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第39話 風雲急変 前兆

飛行機に乗り込み倭の国へ向けて飛ぶ 其処でやっと閣下と堂嶋はホッと安堵の息を吐き出した 皆疲れて眠りに落ち、飛行機の中は静けさを漂わせていた 半日掛けてアメリカへ到着した その頃になると烈は起きていた 飛行機から降りて、倭の国からの政府専用機が待機している場へ向かう デルタス航空のブルーノ・アーキスはわざわざご挨拶に出向いて来た 「皆様お疲れ様でした! 烈君、お疲れ様でした! 君が帰国したら正式にCMの依頼を致しますね!」 烈はにこやかに「はい!待ってます!」と答えた ブルーノは深々と頭を下げ 「またお会い出来る事を願ってます! 其れでは空の旅をお楽しみ下さい!」と見送った 空港の職員に案内され、飛行場へと移動し、停まっている倭の国の政府専用機に乗り込みアメリカを旅立った ドゥバイからアメリカまで結構な空の旅だった そしてアメリカから倭の国まで、また半日掛かる空の旅となる 烈は座席を倒して寝ていた 「本当にお尻いたくなるのよね……」とボヤく まぁ座席を倒せば腰が痛くなるのだけど…… それでも政府専用機は、通常の飛行機よりも、ゆったりと座れ、座席のグレードも上なのだ そんな空の旅を満喫しつつ、うとうと眠る アメリカ領空から倭の国へと入ると、天井の上を爪が引っ掻く音がした トキが来てくれたのだった 烈は「トキたん!来てくれたのね………」と嬉しそうに謂う 国際空港まで無事飛行機は飛び、着陸した トキは烈の無事を確かめると、魔界へと帰って行った 飛行機から降りると、宮内庁の職員が待ち構えていて、其処からは閣下と共に裏皇居へと向かう 其処から送迎の車を出して貰い、やっと帰宅出来るのだった 裏皇居まで順調に進んて行く 堂嶋は「早く家に帰りたい………」と呟いた 唐沢は「俺は飛鳥井へ行き飲んだくれてやる!」と言い烈と共に行く気満々だった 烈は母に「帰国して来ました!」とラインを送信した 飛鳥井建設で仕事していた康太は、胸ポケットに入れた携帯の振動に、携帯を取り出して見た 烈からのラインの表示に、康太はラインを開く 帰国を告げると康太は『お帰り烈!』と大役を終えた我が子に労いの言葉を掛ける 「あのね母ぁーさん、唐ちゃん着いて来るそうなのよ!」 『なら宴会だな!伊織に伝えとくから、お前は宴会に来る奴を誘えよ!』 「晟雅ゃに連絡入れて誘うわ! それよりシオ君どう?少しは使える奴になったかしら?」 『あぁ、御影が付きっきりで世話して、少しは使える奴になってるぞ!』 「金ちゃん来てくれた?」 『あぁ、来てくれて流生と話ししてくれたぞ! 子供達全員の武術指導を買って出てくれて、かなりの底上げしてくれたぞ!』 「それは助かるのよ! 助けてくれる人がいてくれるのは、本当に助かるわね! 今宵はお礼の意味を込めて宴会お願いします!」 『おー!任せとけ! あ、未だに【R&R】の奴等も他の奴等もいるけど、仕事は大丈夫なのかよ?とオレは心配になった程だぞ!』 「皆いるのね!」 『おー!皆でドゥバイの戴冠式見てたぞ! お前、ローマ法皇に手を翳されていたろ? 其れが全世界に流れて、めちゃくそ騒がれてるぞ!』 「え!嘘………あれ、流れていたの? でも騒がれるって何? ボク 普通の小学生よ? 洟垂れ小僧よ?」 康太は笑い飛ばし 『お前はオレの大切な子供だろ?』と謂う 「母ぁーさん!大好き! 父ぉーさんも大好きよ!」 『オレも伊織も愛してるぞ!』 「早く帰りたいわ! ブッチして帰りたいわ!」 『閣下と共になら裏皇居へ行ってから労いのお言葉聞いてからの帰還だろ? まだまだ帰れそうもねぇな!』 康太は笑ってそう返信してやった 「母ぁーさん、取り敢えず皆に一斉にラインするとするわ!」 『おー!そうしろ! じゃ、気を付けて帰るんだぞ!』 そうして母とのラインを終えた 烈は神野達のグループラインに 「今夜、飛鳥井で宴会するわよ!」と送った 直ぐ様 神野から『お前、帰国したのか?』と返信があった 「ボクは倭の国へ到着して、まだまだやる事が有るから帰れないけど、今夜は家に帰るから! そしたら楽しい時間を送りたいのよ!」 『よし!慎一捕まえて買い出しに行くとする! 何か食べたいのあるか?烈!』 「お魚の干物!凛と椋も大好きなのよね レイたんは白身のお魚よ、にーに達は何でも食べるわ!」 『了解した!なら慎一に連絡して買い出しに行く!』 「帰国したから明日辺りから子守唄の収録に入りたいのよね!」 『帰国したばかりだろ?』 「早くしないとRODEOÑ達のいられる時間が終わるのよ!」 あぁ、成る程、それは急がないと駄目かも知れない 『それはお前に任せるよ! それよりも今夜だな!』 「うん!やっと何時もの食べられるわ! 堅苦しいコース料理は食べた気しないのよね!」 神野は、それ何時も康太が言ってる台詞だと想い笑った 『楽しみにしててくれ! じゃ、慎一か、一陽拾って買い出しに行くわ!』 そう言いラインは切れた 烈は竜馬にもラインした 「ただいま、竜ゅー馬!」 直ぐにラインに気付いた竜馬が 『烈!!お帰り!』と返す 「子守唄の収録しないとダメだし、飛行機のCMも、そろそろカタチにしないとね! ブルーノさんが正式に依頼を出すと言ってたわよ!」 『なら雲の上の映像撮らなきゃ! リーダー、一つずつ片付けて行くとしよう! 其れよりもプロモの最終チェックして! 其れでOKなら売りに出せるっすから!』 「了解したわ、それは、明日でも大丈夫かしら?」 『リーダーさえいれば、何時でも自分のペースで構わないっす!』 「了解したわ、其れよりも今夜は宴会よ! 晟雅ゃが買い出しに行くと言ってるわ!」 『なら便乗するっす! 烈の干物確保して来るからね!』 「それは楽しみだわ! ならやる事があるからまたね!」 『了解っす!』 竜馬とラインを終えると、裏皇居間近となった サコッシュに携帯を入れて、到着を待つ 車は静かに裏皇居の中と入った 一見、雑木林か?山林か?