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第30話 問題 難題 ………烈 家出
烈とレイ達は神の道を通りは人の世に戻って来た
人の世は夜なのか?暗かった
菩提寺に地龍と明咲と虹を置いて、駐車場へと向かう
一生は「誰か呼ぶか?」と問い掛ける
聡一郎は「それかタクシー?」と思案する
すると其処へ榊原がマイクロバスを運転してやって来て、皆の前で停まった
迎えに来てくれてのだ
烈とレイと一生と聡一郎は車に乗り込んだ
烈は「今何時なの?」と問い掛けた
康太は「午後7時だな、其れより………そろそろ病院の裏に戻るか?」と問い掛けた
ドゥバイは片付いたのだ
そろそろ病院の裏に戻っても大丈夫なのか?と問い掛ける
烈は「完全にドゥバイ王の座に着くまでは様子見ね!」と謂う
康太は「難問 ボロボロなんだよな?」と問い掛けた
「そうね、遅かれ早かれ直面する問題なのよ!
だからまだあの防弾ガラス入りの家からは出たくないのよね………」
考えるだけで頭痛のする話だった
「……取り敢えず家に帰るとするか!」と謂う
榊原はタワマン横の自宅へと向かった
地下駐車場へ車を停め、エレベーターに乗り一階に出て、関係者以外立ち入り禁止のドアの鍵を開けて中へと入る
細い通路を通り階段を上がり玄関を開けて家の中へと入る
榊原は「お風呂に入って着替えてらっしゃい!」と謂うと烈はエレベーターの方へ行き、エレベーターのボタンを押した
そしてやって来たエレベーターに乗り込み、レイを3階で降ろし4階の自室へと向かう
部屋に行くと着替えを持って浴室へと向かった
烈は湯船を湯を溜め始めた
湯の中にバブを投入して、溜まりつつある湯船に浸かった
お風呂に入ってると「誰?お風呂に入ってるの?」と声が掛かった
翔の声だった
「翔にー、ボクよ!」と言うと浴室のドアを開けた
「体は洗ったの?」
「今さっき帰って来て浴室に来たのよ
疲れちゃったから取り敢えず湯に浸かって疲れを取っていたのよ」
「なら背中洗ってあげる!」
と、翔は服を脱ぐとお風呂場に入って来た
スポンジを手にするとボディーソープを着けて泡立てる
烈は笑って「翔にーも洗ってあげるね!」と言う
二人は仲良く体を洗いっこしていた
其処へレイが来て「ぼきゅも!」と言うから、翔は笑って「おいで!」と言う
3人で体を洗いシャワーで流して湯船に浸かる
とても楽しい時間だった
レイはスポンジを手にすると翔を洗っていた
最近のレイの、と謂うか……………最近のちっこいの呼ばれていた子達の成長は目まぐるしいモノが在った
凛も椋も兄達も…………成長期真っ盛りだった
DNA宜しくスクスク育って行くのだ!
やはりレイは外人の血がそうさせてるのか?
かなりの高身長になれそうな成長速度だった
烈はその成長期に置いてきぼりされた感は否めなかった
お風呂から出て体を拭き、部屋着に着替え髪を乾かす
烈の部屋からドライヤーの音がすると兄達が烈の部屋のドアをノックした
流生が「帰って来ていたの?」と問い掛ける
そしてドライヤーを烈から取ると、髪を乾かしてあげた
レイの髪も乾かしセットしてあげる
二人の髪のセットが終わると、レイの部屋に行き着替えさせた
着替えが終わると兄達とリビングへ向かう
音弥は「お腹減ってない?」と問い掛けた
「なんか減ってる気もするし、減ってない気もするのよね」
魔界へ行くと何時もなんか不思議な感じになるのだ
慎一は軽いサンドイッチを作り烈とレイの前に置いた
サンドイッチを食べてると康太と榊原もリビングにやって来た
慎一は二人の前にもサンドイッチを置いた
そして飲み物は榊原は珈琲で、康太は紅茶を置いた
康太は「烈、あの国はトドメ刺さなくても良かったのかよ?」と問い掛けた
今回 ドゥバイと3カ国の粛清に当たった
その中にアッツラー神国なるものは、入ってなかった
「あの国の事………母しゃん調べた?」
「調べてねぇよ、ネットじゃ出て来ねぇかんな!」
「国連の対象国だとかで、国際情勢に携わる者達は常に情報を得ようとはしてるらしいのよ
衛星通信で監視してるって言ってたわ
でもあの国………どす黒い壁に覆われていて建物の中すら監視出来ないそうなのよ
閣下がそう報告受けてるけど、どうします?と資料を見せてくれたのよ
だから神々が集結したと言っても………無策で行って何とか出来る国じゃないのよ!
この先もあの国の脅威は去らないわよ!」
「んとに面倒くせぇの出来やがったんだな!
神々が集結してもトラップ仕掛けて在ったら、手も足も出ないって訳か……腹立つ!」
「でも神の象徴となる塔は破壊したから、大国を狙って攻めてくる脅威は少しは減ったわね
アレを完全に手に入れられてたら、信仰の対象を潰すのは並大抵の事じゃないからね!」
「レイが聖地をぶっ壊しに行った事あったもんな………血塗れで帰って来たかんな………」
「でも脅威は減らしてやったし、ドゥバイも3カ国はもう侵略出来ないわ!
そしたら他の国狙うだろうから、国連は早急に中東諸国連合の立ち上げをするでしょうね!
まぁ此処からの話は、役人や政治屋達のお仕事だから!
