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第28話 世界会議 in魔界 序章
烈はガブリエルに導かれ天空神 三神のおられる場へと向かった
三神は神の声が聞こえる扉の前まで烈を連れて行った
創造神は烈が扉の前に立つと
"世界会議を開くのだな………“
と問い掛けた
「ええ、其れしか大義名分掲げて動けないじゃない!良いチャンスでも在ったのよ!」
" 血で血を洗う戦火の炎は日増しに強く成る!
主の占いがそう【答え】を出したのならば……
我は何も申さぬ………”
「世界が一丸となり粛清を下さねばならない時が来た!
此れより進む道は誰一人盤上からは下りるのは許さない!
そしてこれ以上の闘いの炎が燻り続けて逝くのは許さない!
各国の死者がタダでさえ裁けなく成るほどなのに、これ以上増えられると困るのよ」
"死者と死者を管理する者のバランスが取れておらぬのは承知しておる ”
「魔界は天馬戦争の時命を落とした者達が未だに禁足地で、死を受け止めらず闘い血を流している………
あんな愚かな闘いはしてはならない!
その為の粛清であり、正す方は覚悟を持たねばならないのよ!」
"禁足地に棲まう魍魎は………一度だけ……神の門を開いて………苦しみや悲しみ、憎しみ悔しさを取り除き、清らかな魂とさせ振り分けてやるとしよう!静観を決め込み多くの血を流させてしまった…………その償いをしてやろう!
そしてその魂は輪廻転生の道を辿り………魂の希望する地へ転生させやろう!
それが今も贖罪の日々を送っている素戔鳴尊への………想いに報いれるならば………と想っている”
「それは有り難いわ!
あの地にいる子達は………今も死命を持ち闘っているわ
無限ループの中に閉じ込められた様に毎日毎日闘っているわ
地球が出来て46億年、天馬戦争が勃発して30億年ちょい………はっきり言って救済の手が差し伸べられるのは遅い位だわ………」
"愚かな闘いを始めた者達への戒めのつもりじゃった…………が、素戔鳴尊が禁足地を欲して幾億年………まさか毎夜毎夜、魂を鎮めるために闘いの中へ身を投じているとは………
早々に辞めるだろう………諦めて見捨てるじゃろう……そう想い幾億年…
素戔鳴尊の想いに報いる為に………禁足地にいる魂総ての転生を約束しよう!”
「それはじぃさんも喜ぶわ!」
"で、聖神よ、今日 主を呼んだのは『烈がこれ以上無理して倒れたら貴方のせいですからね!』と、何度も倒れて熱を出すお前を心配して、ガブリエルが三神を責めて困り果てておると申すから………
倒れぬ程の体力を与えるとする
主は何も求めず欲しがりはせぬ!
だからその都度 主の助けになるアイテムを与えて参った………一番に体力を考えねばならなかった………と今更ながらに後悔した
ならばぶっ倒れぬ体力を与えるしかない!と三神と話し合い決めたのじゃよ!」
「え?高身長でムキムキなボクになれちゃうのね!」
この際だから無理難題口にしてみる
ウラノスは苦笑して
「こらこら、この際だからと、無理な事を口にするでない!」
「え?駄目………ボク………このままだとちっちゃい神様にしかなれないわよ!
それは嫌なのよ!本体ないのに………ちっちゃいままなら、ちっちゃい神様じゃない!」
威厳も尊厳もない神になっちゃう………
アトラスは「ならば、主が死したら前世の宗右衛門位にはしてやろう!」
ゼウスが「それで手を打ってはくれぬか?」と問う
烈はニコッと笑ってポケットから三匹の猫を出して
「はい!願ってもない事です!
クーたん、ルーたん スーたん、ボクもう元気な体になれるわよ!」
と、喜びを分かち合っていた
三神は烈を球体の中へ入れると、取り囲み呪文を唱え何やら始めた
クー達はそれを心配そうに見ていた
烈は球体の中でまた引き伸ばされたり、丸めたり、折りたたまれたりされて、クラクラになっていた
仕上げは創造神が呪文を唱えた
すると烈の体が眩い光に包まれた
光がなくなると三神の力を注ぎ、仕上げをすると、球体を地面に下ろし割った
割れた球体の中から烈は出て来た
ペコッとお辞儀をして三神にお礼を謂う
「ありがとう創造神と三神!
此れで難局を乗り切れる体になれたわ!」
ゼウスは「それは良かった!気張って世界会議を成功させるのじゃぞ!」と謂う
烈は「はい!」と答えた
そして「あの、この機会なので、一つだけお聞きしても宜しいですか?」と問い掛けた
アトラスは「飛鳥井 柚の事か?」と問い掛けた
「はい!生まれた時に力は視えなかった
なのに今はかなりの力を持っている!
このままだと、次代を追い出すか?
柚を追い出すしかないので………」
ウラノスは「ガブリエル!其の者を此処にお連れしなさい!
烈が天界に来た時間に遡り連れて参れ!
烈は天界へ参った時間に魔界へ戻さねばならぬからな!
タイムロスが発生すると前の時間に戻せばタイムパラドックスが起きる故、時間を遡り連れて参れ!」と謂う
ガブリエルは「御意!」と返事して飛鳥井の家へと時を遡り急いだ
そして烈が天界に来た時間に遡り人の世に到着すると、飛鳥井の家へと向かう
飛鳥井の家の中へ入ると、ガブリエルは京香の前に姿を現わした
「私は天使ガブリエル、烈から頼まれて来ました!」
京香は突然の事で驚いたが、ガブリエルは何度か烈の件で飛鳥井に来ていたから知っていた
ガブリエルは柚の前に立つと
「烈からこの子を連れて来てくれと申されたので、連れに来ました!」と告げた
京香はガブリエルに深々と頭を下げて、柚をガブリエルに渡し
「宜しくお願い致します!」と言い託した
ガブリエルは柚を抱き抱えると、天空へと羽ばたいて姿を消した
魔界から戻った康太は取り敢えず、家の中に天使の気配を感じつつも、京香の部屋へ急いだ
京香に「柚は?」と問い掛けると
「烈がガブたんと呼んでる人が来て、連れて行きました!」と答えた
康太は「出遅れたか………」とボヤいた
すると其処へクーとルーとスーが姿を現した
クーは「柚は烈が呼び寄せたわ!」と謂う
康太は「何故だ?」と問い掛けた
クーは「世界会議の話をしに天空神様に逢ったからな!
