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第29話 世界会議 in魔界

その夜 皇帝閻魔は迎賓館横の高級ホテル並みの施設へ案内され泊まる事になった 久し振りに気持ちの良いお酒だった 康太と榊原は皇帝閻魔の部屋まで着いて行った 皇帝閻魔は「どうしたのですか?」と問い掛けた 康太は「本当に大丈夫なのかよ?なんか変なの埋め込まれてねぇだろうな?」と心配していた 皇帝閻魔は笑って「烈の猫が調べてくれたでしょ?大丈夫です!少し痛いですが今の所何もありません!」と答えた 「親父殿………転移の魔法陣に仕掛けられたのか? 魔法陣の移動を狙うなんてのは………不可能に近い ならば………何処で………と思ったんだよ」 「多分ですが、私は魔界へ来る少し前に私は……七賢人八賢者の住まう所へ行っていた! そして其処で話をして崑崙山から冥府へ向かう時、首に何やら刺さる痛みを感じた でも触れても感触さえなくて……私はあの欠片が解らなかった 烈とレイには視えていたのに、私にはそれさえ視えはしなかった……… 私も不思議に思っているのですよ!」 康太もサッパリ解らなくて……取り敢えず桃源郷近くの屋敷を何故尋ねたのか?聞こうとした すると其の時、ドアがノックされ皇帝閻魔がドアを開けに向かった ドアを開けると其処には………烈とガブリエルと……… 天空神 三神が立っていた 天空神 アトラスは「部屋に入っても宜しいかな?」と尋ねると皇帝閻魔は皆を部屋に招き入れた 天空神 三神は部屋に案内されるとソファーに座った 烈とガブリエルも空いてるソファーに座った ゼウスは事の詳細を話した 「皇帝閻魔よ、首に黒曜石の欠片を突き刺しておった……とか? その黒曜石の欠片は先程 我等が調べに行った 烈が無限要塞牢獄に閉じ込めたと申すから、確かめに行ったのじゃが……… 中へ落とされた瞬間、黒曜石の欠片は中の魂を喰らい、一つの膨大で凶暴な存在になっておった まだまだ増殖中故 粛清の光で清めて閻魔に雷鎚を落とさせ弱らせた後、消滅させておいた! 何処までも用意周到で、その凶暴な存在は世界会議の頃には程良く育ち無限要塞牢獄をぶち破り出て来る計画だったみたいだ! それに一役買われたようだな!」 皇帝閻魔は黙って聞き 「アレは私には解らない様に加工していたのですか?」と問い掛けた ウラノスが少しだけ眉毛を寄せて苦痛な表情をした後に話した 「皇帝閻魔よ、主の体の半分以上の力は倅に受け継がせ………主は………もう既にハデスの力もサタンの力も全盛期の頃よりはかなり劣ってしまっておるのじゃよ! 全盛期の頃ならば、主はそんな欠片など弾き飛ばしておったじゃろう! 今の主は………今まで培った力で誰よりも強い、じゃが確実にその力、日々劣って言っているのは理解しておろう?」 と、真髄を突く話をする 皇帝閻魔は観念した様に………ガクッと崩れ落ちると 「……すべてお見通してですか………」と呟いた 烈は「総て与えるのが親の愛じゃないのよ! 貴方がこの世から消えたら……母しゃんの悲しみを予想した事ある? 悲しみを飛び越えて……絶望に堕ちるしかないのよ! 全てに絶望し自分を恨むのよ、こんな傀儡を何故誕生させた!と自分を消したくなる……… そんな母しゃんの想い………理解してる?」と説教をする 皇帝閻魔は「私はわが子が愛しい………大切なんだ!この生命よりも…大切なんだ!」と訴えた 「そりゃ大切なのは解るわ! ならば皇帝閻魔に聞くわ! 貴方が死にそうだとするわね! そんな貴方を見てられなくなくて、皇帝炎帝は己の命を削り父を助けるとするじゃない 貴方は命を繋がれたけど、我が子は日に日に命を削り弱って行くしかない なのに貴方は其れを見てるしか出来ないとしたら?」 「それは嫌だ……それは耐えられない………」 「同じ事してるのよ!貴方は! 我が母は誰かの犠牲の上に成り立つ生活など欲しくはないのよ! と謂う事で、皇帝閻魔、半分息子から返して貰いなさいよ!」 「え?………何を言って…………」 「半分以上父親に返した方が、母しゃんが暴走したとしても父しゃんも止めやすいのよ! 余計な力を与えられても、喜ばないわよ! さぁ、天空神様 この二人と伴侶を連れて行って、サービスで元気にしちゃってくれたら嬉しいわ!母しゃん熱出してたし! 元気になったら世界会議片付けて、家の事も片付けないとならないのよ! もう寝込んでる暇なんてないのよ!」 プンプン怒り烈が謂う 天空神 三神は苦笑して、皇帝閻魔と康太と榊原を連れて、ゲートまで向かい呪文を唱えると姿を消した 烈はガブリエルを連れて、別の部屋に移動した 「悪かったわねガブたん!」 「いいえ、構いません! ですが、皇帝閻魔が弱っていたなんて知りませんでました………」 「そりゃ己の半分以上の力をわが子に与えれば弱るわよ! 幾ら創世記の神だとしても、力の維持は年々厳しくなるわよ!」 「何故、それに気付きました?」 「少し前にボクは皇帝閻魔の焔を借りた事があるのよ! その時 母しゃんは「アレは力加減した焔だ!皇帝閻魔の焔はあんなモノではない!」と言った でも世界の危機だと助っ人を頼んた時、皇帝閻魔が出した焔は………ボクが一度の約束で借りた焔と同等の威力だった ボクは水晶でじぃさんの記憶からその映像を見せて貰ったのよ! そして見比べて三神に尋ねに行き、それも聞いた事があるのよ そしたら創造神が『アヤツの体内の半分以上の力は倅に分け与えてしまったから、力は弱るのは当たり前だ!』と言われたのよ これから熾烈な闘いに突入するのに、最終決戦は皇帝閻魔と皇帝炎帝、そしてニブルヘイムの力が主力となるのよ それなのに力不足で負けました………だとこの蒼い地球(ほし)がなくなるしかないじゃない!」 烈が謂うとルーが「チャンスとばかりに皇帝閻魔を齧ったのはその情報を創造神へ届ける為!」と謂うと スーが「そうやで!ルーが【ハデスとサタンの力】わいな【皇帝閻魔の力】などの情報を伝える為に態々噛んだんやからな! 