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第47話 一意専心 ❷

康太は「確かに七夕の前からオーデションの話は出ていたな 具体的な話は此処最近始めたばかりみてぇだがな!」と話す 善之助は「此処最近発売された雑誌でオーデションをやる事をコラムで書いてましたよ?」と謂う 康太は「え?コラム?烈、んな仕事受けてたのかよ?………何処の会社のだ?」と問い掛けた 「東都出版の雑誌 【LeeDia】でコラム書いてますよ! 結構人気で雑誌の売上鰻登りで、廃刊予定の雑誌が今や人気の情報誌となったと騒がれてました」 「脇坂からの仕事受けてやったのか……… 其処でコラムで書いてるなら周知の事実だな!」 戸浪も「其れで我等も協賛に名を連ね沖縄に便乗させて貰おうかと考えていたんですよ!」と話す そんな話をしていると烈が自分の足で歩いて病室に来た 康太は烈を見て「大丈夫なのかよ?」と心配して我が子の傍へと駆け寄った 「母ぁーさん、やられたわ! 何の警戒もなく記者会見なんて開いちゃ駄目なのよ………紛れ込まれたら一発OUTなのよ だから慌てて行ったら………やっぱり紛れ込んでて自爆されたわ………」 「怪我酷いのか?」 烈は頭には包帯、顔には絆創膏、首から肩に掛けて包帯が巻いてあった 「破滅の御剣で刺された時よりは元気よ 自分の足で歩けるし意識もあるからね でも痛いし、血が流れたから眠いのよ 今寝たら最低でも3日は寝ちゃうから…… 母ぁーさん、竜ゅー馬にボクが寝てる間にオーデションをカタチにしちゃって!と伝えといて下さい! そして兵藤きゅん呼び出してボクの変わりに動いて貰ってくれる様に竜ゅー馬に頼んどいて下さい! ではボクは寝ます、薬が効いて来たので寝ちゃいます!レイたんボクは大丈夫だからね!」 「れつ………」 「響と奏と一希をボクの変わりに護ってね! レイたんはもぉ、お兄ちゃんなんだから、お願いね!」 レイは何度も頷いた 「若旦那ゃ、ぜんちゃん、無傷で良かったわ! 今度から記者会見開くなら、紛れ込ませない対策しないと駄目よ! 魂乗っ取って入れ替わるからね、そして自爆機能付きも紛れ込む可能性があるからね 此れは現実に起こり得る可能性として、今後の対策を考えなきゃならない事だからね! 今後は母ぁーさんに頼んで貰って暫くは、政府から護衛を依頼して身辺には気を付けるのよ!」 此れは現実だと思い知らせる言葉を吐く 康太は「あぁ、頼まれた! 竜馬に貴史よびよせる様に言っとく! でもまぁ今夜は飛鳥井は宴会中だかんな! 田代、お前も今夜は泊まれよ! 若旦那も善之助も泊まって行けよ! 和華子は連れて越させるから、点滴打ってる間に呼びに行けばいいかんな!」とまだ震えが止まらない二人にそう言った 「ならボクは寝るわね……」 そう言うと烈はベッドに潜り込み眠りに落ちた 看護師の鈴木泰地が様子を見に来て、烈の腕に点滴を打った そして戸浪達の点滴を見て「終わったらコール押して下さい!」と言い病室を出て行った 一生は「烈、徹夜でオーデションの要項決めて、早瀬の様子を見に魔界へと行ってたからな ただでさえ限界なのに………気力で持ち堪えていたから3日寝込んで当たり前だよな!」と呟いた 榊原は「それ誰情報ですか?」と問い掛けた 「弥勒、烈と共に来たやんか 何処に行ってたのよ?と聞いたら魔界と、答えてくれたからな!」 「なら3日で起きますかね?」 「寝てる暇ねぇかんな、起きるしかねぇんだよ……」 「ならば父の愛で起こしてみせますとも!」 そう話してる間に戸浪と蔵持の点滴が終わり、コールを押すと女性の看護師が来て点滴を外して絆創膏をペタッと貼った 榊原は戸浪と善之助と田代を連れて、飛鳥井の家へと帰る事にした 一生はレイを抱き上げて飛鳥井の家へと戻った 飛鳥井の家に行くと、どう謂う訳か皆 応接間にいた そして皆でテレビを見ていた 康太はドアが開けられたままの応接間を覗き込むと、皆がソファーに座ってテレビを見ているから気になって 「何見てんだよ?」と問い掛けた すると清隆が「宗右衛門の着物が血に染まったので事件かと想いテレビを付けました!」