鬱蒼とした木々の生い茂る道を走り、ゲートを幾つか潜る すると目の前の木々がなくなると建物が姿を現した 裏皇居 正門に車を停めると、職員が総出でお出迎えとなり、御付きの者が後部座席のドアを開ける すると閣下が車から降りる 烈達はその後ろを走る車に乗り込んだから、少し遅れて正門に車が停まる すると職員が後部座席のドアを開けて出迎えた 烈達も車から降りると、職員の案内で裏皇居の中へと招かれる 長い廊下を歩き、貴賓室へ通され待たされる お茶が運ばれ、飲んでいるとお着替えを済ませた閣下がお越しに成られた 閣下はソファーに座ると 「本当にお疲れ様でした! こうして無傷で帰国出来られて本当に良かったです!」と言葉にした 堂嶋は「閣下もご無事で何よりです!本当に何処で狙われてるか?解りませんでしたから……」と言葉にした 「皆はこの後どうなさるのですか?」 堂嶋は「総理には電話で連絡を入れねばなりませんが、直帰で帰ります!」と答え 唐沢は「飛鳥井へ行き飲まさせて貰います!」と答えた 烈は「ボクは帰って少し寝ます!」と謂う 閣下は「車は2台用意して、其々送って差し上げて下さい!」と告げた 御付きの者は側鎖に職員に告げ、車の用意させに行かせた 閣下とのご挨拶が終わると、やっと車に乗り帰宅の途に着けた 烈は車に乗るなり、眠ってしまい……唐沢も眠っていた 飛鳥井建設近くになると烈は起きて 「会社の前で停めて下さい!」と運転手に 車は烈の希望通り飛鳥井建設の前で停まった 烈と唐沢は飛鳥井建設の中へと入り、受付嬢にご挨拶してエレベーターに乗り込み最上階へと向かう 最上階でエレベーターを降りると、烈は社長室長のドアをノックした 少し高い位置でのノックの音に、榊原自らドアを開けに行った こう言う時に我が子の成長を感じる 榊原はドアを開けるなり 「お帰りなさい!烈!」と言い我が子を抱き締め部屋へと招き入れた 唐沢も部屋へと招き入れると、ソファーに座らせた 秘書に電話を入れ「珈琲二つ、ミルクティー二つお願いします!」とたのむと暫くして秘書がワゴンを押してやって来た そして来客にティーカップを静かに置いた そして西村は「お帰り烈!テレビでお前の勇姿はずっと映し出されていたぜ!」と謂う 烈は首を傾げて「ボクの姿?何故ボクが映るのかしら?」と不思議そうに言った 西村は、嫌々、お前………ローマ法皇に頭に手を翳されていたやんか! ローマ法皇だぞ?中々御目にも掛かれねぇ存在だぞ………と想った 烈のポケットからゴロゴロ猫が姿を現してソファーに座ると榊原は 「すみません、もう4つミルクティーを!」と告げた 西村は「猫達はサイダーの方が好きだろ!」と言いサイダーを入れに向かった 康太は「お前等サイダー好きなのか?」と問い掛けた スーが「そうやねん!あのシュワシュワが堪らんのですわ!」と謂う クーは「俺は何でも飲めるがな!」と謂う プーは「わいも大概のは飲めるさかいな!」と謂う ルーは「サイダー!好きです!あのシュワシュワが堪りません!」と謂う 康太は「個性バラバラやんか!」とボヤいた プーは「わいはジュース飲んだら翔達に着くとするわ!」と謂う スーは「わいらは寝るわ!寝ずに見張り番してたからな!」とボヤく クーとルーは頷いていた 烈は「何とかドゥバイまで終えたので、元の家に戻ろうか、母ぁーさん!」と謂う 康太は「やっとだな、何かもう今の家に慣れてしまったけどな!」と謂う 「ボクはどっちでも構わないのよ! 病院の裏の家は、留守の間に増築して御影と洋子と一陽の部屋を作らせておいたし、リフォームは完璧みたいよ!」 「おっ!ならもう源右衛門の部屋で寝る事ねぇのか!」と謂う 「後 半年位で新居完成しそうだし!」 「長いよな?お前が初等科2年の頃に着工して、4月に5年になったから………2年半か?」 「そうなのよ、色々と時間が要ったのよ! 今度の家は将来を見越した部屋にしたから時間も要ったのよ!」 「お前………隼人の事………」 と、康太は言い難そうに謂う 「あ~星は嘘はつかない その内、隼人にーからリアクションあるでしょ? 其れまで知らぬ存ぜぬで構わないのよ!」 「………お前が納得してるなら………オレは構わねぇよ!」 「母ぁーさん、北斗は全寮制の学校に合格して中途で編入したわ! 此れでほっくんには手は出させない状況が作れたわ!近い内にカズは帰国して来る! そしたらあの二人も運命の分かれ道となるわ 母ぁーさんの目にも………其れは視えていたんじゃない?」 「あぁ、変革期を迎えてる二人は知ってるさ だが………それは二人が出さねぇとならねぇ答えだからオレはノータッチだかんな!」 「そうね、何かをしようなんて………それは傲慢だものね………」 「まぁ生きてる証拠だろ? 悩んで苦しんで………答えを導き、納得して明日へと進む……それしかねぇなら頑張るしかねぇかんな!総ては彼奴等が出さねぇとならねぇ答えだかんな!」 「しかし………何の心境の変化なのかしら?」 「それはオレには解らねぇよ!」 「ボクもね、恋心を遥か彼方に置き忘れてたから、恋心の機微がイマイチ解らないのよね………」 「そう言えば大歳神、妻を蘇らせてやろうか?と謂う天空神からの申し入れ断ったんだって?」 「みたいね!愛した妻は彼奴だけ! それは生まれ変わった彼奴などではない! って事なのよね それはボクも解るわ………生まれ変わらせてくれても………ボクが愛した人はあの人だけ………… 生まれ変わって目の前に現れたとしても…………それは愛したあの人じゃないから要らないわ!」 「オレも青龍しか愛せねぇかんな! 新しく作っぜ!と言われても苦楽を共にして来た青龍じゃねぇなら………姿形は同じでも要らねぇよな?そんなモノ!」 「我が父は妻だけを愛して来た それは………その愛は………亡くした瞬間に永遠に刻まれたのよ だから他なんか欲しがらない…… でもね、ドゥバイへ行く前に話をしたのよ ボク恋するわって言ったのよ! 新しく恋して、愛して、愛し尽くして生きてやるわよ!と言ったのよ そしたら、なら儂も妻を探してやる! 恋して、愛して、愛し尽くして儂も生きてやる!