ボク達はどんな衝戟にも耐える様に踏ん張らなきゃ!」
「オレは何時だって踏ん張ってるさ!
家族も何があっても大丈夫だ!」
「なら話し合いね!」
「だな!後で皆を応接間に集めるとする!」
後は黙々とサンドイッチを食べ、話し合いに望む
康太は慎一に「家族を応接間に集めてくれ!」と告げた
応接間に呼ばれて清隆 玲香 瑛太 京香がやって来る
慎一は皆の分のお茶を用意してトロリーに乗せて、エレベーターで一階まで行き応接間に行き皆の前に飲み物を並べ、並べ終わるとソファーに座った
康太は飲み物が皆の前に並べ終わると
「んじゃ、話をしようか?」と言う
京香は「柚の事ですか?」と問い掛けた
烈は「そうね、双子が来る前に正しい道に軌道修正しないとだからね!」と言う
家族は何も言えずに黙った
何を話せと謂うのだ?
選べと言ってる様なモノだからだ………
一生が「清香が母の力を持つ力持ちなんだよな?その力を継承したって事なんだよな?」と調べて来た事を口にした
「らしいわね、魂の扱いが杜撰だった時があったから、早く生まれてしまったのと…………
飛鳥井が終焉を迎えてしまったから………プログラムが発動されより強い力持ちが生まれて来る様になってしまった
それが重なって、前代未聞の力持ちの誕生になってしまったのよ!
今の飛鳥井は一度終わった飛鳥井の上に、上書きして新しい飛鳥井の歴史を刻み始めてるのよ!」
と、説明する
清隆は「飛鳥井は一度終焉を迎えたと謂うのですか?」と唖然として呟いた
康太は「竜胆の魂が不完全だった時に、飛鳥井の未来は一度終焉を迎えた
それは恵方が予知予見した飛鳥井の終わりだった
そして竜胆の魂が完全になった時、明日の飛鳥井は新しく未来を刻み始めた
飛鳥井宗右衛門が繋いだ1000年果てへ繋ぐ未来へ軌道修正を掛けられたんだよ!」と告げた
竜胆は「今世は悪意の塊によって俺は不完全な儘誕生させられた!
だが宗右衛門が完全覚醒の儀を執り行い成功させてくれた!
恵方は言ったよ
『あぁ、新しい明日の飛鳥井が視える』って!
家が終焉を迎える時、それを阻止する為に強い力持ちが誕生する!
今世 こんなに力持ちが誕生するのは、その所為なんだよ!
だが俺等は屈しない!
宗右衛門が繋いだ明日の飛鳥井が柔い訳がねぇじゃねぇかよ!」と言い切った
康太は「竜胆、よく言った!よくもオレの台詞を取りやがったな!」と謂う
家族は少しだけ笑って緊張感は其処で途切れた
康太はそれを見て「で、どうするよ?宗右衛門?」と問い掛けた
「なら、ボクか?柚か?選ばなきゃね!」
ニャッと嗤い烈が謂う
康太は、あ~コイツ………本当に意地クソ悪いヤツだわ………と痛感する
一生が「選べる訳がねぇだろ!」と叫んで
「皆 宗右衛門を欠かして明日はねぇと理解してる!そんな中で選べと謂うのは、答えも出さずに柚を弾く行為になるだぞ!」と続けた
これこそが、一生の役割りだった
烈はそうよ!カズ良い味出せるじゃない!と嗤っていた
京香は「我は選べなど出来はしない!
我が子は愛しい、だが烈も大切な我が子みたいなもの!そうして我は皆に愛情をかけて育てた!
柚を手放せない………烈も手放せない……」と苦しい胸の内を吐露する
レイはニブルヘイムの声で
「烈………貴方、選ばせる気など皆無なんでしょ?
私の貴方がそんな酷な事をさせる筈など無い!」
と訴えた
烈は「まぁ選べと謂うのは極論よ!
でも柚がこのままで良い訳がないのよ!
だから覚悟させる為に極論を突き付けたのよ!
このままだと気に食わないヤツがいたりしたら、念じただけで………臓器でも破裂させられるのよ
じぃさんの母親はそんな力持ってたから、一族からは脅威に扱われた
柚はその母親の力を継承したんじゃなく、転生者よ!」と告げた
康太は可能性を考えてやっぱりと想っていた
聡一郎は「なら修行ですね!精神統一せねば、未熟な儘では駄目ですね!
己をコントロール出来ねば……力垂れ流しになりますものね!」と敢えて謂う
一生も「だな、女の子に此れから過酷な修行は可哀想な気もするが、仕方ねぇよな?」と言う
烈は「でね、一番の問題が、ボクの子との相性なのよ!」と謂う
聡一郎は考え込み………
「柚は先ずは修行に通う、そして双子は家に連れて来て相性を見ようよ!
今 あれやこれや考えてても仕方ないよ!
双子を僕達は見てないんだし………」
と謂う
一生は「響と奏はめちゃくそ可愛い双子だぜ!」と謂う
聡一郎は「君 逢った事あるの?ズルい!何で逢ったのさ!」と文句を着けた
それには慎一が答えた
「烈は一陽と謂う者に預けてある、と言った
その一陽は菩提寺にいたんだよ!
弥勒院一陽、彼だと想い僕等は彼にコンタクトを取りました!
その時 双子に合わせて貰いました!
プリンを差し入れしたら喜んで食べてくれました
俺はもう双子にメロメロなんだよ!
無論 一生も双子めちゃくそカワええ!とメロメロだ!