と説明した 康太と榊原もソファーに座るとテレビでは先程の会見がやっていた 自爆して皆パニックになっていてもカメラを離さなかった報道記者 今枝浩二氏により撮られた影像です、とテロップがされた映像は………壮絶な地獄絵図を映し出していた そんな中毅然と立ち向かう烈の姿が在った 戸浪と蔵持を守り立つ姿が映し出されていた そして自爆して、場面は地獄絵図さながらの風景に様変わりする 一生が烈を探し駆け寄り、暫くして救急隊員により連れ出される様を一部始終映し出していた その今枝氏も怪我をして入院していると言う 爆破テロの脅威………が、こんな身近な所に潜んでいる ノーカットで流された影像はショッキングで……異質で脅威だった こんな人外の事件だと所轄では対処しきれないんだろうな………と康太は想った 突然 人が自爆するなんて前代未聞の事件は唐沢班が駆り出されて対処をさせられる事となった ホテル側も会見場の通路は立ち入り禁止とし、修繕費は保険で賄えるのか?と頭の痛い問題が持ち上がっていた 瑛太は「烈は?大丈夫なのですか?」と問い掛けた 榊原は「烈は…………」と言葉を詰まらせ肩を震わせた 皆がまさか…………と固まる 「『こんなに頭ばかり怪我してたら、大人になったら絶対にハゲるじゃない!』と興奮して叫び、血が更に噴き出て傷口が開くと久遠先生に怒られたそうです! そして『3日は寝るわね!』と言いベッドに自分で入り寝ました!」と伝えた 烈らしくて瑛太はホッと息を吐き出して笑った 戸浪は瑛太と清隆に深々と頭を下げた その横で蔵持も頭を下げていた 瑛太は「宗右衛門がなさる事に我等は何一つ言えませんので謝罪は不要です!」と謂う 清隆も「そうですね、宗右衛門は真贋と同等の存在!そんな方に何か言おうなんて烏滸がましいですよ!」と答えた 神威は「アレは傀儡じゃろ!本人かさえ解らぬからな………又難儀な問題に突入しやがったな!」とボヤいた 阿賀屋は「まぁ事情も分かり申した事だし、宴会の続きをやるとしましょう!」と言い立ち上がり客間へと向かう 鷹司や紫園も客へと向かう 慎一は「和華さんは俺が連れて来ます!」と言いお迎えに行った 外に出ると真矢と清四郎が飛鳥井を訪ねる所だった 慎一は「少し待ってて下さい!」と言い二人をマンションのエントランスに残し和華子を迎えに行った 暫くして慎一は和華子を連れて、真矢と清四郎と共に飛鳥井の家へと戻って言った 慎一は和華子を蔵持の横に案内して座らせると、 康太に「真矢さんと清四郎さんがお見えです!」と告げた 真矢は「ごめんなさい!テレビを見てたら………居ても立ってもいられなくてね………」と謂う 康太はレイに目配せするとレイは立ち上がり 「ばぁたん!じぃたん!」と甘えた 真矢と清四郎はレイを抱き締めた レイは不安そうな表情がなくならない真矢の顔に、効果はあまりないと詠み響と奏と一希に目配せした 響と奏は疲れたのかうなぎサイズのまま真矢と清四郎に甘えに行った 一希は『ばー じー!』とアタマに直接呼びかけ泣き出した 真矢は一希を抱っこしてあやして、響と奏とレイを撫でた 凛と椋も真矢と清四郎の前に行くと 竜胆は「真矢、不安げな顔は駄目だ!うちには小さいのがゴロゴロ増えたんだ! 不安は連鎖しちまうからな!」と口にした 東矢も「僕は元々可愛いですけど、もっと可愛い子達が増えたので、不安そうな顔は僕達も泣きたくなります!」と謂う 皆 必死に祖父母を気遣う 翔達は玲香と清隆を気遣い傍にいた 康太は「烈はまた頭をガラスか瓦礫か何かで怪我したらしくてな 大人になったら絶対にハゲるじゃない!と興奮して言ってたらしいぜ! 久遠が興奮するな!血が噴き出る!と宥めて縫ったってボヤいていやがったぜ!」と伝えた 真矢は「あら、なら柘植に育毛剤とか養毛剤とかヘアプラスとかのCMを取って越させねばなりませんね!約束ですからね!」と笑って謂う 心配した空気が緩んだ 翔の携帯がプルプル鳴ったから、翔は少し外れて携帯を見た すると『ハゲてないから!』と烈からのラインがあった 翔は笑ってラインを母に見せた 康太は「寝てたんやないのか? あ、レイと視覚共有してやがったな!」と笑っていた レイの瞳が蒼く光る レイはニコニコとして皆を見ていた 阿賀屋 鷹司 紫園達は怒気を孕み無言で飲んでいた こんな感じは珍しく、皆はなんと言って良いやら解らずにいた 神野達は此れからオーデションと謂う時に、烈を欠いてしまうのか?と謂う不安の中にいた 戸浪と蔵持も未だショックから抜け出せず……… 康太は竜馬に「烈からの伝言だ、貴史を呼び戻しオーデションを完遂しろ!との事だ!」と伝えた 竜馬は「了解っす!後で呼び戻しておくっす!」と言い自室に寝に行った その夜は皆泊まりになり客間に布団を敷いて寝た 阿賀屋と紫園は鷹司を連れて源右衛門の部屋に行き眠った 不安を孕み…………夜は明けた……… 翌朝 兵藤貴史が飛鳥井の家に戻って来た キッチンで朝を食べていると、康太と榊原がやって来て兵藤の存在に驚いていた 何をしているのか?