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第31話 春の嵐 花見編

春うらら 世の中は桜のピンクに染まって、穏やかな春の日々を告げていた が、、最近世間を騒がせているのは、春の穏やかさなど吹き飛ばしてしまう程、恐ろしい連続猟奇殺人事件の話題で騒然となっていた 外に出るのが怖い………とまで謂う者も出て来る程だとニュースキャスターは伝えていた そんな喧騒を他所に、烈は約束通り 兵藤一家と花見の約束を果たす事にした 何ヶ月も掛けての花見の調整に入り、場所の提供に何度も足を運び依頼して、やっと叶った場所で花見が実現する事となった 総てが決まると 「今週末、花見に行くわよ!」 と、ラインに一斉送信して 「夜に詳細を話します!」と続ける その夜 家族や康太の仲間達、そして榊原の家族  兵藤の家族、腐れ縁等が飛鳥井の家に詳細を聞きに訪れた その夜は丁度 【R&R】のメンバーも来日して来ていたから、騒がしさが一度にやって来た 烈は家族に「昭ちゃんに花見の約束したじゃない!ちょっと多忙にしてて留守にしていたから、横浜での花見は旬を逃してしまったけど、白馬ならば7部咲きなのよ! 撮影も兼ねて白馬に行くわよ!」と告げた その場には神野 柘植 須賀 相賀も来ていて、花見に大喜びだった 康太が「足はどうするのよ?」と問い掛けた 竜馬が「神威が酒さえ飲ませてくれるなら、運転するぞ!と言ってくれてるのでバスをチャーターする手筈は整ってます! 慎一きゅんも協力してくれると言ってるしね!」と告げる 康太は「なら都合が付く奴は花見に一緒に行こうぜ!」と謂うと 神野は「予定有っても別日に伸ばして貰うし!」と謂う 相賀も須賀も柘植も頷いていた ついてに阿賀屋も鷹司も盛り上がっていた 一頻り花見の話で盛り上がり予定を立てると、テーブルの上に置かれている可愛い子に目が移る 真矢は「此処にいる可愛い子、紹介して下さらない?」と問い掛けた 真矢と清四郎に至ってはタワーマンション横の家は初めてだった、そして双子はもっと初めてだった 康太が「この子は烈の子で、響と奏と謂う双子だ!次代の恵方と竜胆を継ぐ者だ!」と紹介した 真矢は「え!烈の子ですか?」と卒倒しそうだった 榊原が卵の頃、死にそうだった双子を助けたのは烈で、以来烈が研究室にいれ管理させて育てていたから、烈を親と認識しているからだと話した 双子は最近体の色も濃くなり、可愛い服を着ていた それがめちゃくちゃ似合ってて可愛かった 真矢は「この子達の服はどうしてるの?」と問い掛けた スマムラで売ってるのかしら? 売ってるなら買い占めてプレゼントせねば!と想う 烈は「いおたんが作ってくれてるのよ!」と謂う 清四郎は「いおたん」なる人物は知らず、初めて見る存在に「紹介してくれませんか?」と問い掛けた 紹介したのは榊原だった 「彼は烈に仕える者で、次代は勿論、レイ達や翔達、そして和希達の面倒を一手に引き受けてくれてる弥勒院一陽です!」と告げた 真矢と清四郎の目には好青年に映った事だろう 烈は「いおたんは親の愛を知らないで育っちゃった子なのよ! でもええ子なのよ、だから優しくしてやってね! ボクの為に働いてくれる子だからね!」と謂う その日から真矢と清四郎も一陽を気遣い仲良く過ごす事になった そして烈は「双子の服はいおたんが作ってくれてるのよ!」と謂うと驚いていた 真矢は「生地を買って来ます! なので新しい服を作ってあげて下さいね!」と謂う 清四郎は「一陽君は器用なんだね!」と感心していた 一陽は「幼い頃から両親は滅多と居ませんでしたから………服が破れても自分で縫ってました! なので縫製は得意なんです!」と答えた 親の愛を知らない………両親がいるのに、育てられなかったと謂うのか? 真矢は胸を痛めた 烈はそんなしんみりする空気を一蹴するかの様に 「花見の場所は白馬櫻堂神社だから! レジャーシートを敷いて花見をする予定なのよ 夜は茶屋を貸し切って宴会するのよ!」と告げる 皆は喜んだ でも竜馬は「撮影も同時にやるので、其処だけは了承して下さい!」と謂う 神野達は「「「「絶対に邪魔はしないよ!そして必要ならば全面協力を約束するよ!」」」」と声を揃えて謂う 兵藤が「あの神社での撮影の許可を貰う為に、朝早くから白馬詣でしまくったんだぜ〜!」とボヤく 榊原が「あ~ミーハーなファンが増え過ぎて困ってたから撮影許可出さない様にしたとか言ってましたね!」と謂う 兵藤は「絶対に楽しんでやる!酒相当買い込もうぜ!」と飲みまくる気満々で謂う 榊原は「空き部屋には天井に届く程に、阿賀屋家と鷹司家からの歳暮とか中元の数々が運ばれたので、それを持ち出せば足りるでしょ!」と謂う 一生は「それ積むの結構大変よ?」とボヤく …………が、楽しみに飲みまくろうとする輩を見て、やるしかない現実に諦めた そうして花見に行く算段をつけ、順調に準備を進めた 花見当日 家族は朝早く家を出て白馬を目指した 道路は空いてて、意外と早く白馬に到着 白馬櫻堂神社へ行くまでの道すがら、道路の左右に桜の木が植わっていて、その数数万本 道路がピンク色に染まっていた 玲香も京香も真矢も美緒も皆、瞳を桜色にして 「素敵!」と感嘆の息を漏らしていた バスは神社の駐車場へと停まると、皆 バスから降りた 烈は元 土御門孔明の歹が埋まっていた桜の木の下に立ち止まると、桜の木に口吻た 今の桜の木はあの時の桜の木ではない が、母が大切にしている師匠の歹が植わっていた土地でもあるのだ 感謝の想いを込めて桜の木を撫でる 神社の御神木は見事な桜の花を咲かせていた 康太は「今年も綺麗に咲いたな!」と謂う 境内を中心として桜の木が植わって、とても美しいと場所だった 世界会議に行く前に烈は 「白馬櫻堂神社の御神木の下で撮影したいのよ!」と謂った 竜馬は「撮影許可とか取れそうなの?その神社って?」と問い掛けた 「解らないわ、でもあの御神木の樹の下で撮影がしたいのよ!」 