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第32話 春の嵐 亜米利加の地以て編 ❶
烈達は神の道を通り、横浜までやって来た
神の道で出たのはタワーマンション駐車場だった
此処なら人目を気にせず出られると想ったのだった
タワーマンションの奥の関係者以外立ち入り禁止のドアの鍵を開けると、素早く中へ入りドアを施錠した
そして通路を通り正面へ出ると、階段を上がり玄関のドアを開けた
またしても皆は素早く後に続き、玄関に入りドアを閉めた
オートロックの扉は閉まると自動に施錠がされた
烈はシューズクロークの中へ入り防犯カメラを確認してからリビングに入った
烈は慎一と一生を見付けると
「此方が今夜は奢ってくれると謂うから、カズと慎一きゅん、買い出しに行ってね!」と頼む
一生と慎一は新庄高嶺と妻の亜希を目にする
一時期 飛鳥井の家にいたと謂う存在
一生が飛鳥井に帰ると入れ替わりで白馬へ行った存在だった
高嶺と亜希は深々と頭を下げ挨拶した
其処へ仕事から還った康太と榊原が二人を目にした
康太は「珍しい奴がいるやんか!」と謂う
烈は「奢ってくれると謂うから連れて来たのよ!」と笑って答えた
榊原は「ならば買い出しに行きますよ!」と言うと一陽が「なら俺がマイクロバス運転します!」と申し出る
一生と慎一は榊原と一陽と共に高嶺と亜希を連れて買い出しに向かった
康太はソファーに座ると「あんで高嶺だ?」と問い掛けた
「高嶺をヤンキースのコーチに所属させる為よ!
だから妻の了承を得て、両親を連れてNYへ行かせるのよ!
3日で総てを処分させ痕跡を絶ち、その後あの家族はアメリカへ旅立つわ!」
「親も?何故………」
「裏切り者はこの際、始末されて然るべき存在と判断されたからよ!
緑道の方から避難させるなら止めてる今しかない!と連絡が入ったのよ!」
「………っ!!!あの家族を………裏切らせたのはオレだ………」
「母しゃん、其れはあくまでも過程の話にしか過ぎないのよ!
本人がどうしたいのか?決めて進んだ道だから!母しゃんは責任を取る必要などないわ!
だから仕方ないから、ボクがケジメを取る事にしたのよ!
新庄高嶺はNYヤンキースのコーチに収まるわ!
始球式やった時に話はしたのよ
其れで調査が入って実力を見極められ、欲しい人材と判断され、この度NYへ行く事になったのよ
本人の野球人生は無念だっただろうけど、コーチとして花開くわ!
だから今がチャンスなのよ、それには親も込みでNYへ行かせなきゃ………消されるのよ!」
言葉も無い話だった
康太は「…………」悔しそうに唇を噛んだ
烈は母に抱き着き背中を撫でた
「大丈夫よ!母しゃん!
ボクが軌道修正を掛ける
その果ては揺るぎのない明日へと続くんだから!」
甘い匂いが康太の鼻を掠める
このお子様は何時だって美味しそうな匂いかするのだ
康太は笑って「何食って来たのよ?」と話す
兵藤は「何も食ってねぇよ!烈の体臭なんじゃねぇのかよ?」と笑った
竜馬が「何処で宴会するのさ!」と問い掛ける
「客間が良いわよね?
此処じゃ皆は入れないわよ!」
康太は「だな、真矢さん達呼ばねぇのか?」と問い掛けた
烈は「それは、にーに達がしてくれてないかしら?」と謂う
真矢と清四郎も今はタワマンに住んでいた
4月下旬 烈はドゥバイへ行き、正式なドゥバイ王の誕生を見届ける事になっていた
それが魔界で世界会議を開いた者の務めと、閣下と共に招待されて行く予定だった
だからこそ、その前に北斗をイギリスへ行かせ、高嶺達をアメリカに行かせる必要があるのだった
烈の髪の毛は前代未聞な程に揺れて靡いていた
流生が「烈、太陽が おばぁちゃまに連絡したから、直ぐに来てくれるとの事よ!
その時 美緒さん夫婦も来てくれるそうよ!」と告げた
暫くすると両手一杯の荷物を抱えた榊原が、真矢と清四郎と美緒と昭一郎と共にやって来た
榊原は「途中で会いました!」と言い荷物をキッチンに持って行き料理を始めた
双子は「「れちゅー」」と烈に甘えて絡みついていた
クー ルー スーは烈のポケットから出て、布巾を手にして客間に行きテーブルを拭く――――お手伝いをする
お茶を運ぶワゴンと違い、料理や食器を並べるワゴンを使いエレベーターで運ぶ
【R&R】のメンバーも烈が還ってると聞き、客間にやって来た
ヘンリーは「球団関係者との話はどうだった?」と問い掛けた
「話は着いたわよ!
イベントのチケットは5分でSOLD・OUTになったからね
球団関係者もホクホクよ!」
サムエルは高嶺と亜希夫妻を見て
「なら3日後は高嶺達を引き渡しにアメリカへ行き、再来週はイベントだね!
烈さぁ、少しは投げられる様にしなきゃ!」と謂う
ダニエルは「リーダーにそれを求めるならサムエル投げなよ!」と謂う
サムエルは「Oh!NO!」と返り討ちに遭いオーバーなジェスチャーをした
烈は「今度は絶対に顔に傷付けないから!」と決意を口にする
メンバーは、うんうん!と頷いていた
が、竜馬が「止めときなよ!烈
それ………絶対にフラグ立つ事になりそうだよ?」と止める
メンバーは、うわぁ~!!!!!と困って慌てていた
フラグ立つなら、また顔に怪我しての始球式じゃないか!
メンバーは言葉を失っていた
竜馬が「手伝わないなら飲ませないよ!」と怒ると、皆気を取り直して手伝いを始めた
そして始まる宴会
昭一郎が「この前は美しい桜を観賞する時間をありがとう!」と礼を謂う
「ボク達の撮影入れて逆に悪かったわね
でも楽しい時間を迎えられてボクも満足だったわ!」
昭一郎は楽しげに笑っていた
が、烈は昭一郎を見て
「昭ちゃん………政局は荒れるわよ!
そして危うく昭ちゃん、この世から消される所だったわよ!」と謂う
昭一郎は困った顔をして
「この前………国会議事堂の控室でお茶を飲もうとしたら、スー君が来てくれて
『それ、飲んだら死ぬで!あんさん!』と言われたんだよ………やはり私は消される所でしたか?」と口にした
「そうね、最近の昭ちゃんは、ハッキリ言って目の上のタンコブなのよ!」
「え………私は人畜無害な政治家ですよ?」
「人畜無害だけど、獅童に教育させた結果が躊躇に出て来て頭角を現し始めてるからね
其れだと邪魔な存在にしかならないのよ!