丁度ラッキーとばかりに、一石二鳥狙って烈が柚の話をしたんだよ!」
ルーは「そしたら天空神様が一度連れて来なさい!とガブリエルをお使いに出したのです」
スーは「で、ワイらはお呼びが掛かるまで、命の水飲もうと来たんですわ!」と話した
康太は「お前等 烈から離れて大丈夫なのか?」と問い掛けた
クーが「柚が消えたら大変な事になるから知らせに行けと、お使いさせられてるんだよ!」と謂う
康太は「結子は………大丈夫なのか?」と問い掛けた
スーが「柚を見てから考えればええやん!
あんさんの所の子を見せてくれん?と言われたとしても、はい!どうぞ!と渡せれるのは京香だけやろ!」と謂う
ルーも「烈から頼まれたと言えば、ママは柚を託す!それには信頼なくしては無理な話………
佐伯が烈の名を出したとしても託してくれる可能性はかなり低い
元は一つの魂ならば、遠隔で探る事も可能だと謂れだから、まずは柚から、と謂う事です!」
と説明
康太は「あ~成る程!」と納得した
クーは「悪意の匂いを烈は気にしていた!」と話す
「んなんオレもバリバリ感じてるさ!
飛鳥井の家族の危機なんだからな!
飛鳥井は宗右衛門を欠いては1000年続く果てになんか逝けねぇ!
だから宗右衛門は絶対だ!
だからと言って……他の奴がどうなっても良い訳じゃねぇんだよ!
そしてそんな重荷を烈にだけ背負わせる気はねぇんだよ!
打開策があれば………それを見付けて何とかしねぇと……って想ってるのはオレも同じだ!」
康太は苦しい胸の内を話す
榊原はそんな妻を苦しげな瞳で見ていた
クーは「アイツ、体も心も限界だったんだよ!
次代を育てて繋げるのは宗右衛門が役目!
って気張ってて連日連夜占い、世界会議の準備して………って、そんな事をやってたからな身も心もボロボロで何度も倒れたんだよ!
でも世界会議は失敗出来ない!
だから天空神に横槍が入らぬように会議には遠隔で良いから参加してくれ!って頼みに行ったんだよ!」と説明した
ルーは「で、アイツはセコいヤツだから、どうせ天界にいるんだし、柚の魂が何処で力を得たのか?調べてくれと頼んだよ!」と続けた
スーは「4月になったらボロボロ難問吹き出す言うてますからな、難問は一つでも少ない方がええんろ!
まぁ魂なんてのは繊細な事やから、専門家に聞くのが一番やからな!」と締めた
「オレは飛鳥井の家族を愛してるんだ!
飛鳥井にいる奴等はオレの家族だ!
それは血が繋がらなくても、一緒に暮らしてる家族なんだよ!
その中に双子が加わるならば………気持ちよく受け入れてぇんだよ!
どっちが弾かれる中に入れたくねぇんだよ!
オレ等はどっちかなんか選べねぇ!
それは烈か?一生か?何方かを選ばなくてはならない……なんて選択に迫られた時に嫌と言う程に痛感させられてるんだよ!
其処へ聡一郎が閻魔、素戔鳴尊、神威、兵藤、一生を家の中へ入って来た
聡一郎は康太の声がするから京香の部屋の方へとやって来たのだった
そして康太の苦しい胸の内を聞く
榊原は聡一郎達が来たのに気付き
「こんなに呑兵衛が来たので、話は後にしましょう!
僕は料理を作りに行きます!」と言った
康太は「京香、家族全員で考えて乗り切ろうぜ!
そして烈が連れて来る子達のママでもいてやってくれ!」と謂う
京香は涙を拭うと、気丈に笑い
「我は飛鳥井の子の【ママ】でいたい
我が子と同様に翔達もちっこいの達も愛しているのだから!
そしてママと慕ってくれる子達が愛おしい!
そんな立場を手放す気などない!」
気丈に話す姿は立派な飛鳥井の女だった
「さぁ客人をリビングにお通しお願い致します!
我もお酒の準備をせねばなりません!」と言い立ち上がって部屋を出て行った
取り敢えず康太達はリビングに呑兵衛を置いて逝くと、着替えに向かった
一生はキッチンに行き慎一に
「明日 烈にプリン持って行ってやりてぇから頼めねぇか?」と謂う
慎一は冷蔵庫を開けるとプリンを指さした
「烈にプリンを、と謂うのは翔達も同じです!
そして双子にもプリンを差し入れしたいので、一陽に頼みに行くのです!」と謂う
慎一は一陽が菩提寺に来た頃に、城之内から「弥勒院一陽だ!」と紹介されていた
康太が双子のお世話をしているのが、城之内が紹介してくれた人ならば、プリンを託そうと想い作っておいたのだった
一生は「なら俺も明日一陽って奴に逢ってから持ち場に戻る事にするわ!」と謂う
そして後は忙しく宴会の準備をしていた
呑兵衛がリビングのソファーで寛ぎ飲み始める
その夜は久し振りに楽しい声が響いていた
康太は魔界へ行ったりしたから眠気が来て、早々に寝に行った
その夜 久し振りに康太は熱を出した
朝方になっても熱が引かなくて………榊原は久遠に連絡して診察を受けた
久遠は康太を見るなり、その顔色の悪さにすぐに検査を入れ点滴を打った
「最近倅ばかりやったのに、とうしたよ?」
「オレだって弱る時はある!」
「それって点滴打ちに来てる貴史とか一生とか他の奴等と同じ理由か?」
「え?昨夜まで飲んてて、あんで点滴打ってるのよ?」
「それは知らん!でもゲッソリしてたから捕まえて病院へ引っ張って来たんだよ!」
「何処で捕獲したのよ?」
「菩提寺!」
「あんで菩提寺!!
おめぇは医者の癖してどうして寺に用があったのよ?」
「水萌が調子悪くて寝込んでるって言うんで、往診に行ってやったんだよ!
烈が少し前に水萌が体調悪いとしたら、ひょっとしたら妊娠かもね!と言ってたんだよ!
で、態々菩提寺に出向いて診察したんだよ!
そしたら妊娠してて、それは俺の範囲外だから、白石に紹介状書いておくから、病院に行く時に取りに来てから診察に逝け!と言ったんだよ!
で、その帰りにヘロヘロ集団見付けて、連行してして連れて来たんだよ!」
「ヘロヘロ集団、菩提寺にいたのか?
点滴終わったら話さねぇとな!」
「康太、おめぇ当分沢庵なしな!」
「え!嘘!!オレの沢庵!!」
「烈と同じ台詞吐くなよ……
胃腸が弱ってるから消化の悪いのは避けてくれ!伴侶殿!」
久遠に言われ榊原は「解りました!消化のいいの食べさせます!」と約束した
「取り敢えず点滴外せねぇから車椅子に乗りヘロヘロ集団のいる所へ行きやがれ!」
そう言うと久遠は看護師に、車椅子を一台用意させ、それに乗せて個室へ連れて行ってくれ!と頼んだ
康太は車椅子に乗せられ、榊原と共に個室へと向かった
看護師が個室へ連れて行きドアをノックして、中へと連れ入る
康太をソファーの上に座らせると看護師は車椅子を畳み
「それでは点滴終わるまでゆっくりお過ごし下さい!」と言い個室を出て行った
個室の中を見ると点滴を受けてる集団がいた
一生 聡一郎 神威 そして弥勒と釈迦………閻魔までも点滴を打っていた
「どうしたのよ?