と、謂うから、竜馬と兵藤が神社に通い撮影の許可を取りに通った 中々許可を狙っ貰えなかったが、それでも足繁く通って頼み込んだのだった 時には烈も何度も何度も足運び、撮影がしたいと頼み込んだ 宮司は毎日足を運ぶ程、この桜を愛してくれている想いに根負けして、何とか桜の季節に生配信の日程が決まり、週末に家族や仲間と共にやって来たのだった 二階堂悠一と三鶴兄弟が管理する神社は、今も美しい桜並木が有名な場所と毎年桜の季節になると撮影がされる程有名な場所だった 尚且つ、イケメン宮司が取り仕切る神社だとニュースで取り上げられ話題となり今も根強い人気があった ハッキリ言って二階堂悠一と三鶴は、【R&R】が撮影をしたいと申し込みに来た時は、信じられない気持ちで只管驚いていた まさか………嘘!あの【R&R】が?と信じられない想いだった 【R&R】の事は無論知っていた リーダーは飛鳥井を名乗っているから、康太の縁続きか?何かだと想っていた が、まさか烈が康太の子だとは知らなかった兄弟は驚いていた 悠一は「君、康太の子供なの!」と信じられない様だった 三鶴は「そういえばニュースでやってた気がするけど……何か信じられないよ!」と夢みたいだと謂う それでも快く了承してくれ、撮影が出来る様になったのだった 兵藤と竜馬が何とかもぎ取ってくれからこそ、昭一郎との約束もあるし、兵藤の家族、飛鳥井の家族全員、腐れ縁や神野達もコミコミでの花見を狙ってみたのだった 桜並木は壮絶な程に美しく……… その日 撮影の為に参拝客は入れずに誰もいない桜の風景は独り占め状態だった 白馬はまだ7部咲きで肌寒かった が、家族は大きなシートを敷いて、その上に料理を並べ花見をした 双子は興奮気味に「ちれー」「にゃに、きょれ!」と驚いていた レイも凛も椋も花弁を追いかけて楽しそうだった 兄達や北斗や和希や和真はそんなやんちゃな子が怪我しない様にハラハラと世話を焼いていた 榊原と慎一と一陽が腕を振るった料理はどれも絶品で美味しかった 慎一や榊原は料理好きな一陽がいたからこそ、此処までの料理が作れた、想って満足していた 一陽も榊原や慎一と共に料理をするのは、とても楽しくて快適に過ごしていた 真矢と清四郎は久し振りのゆったりとした時間に笑顔で過ごしていた 二階堂悠一と三鶴兄弟もレジャーシートの上に座り花見の中に入り酒を飲んでいた 【R&R】のメンバーは、皆 忙しそうに生配信の準備をしていた そんな時、烈の携帯が震えた 携帯を取り出して電話の相手を確認   すると唐沢からだった 電話に出るなり唐沢は烈に『少し話したい!時間を作ってくれないか?』と言って来た 烈は配信を目前だったから、手短に話をつけようと想った 「時間作るのは良いけど、ボク今ね白馬なのよ!」 唐沢は『何故に白馬!!』と叫んだ 「だって世界会議で忙しくて桜の風情さえ落ち着いて鑑賞する暇さえなかったじゃない! だから桜を追って白馬に来てるのよ! 【R&R】のメンバーも来て撮影しつつ、花見を楽しんでるのよ!」 『白馬って飛鳥井のホテルにいるのか?』 「違うわよ!白馬櫻堂神社に来ているのよ! 生配信するのよ!」 『白馬櫻堂神社、ナビに打てば出るか?』 「有名な神社だから、多分出るわよ」 『ならさその神社に向けて走るとする! 夜までいるか?』 「いるわよ、今日は貸し切りだからね! だけど来るなら、生配信してるかもだから静かに来てね!生配信だと取り消しもモザイクも入れられないのよ!」 『了解した!維弦!白馬に行くぞ! じゃ、烈また後でな!』 そう言い唐沢からの電話は切れた 康太は「唐沢からかよ?」と問い掛けた 「多分聞きたい事は解るわ…………本当に面倒臭い事しやがって!」とボヤいた 康太は「………その話は唐沢来てからでも良いだろ!」と言い酒を飲む 烈は頷いた 竜馬が「烈!生配信だ!」と謂うと、烈は気分を切り替えてカメラの前に座った 昼の配信は夜の告知的に短く烈と竜馬だけの配信となった 「今日は、【R&R】リーダーの烈です 今日は昼と夜に生配信やります! お昼の配信は夜の配信の告知的なモノとなります! そして、やはり昼に見る桜も美しいからね! 皆に見せたかったのよね!」 と烈が謂うと竜馬も笑顔で 「だね、本当に美しいね 間近で見た方が絶対に美しいけど、それでも皆に桜のお裾分けが出来たら良いな!」 オリヴァーがカメラを移動して桜を全面的にズームして皆に魅せる! 花弁の一欠片さえも美しい桜の花を皆に伝えたい そんな想いで撮影を兼ねての生配信だった 烈と竜馬は他愛もない話をして 「夜の生配信はねゲストがいるから! 皆 楽しみにしててね!」と告知 竜馬も「あまりYouTubeとかには出てない人だから、皆驚くかもね!」と期待を持たせてみる そして配信を終えると、日が暮れるまでレジャーシートの上で花見をして、夜になると茶屋の中へ入り、窓越しに夜桜を堪能する まぁ飲兵衛は………酒飲んでて夜桜なんか見てないだろうけど…… 夜は少し寒いけど厚着をして、桜の御神木の前で生配信をする 「【R&R】リーダーの烈です!」 「【R&R】サブの竜馬です!」 「イーサンです」「へンリーです」「ダニエルです」「デービッドです」「サムエルです」「オリヴァーです」と皆が自己紹介をする 美しい夜桜の前での生配信に、ファンの皆は大喜びだった 「今夜の特別ゲストは、白馬櫻堂神社の神主さん兄弟です! 御二人が、ボク達の無理な要求に応えて下さったから実現した生配信です! 本当にありがとう御座いました! 宜しくお願いします!」 悠一と三鶴は「「宜しくお願いします!」」とご挨拶する 竜馬も「何度も足を運んだ甲斐がありました! 本当にありがとう御座いました!」と謂う メンバーはパチパチと拍手をした 美しい夜桜の前での生配信に、ファンの皆は大喜びだった ダニエルは「こんな美しい桜を毎年見られて本当に羨ましいです!」と羨ましそうに謂う 悠一は「咲いてる時は美しいので独り占め出来て嬉しいのですが、散ると……掃除は大変です!」