其れでなくても後数年で倅が政治家になる
其れだけでも邪魔なのに、今更出遅れた花咲かせるんじゃねぇ!って謂う程に昭ちゃんは頑張って来た成果が出てるのよ!」
「烈…………」
「まぁ、竜ゅー馬が玉藻の君を誕生させる日までは、美緒たんも昭ちゃんも楽にはなれない運命だから!」
烈が謂うとスーが「気張りや!」と続けた
美緒は「竜馬が我の継ぎを生むのかえ?」と謂う
榊原は「正確には竜馬の妻が産むんですよ!」と訂正した
美緒は嫣然と笑い
「あぁ、竜馬は三木の血が誰よりも濃いのじゃな!」と呟いた
「そーね、美緒たんで途絶えた玉藻の君だけど、軌道修正掛けたら、竜馬の妻が産むと出たのよ!」
兵藤はそれを聞いて
「竜馬結婚するのかよ?
俺はてっきり烈とずっと一緒にいるのかと想ったぜ!」と冗談めかして謂う
康太は眉を顰めると、兵藤がそれに気付いて何か言おうとした
が、康太は何も言わせない雰囲気で目を逸らした
烈は「ボクが死してからの話となるけどね
果ては敷いて行くから大丈夫よ!」とサラッと謂う
竜馬は「其処まで晩婚で……俺………子供作れるの?」と呟いた
兵藤は何やら感じて
「まぁそんな未来の話なんか良いじゃねぇかよ!
其れより、高嶺と亜希がいるんだ!
おもてなしをしろよ!ほらほら!」と謂う
話は変わって皆が楽しく話をし始める
オリヴァーは「烈!イギリスへ貴史が行く時は、僕達も一旦戻るね!」と謂う
烈は「頼むわね!あ、カズが生活する宿舎まで連れて行ってね!
ほっくんとカズは其処で、リキちゃんはオリヴァーが預かりで寮に住まわせてね!
約 一ヶ月間はそんな感じでお願いね!
その間に、ほっくんの入る学校の面接と入学試験を受けさせて、合格したら寮に入れてね!
最低でも1年は……そっちで生活させてね!」と頼んだ
オリヴァーは「了解したよ!北斗の学校の方はイギリスに着いたら直ぐに試験受けさせるよ!」と謂う
烈は「まずは……ほっくんね………」と呟いた
ヘンリーは「アメリカには僕等も行くから!
3日後、イギリスで総てのスケジュールを終えたら、直でアメリカへ向かうよ!」と謂う
烈は「ボク………ジムに通おうかしら?
それとも式神に持たせて………さも凄い玉投げた様に見せようかしろ?」とボヤく
康太は「うちの子は皆 野球少年には程遠いけど、それでええやんか!
オレの子はどの子も可愛いオレの子だ!」と謂う
烈は母に抱き着いた
兄達も母に抱き着いた
榊原は「父は要りませんか?」と寂しそうに謂うから父にも抱き着いた
瑛太は「飛鳥井は代々 野球少年は輩出してません!無論 私も野球は暑いし汗臭いし嫌でした!」と助け舟を出してやる
烈は「えーちゃん!!」と謂うと双子も
「「えーしゃん」」と甘えた
瑛太は優しく撫でてやる
双子は飛鳥井へ来た当時よりも、少し大きくなっていた
柚は父の肩に登った双子を優しく撫でてやった
柚は夏に覚醒の儀をやる事が決まった
その日までに体力を着けて、儀式が受けられる様にならねばならなかった
神野は「今夜は神威と阿賀屋君と鷹司君は来ないのかい?」と問い掛けた
康太が「神威は裁判めちゃくそ控えてて、来れねぇんだよ!
そして阿賀屋は外出すら皆無な生活してるし、鷹司は今、其れどころじゃねぇから無理だな!」と話す
榊原は「蒼佑は命狙われてましたからね………」と仕方なさそうに口にする
「まぁそれも後少しで片付くかんな!
しかし、高嶺、ヤンキースでコーチするのか!
向こうでも頑張れよ!」
康太が謂うと高嶺は「はい!でも夢みたいです……」と答えた
「宗右衛門が態々敷いてくれたレールに乗れたんだ!
宗右衛門を直々に引きずり出せる存在はいねぇかんな!光栄だと想い頑張れ!」
「「はい!」」
高嶺と亜希は同時に返事した
烈は後は興味もないかのように、客間の廊下に出てワン達を撫でていた
流生が傍に来ると烈は「どう?コツは掴めそう?」と問い掛けた
流生は「中々難しいのよ………」と弱音を吐いた
烈は少し考えて「アメリカから帰国したら、少しボクとお出掛けしようか?」と謂う
流生は「何処へ行くの?」と問い掛けた
「金運の上がりそうな存在にコツ聞いたら、出来るかもよ?」
「僕………出来損ないだから……」
流生が謂うと烈は兄の頬を叩いた
「流にーは親を愚弄したって解ってる?」と謂う
流生はハッとした顔をして「ゴメン………」と謝罪した
「流にー!重く考え過ぎなのよ!」
「そうかな?」
「流にー、肩の力抜いて、もっと気楽になれば良いのよ!
空 飛べるのよ!すげぇのよ?
ボクの子もその内通る道だから、弟の為にその姿見せてあげてね!」
流生は烈を抱き締めた
流生は最近 虹龍に教わり龍の姿になれる様に………教わっていた
遅い位なのだ
初等科に入る前の 頃に教えて使い分けさせねはならなかったのに………力が強過ぎて、龍の姿にさせずに来てしまったのだ
なのに今 龍に変身しなさい!と言われても……
それは土台無理な話だった
「人生長いんだし、生きてる間にやれれば良いのよ、そして死したら転生するから魔界へ来るまでに姿を変えられれば良いのよ!
別に明日までとか、いついつまでに、なんて縛りないんだし、気楽に行けば良いのよ!」
「烈、凄く気が楽になったよ………
後ね………怖かったんだ………
姿が変わったら………戻れなくなりそうで………」
「そんな心配なんかしなくても良いわよ!
どんな姿をしてても流にーは、流にーなのよ!
ならさ、ボクの子………怖い?気持ち悪い?
人と違うから………化け物だと想う?」
烈が謂うと双子は涙を流してうわぁ~んと泣き出した
流生は双子を抱き締めてやり
「そんな事思わないよ!
どんな姿でも響と奏だよ!」と謂う
「流にーも、一緒でしょ?」
「あ!………」
わんわん泣く双子を、榊原は心配して連れに来て、葡萄の前に置く
「ほら、食べなさい!