と言ってたわよ だから………大和撫子探すわよ!」 と笑う 康太は大和撫子………… 「それ無理じゃね?」と謂う 「足掻きまくるのよ! 妥協はしない……その上で男前なら仕方ないわ!」 と笑う 其処へ西村がシュワシュワサイダーを淹れて来た 「おらよ!」と猫達の前に置く 猫達は喜んでサイダーを飲む 「うっ!このシュワシュワが堪らん!」と飲む 西村は「んとに、変な猫だ!」とボヤいた 「止めてね沙織たん! ボクの猫達は変な猫じゃないわよ!」 「………烈よ、お前も当分外歩くと拝まれるぞ!」 「え!何よそれ!」 「なぁ、康太………何故気付かない?コイツ??」 「謂うな西村………」 榊原はニコッと微笑み 「其れが烈ですから………」と言った 唐沢は「しかし何時見ても美しいのにキツいのな、この会社の秘書は!」と謂う 烈は「その昔はミス・ユニバースよ!」と謂う 「ん!そんな感じの才媛だな!」 「✗がね4つ付いてるのよ!」 「あ~皆、その容姿に誘蛾灯に群がる蛾の様に群がり自滅して行ったか!」 唐沢の言葉に西村は顔色を変えた 「お前………」 「まぁ容姿は武器になる! それを武器に生きる分には構わない が、それを私生活で求められれば破綻は来るだろ! 思っていたのとは違う! そんなのテメェーの勝手な理想だろ!って離婚になりそうだ! 俺の同僚の女が西村みてぇに美しくてミス・ユニバースに選ばれて世界大会に優勝した奴で、容姿は凄いが見た目ばかり求められ理想を押し付けられたって✗5になってたからな」 「それ誰よ?」 「鈴村美登利!」 「っ!!私の三年前の優勝者じゃねぇかよ! 外交官してるって言ってたぞ?」 「外交官から宮内庁への転属だよ! 何だ知り合いか?なら今度飲みに行くか?」 「行く!久し振りに会いたいしな!」 と言い二人はラインの交換をした 榊原は「さてと買い出しに行きますかね? 康太と烈はどうします?」と問い掛けた 烈は「地下からタワマンまで行くわ!」と謂うと康太も「右に同じく!」と謂う 榊原は慎一と一陽に連絡を取ると、二人は神野達に捕まり買い出し中だと言う 榊原は「もう買い出ししてるじゃないですか!」と言い慌ただしく出て行った 烈と康太は立ち上がると「なら行くとするか!」と言い帰宅の途に着く 地下へと出て関係者以外立ち入り禁止のドアを開けて、地下通路を歩いて行く 唐沢は慌てて後を継いて来ていた 康太は「今夜は鍋かな?鍋はもう暑いかな?」と想い歩く 烈は「やっと帰れるわ!」とスキップしていた 相当 苦痛な時間を送った事が解る 烈は「母ぁーさん、とうして宮中で出される料理って少なくて見栄えばかりのしか出ないのかしら? ボクは井筒屋の沢庵あれば、茶漬けでも構わないって心から思ったわ……」とボヤく 康太は「それな、オレも何時も想うぜ! こんな肩凝る時間を過ごすなら、家で井筒屋の沢庵食ってたいって何時も思ってるぜ!」と賛同する 「そーよね!」 「そーだよ!」 「ボクね父ぉーさんが作ってくれるご飯が一番好きよ!」 「オレも何時もそう思うぜ!」 「さぁ帰りましょう! 金ちゃんにも会いたいわ!」 「金龍、流生に寄り添って、真剣に話してくれてたぜ!」 「有り難いわね!そうして動いてくれる人がいてこそ、ボク達が果てへと繋げて行けるんだからな!」 「だな、お礼言っとけよ!」 「解ってるわよ!」 そうしてタワマンの地下駐車場へと出て、エレベーターで一階まで行く 一階からは関係者以外立ち入り禁止と書かれたドアを開けて外へと出る そして飛鳥井の玄関に行きドアを開けると、兄達が出迎えてくれた 【お帰り烈!父さんが烈が帰って来たったって連絡くれたのよ!】と声を揃えて弟の帰還を喜んてくれた 「ボク疲れたからお風呂入って着替えて来るわね!唐ちゃんも疲れてるから、お風呂入ったら着替え用意してあげてね!」 翔は「了解したよ!なら唐ちゃは源右衛門のお部屋へどうぞ!着替え用意して起きますから、お風呂に入って来て下さい!」と言い源右衛門の部屋へと案内する 烈はエレベーターに乗ると、自分の部屋へと向かった エレベーターを降り自分の部屋のドアを開けて入ると、キャリーケースを部屋の中へ入れて蓋を開けた そして洗濯物を仕分けする 「スーツと燕尾服はクリーニングで、着替えはお洗濯で………」と仕分けをしてると、流生と大空が手伝いに来てくれて 流生は「スーツ系はクリーニング?」と問い掛ける 「そうなのよ!」 流生はスーツと燕尾服を吊るして、クリーニングに持って行けるように準備する 大空は着替えをネットに入れる 「此れだけの量があると洗濯機回せるね! お風呂に入るなら着替えちゃいなよ!」 と言われスーツを脱ぐ そして下着を脱いてネットに入れる 「バスタオルまで入れて回したいから、お風呂の後に回すね!」と謂う 流生と大空は「「僕達も入って洗ってあげるね!」」と謂う 流生と大空と共にお風呂に入り洗って貰う 首から肩に出来た焼け爛れた怪我はまだ完治はしてなかったし、新しい傷もちらほら見られた 「お風呂から出たら消毒するね! 明日 久遠先生に見てもらおうね!」 と言いシャワーで優しく泡を流す クーとルーとスーも流生と大空に洗って貰い御満悦だった スーは「やはり飛鳥井の風呂はええな!」と洗って貰いシャワーて泡を流すと湯舟に浸かっていた ルーも湯舟につかると「疲れ取れるわ!」としみじみ言い風呂を満喫した 烈も湯船に浸かっると、流生と大空も湯舟に浸かった 烈は「流にーとかなにーに洗って貰い、皆で風呂に入ると帰って来たって実感するわ!」と言う 外で闘って来た弟を、最大限の愛で包み、帰還を喜び分かち合う それは他の兄達も同じ想いで、お風呂から出ると翔と太陽と音弥が待ち構えていた お風呂から出た烈の体を拭いてやると、ヘアオイルを軽く塗りドライヤーで乾かしてやる 猫達の身体も拭いてヘアオイルを塗りドライヤーで乾かしてやる そしてジャージに着替えると、ホッと一息付く着いた 烈は「唐ちゃんは?」と問い掛けた 翔が「竜馬が面倒見てくれてます!」と答えた 「なら安心ね!」 