本当ならあんな不味いの食べたないわ!」とボヤいた ガブリエルは「で、その結果は?」と問い掛けた クーが「皇帝閻魔はこのまま静かに朽ち果てる気だった とこしえの時を終える気でいたんだよ! 直ぐじゃない………愛した妻と弟の歹を亡くした子の体内に入れ蘇らせた我が子の行く末を見届けたら、愛する妻のいる所へ行く気でいたんだよ…… 伴侶が出来て安定したのを見届け、己の力を倅に引き継ぎ与えた 今は消し炭の燃えカスって感じだからな……」と話す 烈は「そんなに簡単に楽にはさせないわ! 最終決戦在るのに、全力投球出来ないなんて冗談じゃない!」とボヤく そしてガブリエルを見て 「カブたんもさ、一生懸命働いとけば、余生は魔界でスワンと共に過ごせる様にするわよ! スワンの大好きな湖の前の家、青龍から貰い受けたから、それをプレゼントするわ! 其処でスワンと共に過ごしたいなら、頑張るのよ!」 と目の前に人参を差し出され酷使させられる ガブリエルは「烈!!」と感激していた 「でもさ、どっちがどっち犯るか決めてるの?」 「え!!それは何を!!」 「カブたん挿れたい方?挿れられたい方?」 ガブリエルは真っ赤になった 「まぁそれも今は穢れを知らぬ天使だから、引退したら考えれば良いのよ!  スワンには性教育しといてあげるからさ!」 ガブリエルは気絶寸前だった 烈は笑っていた 猫達は暇を持て余して宴会場へとガブリエルを引っ張って行った! 烈は素戔鳴尊の屋敷に行き寝る事にした その頃 天空神 三神に連れられ天界までやって来た皇帝閻魔と康太と榊原は、神の扉まで連れて行かれた 神の扉の前に跪くと創造神の声が響いた " 皇帝閻魔よ、これから最終決戦へ向かうと謂う時期なのに、その力 消し炭に近いとクー達から報告が上がったのじゃ! そんな事態は赦されぬのは知っておろう!” 「やはり……無策で齧っていた訳ではないのですね!」 皇帝閻魔は呟いた "ルーとスーには、主の中のハデスの力とサタンの力、皇帝閻魔としての力を調べて、我へと知らせた あの猫は烈の為の存在であり、情報は常に共有されるべき存在であるからな“ 「あの猫!!」 と曲者の猫にボヤく "皇帝閻魔、倅に与えた主の力 半分は主へと戻す事にする!異論はないな?“ 「私は気の遠くなる程の時を生きて来ました…… 愛する妻がいてくれれば………まだ保てた心が壊れていたのかも知れません…… 私は楽になりたかった………こうして我が息子も伴侶を得て親となり成長した もう私には思い残す事などありません! なので放っておいてくれませんか?」 "それは無理だな!『そんな簡単に楽にしちゃ駄目よ!最終決戦あるのに楽になろうなんて考えが甘いのよ!そしてあわよくばより高性能なのをサービスして、全盛期と同じ位で手を打つわ!』と言われておるからな、放ってはおけぬのじゃよ“ 創造神の言葉を聞くなり康太は爆笑した 「それ、烈やんか!アイツ、父ちゃんや相賀にも楽させたらボケるわよ!と言っちまう奴だかんな! んなには簡単には楽にはさせてくれねぇよ! それに親父殿、オレは親父殿の命を貰って永らえても嬉しくなんかねぇよ! オレの息子が言ってたやんか! オレは誰かの犠牲の上に成り立つ生活は送りたくねぇんだよ!」 「でも、お前の倅は最近の母しゃんはボクに仕事を放りやがるからお茶する時間も中々取れないのよ!とボヤいてましたよ?」 「オレは孝行息子に楽させて貰ってるから良いんだよ!」 そう言い笑う 本当に心から楽しんでる笑顔だった 「私も孝行息子に楽させて貰いたいです!」 「それはまだ無理だな! 親父殿の孫が、楽させるか!と見張ってるかんな そんなに簡単には楽にはさせてくれねぇよ!」 「私の孫は己にも祖父にも厳しい鬼ですね……」 「あぁ、その鬼の部分は伊織の魂を与し子だかんな!皆から鬼と評判だ!」 康太は笑うが、榊原は苦笑するしかなかった 「伴侶殿………」 三神は笑って「「「サクサク始めねば世界会議が始まるわよ!と怒られる故 始めるぞ!」」」と謂う 皇帝閻魔は頷いた 三神は球体に皇帝閻魔を入れると康太の体も球体の中へ入れられた 三神は康太の体から【力】となるコアを抜き出すと、ハデスとサタンの【力】のコア抜き取った 皇帝閻魔の体から核となる【力】ハデスとサタンの【力】コアを抜き取ると一つにして捏ね回し始めた 総てのコアと力を混ぜ合わせ一つの大きな黒いボール状のモノにする その間に体をコネコネと捻じ曲げたり、折り畳んだり、伸ばしたり、と烈がされた様にされていた 康太は「ぐぇっ!」「潰れる!」「裂かれる!」「潰れる!」と叫びまくっていた 皇帝閻魔は静かに耐えて成されるが儘だった 榊原はその様子を心配して見ていた ゼウスは「青龍よ、主は強い炎帝の力を継承してしまっておる その力は青龍としての力を衰えさせておる この機会に主も死命を果たせる様にしてやろう!」と言い榊原も球体に入れられた そしてコアを抜くと炎帝から引き継いだ【力】を半分以下にさせ、余分な力は大きな皇帝閻魔と炎帝のコアのボール状の中へ混ぜた そして正義と秩序をより強いモノにして織り成していく そして何やらピンクの球体を手にすると 「此れは妻への愛の詰まった青龍の想いだ 烈が態々 日々の垂れ流しの愛を球体に織りなしてくれたので、青龍と炎帝の中へと入れてやろう! 藍は最大限の活力剤となる!と言う事だからな!」