まだ人には変身出来ない程幼い子達だから、俺等もサポートする気でいる!」
清隆は「その子達は……どんな姿をしてるんだい?」と問い掛けた
慎一は少しだけ躊躇して……
「透明の蛇みたいな姿をされています!」と答えた
清隆は笑顔で「それは会いたいね!」と謂う
一生や榊原は蛇と聞けば忌み嫌われる……と少し身構えた
自分達がそうだったからだ
体の赤い蛇 蒼い蛇は気持ち悪がられた
一生は「体は透明だから一陽が服を作って色違いのを着せてるんだよ!」と伝えた
玲香は「我等はどんな姿をされていようとも、何も申さぬよ!
宗右衛門が配置された次代なのだから、我等飛鳥井の家族は何時だって受け入れる
その一陽と申す者も共に、飛鳥井へ来られたらよいのじゃ!
そして柚は人に危害を加えぬ様に日々鍛錬なさい
次代に何かしようモノならば、その時は即座に宗右衛門により排除されると思うがよい!
其れでよいか?京香?」と問い掛けた
京香は胸を張り「はい!それで宜しいです!」と答えた
そして「その子達は我も育てます!その子達のママと呼ばれる様に愛して育ててゆきます!」と答えた
烈は「一陽が家に来るならば、話しておかないとね………弥勒院一陽は……門倉仁志よ
彼を人の世で殺して魔界へ連れて行き生活させた
素戔鳴尊が彼を鍛え、彼のネジ曲がった性格を矯正してくれた!
彼はもう間違わないわ!
だから母しゃんが戸籍を用意してくれたから、その戸籍になり弥勒が養子にしてかれたから今は、弥勒院を名乗っている
顔は………まぁ道士が作り替えてくれたから別人になり新しい人生を歩み始めているのよ
あんな従兄弟に常に謀れた儘………人生が終わりです……じゃあまりにも哀れじゃない
彼は人を愛しても愛される事には慣れてはいない
家族の温もりも、人の優しさも知らない………
だから一度殺して、今度は間違わない人生を用意してあげたのよ!」と告げた
烈が謂うと一生が「だよな、アイツの容姿は全く別人なのに、アイツ俺等を知っていやがった!
自己紹介まだなのに、一生さん慎一さん宜しく!って謂われたからな、不思議に思っていたんだよ
で、やはり俺等は門倉知ってるからな、もしかしたら……と想っていた
城之内は知っているみてぇだったよな?」と話す
慎一も「城之内には話してるんですか?」と問い掛けた
烈は「話してないわよ?」と首を傾げる
康太は「城之内は知ってるぞ!あれ門倉だろ?って聞かれたからな、全部知ってる!」と謂う
烈は「カズ、いおたんと双子連れて来て!
そしたらいおたんは飛鳥井で暮らすから!
子育て終えたら【R&R】系列の会社で働いて貰うのよ!」と言う
一生は「了解!」と言い家を出て行った
烈は母に「菩提寺に置いていたノリとアツ、鷹司の書生として鷹司預かりとなったから!
ついでにミとトも鷹司の書生として放り込んだわ!」
アツは三木敦之でノリは安曇貴教(貴也と名が似てるから後ろで呼ばれていた)
ミは飛鳥井拓美でトは拓人だった
舌を噛むから略して呼んでいた
康太は「四人共鷹司に放り込んだのか!」と呟いた
「彼等にはミッション与えておいたから、良い働き方してくれたら助かるのよね!」
「ミッション?」
「そう、古い家は中が腐るからね!」
それだけで烈の謂うミッションの意味が理解出来た
「暴走しなきゃ良いんだけどね、狩るのは我等だからね!」
「…………それは避けて通してぇな………」
「春休み終わる頃………ボロボロ問題が持ち上がるわ
そしたら始まるわよ、目を光らせてないと………
死者もゴロゴロ出ちゃうわよ!」
「あ~ひょっとして当主の方か?」
「そうね、それ程の出るわよ!
その為の四人だから!」
「母ちゃんは楽してぇんだけど?」
「楽させてあげたいけど、楽しすぎると錆びるからね、適度な運動は必要よ!
無論 その運動はベッドの上じゃない方の運動よ!」と釘を差しておく
「錆びちゃいねぇよ!」
「まぁ働くのよ!母しゃん!
さぁ会社の株主の話をしましょうよ!」
「あ~そうだった!
相談役、会長、社長、飛鳥井の株を不正に所得した奴等が飛鳥井を乗っ取ろうとしてるって、宗右衛門が調べて報告されたぜ!」
清隆と瑛太は驚いた顔をしていた
瑛太は「そもそも飛鳥井は上々すらしてないし、公開買付すらしてない!」と言う
烈は「だから不正なのよ!そしてそれを立証している間に、奴等は飛鳥井乗っ取るつもりよ!」と伝えた
清隆は「株を不正に所得したのは誰なんですか?」と問い掛けた
「飛鳥井蓮率いる鴻池の一派よ!
鴻池株式会社が飛鳥井の株を所持して増やしてるらしいわ!それで今度株式総会を開いて公開買付やると謂う事らしいわ
過半数の株を持ってるらしいから、何時何処で手に入れたのかしら?」
康太は「あ~その日の為に蓮は利用されたのか……ならば此方も宗右衛門と真贋の底力見せてやらねぇとな!」と不敵に唇の端を吊り上げて嗤う
すると其処へ一陽と双子を連れて一生が帰って来た
一陽は皆の前に立つと「弥勒院一陽に御座います!以後お見知り置きを!」と礼儀正しく挨拶した
そして籠の中に入れた双子をテーブルの上に置いた
双子は「「れちゅー」」と名を呼んだ
「元気だった?風引いてない?湊、響!」
「「ひいてにゃいよぉ〜」」
烈は蒼い服着た子を「この子が湊よ!」
水色の服を着た子を「この子が響よ!」と紹介した
身体は透明で服を着ていた
でも最近やっと身体に薄くだけど色を入れられる様になって来た
玲香はしゃがんで双子に目線を合わせると
「飛鳥井玲香に御座います!