あまり泣くと溶けちゃいますよ?」と心配する
双子は鼻を啜りながら、葡萄を食べ始めた
流生は「烈………ゴメン、響も奏もゴメンね!」と謝罪した
双子はあ~ん!と大きなお口を開けた
流生は少しずつナイフで切ってお口に入れてやる
ズビ ズビっと鼻を啜る痛々しい声がする
真矢は葡萄を食べ終わると、お口をウエットティッシュで拭いてやり、両手で掬い優しく胸に抱いた
そしてお膝に置いて撫でてやった
眠ると玲香が籠を取ると、その中に寝させた
そしてフワフワのお布団を掛けてやった
烈も座布団で丸くなると、慎一が抱き上げて部屋へと連れて行った
兵藤はそれを見送り
「俺は明日から3日後までイギリスで、帰ったらアメリカの強行軍スケジュールだ!」とボヤいた
康太は笑い「酷使されてんな!」と謂う
「んとにな、人使い荒いよな?」
「まぁ、それが宗右衛門だから諦めろ!
オレ等は遥か昔から宗右衛門には無茶振りばかりされて来たかんな………
秋田から馬飛ばしまくりで横浜へ行け!言われた時なんか、お尻腫れたかんな!
もう馬に乗りたくねぇ!って想ったし………
一番腹立つのはドイツに連れて行かれた時だな
戦時下で船で外国に渡るのだけでも命がけやのに………銃弾飛び交う中で、アイツ玉よりも速く走れ!言いやがったもんな……」
康太の嘆きは止まらない
榊原も「体に風穴空きますよ!本当に命が幾つ有っても足りません!
蝦夷では一発必中だ!でないと死ぬぞ!と無茶振りして狩りをやらされましたしね!
凍えて死ぬ想いと、熊の恐怖で死ぬ想いを何度もしましたよ!
なのに宗右衛門、熊なんか蹴り飛ばす!と蹴り入れてましたからね………」と嘆きは止まらない
「そうそう、木によじ登り飛び蹴りカマしてたよな、オレと伊織を囮にしやがって!」と謂う
「宗右衛門は猪にも負けるな!と猪よりも早く突進して逆に気絶させてましたからね……
飛鳥井の財力の基礎を作ったのは、そんな宗右衛門の無茶振りに耐えた僕達のお陰だったりするんです!」
「だよな!蟹やマグロも釣りに行かされたかんな!株式作るのにどんだけ無茶振りさせられたか………」
清隆や瑛太は言葉もなかった………
兵藤は「俺なんて可愛い無茶振りだって解ったから、もう良いって!」と謂うと皆が笑った
後はもういつも通りに笑いの絶えない時間を送った
翌日の昼 【R&R】のメンバーと兵藤と竜馬は、一生と力哉と北斗を連れて、イギリスへと旅立った
到着するのは日付が変わって空の上で半日以上過ごす旅となる
長旅の疲れを滲ませイギリスへ到着すると、一生と北斗はイギリス王立場馬術協会へ出向き世話役の人と合流した後、馬術調整牧場へと向かう
其処で一ヶ月間、馬の飼育の勉強をするのだ
イギリスの歴史に馬術在り!と謂われる程に長い年月を掛けてトップの座を走る馬を作る牧場だと聞かされた
歴史と馬を並走して歩める程に馬術を極めた国の飼育方法は勉強になる筈だ
エミリア王女が寄こしてくれた飼育のプロは、此処の職員だった
だから一生と北斗を見付けると、近寄って来て寮を案内して荷物を置くと仕事に入る!と謂れ兵藤と竜馬と【R&R】のメンバーは牧場を後にした
一生と北斗を降ろした後は、ヨニー©イギリス本社ビルへと向かう
オリヴァーは力哉を預かり会社の中へと入って行った
本社ビルはランチャーで破壊されたが今は直され、より頑丈に強固なセキュリティを入れ警備システムの構築も変えて始動していた
本社ビルの中には、単身者用の寮も併設して、研修に来る者達を受け入れられる様にしてあった
力哉は其処で生活して仕事をする事になっていた
より経営の回し方や、経理の実践を積ませる為だ
今まで力哉がしていた秘書の仕事と、此れから牧場の運営に携わる仕事は畑が違うからだ
力哉は経営を学ばせ、経理事務を学ぶ為にヨニーで一ヶ月の研修を受けるのだった
兵藤と竜馬とメンバーは、力哉をオリヴァーに託し、RODEOÑの事務所に向かう
ヴォカルのアーネストには飛行機に乗る前にアポは取っておいた
到着も伝えたから、RODEOÑの事務所へ向かった
事務所を訪ねるとRODEOÑのメンバー全員いた
アーネストは「竜馬!!倭の国で1日限りのイベントするんだって!」と瞳を輝かせ待っていた
竜馬は「そうだよ、話が早くてビックリしたよ!」と困り顔で答える
「それ、俺等は出られないのか?」と尋ねる
「あ~リーダーに聞かないと答えられないよ!
今回のイベントは能楽師が関わってるらしいから………音楽も拘るから、俺では答えられないんだよ!」
「なら観に行く!」
アーネストが謂うとRODEOÑのメンバーは頷いていた
「まぁ1日限りのイベントだから、観に来ても大丈夫だよ!」
「本当は出たい………マンションやるからさ、出たい!」
竜馬は嫌な顔して「リーダーの好きそうな誘い文句を言っちゃたりしてる?」と言った
アーネストは笑って「リーダーはケチだから、対価となるのを要求するから、俺はマンションを対価として散ら付かせて見るんだよ!」と要求を口にする
ヘンリーは「其れはリーダーを上手く誘い込むしかないね!」と他人事みたいに言う
アーネストは「お前達は何時までイギリスにいるのよ?」と問い掛けた
竜馬は「俺等は明日の夜には倭の国へ帰るんだよ!そしてアメリカへ行きNYヤンキースの球団に高嶺を届けるんだよ!
始球式の打ち合わせもあるしね
なんせ球団関係者は烈が来なきゃ受け入れないって謂われてるからね!
で、来月はヤンキースタジアムで始球式やるんだよ!
それが条件だからね!」と答える
「その合間にイベントやるんだよね?」
アーネストはその多忙さに………空恐ろしさを覚える
「そう、イベントもやるよ!
で、4月下旬 烈はドゥバイへ行くんだよ!
だから今から仕事の調整をしてるんだ!」
「何その強行軍なスケジュールは!!
彼はまだお子様だよね?」
アーネストが言うと兵藤は
「まぁお子様だが、転生者として遣る事は責任重大で膨大な量の仕事を抱えているんだよ!
それを優先順位を着けて一つずつ片付けているんだよ!」と謂う
「彼は……本当に大変な生活してるのに……坦々とそれを熟し飄々としてるから、忘れちゃう時があるんだよね
常に泰然自若としてるから……」
「まぁ俺等みたいに扱き使われてる奴みたいに近くにいねぇと解らねぇからな!」
兵藤が言うと竜馬は頷いた
アーネストは「決めた!俺等は一ヶ月は暇になるんだよ!だからタダ働きしようと決めてるんだ!
倭の国へも米国へも着いてくから!」と謂う
RODEOÑのメンバーも頷いていた
竜馬は「なら明日の夜空港で落ち合おうぜ!