着換えてリビングに行くと唐沢は既に着替えていた 烈は作務衣着ている唐沢に 「それ、源右衛門の作務衣?」と問い掛けた 竜馬は「そうっすよ!源右衛門の作務衣は結構上質なの多くて、メンバーも借りて着てるっす! 下着は新品を用意してあるのでサイズ的に履けそうなので、それを履いてるっす!」と答えた 「それは良かったわ それより連絡あったら皆で荷物取りに行きなさいよ!」と謂うと皆【了解!】と答えた 暫くして聡一郎の携帯に帰宅を告げると、皆でタワマンの地下駐車場まで出迎えに行った 【R&R】のメンバーもRODEOÑもStrong Hiも荷物持ちに行くから………台車じゃなくても大丈夫だろう………と想う 暫くして皆で手分けして沢山の買い物して慎一、一陽、榊原が帰宅した キッチンテーブルに置かれた食材を冷蔵庫にしまいつつ、仕分けする 一陽が直ぐ使うヤツを慎一に手渡す そして冷凍が必要なのは冷凍庫へinしつつ、冷凍庫と冷蔵庫に手早くしまっていた もうその姿は慣れたモノで、慎一と榊原との連係も伺えられていた 一陽は「俺は鶏肉類をやります!」と謂うと榊原は「なら僕は魚系やりますね!」と謂う 慎一は「なら暑くても文句言う事なく鍋ですね!」と土鍋を取り出して3個コンロの上に並べる そして水をいれ調味料を入れ材料をぶち込む 榊原はせっせと刺身を切っていた 一陽は肉用のまな板と包丁を洗い消毒して片づけると、野菜用のまな板と包丁を取り出した 大根の桂剥きをしてツマを作り始めた 板場の修行もした一陽は手慣れたモノで作り始めた こうして3人で作り始めた料理はワゴンに乗せられ、エレベーターに乗せて一階の客間へと運ばれる ツマミの刺身を幾つかのテーブルに置いて、鍋も鍋敷きの上に置く 寒い頃はカセットコンロの上に置いたが、今は季節的に少し暑いから鍋敷きの上に置いた そして始まる楽しい宴会 清隆と瑛太は「「烈、お帰りなさい!」」と声を揃えて言う 玲香と京香も「「烈お帰り!」」と言う 康太は「今日は真矢さん達呼ばねぇのか?」と問い掛けた 「少しね………様子見ないと呼べないわね! 美緒たん達も移動して今は身を隠している状態だからね!」 玲香は「え?………最近会えぬのはそんな状態だったからなのか?」と呟いた 「今………王女が留学して来てるからね………尚更なのよ………」 「そうか………なら会える日を楽しみに待つしかないわな!」と言うから烈の胸は痛む 友に会えない状態なのは辛すぎる……… でもそうしないと命の危険になる 究極の選択だった 玲香は話題を摩り替えた 「其れよりも烈、ローマ法皇との映像は神々しくて………まるで1枚の絵画の様だと騒がれておるぞ!」 「え!何よ、それ! ボクはしがない小学生よ! 何を期待してるのよ!」 烈が謂うと康太が「洟垂れ小僧って言ってたもんな!」と笑う 「そうよ、ボクはまだ洟垂れ小僧の年齢よ!」 「まぁそれで良いやんか! 其れよりもお疲れ様!烈! お帰り!烈!」 母に言われて烈は嬉しそうに笑い 「ただいま、母ぁーさん 父ぉーさん そして皆、ただいまなのよ!」と言った そして楽しい宴会は始まった 紫園はせっせと凛に扱き使われて、御手伝いしていた 御影はそんな紫園を温かく見守っていた 阿賀屋は烈の横に来ると「そろそろか?」と問い掛けた 「少し待っててね! ボクは片付けるの多くてね! それを片付けたら始まるわよ、世紀の制裁が!」 「おっ!其れは楽しめそうだな! 其れよりも、子守唄のプロモに最適な部屋 提供してやるよ!」 「え?何処?」 「緑道が妻 節子の部屋!」 「あ~確かに節ちゃんの部屋なら温もりも優しさも文句無しだけど、今鷹司は禊の最中でしょ?」 「禊なら終わった!今夜下山するって言ってぞ!」 「………来ないわよね?今夜は!」 「大歳神が連れて来るんじゃね?」 「…………来なくて良いわよ!」 烈が謂うと「そんな哀しい事は言わんでくれ!」と声が響く 聡一郎が迎えに行き神威と鷹司がやって来たのだ 鷹司は「烈、戴冠式、我らも観てたぞ!」と謂う 「もぉね疲れてるから仕事の話は良いわよ!」 そう言うと鷹司は静かに座り、阿賀屋は鷹司にコップを渡し酒を注いだ そして「「烈の今後に!乾杯!!」」と大義名分を掲げてカンッと乾杯した 楽しく飲み始めた二人を放って、烈はその場を離れて金龍の横に行くと座った 「有難うね金ちゃん! ボクの留守を護ってくれて有難う! そして流にーに向き合ってくれて有難う! 他の子たちの武術の底上げをしてくれて有難う! 本当に助かったわ!」 烈に礼を謂れ金龍は笑って 「主の助けになるならば、儂は何処へでも逝くと決めておるからな!」と言ってくれた 烈は嬉しそうに笑った 金龍は「流生は龍に姿を変えやすくなる様に崑崙山へ行き、少しずつ練習した その時、双子も一緒に行き練習したのじゃよ! そしたら流生も響も奏も龍に変われる様になれた 今後は定期的に崑崙山へ行き、様子を見るつもりじゃよ! そして儂は当分 菩提寺に住み着いて、子供達の武術の底上げをする為に特訓すると決めた! 己の身は己で護らねば、今後は乗り越えられぬからな!」と謂う 「金ちゃん………紅花は子を産んだ?」 「あぁ………子はまだ誕生はせぬが卵は産んだ!」 「そう……ならば鳳凰の誕生ね………荒れるわね!」 「知っておったのか?」 「鳳凰が生まれし時、災害級の災いが巻き起こる!禍(わざわい)を呼び天 地 に異変が起きる! 鳳凰の力が大き過ぎて禍は飛び火する! それって魔界の伝承として忌日を遺す様に閻魔様には伝えたからね!」 「それは本当の事なのか?」 「ええ、賢者と賢人が口を揃えて唱えてるからね それ程の力を秘めた生命の誕生なのよ 時も理も総て歪めて放出される禍となる! 天地創造の神が………鳳凰を誕生させた時 それを見届けた者達が謂うんだから本当の事なんだと想うわ! 今の鳳凰で二代目となる………初代は天魔戦争で死に絶え、そして二代目の鳳凰の誕生で天魔戦争はさらに悪化の一途を辿った……とまで謂わせる禍なのよ!」 「何故………態々……そんな危険な存在を………」 「それは魔界に鳳凰無くして輪廻転生は成し得ないからよ! 