解らないが飛鳥井に来る事のない日々を過ごしていたのは確かだった 康太は「よぉ貴史、久しぶりやんか!」と声を掛けた 「あ~何か扱き使われていたからな…… 其れよりも烈は大丈夫なのかよ? 正義を動かし報道関係者には圧力掛けて、マスコミに取材に押し掛けない様に釘は刺しておいたからな!」 「それは助かる、家バレするのが一番面倒だからな! 烈は入院している、何時もの個室にいるだろう!」 「しかし………巻き込まれ過ぎだろ?」 「オーデションも近いから警戒していたけどな 仕方ねぇ、盤上に上がったのならば、何としてでもオーデションは完遂させるだろうさ! 書類選考ならベッドの上でも出来るだろうからな!」 そんな話をしながら朝を食べていると、神野達もやって来た 子供達もやって来て、トレーに朝を乗せて貰い、子ども用のテーブルに置いて食べる準備をしていた 神野は「烈、出られるのか?」と心配して問い掛けた 「出るだろ?一度口にした事は覆らない! 其れが盤上へ導いた者の務めだかんな!」 兵藤は「俺もオーデションの手伝いするから大丈夫だ!」と笑って謂う 康太は「それにしても最近本当に忙しそうだな? 何してるのよ?」と問い掛けた 「あ~、オーデションを一区切りにして、宗右衛門は俺の婚約発表を世界同時に発表するそうだ! 其れで婚約者としての身分を下賜されたり、領地を戴いたり………と婚約者として王室の一員として迎え入れられる様に働いていたのさ! 其れと同時に、王女の教育、経済観念、倭の国と謂う歴史と文化の教育を専門家と共に教えていたりしていた! 総ては宗右衛門がプログラムを組んでくれたから、其れに沿って粛々と熟していたんだよ 俺はイギリスで領地と称号を貰い受けたから、【R&R】系列の人間に管理させ目を光らせないと不正の温床になるわよ!との指示が出てたからオリヴァーに手伝って貰って配置したり、倭の国でも陛下の御厚意により警備が完璧に出来る土地を下賜されたから、その地に飛鳥井建設にビルを建てて貰う様に話をしたり………と睡眠時間三時間で働かせられていたんだよ その合間を縫って、不穏な動きする奴等を唐沢と共に警戒して監視対象にさせる為に動いたりしていたんだよ! 気絶する様に寝て、起きたら仕事 んな事を延々とやっていたんだよ!」 聞くからに大変な日々に康太はどよーんとなり 「大変だったんだな………」と慰めの言葉もなく謂うしかなかった 兵藤は笑って「其れも総て俺の婚約とかの事が大半だから仕方ない事だが………結婚ってこんなに大変な事なんだって初めて知ったよ…」と口にした 「お前の相手ってのが規格外な存在ってのが一番大きな要因締めてるだろ? 普通の婚姻は金持ちだとて、そんなに大変じゃねぇからな!」 「まぁ惚れたから仕方ない! 惚れた相手と永遠に添い遂げる為の行程だと想えば乗り越えられるさ!」 兵藤の言葉を康太は驚いた瞳を向けた その瞳を受け兵藤は「何だよ?」と拗ねた様に謂う 「嫌………心底惚れ抜いた相手と出会えると、こうも変わるのか?と思っただけだ!」 「まぁ俺は……惚れ抜いた相手なんかいなかったからな………… でも今ならば解る………」 との言葉を聞き変われば変わるもんだと、感心した 其処へレイが響と奏を連れてやって来た 「おはようごじゃいます!」 ニコニコと二人を椅子に座らせる そして走って行き、一希を抱っこしてやって来た 慎一が「オムツ見ましたか?」と問い掛けた 「かけゆにーが、みてくれちゃ!」 「ならミルクですかね?」 『ミルクより飯食わせろ! あんな甘いの飽きるんだよ!』 直接脳に語り掛けボヤく 康太は爆笑した 榊原は「赤ちゃんはミルクですから!」と哺乳瓶に粉ミルクを入れて作り、人肌にしてお口に突っ込んだ 『そろそろ離乳食えない?』 まだまだボヤく 「離乳食ならそろそろ始めても良いですが、普通のご飯は無理ですよ! 歯もないのに食べれませんよ!」 呆れてミルクを飲ませる 『歯………そう言えばないな!』 残念そうに謂う一希に榊原は苦笑しつつミルクを飲ませる もうスッカリとパパさん姿が板に付いていた 京香が「伊織、我が変わろうか?」と問い掛けた 「京香が朝を食べ終わったら変わって下さい!」 「ならば先に朝を食べるとする!」 京香が席に着くとレイがトースターにパンを突っ込んだ 京香は「レイは気が利く子じゃな!」と頭を撫でるとレイは嬉しそうに笑った 焼けたらマーガリンを塗り塗りしてお皿に置いた 「レイは本当に器用な子じゃ!」