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第26話 虎視眈々と ❹

竜馬が訪ねるとスーが 「そりゃ、イギリスのトップがドゥバイの王が倭の国へ行った時から始まった内乱について、聞きに来て、是非ともその内乱を収める架け橋になってくれへんか?的に来るに決まってますがな!」と言う ルーが「取り敢えず受け入れたのは良いが、流れ弾は此方まで来るのは避けたいからな 烈がいるならアドバイス貰い、駄目ならドゥバイ王と懇意な康太さん訪ねる気だろ!」と言う クーは「真贋を訪ねたとしても、あの人は動きはしない!世界のバランスを崩すならば………その時は粛清の為だけに動く そしたら………中東諸国は焼け野原になりそうだな!」とボヤく スーは「ならば象徴の建物位で終わらせてくれる烈の方がマシやと想うやろが!」と究極の選択を口にする オリヴァーは「何て物騒な事言ってるのさ!この猫達は!!」とボヤいた 竜馬は「なら俺も寝るとするかな!ほらほらクー達も寝るよ、皆も部屋へ行きなよ!」と言う メンバーは仕方なく自分たちの部屋へと向かった その夜 遅く帰宅した兵藤御一行は、お子様の烈は寝てる時間だと判断し、何時も借りてる竜馬の部屋へと行き寝る事にした 両親は竜馬の部屋のセカンドベッドルームで寝る事にした 美緒は着物を脱ぐと、綺麗に畳み畳紙に包んだ 帯や小物も和紙に包み、髪飾りは消毒して、巾着に入れ着物と一緒に風呂敷で包んだ そして風呂に入り一息着く 美緒が出ると昭一郎も風呂に入り、その晩は疲れ果て眠りに着いた 翌朝 兵藤は両親と共に烈の部屋を訪ねた 烈は不機嫌にソファーに座っていた オブライエン家から朝の準備が運び込まれ、給仕される メンバーはカウンターに座り朝を食べていた 烈はソファーに座ってPCを見たまま不機嫌な雰囲気を垂れ流しにして朝を食べていた クー ルー スーも朝を食べる 兵藤は竜馬に「烈どうしたのよ?」と尋ねた 竜馬は「まぁ色々な思惑が発動しそうで、朝からずっと不機嫌なんすよ!」と話す 「思惑?それはどんな?」 「まぁそれは盛大な思惑らしいっす!」 PCの画面から目を離さなかった烈は突然 「あ~!もぉ~!」と言い朝を食べる終わると自分の部屋に行ってしまった そして暫くすると正装してナイトの称号を着けて現れた 竜馬がヘアオイルを塗り寝癖を直す 「俺も着た方が良いっすか?」 「りゅーまは良いわ!あまり顔を売りたい相手じゃないから!」と言う そう言い支度を整えると、また不機嫌にPCの画面を見ていた 「クーたん爆発物ないわよね?」 「時計塔の魔術師が護ってるから大丈夫だろ? 魔道士と魔術師が勢揃いしてるみたいだし! 特別ゲストも天空で見張っててくれるから大丈夫だろ?」 「なら良いけど、変なの持ってそうなら時空に飛ばして!」 ルーとスーは「了解!」「やねん!」と謂う 暫くすると1階のインターフォンが来客を知らせた カメラを作動させた竜馬は 「何方ですか?」と問い掛けた カメラには男が3人立っていた その後ろには護衛らしい存在もいた 「英国首相 クロアチーノと申します! 右隣にいるのはドゥバイ大使館の者に御座います!どうか、御目通りを!」と謂う 竜馬は烈を見た 烈は頷いた 烈の猫達はその場から姿を消した 竜馬がエレベーターを作動させ来客を最上階まで案内する 最上階へ着いたなら、竜馬は烈の部屋に案内する予定だった 暫くして英国首相とドゥバイ大使館の者がやって来た 烈は横目で三人を見るが立ち上がろうともしなかった 英国首相は烈の腰付近にあるナイトの称号に目をやり、深々と頭を下げた 烈は「話は何かしら?ボクも暇じゃないのよ!」と謂う ドゥバイ大使館の者は烈に 「どうか……知恵を授けては下さいませんか?」と言葉にした 「授ける知恵なんてないわよ!」 付け入る隙もなく烈は言葉にする ドゥバイ大使館の者は 「預言者は貴方を怒らせたから、謝罪をする為に王を倭の国まで逝かせとか? ならば今の現状は………貴方の仕業ですか?」 と嫌味臭く謂う奴がいた 「それはそちらの国の預言者が王がいたら邪魔だから、体の良い謝罪相手を見つけたんでしょ! ボクが今の現状を作り出してるって、本気で思ってるの? だとしたらあまりにも巫山戯過ぎた発言ね 感化できないわ! 別にボク、ドゥバイがどうなろうと知った事じゃないし、貴方達の国の馬鹿なハッカー集団が飛鳥井を狙ったけど、消し去らずにいてやったのに………本当に腹が立つ!」 ドゥバイ大使館の男達は眉を顰め納得が行かない顔をしていた 「貴方、ドゥバイ大使館の職員なんて大層な役職振りかざしてるけど、アッツラー神国が仕込ませた間者の癖に!」 「なっ!!何を根拠に!!」と男は怒鳴る 「アッツラーの神なんて本当にいると想ってるの? アッツラー神国なんてアッツラーの神を信仰してる気でいるけど、貴方達がやってるのは無差別殺人よ!テロ集団でしかないじゃない! 神が人を殺せ!と指示したとでも謂うのかしら? だとしたらそれは神ではなく悪魔よ!」 フンッと鼻を鳴らして吐き捨てた 男達は興奮して怒りに満ち溢れると、息を荒くして顔を真っ赤にした そして怒りが頂点に達すると、目から血が流れ…… 英国首相は何が起きたんだ??と焦って見ていた 「我等は神の為にこの命を捧げる! 此れは聖なる粛清の証! 此れは穢れた存在を火刑に処さねばならぬ大義!此れはあの方に報いる善行であり大義である!」 何処かで聞いた事のある台詞を吐いて、目は完全に白目で血の涙を流す 烈は「白の教団とか謂うのと根っこは一緒だったりして!」と謂うと英国首相は顔色を変えた 男達が呪文を唱えている所に、オーディーンが姿を現し 「またクソ面倒な事に巻き込まれておるな!烈!」と言った 「オーディーン、其奴等元ジャンヌ・ダルクのやってた教団と繋がりあるかもね! ボクを殺そうとしていた奴と同じ台詞吐いていたからね!」 「因みにそれはどんな台詞じゃ?」 「『此れは聖なる粛清の証! 此れは穢れた存在を火刑に処さねばならぬ大義!此れはあの方に報いる善行であり大義である!』 この台詞を言ってた女も白目を剥いて淀を垂らしていたわ!」 