我の事は【ばぁしゃん】と呼んで下され!」と言う
すると双子は「「ばーしゃん」」と謂う
玲香は「何この愛おしい子は!!」と謂う
次は清隆が「私の事は【じぃしゃん】とお呼び下さい!」と謂う
「「じぃしゃん!」」
「もぉ何ですか!愛おしくて堪りません!」とメロメロだった
京香は「私はママとお呼び下さい!」と優しい目をして謂う
「「ままぁ〜!」」
一通り、家族全員自己紹介をする
双子は相当 頭が良いのか?一度で覚えていた
烈は「一陽たん、今日から飛鳥井で住む?
慣れないならマンションの部屋は用意するわ!」と聞いた
一陽は「俺は………家族の暖かさや優しさを知らずに育った……
そんな俺に家族の温もりをくれたのは素戔鳴殿だ
あの人は『もうお前は大丈夫だ、何処へ出そうとも、恥じる事はない!儂が育て直した主が曲がる訳がなかろうて!胸を張り逝くがよい!』と送リ出してくれた
そんな俺ならば、この家で暮らしたとしても大丈夫です!
俺はこの子達を立派に育てねばならぬ責任がありますから!」と答えた
康太は「なら頼むな!飛鳥井の家は兎に角色んな奴等が出入りしてる!
御影とヨーコは?まだ会社から帰ってねぇのか?」と問い掛けた
烈が「この場に竜ゅー馬と兵藤きゅんいないじゃない!そりゃ酷使されて裏取りの最中よ!
近い内に先手必勝にしなきゃね!」と謂う
此処最近いなかったのは………その為か………
「世界会議にはいたよな?」と康太は問い掛けた
「世界会議の前のセレモニーには朱雀は欠かせないからいたわよ!その後は見たの?
ドゥバイへ転送されて行った時、朱雀がいればレイたんは朱雀の背中に乗っていたのよ
それが出来ないからオーディーンが乗せていたのよ!」
烈が謂うとレイは、うんうん!と頷いていた
話し合いをしてると、インターフォンが鳴った
慎一が一階の応接間からも来客が解るモニターを見た
モニターには……ゴロゴロと人がいた
慎一は「何やら沢山います!」と謂う
「今開けます!」と謂うと慎一は階段で二階へ上がって行った
康太は「話し合いは終了だな、一陽の部屋は何処にするのよ?」と問い掛けた
「源右衛門の部屋 3部屋あるから其処で生活して貰うつもりよ!
兵藤きゅん一部屋使ってるけど、まだ二部屋余ってるからね!」
「御影の部屋もヨーコの部屋も出来たからな…」
と言いつつ立ち上がって応接間を出て行った
一生は双子の籠を持つと「一陽は飯食ったのかよ?」と尋ねた
一陽は「まだです!」と答えると、聡一郎が
「きっと腹減り来てるからデリバリー取るから大丈夫だよ!」と言い応接間を出て二階へ向かう
二階のリビングには竜馬、兵藤、【R&R】のメンバー、御影、ヨーコがボロボロの状態で座っていた
烈は「守備は?」と問い掛けた
兵藤は「万端だ!何時でも良いぜ!」と謂う
オリヴァーは「父さんがカンカンに怒って、凄く株式操作の天才をイギリスの地から操作して貰える様にしたって言ってた!
此れで飛鳥井に仇なした輩の会社は破滅の一途を辿ります!
そしてもう株式操作されない為に半分の株を保険の為に買い付ける!とも言ってます!」とメラメラと憎しみを募らせ言葉にした
烈は嗤って「やられたら百倍返ししないとね!」と謂う
康太は「オレとお前の分だから200倍返しだかんな!」と謂う
清隆は「皆 食べたいのを言いなさい!そしたら注文します!」と謂う
ヘンリーは「僕等はデリバリーは嫌なので、お茶漬けでも良いから、この家のご飯食べたいです!」と謂うもんだから、慎一と榊原は頑張って料理を始めた
竜馬は「あ、湊 響!」と双子に気付き話し掛けた
双子は「「りゅーみゃー!」」と懐いていた
御影は「此の方は?」と問い掛けた
烈は御影に「元門倉で今は弥勒に養子にして貰った一陽たんよ!」と紹介した
兵藤は「あ~やっぱし生かしてやがったか!」と謂う
「あのままこの世を去るのは忍びなかったのよ
人はやり直せるわ、何度でもやり直せるわ
でもあの状況の中でやり直しても、腐れ縁が妨害して来るからね、悪縁は一度断たねばならなかったのよ!」
「俺等は康太と烈、その家族に牙を剥かなきゃ何も言わねぇさ!」
と言い一陽に手を差し出すと「兵藤貴史だ!」と言った
一陽はその手を取り「弥勒院一陽です!」と言った
御影は「宜しく一陽、俺は東堂御影、横の使い物にならない程草臥れてるのは山本洋子です
此れから一緒に暮らすんだよね?なら宜しく!」と自己紹介した!