朱雀は輪廻転生の神だけど、その道を作っているのは鳳凰なのよ 鳳凰の存在無くして輪廻転生は成り立たない! だけど鳳凰に全ての権利を渡すのは危険として、役割を分けたのよ だから鳳凰と朱雀、何方も存在無くば輪廻転生は皆無となるのよ!」 そしたら魔界の輪廻転生の役割は瓦解する……… 何方が欠けても成り立たぬ存在なのだ 金龍は「その禍……食い止める方はないのか?」と問い掛けた 「ボクもね、見てないから解らないのよ でも時も理も歪めてしまうなら、食い止めようがないんじゃないかしら?」 「それ程に強靭な力だと……謂う事なのじゃな……」 「詳しい話はお師匠様に聞いてね! ボクはそんなに凄い神じゃなかったから、知らない事の方が多いのよ! 魔界の頃にしてたのは、呪術系の本を頭に叩き込み復讐に燃えて………遣わずに終わったからね! それ以外は虐めに耐えて泣いて世界樹の木の前で泣いていただけだからね………」 烈がそう言うとレイが烈を抱き締めた 「大丈夫よ、レイたん! 金ちゃん楽しい宴会の時に相応しくない話だったわ!楽しんでね金ちゃん!」 と言い立ち上がり、レイと共に兄達の所へ戻った 竜馬が「烈、干物だよ!」と言い干物を差し出す 烈はそれを受け取り食べ始めた レイは白身魚を渡して貰い食べる そして時々、響と奏のお口に白身魚を放り込む 烈は「フルーツじゃなくて大丈夫なの?」と問い掛けた レイは「ほね ないと だいじょーぶゅ!」と謂う 奏と響は美味しそうに白身魚を食べていた 一陽がお鍋の鶏肉を冷まし、小さく切ると二人に食べさせた 響は「もうじき」と謂うと奏が「ひとがた、なれる!」と言った 烈は「そしたら幼稚舎に通わないとね!」と謂う 一陽は「幼稚舎に通う前に他の子を分からせないと駄目なので、フリースクールに通わせてからになります!」と謂う 「そうね、同年代の子と触れ合いないからね………」 「そうです、幼稚舎に入れても人の世の生活自体人でやってないので、1年くらいはそう言う場所で慣れさせるべきと伊織と慎一と話し合いました!」 「そう、ならお願いね!一陽たん!」 「はい!俺は此処での生活が楽しくて仕方ないので、お世話が出来て嬉しいですから!」 本当に嬉しそうに笑う一陽の顔を見る もう飛鳥井での生活にも慣れて、家族の一員として馴染んでいた 楽しい声が響く 笑い声が絶えない そんな宴会好きな飛鳥井の家族が一陽は大好きだった 酔っ払い達は朝まで飲み、今は静かに眠っていた 一陽は酔っ払いの上に毛布を掛けてやった 慎一は「明日の朝は味噌汁だな!」と謂う 「二日酔いにはやはり味噌汁だからね!」 「一陽、沢山揚げと豆腐切ってたけど、その為か?」 「はい!絶対に必要になるからね!」 「酔っ払いの翌朝は味噌汁って………解ってるな」 「そりゃもぉ、絶対に必要となるからね!」 「少し寝て、それからにするか!」 「だね、少し寝よう!」 そう言い慎一と一陽は自分たちの部屋へ行った 翌朝 烈は早く起きて竜馬と共に応接間でプロモの完成品を見ていた 竜馬とメンバー達は、烈が飛行機の中で言った事を総てクリアして作り上げて来ていた 烈は「RODEOÑとStrong Hiのプロモは完成ね! 納品しといてね! 隼人の写真集に付ける特典の新曲のプロモも完成ね!納品しといてね!」と謂う 竜馬は「了解っす!其れより烈、神野が隼人の写真集の写真をチェックしてくれと言って来てます!」と謂う 「え?写真集は事務所の方でチェックしないの?」 「一応、烈のイメージがあるから、最終チェックしてくれとの事だよ!」 「ボクは最終チェックなんて嫌よ! チェックするなら全部の写真を出しなさいよ!」 「そう言うと想い総ての写真があるっす!」 「…………やられたわね!」 そうボヤきつつも、隼人の写真集のチェックをする 此れなんか良いわね! あ~、これは残念だわ! 何でこのショットなのよ!と色々とチェックをして上げて行く 竜馬も手伝い「此れなんかどう?」と選んで行く 【R&R】のメンバーは、その前に座り各々何やらやっていた ヘンリーは「飛行機の何処にカメラを付ければベストショット撮れるかな?」と思案する CMの撮影用の映像を、飛行機の何処にカメラを付けて飛んで貰うか? 其れをメンバーで話をしていた かなり長い時間を掛けて、写真集の写真をチェックして上げて行く! 烈は「新曲特典、子守唄も付けたいわね!」と謂う 竜馬は「撮影は此れからだから可能っすね!」と賛成 烈は緑道に「今日、昼前に節ちゃんの部屋で撮影させて貰うわね!」とラインした 緑道からは直ぐに返事があり 『了解した!迎えのバスだそうか?』と返信があった 「頼める?」 『烈からの要望は全て我等は聞くと決めておる! だから大丈夫じゃ!』 「ならお願いね!」 『何時迎えに行ったらええのじゃ?』 「なら午後1時にお願いね!」 『タワマンの前に1時にバスは停まっておく!』 そう言いラインは終えた 「1時までに用意してバスに乗り込むわよ!」 竜馬は「隼人起こさなきゃ!」と走って客間へと向かった 客間へ逝くと隼人は寝転がっていた 「隼人起きるっす!」 寝穢い隼人の頬を叩き起こす 「痛いのだ………」 やっと起きた隼人はボーッとしていた 洋子が起きて来て、客間の片付けをしてると、使い物にならない隼人を目にする 洋子は「仕方がない!」と呟くと、熱々のタオルを用意して隼人の顔を拭く 「ほら、起きろ!隼人!」 「熱いのだ!もっと優しくするのだ!ヨーコ」 「優しいだろうか!ほらほら、竜馬が困ってる起きて支度しやがれ!」 「わかってるよ!ヨーコ!」 この二人の会話を聞いて隼人は………もしや???と想う 其処へ烈が来て「ほら、隼人にーお仕事よ!」と謂うと、隼人は仕方なく支度をしに部屋へと向かった 洋子は此処最近、めっきり美しくなった 何時も一緒にいる御影は解らないだろうが……… 艶が出て美しくなっていた 恋する乙女は例外なく艶が出るのだろう…… 隼人は顔を洗い歯を磨き、烈の所へやって来た 「烈!服は何を着たら良いのだ?」 「小鳥遊に連絡しなさいよ!」 「解ったのだ!」 