苦笑交じりに謂う サムエルは「あぁ、桜も散れば大変ですね! 秋なんか本当に掃除が大変そうだ!」と謂うと ヘンリーが「悠一さん三鶴さん、こんな広い神社の掃除は大変ですね! 昼に神社の周りを歩いていて、本当に至る所見たんですが、本当に神社の隅々まで綺麗にお手入れされてるなって想いました!」と維持する大変さを口にする 悠一は「僕等は朝の5時から起きて、まずは掃除します! 出社して来た巫女もスタッフも、仕事の前に総出で掃除をしています!」と丁寧に答えてくれた 三鶴は「兄さんは景観を気にする人だから、掃除は念入りなんだよ!」とボヤきつつ答えてくれる 軽快に始まったトークは、神社への想いを熱く語る 兄弟のトークにスッカリ場を奪われた 烈は「こんな美しい夜桜の生配信が出来て、ボクは最高に嬉しいです そのお礼ではないですが、今日のスパチャはこの神社に賽銭として渡す事にします!」 デービッドも「賽銭やからお気持ちでええねん! この神社に投げ銭してくれると嬉しいデス!」と謂う 「そうね、お気持ちだからね!」 と烈が言うと賽銭ならば、と小銭が一斉に投げられ始めた 竜馬は「後で賽銭(スパチャ)は集計して、必ずや皆の想いを込めて賽銭箱へ入れさせて貰います!」と約束した ヘンリーが「その様子も生配信するよ!」と言う メンバーは頷いていた そして烈は「この桜の映像は此処の桜が葉桜になる頃 此処でやると沢山人が詰めかけちゃうと迷惑になるから球場でイベントやる事にするね! 一晩限りのイベント、春の思い出に遺したいからね!」と言う 竜馬も「この美しさは丸々は再現出来ないけど、皆の中に春の思い出と共に刻めたら良いと想ってるよ! この近くにアマリーグの球場あるから一晩だけなら、と言う事で借りれる様に皆が協力してくれたんだよ!一番の功労者は悠一 三鶴兄弟の助力があればこそです! 本当にありがとう御座います!」と伝えると、メンバーも烈も深々と頭を下げた オリヴァーが「こんな美しい時間をありがとう!」と感謝を込めて兄弟の手を握り礼を伝える 兄弟は始終笑顔でリラックスしていた この日の投げ銭は、賽銭と言う名目があったからか? かなりの投げ銭が投げられた 生配信が始まって直ぐの頃 唐沢は白馬にやって来た 一生は唐沢と維弦を茶屋の方へ連れて行き、配信の邪魔にならない様にした 配信が終わるとメンバーは撮影の機材の片付けを始めた オリヴァーが事務所に電話して 「スパチャは総て賽銭として書き出して、その様子を撮影して! 【R&R】は不正は絶対に許さないからね! 総て正確に視聴者に報告しないとだからね!」と指示を出した 二階堂悠一 三鶴兄弟に礼を言い生配信は無事に終了した 残すは後日 賽銭として頂戴したお金を、神社に持って来るだけにして、烈は唐沢に 「お話する?それとも明日?」と問い掛けた 既に飲兵衛に捕まった唐沢と維弦は「「話は明日お願い致します」」と謂う   取り敢えず、神社にいたら迷惑になるから、と慎一がバスを運転して白馬ホテル横の源右衛門の屋敷の方へ移動して、再び宴会へと突入した 今回の花見は兵藤家族に加わり、榊原真矢と清四郎も共に来ていた 真矢も清四郎もスッカリ、双子を気に入りお世話をしていた 白馬には一陽も御影もヨーコも来ていた 源右衛門の屋敷の庭にも桜の木は植えてあり、庭に面した窓を開けて桜を見ていた 【R&R】のメンバーは桜の美しさにスッカリやられ、オリヴァーは撮影しまくりだった そして楽しく白馬の夜は更けて行った 翌朝 朝食を食べ終わると烈は、唐沢に 「さぁ話をしましょうか?」と切り出した 「………家族がいるけど大丈夫なのか?」 唐沢は食後の茶を啜り問い掛けた 「構わないわよ! それが飛鳥井で生きてる者の死命だから!」 烈が謂うと康太は「客間に移れ!」と言い皆を客間に移した 神野は「あ~俺等は邪魔だろうから、此方にいた方が良いか?」と問い掛けた 康太は「構わねぇよ、きっとこの話題は……芸能関係者も耳に入る事になるかんな!」と謂う それで全員客間へと向かい席に着いた 唐沢は「連続猟奇事件は御存知か?」と問い掛けた 榊原が「首チョンパされてる方ですか? それとも拷問の限りを尽くされ斬り刻まれてる方の事ですか?」と敢えてその残忍さを口にした 「その両方です! 犯人は………怒らせてはならない家の方ですか?」と問い掛けた 烈は「裏の部隊いるって言ったじゃない! その裏の部隊が当主の命を遂行して頑張った結果なんじゃないのかしら? 今回の縁談で少しでも関わった者、それか女と馬鍬った奴とか……… 徹底的に巫山戯た事をした奴等を粛清したんだと想うわ!」と口にした 「だがお前が水晶に映し出した奴以外の者もいる!それは………どうしてなんだ?」 「そんなの当主様が怒り狂ってるから、裏の部隊は調べたんじゃない! 徹底的に調べるのなんて朝飯前よ!彼奴等は! なんたってあの家は 忍びの家系を今も育てて、鍛え上げているんだから!戦闘力は物凄いわよ!」と説明する 「烈は………狙われたりしないか?」 唐沢は心配して問い掛けた 「ボクに手を出せば鷹司は滅ぶわ! 生かしておいてやる必要なんてなくなるからね!」 と冷たく言い放つ するとその場にいた鷹司は 「我等は宗右衛門や飛鳥井に手は一切出したりはしない! そんな事すれば禍根を断たれ根絶やしされても終わらぬ地獄の始まりなのは解っておるからな!」と放った 唐沢は「………鷹司の家の者がいたのかよ………迂闊な事を言いました!」と謝罪した 「気にしなくて大丈夫よ! これ以上行き過ぎるなら、緑道にお仕置きするから!まぁ家を謀れたんだもの、少し位の報復は多目に見てやりなさいよ!」 烈が謂うと康太も 「だな、我等は【家】の為だけに生きて存在する者だからな! その【家】を謀られたならば、オレだって黙っちゃいねぇさ! 飛鳥井は裏の部隊は存在しねぇけど、オレ等はそんなのは必要ねぇ位に己の力はあるかんな! 生きてるのを嫌にさせてやんよ! そして死しても死んでるのを嫌にさせてやる! 其処までしてやっと溜飲は下がるってもんだ!」 