オーディーンは男達を捕らえて、ラグナロクの戦士に引き渡すと、ドカッとソファーに座った 「あの教団は枝分かれしている 全容解明は多分至難の業じゃわ!」 「でしょうね、まぁこのマンションで自爆しないでくれて助かったわ!」 「天空に儂がおるのを知っておって謂うでない! 主に危害を加えるならば、即座に排除する! それは今も徹底されておるのじゃよ!」 「オーディーン!そろそろ粛清の時かもね! 神を恐れぬ者達には鉄槌を下してやるしかないわ! それならボクとレイたん込みで出るわ! どうせ炎帝は出ないわよ! まぁ皇帝炎帝が出る時は………最終決戦の時よ! その覚悟なければ駆り出さない事ね!」 「あやつは本当に気が短い! 面倒だと確実に全焼にしそうではないか!」 「まぁ母しゃんが駆り出されない世界は平和だと想うわよ!」 「ふむ…………それで手を打つしかあるまい! ならば近い内に………アラブ首長国連邦と対談を頼む!」 「嫌よ!アラブのむさ苦しいヤツとか嫌いなのよ!」 「そう申すでない………」 オーディーンは困っていた 「それよりオーディーン、カラフ・ジャッジムに預言の言葉を聞かせたヤツ、探らせて!」 「その真意は?」 「多分だけど、洗脳受けてるか、傀儡だわよ! 駒なのに変わりはないからね だからボクは直接に逢いたくないのよ! 半径一メール範囲内に来られたら自爆かブスッとやられそうじゃない! 倭の国では大使館の横のホテル爆破されたし、用心の為にトキたん呼んてなかったから死んでたわよ!」 「ふむ……ならば洗脳を解く方が先決か?」 「其れじゃ遅いわよ! アッツラー神国………消し去ってやるわよ そして神に手を届かせようとした奴は、粛清の雷鎚を落としてやらなきゃ! 天空神 三神に申して、創造神と話をするつもりよ!」 「まぁアッツラー神国なる者は血で血を洗う闘いをし過ぎた………仕方なかろう!」 「神々を集結させなさいよ! そして神々の数を把握しなさいよ! どれだけ消されて吸収されてるか? このチャンスに数合わせして、増やす方向で話さないとね!」 オーディーンは「やれやれ、其れでは行って来るとするかのぉ〜」と立ち上がった 「オーディーン、英国首相を送り届けなさいよ!」 「承知した!」 そう言いオーディーンはヒョイッと英国首相を担ぎ上げると、ベランダに出て、呼び寄せた馬車に飛び乗り消えて行った 烈は「あ~クソ胸糞悪い!」と吐き捨てた メンバーは言葉もなかった 目の前で繰り広げられてるのは現実なのか?と想った 兵藤と美緒と昭一郎は、何となく烈の不機嫌な原因が解って、やはり言葉もなかった 烈はソファーにでろ~んとなり、竜馬が 「着替えて来るっす!」と謂うが 「そんな気力残ってないのよ! もぉ嫌よ、動かないから!」とダダを捏ねる 竜馬が烈を小脇に掛かると、寝室へ連れて行った そして寝室で「さぁ脱ぐっす!」と謂う 烈は「りゅーま、その言葉卑猥よ!」と言いつつ正装を脱いだ 竜馬はナイトの勲章をケースに入れ、Yシャツはリネンの籠に入れ、正装はハンガーに吊るしてクローゼットに戻した 烈はジャージに着替えるとリビングに戻った 烈は兵藤に「兵藤きゅん 着替えを買いに、両親を連れて行きなさいよ! その時観光案内してあげて! 明日帰るまで一杯親孝行して水入らずの時間を送るのよ!」と謂う 兵藤は「あぁ解ってるよ!なら行くとするか?」と言い仲良く部屋を出て行った 姿を消していたクー達がソファーに座っていた メンバーは食器を洗って、テーブルを拭いていた ヘンリーは「リーダー イギリスに滞在中に撮影しようよ! 隼人のスキーウェアーのCM、YouTubeでこの短期間に一億万回以上再生されてるって、感謝を込めて事務所の方に連絡が来たよ!」と話す 「撮影なら大丈夫だけど、当初の予定は白紙に戻すしかないわね 色んな所へライブ見に行くつもりだったけど、初日で目をつけられちゃったから………無理ね また今度、日を改めて行くとするわ!」 「リーダー………」 メンバーは言葉もなかった 竜馬は「まぁ此れもご縁と謂う事で、縁があれは必ずや俺達の前に姿を現すっす!」と謂う デービッドは「それもそやな!なら撮影しよう!」と楽しそう イーサンが「此処では駄目だから、スタジオに行こうよ!」と謂うと皆立ち上がった ヘンリーは執事に連絡を入れてお迎えのバスを頼んだ バスが到着する頃を見計らい、地下駐車場へ向かいお迎えのバスを待つ そう待つ事なくバスはやって来た バスに乗ると烈は「ボク ジャージよ?」と謂う 今 着てるのはデービッドが作ってくれた機能的な布を使ったジャージだった 【R&R】のロゴ入りのジャージは、烈のお気に入りだった サムエルは「リーダーのジャージ好きはファンの間では周知だから大丈夫だよ! 今回、僕等もジャージだから!」と謂う メンバーを見てみれば、皆 ジャージを着ていた メンバーは変装して本来の姿は解らなくしてあるが………めちゃくそ腹が立つ事に……… ファッショナブルにジャージを着る……… ジャージに見えないジャージ 何よ………少し手足が長いだけなのに…… 少し身長が高いだけなのに…… 飛鳥井 烈  10歳の早春 己のパレスに打ちのめされ………苦い青春の1ページを増やした ボクだって大きくなれば負けない! 何故か?不機嫌になる烈に竜馬は 「どうしたんすか?」と尋ねた 「外人って無駄にデカくていけないわ!」と毒づく メンバーは爆笑した 烈は全体的にちまーっとしていた 成長速度は遅めで、小さ目 存在感は誰よりも負けないけど………… 少々 小さかった 其処が可愛いのに、リーダーは解っていなかった 皆笑顔でスタジオに入り撮影をする この日の放送は皆 トンプソンの【R&R】のロゴ入りのジャージだった カメラの準備をして撮影可能になると「始めるよ〜!」と竜馬が謂う カメラが回り始め烈は「こんにちは、【R&R】リーダー烈です!」と自己紹介する 「サブの竜馬です!」 「イーサンです!」「サムエルです!」「デービッドやねん!」「ダニエルです!」「ヘンリーです!」とご挨拶 そしてラストは「裏方で【R&R】を支えるオリヴァーです!」と自己紹介した 竜馬は「今回はリーダーが何よりも大好きなジャージで撮影します!」