と喜び京香は食パンを食べた 翔達はレイはただ………焼けたパンにバター塗り塗り………をやりたかっただけだと知っていたが………言えなかった 康太は笑って、レイ 凛 椋を始め 翔 流生 音弥 太陽 大空に「8月になったら沖縄に行くからな!夏休みの宿題は早めに済ませとけよ!」と告げた 音弥が「はい!ご飯食べたら宿題するよ! あ!そうだ!ねぇ母さん、夏休みの友って何? 烈が昔は夏休みには、夏休みの友を配られたのにね、今は違うのよね………とボヤいてたけど、夏休みの友って何?」と聞いた 紅茶を飲んでた康太は紅茶を吹いた 玲香は「懐かしいな!夏休みには夏休みの友を片付けねばならなかったな!」と呟いた 康太は「今は夏休みは宿題出るやんか! 昔は宿題を一冊に纏めたのが出たんだよ! 其れが夏休みの友って言うヤツだったんだ! そうか宗右衛門はオレの半分で転生したんだったな……… 高度成長には其れが出たんだな! 因みにオレは夏休みの友は知らねぇよ! 100年前 大正の終わりから昭和元年頃は、んなのなかったからな!」とボヤいた 玲香は「我の子供時代はあったぞ!夏休み前に片付け後は遊ぶ計画してる奴が毎年おったわ! その癖 始業式に提出が出来ずに必死に徹夜で書き込む奴とかもおったな!」と笑って言った 「へぇ、宗右衛門は流石、生き字引だね!凄いな!」 と翔は感心して呟いた 太陽は「宿題片付けたら烈の御見舞に行くね!」と母に言う 康太は「おー!寝てるかもだけど顔を出してやれよ!」と言った そんな話をしていると正装をした阿賀屋と鷹司と紫園がキッチンにやって来た 榊原は眉を顰め 「仰々しい御姿をなさって………どうされました?」と問い掛けた 阿賀屋は「ホテル・ニューグランドには迷惑を掛けた故、詫びに出向くのじゃよ!」と阿賀屋家御当主の衣装を着て言った 鷹司も鷹司家 獅童の着物を着て 「我が友の為に、友が今出来ぬ事をやらねばねらぬのじゃよ!」と告げた 紫園も観世音家当主の着物を着て 「我等は友の為に骨身を惜しまず尽くすと決めた!総ては友の為に、誓った事じゃ! 今は宗右衛門が動けぬ故に、我等が変わり詫びに伺う! 其れが我等が通さねばならぬ友への想い!である!」と告げた そして「「「朝を食べさせてくれ!!」」」と言った 慎一と一陽は何時もの様に三人に朝食を出してやった 御大層な正装をしている癖に………朝食は何時もの様に食べるのだ 紫園は少しだけ笑顔になると 「近い内に仕事を再開させる故、生活費をやっと支払える様になった故支払います!」と言った 康太は紫園を視て、少しだけ眉を顰めると 「身の回りは気をつけろ!シオ!」と警告だけは出してやった! 紫園は「あ~そろそろあの地の奴等が何かして来る頃かと思っていたんだよね! 有り難う真贋、礼は沖縄で返すとする!」と笑って返した 「それは楽しみだな! さてと、宗右衛門は不在だけど、仕事は待ってはくれねぇからな!仕事に行くとするか!」と言い 康太と榊原は食洗機に食器を突っ込むと、会社へ出勤して行った 阿賀屋と鷹司と紫園も食事を終えると、阿賀屋の屋敷の車が病院の前まで来たとの知らせに、飛鳥井の家を出て行った 翔は凛 椋 レイを連れ客間へと向かった 客間の掃除をして、テーブルを並べると宿題をするつもりだった 皆で手分けして掃除する 神野には虎之介を、小鳥遊には小虎を持たせて応接間の方へ行かせる ガル ガブ ルシ 金太郎は応接間横のサンルームで寛いていた 竜馬は兵藤と共に応接間へ行き、須賀と柘植と共にオーデションの募集要項のチェックをして正式にホームページに載せる事にした イギリスにいるオリヴァーが全面協力してくれ、弟子のアンソニー達のグループを貸し出してくれ完璧な邪魔者が入り込めない回線を使いプログラムを構築して行ってくれた そうして完璧に出来上がったら、オーデションの告知と応募が始める予定だった 7月25日から、7日間の募集を掛けてオーデションを始められる様に完璧にしてHPにて公募を始める 7月25日から7月31日までの期間を切り その後書類選考をして沖縄でオーデションを8月10日11日とで行う そして8月20日東京オーデションを行い 最終オーデションは8月21日行うスケジュールを立てた 何故お盆の時期を避けたかと謂うと、兄達曰くお盆入りからの期間はヤバくていたくはないわ 土地の子ならばまだしも………視えないならまだしも………視える奴が行く場じゃないわ、らしい 烈達はギャラ分として8月に入ったらコテージで過ごすと決めていた そしてお盆はカニパンミュージアムへと行く 夏休みの思い出を沢山作る予定だった オーデション告知を近々すると、あちらこちらで知らせると、かなりの話題が上がっていたのか? 