洋子は使い物にならない程、疲れて机に突っ伏していた
康太は「タフなヨーコがこうなる程の状況なんたな………」と想わず呟いた
双子はそれを見ていて、一つに融合すると、大きな龍の姿に変身した
「何だ?この家は………運気が低迷しておるぞ!聖神!」
「え〜それは困るわ、勝機呼びまくっても今回はそんなに髪が揺れないのよ…その所為なのね……」
と烈はボヤいた
「よし、主には我儘を沢山聞いて貰った
特別に運気を上げてしんぜよう!」
と言い大きな龍は天井を振り抜け、天高く飛んで行った
康太はその力を視て「何だよ!あの膨大な力は!」とボヤいた
烈は「だから双子にしてチカラを分散させたのよ
今回は運気の低迷が原因で融合しちゃったけど………
ボクに免じて許してね!」と言った
康太は烈の頭を撫でて「大丈夫だ、烈!運気を上げて貰えるなら誰も怒らねぇよ!」と謂う
大きな龍は家に戻ると
「飛鳥井に降り掛かる呪いは、掛けた本人に返してやった
この家………呪いと、不完全な破滅の序章唱えられてるぞ!」
「「え!嘘………」」
「其れ等を蹴散らせてやったから本人に返っておる!」
「この家を特定されたって事?」
「家とかではなく、家が特定出来ないから家族に掛けたのじゃろ!」
「誰?」
龍は清隆を鼻で指した
清隆は「え!!私ですか!!最近体調が悪かったのはその所為でしたか………」とカクッと項垂れた
康太は「父ちゃん誰に会ったんだよ!」と問い掛けた
「最近誰かに会ったとしたら、それは同窓会しかありませんね………
同窓会が開かれたので行きました
翌日から少しずつ体調が芳しく無くて…………」と話す
「父ちゃんが親しく話してたのは誰よ?」
「殆どの同級生とは仲良く話してました!
その中でも警視庁勤務の村田、宮内庁職員をしている松田、内閣調査室をしてる田中、とは始終一緒にいました!」
そう言うと烈は「宮内庁!!」と呟いた
内閣調査室の田中は、唐沢の班の解体をした時に、協力的に動いてくれた取締本部長だと思い出した
そしてやはり……宮内庁………関わってくるのね……と想う
康太は「何があるのか?」と問い掛けた
烈は何も言わなかった
大きな龍はパクっと清隆を齧った
清隆は驚く事無く齧られていた
そして暫くして「此れで呪いは取ってやった!
家に来たばかりで住む場を無くす訳には逝かないし、儂らが継ぐ家が無くなるのも困る故、目の上のタンコブは取り除いてやった!
後は主らで頑張るしかなかろう!」と言い、スーッと二つに身体が分かれて双子になった
烈は深々と頭を下げ
「神祖、ありがとう御座いました!」と礼を言った
「「にゃら、ぶろー!」」と謂う
慎一が葡萄を持って来ると二人の前に置いた
双子は嬉しそうに葡萄を食べていた
清隆はショックから立ち直れなかった
烈は「じぃさん、負の連鎖を仕掛けられたのよ
其れは本人には分からないし、今この人の世で破滅の序章を完璧に唱えられる者なんて二人しかいないわ!一文一句間違えずに唱えられる者なんていない
たからこそ、じぃさんに掛けられた破滅の序章は不完全でしかなくて、本人に返された!
我が家は何も痛手を受けてなのよ!」と現実を口にした
下手な慰めなんかより、現実を伝えた方が清隆には良いと踏んで言葉にしたのだった
「烈………」
「友達を疑っていたら人間関係なんて築けない
ボクらは何度も謀られ、裏切られ……それを裁いて斬って来た……時には人間不信になりそうな時だってあるわよ!
其れでも、ボクには家族がいる!
家族は何時だってボクを優しく迎え入れてくれる
だから明日を信じて歩んで逝けるのよ
じぃさんは知らん顔してれば大丈夫よ!
これ以上、誰にもじぃさんを利用させたりなんかしない!」
烈が謂うと康太も続けて
「だな、これ以上はオレが黙ってねえ!
本当に破滅の序章を唱えて返してやろうか?」と怒り続けていた
「母しゃん、モノにはタイミングがあるのよ!
総て吹き出したら頑張って貰うわ!
ヨーコ達がボロボロになって頑張ってるのを無駄にしないでよ!」と釘を刺す
康太はボロボロのヨーコを目にして
「どうしてこんなに窶れてますの?」と問い掛けた
「株価操作された下りは話したじゃない!
そして不正な株式買い付け、其れ等を【R&R】のメンバーと社長代理してくれてた御影とヨーコが探りを入れて兵藤きゅんと竜ゅー馬を動かし裏取りしていたのよ
そして株は【R&R】のメンバーとクリストファー・オブライエンが半分を所有する様に動いてくれたのよ!
ボク留守にするの解ってたから、竜ゅー馬とかに頼んでいたのよ!
そしてその件はえーちゃんも協力してくれてると想うけど?」と謂う
瑛太は「ええ!烈の不在なので腕によりをかけて動きました!
株式の新株発行(増資)をして、半数分をクリストファー氏が買い付けして下さいました!」と伝えた
兵藤は「其れに妨害が入らねぇ様に警戒し、イギリスから遠隔操作で動いてくれたオブライエン家の経営のプロの指導の元、俺等はクタクタになる程に働かされたんだよ!」とボヤく
ヘンリーは「我が父は、一族の者を黙らせ、兄を認めざるを得ない程に立派にしてくれた烈に絶対の恩を感じています!