昨夜は楽しく飲んでたやんか………」
そう問い掛けると一生がゲッソリとした顔をしてい
「夜明け前にガブリエルの奴に叩き起こされたんだよ!
で、朝から調べ物をしに魔界と人の世を何往復もさせられ働かされていたんだよ………」と説明した
康太は「それって柚の件でか?」と問い掛けた
聡一郎がまだ長い髪をしたまま
「そうです、魂を遡らされ捜索して来ました
創造神が全面協力して下さったので、何処でその力を加えさせられたのか?と調べに行きました!
後付ならば消してやる、と言われたので僕達は、それはそれは頑張って探したのです!」と答えた
釈迦が「で、解ったのが柚と結子は無理矢理双児として腹の中に入れられたが、元は別々の存在でした!柚の魂は瑛太と京香が幼くして亡くした子の魂なのに対して、結子は全く無縁の者の魂を双児として誕生させようとした……それが真実でした!
そして結子は笙とも明日菜とも縁のない魂でした………
ですが今更………取り替えも効かないので……朱雀と話してました!」と話す
兵藤は「まぁ二人の子なのは変わらねぇし、育ててるんだから、そのままで!って事で話が付いた!で、結子は力もなければ普通の子だ!
で、柚は源右衛門の妻の清香の母の血を濃くして出てる力持ちと断定した!
柚は正真正銘 瑛太と京香の娘で間違いない!
で、そうなると天空神 三神は手は出せない
との事だ………混ざり物ならば取り除けば良い
だけど、取り除くのは無理だからな
で、閻魔の出番になったんだよ!」とゲッソリして話す
閻魔は「私は閻魔庁の方の職員を総動員して、柚は誰の血を濃くして出てるのか?調べました!
源右衛門を叩き起こし、妻の清香も叩き起こし
二人から事情聴取をしたのです!
で、お二人に話したら清香さんの方から
『ひょっとしたら我の母の血が濃く出てしまったのかも……母は力持ちでした、柚と同じ力を持っていました!』と申されたから、書類を引っ張り出して調べていたのです!
そしたら………本当ならば玲香の後に生まれるべき子で、次代の姫巫女候補として生まれるべき存在だと出たのです!」と話した
康太は「なぁ兄者………ひょっとして相当操作されてるのか?飛鳥井は………
水萌が双子を産むそうじゃねぇか!
それは仕組まれてねぇのかよ?」と問い掛けた
「あの妊娠は仕組まれてなどおらぬ!
宗右衛門肝いりの妊娠ですからね!
そうでしょ?朱雀?」
閻魔が振ると兵藤は「あぁ!」と答えた
そして詳細を説明した
「烈は竜之介を解き放つ為に、動いていたんだよ!何年か前に水萌の子は一族に呪詛を吹き込まれ流産させられた
その子は絶対に転生させると決めて動いていた
そんな時に飛鳥井の一族が終焉を迎えた………
終焉を迎える時、終わらせない為により強い力を持つ子が誕生する
そのシステムが発動して水萌の子は双児となった
死命を持ち産まれて来る事になった
紫雲の所の子供は相当な力持ちなのは、その所為だ!
水萌の所の双児は男女の双子!
一人は姫巫女クラスの力を持つ
そして柚も、姫巫女クラス以上の力を持つ
次代の姫巫女じゃ足元にも及ばない次代がボロボロ出るんだよ!
だから烈は敢えて姫巫女制度を撤廃した
姫巫女一人に総てを任せるのは間違ってる!と軌道修正を掛けた
でなくば、栗田が泣いて惠太の子を姫巫女に差し出させた意味を無くす!
一夫の思いを踏みにじる訳には逝かないんだよ!
柚は力持ちなのはの清香の母と同じ力を持つからだ!
で、振り出しに戻った
それを聞いた烈はぶっ倒れたから、素戔鳴殿が孫を回収して魔界へ連れて行ったんだよ!
神威も倅を心配してあたふたして、素戔鳴殿と共に魔界へ行ってる
だからこの場に烈や素戔鳴親子はいねぇんだよ!
そして柚はタイムロスなく京香の元へ戻された
俺が戻した時に瑛太さん達に話をしたからな!
その時清隆さん達家族もいたから、リビングに皆を集めて話しておいた
隠せれねぇなら話した方が、話し合いするにしても真実が見えて良いだろ!
清隆さんは「おばぁ様の力でしたか………」と考えもしなかった事に感慨深く呟いていた
玲香さんは何も言わなかった
顔色一つ変えずに聞いていた
すげぇな飛鳥井の女は、烈が謂う通り飛鳥井の女は最強だわ!」
閻魔は「清隆さんは『柚、我が母 清香の血を濃くして出たか………
清香の母は元は皇室の血を引く人でした
ですが双児は凶兆とされ養子に出された
そして成長するにつれ一族の者はその底知れぬ力に震えたと謂う………
そしてその力を飛鳥井博堂に見込まれ妻になり清香を産んだ
あの方の血を濃くして出たのですね………
そりゃ血縁ですから………出て来て当たり前なんですがね………なんで今までその可能性も考えなかったのか…不甲斐ないです!』と苦しんでいたので、家族へのフォローはお願いしますね!」と言った
康太は大変な事になってて………ウンザリとした顔をして
「オレも熱出して倒れそうなんだけど………」とボヤく
榊原は爽やかな笑みを浮かべ
「まぁ総ては烈が帰らねば話にはなりません!
総ては烈が双子を連れて帰還したら話せば良いのです!
因みに私はもう既に双子にメロメロです!
私はあの子達の叔父として力になるつもりです
しかも烈の子ですから、私は祖父になるので、それはそれは愛してあげるつもりです!」と謂う
康太も「めちゃくそ可愛いんだよな!
オレも、もぉあの双子にはメロメロだかんな!」と謂う
閻魔は「ならば今度 神祖と御目通りをせねば!」と楽しそう
兵藤は「戸籍はどうするんだ?」と疑問を口にする
榊原は「宗右衛門の事業の中に養護施設もあるので、捨て子として育てて、国に捨て子として申請して戸籍を作らせるのは、時間は掛かりますが案外不可能じゃないんですよ!