物凄い人数が応募の問い合わせがあり、鯖落ち寸前になりそうになったが、アンソニーが即座に修正を掛けて、回避させてくれた 不正なログインは二度と入れなくなります!と、HPに載せて警告を続けた こうして公募までの準備に余念がなく、日々話し合いに突入した 飛鳥井の家を出た阿賀屋と鷹司と紫園は、ホテル・ニューグランドへと出向いていた 阿賀屋の屋敷の者に迎えに来る様に!と告げるとリムジンで御迎えにやって来た お館様が何処へ逝かれ何をなさる気なのか?理解した屋敷の者が手配をした結果の車だった リムジンに乗り込み、先ずはホテル・ニューグランドへと向かう 車内では阿賀屋は「今枝は何処の病院に入院してるんだ?」と電話で問い掛けた 『御調べしてラインに入れておきます!』と返答があり電話を切った 烈の変わりに謝罪に出向き、烈の変わりに今枝の御見舞に行く トナミや蔵持の会社に出向き、慰労の言葉を伝える そして飛鳥井建設に出向き、宗右衛門の変わりに社内を見てやろう!そんな計画を立てていた 屋敷の者は即座に手配してアポは取ってあった ホテル・ニューグランドに到着すると、車は正面玄関の前に停まった 車から阿賀屋達が降りると、車は走り出した お付の者が気配を消して用事が終わる前に連絡を入れる手筈となっていた 阿賀屋 鷹司 観世音の三人が正装でホテルに来るものだから、客達は俳優か?何か偉い人が来たのかしら?と騒然となった その場には副社長兼総支配人が姿を現し、三人の前に出ると深々と頭を下げ 「ようこそお越し下さいました! 其れではお話はお部屋を取りましたので、此方へどうぞ!」と言い歩き出す 三人は威風堂々とした姿で歩く 総支配人は心の中で『門外不出の御方が三人も…………来ちゃ駄目でしょうが!』と思いつつ部屋に案内する 部屋に案内し、ソファーに座って貰うとお茶を運ばせた 三人がお席に付く頃に最高級の焙じ茶と和菓子を持って来る様に!との指示を出してたから、給仕がお茶を運び茶器を三人の前に置くと、深々とお辞儀をして退出した その儀礼に則った所作に阿賀屋と鷹司は感心していた 鷹司は「いや、素晴らしい!」と賛辞を述べた 阿賀屋も「良いホテルと謂うのは給仕のレベルも違いますな!」と言葉を贈る 紫園は「全くだ!しかもお茶も美味しい!玉露じゃない所も最高だ!」と謂う 総支配人は「本日はどの様な御要件で?」と問い掛けた 阿賀屋は「此の度は宗右衛門が来た事により、多大な被害を出してしまった事を此処に御詫び申し上げる! 今 飛鳥井宗右衛門は入院中故、友である我等がこうして謝罪行脚に出ているのである!」と謂うと鷹司も 「我等は前世から宗右衛門とは友である! 友の窮地には必ずや我等は駆け付け、宗右衛門の手助けをする! 其れが我等が務め、我等が矜持である!」と続けた 紫園は「このホテルは飛鳥井烈の母御が贔屓にしてるホテルと聞く! そんなホテルに迷惑を掛けた事を、どれだけ後悔しているか? その心中はどれだけ苛んでいるか………考えるだけで友としては遣る瀬無い想いに囚われる!」とアポを取ってまで来た要件を口にする 総支配人は「あの爆破は宗右衛門殿の所為では御座いません! あの場に宗右衛門殿がいて下さったからこそ、死者が出る事はなかった! 爆破に至るまで、総て注意を自分に引きつけ、自爆した後も戸浪さんや蔵持さんを守り、尚且つ他の者の所へ瓦礫が飛ばない様に動かれていた 彼がその場に存在してなければ………死者は出ていたかも知れません! 天井まで破壊する威力の爆破でしたのに関わらず、宗右衛門殿以外の方は軽傷でした! 報道記者の方が逃げもせずにカメラを回していて、入院なさっていますが………其方以外は軽傷で誰一人入院する程ではなかった! 我がホテルから死者が出る惨劇だけは免れた 本当に宗右衛門殿には感謝いたします! 其れで宗右衛門殿は? かなり怪我されていましたから心配していました!」と言葉にした 阿賀屋が「宗右衛門は入院中だ!だから我々が宗右衛門に代わり謝罪行脚をしておるのだ!」と答えた 「御見舞の品を病院の方へ運ばせたいと想います!少しでも早く治られる様に祈っております!」 「まぁ宗右衛門の代わりではあるが、爆破された部屋と謂うか大ホールで、修理が終わった後 観世音紫園が能を舞いましょう! その収益は修理代にして貰って構いません!」 「え?爆破の修理は保険で何とか………」 「テロや自爆を含むなら満額保険は出ないのでは?まぁ観世音紫園の舞いでどれだけの収益賄えるかは解りませんが、それでもやらないよりマシでしょう!」 