と謂う メンバーもジャージ姿だなんて……… こんな姿の撮影も珍しく、生配信の数字がどんどん伸びて行く ダニエルは「リーダーは今回は少しだけご機嫌斜めなんだよ!」と謂うとヘンリーも 「そうそう、リーダーはずっと不機嫌丸出しで………イギリスに何故井筒屋の沢庵がないんだ!と想ったよ! 井筒屋の沢庵があれば、どれだけ不機嫌でもリーダーは笑顔になるもんね!」 サムエルも「そしてやっぱご機嫌効果を持続させる為にはカニパン!カニパン渡せば泣いてても泣き止むからね!」と謂う 烈は「泣かないもん!」とムキになり謂う その幼い顔に………視聴者はきっと驚きだろう………とメンバーは想った イーサンは「この前 イベントと会社の皆で行くカニパンミュージアムの行事が重なった時 泣いてたよね? カニパンミュージアム行きたいよぉ〜って泣いてたよね?」と揶揄する 「あれは、カニパンミュージアム行きたかったんだもん!」 ヘンリーは「かに道楽の色無しバージョンのヤツ?」と問い掛ける メンバーは【そう!それだよ!】と爆笑した 他愛もない話をして、そして今回の話をする 「今回 色々と重なったから………ライブとか見に行けなかったのよね……… でもまたスケジュール調整して行きたいわ!」 烈が言うと竜馬が「今度見に行けば良いっす! 其れまでにメンバーが発掘してくれてたら嬉しいっすけどね!」とにこやかに謂う 話はオリヴァーの手掛けて開発したレンズの話になり 「スキーは大成功を収めたね! 次は海の中とか大自然相手にどの会社のカメラよりも美しく撮影出来るって証明したいね! 自然に適したレンズでさ……」 と、レンズのウンチクを話す 「桜の季節は桜撮りたい! この世のモノじゃない程に美しく撮る!」と謂う 烈は「桜の木の下には遺体が埋められてるって謂うじゃない! だからどの花より美しく咲き綻び、天晴れに散るのよ! その様はこの世のモノじゃない程に美しく魂さえ盗られちゃうわよ!」と話す メンバー全員一致で【桜】に挑戦する! そして桜でイベントやりたいね!と話す そんな感じで、何時になく気さくにリラックスして生配信をして、終えた 撮影を終えると、機材を片付け、帰りのバスを待つ お迎えのバスが来たら皆で乗り、マンションへと還った 烈達は明日 14時には空港に行き搭乗手続きをして還るつもりだった 飛行時間 15時間近くあるのだ 到着は翌日の朝7時頃になるのだ メンバーはイギリスに残り、本業を片付ける 竜馬と烈は、兵藤の家族と帰国となる 烈は「夜はオブライエン家でパーティーあるから!兵藤きゅん達は荷物持って逝かないと、そのまま明日の夕方には飛行機に乗っちゃうわよ!」と告げた 兵藤は「3泊4日って言っても半日飛行機の上だからな………」なんか損した気分だった ヘンリーが「その前に父様のパーティーに出なきゃ!」と謂う その夜はオブライエン家に招待され、パーティーのお誘いを受けた 夕方までマンションでダラダラ過ごし、オブライエン家からの迎えのバスに乗り向かう オブライエン家に到着すると、メイド達はパーティーの準備に大忙しだった 烈達は控室に通され支度をする 控室には烈とメンバー分のカクテルスーツが用意されていた 美緒は再び辻が花を着て、パーティー会場へと出席する事になった 兵藤と昭一郎も用意されたカクテルスーツを着て支度をする そして迎えるオブライエン家で開かれるパーティー 開始前にはパーティー会場には招待されたゲストが、華やかなドレスを着てバンケットルームへやって来た その中で美緒の着物姿は艶やかで、とても美しく映っていた パーティー会場にはエミリア王女とシャルロット王女も来ていた カラフ・ジャッジムとセーラ妃もその場にいた オブライエン家のバンケットルームには、錚々たる来客が参加していた 皆 チャンスとばかりに【R&R】のリーダーと話をしようと近付く が、その横にはエミリア王女がいて………不用意な事なんて言えやしなかった エミリア王女は終始にこやかに 「私もあのスキーウェアーを買いましたのよ! 今度 スキーを御一緒したいですわ!」と話す 竜馬が「リーダーはスキーはオリンピック狙えちゃう級の腕前だよ!」と話すから是非に!と謂われる クリストファー・オブライエンも妻 ロザリーも、それは是非御一緒したいわ!と話が盛り上がっていた そして営業トークもする 始終卒のない姿をカラフは見ていた 社交界の場にいても、遜色なく威風堂々した立ち振舞をしている 洗練されたトーク、濁りのない美しい英語 どれを取っても文句の付けようがない存在だった が、その視界に映される事はなく………… その徹底ぶりに畏怖さえ覚える 康太は………愛したあの子は………可愛いけど恐ろしい子だった だが………この子は只々恐ろしい……… そして目を離すと…………その場にはもういなかった エミリア王女もリーダーがいない場所に用はないとばかりに帰られたらしかった カラフはクリストファーに「烈は?」と問い掛けた 「彼はお子様だから、お子様時間の終了と共に退席されたよ!」 「一度お話の場を設けて貰えませんか?」 「それは彼が決める! 彼が会う気が在るならば、其の内逢えるでしょう!」 そう言い後は興味もないかのように離れた カラフは一縷の望みを抱いてオブライエン家のパーティーに参加したのに…… 砕かれた想いのまま項垂れた 自国の戦火は………弱まるどころか……日々熾烈に燃え上がっていた 内乱と謂うクーデターが起こり………経済は大打撃を受けた 王政派が動いてはいるが………焼け石に水だった 何時までも逃げてはいられない 英国だとて戦火の火が強くなれば、庇い切れはしないだろう………… カラフは焦っていた 預言者の言葉通りに倭の国へ行ったのに……… まさか王の留守に、反乱を起こされ………戦火に包まれるとは想ってもいなかった………… カラフ王は国民を顧みずに逃げた……呼ぼわれされるなんて………… セーラは夫に寄り添った 我が心の師でもある飛鳥井康太は我が子と会わせてくれたのに……… 謀る様な事になり合わせる顔もなかった