と笑うとピンクの球体を半分にすると榊原と康太の中へと入れた そして劣化した細胞を取り除き、創り変えて行く ゼウスは皇帝閻魔と皇帝炎帝の力を織り合わせたコアのボール状のモノをスパッと6対4に切り分けた ウラノスとアトラスが6のコアと力を手にすると、皇帝閻魔の中へ戻した そして4のコアを手にすると皇帝炎帝の中へと戻した そして青龍の体内には青龍の山の凍てつく冷気を呼び寄せて織り交ぜた冷気を織り成して創り上げていく 炎帝と青龍には闇に特化した力を、皇帝閻魔にはより強い闇を調伏出来る力を与えた 劣化した神聖を取り除き、力を満ち溢れさせ、闇に特化した光を入れる 皇帝閻魔と皇帝炎帝の仕上げも順調に仕上がっていた 皇帝閻魔は闇に特化した神聖を、皇帝炎帝には焔に特化した神聖を織り成し仕上げて行く 青龍には闇に染まらない光と最高の冷気を織り成して仕上げられて行く 皇帝閻魔は力が漲るのを感じていた このまま……落ちぶれ……朽ち果てるのならば、それで良かった……… 「あの子はまだまだ私を酷使しますか……」とボヤいた 力が漲るのを感じた皇帝閻魔とは反対に、康太の体、嫌 皇帝炎帝の体は変化は感じられなかった まぁ、力を全開放する事は滅多とない その時は………己か死する時だけ………そう想い封印していたから、然程の変化は見られなかった でも力は漲る 焔が燃え滾る様な生命力に漲っていた ウラノスは「その漲る力はサービスじゃ!」と笑う アトラスも「サービスしとかねば、また文句謂うではいか!」とボヤく ゼウスは「さぁ創造神よ!最後の仕上げを!三種三様、互角の力を!」と謂う 創造神は呪文を唱えると皇帝閻魔と皇帝炎帝と青龍の体が光った "最終決戦を視野に入れた【力】を主要な神々に与える事にした! 聖神にも与えると申したのに、要らないわよ!そんな力! そんな力を手にしたら余計酷使されるじゃない!その分ボクの両親に与えてよ!と申したからな 主らに特に増々でサービスしたのじゃよ!“ その言葉を聞き康太は「アイツ!」とボヤいた "最終決戦もそう遠くはない それ故に己の力を磨き上げ、備えねばならぬのじゃよ 炎帝 青龍よ!世界会議を成功させるのじゃ! そして一括審議方式で結論を出して粛清の狼煙を上げるのじゃ! 先頭を逝く主の倅を手助けしてやるのじゃ“ 「解ってんよ!この命に賭けても護ると決めてるかんな! オレは我が子が愛おしい! 愛おしい我が子の為にならば、悪魔でも神にでもなれるんだ!」 "それでよい! ならば逝くがよい! 世界会議当日の朝に送ってやろう“ そう言い創造神は皇帝閻魔と康太と榊原を魔界へと送ってくれた 迎賓館のゲートの上に転送されると、一生が待ち構えていた 「よっ!お帰り!」 「あんでお前いるのよ?」 タイミングが良すぎて、思わず問い掛けた 「俺は白黒斑の猫二匹に飛び蹴りされて起こされて、出迎えに行けと言われたんだよ! 飯食ったらやる事は沢山あるから働け!と言ってるから早く飯食って動くぞ!」 「昼前には来るんだよな?」 「そうだって!だから早くしろってば!」 一生が急かすから慌てて着いて行く 皇帝閻魔は閻魔庁の職員に案内され部屋へと案内され朝食を運ばれた 一生は康太と榊原を引っ張って迎賓館 会議ホールを突っ切って行く 迎賓館の横の会議場には国の表記とネームプレートが有り、その上に書類が配られ、鬼達がせっせと働いていた それに混じり虹龍の姿があり、康太は「虹!」と声を掛けた 虹龍は康太達の姿を見るとペコッと頭を下げ、走って次の仕事に取り掛かった 走って行く先に烈の姿があり、一生は「早くしろ!」と急かした 康太は「何処に行くのよ?」と問い掛ける 「飯食うんだよ!」 「え?何処で?」 「迎賓館の厨房で朝食を選んで、畳のあった部屋で食うんだよ!」 そう言われ厨房へと向かう 厨房には色んな食事が器に入れて並べられていた それをお皿に取り分けてトレーに乗せて、畳の在る部屋で食べる 朝から美味しい料理を食べていると一生が 「世界会議の最中は俺等は此処では食えねぇから、食堂へ移動しねぇとならねぇんだよ! まぁお前等は晩餐会に出るんだろ?」と問い掛ける 康太は「晩餐会……出たくねぇな……」とボヤく 「烈とレイは出れねぇぞ!」 「お子様だもんな………オレ等が出るしかねぇか……まぁ人の世から閣下とか政治屋来るし、其奴等に任せて大丈夫やないか?」 「其れより烈とレイ、世界会議に出るのかよ?」 「議題の発案者だから出るだろ?」 「今回の議題は、一括審議方式なんだろ?」 「まぁ血で血を洗う闘いは終わるべきだし、それで済めば安いもんだろ?」 「今回の烈、本当にどうしたのよ?と謂う程に非情で俺は心配になる………」 「仕方ねぇよ………非情にならねぇと越えられねぇ壁だかんな…… オレだって此れより先は情けなんて一切掛けねぇよ!烈に牙むくならば、その命は無くなると思うしかねぇ!」 康太の覚悟の瞳に一生も覚悟を決める 「ならば俺も覚悟を決めねぇとな! 俺も情け容赦を一切断ち切る!」と謂う 其処へいつの間にか来たのか?烈が 「カズ、そんな事は良いから龍族の衣装に着替えてお出迎えしないと駄目よ! 龍族の衣装は持って来てる?」 「親父のか?」 「カズのよ!無くしたりしたら無間地獄に落とすわよ!」 「え!無くしてねぇよ!家にある!」 「絶対に?」 「絶対……だと………想う……」 「あ~もぉ〜無くしたら欠席だから! 四龍の兄弟に恨まれちゃうわよ!」 烈の言葉に榊原はピキッとなり一生を見た 其処へ聡一郎がやって来て 「そこら辺にしといてよ!余力残しとかないと生きる屍になるよ!」 「なら、そーちゃん正装見付けて着させてね! でないと、そーちゃんの髪、ツインの三編みするからね!」 「それは嫌だよ!ツインの三つ編みした司命なんて、皆に揶揄されちゃうじゃないかぁ〜! さぁ、食べ終わったら金ちゃんに正装を聞きに行くからね!」 聡一郎の目は座っていた 烈は謂う事だけ告げると、忙しそうにその場を走って離れた 食事を終えた一生は聡一郎に引き摺って正装を探しに行かされた 一生の新居へ向かい正装を探す だがその家は家具は何も入ってなくガラーンとしていた 「何もないじゃありませんか!」と聡一郎が叫ぶ 一生は「俺はまだ新居に家具とか作れる程時間が取れねぇから、暇になったら烈に木材を分けて貰い作ろうと想ってるんだよ!」と話す 「なら正装は何処ですか?」 「それな、俺には解らなーずなんだよ!」 「あ~!もぉ!ツインの三つ編みは嫌ですからね!」 取り敢えず聡一郎は金龍んちを目指した 世界会議の為に金龍も人の世に還っているのだ 金龍のお宅を尋ねると聡一郎は 「すみません、赤いのの正装は何処に逝けば在るか?分かりますか?」