烈の存在がなくば、我等家族は兄を弾き出すしかなかった
ネジ曲がっていた兄さんは、喜んで家族と絶縁していたでしょう!
その兄さんを家族に向き直らせてくれ、今はもう昔のように仲良く過ごせている
そんな日々は総て烈がくれたと思ってますから!
飛鳥井のピンチならば、オブライエン家を上げて全精力を注いで阻止します!」と力説する
康太は「オブライエン家が出たならば、各方面は黙らせられるな………」と呟いた
烈は「ぜんちゃんか飛鳥井の買収の話が出てると心配して連絡して来てくれたのよ!
今回の株の買収を終えたら、会社を乗っ取る気でいるのよ
ボクはさ、斯波の世から家の為にしか動かないわ、乗っ取られた奴等の為になんか動かないわよ
其れをどうして解らないのかしら?」とボヤく
康太は「お前を手に入れたらヨニーは手中に収めたも同然に成るとでも想ってるのか?
【R&R】を好きに使えて、ヨニーも手に入る
そして宗右衛門の人脈も手に入れられる
なんて喜んで話に乗ってるんだろうな……」と呆れて話す
「真贋も手に入るからね、会社を押さえたら!」
「まさか、そんな事態になったらオレはまた【一族】を率いて新しい名を名乗り、明日を築く!
そうして斯波の世から続く家は続いて明日を刻んだ!乗っ取られたならば、即座に切り捨てる!
未練なんかねぇよ!」
「ボク等は誰にも囚われはしない!」
「だな、その為にも飛鳥井を護らねぇとな!」
「………護るわよ!でもさ!ボクよりデカいのゴロゴロいるんだから、にーに達をこき使いなさいよ!無駄にデカくなりやがって!」
「んとにな………翔達なんかもうオレと同じ目線だぞ!」
「あ~!もぉ~!縮めば良いのに!」
烈はボヤきまくっていた
兵藤は「んな事より、花見どうするんだ?」と問い掛けた
「………もう沖縄から追いかけても葉桜じゃない!」
「横浜はまだ大丈夫だろ!」
「桜………奏と響に見せてやりたいわね……」
烈が謂うと双子は「「しゃくりゃ?」」と問い掛けた
「そうよ、とても美しい花なのよ!」
「おいち」「ちょー?」
「食べたら駄目よ!
其れより、飛鳥井でやっていけそう?」
双子は一つの蛇に姿を変えると
「其処のおなご、覚醒の儀をやるがよい!
己の力に戸惑いもあるし、自覚もない!
修行の前に其れをせねば、修行など無駄な労力にしかならぬ!」と助言を口にした
「覚醒の儀……に御座いますか?」
「あぁ、其れを次代の真贋にやらせるのじゃ!」
烈は翔を見た
康太も翔を見た
翔は「僕はそれを知りませんので、教えて戴き必ずや成功させてみせます!」と口にした
「あぁ……神祖は………独り立ちの時を見誤るな………と申されてるのですね?」
「力は裏切りはせぬ!
其れを次代の赤いのと成功させるがよい!」
「解りました!
ならばボクが………」
と烈が言おうとすると康太が
「オレが教える!絶対に失敗しねぇようにキッチリと教えてやる!
だから烈はゴタゴタを片付けろよ!」と言った
「あ~母しゃん………面倒臭い方押し付けたわね!」とボヤく
康太はやる気になって俄然張り切ってウキウキしていた
兵藤は「諦めろ……あんなウキウキした康太相手では、勝てねぇよ!」と止めた
「ボクにまだデカい奴等と共にいろと謂うのね!
もぉね………本当に泣きたくなるわ……」
兵藤はドウドウと烈を慰めた
レイは「れつ!」と心配して抱き着いていた
一陽はそんな家族の喧騒を楽しげに見ていた
この日から一陽と双子の飛鳥井での生活が始まった
康太と榊原と烈とレイは当初の予定の留守の期間よりも早く飛鳥井に帰って来た
世界会議は倭の国で行われていた
出口が見えない話し合いに、やはり閣下から会議に参加して貰えないか?との打診を預かり、唐沢が烈を呼びに来た
唐沢は今の飛鳥井の家を知らないから、会社へと出向いた
会社の来賓室に通された唐沢が、烈を指名して呼んで貰った
唐沢は来賓室にやって来た烈の顔を見るなり
「話し合いは暗礁に乗り上げてる
閣下もお手上げだ、どうするよ?
一択審議を行ったお前の見解を聞きたいとの事だ!」と着けた
「ボクが出ても神々が出ても、これ以降の話し合いは中東諸国連合を速やかなに擁立し、ドゥバイの王を国に返さねばならないのよ!
それはボクが出て話すべき事じゃない!
飛鳥井も会社を乗っ取られそうで大変なのよ!
魔界の世界会議の司会進行はやったけど、これ以上の時間は悪いけど避けないのよ!
こうして引っ張り出そうとしてる奴等の目論見に乗ったら、会社は……乗っ取られてしまうからね
それこそが向こうの思惑なのよ!
それと、正義ちゃんにも言ったけど、宮内庁は荒れに荒れるわよ!
そして怒らせちゃいけない奴を怒らせたから………死者がゴロゴロ出るかもよ!」
「怒らせちゃ駄目な奴?
それは誰を指してるの?」
「それはノーコメントでお願いね!
物事には順序と謂うのがあるのよ
事前に話せば未来が歪むわ!
そしたら狩られるのはボクになるしかないわ!」
「堂嶋氏が謂うには摂家 五家 鷹司辺りから火の手が上がるとありましたけど?