セーラと婚姻後も、何度も何度も倭の国へお忍びで行き、お茶していたのに……… そんな穏やかな日は………もう来ない……… もう会えないんじゃないかって今は想う きっと逢ったとしても………警戒されるだろう 我等は其処までの事をしたのだ 下手したらホテルの爆撃で死んでいたかも知れない………… そしたら………まだ小さい康太の子を殺した事になるのだ……… あの子が警戒して先手を打ったから無傷でいられた………… その事があり………セーラはイギリスに助けを求めて逃げるしかなかった 戦火が強くなれば………飛び火する前に出国させられるのは解っている………… 其処までギリギリで、途方に暮れていた 此れが最後のチャンスだと想ったのに……… セーラは唇を噛み締め……項垂れる夫を支えた 立ってるだけでも…………足元がグラグラ崩れそうな想いだった 奈落の底に落とされる…… そんな想いに身震いをした そんな時、耳元で 「本当に烈に心の底から謝罪すれば戦火は収まると想ってるのか?」と問い掛けられた 何時の間にこんなに近寄られたのか? と慌てて俯いていた顔を上げると…………其処はパーティー会場ではなく………… 何処???となる場所にいた 横を見るとセーラも驚いた顔をしていた 目の前には………髭を生やした………見るからに人間離れた男性と……… やはり猫?が二足歩行で立っていた そしてその横にはシャルロット王女と交際関係になる男性が……… カラフは「此処は何処なのですか?」と問い掛けた 白黒斑な猫は「此処は天界より低く」「地上より上にある異空間と謂う所や!」と答えた 真っ白な猫は「どうするんだ?烈!」と問い掛けた オーディーンが「まぁ待たれよ!クー!」と謂う ラグナロクの戦士がカラフとセーラを取り囲む そして全身、隈無く調べる ラグナロクの戦士の一人が 「洗脳、脳を弄られた形跡 闇に染まった形跡、全てありません!」と伝えた ルーとスーも調べる そして「大丈夫!」「やで!」と答えた 「ならば、話をしましょうか? 貴方、良い様に利用されたわね! 貴方が国外へ出たら国を乗っ取る算段は、当の昔に着いていたんでしょうね!」 と、烈に先制攻撃を受けた カラフは「………私はタイミング良く内乱の罪を科されるのでしょうか?」と問い掛けた 「それで済めば御の字じゃないかしら? 何時の世も反逆の贄は王と決まっている! そして王は見せしめの為に殺される! まぁ殺され方は様々だけど、断首が定番かしら?」 とサラッと何でもない風に謂われる カラフもセーラも言葉もなかった まぁ言葉を無くして当たり前か………と兵藤は苦情した ズバズバ物事を謂う烈は何時だって容赦がない まぁ情けを掛けられないからこそ、容赦なく禍根を断とうとするのが解る 解るが……こんな一方的な話では、相手も納得も出来ないだろう 沈黙になる二人を目にして、その場に連れて来られた兵藤は助け舟を出してやるしか無かった 「そこら辺にしといてやれ! 俺が口を挟める事じゃねぇど、話は聞いてやれよ!それでお前が判断すればいい! 俺は繁雄とは違うから、全面的に康太を引き合いに出すなんて愚かな事はしねぇ………… だが何も聞かずに斬り捨てるのは違うだろ? お前とは無縁なヤツだけど、話を聞かずに判断するのは、あまりにも情け容赦ねぇってだけ謂わせてくれ! まぁお前はコイツ等が康太の知り合いだろうが、邪魔ならば斬るだろうし、本当に目障りならばこの世から禍根すら残さず消すだろう? だからそうする前に耳だけ貸してやれと言ってる!」と謂う 烈は「ボクは母しゃんの友人だろうが、親だろうが、ボクの進む道を邪魔するならは排除するのみ!それは前世も今世も変わらない! 目の前の石ころは徹底的に取り除く そうでなくば、つまらない所で蹴躓き命取りになるからね! どんな些細な障害も取り除く! それがボクの飛鳥井での死命だから!」とキッパリと口にする 烈はずーっと異空間なのにテーブルにPCを出して、画面を見ていた 兵藤は「こんな場所で繋がるのか?」と問い掛けた 「衛星通信だから繋がるわよ! だから天界よりも低い位置に異空間出したんじゃない!」 あぁ…………そう言う事ね 何処までも抜かりのない男だった 「この先 一度だけ粛清のチャンスがあるわ! どうする?その命なくなるかも……だけど行く?」 と、やはり買い物にでも行く?とでも謂う様に聞く カラフは決断しかねていた が、烈は「やらなきゃ犬死! 国の為に死ぬなら忌日は残るわよ!」と究極の選択を口にするのだ カラフは「其れしか定めはないと?」と問い掛けた PCの画面を覗いていた烈が顔を上げカラフを見る その瞳は………冷たく………情けなど微塵も残さない瞳だった 「貴方の国は神に喧嘩を売ったのよ? 一夜にして滅ぼされなかっただけでも温情だと想いなさいよ!」 「え?喧嘩など売っていません……」 ましてや神などに………売ったりはしない絶対に! 「バベルの塔やアトランティス大陸の様に、神に届く建物を………人は何故か建てようとする! 己が神に変わったと想ってるのか? 民草に目を向けす、己の権力と富を誇示して国のシンボルにして来た! だから今回 アッツラー神国なるものに内から入れ、トロイの木馬から飛び出た伏兵に不意を突かれて占領され国に戻る事さえ出来ない事態になったのよ! 多分 アッツラー神国はあの象徴が欲しいのよ! 神に変われる権力を誇示したいのよ それにはドゥバイは適任だもんね! たから象徴、雷鎚を落として崩壊させるわ! 其れが条件よ!」 「国の象徴を………壊されると申されるのか?」 「そうよ、まぁボクが壊すのが早いか? 創造神の怒りを買って、崩壊させられるのが早いか?って所だから!」 「貴方は………誰なんですか?」 「ボク?ボクは飛鳥井烈! 【R&R】のリーダーしてるから少しだけ有名な小学生よ!」 「……ただの小学生じゃ………ないでしょ?」 でなくは……こんな異空間に移動など出来はしない……… 烈はニヤッと嗤うと 「飛鳥井宗右衛門と謂う転生じゃよ! 真贋とワンセット転生して参った存在じゃよ!」と嗄れた声で言った 「転生者………」 もう何が何だか解らなかった………… 自分の置かれた現状も…………何もかもが……解らずにいた 其れと違いセーラ妃は冷静だった セーラは「歴代 女王、そして陛下となるべき存在は転生者か?