チケットはお前達の分もヘンリーが取ってくれるから、時間はヘンリーがラインで伝えてくれるから!俺等はイギリスにいられる間にやる事やらないとだから!」と言い慌ただしく出て行った
アーネストはそれを見送り
「本当に………規格外すぎるだろ?お前の所のリーダーは………」と呟いた
そして一ヶ月休暇をもぎ取った為に、皺寄せが来て忙しく働かねば!と自分達のやらねばならない事を始めた
その頃の烈は会社にいた
3日の間にやらねばならない事をしていた
高嶺夫妻は3日で総てを清算せねばならないと、白馬へ向かい住んでる家を解約した
球団側が借り上げてくれていたマンションだったから、解約も簡単に出来た
本来掛かる違約金とかは発生する事なく終えられた
多分 烈が球団側に協力的に言ってくれていたのも大きいと高嶺と亜希は痛感していた
そして服以外の家具は売り飛ばし、総ての痕跡を断つ事が出来た
まずは自分の家を片付けたら、二階堂の家の近くにホテルを借り、アメリカへ行くまではホテルに住まい手伝うつもりでいた
亜希は烈に謂れた晩に、二階堂の両親に連絡を入れた
何せ3日しか猶予がないからだ!
亜希は母 光代に事情を話した
「母さん、飛鳥井宗右衛門殿が、総ての痕跡を絶ち、アメリカへ旅立てと申されています!
突然ですが私達も手伝いますので、受け入れてくれませんか?」
と亜希は説明した
光代は宗右衛門を知っていて
『本当に飛鳥井宗右衛門と申されたのですか?』と尋ねた
「はい!飛鳥井宗右衛門殿が訪ねて来られて急遽決まった事です!」と亜希は伝えた
『解りました!直ちに宗右衛門殿の意向に添い総ての痕跡を絶ちとう御座います!』と答えた
「私達の方は賃貸ですので、早く片付けられます!終わり次第 そちらに行き手伝いますので!」
『解りました、ならば直ちに取り掛かります!』
光代は総ての痕跡を断つ為に動き始めた
が、高嶺達と違い、二階堂の家は持ち家だった
処分させる為に即座に動いた……が、家や車はそんなに簡単には処分は出来はしない
困っていると宗右衛門の顧問弁護士 飛鳥井神威が二階堂の家を訪ねて来た
神威が代理人となって総てを処分してくれると申出てくれ、山程の書類を持ってやって来た
神威は「無茶振りしやがるから、儂が代理人となり家は処分する!」と言い代理人として売るに当たっての書類をテーブルに並べ判子を押させた
家は代理人に頼むとして、家具家電や車等など……3日で総てを処分するのは……少し無理があった
高嶺と亜希はどうしようか?と悩んでいた
賃貸に住んでる高嶺夫妻と違い、晃嗣の家は一軒家で、車から家具家電総ての処理となると、3日では到底無理だった
そんな時にタイミング良く、烈の顧問弁護士が来てくれたのだ
高嶺は飛鳥井神威に「家だけでなく、車、家電、家具等………処分を手伝って貰えませんか?」と助けを求めた
神威は「処分する方が高く付くかも知れねぇぞ!
それを承知ならば、代理で処分してやる!」と謂う
晃嗣は「処分して下さるならば、必要経費はお支払い致します!」と告げた
「足が出たら宗右衛門が何とかするだろ?
其れより、この家………潰した土地貰うぞ!」
「はい!お手数を掛けるので、それでは足らないと思いますが………」
「まぁ対価は烈が決める!
アイツはタダ同然だと言われても、本人が望むならば、それを対価として求める!
だから気にしなくても大丈夫だ!
車は………売れば足が付くから廃車にしてスクラップにする
家具家電も総てスクラップにする!
その書類もあるから同意書にサインしてくれ!
価値があるとしたら、土地だけだが、この土地は穢を祓わねば使えねぇらしいから依頼するのに、幾ら掛かるか分からんらしい……」
晃嗣と光代は言葉もなかった…………
神威は事務所の関係者に連絡を取り、事務所の弁護士には手続きさせ、職員やスタッフを総動員させ、解体やスクラップする為に、直ぐに動いてくれる業者を探し動く様に指示をした
その為の膨大な書類にサインして判子を押した
「まぁ命狙われてるんだろ?
アメリカの地に着くまで油断せずに過ごされよ!」
二階堂晃嗣は、アメリカに行くのならば……議員でいるのを辞めねばならないと、覚悟を決めていた
二階堂晃嗣は覚悟を決めて現派閥のトップに、政治家を辞める事を伝えた
すると八木澤克英は「体調不良による休暇と謂う事にしておきましょう!その様にと宗右衛門殿からの計らいがありましたから!」と伝えられた
そして本当に総ての痕跡を絶ち、国際空港へ出向いたのは4日目の朝だった
時間の指定があり、その時間にやって来ると………
空港関係者に案内されて別の通路を使い、荷物チェックをされ渡航の手続きをした
そして手続きを終え連れられて来た控室には、既に【R&R】のメンバーとRODEOÑのメンバーもいて、急遽オブライエン家の飛行機が倭の国へ来てくれる事になり、それに乗りアメリカへ行く事になったのだと伝えられた
烈はビシッとトンプソンの黒のスーツを着ていた
メンバーも同じスーツを着てサングラスをしていた
高嶺は烈を見て一礼すると、亜希が
「両親に御座います!」と二人を紹介した
烈は何も言わず一瞥しただけだった
兵藤が「話はアメリカへ着いてからだ!」と謂うと納得して黙った
搭乗手続きをして直ぐに飛行機に乗り込む
座席に座ると烈は直ぐに寝てしまった
竜馬も【R&R】のメンバーも、RODEOÑのメンバーもそれぞれ自分のペースで過ごしていた
皆を乗せた飛行機が離陸する
アメリカへもイギリスへ行くのとあまり変わらぬ時間を要して12時間は掛かる
まぁほんの数時間早いか……の違いだった
少し飛んで烈は目を醒まし起き上がると、立ち上がった
竜馬が「烈、危ないよ!」と謂うが、烈はブツブツと呪文を唱えていた
飛行機の機上を引っ掻く爪の音がする
クー ルー スーが烈の横に並ぶ
「北斗は愛した女の忘れ形見だから見逃したのか?
が、二階堂晃嗣は派閥を抜けた裏切り者だから、カタを着けろと謂れたか?」
と宗右衛門の声で何も無い空間に話す
『煩い!何処までも邪魔をする気か?』
何もない場所に声が響く
「あぁ、鴻池の翁も取り込み復讐に力を貸したか?
が、翁を殺した破滅の序章は飛鳥井家真贋の
放ったモノではないぞ!
そんな事位 死した今ならば解るのではないのか?」
『誰が放とうとも…………飛鳥井は憎い!!