と辛辣な言葉を吐いた 烈も「【家】の為の矜持とプライドを掛けた禊なのよ その【家】の穢れを祓わねば、穢された儘では男が廃るわ! まぁあの家に関しては黙殺してれば良いわ! 後少しで猟奇殺人は終わるだろうし………」と言った 「後少し?それは何人ぐらいを指してるんだ?」 「……………」 烈は黙って何も言わなかった 康太は「今回の事件はただの猟奇殺人事件で終わりはしねぇよ! 宗右衛門出したんだ、その恩に報いて一連の事件に【カタ】を着ける! それが宗右衛門が敷いてくれた道に報いる為だと、踏んで動いてるんだよ! だからこそ裏の部隊とかではなく、緑道は自ら呼んだんだよ 地獄の門番………を、な! 己の命を賭けて阿賀屋と烈と兵藤を狙った者達の粛清も込みで総てケジメを着けると決めていた! だから禊の他にもボロボロ死したのは……総ての禍根を断つ為と…殺しを依頼した奴等も入ってるからだよ!」と言い切った 維弦はずっと黙っていたが、恐ろしさのあまり身震いして「地獄の門番………何ですか!それは!」と叫んだ 榊原は冷静に嗤うと 「それは魔界で一番偉い方の側近、死者も亡者も黙らせられる唯一無二の御方………あの方の傍にいる方しかいませんよね?」と口にする 烈は「冥界の番人なんか担ぎ出したら、即座にその命はないわよ! それ程にあの世界は残忍で容赦がない! なら………魔界で一番偉いのは閻魔大魔王 彼は地獄の番人と呼ばれる そして門番と呼ばれる存在は……牛頭馬頭……あの気性の荒い子だと想うのよ?違うかしら?」と母に問い掛ける 康太は「多分牛頭馬頭で間違いねぇだろ? あ!!下手したら裏の部隊じゃ甘いと牛頭馬頭呼んで粛清したのかもな? どうせ魂は汚れてるんだし、逝く先は魔界……地獄しかねぇかんな! ついでに四鬼辺り呼んで連れて逝かせれば一石二鳥だかんな! それだと納得だわ!」と妙に納得して謂う 皆は牛頭馬頭………恐るべし………と想った 唐沢は「それ………本当に存在されるのですか?」と問い掛けた 康太は「ちゃんと実在してるぜ! 物語の世界の存在なんかじゃねぇよ! まぁ魔界にいたとしても、牛頭馬頭の姿を見れるのは稀だ! 本当に極一部の奴にしか解らねぇ存在なんだよ!」と話す 烈は「気性は荒いけど良い子よ! 何代か前の緑道が牛頭馬頭に一度だけ頼みは聞いてやる………的な事を謂われたらしいから、今世発動したのかもね! あの子はキッチリ依頼を引き受けた………的な感じで間違いないかしら?」と謂う 康太は「あぁ、それで間違いねぇよ!」と答えた 「なら首チョンパは牛頭馬頭ね! 牛頭馬頭に取ったら殴ったら首もげた………的な感じで拷問にたどり着けず終わったんでしょうね で斬り刻まれてる方は裏の部隊の仕事ね! で、芸能界の古株と言われてる事務所の社長は死ぬわね! 少し前に飛鳥井は呪いと破滅の序章を唱えられた事があるのよ! それを放ったのは……今回死ぬ事になる芸能界事務所の社長と利害が一致した輩の仕業かしら?」 康太は果てを視て嗤うと 「だな、それで間違いねぇ! まぁ仕方ねぇよな? 飛鳥井に牙剥けば、宗右衛門の粛清に遭う そして宗右衛門じゃ足らなかったらオレが自ら出て粛清してやんよ!」と言い放つ 唐沢は「ならばこの連続猟奇殺人はまだ続くと?」と問い掛けた 「そうね、まだ少し続くわね そして意外な人が死ぬわ! それでトドメになるから、黙殺してれば、良いわよ!どうせ犯人なんて見つからないわよ! 証拠も痕跡も防犯カメラにすら残ってない透明人間バリの犯人なんだから迷宮入りよ! それに今回も不法就労の闇バイトも介入しての総力戦となってるから、生きてる奴の仕業にしてカタ着けるしかないわね! 阿賀屋や兵藤きゅんの殺害に駆り出された奴等がゴロゴロと摘発されるだろうから………」 「そいつ等は生きてるんだろうな?」 唐沢が聞くと康太が「逮捕するまでは生きてるだろうさ!でも海坊主の息の掛かった奴ならば………消されて死人に口なしにされるかもな!」と謂う 維弦は「あ~もぉ!落とし何処のない話は本当に困るんですよ!」と叫んだ 烈は「そんな簡単な話じゃないからね………」とボヤいた 榊原は「ひょっとして破滅の序章唱えたのは、牛頭馬頭が間引く者の中にいるのですか?」と問い掛けた 「不完全な破滅の序章を神祖が跳ね返して、返ったのは中国地方の会社 経営にダメージ食らい倒産も間近な程の損失を負ったニュースあったじゃない! あれは元は政界のドンと言われた輩の親族で有ったり、派閥の者で有ったりしたのよ まぁ破滅の序章を返されて追い討ちを掛けただけで、政界のドンが死して青色吐息だったのは否めないわ で、外資を焚き付けて飛鳥井をターゲットにして狙い撃ちした でも不発で己にトドメを刺しちゃった……的な?」 烈が謂うと康太も爆笑して 「だな、セコい事するから、落魄れるだけで済むのが、息の根止められちゃったんだもんな 神野もkouno芸能事務所は知ってると想うが、あの事務所は鴻池の翁肝いりの事務所だったんだよ 色々とキナ臭い事務所で、翁を失って後ろ盾を無くして失速してる だから翁を破滅の序章でトドメを刺したと想ってる奴等が飛鳥井を狙っていた それに色んな輩が乗っかり、今回の事件になった 元は逆恨みだ、オレは翁なんざ、殺しちゃいねぇかんな! あんなのに己の寿命を削ってやる意味さえねぇと想ってたのに、態々唱える訳ねぇだろうが!」とボヤいた 「九州地方を牛耳っていた豪農が壮大な呪いの儀式で富を得た そして倭の国の政界を牛耳って、世界を動かした けどね、その呪いは………禍も同時に発動してるって解らないから………妖怪と契約して寿命伸ばして………化け物の様に生きていた 鴻池の翁は他界するまでに300歳は過ぎてたわよ!」 烈が謂うと康太は頷いた 唐沢は「300歳………!!それはもう人間じゃねぇだろ?」と叫んだ 「名を変え、顔を変え、何世代も生きて来たのよ そして総てのプロフィールには【幼少期は体が弱く静養してて明日をも知れぬ闘いだったから写真さえない!】とかの理由を着けて誤魔化してるわよ!」 