そうでないか?で選ばれる 公爵家も然り………転生者が現れ家を正す……… その者達は皆 眼や耳 口など女神に与えられている………リーインカーネーションと聞きました………貴方もそれだと?」と問い掛けた 「そうじゃよ!まぁ儂の眼はニブルヘイムの眼 故、女神が与えた訳では無いが、前世の記憶を持ち、特別な眼を持つ存在 飛鳥井宗右衛門と謂う転生者じゃよ!」 「ニブルヘイムの眼………何それ! そんな物語の中の存在に眼を貰ったと嘘吹かれるのですか?」 信じられなくてわなわなと震えながらセーラ妃が言うと兵藤は 「嘘じゃねぇよ!烈の瞳はニブルヘイムから貰い、人の闇の部分を見抜く眼を持つ! そしてニブルヘイムは今 烈の傍に転生し……… 烈に失礼な事を言えばこうして飛んで来ちまうお子様だ!」と言った レイは怒りに満ちた焔を纏い姿を現した 「烈に無礼を働くなら………消しますよ!」とニブルヘイムの声で謂う カラフは「この子は?」と問い掛けた 兵藤はレイを抱き上げて 「この子は次代の真贋を継ぐ存在! そしてニブルヘイムの転生者だ! ニブルヘイムは烈の傍へ転生を果たされ、今後は飛鳥井の果てを繋ぐ真贋を継がれる者だ!」と言い、レイの顔を見ると 「レイ、無断で来たのか?」 と心配して問い掛けた 「炎帝には、ちょっと喧嘩ふっかけてきます!と言って来てます! 炎帝は『おー!行って来い!』と送り出してくれました!」 ニブルヘイムはプンプン怒っていた 「この世から消して差し上げましょうか? よくも烈を嘘つき呼ばわりしましたね!」 と怒り、霧雨を降らせた 烈は「あ~レイたん!」と言いクーにPCを避難させた クーはPCを持って姿を消した スーは「レイはん!落ち着くんや!」と宥める 「ドゥバイ、更地にしてあげましょうか? アッツラー神国共々、この世から消し去ってあげましょうか? 天界を更地にするより楽ですからね! なんと言ったって、更地にした後は放っておけば良いから、烈が苦労する必要もない!」 と怒りが収まらない風に言う 兵藤は「セーラ妃謝罪されよ! この子は本当に天界を更地にした奴等ですから………下手したら呪文一つで苦も無く消されますよ?嫌なら謝罪されよ!」と謂う セーラ妃は立ち上がるとレイに深々と頭を下げ 「申し訳御座いませんでした!お許しを……」と謝罪した 「お前等消し去るのに………労力さえ要らぬ事を忘れるな! 烈を、よくも烈を嘘つきよばわりしたな! 私はニブルヘイム、皇帝炎帝と対の力を持つ存在!それを努々忘れられる事なき様に!」と吐き捨てた 「レイたん、大丈夫だから!」 「れちゅ らって………らって……」 「後でルー達に連れ帰って貰うのよ! パスポートないからね!」 烈が言うとレイは頷いた 烈は「明日の夕方 ボクは倭の国へ帰国するわ! 貴方は直ぐに女王と連絡を取られ、各国の守護神と連絡を取りなさい! そして世界会議を開く事を伝えなさい! それしか貴方達の未来はないわ オーディーン、その下拵え手伝ってあげて!」と頼む オーディーンは「イギリスは番犬が動くじゃろう!倭の国はどうされる?」と問う 「倭の国はボクが出るわ! 帰国したら閣下を訪ねるわ! 十二天と共に聖神が総てを取り仕切り参加するわ!」 「中華圏は?主が話すか?」 「表は番犬動かしてよ! ボクは羅刹天と元始天尊に話を持って行くわ!」 「会議場はどうされる?」 「魔界で、開催するわ! チャンスは一度よ! 此れより月が欠けて行くから、其れまでに準備をして、満ちるまでが勝負だから! 月が満ちた日 世界会議は開かれる事となる!」 「承知した!ならば戻るとするか! レイは儂が元の場所へ戻すとする!」 オーディーンは愛馬を呼び寄せると、馬車にレイを乗せた そして愛馬に乗ると駆けて行った 烈は時空を元に戻した 其処はオブライエン家の烈に与えられた部屋だった 急に現れた烈達に竜馬は驚いていた 部屋にいたのは竜馬だけだった メンバーはまだパーティー会場にいる 竜馬は烈が気になり来ていたのだった クーは竜馬の顔を見るなり 「竜馬ぁ〜何か食べさせてよ! 腹減ったよ!ペコペコだぜ!」と言う 竜馬は食べ物を部屋に運ばせた 烈にはヘルシーな料理と野菜だった 竜馬は「そちらの客人は?どうするのさ?」と問い掛けた 「この人達は自分達の部屋に行くわよ!」 そう言われセーラ妃は烈に深々と頭を下げて、部屋を出て行こうとした カラフは「あの………その猫は……何故二足歩行で歩いて喋るのだ?何処で売ってるのか教えて貰えないか?」と問い掛けた 兵藤は「この猫は何処にも売ってねぇよ! 天地創造の世界を司る………創造神が烈の為に作った猫だからな! この世に四匹しかいねぇよ!」と答えてやった 「ならば、あの爆撃を受けた時にいたトリは? あんな大きさのトリは……見た事はない……」 「あのトリはオリンポス十二神の一柱 ヘルメースの聖鳥 朱鷺だ! まぁ話せば長くなるし、そんなの聞いてどうするんだよ? お前のモノにならねぇのに聞くな! 好奇心は身を滅ぼすぜ!」 「失礼しました………」 カラフは一礼して烈の部屋を出て行った 烈はそれを冷めた瞳で見ていた 兵藤は「済まなかったな烈………少し出しゃばっちまったな………」と謝罪した 烈はモリモリ野菜を食べながら 「構わないわ、あの場に連れて行ったのは、誰よりも冷静に状況を判断出来るのは、兵藤きゅんだけだと想ったからだから!」 「そう言って貰えると助かるよ」 「兵藤きゅんは、ボクが母しゃんを矢面に出されたとしても、動かない事を知ってるからね 全ては飛鳥井にとって利益になるか?ならないか?でしかボクは動かないし、動く気もない! でも………野放しに出来ないからね……… 今後 何百年とアッツラー神国なるモノに占領され、血で血を洗う闘いを幾つも起こされる より神に近い塔を手に入れればもうね…… その勢いは更に増すだろうから、頃合いでもあるのよ……… バランサーの方には天空神 三神からの声が届いてる筈よ!」 「あぁ、聞いてるし、何度も呼ばれて不穏な空気も聞かされている そしてこの先、何処に焦点を定めるかも………聞いている!」 