そして……目を掛けてやったと謂うのに儂を謀りやがって!!』
憎しみの言葉が吐かれる
「お前は目を掛けたと謂うが、飼い殺しにしておっただけじゃろ!
が、飼い犬に手を噛まれた
それだけのことじゃ!
犬だとて愛もなく酷使されれば【憎しみ】しか抱きはせぬ!
主は己の利益と欲求ばかり追求して、人を見なかった
だから人に失脚させられ、人に謀られ、呪い殺されたのじゃよ!」
『煩い!煩い!!!滅んてしまえ!
飛鳥井も、二階堂も!!滅んてしまえ!!』
「憐れな魂よ!地獄へ落ちるかよい!
主は既に死んでおる!
死者は地獄へ堕ちて業火に焼かれ、修練の旅に出られよ!」
そして烈は手に輪廻転生の邂逅の杖を出して呪文を唱えた
藻掻き、抵抗し、狗神を呼ぶ
烈は鴻池の翁の魂ごと異空間へ飛ばした
狗神は鋭い爪で烈に攻撃をして来る!
クー達がそれを阻止するが、影を媒介して増殖させられると不利になる
烈は顔は絶対に傷付きたくなかった!
が、狗神がダラダラとながれでる闇を放つから、闇が皮膚に付着すると皮膚が爛れた様になった
トキが姿を現すと、狗神は警戒して距離を取った
トキは天を仰ぎ呪文を唱えると……狗神は断末魔を上げて………バラバラに飛び散った
その時 体に細工してあったのか?
闇に染まった何かが凶器となり飛び散った
皮膚を抉り………突き刺さり……爛れる
「神取、次は直接来るかよい!
狗になんか頼る程落魄れていないと申すならば、だけどじゃが!」
そう言い鏃を神取がいるであろう方へ向けて放った
飛行機は倭の国の領域を出る
すると神取や海坊主の気配は消えた
烈は座席に戻ると何やら突き刺さってて、怪我をして血を流し………所々火傷をしたように爛れて、其処も血を流していた
兵藤は慌てて「どうした?烈!アレは誰なんだよ?」と問い掛けた
「アレは二階堂晃嗣を消す為に放たれた刺客
鴻池の翁の魂を取り込んだ海坊主の為に動く神取那智と、遥か昔から鴻池が契約した狗神よ!」
烈が謂うと二階堂晃嗣は顔を青褪めさせた
「今 鷹司は己の家に掛けられた穢れを祓う為に動いている
そんな時に緑道が二階堂晃嗣が危ないぞ、関係ないなら見捨てるが、真贋が関わってる存在じゃないのか?と言って来たのよ!
だから調べたら、死なば諸共……兵藤昭一郎、息子の貴史、阿賀屋蒼佑、飛鳥井烈を消そうと刺客を放ったのよ
ついでに鴻池の狗神は贄を求めて暴走して誰も止められないから、なら邪魔な奴等にブツケてみよう……と狗神を放ちやがったのよ!
だからアメリカに行ったら話すつもりだったのよ
倭の国にいたら殺されるからね
避難しないと明日はない状態だったのよ!」
竜馬は烈の手当てをした
ヘンリー達はクー達の手当てした
烈の血は中々止まらなかった
クー達の血も中々止まらなかった
「呪いに依って生み出された存在だから穢を受けてしまったわ………困ったわね
空の上じゃ………何も出来ないわ……」
クーが謂うとトキが烈を咥えて背中に乗せた
クーもルーもスーも乗せると、姿を消した
兵藤は「仕方ねぇな………お前等はアメリカに着いたら、取り敢えずホテルを取れ!
俺は烈の様子を見て、烈を連れてアメリカへ行く!」と謂うと朱雀に姿を変え飛び立って行ってしまった
竜馬は二階堂晃嗣に向き直ると
「貴方さ、あれ程真贋に世話になってて、何故手腕を奮わなかったんです?
貴方が総理になれば、こんな体たらくな事態は起きなかったのに!」と吐き捨てた
晃嗣の妻 光代は竜馬に深々と頭を下げ
「申し訳御座いませんでした!
主人は………狗神に狙われ寝れば悪夢を見るようになり………衰弱をし総裁選の頃は入院しておりました!
派閥を抜けて嫌がらせが絶えず気苦労も御座いました………」
夫の現状を口にした
が、竜馬は「それは詭弁だね!嫌がらせをされているならば、何故其れを動画にでも撮り証拠を遺して告発しなかった?何故やられっぱしでいた?
何もかもが後の祭りなんだよ!
僕ならば、禍根を断つまで徹底的にやるよ!」と熾烈な言葉で追い詰めた
オリヴァーは「竜馬、その辺で辞めときなよ!
それ以上追い詰めるならリーダーに謂うよ!
そしたらリーダーは治療せずに来るかも知れないよ?」と脅した
竜馬は「其れでも言わせてくれ!
何故!烈がまた怪我しなきゃならなかった?
何時も何時も怪我して、中々治らなくて………
始球式には怪我したくないって言ってたんだよ?
その始球式は、高嶺をヤンキースのコーチにする為に引き受けざるを得なくて………やる事になったんじゃないか!
其れでも謂うなって謂うのか!」と泣きながら言う
メンバーは言葉もなかった
すると、其処へとプーが久し振りにやって来た
最近は翔達だけじゃなく、レイ達や双子の警備の為にずっと傍にいたのだ
「あんさん達、喧嘩は辞めとき!
ガブリエルはんが烈の穢れを祓う為に来られた
ガブはんは烈の穢れを祓った後、烈に伝言を言いつかったからと、知らせに来たからワイが来たんや!
『飛行機の上の奴等喧嘩してるなら止めてね!』と言われたから止めに来たんや!
クー達は創造神の所へメンテに行き、烈は久遠に見て貰っている!
治療が終わったら来るさかい待っとき!」
竜馬は「プー……烈は大丈夫なのか?」と問い掛けた
「烈か………烈は…………」
「どうしたんだよ?大丈夫か教えてくれ!」
「めちゃくそ怒ってますわ!
『顔に怪我したくないのに、何よこれ!
また始球式に絆創膏なんて嫌よ!出ないからね!もう嫌よ!バンドエイド貼った顔で始球式なんて!』と、怒りまくってて朱雀はん困ってますわ!」
烈らしくて笑える………
「手当さえ終わればトキが乗せて来るさかい
心配せずに待っとき!」
そう言いプーは姿を消した
先に飛行機に戻ったのはクー達だった
クーは竜馬に「烈はまだ戻ってないのか?」と聞く
竜馬は「まだ戻ってないんだよ」と心配して言う
「俺等は創造神に呼ばれて別ルートへ行ったからな………ガブリエルがプーに烈の状況を見て来て伝える言ってたけど、伝言に来なかった?」
「プーなら来たよ!で、帰ったよ!」
「仕事早っ!まぁ目が離せへんから仕方ないな!」
クー達の体の怪我は………無くなってはいなかった
血は止まっていたが、ドス黒いシミみたいに痕は遺っていた
竜馬は「大丈夫なのか?治ってないの?」と問い掛けた
クーは「俺は真っ白だからな、痕が良く解っちゃうんだよ!