唐沢はゴクッと唾を飲み込み…… 「その呪いとは?」 「まぁ聞かない方が良いかもね! 聞くだけで障りはあるもの……… まぁあの家は遥か昔から狗神を祀る呪法………で富も寿命も与えられ生きて来た、とだけ言っとくわ  でね、こんな話ししてるから………来ちゃう事もあるのよね!」と嗤う 唐沢と維弦は「「え!嘘!!!」」と叫んだ 飛鳥井の応接間の壁が漆黒の闇を孕んだブラックホールバリの穴が開くと、中から真っ黒なドロドロと闇を垂れ流している犬?なのか? が姿を現した 唐沢と維弦は「「うわぁ~!!」」と飛び上がった 康太はニャッと嗤うと 「犬にはやっぱ犬だよな!」と言い頭が二つに分かれてる犬を呼び出した 烈は「家が壊れちゃうから外でやってよ!」と謂うとクーとルーとスーが呪文を唱えた スーが「片付けて来るとするわ!」と面倒臭そうに首をコキコキやって姿を消した 烈はクーに「クーたん鏡で姿映しちゃいなさい!」と謂うとクーも面倒臭そうに姿なんか映りそうもない青銅鏡を手にして姿を消した 唐沢は「アレは何だよ?」と問い掛けた 「アレは狗神………まぁ詳細は省くわね! 詳しく知った者は命取られちゃうか、呪われるからね! だから鴻池の翁は邪教と契ってその命を永らえて来たのよ! 常に贄を出して、繋げて来たが………今じゃあの家じゃ押さえきれずに暴走を始めているのよ! で、死なば諸共で、飛鳥井に飛ばして誰か死んでくれれば贄確保でラッキーに位に想ってるのよ! まぁ今日、この時を持って……あの家は廃れるわ!」 「それよりも烈、あのイヌ………やけに血生臭くなかったか?」 「………芸能界のドンと呼ばれる者の死から始まり、事務所の閉鎖、そして悪行の数々 其れ等が噴出して出て来るわね……… 多分暴走してるからかなりの人間食い殺してるわね………」 「だよな………めちゃくそ血生臭いかんな! まぁそれが定めだ!仕方ねぇ事だ!」 神野達は繋がりはないが…………何かと口煩くイチャモンに近い事を何度も言って来ていた事務所だと想う 相賀が三社共同事務所でいるから、手出しはされないか……… それでも権力のある事務所だったから、妨害や嫌がらせは受けて来た 榊原は「頭を欠いた事務所は後継者問題で揉めますね…………」と呟いた 康太は「あの家は呪いを受けてる………多分継げる奴は出ては来ねぇよ!」と言葉にした 唐沢は「牛頭馬頭………調書に書けねぇ………見たことないし………」とボヤいた 烈は「見た事ならあるわよ!魔界でボクの横に何時もいたゴッツイの、あれ牛頭馬頭だから!」と謂う 「え!魔界でも極一部しか知らないんじゃ?」 康太は「烈は鬼や獄卒とかに絶大な人気あるならな!牛頭馬頭も例外に漏れず、交代してる時は烈がいるなら傍にいたりするんだよ!」と笑い飛ばした 「気性は荒いけど良い子よ!」 神威は「アイツを良い子呼びするのはお前だけだ!」とボヤいた 榊原も聡一郎も、うんうん!と頷いた 「牛頭ちゃんいるなら、お茶してから帰らせなきゃ!後で連絡取ってみるわね!」 烈が謂うと康太は「連絡なんか取らなくても、仕事が終わればお前の前に来て催促するだろうさ! その時になったら連れて行ってやれば良い!」と謂う 「そうね、その時になったらで良いわね!」 話をしてるとクー達が血塗れで帰って来た 一生と聡一郎と一陽は慌ててクー達を連れて浴室へ急いだ そして体を洗ってやって綺麗にしてやった クーは「この鏡も血を落としてくれると助かる! なんせ借りもんたからな!」と言い鏡を差し出した 一生は「この鏡は何なんだ?」と問い掛けた クーは「此れは閻魔大魔王が所有する浄玻璃鏡だ! 烈が閻魔殿に話し、閻魔殿はワン公が来るなら、今までの悪行を総て映して畜生界に落とし一番キツい所へ放り込み修練の道を歩ませる!と申されたから、鏡の道を開き落としたんだよ!」と説明した 聡一郎は「ケルベロスは?」と問い掛けた スーが「彼等は冥府に還りはったわ!皇帝炎帝に宜しく!烈にまた良い肉の差し入れ期待してる!と言い還って行きはったわ!」と謂う ルーが「ケルベロスがいなくば…かなりキツい闘いとなる所だった! 彼がいてくれたからこそ、クーが浄玻璃鏡で姿を映せる事が出来たんだ………」と謂う 体を洗い泡を流すと、体を拭いて手当てをしてやった 聡一郎がドライヤーで乾かす 一生がブラッシングしてやる 一陽が傷を手当てしてやった そして手当が終わると鏡を拭いて綺麗にした クーは鏡を持つと「返して来るわ!」と言い姿を消した ルーとスーは一生や聡一郎、一陽と共に客間に戻って来た 康太は「怪我は酷いのか?」と問い掛けた スーは「かすり傷程度ですわ!ケルベロスはんが気張ってくれたさかい大丈夫やで! こんな傷なら肉食べたら明日には完治やわ!」と笑う 榊原は「ならば飛鳥井へ帰ったならば、今夜は皆で出し合い焼き肉しますかね?」と謂う 皆大賛成して帰り支度をして、横浜へと還った そして飛鳥井の家に荷物を置くと、買い出しに出向いた その夜は皆で楽しく焼き肉をした 美しい桜の木の下で飲んだ想いを余韻に、皆楽しく飲んで夜は更けた 後日 烈と竜馬はスタッフにスパチャの集計を一円の狂いもなく計算させた そしてスパチャをくれた人の名を和紙に書き記して行くと、巻物の様な長さにった スパチャを現金にすると、烈と竜馬は兵藤に撮影を頼み白馬へ出向いた その金額を賽銭箱へ………とはいかず、兄弟に手渡した所を撮影する事にした 烈は「想ったより金額が大き過ぎて、賽銭箱へは入れられなかったけど、皆の幸せを祈祷して貰うからね!」と言い 悠一 三鶴兄弟は、賽銭をくれた人びとの名前を書いた巻物の様な紙を賽銭箱の上に置いてた そして賽銭(現金)を持った烈と竜馬を祈祷する事にした その様子を兵藤が撮影し配信した 悠一 三鶴兄弟は皆に「本当にありがとう御座いました!」と感謝の言葉を伝えた 「皆様にご多幸が有ります様に!」と心を込めて大麻を左右に振って祝詞を上げた かなり長い間 祈祷して貰い、それが終わると 「其れでは、皆様から受け取った賽銭を、神社に無事届けた事を皆に報告します! この動画が上がってる時は、集計してる所から総て撮影しているからね! 