隼人が小鳥遊に連絡してる間に、烈は神野の手を引っ張って自分の部屋へと連れて行った 神野は寝ぼけてて、何だろ?何か烈を怒らせたか?と考えていた 「晟雅ゃ!隼人………結婚するかもよ? そしたら晟雅ゃどうする?」 「え?別に俺は構わねぇぞ! あ、事務所の社長としてか?」 「そーよ!腹違いの兄弟だけど、隼人にーがその事実を拒否ってるじゃない! それを今更どうにかしようなんて想ってないわよ!」 「え?康太から聞いたのか?」 「そうよ、ボクね晟雅ゃの親父の九曜ちゃんとは仲良しなのよ!」 「あの頑固親父と?それはまた奇特なヤツだ!」 「九曜ちゃんはね、話も聞かない頑固親父だったわ………何度訪ねても会ってくれなくてね…… ボクは何度も尋ねていたのよ! でも珍しくある日突然会ってくれてね……… お前何の意図があって倅の気配を着けて来るんだ?と怒っていたのよ だけどボクは意味が解らなくてね、誰?倅??誰なの?って聞いた程なのよ それからは仕方なく会ってくれる様になってね、きっと倅の気配がするから邪険に出来なくて………ボクの頼みを聞いてくれる様になったのよ とても優しい人なのよ九曜ちゃんは! ボクは人の星は詠めるけど、神の星は詠めないからね、母ぁーさんに九曜ちゃんの倅って誰?と聞いたのよ そしたら教えてくれたわ! 其れで疑問に思っていた隼人にーと、晟雅ゃとの確執的な星のピースが嵌ったのよ!」 神野は苦しそうに眉を顰めると黙った 「隼人にーは晟雅ゃの事は認めてるわ! そして……母ぁーさんが死に、ボクが死した後、晟雅ゃが隼人にーを支えて逝かないと行けない星なのよ!」 「俺には荷が重いな………」 「其れでも晟雅ゃは支えるわよ、弟を! そしてその時、やっと二人は兄弟になれる そんな星巡りをしてるのよ、二人は!」 「…………だったら頑張るけど………そんな哀しい日の事を謂うなよ………」 「まぁそんな日はまだまだ先の事だからね! でもボク等は短命が運命! 己の死命を遂げれば、其処から先は次代に託さねばならぬ運命だから……」 「解ってても謂うな!」 「なら言わないわ! で、隼人………結婚考えてるわよ!」 「ヨーコだろ?」 烈は驚いた顔で神野を見た 「二人は隠す気ねぇだろ? あまりにも自然な態度だからな二人とも! 解らねぇのはいねぇだろ? って言っても俺は須賀と柘植に言われなきゃ解らなかったけどな!」 「あ~、直くんときょーちゃんは見てるからね で、どうする?戦略練らないと潰れるわよ!」 「俺は………そう言うの駄目だから小鳥遊と共に動いてくれねぇか?」 「ボク少し忙しいし、事態によっては姿消す事もあるかもよ?」 「其れでも頼む烈!」 「仕方ないわね! 取り敢えず隼人にーが家族に報告する日を待つわ! このまま日陰のままなし崩しは許さないからね!」 「覚悟ならしてるだろ?」 「何故?解るの?」 「彼奴は一度愛する存在を亡くした そして次に愛する人は絶対に隠さないと決めている………菜々子を、ひた隠しにしていたからな 次に人を愛するなら……隠さないって言ってた」 「その頃ボクは冥府の闇の中で消えそうだったからね………知らない話だわ!」 「しかし何時から………なんだ?」 「ボクも留守にする事が多かったから解らないのよ……気付いたら近くない?自然に目と目が互いを探してない?って感じだから……」 「烈も詳しくは知らねぇのか?」 「ボクは未来を視る目ないからね!」 「そんな目なくてもお前は凄いから大丈夫だ!」 何………その叔父バカ発言 「取り敢えず晟雅ゃの耳には入れといたわ! 小鳥遊と話し合っておいてね! ボク、子守唄のプロも撮りに逝かないとだから!」 「解った、後で連絡しておく!」 「じゃ、話は終わりね!」 と言い烈は部屋を出た そしてキッチンに行き朝を食べる 神野も席につき朝を食べ始めた 竜馬がやって来て「烈!撮影の準備万端っす!」と告げた 緑道、此処からが禊の成果を見る事となるわね! 烈の横に阿賀屋と鷹司が座り朝を食べ始める 阿賀屋は「緑道と連絡は取ったか?」と問い掛けた 「1時にバスでお迎えに来てくれるわよ!」 「そうか、ならば鷹司は禊の成果を確かめられるな!」 「そうね、何かして来たら消してやるから!」 「お前に?何か?それは命知らず過ぎやろ!」 「でもね【何か】無ければ、蒼佑が頼んだとしても部屋は貸さないわよ!」 「おっ、それは勘繰りすぎじゃねぇのか?」 「勘繰りすぎじゃなくね、警戒しちゃうのは仕方ないわよ!」 「鷹司は緑道の禊を終えて………それで何かするならば、緑道は一族やり直しの道を辿るしかない!」 「それはさせたくはないわね! 獅童も消えちゃうからね!」 それを聞き鷹司は「止めてくれ!」と泣き言を言う 「梨沙ちゃんに杏仁豆腐頼んどこうかしら?」 烈が謂うと鷹司は「そんなの昨夜の内に作っておるじゃろ!烈が撮影で来るならば、節子姉さんと共に何か作ってるって!」と言う 「それは楽しみだわ! 鷹司獅童、阿賀屋蒼佑、そろそろド派手に盛大に花火を上げるわよ!」 阿賀屋と鷹司は顔を見合わせ、嬉しそうに笑った 「「承知した!!」」 悪ガキ3人は北叟笑み、朝を食べていた キッチンに朝を食べに来た康太は 「その笑みあくどいぞ!んとによぉ、此処に悪代官いるやんか!」とボヤいた 聡一郎は笑って「菓子折りの下に小判必要ですかね?」と便乗して言う 隼人も朝を食べに来て「そちも悪よのぉ〜!」と言い朝を食べ始めた そして食べ終わると康太に 「今夜話があるのだ! 出来たら………家族を集めて置いて欲しいのだ!」と告げた 康太は「家族?それは何処まで指す?」と意地悪な問をした 阿賀屋が「あ~俺等は今夜は来ちゃならねぇってか?」と聞く 隼人は「蒼佑は既に飛鳥井の子なのだ!」とボヤいた 烈は話なんか聞いてなくて、響と奏とレイに朝を食べてさせていた 「良く噛むのよ! レイたんもね、良く噛むのよ!」 「わかっちゃ!れつ!」とよく噛んで食べる 双子も良く噛んで食べていた 「響 奏 お顔拭いて貰ったの?」 