と尋ねた 銀龍が「倅はまだ人の世なので、私が預かっておいてやってくれ!と閻魔殿が申されたので保管してます!」と答えて奥の部屋へと行くと赤龍の正装を持って来た 金龍は「此処で着替えなさい!司命は?着換えを持って来て此処で着替えたらどうだ?」と謂う 今の金龍は昔よりも断然に話しやすかった 穏やかな顔で話すから萎縮する事もないし、緊張する事もなかった 聡一郎は「なら僕も着替えを持って来て此処で着替えても良い?」と問い掛けた 金龍は「儂らも気構える故、一緒に堅苦しい正装をしようぞ!」と苦笑する 聡一郎は愛馬のクロを呼び寄せ自宅まで行き正装を持って来て金龍んちで着替えた 金龍は銀色の生地に金色の刺繍を施した韓服の様な正装を着ていた 銀龍は金色の生地に銀色の刺繍を施した女性らしいドレスの様な正装を着ていた 赤龍は真っ赤な生地に黒い刺繍が入れてある、金龍と同じ韓服の様な作りの正装だった 司命は白地の生地に金色の刺繍が施してある長服にズボンと謂う正装たった 因みに司録の正装は黒の生地に銀色の刺繍が施してある長服だった 皆 其々 個性に合わせて役職の正装を三年の年月を掛けて作らせたのだった  赤龍は「烈は何を着るんだ?」と問い掛けた 司命は「烈は真っ白の燕尾服みたいなのあるんだよ!」と話す 銀龍が「貴方急ぎませんと!虹と地龍夫妻を拾って逝かねば!」と話す 金龍が「お前達は先に行くかよい!地龍夫妻の所へは儂が呼びに行こう!」と言い外へと向かって行った 銀龍は司命と赤龍と共に迎賓館へと出向いた 迎賓館に到着すると、ゲートの前に皆が集まっていた 閻魔が「それでは良いですか?お客人を出迎えますよ!」と謂う 日付が変わる順にゲートを通って各国の要人と守護神がやって来る 烈は黒のトンプソンのスーツを着ていた 赤龍は「烈………?」と名を呼んだ だが烈は能面の様に冷たい瞳で、立っていた 各国の要人達が次々とゲートに転送されてやって来る 閻魔庁の職員達は来賓達を会議場へと案内して行く 烈はゲートに転送されて来る順に、来賓席へ案内して行く席を事前に何度も練習させていた 会議場でもやって来た国の確認をすると 「こちらの席でお願い致します!」と謂う 席に座った要人や守護神は席の前の書類の束に目をやる 何度目かで地獄界(中華圏)の要人と守護神がやって来た 元始天尊と羅刹天が参加していた そして倭の国(亜細亜圏)は閣下と堂嶋正義と唐沢達が大年神と毘沙門天を引き連れて来ていた 烈はその光景を黙って見ていた そして参加国総てが着席すると、烈はマイクを持つと 「其れでは時間が惜しいので始めます! ようこそ魔界へ、ボクは司会進行の飛鳥井烈です!」と自己紹介した 飛鳥井烈と名乗ったからスーツなのだと一生は理解した その【名】の方が世界の保護対象者としての名前と認知度が高いと名乗ったのだった 閻魔にマイクを出すと 「私は魔界を統治する閻魔大魔王に御座います! この度は魔界へようこそお越し下さいました! 隣の者は世界会議の初議案提出者として進行してくれる聖神、人の名は飛鳥井烈に御座います! では烈、司会進行をお願いします!」 と言い主催国の席に座った 烈は「本会議の主役をお連れして!」と謂うとオーディーンがドゥバイ王 カラフ・ジャッジムと妻のセーラを連れてやって来た オーディーンは特別な席に二人を座らせて、北欧の守護神の席に戻った 「本会議の議案は一括審議方式を取りました! 貴方達は話し合いに来られたのではなく、宿題に対しての答えを採決する決議を取る為! それは覆りはしません!その件は事前に各国に通知しておりました! 異論が有ると申される方は、何故どう言う思惑で反対なのか?申して下さい! そしてそれに対してのリスクヘッジはどの様にお考えか?皆様に申されて下さい!」 元始天尊が手を上げ「少し宜しいですか?」と問い掛けた 烈は「はい!どうぞ!」と言い発言を許可した 「烈殿、貴方は温厚で和平を望む方でした 私は貴方と付き合い、それを痛感しておりました なのに今回は何故にこんな強硬策に出られるのか?話を伺っても宜しいですか?」 「【今】強硬策に出ねば死者はもっとボロボロと出ます! 血で血を洗う闘いは戦火を拡大し、その場に居合わせただけの人達の命を奪うでしょう! もう魔界も想定を超える大量の死者は受け入れは不可能となります! 他国は大丈夫なのですか? 収容出来る人数と死者とのバランスは此処数年狂って来ています! 明らかにこのままの状況を続ければ、受け入れ拒否せざるを得ない状況は来るでしょう! そしたら行き場のない死者の魂は何処へ逝けば良い? ボクは天空神や創造神と話し合い打開策を占いました! もう生易しい事はやっては……いられない 神の国と名乗る国が、ドゥバイの神に領域に届く塔を手に入れたら、その戦火はもっと熾烈に拡大し占領国を増やして行く事になります ですから、あの国が………ドゥバイの塔を手にする前に叩き潰す必要がある! 貴方達は此れから生まれる子達に負の遺産を受け継がせるおつもりなのですか? 近年 神々の量も減らしつつ 明らかにテスカトリポカが他の神を喰らい力を増強させている! この状況を踏まえて、貴方達は太刀打ち出来るだけの力はお有りですか? 今現在、かなり詰んでます! 他国もかなりの嫌がらせを受けて疲弊の一途を辿ってとる! それでもボクを止めますか? 強引だと言われますか?」 烈の言葉に皆 言葉をなくしていた 元始天尊は深い溜息を吐き出すと 「異論が有って聞いたのではないのです! 君の真意が何処に在るのか? 知りたかっただけです! 君の仰る通り、中華圏内だとて天災による死者は増加の一途を辿っている 死者の数は明らかに増加している なのに我等の数は増えはしない! 辟易する作業を毎日毎日繰り返し、自害する執務官も増えているのが現状だよ 減らない死者………増え続ける死者………出口が見えない現状に不平不満を抱く者は少ないはない 我等も危機感ならば持っておる! これ以上死者が増えるならば、対策はせねばならぬ! 