皆の想い、総て届けたから!」 不正は絶対に許さない! その【R&R】の姿勢を前面に見せて謂う そして笑顔で「皆の幸せを祈り、祈祷して貰ったからね!」と報告 竜馬と「皆が幸せを少しでも感じられる時間を迎えられます様に!」 と心を込めて言葉にした 「イベントを楽しみにしてて下さいね! 最高の桜の思い出を届けるからね!」 烈が謂うと竜馬が「頑張るから待っててね!ではまた!」と手を振り終わりを告げた 撮影が終わると悠一 三鶴兄弟は 「「こんな大金、受け取れないよぉ〜!」」と嘆いた 烈は「仕方ないじゃない、投げ銭総て賽銭として扱うと言ったら投げたんだもの、全部納めないと罰当たりじゃない!」と言う 竜馬も「そうだよ!賽銭なんだから!」と言う 兵藤は「小銭を賽銭としてと投げた、でもかなりの量になると小銭は札と変換され束になる って訳だ、賽銭だから受け取るしかねぇよ! 【R&R】は言った事は必ずや、やる! それに置いて不正は絶対に許さない! キッチリ集計し、その金額を賽銭として払ってるんだよ!」と謂れやっと兄弟は受け取る事にした 烈は「茶屋を甘味処にすると、それ目的に来るかもね!春は桜、夏は涼みに、秋は紅葉、冬は雪景色、春夏秋冬楽しめる様に大きな硝子を入れて座席も入れてカフェっぽくすれば良いわ! 中へ入れない客の為に外にベンチを増やすのも手よ!」とアドバイスをする その為の賽銭なのだ! 竜馬は「XとかインスタとかYouTubeを利用して、イベントも増やしたらどうっすか? 愛される土地に根強くなる為に、そう言うツールを使うのも手です!」と言う 兄弟は前向きに検討を始めた 母しゃん………母しゃんのお師匠の愛した土地を、幾年月重ねようとも愛して受け継がれる土地にしたいから、忘れられた土地になんかしないからね 皆が来て良かったと思える土地にしたい! 烈は母を想い………蒼い空を見上げる 忌嫌われた土地が生まれ変わり、皆に愛される土地になる それはきっと皆の心に何時までも美しい四季の風景が刻まれ受け継がれる明日へとなっていく未来と続くから…… 散り行く桜の花弁がヒラヒラと風に流される 見事な程に天晴な程にヒラヒラと散り行く 烈は風に飛ばされた花弁を手にすると 「来年も再来年も…………ずっとずっと………綺麗に咲き、見事に散り行く花ね………」と呟いた 兵藤は「だからこそ美しいんだよ、この花は!」と言う 竜馬も散りゆく桜を見上げて 「本当に潔いい花っすね! 新芽がキラキラ輝いてるっす!」と謂う 烈は上を見上げて嬉しそうに笑った こうして桜は芽吹いて青々と生命を漲らせ、来年の春を待つのだ 烈は振り切る様に前を向くと 「さぁ賽銭も渡したし帰ろうかしら?」と謂う 兵藤は「だな、帰りに何か食って帰ろうぜ!」と乗り気で謂う 竜馬も「それ良いっすね!」と楽しげに謂う 三人は宮司に深々と頭を下げると、清々しく背を向け歩き出した 悠一は「やはり彼は康太の子であるな……」と呟くと 三鶴も「だね、こんなに忙しくしてくれるんだからね!」とボヤく 散り行く桜の中で二人は笑っていた 悠一は「これからは忙しいくなるな!」と謂う 三鶴は「烈のライン聞いたからアドバイス貰うつもりだよ!」と抜け目のない事謂う 悠一は笑って「それは良い!ならアドバイス貰って甘味処カフェ作らないとな!」と謂う 「だね、皆に愛され、四季を通して足を運んで貰える神社目指さなきゃ!」 悠一 三鶴兄弟は変わらぬ景色に色を添え、少しずつ愛されて行けばいい………と想っていた 悠一は「さぁ仕事だ!」と謂うと三鶴は「解ってるよ兄さん!」と言い持ち場に戻った 【R&R】のホームページでは 「生配信をご覧の皆様 神社に迷惑が掛かりますので、参拝以外の目的で神社を訪れるのはお辞め下さい! 参拝される方はマナーを守り、お気持ちは精一杯にお参り下さい!    【R&R】 メンバー 一同より!」 と注意文を公開していた だから迷惑な参拝客はいないが……… お気持ちは精一杯で、参られるから………かなり神社は潤っていた 甘味処カフェを立ち上げて、ベンチを増やす工事が着工された 製図を引いたのは城田だった 最近烈は城田の見聞を広げる為に、色んな仕事を取って来て城田に製図を引かせていた 勿論 木瀬や恵太にも悠太にもそれに似合う仕事を取って来て製図を引かせていた 仕事の割り振りは宗右衛門が、決める事になっていた 【R&R】のメンバーは白馬のアマリーグの球技場に来ていた その球技場に新庄高嶺が来ていた 球団側の偉い人に呼ばれて態々来たのだった 球技場の関係者専用の部屋へ通されやって来た 呼ばれて足を踏み込んだ部屋には、小学位の子がソファーに座っていて……驚いていた その横には高嶺と同い年位の者と、明らかに二十代前半の青年が座っていた 高嶺は「誰?」と問い掛けた 球団のお偉い様は恐縮しまくりで 「此方は【R&R】のリーダーとサブとその関係者になる! リーダーが是非お前と話がしたいと謂う事で、話す機会を提供した! 失礼のない様に………では私は此処で!」と言い部屋を出て行った 部屋の中に高嶺一人が取り残されて………困っていた 烈は「どうぞ、お座りください!」と言った 高嶺がソファーに座ると烈は 「ボクは飛鳥井烈、父は榊原伊織、母は飛鳥井康太、その6男になります!」と自己紹介した 康太に子供がいるのは知っていた………世話を焼いていた時期もあるのだ…… 竜馬と兵藤は何も言わなかった 高嶺は「あの………俺に何の用ですか?」と尋ねた 「貴方、プロを辞めてアマのコーチして人生終わる気?」と単刀直入過ぎる切り込みを謂う 高嶺は言葉もなかった………… が、気を取り直し烈に向き直り 「それ以外で俺が生きれる道はない……」と言葉にした 「ならばチャンスをあげるわ! 貴方にヤンキースのコーチの仕事を紹介してあげるわよ! 去年の夏位からヤンキースの職員が何度も足を運び調査していたのよ それで正式に迎え入れても良い実力がある、と言われたから報告に来たのよ! 