大人の戸籍は手に入れるのは苦労しますが、宗右衛門は慈善事業にも手を出してますからね!」と説明する
兵藤は「なら大丈夫か……」と謂う
閻魔は「其れより3月14日から各国の要人の受け入れが開始します!
皇帝閻魔殿は13日から烈に呼ばれたので、喜んで行きます!と仰ってますから、13日からいらして下さいね!
満月になるまで、気は抜けません!
あと一息です!
本当に世界会議レベルの会議を魔界で開けるなんて想ってもいませんでした!
烈がいればこそ叶った世界会議です!
炎帝と青龍も13日に来て協力して下さいね!」と謂う
「10日も休めるかな?
13日から来いと謂うなら15日は留守確定だろ?」
康太は榊原を見た
一生が「あぁ、会社の方はヨーコと御影が10日間は代理で出てくれるそうだぜ!
土日を挟むし、多少なら大丈夫だろ?
そしてヨニー@ウッズスタンの方はオリヴァーが来てこの機会に徹底的に教育するって言ってたから、お前達が還るまでは代理してくれるだろ?」と答えた
「なら安心して留守に出来ますね!」
榊原は安堵して笑った
新月になった月が日々 月齢を重ね丸くなる
満月は目前だった
烈は世界会議の参加者リストと、会議の議題、世界に対してどんな影響が出て来るか?リスク回避の提案
そして何よりも議題はアッツラー神国とドゥバイの内乱一択
他の議題は一切上げない徹底的な話し合いとなる!
世界会議に出席する要人、守護神には【宿題】と題して世界情勢をどうするべきか?
当日までに【答え】を持って来る様に出した
その徹底な手腕に閻魔庁の職員達は感嘆の息を呑み、烈の手となり足となり動いていた
満月 三日前に閣下は約束通り、狙撃手と要人警護の歴腕のプロを魔界へ送り出してくれた
其れ等を配置して、ルーとスーを使い魔界全域の天上を細工を施し入り込めなくした
迎賓館の護衛の者達の槍は、特殊な細工をしたのを持たせ警戒した
そして兵藤には烈の式神の中から、剣術に長けた柳生十兵衛の魂を宿した式神を着けて護らせた
ラグナロクの戦士が四方八方に散らばり警戒してくれる事になっていた
世界会議の間は魔界の入り口は総て閉鎖する事が決まった
魔界への入り口は崑崙山から、他国の山境、女神の泉だった
其れ等を総て閉鎖して出入りは出来なくする
その為に四龍の力が必要となるのだった
満月近くなると烈は一生に頼み、地龍と明咲、そして虹龍を魔界へ連れて来てくれと頼んだ
黒龍は既に魔界へ帰り、龍族を上げて世界会議を無事成功させる為に尽力していた
妻の紅花は出産まで身を隠すが、だが妻の不在は許されはしない………と、紅花に体型が似た者を龍族から用意させ弥勒に術を掛けさせ用意した
閻魔の妻の豊乃姫も同様、良く似た者に術を施し式典の最終日の晩餐会に出席する事になっていた
烈は地龍と明咲を連れて魔界を歩いた
明咲を魔界に連れて来るに当たって烈は、銘が虐められて死のうとした話を魔界全土に放送鳥を放ち放送した
四龍の一柱を欠いたら、魔界の力は崩壊する
お前等は銘をいじめ倒し、地龍を追い詰め死に追いやろうとした!
地龍が欠けたら魔界に張り巡らせた結界は崩壊する
それは即ち、魔界の終焉
そうさせない為に今回銘を追い詰めた者には【復讐の序章】を発動させ、夜な夜な虐めた者達は、己の仕出かした悪行を夢に見せる罪を課した
それは如何に愚かな行為だったか?
己の重ねた愚かで軽率な行為を反省するが良い!
その為に日々己の行為を知ら示してやるのだ!と宣言した
地龍が妻 銘は明咲と謂う新しい名に変えさせ、虹龍が母になる
そして行く行くは神祖 龍神の母となられる事になる!
と、宣言した
明咲を虐めていた者は……その姿を見ただけで……震えていた
何かやれば………復讐の序章が唱えられ………夜な夜な悪夢に苛まれるのだ
実際 銘を虐めていた者達は、ゲッソリと窶れ己の悪行を日夜見させられているのだ
己の醜い心を嫌と言う程に見せ付けられる
まるで自分がやられてる様に、容赦のない叱責と苦痛に苛まれる
抜け出せないラビリンスに迷い込んだ様に………
辛い日々に金龍になんとかしてくれ!と縋り助けを求めて来る者は後を絶たない
が、金龍は「儂は何とも出来はせぬ!総ては聖神が明咲が追い詰めた日々を思い知らせる為に発動した事だ!
………元はお前達が始めた虐めたなんだろ?
ならば明咲が苦しんだ分だけ、その苦しみを知るが良い!」と突き放した
黒龍に助けを求めたが………黒龍は「自業自得!」と吐き捨て手さえ差し伸べる事はなかった
明咲は魔界に来ると、龍族の聖約の地の方に新居を構えて移る様に言われた
その為の家は金龍が建ててくれていた
明咲は朝早く太極拳をしつつ、武道場で薙刀の腕を披露する
もう弱いばかりの自分じゃないと、お手合わせした者達をなぎ倒し嗤っていた
虹龍も明咲を【母さん】地龍を【父さん】金龍を【じぃちゃん」銀龍を【ばぁちゃん】と呼び
その血の血統を知ら示した
そして虹色の龍が烈を乗せて飛ぶ
その光景は圧巻の美しさだった
烈は虹龍の背中に乗り「虹、魔界はどう?」と問い掛けた
「俺はあまり魔界とは縁がなかったから、何と答えて良いか?解らないかな?」
「まぁかなりのデモンストレーションになったと想うからね
少しは黙らせられたけど、やはり弱い心だと折れちゃうのよ!
ボクは味方は一人もいない現状に心が折れたわ
日々復讐する事しか考えられなかった…………
ボクが誰に何を言われても黙らせられるだけの腕力があれば………乗り越えられたのかも知れない
でも現実 ボクは非力で、そしてボクの為に動いてくれる存在はいなかった…………
だから虹、誰に何も言わせない力を身に着けなさい
力は裏切らないから!」
「でも僕には烈がいてくれる!
愚かな僕の目を醒ましてくれた烈がいる!
力は着けるよ、君を乗せて飛びたいからね
そして鱗艶もツヤツヤにするよ!
烈の家のオブジェ作れる程!ツヤツヤになるよ!」
「それは頼もしいわね!」
烈は笑った
そうして時々烈は虹龍と空の散歩をしつつ
世界会議三日前にやって来た父を見付けると、酷使させると決めて笑顔で出迎えた
その日 烈は朝から閻魔庁の前で、放送鳥を飛ばし魔族を集めて話をしていた
「朝早くから皆 悪いわね
四龍と四神が揃ったから、これから世界会議の間は魔法陣で召喚した世界各国の要人や神々をお迎えする為、期間中は魔界の出入り出来ない様に総結界を張ります!