此れは穢れだから、不浄は直ぐには昇華はされてはくれない………
ルーとスーは最初っから白黒斑だから、対して解らない………と謂う訳だ!」と説明した
暫くすると朱雀になった兵藤が戻って来た
「烈はアメリカに到着する頃 トキが連れてやって来る!
血が中々止まらなくてな、烈はエンジェルリングを授けられ穢れを寄せ付けぬ存在となってる
たが今回飛散した狗神の穢れを受けちまったから、エンジェルリングは破壊され穢れが肌を焼き酷く爛れた様に怪我しちまったんだ
クー達を創造神が回収した後、ガブリエルが来て浄化の薬を渡してた
其れで少しは穢れは弱まるだろう
まぁ傷は……直ぐには無理だな!」
兵藤の説明に竜馬は
「だからフラグになるから止めときなよ……って言ったのに……」とボヤいた
兵藤は「それな……まぁ本人は倭の国を出るまでは油断はならないと覚悟はしてたみてぇだけどな
狗神なんて誰も知らねぇ存在だったからな
前はケルベロスいてくれたけど、今はいねぇからトキを呼び寄せた、と言ってた
まぁ実際はトキの存在に警戒して立ち回っていたが、トキが崩壊の呪文唱えた時に、細工してあって破片が飛び散った
其れで烈が怪我しちまったんだよ!
今回もかなり酷い怪我で、久遠に怒られまくっていたな!
康太も駆け付けて怒りまくって、今すぐ殲滅してやんよ!と暴れて宥める方が大変だったわ………」とボヤく
クーは「烈………ドサクサに紛れて……鴻池の一族に終焉の章唱えやがったから、体力の消耗も酷くてな………創造神が様子を見て削った体力分はガブリエルに持たせる、と約束して下さったからガブリエルが烈の所へ行ったんだよ!」と説明
兵藤は驚愕の瞳でクーを見ると
「烈…が……終焉の章を唱えた?
それは何なんだよ?
ひょっとして破滅の序章みてぇなモノなのか?」と尋ねた
「烈は創世記の賢者の弟子でもある
創世記の一隅としての呪文ならば総て唱えられる
破滅の序章 本章 終焉の章、そして破壊の章、殲滅の章、鏖殺・滅法・滅殺の章、………まだまだあるが、破壊の限りを尽くせる呪文ならば、腐る程教えられてる
星を破壊する、其れは、地球規模さえも可能と謂う事だ…………まぁ本人は使う気はないけど…
で、鴻池は不完全な破滅の序章と完璧な終焉の章で追い込まれ、どの道一族郎党根絶やしにされる運命って事だ!
まぁ禁呪使った一族なんぞ滅んて当たり前って事だ!」
兵藤はそれを聞き
「まぁ報いは来るって事だ
死霊になってまで呪い殺そうとするなんて…業が深すぎだろ!怖いって!」とボヤいた
飛行機に乗ってる者達は、嫌々 お前もその怖い中に入ってるがな………と想った
が、言葉にはしない、嫌………出来ない
だって兵藤は良い奴だから!
後少しでアメリカへ到着………と謂う所で烈は飛行機に戻って来た
久遠にかなり怒られ、またアメリカに行くなら紹介した医者の所へ必ず毎日消毒しに逝け!と怒られ、手当てを受けた後、トキが乗せてやって来たのだった
竜馬は「大丈夫なの?」と心配して謂う
烈は「かなり怒られたわ!」と答えた
竜馬は「だからフラグ立っちゃうって言ったじゃないか!」と烈の顔を撫でた
烈は顔に多数バンドエイドを貼られていた
首から肩に掛けては包帯が見え隠れしていた
ヘンリーが「後少しでアメリカに着くよ!シートベルトしないと危ないアナウンス入るよ!」と謂う
竜馬は烈のシートベルトを嵌めてやった
そして後少しでアメリカへ到着となる
アメリカに行くと事前に伝えると、Strong Hiのジョージが
『なら皆で乗れるバス回してあげるよ!』と言ってくれた
到着時間を伝えておいたから、来てくれてる筈だとヘンリーは言った
飛行機は無事着陸して、入国審査を経てアメリカの大地を踏みしめる
空港の外に出るとジョージが待っていた
「烈!!逢いたかったよ!」と興奮してバスから降りると烈を抱き締めた
消毒臭い匂いが鼻を掠める
烈はジョージに「ヤンキースタジアムへ行ってね!」と頼みバスに乗り込む
その後に竜馬と兵藤!【R&R】のメンバーやRODEOÑのメンバー、そして新庄高嶺、亜希、二階堂晃嗣、光代が乗り込んだ
烈は「アーネスト、マンション貸してくれる話どうなった?」と聞くとアーネストは
「倭の国のイベント出させてくれるなら、マンション贈与しても構わないよ!」
と瞳を輝かせ謂う
「え?マンション貸して貰うには倭の国のイベント込みの話になってたの?」
と烈は竜馬に問い掛けた
「それはリーダーに聞きなよ!とは言っておいたよ!」
「まぁ元はボクがセコい事考えたからいけないのね………ごめんねアーネスト
今回は能楽師に踊らせたかったのよね……
RODEOÑ出るならそれは無理な話になるから………マンションは要らないわ!」
「え?貸すのに対価は求めないよ!」
「アーネストがアメリカでマンション買ったなんて話を聞いて、セコい事を考えたのが発端だから、今回は球団側に用意させるわ!
悪かったわねアーネスト、アメリカまで来て貰ったのに!」
有無を言わせぬ迫力で線引きされる
此処までキッパリ線引きされた事などないアーネストは唖然としていた
竜馬は「我等は対等な存在だから、一方的な施しなど要らないと謂う意思表示なんだよ!
リーダーは決してRODEOÑを下には見てない!
自分達の目線の先にいる存在と捉えているんだよ
そんな存在に一方的な要求は絶対にしない!
それが我等がリーダーだからな!」とフォローに入る
ヘンリーも「リーダー、イベントには隼人は出ないの?」と問い掛けた
「出ないわよ!