本当なのですか?」
「あぁ、正義ちゃんに話したのは本当よ!
まぁ事が始まらなきゃ………まぁ始まっても理解し難い事件の連続となるからね
唐ちゃんは大忙しとなるわね!」
「おじさんは楽してぇんだが?」
「何を謂うのよ!
まだまだ楽になんてさせないわよ!
現役退いたら総司令官になり見張らせてあげるからね!頑張るのよ!
飛鳥井宗右衛門が後見人となれば鷹司 阿賀屋も後見人に名を連ねてくれるから、管理職にバッチリなれるわよ!」
「……俺………結婚したら………調査室辞めてぇんだが………」
「う〜ん、それは無理ね………」
「烈ぅ〜!」
「また焼肉奢ってあげるから頑張るのよ!」
「お前は出れねぇって事で良いのか?」
「あのさ、国連の役人も参加する会議に子供が出て話したとしても一蹴されちゃうわよ……
プロの仕事の場に子供が介入する事の方が異常だと………理解してね
まぁ世界会議は少しでも早くドゥバイの塔を壊したかったから一択審議方式で司会を進行したけど、後はもうボクが出て何とか出来る領域じゃないわよ!」
「だな、悪かったな、俺も言われれば聞きに来ねぇとならねぇんだ!」
「それは解ってるから大丈夫よ!」
「なら俺は此れで帰る、閣下にはそう伝えておくとする!」
そう言い、唐沢は帰って行った
烈はソファーにドカッと座り直すと
「あ~面倒臭い!」と叫んだ
こんな時は夜の海に向かって叫ぶに限る………
日々の問題山積も、面倒臭い問題の数々も………
そして何より成長期真っ盛りにレイ達………もうちっこいの、とは呼べなくなっていた………
スクスク筍みたいに育ちやがって!!
腹が立つ!
何で見渡す限りボクよりちっこいのいないのよ!
烈は六階の宗右衛門の部屋に戻り仕事を始める
でも気が乗らないから早めに帰宅する事にする
「母しゃん家に帰るわ!」とラインして宗右衛門の部屋を出る
やって来たエレベーターに乗リ込む時 烈は
「縮んでしまえはいいのよ!」と叫んでエレベーターに乗り込んだ
康太と榊原はその光景を翔達、次代の部屋へ入るタイミングで目撃した
榊原はぷるぷる震えてその光景を目撃していた
康太は「思春期のお子さんだからな!」と伸び悩みで家出をした過去を持つから痛い程に解った
中々 部屋に入って来ない両親を気にして兄達は心配して見ていた
康太は「あ~すまねぇ、んじゃ覚醒の儀の巻物を持って来たから読み方を教えるとする!」と謂う
家族で話し合った翌日から、康太は翔と流生に覚醒の儀の遣り方を教える為に、巻物の読み方を教えていた
其れは兄弟全員に教えようと、家や会社で暇を見つけては教えていた
巻物は門外不出、持ち出すのは禁止とされているもの!
それを真贋の特権で借りて、勉強と謂う名目で持って来ていた
覚醒の儀の呪文は一文一句、間違えてはならないのだ
発音一つ違えても、発動されない
それが儀式のルールだった
康太は「この前父ちゃんに掛けられた呪いと破滅の序章は不完全と神祖は言ってたやんか
それは一文一句違えずに呪文を唱えなかったから、不完全なまま発動されてしまったんだよ
だから呪文はゆっくりでいい
宗右衛門は呪術に長けているが、そうなるまでに何百年、何千年と日々の積み重ねがあり、今の宗右衛門になられたんだ!
お前達は飛鳥井が終焉を迎えない限りは、幾度も幾度も翔と共に記憶をそのままに転生を繰り返す、明日の飛鳥井の礎に組み込まれた存在!
きっとこの体験はお前らの糧となる筈だ!」と言葉にした
兄弟は力を合わせて得手不得手をカバーし合いやって来た
そしてその子の得意な領分を知るのだ
音弥は音楽が好きで、やはり九曜の血を引いているだけ有って、呪文は楽勝だった
流生はあまり呪文とか得意ではなかった
が、頑張って覚えていた
太陽と大空は器用な性格だから、何でも卒なくやってしまう
そんな兄弟の個性を、烈はどうやって配置するのか?
康太は楽しみで仕方がなかった
母が兄達を教える分
問題ごとは烈が担当する事になる
社員全員の調査が上がって来たから、家でそれを見るつもりで家へと帰って行った
家までニックに送られて帰ると、自分の部屋へと向かう
机に向かいPCを出して仕事してると一陽がやって来た
「レイ達を菩提寺へ修行に行かせたよ!
烈はこの後はずっと家にいるのか?」
一陽は今 双子だけではなく、レイ達や兄達の世話をする者として飛鳥井にいた
マイクロバスを清隆が新しく買い、一陽に与えた
それで北斗のパスポートを取りに行ったり、学校まで乗せて行ったりしていた
和希と和真は宗右衛門に、より練度の高い修行をさせられていた
将来はどうであれ、力は必ずを己を助ける事となる!
己の道を切り開くにも力は必ずや必要となる!
心が折れてしまう程弱っても、力が必ずやおのれを助けてくれる日は来るであろう!