「うん、いおたん」 「ふいてくれる」 と響と奏は嬉しそうに言う 烈は双子の頭を撫でて、レイの頭を撫でた そして凛と椋の頭も撫でて 「凛、椋、一度一族の抜き打ちチェックやるわよ!」と謂う 竜胆は「お前が言わなかったら俺が言い出そうと思っていた!」と謂う 「チェックする気配ないと、人って油断するのよね! そんな緩んだ警戒心もない所を狙い、ド~ンとやるのが効果的なのよ!」 烈は力説する 聡一郎も隼人も一陽も慎一も康太も………それは嫌がらせに近い………難癖やろが……と想った 一番油断してる所を狙いグサッと狙い撃ちする様なもんだってば………とは言えない 竜胆は「ならもっと油断させとこうかな? 兄さん達に頼んで貰いHPにでっち上げの記事書いて貰うとするかな!」と提案 東矢も「それは良い!油断した所が一番暴きやすいからね!」と謂う 聡一郎は「コイツ等………本当にタチ悪いわ……」とボヤいた 康太が「仕方ねぇよ、それが竜胆だからな…… コイツは飛鳥井の風雲児に次ぐ破天荒で頑固一徹な奴だからな! 狙い撃ちなんて朝飯前だろ?」とボヤく 烈は朝食を終えると客間へと竜馬と共に引き上げた そして鷹司へ行くまでギリギリ調整する そして時間が来ると【R&R】のメンバーとRODEOÑ Strong Hiと隼人と共にお出かけした 早瀬頼朝は小鳥遊がタワマンの前まで連れて来てくれる事になる 行先は鷹司家と謂う事で神野達は御遠慮願った まぁ神野達も鷹司のお屋敷には行こうとは思ってはいなかった………… そんな大層な家に行ったら命がいくつあっても足らないだろうから……… 1時ジャストに鷹司からバスが来た 烈と竜馬と【R&R】のメンバー、RODEOÑ、Strong Hiのメンバーが乗り込み、阿賀屋と鷹司も乗り込む、そしてラストに隼人と早瀬が乗り込んだ バズは東京都内へ入り、繁華街を抜けて行く そして暫く走ると雑木林と立派な塀が見えて来た 塀は何処までも続き………やっと正面に着くとバスは停まった 立派な門扉がギギギギギギィ〜と開くと、左右を鷹司の一族が深々と頭を下げ出迎えた その中を烈は堂々と歩いて行く 竜馬も【R&R】のメンバーも後に続くから、RODEOÑとStrong Hiも後に続いて歩いて行った 鷹司緑道が態々出迎えに出て 「宗右衛門殿、今日は思う存分に撮影をされよ!」と大盤振る舞いをする 烈は「緑道、統制が取れて再出発は上々ね!」と謂う 「一族は崖っ縁に立たされた! 此れで再教育されてないと………主から言われたならば我等はやり直しをせねばならぬからな!」 「まぁ其れも帰る頃に【答え】は出るわよ!」 緑道はゴクッと唾を飲み拳を握り踏ん張った 「さぁ、撮影をなされよ!」と家に招き入れた 家の中に入ると緑道が妻 節子がいた 「烈!蒼佑が部屋を貸してやってくれと申し出たので、微力ながら力になれるならば、と想い許可しました!さぁどうぞ!」と言い節子は自分の部屋を案内する 鷹司 本家の妻の部屋は2階に在った ギシギシと階段を踏み鳴らしながら上がる すると、其処には窓から明るい光が差し込む廊下が現れた その廊下を足音も立てずに歩いて行く 着物を着て、足袋を履いた節子は足音を立てないで歩く 其れが………何故か怖くて………アーネストは 「Japanese Horror!!」とまで言った 節子は一番明るい部屋に烈達を招き入れると 「この部屋を自由にお使いになって下さい!」と謂う 節子が通してくれた部屋はとても暖かな光りに包まれていた 部屋の中央に置いてある揺り籠は、かなりの高価な品物だと見ただけで解る その揺り籠の中に…………何故か赤児が寝ていた 烈は「この子は?」と尋ねた 節子は「この子は穢れを受けた子です………… 綺堂の部屋に産み落とされ置き去りにされていた なので我等は………綺堂を謀った女が産み落としたのかと…… ですが調べた結果、あの女は出産した形跡はないから綺堂の子ですらない……… 誰も引き取りにも来ない穢れの子です………… 緑道は穢れは消し去ると申したのですが………… 罪もない赤児に手を掛けるのは忍びなく………」と話す あぁ……この為に家に呼びやがったのね………と烈は想った 烈は「この子の星を詠まねば果てへと導けないわね!そして残念な事に……もうこれ以上は飛鳥井では引き受けるのは無理な状態だから、どうするか、母ぁーさんと相談しないと駄目なのよ!」と告げた 「双子を引き取られたとか?」 「そうね、次代の恵方と竜胆になるべく存在なのよ!この子は星を詠み配置するわ! 取り敢えず孤児院へ入れて戸籍を確保しないと………届け出してないんでしょ?」 節子は息を飲み………目を伏せると 「何時生まれたのも解りませんし………誰の子なのかも解りませんので………」と告げた 「ならば然るべき手続きをして、戸籍を持たせ、星を詠み配置する事にするわ! 無論 捨て子扱いで良いのよね?」 「はい………先程申し上げた通り、何時生まれたのかのさえ解りません そしてこの子は人なのかも解りません………」 「それは何故?」 「この子は封鎖した綺堂の家で見つかりました! 綺堂の家の家具を全て出す作業をしている時に発見されました! 封鎖した時にはいなかった筈なのに……そして何日も飲まず食わずで放置されていた 赤児が生きられるとお思いですか?」 「まぁそれを穢れと言ってしまうなら、この家でこの子は生きられないわね!」 「………」 節子は何も言えなかった 「行き成り飛鳥井の家にはハードルが高いわね この子は菩提寺へ連れて行って様子を見るわ!」 「頼めますか?」 「孤児院の方は鷹司からは寄付を戴いてるし、飢える事なく生きて行く道は指し示してあげるわ!」 節子はホッと安堵の息を吐き出した 「さぁ撮影を始めるわよ!」と謂うと、メンバーはキビキビと動き出した 烈は「竜ゅー馬、アーネストにこの子を渡して!」と頼むと、竜馬はアーネストに赤児を渡した 「さぁ、この子を愛で包み寝かして上げるのよ!」