「ドゥバイは遅かれ早かれ、一度崩壊するしかないのよ! 日々の警戒を怠ったのが悪いのよ 王たる者 何時何時どんな事態に直撃するか? 視野にいれ考えて行動すべきなのよ! 己の立場を付け狙い、国を崩壊さられる可能性があると忘れてはならないのよ! 平和ボケして見逃して、解らずに過ごしたから呆気なく嵌められたのよ! 向こうは常に手下を重要なポストに据えて、チャンスを狙っていたのだから! 飛鳥井のハッカーがドゥバイのハッカー集団だと解った時に、思いつく限りの可能性を考えたわ そして占った、占った結果………カラフは弾かれボクの目の前に来るのは解っていた 其処から始まる血腥い………戦火も予想出来たわ そして隙あればボクは殺されるのも………予想を立てていた でもボクは今 死ぬ訳にはいかない まだまだ飛鳥井の1000年続く果てを完全構築した訳じゃないからね! 双子も飛鳥井の轍に組み込ませられなきゃ死ねないわよ! 盤石な明日を築いてこそ、ボクの役目は終えられる 其れまでは死ぬ訳には行かないのよ!」 明日の飛鳥井の為………家の為……… その為だけに生きている存在 それは飛鳥井康太と同じ定めを持つ者なのだと………こう言う時に思い知らされる 同じ台詞を吐くのだから……… 己の命より、家と一族と社員の為に築かねばならない明日の為………… 兵藤は烈を抱き締めた 愛する盟友と良く似た匂いが鼻を掠める お日様の匂い……… あぁ………康太に逢いたいな………… こんな時、ふと思う そんな想いをしてると、竜馬がバリッと烈を剥がす 「風呂入って寝るっす!」 と言い兵藤と烈と竜馬は浴室へ向かった 兵藤は「俺は後で入るぜ!」と謂うが、竜馬は 「気にしないっす!」と言うと、自分の服を脱ぎ捨て、兵藤の服も脱がそうとする 兵藤は仕方なく服を脱ぎ捨て浴室に入ると、竜馬はシャワーのコックを捻った 温かいお湯が疲れた体に染み渡る 烈はせっせと体を洗っていた そして頭を洗う 竜馬もせっせと洗っていた 兵藤も仕方なく頭を洗い、体を洗った そして皆で泡を流し浴室から出る 烈は「湯船に浸かれない生活はボクは無理かも……」と呟く 竜馬は「飛鳥井へ還ったら皆で入るっす!」と謂う 髪を乾かし、ベッドにインする 何故か兵藤もキングサイズのベッドに引きずり込まれ………三人で川の字で寝るのだった 明け方 烈の手がバシッと兵藤の顔にヒットする そして足が竜馬の顔を蹴り上げる 暑いから外に出て、横になって寝ている烈の被害に遭うのだった 竜馬は「もぉこの子は暑くなると何時も飛び出るんだから!」と布団に引きずり込む 兵藤は笑って「寝方まで康太にソックリだな!」と笑った 竜馬は「あ~、こーちゃんの方が寝相は悪いっす!あの人、斎王さんベッドから蹴り飛ばしてましたからね!」と謂う 兵藤は「お前等………三人で寝てたのかよ?」と聞く 「嫌らしい想像は一切脳から省いて欲しいっす! 合宿と銘打ち、見聞を広げる為にあっちこっち旅行したんですよ! その時 必ずや一部屋しか取らず、ケチなこーちゃんは雑魚寝にしたんすよ! 六畳の部屋にお布団3枚敷いて、斎王さん自分は被害に遭いたくないから俺を真中に入れやがるんっす!で、俺が一番の被害に遭い、その次斎王さんが被害に遭ってたんすよ! で、ベッドの時も同様で、キングサイズのダブルベッドに三人で寝た時、見事にベッドから蹴り飛ばされてましたから、斎王さん! まぁ一番の被害は俺でしたけどね!」 何と言う………悲惨な現状……… そりゃ康太、お前………竜馬に恨まれても仕方ないってもんだよ……… 「で、烈が3歳の時に飛び蹴りかまされてからは、ずっと一緒にいたから………こーちゃんと同じ寝相で俺は何時だって烈に殴る蹴るされてたっす!」 「お前………苦労したんだな………」 「でもあの頃の俺は………結構高慢で怖い物知らずだったから、3歳児に飛び蹴りかまされるとは想いもしませんでしたよ! そして一晩中説教され、夜明けには泣きながら許しを乞うていましたからね 以来 烈には頭が上がらないっす! でもこの出会いは大きい、俺が傍若無人な馬鹿なままなら、メンバーとは早い段階で空中分解してたっすからね!」 武尊で尊大で慇懃無礼で威圧的な生意気盛りの竜馬 17歳の秋だった 烈が初等科に入り表に出た時は竜馬二十歳の春だった 二人の積み重ねた日々が垣間見られる 烈のいない時の竜馬は時々鼻に付くし、面倒な奴だけど、好敵手になる事間違いなしの奴だと認めていた スースーと烈の寝息が聞こえる それを聞いていると、何時しか二人は眠りに落ちていた 朝 少し遅く起きてブランチを取る そしてメンバーが部屋にやって来て、帰宅する時まで話をしていた 桜を鹿児島からスタートさせて、一番綺麗な桜の下で、【R&R】の会員限定配信しようか?とか話す 北海道に辿り着くまで追い掛けて配信する 演目は短めに40分 どんな映像をお届けしようか?と皆 楽しそうに話した そして時間になり烈と竜馬と兵藤御一家は、バスに乗り空港まで送られた 空港に着くと、搭乗手続きをして飛行機に乗る 苦行の15時間近いフライトだった……… 両親には飛行機に乗る時間にラインした 空港まで迎えに行ってやるよ!と約束してくれたから、帰りの足は確保出来ていた そして長い長い時間を掛けてやっと倭の国へ到着すると、色んな手続きをして外に出た 外に出ると康太が待っててくれた 烈は走って「ただいま!母しゃん!」と言い康太に飛び付いた 康太は烈を抱き締めて「お帰り烈!」と言った 竜馬と兵藤と美緒と昭一郎は疲れた顔をしていた 取り敢えずバスに乗り飛鳥井の家へと還る バスは会社近くに建ったタワーマンションの地下駐車場へと入って行った 美緒達は、その場は初めてだった が、バスから降り、エレベーターに乗り1階に出ると、駐車場の奥のドアを開けて外に出る 美緒は???何故、外??と想っていた 通路を通りお隣の家へと向かう 高い塀は外から遮断され、沢山の防犯カメラが目に入る 其処の2階へ行き玄関を開けて中へ入る 康太はシューズクロークに入り不審者はいないか?