彼の国の神に成り代わりたい国の侵略は阻止せねばならぬ! 中東諸国を網羅したら次は大国を狙うの定石 闘いが熾烈になれば………何時か核のボタンを押してしまう可能性だとて………捨てきれぬ! 我等はそれ程に疲弊しているのだからな!」 本音を吐露した オーディーンは「其処の神の領域を侵犯して塔をぶっ建てた国の王もお越しだし、本音で語って貰うとするか! 主は………神の領域を侵した それ故にアッツラー神国成る国に目をつけられたのじゃよ! あのシンボルは神と等価の存在に位置する 信仰を広めるならばシンボルは必至! 主等はどう考えているのじゃ?」と問い掛けた カラフ・ジャッジムは深い深呼吸をすると、自分を落ち着け口を開いた 「国の象徴として前王があの塔を建てた 最先端を行く建築家にビルと象徴となる塔を融合させ建てさせた 塔はビルで上に行くに従い細長く、通常の建築の常識をぶち壊したドゥバイ象徴のビルでした! 私はそのビルと塔がどんな意味を持つのか? どんな役割があるとは思いもしませんでした 況してや神に喧嘩を売ったつもりはありません 国の象徴………父も単に我が国に誇る建築物を建て誇らせようとしただけ……… 深い意味など考えてなどいない……… だが内乱が起こり、こうして身を隠している間に、司会進行をしている烈君や、神々から己の置かれている立場や状況を聞かされ……… 私も国の民を守らねばならぬ死命を持つ身として、あの国の象徴は壊して貰って構いません!と結論を出しました! あの象徴は国に誇示した自己満足な建物でしかないと痛感致しました! 神の国の者達に略奪される位ならば……今直ぐに壊して貰って構いません! 私が国に還れ、王に戻れるならば………国の象徴は民草の皆とで創り上げる事にします! そうでなくてはならないと、未熟な我が身を見つめ直す時間を持ち、日々教育を受けました その教育を受けにつれ、如何に私は名ばかりの王だったと…………思い知らされました! ですが私は愚かな王のまま終わりはしたくはない!是非、各国の皆様 守護神様 私に力を貸して下さい! 国を立て直すのは並大抵の事ではないと理解しています! ですが侵略され国の誇りを穢される位ならば、国などなくなってしまえば良い! 国民を避難させた上でならば、国など取り潰して貰っても構いません! 私は………占い師に騙されて国を出た時点で………王としての資格はなくなっていると………思い知らされました! ですが、我が国の国民だけは助けて下さい! お願いします!」 カラフはそう言うと深々と頭を下げた 横のセーラ妃も同じく深々と頭を下げていた 元始天尊は「ならば早い方が良い!今此れから壊しに行くのはどうですか?」と問い掛けた 羅刹天も「それは良い!信仰の象徴にされてしまえば壊すのは不可能になるからな!」と続けた 各国な要人 守護神はその意見に異論はないと納得した 烈は「それでは此れよりドゥバイ象徴の塔の破壊に行きましょう! 手筈はテキストに渡してあるとおりにお願いします!天空神様 我等をドゥバイ上空にお願い致します! 要人の皆様は今後のドゥバイをどうするべきか? 話し合って下さい! 国連が介入するのであれば、政府のトップとの話し合いが必要となります! 其れ等を話し合い、我等が壊して戻って来るまでに、動ける様にお願い致します!」 と謂う 守護神達は烈の元へと集まった 皇帝閻魔も漲る力を存分に使う為に烈の横に立つ 康太と榊原も四龍も四神もその場に集まる 元始天尊と羅刹天はやる気満々だった 天空神が呪文を唱えると、瞬時にドゥバイ上空へと転送された 烈は「閻魔様、国民が逃げ出す程の雷鎚を、お願いします!」と謂うとドゥバイ象徴の塔に雷鎚を落とした 蒼い閃光がビルを走る 烈は宗右衛門の声で 「ドゥバイの民草よ、その場に合わせた者達よ!今直ぐにこの場を離れられよ! 今からこの建物は崩壊する その場に残れば瓦礫が堕ちて来て怪我する! 最悪の場合は死に至る者も出るであろう! なので立ち去るがいい! この国は変わる、我等本当の神の手で生まれ変わる!」と告げた ドゥバイの市民達は自家用車に乗って離れる者も、走って離れる者もいた ある程度市民が慣れるとアッツラー神国なる兵隊が上空にいる神々目掛けて攻撃を始めた 大年神がそんな兵隊を地面を割って根っこを暴れさせ止める 烈は「さぁ青龍!新しく得たその力でこのビルを凍らせ破壊して下さい! そしたらオーディーンや羅刹天達が頑張って破壊の限りを尽くしてくれるから!」と謂う 青龍は龍に姿を変えると天空高く飛び上がり、準備が出来ると息を思い切っリ吸い込み、そして吐き出した 凍て付く寒さがその場を包む 青龍はビルを凍らせると、その尻尾を振り回して塔を崩壊させた すると神々は己の持てる限りの力を尽くし、そのビルの崩壊を手助けをした 烈は「ニブルヘイム!」と謂うと、オーディーンの馬車に乗ったレイが雨を降らせた 「さぁこの地は我が怒りの雨に濡れなさい! 粛清されるべき存在の上に粛清の雨を降らす! この地に生きるべては外へと出た! ならば後はこの地に生きる者ではないのならは、粛清を受け入れなさい!」 と言い怒りの雨を降らせた その雨は………見た目は雨だが………まるで鋭い針の様に鋭利で全ての建物に総ての動物に、神の国と名乗る戦士達に突き刺さった 悲鳴と叫び声が鳴り響く 声が聞こえなくなると、ニブルヘイムは雨を止めた そしてその地に世界樹に流れ込む清らかな水の雨を降らし大地を濡らした 「ニブルヘイム、サザンドゥーク ルビアンカ インシャアッツラーの国々にも【粛清の雨】を降らせて! 其処の地を占拠した者達の上に降らせて下さい! そしてガブリエル、苦しめられた魂の解放を………皇帝閻魔と炎帝と青龍を連れて行って下さい! 魂は解放されるべきである! それは天地創造の創造神の願いであり、天空神 三神の願いである!」 ガブリエルは「其れでは私が血塗られた穢れを祓われた後に、天使を呼び寄せ天に召しましょう! その後にその人の罪を計り、魂を選別いたします それで宜しいですか?」