「其れは…観世音様は納得なされているのですか?」 総支配人が問い掛けると紫園は 「無論、宗右衛門の為に協力出来るのであれば、幾らでも舞いますとも!」と能面みたいな顔を崩し笑う 総支配人は「有り難い申し入れです!本当に有り難う御座います!」と感謝の意を伝えた 阿賀屋は「其れでは工事の完成予定を立てられて、大体の日程が組める様になりましたら、ご連絡下さい!連絡先はほら紫園、名刺を渡されよ!」と謂うと紫園は名刺を総支配人に渡した 紫園は「工事が終わる前にはご連絡下さい! そしたら能を舞う日の予定が立てられますから!」と伝えた 鷹司は「儂は鷹司緑翠と申す者じゃ!」と名乗った 総支配人は、そんなの知ってるってば!と心の中で嘆きつつも 「はい!存じております!」と答えた 「今回は宗右衛門が関わった事により自爆され、貴殿のホテルには迷惑を掛けた! 儂としてもと友の為に一肌脱がねばならぬ! 貴殿のホテルの社員の中で、今後コイツを中心に据えて回したい!と想う人間を一ヶ月鷹司緑翠の塾に通わせるがよい! 儂の塾は容易く学べる塾ではない! 何人もの政治家や経営者等を輩出する我が塾ではあるが、今回は特別に主のホテルの者の才能を開眼させてやろう! より良い接客業とは何か? そしてこの飽和の世界で生き残る術は何か?を学べればよいと想う! まぁ儂の塾は覚悟なき者が来るなら一日で裸足で逃げ出す………とも言われておるが、儂は今 中学生位の書生を取っておる! その書生は食らいついて少しでも儂から何かを盗んでやろう!と必死に学んでおる! 中学生位の子より劣るならば……儂は主に何を育てておるのじゃ?と苦言を申すしかないが、食らいついて覚えよとする者には、最後まで教えると約束致そう!」 と、告げられ総支配人は 「え…………鷹司の塾に?誠に??」と問い掛ける程に信じられなかった 「儂は嘘は言わんよ! 10人程度の者を一ヶ月教育してやろう! それまでに個人の情報を【R&R】企業向け調査会社へ調査を依頼した後に寄越せ! 今回 主は目の前で人が自爆するのを見ただろう アレはほんの序章にもならぬ些末な1握りの出来事でしかない! 主の会社の社員からパートの者から出入り業者に至るまで、一度企業向け調査会社に依頼してはどうだ? 会社を崩壊させるのは決まって内から瓦解させられる………ってのが定番らしいからな この機会に主の会社も乗り出すべきだと想う! 気付いたら中身全て入れ替えられ乗っ取られました……なんて事は既に世界各地で起こっておる事案である この国の奴等は危機管理も回避能力も乏しいと見える………残念な事じゃ!」 総支配人は鷹司の言葉に暫し考えて 「変革期だと言う事ですね………… 其れは日頃からビシビシと伝わって来ています………当ホテルもテコ入れが必要なのだと、今回の事で痛感させられました!」と言葉にした 阿賀屋は「其れでは我々はまだやるべき事が残っておるので、此れで失礼致します! 鷹司の方へ社員を研修に行かせるならば、研修日にホテルの前で待っていれば鷹司からバスが来ますので、それに乗ればよいと伝えておきます!」と言い立ち上がった それに続いて鷹司も紫園も立ち上がると、部屋を出て行った 紫園は「肩凝るな……サクサク終わらせようぜ!」と謂う 阿賀屋と鷹司は頷いた ホテルの外に出ると阿賀屋の家のリムジンが停まっていた 三人はリムジンに乗り込みホテル・ニューグランドを後にした 総支配人は即座に部屋へと戻り、【R&R】企業向け調査会社へ依頼を掛けた 社員全員の名簿の添付ファイルを添付して、依頼を受けて貰えるならば、即座に送る様に準備に取り掛かった リムジンに乗った三人は水分補給をしつつ 阿賀屋が「次は蔵持だ、その次がトナミだな!」と予定を口にする 阿賀屋はサイダーをスーに渡すと 「どうだった?あのホテル?」と問い掛けた スーは「練度は高いし意識も高い、プロの仕事に誇り持つ良いホテルやな! が、不穏な空気は内から燻ってるからな……… オーデション、あそこでやるとか言いそうやな!」 鷹司は「内から瓦解させられて、会社も国もガラガラ崩れて気付けば瓦礫の山か………」とボヤいた 紫園は「うちもやられて崩壊したからな………」とやはりボヤいた 阿賀屋は「でもすげぇよな、宗右衛門は! 観世音家追い出されたの拾って仕事与えてたんだからな! 其れで新しい家に戻って来て、またお前の下で働いてくれてるんだろ?」と感心した風に謂う 紫園は「でも二億支払わねぇとならねぇからな!」と笑って謂うと 「あの家が二億で買えるかよ! 