為に【語と寄せの義】をしたのよ まぁその術は婆婆も命懸けなら、ボクも命懸けだった その時のボクは金ちゃんに殺される運命有ったし、少し無理しても道を正さなきゃ!と無理して神祖 龍神と対話して真意と言葉を聞いたのよ 龍神は謂ったわ【今世龍族は途絶える運命だ!】とね!」 皆は言葉もなく聞いていた 康太は知っていたのか?顔色一つ変えてはいなかった 黒龍は康太に「お前は知っていたのか?」と問い掛けた 康太は「オレに聞くな、烈関係はオレは何一つ知る事はねぇんだよ! でも………龍族が近い内に途絶えるのは……金龍視てて解った…… 龍族の終焉する未来が視えたかんな! だからオレはゴリ押しで青龍と結婚を認めさせる事で捻じ曲げ様としちまったんだよ…… 説得とか言葉が通じねぇヤツに解らせるのは面倒だから………それが金龍を悩ませて……… 我が子を殺されかけた……… もぉな………この世の総て消えちまえ!そう想ったぜオレは…………烈が死んだら………間違いなく全てを消していた 宗右衛門を欠かせて1000年続く果てなんか皆無だからな!」 と、辛そうに言葉を吐き出した 榊原は知っていたのか…………何も謂わなかった 烈は「続き話して良いかしら?」と問い掛けた 黒龍は「済まない……取り乱した!続きを頼む!」と言葉にした 「龍神は黒龍の果てを気にしていた そして黒龍の命を繋ぐから、龍族の果てを繋げてくれ!と頼まれたのよ 黒龍こそが………龍族を果てへ導ける存在にしてくれる!と神祖は頼み事をした ボクはそれを頼まれたのよ! だからこそ、龍族を繋げる必要があった 神祖としての己の魂が消滅するかも知れないと解っていて黒龍の命を導いたのだからね! だからこそ金ちゃんを人の世で鍛えさせ、魔界へ帰還したら武術の師範になれる位鍛え上げると決めたのよ そして黒ちゃんもこの機会に人の世に置いて鍛え上げた 神祖に報いる為に頑張ったのよ そしたら長を継いだ黒ちゃんの運命は変わったのよ! 魔界の運命を背負わせちゃうから、ボクは必死に黒ちゃんのサポートに当たったわ そして満を持して黒ちゃんを婚姻させたのよ 黒ちゃんはボクの期待通りに次代の鳳凰を妻に孕ませてくれた 龍族の終焉を迎えるかも知れぬを時だからこそ、神祖は最期の力を振り絞り如意宝珠をえんちゃんに託し輪廻の道へと辿られた そして輪廻転生の腹として選ばれたのは………力をなくしても強い力を秘める元女神の腹の中 そうよ、明咲は神祖 龍神を孕んたのよ! そして神祖 龍神は力が強過ぎて、やはり分割しないと生態系すら壊してしまう……… だから双児で誕生された! 此れが全ての話よ! そしてあの子達はこの先、鱗艶が成人になられるまで人の世で暮らされる まぁ透明たから鱗艶を知るのは至難の業だけど、まぁ鱗は解ると言うからね 飛鳥井の礎に入れ、この先1000年は飛鳥井で転生を繰り返されるのよ 次代の竜胆 恵方としてね!」 全てを聞いて康太と榊原は深々と頭を下げ 康太は「誠 見事な采配に御座います!」と謂った 榊原も「ならば、その子達は飛鳥井の家でちっこいの達と切磋琢磨して逝かれるのですね!  飛鳥井も1000年続く果てへ逝かねばなりません!この事は家族に知らせても大丈夫ですか?」と問い掛けた 康太は「あぁ、もう覆りもしない果てへと結ばれた!この運命は誰も妨害など出来はしない盤上へ上げられた事となる!」と言葉にした 烈は「総ては決められし理なり! 子供の頃の教えが果ての人生に影響を及ぼすのは、人も神も同じ事! なのでこの先彼等は学ばれ経験を積まれ、何時か魔界へ還られる! その時はちぃちゃん、明咲、二人は虹とその子達の親になりなさい! 虹、貴方より立派な弟出来ちゃうわね!」と笑って言う 虹龍は「僕の弟達ですから切磋琢磨して行きます!」