今回は白馬の地を悼み鎮める祭礼の意味合いでイベントを開くつもりなのよ
だからボクだけでも構わないからやると謂うと、メンバーがならば我等も出ずにいられないよ!と言ってくれたから行えるイベントなのよ
そのイベントには我が母 飛鳥井康太のお師匠を招待したいのよ
誰よりもあの地を愛し、誰よりもあの地に虐げられて来た………
愛しくて………憎くて……呪いたく成るほど憎悪した……あの地に…我が母の師匠を招待する為だけのイベントにしたいのよ
だから【R&R】として出なくても大丈夫なのよ?」
と【R&R】さえも切り捨てようとする発言にヘンリーは泣き出し
「リーダー、僕達を締め出さないでよ!」
と訴えた
「……………」
烈は何も答えなかった
兵藤は「取り敢えず、高嶺を球団側に引き渡さねぇとならねぇぞ!」と敢えて役目を思い出させる
バスはヤンキースタジアムの前に停まった
烈は立ち上がるとバスからさっさと降りた
皆も続いてバスから降りる
空気が重い…………
言葉はない………
アーネストは自分の発言でこんな事になってしまい後悔していた
ヤンキースの球団関係者が【R&R】を快く出迎えてくれた
そして【R&R】大好きな球団関係者は烈を抱き締め挨拶を終えると、関係者通路を開き中へと案内する
「シーズンは始まったばかりだからね、倭の国から移籍した者の専任コーチと謂う役割りを担って欲しくて呼び寄せたんだよ!」
「ならタイミングはバッチリね!」
球団関係者と烈の話し声が通路に響く
球団側で1番立派な関係者の部屋に烈は通され、RODEOÑとStrong Hiのメンバーはその手前にある控室に入って待ってて貰い、契約をする事となる
烈は竜馬も控室に置き、一人で高嶺と亜希と二階堂夫妻と共に契約の席に着いた
控室に置き去りにされたアーネストは竜馬に
「ゴメン……俺の所為で……」と謝った
竜馬は「烈に取ったら母に捧げる特別なイベントだったんだって、何処か理解が及んでなかった俺も悪かった………
烈はケチだけど、絶対に揺らがない想いは強い
そうなった烈は何をどうしても動かない
今 彼はそれだから………
烈がその気になれば【R&R】とは別の領域でイベント成功させられる実力ならばあるからね!
大切な想いを軽視しようとした俺が一番悪いんだよ!」と落ち込み謂う
メンバーは全員泣いていた
リーダー在ってこその【R&R】なのだ
切り捨てられたくないのだ
アーネストもジョージも貰い泣きして収拾がつかなくて………
兵藤は仕方なく「今決め付けて話すのは辞めておけ!その代わり話をしてやるよ!
飛鳥井康太………嫌 飛鳥井家 真贋が師と仕え教わった存在の事を……話してやるよ!」と言い
話し始めた
「遥か昔………土御門孔明と謂う陰陽師がいた
土御門孔明は陰陽道の基礎を築いた存在で、安倍晴明や芦屋道満が師事した高名な陰陽師だ………
その人こそ前世の真贋の師匠だ!
京の都は御仁の出現で騒がれ住民を脅かしていた時があった
帝はそんな御仁と呼ばれし者を隠れ里へと隠し、土御門孔明に守ってくれと頼んだ
それが発端だった
【鬼】と呼ばれし存在は親族結婚で血が濃くなり出て来た奇形児や海外の毛色の違う存在達だった
当時の帝はそんな者達を隠れ里に隠した
其処から人外の者達も暮らし始め……子を成し増え続けた
孔明は歳を重ね己の寿命を感じ取ると………残りの命すべてを掛けて、生きたまま桜の木の下に身を投じ自ら御神木となられ、その地を護る存在となった
帝との約束を死しても護りその地にいた
それは……帝も死して……何時しかその地も忘れ去られた
が、贄を捧げ富を得て来た土地は、常に贄を求め………時空を歪ませ始めた
康太は師匠を討つ気で過去へと渡り師匠と対峙した
師匠は康太の意を汲んで………あの地を離れた
そして、今は………康太の師匠は魔界近くの里で桜と共に生きてる!」
その話を聞き竜馬は「あ、それって桜の里の孔明さんだ!」と叫んだ
竜馬は何度も魔界へ行き、その時桜の里にも足を伸ばした事があるのだ
その時、土御門孔明を紹介され、話をした事もあるのだ
兵藤は「そう、桜の里には御神木と共に彼の歹も共に植えられた
桜が枯れてなくならない限りは……彼は何時までも桜の里にいるだろう!
烈はそんな彼に咲き誇る桜を見せてやりたいんだよ!
白馬の元御神木がある地ならば、彼は来れなくもないからな!
母の想いを知っている烈は、孔明を大切にしている!だからこそのイベントなんだよ!」と教えてやった
メンバーは泣きながら
「「「「「「それなら我等が【R&R】として成功させるべきだろ!」」」」」」と訴える
アーネストは「裏方でも手伝える事はするから!」と申し出る
ジョージも「俺等も出来る事なら何だってする!」と申し出る
【R&R】RODEOÑ Strong Hiは一致団結して想いを一つにした!
そして泣けて………泣けて………涙が止まらなかった
烈はその頃、【R&R】大好きな球団関係者に好意的に接せられ話を進めていた
高嶺は球団側と正式に契約し、ヤンキースのコーチとなった
烈は「栄養士の免許、スポーツ理学療法士の資格等所有しているから、怪我した者や注意をしなきゃならない選手に寄り添いサポートが出来るわよ!」と謂う
「それは最高に有り難い!
そう言うコーチがいてくれれば選手は安心出来るからね!」
と大喜びだった
契約書にサインして球団側に
「高嶺は両親とも同居だと伝えたけど、家は用意出来そうですか?」と尋ねた
球団側は「夫婦二人用の2DKなら用意は可能ですが、ご両親は無理ですね!」と謂う
やはりそうなると想い部屋を用意しないと駄目ね……と想う
高嶺は「両親の部屋は俺が見繕います!」と謂う
「直ぐには無理でしょ?
困ったわね、倭の国なら何とでもなるけど、アメリカじゃコネも何も使えそうもないわね!」
烈は思案していた
球団関係者は「取り敢えず用意された部屋に移動してからにされてはどうです?
お子様もいるなら学校の手続きもあるでしょうし!奥様はNYでも仕事をなさるなら、住所とかも移動して色々と手続きがありますからね
我等もサポートは致します!」と謂う
烈は「そうね、話はそれからでも大丈夫だからね!」と言い球団関係者と固く握手して部屋を出て行った
高嶺と亜希は何かと手続きがあるから残り、二階堂晃嗣と光代は孫を連れて烈と共に出て来た
烈は光代に「その子、名前と字画に負けてるわよ
だから体が弱くて、芽が摘まれてしまった様に伸びないのよ!」と謂う
晃嗣は「名前は娘夫婦の問題で口には出来ません………」と謂う
「まぁ其れ等も流れ出したら一気に変わるから!踏ん張って耐えるのよ!」
「「はい!」」と二人は返事した
控え室に戻ると【R&R】のメンバー、RODEOÑのメンバー、Strong Hiのメンバーは号泣しいた
烈は困惑した顔で
「何がどうなったら泣くのよ??」と問い掛けた
兵藤は「契約は終わったのか?」と問い掛けた
烈は「終わったけど、ご両親の部屋は用意出来なくて、ボクは真央たんに連絡を取らなきゃだからホテルへ行きたいのよ!」と謂う
「蒼佑なら部屋用意出来るのかよ?」
「御館様の為にコンドミニアムを各国に御用意してる人達だから、アメリカにもあるでしょ?」
デービッドが「アーネストに借りればええがな!