その前に四龍の紹介をします!
龍族 長 黒龍
彼は長として龍族を纏め上げ誘導して行く死命の他に、魔界全土の者の武術の底上げをして行く闘神として魔界の秩序となるべく役務に就く!」
烈が謂うと黒龍は一歩前に出て、胸を張り立っていた
「次は赤龍、彼は魔獣や天馬の言葉が解る唯一の存在!
そんな彼には魔界の獣や動物の繁殖を手掛けて貰う事となる!
魔界のより発展に尽力してくれ畜産庁の役務に就く!」
紹介されると一歩前に出て、胸を張った
「青龍、彼は魔界の法や規律を護る正義の槍を掲げ、秩序とルール、そして法と規則 法律 刑法の制定を敷く存在となる!
まだまだ魔界は法律は浸透していない今 法皇として君臨するより、より魔界全土の方を守るべく目を光らせると約束された
彼は正義の道を行く存在だ!
青龍は法務庁のトップの役務に就く!」
青龍は一歩前に出て、魔族皆の顔を見た
その瞳の鋭さに………ドキッとなる!
「そして地龍、彼は魔界全土、仙界、仙界近くの山の管理、地脈の管理を一手に行う!
異変を感じたら調査に向かい報告する
地脈と一言で言えば簡単かも、と想う奴がいるかも知れぬ!
ならば簡単だと想う奴等は仙界へ出向き其々の山へ逝き確かめて来れば良い
魑魅魍魎や火山噴き出す山々 気流に乗れねば何処へ飛ばされるか?解らぬ世界の仕事をして貰う!無論 この魔界の地脈の管理もする事になる!
閻魔庁で、閻魔を手助けして魔界の地脈の管理をする役務に就く!」
地龍は一歩前に出て、胸を張った
こんな所で怖じけていたら………この先へとは進めない
そう奮い立たせて立つ姿はもう気弱な影の薄い地龍ではないかった
烈は四龍の仕事を紹介した後に
「四龍は魔界の総結界、バランス、其れ等を取って魔界を護るべく存在である!
一柱欠けても、成り立たぬ!
魔界は危うく地龍を追い詰めて、その存在すら軽視して黄泉の旅路に出してしまう所だった
そしたら魔界に張り巡らされた四龍の結界は滅び、バランスは取れなくなる!
バランスを無くした魔界は各国から攻められるのも容易く成るばかりか、標的にして下さい!と言っている程 呆気なく崩壊の一途を辿る
次代の四龍が、今の四龍の立ち位置に立つのは、数万年足りぬ!
幾ら蛇からの誕生をすっぱ抜いて生まれたとしても、未熟で天候さえ操ればしないだろう!
そればかりか、愚かな馬鹿に成り果てた故、半殺しの目に合わせて人の世で修行しろ!と下積み生活をさせている!
龍として未熟、未成熟の四龍では魔界の結界は張れぬ!
お前等は地龍を軽視し追い詰めてた
故に銘を虐めていた奴等には【復讐の序章】を発動しておいた!
復讐の序章とは追い詰め虐めた者の立場を解らせる呪法!
悪夢は続く、お前等が死にたくなるまで逃れられはしない!
楽になるなら死ぬしかない!
だが死んだからと言って楽になどさせはしない!
死したとて、その術式からは逃れられはしない!
ならどうしたら逃れられるか?教えてやろう!
それは人を軽視して虐げた軽率な己の態度を嫌と言う程に解り、マイナス0から始められるが良い
其処まで堕ちたならば、這い上がるしかない!
嫌ならば認めて這い上がれ!
さぁ四龍よ、魔界の結界を強化してバランスの天秤を正常に戻すがよい!
そして四神もそれと同時に其々の山へ行き、その上に重ねて結界を張って下さい!
炎帝、重ね掛け宜しく!」
烈が謂うと閻魔は前に出て
「それでは青龍以外の四神は其々の山へ移動して下さい!
青龍、貴方は大変になりますが、気張ってお願いしますね!」と言う
青龍は「了解しました!先に四龍の結界ですか?」と問い掛けた
「はい!東西南北 四龍の結界をお願いします!」
閻魔が謂うと四龍は龍になった
烈は「虹 ボクを四方八方散らばった四龍の中央の場所に乗せて行って!」と言うと虹龍は龍になった
四龍は四方八方に飛んで行き、東西南北 自分の位置する場に立った
虹龍はその中央の位置に烈を乗せていた
黒龍は呪文を唱え衝覇を赤龍へ飛ばす
赤龍はそれを受け止め、衝覇を青龍に飛ばす
青龍はそれを受け取り地龍に衝覇を飛ばした
地龍は衝覇を受け止め天高く飛ぶと、一気に急降下して地脈に飛び込んだ
そして魔界中の地脈に衝覇を飛ばすと、大歳神が根を生やし魔界全土に結んだ
それを見届け、地龍は地脈から飛び出すと己の位置に立った
烈は四龍が位置する場に杭を飛ばした
四龍はその杭を受け取ると烈の方に杭を向けた
烈は呪文を唱えると、閻魔が雷電結界を飛ばした
杭がビリビリ雷を吸い込み蒼く光る
烈は「虹!」と言うと虹龍は大きな虹の橋を魔界に掛けた
虹の橋が架け終わると、四龍は杭をその場に打ち付けた
そしてバランスの天秤へ飛び込んだ!
天秤がグラグラ揺れると魔界の地もグラグラ揺れた
そして安定すると、四龍は天秤から飛び出た
それで四龍の仕事を終わった
青龍は背中に妻を乗せると、青龍の山に急いだ
東西南北 霊山が聳え立つ
四神はその山の頂上に立ちはだかった
玄武が呪文を唱えて衝覇を飛ばす
白虎がそれを受け止め、朱雀に衝覇を飛ばす
朱雀は青龍に衝覇を飛ばした
青龍は衝覇を受け止め、呪文を唱えて衝覇を炎帝へ飛ばした
炎帝はその衝覇を受け取り、呪文を唱えながら魔界全土へ衝覇を飛ばした
キラキラ 流れ星の様に炎帝が飛ばした衝覇が堕ちて逝く
魔界全土の地脈の安定を確立し、総結界の張り替えは成功した
青龍は「私はもうヘロヘロですとも!」と疲れ切っていた
四龍 四神 烈と虹龍が地面に降り立つのを見届けると閻魔は
「魔界全土へ四龍の結界とバランス、四神による総結界のセレモニーを行いました!