球団側にはもう話は通してあるわ! どの道赤字の球団だけど、貴方をスカウトするに当たって一晩限りのイベントする事で快く出してくれる事になったからね!」 高嶺は何が何だか解らずにいた 「妻にも相談せねばなりません………」 やっとの思いでそう言う 「貴方の妻の二階堂亜希には相賀の方から話を受けている頃よ!」 逃げ道を封鎖して答えを出させる そんな所は………本当に飛鳥井康太に似ていた 「君はお母さんにソックリだね………」 「そう皆に謂われるわ! そして容赦のない鬼は父しゃんの魂を与し者だと謂われてるわ!」 「逃げ道………ないじゃないか……」 高嶺が謂うと兵藤が 「諦めろ!このお子様は何処まで行っても容赦がない!最近じゃ康太が楽してる程にな!」と言った 烈は「貴方の果てを敷いてあげるわ! その為に去年の夏、顔中傷だらけで始球式やったのよ! ヤンキースタジアム借りる為に最大限に努力して球団関係者と仲良くなったから、ついでに倭の国のアマリーグに良いコーチいるから見に行って使ってみて!とアドバイスしたのよ! まぁ話を聞いて貰う変わりに、また無理難題謂われたけどね………」とボヤく 竜馬も「諦めてくれ!この所為で俺等は再びヤンキースタジアムで始球式やらないといけなくなったんだから!」と追い討ちを掛ける 高嶺は「始球式?君達は野球してるの?」と問い掛けた 兵藤は「高嶺、【R&R】と謂うパフォーマンス集団を御存知か?」と問い掛けた 「聞いた事はある………ニュースで見た事もある 妻が一度で良いから出たい!真矢さんが羨ましいって何時も言ってたな………そう言えば……… 真矢さんのお孫さん?」 烈は「ボクは榊原真矢が産んで、飛鳥井康太に託した子なのよ!実際は母でも祖母として生きている!まぁ祖母だから使った訳じゃないわ! 出たいならオーディション受ければ良かったのよ!オーディションの選考に名前はなかったわよ!」と謂うと竜馬が 「だね、二階堂亜希と謂う名前はなかったな!」と答えた 烈は「話が逸れたわ、それで貴方はキャンプからコーチとして入り実績を積んでアメリカで生きて行きなさい! 母が一度はアメリカで……と想った無念を今こそ完遂させてやりたいのよ! スカウトの人間も此処まで選手に寄り添い緻密なトレーニング組み立てれるコーチは早々いない!と太鼓判押してくれてるし、アメリカに行きなさい!そしてアメリカで世界に誇る選手を育てなさい!良いわね? それが我が母と父に報いる事だと日々精進して行って下さい!」とトドメを刺す 兵藤は「このお子様は両親の為なら何だってするお子様なんだよ! 母の視た果てが狂っている………と、軌道修正を掛けているんだ! お前もその一人なんだな………ならば逝けよ! 飛鳥井宗右衛門の見立ては絶対! 未来を詠んで欲しいと願っても、3年待ちと謂うのに、詠んで貰えて軌道修正まで掛けて貰えるんだ!喜んでアメリカへ行きやがれ!」と笑って謂う 竜馬も頷いていた 其処へ神野達がやって来た 柘植は「烈、二階堂はアメリカ行きを了承しました!事務所は辞めないと謂うので、三社共同事務所へ移籍して海外での仕事のサポートをします!」と伝えた 二階堂亜希も一緒に来ていた 烈は二階堂亜希を視ると、亜希は息を飲んだ 康太と同じ様な眼をして自分を視るからだ…… 亜希は柘植に「この子は?」と問い掛けた 柘植は「この子は【R&R】のリーダー飛鳥井烈だ!康太と伊織の子で6男になる!」と説明した 亜希は「【R&R】リーダー!!そうよ!この子は【R&R】のリーダーだわ!」と呟いた 烈は冷たく嗤うと宗右衛門の声で 「【R&R】のリーダーじゃが、儂は初代宗右衛門として飛鳥井で転生を繰り返す存在! 宗右衛門としての仕事をしておるのじゃよ! 今は宗右衛門として此処に座しておるのじゃ! 烈の母の果てが尽く狂わされた故に、軌道修正を掛けておるのじゃよ! その為に結構苦労してヤンキースの球団関係者と友好関係を築いて此処までこぎ着けた さぁアメリカへ旅立ち、その手腕を見せてみろ! まぁ怖気付いて逝けぬと申すならば、それでもよい!そんな腑抜けに用などないからな!」 そう言い、ガハハハハハハッと笑い飛ばした 兵藤は「球団側とは話が付いてる!決めるのはお前だ!だが此処までお膳立てされたんだ! 腹を括れ!新庄高嶺!」と檄を飛ばした 高嶺は立ち上がると深々と頭を下げ 「そのお話、受けさせて戴きたいと想います!」と伝えた 烈はホッと息を吐いて 「良かったわ、始球式まで受けたのに、来ないって謂われたら元も子もないじゃない!」と謂う 竜馬は「その前に此処でイベントだから!」と謂う 烈は「そうね!それがあったわ!」とボヤいた 亜希は「あの………アメリカでの家は?何処に住んだら良いんですか?」と問い掛けた 竜馬が「球団側が用意すると言ってた! でも嫌ならジョージに何処か部屋を用意させても良いよ!」と簡単に言う 亜希は唖然として「ジョージとは?」と問い掛けた 「Strong Hiのボーカル ジョージ・マクガイヤーの事だよ!」とサラッと言った Strong Hiは今じゃ耳にした事がないって程に人気のバンドだった 烈は「アーネスト、アメリカにマンション買ったって言ってなかった?」と謂うと竜馬は 「言ってた!4L・DKのマンションだったよね」 「それ貸してくれないかしら?」 「聞いてみるよ!」 ニコニコ竜馬が謂うから亜希は 「あの球団側が用意してくれるなら………それで良いです!」と言った …………が、烈と竜馬は聞いちゃいなかった 何処やらに電話して英語で話しまくっていた 高嶺と亜希は烈の濁りのないクィーンイングリッシュに唖然となっていた 兵藤は「この二人はイギリスでは公爵の称号を戴きナイトの勲章を要する存在なんだよ! 烈は既にオックスフォード大学を卒業して学位記と取ってる!」と話す 高嶺と亜希はもう何が何だか解らずにいた 電話が終わると「今回は結構手痛いスケジュールになるじゃない!」とボヤいた 竜馬は「仕方ないよ!