と謂う ぎこちない抱き方に赤児は泣き出し、アーネストは困り果て泣きそうになった 隼人が仕方なく赤児を抱くと、赤児は泣き止んだ 隼人は子守唄を歌い、赤児を眠らせた 竜馬はその光景をカメラに収めた アーネストとジョージも子守唄を歌い出す 早瀬も其れにコーラスを入れる様に歌い始めた アカペラでも早瀬のコーラスがいい具合に響き、竜馬はそのまま撮影をした すやすや隼人の腕の中で眠る赤児を、アーネストとジョージも腕に抱き子守唄を謳う 意外な事に早瀬は子守が得意なのか? 早瀬は優しく赤児に腕に抱き、あやして謳う 赤児は幸せそうな顔で眠っていた 何か夢中で子守唄を歌って赤児をあやしていると、撮影は終わっていた 撮影が終わると烈は 「よりちゃん、ボクはその子には触れられないから、抱っこして着いて来てくれないかしら?」と言った 早瀬は「良いけど、理由聞かせてくれない?」と謂う 至極当たり前の事だ 「その子は穢れの子なのよ だからボクは触れられない 触れたら………飛鳥井の家に穢れを運ぶ事になるからね! そしたらボクの子やレイたん達、ちっこいのは穢れを受けてしまうのよ! だから触れられないの この子には何も罪はないわ この子は愛され育つべく子なのだから………  でもボクは飛鳥井に穢れを持ち込めないから触れられないのよ!」 家に生きる者の言葉は至極複雑で難しい……… 早瀬は赤児を腕に抱くと、節子が赤児の持ち運び用の籠を手渡した その中に赤児を寝かせ、早瀬は籠を持った 「節ちゃん、今日は撮影させてくれて有難うね!」 烈が謂うと竜馬も 「凄く優しい映像が撮れました!」と言葉にした 早瀬が持つ籠の中で眠る赤児が、パチッと目を開け烈を見た 烈は赤児と目が合い………暫し沈黙した 「力持ちか………念動力持ってるなんてね……… この子………釈迦に見せて真髄を一度調べてみるわ!」 節子は「え?力持ちなのですか?」と問い掛けた 「ええ、ボクの頭に直接語り掛けて来たわよ!」 「なんと?」 「…………人を穢れ扱いするな!ってね………」 節子はハッと息を飲んだ そりゃそうだ………罪もない子に穢れだと、決め付け………消そうとしたのだ………… 「この子は菩提寺に預けて、星を詠み配置するとするわ! 捨て子の届け出をして戸籍を作らないとね……」 「宜しくお願い致します その子に掛かるであろう費用は………緑道がお支払い致します!」 「まぁNYまでボクの命を助けに来てくれたから、其処はチャラにしてあげるわよ! ならね、節ちゃん!今日は助かったわ!」 「ご飯を食べて行きませんか?と言いたいけど無理そうなので、これをお持ち帰りください!」 節子がそう謂うと、獅童が妻 梨紗子が烈に重箱を渡した 烈は重箱を受け取り、竜馬に持たせた そして緑道にご挨拶した 「今日は助かったわ!」 緑道は「……嫌々……主には我等が更なる迷惑を掛けた………済まない!」と謝罪した 「獅童には書生増やして世話になってるから、持ちつ持たれつ、よ!」 「そう言って貰えると助かる………その子を………宜しく頼む………」 「解ってるわ!ならね!」と言い停まってるバスに乗り鷹司の家を後にした 烈は運転手に「飛鳥井の菩提寺 楽巌寺へ行って下さい!」と頼んだ 運転手は「承知した!」と言いバスを走らせた 烈はバスに乗ってる最中、何も話さなかった 烈は【今】【何故】と考えていた 今 何故こんなに力の強い子が誕生した? そして今、隼人が伴侶を得て………もうじき一生が帰国して来る この時期に………何故?? 烈は隣の席に座った早瀬の持つ、籠に入れられた赤児の目を見て 「貴方は誰の子?」と尋ねた 『鷹司青葉が産み落とした子!』と赤児は烈の頭に答えを告げる 烈は鷹司に「鷹司青葉って誰?」と問い掛けた 「青葉は我等が母じゃよ!」 「年は幾つ?」 「80歳になる! 緑道を産んだ時には既に50を超えていた それからは毎年出産をして我等を産んだ母の名だ」 「80歳で生理あるのかしら? それとも閉経しても子は産めるのかしら?」 鷹司は顔を青褪めさせ 「烈よ!何を言っているのじゃ?」と問い掛けた 「この子の親は鷹司青葉らしいわよ!」 そう言い烈は赤児の目を見て 「なら父親は誰?」と尋ねた 『父と呼べる存在………それは鷹司を守護する神で在る! 奴は神を呼び寄せ契った 元々はあの女は神の子を妊む巫女として、神と契り鷹司の子孫を誕生させる存在 既に誕生させるべき子の数は終え、役目も終えた なのに神を誘惑して契った不埒な女!と蔑まれた そんな事をした許せぬ女を、神々はその命と引き換えに赤児を与えた 其れが我だ! 青葉は我等を穢れとして……閉鎖された綺堂の部屋に産み落とし………我等を置き去りにしてこの世を去った 我等は……そんな悪意の元消される運命だった』 「…………ならば貴方達は鷹司と関係のない場で育ち、人として生きなさい!」 『え?…………何を…………』 「生まれて来たのは意味が在るのよ! 貴方達はその意味を探し、己を幸せにしてやる為に生きなさい!」 『生きてよいのか?』 「当たり前じゃない! 生まれて来た以上は誰よりも幸せになりなさい!」 烈はまるで独り言を言ってるみたいだった 直接頭に語り掛けられ話しているのだから……仕方が無い 烈は「この子は竜之介に暫くの間、頼むしかないわね そして追々星を詠み、果てを配置する…………」と呟く 早瀬は「この子………俺が引き取っても良いけど?」と謂う 「有難うね、よりちゃん! でも、もう直ぐ………よりちゃんは運命の人と出逢うから、止めといた方が良いわよ!」 「え?………運命の人?嘘………」 「一目見ただけで、虜になるわ! そんな愛して愛して愛し尽くす人と出会えるわよ!」 烈に言われて早瀬は嬉しそうに笑った バスは菩提寺に到着した すると皆もさっさとバスから降り始めた そして全員バスから降りると、鷹司のバスは走り去って行った 「え?何で皆降りるの?」 こんな不便な場所にわざわざ降りなくても……と烈は想った 皆は飛鳥井まで乗せて行って貰えば良いのに……… の想ったが今更だった 皆降りた後ではどうにもならない お迎えに来て貰わねばならないわね……と考えつつ、烈は長い階段を登り始めた

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