此れは朝 四龍と四神を集めて、ぶっつけ本番で行った総結界です!
事前に聞かされている訳ではないのに、四龍も四神も頑張ってくれました!
魔界には四龍も四神も存在なくしては成り立ちません!
無論 神々も龍族も役務に着いてる者も、総てが一丸とならねば、この先は乗り越えられはせぬ!
皆で力を合わせて世界会議を成功させましょう!
そしてこの先も皆 鍛え上げて魔界を守ろうではないか!」と言うと皆が賛同し盛り上がった
もう四龍に地龍いなくても大丈夫なんじゃね?とは謂れはしないだろう!
烈はヘロヘロになった父を労るべく
「母しゃん、此れで父しゃんを洗ってあげて下さい!」と言い渡した
烈は【シャンプー】【リンス】【石鹸】【オイル】と目印を書いて康太に渡した
手にしただけで甘い良い香りがする
榊原はそれを見て疲れなんて吹き飛ばして
「それでは夜まで僕達は自由時間と謂う事で!」と言い康太を引き摺って風馬に乗って還って行った
兵藤はそれを見て「現金な奴!」とボヤいた
一生は「飯食わしてくれ!」と頼んだ
朝から広間に集められ、ぶっつけ本番でセレモニーをやらされたのだ
腹も減るってもんだ
素戔鳴尊が「ならば家に帰り飯にするか!」と言う
素戔鳴尊の屋敷へ皆ゾロゾロ向かう
素戔鳴尊の家では宇迦之御魂神が料理を作っていた
烈は走り出して「うーちゃん!」と抱き着いた
宇迦之御魂神は烈を抱き締めて
「さぁ朝を食べましょう!用意は出来てます!」と言う
一仕事終えた一生 兵藤 聡一郎 神威 閻魔 黒龍 地龍 明咲 虹龍は屋敷の中へ入って逝く
その後を弥勒 建御雷神 天照大御神 釈迦が続いて入って行く
閻魔は「今宵は皇帝閻魔がやって来ますね!」と謂う
烈は「………父しゃん………終わってるかしら?」とボヤく
一生は「今は朝だぜ!魔界の一日は人の世の二日分だ!
夜には起きて宴会に来るだろ?
来なかったら俺が呼びに行ってやるさ!」と言ってくれる
烈は「カズ……でも最中見ちゃうかもだから………」と謂う
「大丈夫だ、俺等はそんなの見飽きる程に見て来たからな……」とボヤく
聡一郎も「でしたよね、最近は子供がいるから自制してますが、18の頃の伊織は所構わずでしたからね…………もぉ何か二人は犯ってるの当たり前みたいな感じなんで大丈夫ですよ!
僕も夜になったら赤いのと一緒に迎えに行きますよ!」と言ってくれる
烈はふと考えて宗右衛門の声で
「あやつは………わしの目の前で犯っておったわ!そう言えば…………」とボヤく
ワンセット転生の苦悩を語る
大歳神は爆笑し、弥勒も笑っていた
そして「この先も新婚な二人に!」と言い乾杯と盃を高く掲げた
素戔鳴尊の屋敷に楽しげな笑い声が響く
妖精が飛び交い、楽しそうな声が響き
とても楽しい時間だった
烈は早々に眠ってしまい、クーが抱き上げて部屋へ寝させに行った
白黒斑模様の猫はあっちこっちに包帯巻いて、怪我だらけだった
兵藤は「どうしたのよ?その怪我?」と問い掛けた
烈を寝かせに行って戻って来たクーも絆創膏や包帯を巻いていた
ルーは「何者も入り込めぬ細工を」
スーは「やりに行ってたんや!
で、かなり危険な区域の細工してたら、魔族からの嫌がらせをされ、殴る蹴るの暴行受けたんや!
即座に烈が無間地獄に突き落としマイナス0からのスタートを切らされる事となった」と説明
閻魔は「今の烈は情け容赦を幾千万光年に置き忘れた程 熾烈に消し去りますからね
まだ無間地獄ならば、情けを掛けられたと想うしかないでしょうね!」と謂う
兵藤は「あぁ、呪文一つ唱えれば、見せしめに消し去るのも可能だ!
雑巾絞りなんて生易しいのは無駄と判断したのか?それを大衆の前でやるんだよな………」と心配していた
聡一郎は「仕方有りません!烈に何故あぁも強硬なのか?と聞いたら
『変革期なのよ、魔界も!
今を起点に魔界が消えるやも知れぬ境界点なのよ!甘い事言ってたら無くなるわよ!』って言われたよ
飛鳥井の家も変革期、世界も変革期、そして魔界も変革期なんですね、と呟いたら…………
『人も変われば世界も変わる
世界が変われば、時代も変わる
文明は常に変化して、様々な様式に変化を遂げる
其処でどうすべきなのか?の判断を下せねば、飲み込まれ奈落へ堕ちて無くなるしかないのよ
そうなりたく無いから、魔族は暴動へと走るのよ
肌で変化を敏感に感じているんでしょうね
そしてきっかけさせあれば莫迦な行動へと走るのよ!』って言われたよ」と話した
弥勒は「俺は康太も烈も良くもまぁ何度も何度も膿を出し軌道修正掛けてるなって感心する
烈は康太がゴリ押しで行こうとした難問を対話と説法とで軌道修正を掛けて、皆の心に規律と秩序を植え付けた
んとに、気に長くなる作業を延々としてるんだよな!」と言葉にした
皆 頷き 明日からの熾烈な日々を思い飲んだ
その夜 冥府から皇帝閻魔がやって来た
冥府に設置したゲートを使い魔界へとやって来たのだった
夕刻頃には一生と聡一郎がお迎えに行き、犯リ疲れしてる二人を湯殿に放り込み、雪と一緒に部屋の掃除をしてやった
炎帝の屋敷は様変わりしてて驚いた
雪は今はこの屋敷では暮らしてはいないと謂う
でも食堂のおばちゃん達と一緒に生活してる今の方が楽しいです!と話す
一生は北斗も元は一つの存在だが、もう今は同じに見えない
北斗は成長期真っ盛りで来年は高等部へ上がる年になる
なのに雪はまだ小さいままだった
一生は雪の頭を撫でてやった
そして一緒に精液で噎せ返る部屋の掃除をした
康太と榊原は湯殿から上がると、サッパリとして榊原は艶々で、康太はゲッソリしていた
「烈の奴……」と疲れ果てた結果にボヤいた
聡一郎は「今度のオイルは改良版でしたか……」と康太の疲れ具合に思わず呟いた
人の世でも魔界でも烈は媚薬を作っている
専ら魔界の方は魔獣の発情期を無理やり起こし、番わせて子を成す為に作っていた
まぁ………鬼達を増やす為に鬼に横流しした時もある
それにより鬼達は爆発的に増える事になり、閻魔に恨まれたのだが………
今となったら定期的に若い鬼達を、hellへ修行に行かせられ、錬金術の修行までさせられてホクホクなのたが……
確実に媚薬の効果は発揮出来ているんだな、と聡一郎は想った
康太と榊原を迎賓館へと連れて行った
烈との約束だから何が何でも連れて行く気迫に、二人は素直に従いやって来たのだった
皇帝閻魔は康太の姿を見ると抱き締めた
そして榊原も抱き締めた
そして皆で迎賓館の奥へと向かう
すると其処には…………畳が敷かれた30畳程の部屋があった
其処にテーブルが敷かれて、宴会の準備がしてあった
既にテーブルには素戔鳴尊や建御雷神、天照大御神、弥勒、釈迦、大歳神、十二天達が来ていた
その中に迦楼羅 摩利支天 阿弥陀如来も鳳凰も司録も来て飲んでいた
素戔鳴尊は「最近は顔触れも一新し、楽しい飲み会となっておる!」と謂う
烈が金龍 銀龍 黒龍 地龍 明咲 虹龍を連れてやって来ると金龍達は飲み仲間に入って行った
銀龍は明咲と仲良く話していた
虹龍は烈の横に座り料理を食べていた
烈の横にはレイも座っていた
クロスも大きな葡萄に良く似た実に齧りついていた
宴会場の上を妖精が飛び交う
黒龍は妖精達の為にフルーツや飲みモノ、お酒を底の浅い小鉢に入れて置いてやる
妖精達は嬉しそうに飲んでいた
クー ルー スーはトキと共に呑兵衛仲間に入り飲んていた
皇帝閻魔は始終嬉しそうに笑っていた
そしてやはり孫を構い、烈とレイをお膝の上に乗せて撫でる
烈は父と母に「父しゃん 母しゃん、一陽は教えるのが上手いのよ!