と尋ねた 「はい!其れではお願い致します!」 青龍は妻と皇帝閻魔を乗せて、オーディーンはレイと元始天尊と羅刹天と閻魔を乗せた ルーとスーとクーはオーディーンの馬車に乗る 「オーディーン、ルーはルビアンカ、スーはサザンドゥーク、クーはインシャアッツラーで下ろして置き去りで良いわ!」 と頼むとオーディーンは「了解した!」と言い覇者を走らせた ガブリエルは粛清の為にその場を離れた 素戔鳴尊は孫を護る様に前に立ちはだかっていた 烈はクーと共に誓約の地の呪文を唱えていた 金龍と赤龍 黒龍 地龍が烈を護り円陣を組む 弥勒は素戔鳴尊の横に立ちはだかり、建御雷神と共に烈を護っていた 長い長い詠唱を読み上げる声が烈の声の上に声が重なる ヘルメースの声であったり、歴代の賢者と賢人の声が重なり一つの呪文を唱えていた そして呪文を唱え終わると 「誓約の地を示す門よ!限界せよ!」と謂うと、高い壁がドゥバイを取り囲む様に限界し、入り口となる門が現れた 「この地は創造神から下賜された土地 我等は創造神から土地を借りて生活をして来た この蒼い地球(ほし)は、そうして幾年月を過ごして来た なのに今の人間はどうじゃ? この地球(ほし)は自分のだとでも主張するかのように地球(ほし)を穢し破壊の限りを尽くす なのでこのドゥバイは創造神から借りた誓約の地だと解らせる為に境界を創り上げた この地に住まうならば、規律を護り、恩赦を忘れる事なく過ごされよ! この地の王はカラフ・ジャッジム! 後に戴冠式を正式に行う! 占領された国々も、正しき道へ逝ける様にレールは敷く! そして中東諸国の国は再び再スタートを切る! 和平の道を再び歩んでくれる事を願う!」 宗右衛門の声が響いた カラフは「私が王で宜しいのですか?」と問い掛けた 烈は鋭い瞳を向けると 「逃げるのは許さない! 貴方は一度己の手で潰した国を、正しい道へ導く義務があるのよ!」と謂う カラフは深々と頭を下げた 「愚かな王になるならば、その命は即座になくなる!何故ならば、この地は天地創造の創造神と誓約した地だから! 邪な者や穢れた者は住めはしない! だから貴方は正しい道へ行きなさい!」 と言った カラフは泣いていた 身を隠してから、烈や神々の教育が始まった それはそれは厳しく、教育して仕上げたのだった すると其処へ青龍がやって来た 青龍の上に乗ってる康太が 「烈、あの国は浄化は終わった ニブルヘイムが粛清の雨を降らし、ガブリエルが血塗られた穢れを祓われた後に、天使を呼び寄せ天に召しましょう!の言葉通りに天使に魂を導き上げた その後、オレと親父殿が焼き尽くし、総ての浄化を終えた! さぁ、あの地を誓約を交わして、人の住める地にしてくれ!」と言った 烈は「もうボクヘロヘロよ?」とボヤく 康太は笑って「向こうにはガブリエルもいる! ヒーリング掛けて貰えよ!」と簡単に流した 「本当に母しゃんはボクを酷使するわね………」とボヤく息子を青龍の背に乗せてルビアンカへと向かう 康太は「そう言えば世界会議には中東諸国は不参加だったな………」と呟いた 「あの国々の神は………もういないわ! 近い内に名のある神々の再生はされるわ! そして中東諸国の連合は壊滅状態で、新たに作らねば生き残りすらいないからね!」 「んとにな………胸糞悪い事しやがるよな………」 「まぁボクは他国の事に関与するのは此処までなのよ! そんなに構ってられる程、暇じゃないのよ! 4月になったら震災級の衝撃受けるからね会社 下手したら倒産よ………踏ん張らないと!」 「え?倒産……嘘………」 康太は叫んだ 此れが問題が噴き出すと謂う事なのか…… 「家も会社も終わる………  だから僕は会社を移転させようとしたり、悪足掻きしていた………でも株主調べて総会しないと、知らない株主わんさか出て飛鳥井を乗っ取る気でいるわよ!」 「株式………うちは株主特典もない親族経営の会社だぜ?何処でその株式手に入れたと謂うんだよ?」 「偽装よ、でもその偽装立証するまでに会社は乗っ取られるわ!」 「手は打ってるのか?」 「一応ね、其れを話そうとしてたのよ 柚の件と会社の件………そして4月になれば一生と北斗をイギリスに行かせる! 力哉を退職させ、北斗のサポートをさせる そして兄達だけじゃなく、飛鳥井にいる子達の配置をする! 此れは総て決定事項なのよ!」 「オレはお前が決める事に異論など唱えねぇよ! お前が敷く果てだけが、飛鳥井の1000年続く果てだかんな! だからお前一人が悩まなくても良いんだよ! お前にはオレも伊織も家族もいるんだかんな! そりゃ宗右衛門として次代への責任はして貰わねぇとならねぇけど、んなのは皆でやれば良いんだよ!」 「母しゃん………」 「さぁ踏ん張るぜ! 修正の後は会議三昧なんだろ? それだと魔界は通信状況悪いから人の世に移らねぇとならねぇかもな………」と今後の事を口にする 「それは政治屋にやって貰うしかないわね! 丁度いるんだし! 場を移すならば、閣下は既に用意してるわよ! もしもの場合に備えて通信状況確保した宿泊施設をね!」 「だな!」 康太はそう言い笑った 「そう言えばお前、創造神に力を与えてやると言われたんだろ?どうして受け取らなかったのよ?」と疑問を口にした 「元々 ボクはそんなに力のある神じゃなかったのよ!それなのに分不相応の力を貰ったとしても、持て余すのは目に見えてるわよ! 元が凄い神なら使い道もあるんだけどね ボクはそこそこより下だから………」 「貰っておいても腐るもんでもねぇのに………」 「要らないわよ! ボクはお師匠達の教えがあれば良い! 此れからもっと努力して学んで行くのに、力は不要なのよ!」 康太は烈を抱き締めた 「お前らしくて安心した お前はお前が望む道を逝けば良い! オレの背中を護るのは宗右衛門が務めだが、お前の背中を護るのは真贋の務めでもあるんだかんな!」 「母しゃん………柚……どうしたら良いか………考えて下さい………」 「家族皆で考えようぜ! 会社の方も役職全員で考えようぜ!」 