確かめる そしてリビングに行き、榊原は用意していた朝を出してやった 広々としたカウンターキッチンの横には全員座れるテーブルと椅子があった 烈の椅子には烈に良く似たぬいぐるみが座っていた 大空はそのぬいぐるみを退かすと、烈を座らせた 皆で久し振りの食事をする 烈は少しだけご飯を食べて「眠いから寝るわ!」と言い自分の部屋に行ってしまった 玲香は「此れからどうするのじゃ?」と問い掛けた 「タクシーでも呼んで家に還るつもりじゃ!」と美緒は言った 康太が「一生が送って行くさ!」と謂うと一生は 「おー!食事を終えられたら送って行くぜ!」と言った 美緒は「何時までこの家におるのじゃ?」と問い掛けた 康太は「そりゃドゥバイがどっちかに転んで立ち上がるのを見届けるまで、用心しねぇとならねぇからだから、この先は転々としねぇとならなくなるかもな!」と言う 榊原も「流れ弾は極力受けたくはないですからね………警戒しないとならないのです!」と答えた 美緒は「そうか………我等も唐沢が避難を促して来ておるから、家に帰ったら荷造りして避難せねばならぬ!」と謂う 康太は「え?何故に美緒達まで??」と首を傾げ問い掛けた 昭一郎は「我等がイギリスに行ってる間に家に侵入者があったそうです! 我が家は今 貴史が王女と交際中と謂う事で特別警戒態勢を敷かれているのです! なので防犯システムを導入され不審者が来たならば即座に特定して駆け付けてくれるそうです で、イギリスに行ってる間に鍵を抉じ開けて侵入した者がいたとかで、警戒してくれと言われてるんです!その為に無事を確定出来るまで別の場所で暮らしてくれと言われてるんです! そのメールはイギリスにいる間に受け取りました」と言葉にして伝えた 康太は「どう言う事なんだ?何が起きてるんだよ?」と呟いた 榊原は「烈に聞くしかないですね! 烈を起こして来ます!」と言いリビングを出てエレベーターへと向かった エレベーターに乗り四階へ行くと、烈は誰かと電話をしていた 「そうよ、近い内に世界会議を魔界で開くと世界へ発信するのよ! その為の話を何度もしないと駄目だから、何処かの部屋を貸し切って欲しいのよ!」 そう話し、烈は父に視線を向けた 烈は携帯と八咫鏡の欠片を手にして話をしていた 榊原は黙って電話が終わるのを待った 電話を先に切ると、烈は八咫鏡の欠片に 「明日にでも菩提寺へ来てくれないかしら?」と話した 『了解した、電話の話ではイマイチ解りませんでしたからね!では明日!」と言い通信を切った 烈は父に「世界会議を魔界で開く事にするわ!」と伝えた 「では、君は忙しくなりますね! 期限は?何時までの予定ですか?」 「此れより月が欠けるまでに準備をし、月が満ちる時 魔界で世界会議を開く事になるわ!」 「あまり余裕は有りませんね!」 「悠長な事やってると毒が回って世界は麻痺するしかないからね! まぁ今回はワケワカメの神の話じゃないわ! 神の国と御託並べてる国とドゥバイ一択!」 榊原はそれはそれで難問じゃないですか………と想ったが、謂うのを辞めた 「それより来て下さい!」と言い烈を連れてリビングに戻った リビングに行くと烈をソファーに座らせ、榊原はお茶を淹れに向かった ソファーに座ると康太が兵藤の家の事情を話した 「お前は知ってるのか?」と康太は問い掛けた 烈は「兵藤きゅんちの警護に当たってるのはARЯK警備保障なのよ! 当然 暦也自ら報告受けてるわよ!」と答えた 康太は「あの家にいたら………狙われる可能性があるのか?」と問い掛けた 烈は「そうね………セキュリティの高い家に住まねばならい時が来たのね」と言う 「イギリス関係………の刺客か?」 「それも半分あるわ だってフィリップス家は名家だから、シャルロットと結婚したい【家】なら腐る程いるわよ! 残り半分は………頭角を現す政治家を若芽の内に摘みたい輩の思惑かしら? そして昭ちゃんの……頭叩きたいたのもあるのよ 所謂 邪魔なのよ! でも蠱毒置いたら跳ね返りそうだし、呪いなんて掛けたら倍返しで跳ね返される ならば直接叩くしかない! そうして何時の世も邪魔な政治家は淘汰されて来たのよ!」 康太は「…………セコ………」と呟いた 「まぁ身を隠せって言うなら隠すしかないわね! それ………唐ちゃん経由?」 昭一郎は「はい、其処からと八木澤総理からも言われてます!」と答えた 「其処からも来てるのね……… 取り敢えずは其処のタワマンの部屋貸すから、取り敢えずの荷物持って来たら? 兵藤きゅんはこの家に住むから二人なら2D.Kで大丈夫でしょ?」 「家具は?」 「生活必需品は入ってるわ! ボク其処で生活してたし、にーに達もいた事あるしね!」 烈が言うと兄達は頷いた 「まぁバレちゃったから、他を使わなきゃいけなくなったけどね!」 「なら貸してやってくれ!」 「週明け、遼太郎に鍵を貰って、母しゃん! ボクはそんな余裕ない程に忙しくなりそうだから!」 「了解した!サポートがいるなら、どれでも好きなの使えよ!」 「ありがとう母しゃん! なら状況を見て動いて貰うわね!」 「おー!会社にも顔を出せよ!」 「解ってるわよ!そろそろ社員全員の調査上がって来る頃だしね!」 康太は「週末だし客間に泊まって逝かれると良い!週明け、タワマンの部屋を借りて移動すると良いかんな!」と声を掛けた 美緒は「………申し訳ない!イギリスでも宗右衛門殿にはお世話になった!」と言葉にした 烈は携帯を取り出すとフォルダから見せたい写真を表示させ康太に渡した 康太は携帯を受け取り、画面を見た すると辻が花を着た美緒が映っていた 康太は「お!国宝級の辻が花やんか!帯や小物は緑道が妻の節子の見立てか?」と問い掛けた 烈は笑って「流石 母しゃん!節ちゃんがね、見立てて用意してくれたのよ!」と話す 「流石 一流のモノを所有してるやんか! 九条の家の姫は持ち物も一級品だな!」 「そーなのよ!その簪 今なら軽く1000万は超えるんじゃないかしら?」 「だな、此れだけの鼈甲もう取れねぇかんな!」 「そうなのよ!」 烈は携帯を返して貰い玲香に携帯を渡した 「花見の時、辻が花までじゃないけど、着物貸してくれるって言ってたから、ばぁしゃんとばぁたんと美緒たんとママと四人で着物着たら?」 玲香は笑顔で辻が花を着た美緒を眺め 「久し振りに着物でお出掛けか、それはよいな!」