無形重要文化財になれる位の敷地面積と家屋だぞ!今 あれだけの土地や建物を手に入れようとしたら何億掛かるやら?ってレベルだぞ!」 「解ってるさ!最低限の吹っかけだって! だから支払うさ、我武者羅に働いて支払うさ! それが対価を求める宗右衛門への対価となるからね!」 そんな話をしていると蔵持運送株式会社へ到着した アポは取ってあるから、蔵持の駐車場へ車が停まると、三人は車から降りて社内へと入って行った 社内へ入ると阿賀屋が受付嬢に 「阿賀屋蒼佑が参ったとお伝え下され!」と謂う あまりのイケメンに受付嬢は頬を赤らめ 「伺っております!此方へどうぞ!」と言い案内する 古いけどリフォームしたビルは明るく綺麗な会社になっていた で、何故か社長室は1階の奥の小さな部屋に在った 受付嬢がノックして「阿賀屋様がお越しです!」と伝えると「入って戴いて下さい!」と返答があった 受付嬢はドアを開けると三人を招き入れた 即座に秘書がお茶を淹れに向かう 蔵持は「今日はどの様なの要件でお見えなのですか?」と問い掛けた 阿賀屋が「宗右衛門が迷惑を掛けた!それ故、謝罪行脚へ出向いておるのじゃよ!」と伝えた 蔵持は「いえいえ!私の方が宗右衛門を傷付けてしまった…………謝罪すべきは私の方です!」と返した 鷹司は「そんな事など宗右衛門は総て納得している事だ!我等は宗右衛門が迷惑を掛けた所へ謝罪をする為に動いておるのだ!」と伝えた 紫園も「善之助さんは【R&R】のビルの敷地内にビルを建てられるとか? 竣工式には観世音家を上げて竣工式典の為の舞を舞うと約束致そう! 其れが友への我等の思いであるからな!」と約束を口にした 蔵持は笑顔を浮かべて「其れは素晴らしい!楽しみですな!」と嬉しそうに謂う 阿賀屋は「其れでは我等はこの近くの総合病院へ今枝を見守った後に、トナミへ謝罪へ向かうとする!」と告げ立ち上がった 蔵持も立ちあがると 「御三方の謝罪、蔵持善之助、しかとお受け致しました!」と言い深々と頭を下げた 阿賀屋は「ならな、善ちゃん、また飲もうな!」と言い蔵持の会社を後にした 再び車へと戻ると車の中はフルーツの匂いが充満していた 車は総合病院へと向かい、病院の駐車場に停まると「今枝様は3階の外科の患者の入ってる手前の病室に入られてます!」と伝えた 三人は病院の面会受け付けに申し込み名を書くと、面会の申請は通っていて直ぐに病棟の方のエレベーターへと向かった 3階のボタンを押して、3階で停まるとエレベーターを降りた そして今枝の病室を訪ねた 大部屋で今枝は入院していた ネームプレートで確かめて閉められたカーテンを開けて「今枝、大丈夫か?」と声を掛けた 今枝はノートPCを開き仕事をしていた顔を上げて、三人を見て驚いた顔をして 「どうなさったのですか?」と問い掛けた 阿賀屋 鷹司 紫園 この三名の見舞いは………大層過ぎて………顔が引き攣る 阿賀屋は「烈は入院中故、烈の変わりに見舞いに参った!ほら御見舞のフルーツじゃ!」と言い見舞いのフルーツ盛りをテーブルに置いた 今枝は「有り難う御座います!」と礼を言った 鷹司は「主が最後まで撮影をしたお陰で、総てが明るみに出て人の世は恐怖に陥った まぁ平和ボケしていたから丁度いいがな!」とボヤく 紫園は「今枝、早く治せ!ホテル・ニューグランドでリフォーム代肩代わりの能をやる事になった!それの取材をするのだ!今枝 私はそれはそれは友の為に頑張るので、写真集出しちゃってくれても構いませんよ! 貴方を痛い目に遭わせてしまったので、其処までせねば友に顔向けも出来はせぬ!」と言葉にした 今枝は「其れはとても心惹かれるお誘いです! 早く怪我を治して頑張りたいと想います!」と笑って答えた 鷹司は「今枝、またガード下で飲もう!」と笑顔で誘い文句を言う 「ええ、またガード下でお会いしましょう!」 阿賀屋は「大事にな今枝!儂らは今 宗右衛門に成り代わり謝罪行脚をしておる! 次はトナミへ逝かねばならぬ故、此処で失礼致す!」と言い病室を後にした 三人が帰り今枝は、はぁ~と息を吐き出した 門外不出がそう簡単に御見舞に来ないで欲しいものだ………… 三人には隠れて警護の者が目を離さずに影の様にいるのだ そんな者達の視線も浴びての謝罪なんて居た堪れないって………と想う あ~ 正装して来ないでくれないか……… 病室の皆からの視線が痛いじゃないか………… そんな今枝の想いも知らぬ三人は 「今枝元気そうで良かったな!」