烈は頷いた 青龍はそんな妻と我が子の言葉を黙って聞いて飛んでいた そして後で頑張ってる我が子を抱き締めてやろうと………想っていた ルビアンカに到着すると、烈はその地に降り立った 康太がガブリエルに「烈を癒してやってくれ!」と謂う ガブリエルは烈にヒーリングを掛けた 烈は「もうボクにはそんなに体力は残ってないので、3箇所同時に行います!」と謂う 「ルーはボクのサポートをして! スーとクーと同調して、サザンドゥークにいるスー、インシャアッツラーのクーに誓約の地の契約の呪文を唱えさせて!」 ルーは「了解やで!」と謂う 烈は誓約の地の呪文を唱え始めた 烈の声にルーの声が重なり同調する サザンドゥークにいるスー、インシャアッツラーのクーも同調して呪文を唱え始めた サザンドゥークには閻魔と元始天尊が見守る為に残っていた インシャアッツラーには皇帝閻魔と羅刹天が見届ける為にいた オーディーンはレイを乗せて、天空に待機していた インシャアッツラー、サザンドゥーク、ルビアンカ、3国同時に誓約の地の契約の呪文を唱える 長い長い呪文を詠唱し、そして最後は此処でも 【誓約の地を示す門よ!限界せよ!】 と呪文を唱えると、誓約の地を取り囲む様に塀が地面から限界し正門が出現した 康太は、嫌 炎帝はそれを見届けていた 総てが終わると、国が正常に軌道修正を掛けられ、回り始めるその日まで、その国は封印を施す事にした 炎帝は「ルー、オレと同調しろ!」と謂うと、ルーは炎帝の傍へと立った そして3カ国同時に封印の呪文を唱えた 正しく軌道に乗せられる日まで、何人たりとも足を踏み入れる事を禁じた 其処までして、やっと世界会議のテーブルに付いて話し合える状況となった 康太は「んならドゥバイへ戻って、皆と合流したら、魔界へ戻るとするか!」と謂う 榊原は「そうですね、後は話し合いとなりますからね!」と口にした オーディーンが猫達を回収してやって来ると、康太達も荷台に乗せてドゥバイへと向かった オーディーンは「次は話し合いだ!魔界へ行くぞ!」と謂う 天空神 三神は「此れよりの話し合いは人の世に携わる者達で話し合うがよい! さぁ皆 集まって立つがよい! 魔界へ送ってしんぜよう!」と謂う 康太達は皆で纏まって立つと、一瞬の後に魔界へ移動した 魔界へ到着した皆様、疲れ切った顔をしていた それを見た閻魔は今日の話し合いは無理だと察した 「今日は皆さんお疲れで話し合いどころではないでしょう! 今夜はお開きにして明日、話し合いを致しましょう!皆は晩餐会の時間まで部屋でお休み下さい!」と謂う 烈は素戔鳴尊に「じぃさん眠いわ………ボク………」と謂うと大年神が烈を背負い毘沙門天がレイを抱っこして、その場を離れた 閻魔は康太と榊原に 「お疲れ様でした! 晩餐会には出席お願いしますね! では夜まで休憩で構いません!」と告げた 康太は「了解した!」と言い榊原と共に自分の屋敷へ向かった 素戔鳴尊は唐沢と堂嶋に「我が家に来られるか?」と問い掛けた 堂嶋は閣下にも声を掛けて 「閣下、素戔鳴殿の屋敷で休ませて貰いましょう!」と謂う オーディーンが「なら儂も連れて逝け!」と言い愛馬を呼び寄せると唐沢と堂嶋と閣下を馬車に押し込み素戔鳴尊の屋敷へ向かった 素戔鳴尊は後を追い我が家へと向かった 我が家に着くと、庭に面した所に布団を敷かれて烈とレイが寝ていた その横で猫達も寝ていた 泥のように眠る烈とレイと猫達だった 宇迦之御魂神は皆が来ると想い沢山の料理を作っていた 食卓に並ぶ料理に皆は座敷に上がり、食事を始める そして飲兵衛は酒を何処からか持って来て飲むのだった 閣下も楽しい時間を過ごしていた 其処へ皇帝閻魔も閻魔と共にやって来て、飲兵衛仲間に入る 皇帝閻魔は「この先の話は国連の者達とも連携を取らねばなりません! 人の世に移して話し合うしかありませんよね?」と問い掛けた 閣下は「準備万端です!烈がその可能性も計画に盛り込んでくれてますから、盤上には上げてあります! ですが、其処へ行く前にドゥバイと中東諸国の件を話し合わねばなりません! 其処までは烈に審議権がありますからね! それ以降は政治屋や役人達が話し合い、軌道に乗せて逝けば良い事ですから!」と言葉にした 堂嶋は「まぁお子様には荷が重い事はさせられねぇからな!政治屋が頑張るさ!」と言いグビグビ酒を飲む 最近の堂嶋は鋭さに更に磨きが掛かり、尚且つ肝も据わり豪胆さが出て来ていた 唐沢は「まぁこれ以上、俺の仕事を増やしてくれなきゃ良い!」と謂う 堂嶋は「此れはオフレコだが、宮内庁を揺るがす事件起きるかもよ?と烈が言ってたぜ! 摂家 五家 鷹司を火種に宮内庁の腐った職員炙り出されて、その信頼も実績も偽りで人間不信にさせられるかもよ?と言っておったぞ!」と笑いながら謂う 唐沢は嫌な顔をして「冗談は………」と謂う 「嫌々、冗談じゃねぇよ! 世界会議が終わればゴロゴロ問題上がるぞ! それは飛鳥井の家だけに留まらず、飛鳥井の会社を発端に様々な問題が噴き出すって言ってた」 「避けては通れそうもねぇって事だな!」 「だろ?『だってボクが時間を巻いてタイミング合わせて、全部吹き出す様にしたからね!』って言ってたからな! だから世界会議終わってからが大変かもな…… お前も…………俺も………な!」 「あ~もぉ~!そんな時間巻いてタイミング合わせるんじゃねぇよ!」 と、大変になる日々を思い愚痴る 堂嶋は笑って「そんな退屈しねぇ日々に乾杯だな!」と謂うと神威と毘沙門天も盃を重ねて 「ハチャメチャな日々に乾杯!」 「退屈せん日々に乾杯!」と楽しげに酒を飲んでいた 唐沢は「やってられるか!」とグビグビ酒を飲む 皇帝閻魔は「本当に烈の周りは退屈しませんね!」と笑い乾杯に混ざった 素戔鳴尊の屋敷は多少ヤケクソな声はするが、ワイワイ賑やかに皆か飲んでいた その中に建御雷神と天照大御神と弥勒も混ざり…………もう収拾が付かない位の賑わいとなった その夜の晩餐会では嗜む程に酒を飲み、それはそれは上品に過ごしていた飲兵衛連中だった 翌朝 朝食を食べてから会期場に入り会議を始める 昨日は気付いてはいなかったが!