と笑った その顔は………地龍に良く似た顔だった 烈は「あの子達の存在は………凄く邪魔な存在にしかならない! だから………公には言えないから【眼】の存在気にしないと話せなかったのよ!」と謂う 金龍は「此処ならば【眼】は追えぬのですか?」と問い掛けた 康太は「細工が至る所にしてあるかんな!入るのは無理だろ! 例え【眼】だとしても弾き返してしまう そんな細工がしてあるんだよ!此処には! 流石 宗右衛門だな、菩提寺の地下にこんな細工がしてあるなんてな!」と謂う 烈は「元々は恵方が作らせた地下の書物庫だったのよ! 禁断の書物とか置いてあったのよ! それを態々閉じて消したのは元菩提寺の僧侶だったヤツだからね それが今世、墓を移動させた事で発見出来たのよ それをボクがこの機会だから完全なモノにして長くして道を分けたのよ! あ、ちなみに反対側の廊下を行くと、牢屋もあるのよ! 其処に初めて入ったのは門倉仁志だったのよ」と言う 「アイツ此処の牢屋に入ってたのか! そりゃ足跡消して死んだ事に出来るってもんだな!」 と康太は爆笑していた 一生は驚いた顔をしていた 康太は今現在の警戒せねばならぬ状況を鑑みて 「烈………紅花は………隠されてはどうだ? この先何かあれは……お前の果てが狂う事態も予想しねぇとならねぇだろ?」と現実を口にした 「そうなのよ!母しゃん! でも地獄界へは還らせられないのよ……… 黒ちゃんが大切にしてくれない場所へ送る理由がないからね!」と言う 「あぁ、鳳凰を産まなかったから迫害されて前世の紅花は自害したんだったな…… それ以来嫁に出さぬと決めた龍王の家で使用人に冷遇されて過ごされたのだったら、地獄界へは行かせられねぇよな! なら考えねぇとならねぇな………」 「近い内に魔界から一陽を呼び寄せて、黒ちゃんの代わりをさせようと思ってるのよ!」 「なら一族の中から紅花に似たのを選出してやんよ!」 「そしたら気を纏わせて本人ソックリに弥勒がしてくれるから!」 「それは良いな、元門倉は人の世で暮らさせて大丈夫なのか?」 「年末にね、ボクが入院してる間に八仙とじぃさんと大歳神が、神髄師に一陽を施術させて別人に変えてくれたみたいなのよ 本当ならボクも立ち会う予定だったけど、体調崩していたから、やってくれたのよ 当分は菩提寺で仕事させて、バイク便の方の仕事させようと考えていたのね! でも容姿を変えたから、運命変わったから飛鳥井はちっこいちの増えるし世話役させようと思ってるのよ!」 「おっ!それならまずはオレ達に逢わせてくれよ!オレが許可したら家族に会わせ仕事をさせる それで良いか?」 「ええ、それで良いわ! で、此れからが本題、一陽たんに黒ちゃんの代わりをやって貰い、弥勒が術をかけるわ その間に父しゃんと母しゃんはこの二人をあまちゃんに桃源郷近くのお師匠達の屋敷に飛ばして貰って、連れて行って下さい! 金ちゃん達は暫くは魔界と人の世の往復になるわ! その方が警戒されずに済むからね! 銀ちゃんは黒ちゃんの方へ一緒に行って手助けしてやって欲しいのよ そして生まれたならは、桃源郷近くの場所にはあまちゃんが皆を送ってくれるから会いに行くのよ! 決して気配は感じさせないで、普通の生活を送るのよ! 黒ちゃんはお師匠が直々に鍛えるそうだから、頑張るのよ!」 烈が言うと康太は 「其処までしねぇと………出産出来ねぇって事なのか?」と問い掛けた 「そうよ、星詠の婆婆がそう告げた! そして釈迦が惰眠を貪っていた時に夢を見た それは現実になるやも知れぬから警告を告げた! だから明咲を鍛え、ちぃちゃんと二人で虹を護らせ暮らさせると決めた 金ちゃん 貴方は兄から透明な龍の話を聞いたんでしょ? その時何と聞いたの?」と金龍に問い掛けた

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