そう言われて修行と鷹司に通い勉強を始めた
専門を決めず基礎を叩き込み、あらゆる知識を与える為に通わせているのだった
無論 学費は宗右衛門が支払っていた
鷹司には慎一が乗せて通わせていたが、一陽が来てくれたから慎一は助かっていた
一陽と慎一は気が合い、一緒に買い物にも行く様になっていた
教えれば料理の才能もあり、レシピを見て新しい料理に2人して挑戦していた
其処に榊原も加わり料理談義に花を咲かせ、色んなレシピを見ながら、次はコレなんかどうです?と楽しく料理をしていた
双子はやっと身体に濃い色が入れられる様になった
淡い色から濃い色に変わりつつあり家族に馴染んでいた
そして柚の修行も始まっていた
元姫巫女の桃香が直々に力持ちの子達の修行を着けていた
桃香は姫巫女をしている時よりも元気に明るくなり、やはり京香の妹だけ有ってかなりの男前だった
少しお腹が大きくなりつつあるが、頑張って働いていた
菩提寺の太極拳の参加者は年々増えて行き、今じゃ午前と午後に分けてやっていた
道場も何人もメダル保持者を出して注目を集めて、志願者も増えていた
烈はお墓を移転した土地に大きな体育館ばりの建物を建て始めた
其処いらの体育館よりも大きな敷地面積を要し、地下を作り避難所になる様に申請もかけた
菩提寺下の地下に影響がない様に、地面を調査しつつ穴を掘る
菩提寺の地下の通路は、納骨堂を建てる時に崩落を危惧してセグメントで固定して確かなモノにはした
が、地面を掘ると謂うのはどんな弊害が出るか分からないから専門家を入れての工事となった
着々と菩提寺は確たるモノへと成って行く
かっての大伽藍等はないが、その分機能的に生まれ変わりつつ在った
その建設が始まり、菩提寺は活気付いていた
県から老人達が太極拳に通う様になり、孤独な一人暮らしの老人達のコミュニティ的な存在となりつつ在ると表彰状を貰い受けた
烈は要らいわよ!そんなの!とは言ったが、城之内は有り難く戴き、保養施設に飾っておいた
城之内は「貰えるもんは貰っとこうぜ!腐るもんでもねぇからよぉ!」と謂う
まぁ住職が謂うなら………と烈は城之内に受け取りに行かせた
こうして菩提寺は安定して日々を刻んでいた
柚の修行が始まり、双子は飛鳥井での生活を気に入り毎日が楽しく過ごしていた
そんな中 烈が家出をした
朝起きて皆掃除を始めたのに烈がまだいなくて、心配した流生が起き手紙を見付けて慌てて母へと持って行った
「ちょっと家出します!烈」
と書かれた起き手紙を見て康太は
「あ~、アイツとうとうやりやがったな……」と呟いた
烈の家出で狼煙が上がった
この日から目まぐるしい日々の始まりとなった
総てがこの日を境に回り始めるのだ
康太は家族をリビングに集めて説明した
そして絶対に帰ると安心させた
が、康太と榊原はこれが始まりだと痛感していた
怒らせてはならない家を………怒らせたのだ
怒らせてはならない相手を……怒らせたのだ
其れは吹き荒れる嵐のように……台風バリに荒れるのを予想する
康太は「どうしておめぇは台風級の嵐を呼ぶんだよ!」と叫んだ
一生や聡一郎、隼人はお前が謂うのか………と思った
此処最近は嵐呼ばないが、烈が宗右衛門が表に出るまでは常に嵐を呼んでたクセに………
玲香は「そう言えば烈の髪、最近は最大限に揺れておったな………」と謂う
家族は皆 頷いた
一生は「双子が呪いと不完全な破滅の序章を追い払ってくれた後から揺れまくってたな………
そして古狸的な政治家………ゴロゴロ他界したな……意外な会社も倒産したし………」とボヤいた
呪いは掛けた本人に返る
神祖はそう言った
ならば掛けたのは政治屋なのだろう
康太は「嵐は此れからだ、吹き荒れるぜ!
オレ等は衝戟に備えるだけだ!」と謂う
榊原は「狼煙は上がりましたからね…………」とボヤいた
柚は「烈ちゃん巻き込まれたわ!もう止まらないわ!」と口にした
聡一郎は「まだドゥバイの地に王様据えてないのに!」と叫んだ
康太は「世界会議は終わったらしいぜ!
烈が出るのを拒否ったから後は国連に放り投げして終わったらしいと閣下から連絡があった」とボヤく
隼人は「オレ様の弟一人に放り投げ様とするから、そうなるのだ!」と怒って謂う
瑛太は「烈が還れば会社の方も動き出します!
記者会見の場を竜馬が用意してるので、会見開く気なんでしょ?」と謂う
「先手必勝だかんな!運気詠んで最高の日に躍り出る気だろ?だから今日は静かに過ごさせようぜ!」
家族は皆 頷いた
双子は「いち」「ご」とフルーツを所望していた
慎一がイチゴを持って来ると美味しそうに食べていた
家族は皆 双子見て優しく見守っていた
嵐は 其処まで近付いていた
家出した烈は、夜まで時間を潰して、夜になったら海に向かい叫ぶ気で家出したのだった
が、阿賀屋に見つかったのが運の尽き…
歌舞伎座近くの珈琲屋へ行こうとした時、阿賀屋の家の者に見られたのが運の尽きだった
腐れ縁が集まり盛り上がる
当初の予定が腐れ縁に見つかり、大幅に狂いつつあった………
どうしてこうなるのよぉ〜!!!!
と烈は狂いまくる予定に、諦めつつも当初の予定以上の成果を収められ北叟笑んでいた
どうせ近い内に始まるのならば、これも神の思し召し………とばかりに狼煙を上げた
さぁ始まるわよ!
此れより 熾烈な家の威厳を掛けての粛清が火蓋を切って落とされた
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