あの子達、まだ人の姿に変身は出来ないけど、一陽に教えられ言葉を話せる様になったわ!」と話す
康太と榊原が逢った時はまだ、喋れなかった
体が透明だから潰したら大変だと、一陽が服を作ってやり色違いのを着ていた
今は少しずつ体に色を出せる様になり、透明なままではないし、言葉も単語なら話せる様になった
そんな可愛い様を一陽が送ってくれるから、烈は携帯のフォルダーから二人の姿を皆に見せてやる事にした
まずは金龍達 龍族に!
金龍と黒龍と銀龍と地龍と明咲が見る
その愛らしい姿に金龍と銀龍はメロメロになる
銀龍は「お会いしとう御座います!」と言葉にした
金龍は「烈の子と謂う事は儂の玄孫ではないか!
儂も是非に会いたいな!」と敢えて烈の子と言った
明咲は何も言わず笑っていた
その姿はもう悲観していた頃の姿ではない
地龍は「ならば俺は叔父として最高の龍にならなきゃな!誇れる叔父を目指すよ!」と言った
黒龍はそんな地龍の肩を抱き
「そのポジション、俺が狙ってるって!」と謂う
一生も「俺もそのポジションは狙ってるんだよ!」と謂う
するとレイが「れちゅ れいの!」と叫んだ
そして烈に抱き着き主張する
生まれて初めて抱いた嫉妬だった
そんな感情の機微など知る術などない程に、ニブルヘイムは孤独な神だった
皇帝閻魔はにこやかにレイを撫でていた
レイはすくっと立ち上がると素戔鳴尊の所へ行って
「じーたん!」と甘える
素戔鳴尊はそんなレイを抱き締めて膝の上に乗せた
烈はならば、と白い猫と白黒斑の猫とで皇帝閻魔の膝の上でフルーツを食べていた
皇帝閻魔は「君の白い猫がクライスの所へ来て、美味しい野菜を作れる様に土壌から改良しろ!と言って来たらしくてね
クライスは妖精達に種を掛け合わせして貰い、それはそれは美味しい野菜と果物を作ると言ってました!
なので近い内に是非遊びに来て下さいね!」と謂う
烈は「それは楽しみだわ!また逝かせて貰うわ!」と話す
楽しげに冥府の改良を口にする
行く行くは自分が逝く世界だから、より快適な生活空間は欲しいとばかりに冥府の改善をクーに伝えていた
時にはルーとスーも視察に行き、些細ないざこざも見逃す事なく伝える
皇帝閻魔はその都度、正して行き我が子や伴侶殿、そして孫がやって来てくれる冥府を正していた
皇帝閻魔と烈が仲良く話をする様を康太は嬉しそうに見ていた
昔の親父殿ならば………世界会議の前に冥府を出て魔界へ来る事なんてなかった
それが今の皇帝閻魔は、会議の前にやって来て皆と交流の時間を持っていた
信じられない想いだった
皇帝閻魔は「迎賓館の奥にこんな部屋があるなんて思いもしませんでした!」と話した
「迎賓館はね、聖堂と会議場と宿泊施設を備えて建てられいるのよ!
世界会議を視野に入れ、迎賓館はなくてはならない建物になる!と閻魔様と話してね
鉄筋はタングステンで出来てるから、頑丈でコンクリートみたいな砂に白い粉を混ぜて神聖な雰囲気を醸し出す建物になったのよ!」
と話す
「烈は天地創造 開闢の書を………使えるんでしたね、ならは………何故それを使わなかったのですが?」
「そんな簡単に建つモノなど、魔界のシンボルにもなりはしないからね!
苦労して皆で立てなきゃ意味がないからなのよ!」
「皆で………建てる……そうですか………
君はそう言う考えの持ち主なのですね!
我が弟 皇帝炎帝がそう言う考えの持ち主でした
弟は常に皆と努力して何かを成し遂げる
そんな………存在でした」
「それは母しゃんとソックリね!
母しゃんは皆で何かをする意味を真っ先に考える人なのよ!
ボクの母しゃんは凄い人だから、皆 一丸となり頑張るのよ!
ボクには………まだまだその領域には力不足だから、ボクはボクなりに母しゃんの様になれる努力してるのよ!
ボクの母しゃんはね……」
と、母を語らせたら止まらない
皇帝閻魔は黙って烈の話しを嬉しそうに聞いていた
康太はそんなに持ち上げるな!ハードル高くすんな!と内心焦っていた
榊原はそんな我が子の想いに嬉しそうに飲んでいた
皇帝閻魔は「君の口から炎帝の日常が垣間見れて嬉しかったよ!ありがとう!我が子の元に生まれて来てくれて!」と言い烈を強く抱き締めた
烈は皇帝閻魔に抱き締められ、蒼く瞳を輝かせると「トキたん!」と名を呼んだ
トキは皇帝閻魔の首筋に刺さっていた小さな黒曜石の欠片を嘴で引っこ抜くと、皇帝閻魔は気を失った
クーが皇帝閻魔の体を烈から離して寝かさせた
トキはその黒曜石の欠片を烈に渡した
康太は「それは何なんだよ?」と問い掛けた
「皇帝閻魔を見掛けた時、揺らぎがあったのよ
だからレイたんは膝の上から退いて、ボクに知らせたのよ!