と謂う 「昭ちゃんとの約束の花見だからね、楽しく過ごしたいわね!」と謂う 玲香は嬉しそうに笑って烈に携帯を返した その夜は皆で楽しく宴会をして過ごした 烈はイギリスから帰国した翌日 菩提寺へ向かった 日曜の朝と謂う事で、烈は一生に菩提寺まで送って貰ったのだった 菩提寺へ到着すると、保養施設の1階に閻魔は既にいた 「あら、早いわね!待たせたかしら?」と烈が言うと華絵が 「この人は昨夜から来て泊まっていたから、早くて当たり前なんだよ!」と笑顔で話す ガハハハッと笑う華絵の首に……花の形をした文様が出ていて 「あら、華絵………妊娠してるじゃない………」と呟いた 閻魔は「え!!私の子ですか?」と問い掛けた 「当たり前じゃない、えんちゃんちょくちょく来てるんでしょ? そして泊まって夫婦生活してたんでしょ?」と呆れて謂う 確かにしていた 妻が………元気なり、生命力が漲り生き生きと笑う姿に……惚れて……愛が募った……… そして、やはり互いの体で人と同じ様に初めて愛し合い一つに繋がった 神の愛は力の継承 体を繋げすとも、精神的な愛を注ぎ子を成す だけど愛が募り過ぎた閻魔は、妻と体を繋ぎ愛し合った 此処まで愛する人はもう出て来ないだろう……… そんな愛だった 「神の継承としての子作りじゃないから、妊娠の文様が現れたのよ!」 閻魔は妻を見た 妻の首には………花弁の様な文様が出ていた 因みに紅花には鳳凰のカタチの文様が出ていた それを考え………予想する 「ひょっとして華絵………女神孕んでるかもね それも華絵の母親より上の能力を秘めた子を……ね!」 閻魔はデロデロの笑顔を浮かべ 「妻との子ならば、どんな子でも嬉しいです!」と謂う 烈はその場を崑崙山に繋ぎ、移動した かなり力を使うが………緊急事態だったから仕方がない 崑崙山に姿を現すと、八仙が烈の気配を感じて外に出ていた 「どうしたのじゃ?烈?」と八仙が尋ねた 烈は八仙の屋敷に入ると閻魔と華絵を座らせた 一生も空いてる席に座る 「八仙、華絵が妊娠したわ!」と告げる 八仙は驚いた顔をして………華絵を視た そして一頻り視た後に「女神が生まれになるな!」と言葉にした 「やはり花弁の文様だもんね、そうよね!」 「しかも………天照大御神と同等の神格を持つ女神であるな!」 「なら出産まで紅花と同じ所で匿って貰って!」 「承知した!」 「なら華絵は出産まで桃源郷で暮らす事になるわ!で、世界会議の話をする為に帰るわよ!」 そう言い、華絵を置いて閻魔と一生と共に外に出ると、転移の呪文を唱えた すると眩い光に包まれ、保養施設1階に戻って来た 烈達は保養施設3階へ上がり、魔界で行う世界会議為の話を始めた そして休憩中に「世界が終焉を迎える時だから、力が強い子が生まれるのよ!」と話した 閻魔は「世界は終わりなどしない!強い神々が姿を現されるのは、この世の和平を護る為!」と言葉にした 烈はニコッと笑い 「それ、母しゃんが何時も言ってる事だわ!」と言った 烈は唐沢に連絡を取り、閣下と面会出来ないか?と申し出た 唐沢は『連絡は受けています!何時頃希望ですか?』と問い掛けた 「今からじゃ無理かしら? 丁度 魔界から閻魔大魔王がお越しなので話がしたいのね!」 『解りました!連絡を付けます!アポが取れ次第連絡入れます!』と言い電話を切った 烈は閻魔に「アポを取ってくれるらしいから、連絡が入り次第行くわよ!」と謂う 一生は「妊娠ってあんな風に文様出るモノなのか?」と問い掛けた 烈は少し考え込んで一生でも解る様に説明した 「神々の子作りは力を継承させる為の儀式なのよ だから互いの力を分け合い、球体に子となるべく存在を描き創り上げて行くのよ! 互いの力を分け与え育てて行く 子は球体の中で力を継承し、それと共に親の情報をダウンロードするのよ! 其れが神々の誕生となる所謂出産に値するモノに対して、龍族はセックスするでしょ? それはそれは愛が募れば入れっぱなし出しっぱなしでセックスする 愛が濃いほど首に出る文様は紅く生命に溢れている それと同じなのよ! 今回の華絵の妊娠はえんちゃん、華絵とセックスしたのよ! 愛が募り挿れっぱなし、出しっ放しで肉体的に抱いたのよ! そして孕んだ、その力はかなり大きく妊娠の兆候が出ていたのよ!」 と、何ともな説明され、閻魔は言葉もなかった 一生は「肉体的に繋がるのと、力の継承で産むのとは違うんだな…………」と呟いた 「カズは何故神々が肉体的に繋がる事なく、力を継承し子を成したか?解る?」 一生は考え込んで……… 「それは解らねぇな……」と答えた 「それはね体を繋げ子を成す事は、不確定な継承となる可能性があるからなのよ! 精子と卵子が結び付き子を成す それだと力を継承出来ない可能性の子も産まれて来ちゃうのよ! だから後継者を作るのならば、互いの力を継承させて作らねばならないのよ! 神が肉体的に繋がると謂う事は、己の力を継承されてしまうと謂う事だから……… 力を欲する神々はそうして無理矢理……力を欲して理不尽な行為が横行した時代もあるのよ 力が総てならば優れた者から奪うに限るからね、繋がり力を得て来た時代もあるのよ そして何より、身体的な繋がりは互いの力を継承出来るのに、子供になると不確定な確率が出て来るのよ それで【力を継承】は身体的ではなく互いの力を刻み与えるやり方になった と謂う長い歴史もあるのよ!」 流石 七賢人 八賢者の弟子な話だった 一生にも良く分かる説明に、納得した そんな話をしていると唐沢からアポが取れたと電話が入った 烈は「お迎えの車来る?  それとも出向かなきゃ駄目?」と問い掛けた 『迎えをやる!30分位待たれよ!』 「了解したわ!」と通話を終了した そして30分位経つと駐車場まで向かった 烈は「カズ、長くなりそうだから用が有るなら抜けても構わないわよ!」と謂う 「大丈夫だ!今日はお前に付き添うと決めてるからな!」と謂うと烈は嬉しそうに笑った 暫く待つと烈と閻魔と一生は菩提寺の駐車場へと降りて行った すると静かにリムジンが近付き、菩提寺の駐車場に停まった

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