会議場の東西南北を守る様に四龍が二階の席の中央に座していた すり鉢状になってる会議場は一階から上が見渡せ、二階からも総てが見渡せていた 金龍は烈の横に座っていた ピーンと張り詰められた緊張感が場を包む 烈は昨日同様 トンプソンのスーツに身を包んでいた が、今日のスーツは昨日の黒のトンプソンのスーツでは無く、紺の美しいラピスラズリの色に似たスーツを着ていた 烈はマイクを取ると 「魔界でのこれ以上の会議は、国連や他国の連携を必要とする以上は、無理となります! 我等は神の粛清を諍いの地に施した これから先の話し合いは我等神々が介入するのは難しくなる! よって此れ以降の話し合いは閣下が御用意した会議場へ移動され、世界や国連と連携を取り行って下さい そして必ずやドゥバイの地にはカラフ・ジャッジムが王となり誓約の地に足を踏み入れる! その時はボクが見届人として、立ち会います が、これ以上の話し合いはWi-Fiさえないこの地では不可能となるでしょう! では閣下、移動をお願いします!」と告げた その姿は誰からも文句の言葉さえ出ない程の威厳と迫力があった 皇帝閻魔も「私もその意見には賛成です! 此れよりは人の手により和平を築き、人の手で導いて逝かねばならぬ! 我等神の介入する領域は既に終えた! それでは閻魔殿、閉廷の言葉を!」と賛同してくれた 閻魔は立ち上がるとマイクを手にして 「其れでは魔界で行われた世界会議は終了とさせて戴きます! 此れよりの話し合いは人の手で間違わぬ様に話し合いをお願い致します! 我等が望むは和平のみ! それを念頭に置いて話し合いをお願い致します! 此れにて魔界での世界会議は終了です!」 と終わりを告げた 各国の神々はオーディーンが乗せてイギリスへ連れて行ってくれると言う イギリスからならば、飛んで逝けるから神々はオーディーンの馬車に乗り込んだ その時 烈がオーディーンに 「カラフ・ジャッジムとセーラ妃はイギリスに連れて行き、国が再開する日まで匿って下さい!」と頼んだ オーディーンは了承してカラフ夫妻も馬車に乗せて天空を駆け抜けて行った 世界会議に出席していた各国の要人は、魔法陣に乗り込み裏皇居の庭に敷かれた魔法陣へ飛ばされた そこからバスに乗り、会議場へと向かう 皇帝閻魔は魔法陣に乗ると、冥府へと転送されて帰って行った 各国の神々と要人がいなくなると康太は 「お疲れ!」と声を掛けた 羅刹天と元始天尊は魔界から地獄界へ帰るつもりで、遺っていた 烈は「母しゃん!父しゃん!らーくん、てんちゃん、皆で食堂に食べに行かない?」と問い掛けた 榊原は「お呼び掛かりませんかね?」と問い掛けた 康太は「まぁその時はその時だ!」と笑い その場に遺っていた者達と食堂へ向かった 閻魔、金龍、黒龍、一生、聡一郎、地龍、建御雷神、天照大御神、弥勒、素戔鳴尊、神威達は康太と榊原と烈の後を着いて食堂へと向かって行った 世界会議の間は食堂は閉鎖してあった だから貸切状態で食べられた 烈は「疲れたわぁ、もう春休みに入っちゃうじゃない!」とボヤいた 榊原は「花見 早く行かないと散りますよ!」と追い打ちを掛ける レイは「はにゃみ!」と嬉しそうに謂う 「そーよ!花見よ!メンバー来日して来ちゃうじゃない! 本当ならは沖縄から北海道まで桜前線追って撮影したかったんだけど、無理なのよね………」 「問題ゴロゴロなんだろ?」 「そうなのよ、時を見誤ると大変よ!」 「んとにな、何でそんなにタイミングよ………あ!お前タイミング合わせやがったな!」 康太は怒って料理を食べまくっていた 烈はテカチゴの欠片を母の口に放ってご機嫌を取る 「ちまちま来るのは本当に鬱陶しいのよ!」 「そりゃそうだけどさ!」 テカチゴの効力はあんましないのね……… 「おばちゃん、アレを!」と声を掛けると、食堂のおばちゃんは 「あいよ!」と言い硝子の容器を持って来て、康太の前に置いた 康太は瞳を輝かせ魔界初となる【プリン】にワクワクになっていた 「食っていいのか?」と聞くと、おばちゃんは 「皆の分も今持って来るからね 食べるんだよ!」と謂う 康太はスプーンを手にすると、プリンを食べ始めた 人の世で食べるプリンよりも味は濃厚で美味しかった 「うめぇ!」と叫び康太はプリンを食べた 榊原も閻魔も他の者達の前にも全員分プリンを置かれ食べ始めた 羅刹天は「何これ!美味しい!」と感激して食べていた 元始天尊は「此れは………家族にも食べさせてやりたいわ……」と謂う 烈は「てんちゃんちって何人家族?」と問い掛けた 「儂の家には妻と私と二人きりだが、倅が二人いて孫が四人います!」 「ならプリンは8個必要ね! 近い内に崑崙山まで来てくれるなら、じぃさんが持って行ってくれると想うわ!」 「お〜!それは嬉しい! しかし本当に美味しいな、これは!」 と感心して食べていた プリンを食べ終わると羅刹天と元始天尊は地獄界へと帰還する 烈は魔界中に張り巡らせた結界を断ち切った 「此れで地獄界に行けるからね!」と言う 羅刹天と元始天尊は烈と別れを惜しみ、地獄界へと帰還した 康太は「ならオレ等も帰るとするか!」と謂う 烈は「そうね、ちぃちゃんと明咲と虹は人の世に帰る事にするから、ボクは神の道を通り帰るわね!」と謂う 一生が「なら俺が連れて行くとする!」と謂うと 聡一郎も「なら僕も烈達と共に帰ります!」と謂う 素戔鳴尊は孫を抱き締め「元気で過ごすのじゃぞ!」と言う 「じぃさん、近い内に来るわ!」 「あぁ、待っておる!」 「ちぃちゃん、妻と虹を連れておいでよ!」と謂う 地龍は食堂の外に出ると妻と虹を連れて戻った 烈は地龍と明咲と虹と一生と聡一郎と共に菩提寺へと向かった 榊原は外に出ると龍になり、妻を乗せて飛鳥井の家を目指した やっと世界会議が終わった が、話し合いはまだまだこれからだった

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