そしてトキたんとクー ルー スーはその揺らぎの位置を確かめてくれていたのよ
多分、冥府から出た所でトラップ仕掛けて有ったかもなのよ!
まさか首に黒曜石の欠片を突き刺さられていたとは……」
素戔鳴尊は皇帝閻魔の首筋の怪我を見せる為に義泰を呼びに行った
義泰は医療庁に待機して、後で飲みに来る予定だった
メスや手術用の針の手入れをせねば!とまだ来ていなかったのだ
素戔鳴尊に呼ばれて慌てて義泰はやって来た
皇帝閻魔は寝かされていた
義泰は消毒して欠片が残ってないか?調べ上げた
そして傷は小さいから絆創膏を貼って手当てを終えた
そして赤い実の気付けの実を口の中に放り込み、様子を見た
暫くすると皇帝閻魔は目を醒ました
「私は?何をしてました………あ、烈と話していて、烈の母しゃん褒めを延々と聞いてました!」と笑って言う
烈は「意識は乗っ取られてはいないわね!
皇帝閻魔じゃなかったら意識は乗っ取られていたわね………多分………」と言った
康太は「親父殿、こんな黒曜石の欠片、何処で刺したのよ?」と怒りのオーラを全開に問い掛けた
「今回私は冥府の外に出来た異空間を取り除いて貰ったので、冥府に描いて貰った魔法陣で直接魔界へ来ました!
あの異空間があると崑崙山へ出ねばならなかったのですが、今回は魔界へ直接来たのです!」
「なら其れを詠んだヤツの仕業か?」
康太は呟いた
ニブルヘイムは「魔界は総結界しましたから、此方から呼び込まねば入り込めない様に烈がしましたからね、入り込めるチャンスを作りたかったんでしょうね!」と話す
榊原は「それでチャンスとばかりに皇帝閻魔の首に黒曜石の欠片を飛ばした………と?」と呟く
烈は「それも想定内だから大丈夫よ!
まさか皇帝閻魔の雰囲気に揺らぎが出ていたから慌てたけどね………」とボヤく
皇帝閻魔は頭を齧ってる白黒斑の猫を指差し
「其れより………コレ………取って貰えませんか?」と謂う
康太は「どうだ?意識は乗っ取られてねぇか?」と聞く
皇帝閻魔は何が何だか解らずに……「あの……猫………」と謂う
ルーが齧り終わると次はスーが齧る
ルーは「この方は元々が闇に染まってるので、闇の方は解りませんが、意識は乗っ取れません!」と答えた
スーも齧るのを辞めると
「やな、元はハデスとサタンの闇と魂を持つ者やからな!
闇に操られる理由などないし、意識を懐柔するのは無理な話やわ………
やけど弱点を探られたら不味いから探ってみたんやけど………この人今は倅と婿と孫とちっこちのと過ごす時間が楽し過ぎて、其れで埋め尽くされてて……其れが弱点になるんやろか……想うわ!」
とボヤく
レイがちっちゃな手で、皇帝閻魔の頭を撫でる
烈が葡萄みたいな果実をお口に放ってやる
気付けの実は苦いのだ、後味が悪いから果物を食べさせていた
至れり尽くせりの状況に皇帝閻魔は嬉しそうだった
クーは「皇帝閻魔は日頃 錆びたらもう会わないからね!と言われてるから鍛え上げて来たからこそ、欠片は其処まで深くは刺さらなかったが………
下手したら首に直撃したら首が折れても、おかしくなかった!」と話す
ルーとスーは「そう!」「やな!」と謂う
義泰も「筋肉で止めてなければ、此処では手当は無理だから人の世に逝くしかなかった!」と話す
康太は怒りに任せて欠片を燃やそうとした
其れを閻魔が止めて無限牢獄要塞へと瞬間移動させた
皇帝閻魔は「倅と婿と孫とちっこちのに会えるのが嬉しすぎて、少し痛いかな?とは想ったのですが………気にもなりませんでした!」と謂う
皇帝閻魔は手当てが終わると起き上がり、皆と楽しげに宴会を始めた
呑兵衛も中断した宴会を再び始めた
烈は皇帝閻魔の膝の上で丸くなり寝てしまった
康太は烈なら畳には座布団用意してるだろうな、と想いクローゼットの扉を開けた
すると座布団があり、それを敷いて烈を寝かせた
榊原は上着を脱ぐと烈の上に掛けてやった
そしてついでにレイとクロスを烈の横に寝かせた
皇帝閻魔は「こんな楽しい一時をありがとう!」と感謝の言葉を口にした
素戔鳴尊は「我等 【祖父の会】は孫に甘いジジィの会故 たまにはお忍びで飲みに来られればよい!余暇まで役務で潰す必要などないであろうて!」と言い笑う
皇帝閻魔は「それは良い!ならは私も祖父の会に入ります!甘い祖父目指してみます!」と謂う
皆 陽気に楽しげに飲む
地龍も兄弟で楽しげに飲んでいた
銀龍も明咲と楽しげに飲んでいた
虹龍は銀龍のお膝に頭を置いて寝てしまった
銀龍は愛しげに虹龍の頭を撫でていた
鳳凰は素戔鳴に「我の苦労の種を………烈が解消してくれた!この恩は大きい!感謝しても足りぬ!」と泣きながら謂うと
弥勒も泣きながら「俺もだ!俺も感謝しても全然足りねぇよ!」と謂う
帝釈天は「泣き上戸かよ!」とボヤく
迦楼羅も阿弥陀如来も摩利支天も司録も!自分達も烈には恩がある!と泣きながら訴える
毘沙門天は「今日は泣き上戸ばかりの様だな!」と笑って飲んでいた
十二天の中に羅刹天は名前が被るから、世界会議の間は出席は出来なかった
だからブーブーと文句を言い、ボヤきながら飲んていた
康太は「此方は絡み酒やんか!」とボヤいた
まっ、なにはともあれ、世界会議は明日の晩から受け入れを始め、人の世時間の15日から会議は始まる
羅刹天達 地獄界も今回は魔法陣からの転移でやって来る事になっていた
魔界からの出入りは一切許可されてはいない者は入り込めない空間を作り上げのだから、地獄界の者達にも同じ様に転移の魔法陣に乗り来てもらう事になっていた
準備は着々と出来ていた
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