白馬のイベントに出せないなら、他のイベントに参加して貰えばええやんか!」と謂う
「それは無理なの話なのよ!
ボクは白馬のイベント以降、仕事は当分は入れない予定なのよ!
予定は総て白紙に戻し何も入れさせない様にもう言い付けてあるのよ!」
兵藤は眉を顰め
「それ、どうしてか?説明しろよ!」と謂う
「此処では嫌よ!さぁホテルへ帰るわよ!」
烈はそう言い控え室を出て、外へと向かう
乗って来たバスに乗り込むと………
アメリカ陸軍の隊員がバスを取り囲んだ
隊長らしい男が「護衛致します!」と言いバスを取り囲み誘導する
ホテルの駐車場へパスを停めると、烈はバスを降りた
隊長は「ホテルの中は他の客の迷惑になる故、不審者が近寄らない様に警戒を強めておきます!」と告げその場を離れた
ヘンリーはホテルへ入るとフロントにチェックインを告げた
フロントが鍵を渡すと、オリヴァーが受け取った
そして無言のまま部屋へと向かう
ダニエルは二階堂夫妻にカードキーを渡すと
「この部屋でマンションが決まるまで過ごされよ!」と言った
晃嗣は深々と頭を下げると、妻と孫と共に部屋へと入って行った
烈達も部屋へと入るとソファーに座った
ソファーに座れない奴は椅子をフロントに言い運ばせた
そして皆が座ると竜馬は
「リーダー話してよ!」と訴えた
烈は「紅茶も出ないの?」と文句を言う
サムエルはフロントに連絡を入れ全員分のお茶を運ばせた
静かに紅茶に口付け喉を潤すと、烈は顔を上げた
「何を話せと謂うのかしら?」と問い掛けた
デービッドは「だから白馬以降は総てのスケジュールは白紙にしたって話やわ!」と訴える
烈は背筋が凍る程に冷酷な笑みを浮かべ皆を見た
「ボクにはやらねばならない事があるのよ!
それは飛鳥井の家の事、そして一族の軌道修正
…………そしてこの地球(ほし)の和平………
まぁボクの力なんて何の役にも立たないけどね、それでも世界会議を開いてレールを敷いた者の死命は完遂せねばならないのよ!
ボクは今月末には…………ドゥバイへ行くわ!
そしたら本格的に潰すのよ!
その為に全ての時間を使い、徹底的に潰してやる気なのよ!
その前に仕掛けられそうだから、白馬では用心して神の道を通り飛鳥井まで還ったんじゃない!
まぁ始球式はやらなきゃならないから、やるわよ
そして今のボクには…………呪いが掛かってるから……距離を取りたいのもあるのよ!
あの………クソ狗!呪いを垂れ流ししやがって!
此れは人の運まで捻じ曲げる呪いなのよ………
だから早く高嶺を球団側に渡したかった
今は……他へ逝かない様に留めているけど……
それが効かなくなったら?
ボクは皆を殺してしまうかも知れない……
だからスケジュールは白紙にする必要があるのよ!」
「それって……炎帝でも祓えないのか?」と兵藤は問い掛けた
「どうなんだろ?最初から母しゃんに祓わせる気は皆無だから、解らないわ!」
「何故だ?誰よりもお前の事を愛してる母親だろ?」
「兵藤きゅん、ならさ、貴方 狗神の事、何処まで知ってる?
前にボク言ったじゃない!
四角い箱に出来る空間さえあれば匣は出来るって………
アレは外でも四方を境界で結べば出来なくない話なのよ………
でも聞けば霊障を受けるから、これ以上の話は出来ないわ!
だけど遥か昔から邪魔者は総て消して、富と財を得て来た一族がいるのよ!
飛鳥井は今の規模の会社にする為には、それはそれは荒稼ぎして必死で金を稼いで来た!
本当に無茶振りして何度も何度も命の危険を感じさせて、ボクと真贋と伴侶で稼ぎまくって来たわ!
今の時代よりも法律も緩い時代あったからね
だからこそ、飛鳥井建設や一族に家業となる仕事を与えてやる財力を得られた
でもそんな無茶振りしなくても稼げるなら、邪教だと解ってても契約を結んでしまう奴もいるのよ
そして最近狗神は暴走して見境なく贄を求め狩り始め……今になって慌てて止めようとしても、止められなくなって、一族の半数以上食われて、慌てて飛鳥井へぶつけてみたりしてる
でもあの一族は乳飲み子まで根絶やしで死に絶える運命なのに変わりはないわ!
ボクが終焉の章を発動したからね!
もう子孫すら残せないわ!
総ての禍根を断たれて一族郎党消されるのよ!
そこでやっと呪いは祓えるかも?って感じだからね!
ボクの……エンジェルリングは狗神に穢され破裂して消え去ったわ!
まぁ元が冥府の闇の中を彷徨っていた魂だから闇には染まらないけどね!
穢れは受けたわ!
ならばこの恨み晴らさずにいたら飛鳥井の名折れ
キッチリとカタを着けてやるのよ!
その為に、ボクは飛鳥井からも消える覚悟をしてのよ!
何時まで消える?とかじゃなくて、カタを付けるまで消える気なのよ!
まぁイベントはあるから直ぐにじゃないけどね
だから白馬以降のイベントの予定なんて立てられいのよ!
と言う事で蒼佑に電話しなくっちゃ!」
と言い父に作って貰った国際電話が出来る携帯を取り出すと電話を掛け始めた
相手はワンコールで出て『よぉ烈、アメリカにいるんじゃねぇのかよ?』と謂う
「真央たんマンション買って!」
『何処に買って欲しいんだよ?』
「ニューヨークよ、出来たらヤンキースタジアム近くが良いかしら?」
『俺、ヤンキース好きじゃない!
って謂うか、野球、興味ない!』
「好き嫌いの話じゃないのよ!」
『ならば俺もそっちに行って良い?
って謂うか、もうニューヨークなんだけどな!』
笑って謂う阿賀屋に烈は呆然となった
「御屋敷から出られないんじゃ?」
『退屈過ぎるから出て来た!
鷹司の方も大体の禊は終わったから、獅童と共にいるぞ!』
「悪いけど…………今は会えないわ………」
『穢を受けたんだろ?
緑道が恩に報いる時が来た!とニューヨーク来てるぜ!』
「大移動して来たの?」
『まぁ有り体に言えばそう言う事になる!』
「狗神の穢れだから……ボク倭の国へ還ったら禊に入るつもりなのよ………」
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