リーダーがマンション欲しがるからアーネストが調子に乗ったんじゃないか!」と言い合いを始めた 「ケチね!アーネストは!」 「そりゃそうだよ!結構大枚はたいて買ったらしいからね!」 「マンション……ボクはアメリカにはマンション持ってないわよ! そんな国に買ったら父しゃんにお尻ペンペンされちゃうじゃない! ボクは飛鳥井から出られないんだから!」 「なら俺が買うか?親父に謂えば母さんの親族が用意してくれるかも知れないし!」 「でもアーネスト貸しても良い、下手したらあげても良い!と言ってくれたからな………… 曲を作るわ、大ヒット間違いなしの曲を!」 「だね、夜も寝ずに昼寝して作ろうね!」 「そーね!でもボク会社に出るから昼寝はさせてくれないわよ!」 「その為の貴史じゃんか!」 「そうね!仕事は兵藤きゅんに頼んで昼寝しちゃいましょうか!」 楽しげに謂う二人に兵藤は「おい!」と苦言を呈した 「取り敢えずアーネストからマンションの地図と鍵を貰って来てよ!兵藤きゅん! カズもイギリスへ行くからさ、一緒に行きなさいよ!」 「一生?何故イギリスに?」 問い掛けられて烈は表情を曇らせた が、次の瞬間にはそんなの見間違えみたいに笑顔で 「馬術の世界も日進月歩、今此処で専門的な知識取り入れないと出遅れたら、飛鳥井は馬主を辞めなきゃならない事態になるしかないのよ! だから……ほっくんもリキちゃんもカズもイギリスへ渡り勉強する必要があるのよ!」 それだけじゃない事が解る………… だが烈は謂わないだろう………だから聞かない 兵藤は「了解した!ならイギリス行きのチケットを取り一生と北斗と力哉と共に行くとするわ! イギリス滞在中は一生達は何処で住むのさ?」と問い掛けた 「カズ達は宿舎で一ヶ月生活するわ! その後、ほっくんはイギリスに残り馬術に長けた学校に入り最低でも一年は寮に入り学ぶ事になってるのよ! リキちゃんは馬関係の事務所で働く事になってるから、ヨニーに一ヶ月通って貰う事が決まったのよ!」 「北斗………還れねぇのか………」 「兵藤きゅん………今飛鳥井の株価操作してるのは飛鳥井蓮………だとしたら? 海坊主関係の人間いたら利用されるしかないのよ」 あぁ………だからイギリスへ行かせるのか……… 兵藤は納得して言葉を飲み込んだ そして気を取り直して 「よし!竜馬、お前も来いよ! アーネストに連絡着けるのはお前な!」 と言った 竜馬は「なら3日で帰らなきゃ!還った翌日には高嶺、アメリカへ行かなきゃだから!」と慌てた それには高嶺も慌てて 「え!3日で倭の国へ還り、直ぐにアメリカですか!」と叫んだ 「そうよ!ボクも付き添うから!」 烈が謂うと神野も須賀も柘植も相賀も 「「「「俺達(儂)も付き添うから!」」」」と言った 烈は高嶺と亜希に向き直ると 「3日で倭の国の住処を処分して両親もアメリカへ連れて行きなさいよ! 両親をこの世から消されたくないなら……両親も連れての移動しなさい!」 「「えー!!理由は?」」 「アメリカへ行ったら話してあげるわ! 今話せば………道が開いて来てしまうから、話せないわ!」 亜希は覚悟を決めた瞳をして 「解りました!3日で総ての痕跡を絶ちアメリカへ旅立ちます!」と宣言した 高嶺は「亜希………」と言ったが、決めた妻は止まらないのを知っていた 烈は「話し合いは此処までよ! アメリカへ行く世話を焼いてあげるんだから、ご飯奢ってよ! それか対価になるなら動いてあげるわよ! ボクはタダ働きはしない主義なのよ!」と謂う 亜希は「何か食べたいんだ?」と問い掛けた 烈は「血糖値も脂質も影響しないヘルシーなの!」と答えた 亜希は眉を顰めて 「お子様はそんなの関係ないだろ?」と謂う 兵藤と竜馬は爆笑して 「「嫌、嫌、このお子様はそれを気にしないと食べられねぇんだよ! お子様の頃 栄養満点のご飯と和菓子と煎餅と沢庵食いまくって食事制限されてんだよ!」」と声を揃えて謂う 今もお子様なのに………更にお子様だった頃の話か? 亜希は唖然とした 「晟ましゃ!直君、きょーちゃん、おーちゃん 飛鳥井に還って宴会しましょうか! 無論 この二人の奢りで!」 「「「「それは良い!なら奢りで!」」」」と喜んだ 亜希は「なら行こうぜ!うちの子は母が見てくれてるから、このまま行って大丈夫だからな!」と言い立ち上がった 烈のポケットからクーが出て来て 「横浜に行くなら、少し待て! 車を調べねぇと………細工されてる危険があるからな!」と告げて姿を消した ルーとスーもポケットから出て二足歩行で歩き回る スーは「此処は【眼】は大丈夫やけど、なんせ横浜は遠いからな、妨害受けるなら車細工しとこか!と細工されたらアウトやで!」と謂う 亜希はそ~っと手を伸ばし、スーを撫でる スーは「ひゃっ!何やあんさん! 急に撫でるのは反則やで!」と怒った 亜希は「すまない、毛並みが良さそうだからつい………」と謝罪した 兵藤は「そりゃ毛並みは良いだろうさ!烈の兄達が毎日風呂に入れてブラッシングしてるんだからな!」と笑う 竜馬も「俺もブラッシングしてるから、結構良いヘアオイルも使ってるからね!」と謂う クーが戻って来ると 「細工してあったわ、アレはレンタカーやろ? なら神の道で横浜まで行くしかないわ!」と告げた 竜馬はレンタカー屋に連絡を入れて 「車に細工されてたんだけど? 俺等を事故死させる気だった?」と難癖に近いクレームを入れた 相手側は平謝りして車を回収すると言った 「車、回収するならレッカーで引っ張らないとブレーキ壊れてるよ!」と謂う そして話が着くと竜馬は電話を切った 「話は着いたから、神の道を通って横浜に出ようよ!で、何処に出る?」と問い掛けた 烈は「それは出てのお楽しみよ!」と言い神の道を開いた クーは「ほら、早く入れ!」と催促する 烈は先に入ると竜馬が続き、兵藤は高嶺と亜希を先に入れた すると烈は神の道を閉じた

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