と御見舞を完遂出来てご機嫌だった 次はトナミ海運へと向かう 駐車場に入れないから、会社の近くに車を停めて降りる そして会社の正面玄関へ向かい受付嬢へ来訪を告げるボタンを押す 『はい、トナミ海運です アポは取って御座いますか?』とマイクを通して問われる 「阿賀屋蒼佑 鷹司緑翠 観世音紫園が参ったとお伝え下さい!」 と返すとカチッと解除されドアが開いた 三人が入ると即座に施錠される 完璧なセキュリティが敷かれていた 受付嬢は出入り口までお迎えにあがり 「ようこそトナミ海運へ! 社長から連絡は入っております! 今ドアが空いてるエレベーターへどうぞ!」 もう一人の受付嬢がエレベーターのドアを開けていた 三人は開かれているエレベーターに乗り込むと 受付嬢はお辞儀をしてそれを見送った 鷹司は「宗右衛門らしいセキュリティに、宗右衛門らしい教育であるな!」と呟いた 学友の為に動いた形跡がこんなカタチになり残っているのだ 最上階へ到着すると秘書の田代が出迎えてくれた 「蒼佑さん、どうされたんです? シオ君も鷹司君も……」と少し躊躇して問い掛ける 阿賀屋は「我等は宗右衛門の変わりに謝罪行脚を、しておるのじゃよ!」と答えた 社長室へ通されると戸浪が三人をソファーに座り待っていた 戸浪は正装した三人の姿を目にして 「どうされたのです?」とやはり問い掛けた 三人はソファーに座ると 阿賀屋が「我等は入院中の宗右衛門に変わり、被害に遭われた方々に謝罪行脚をしているのじゃよ!若旦那も被害に遭われた故、謝罪の意を込めて来ておるのじゃよ!」と答えた 戸浪は「いえいえ、私共が何の警戒もせずに記者会見を開いてしまったんです あの場に烈君が来てくへねば、我等は死していたかも知れなかった お詫びを言うのは此方の方です! 実際にあの爆破の威力は小型爆弾並みの威力だったと実況見分をしていた時に鑑識の方々に告げられました! あの場に烈君が来てくれねば、我々は相当接近された後の自爆ならば手足が吹き飛んでても可笑しくないと言われました! 私と善之助さんが無傷だったのは烈君が護ってくれたからです! 我等が烈君に詫びに逝かねばならぬのですよ!」と内心を吐露した 鷹司は「飛鳥井宗右衛門と謂う御仁は、総て納得した上で行動するのじゃよ! じゃから主等が助かって胸を撫で下ろしておるのは宗右衛門じゃ!」と伝えた 紫園も「其れが宗右衛門だから気になされるな! それでも気になるならば、オーデションとかで協賛スポンサーになられればよいだけの事! そんなに重く受け止められるな!」と告げた 戸浪は「有り難う御座います! 少しだけですが気が楽になりました!」と胸の内を話す 阿賀屋は立ち上がると 「其れでは我等は此れで失礼する! 宗右衛門の変わりに会社に顔を出して社員を見回らねばならぬからな!」と告げた 鷹司も紫園も立ち上がり戸浪に会釈して社長室を出る 田代がエレベーターの前までお見送りをすると 阿賀屋は「近い内に社員の調査をするがよい! 今後は定期的に調査をする様にせねば、内から瓦解させられる事になると謂う事だけお伝え致す!」と謂うとエレベーターに乗り込み、去っていった 田代は慌てて社長の元へ行き、その事を伝えた 戸浪は田代に【R&R】企業向け調査会社への依頼を頼んだ トナミを後にした阿賀屋達は飛鳥井建設へと向かった 飛鳥井建設の受付嬢には既に伝達されていて、三人が到着するや否や、栗田がお出迎えに行き社内を案内した 栗田は正装をして威風堂々とした男達を案内しつつ………プロの【眼】で車内を見て歩くから戦々恐々としていた 最近の広報宣伝部は地下の講堂を良く使う事があり、下へ下りる途中 広報宣伝部の社員と出会すと阿賀屋は 「圭佑、お仕事中か?」と問い掛けた エレベーターに乗ろうと出向いた紫峰圭佑は足を止めて 「蒼佑!どうしたんだよ?」と楽しそうに問いかけた 阿賀屋は「宗右衛門が入院中故、我等が友に変わり謝罪行脚と会社の視察に出向いてるのさ!」と答える 紫峰は「其れでそんな大層な正装をなさってるのか!」と納得した 一色は「此方は何方なんです?」と紫峰に問い掛けた 紫峰は一色に小声で「此方は阿賀屋家当主をなさってる阿賀屋蒼佑氏 そしてその横が鷹司緑翠氏、政治塾をなさってる方だ! そしてもう一人が観世音紫園、能楽師をなさってる方だ! この方々は本来ならば門外不出の方々だ! 其れが友の為にこうして出てらっしゃるのだ!」と伝えた 一色は阿賀屋と聞き芸能界に身を置くならば必ずや、其方に筋を通さねばならぬ………芸能界の神とも言える存在だと聞いた事があった まぁ本当に存在するのか? さえ、解らぬ名前だけ知れ渡る存在 そう思って来たのに………本当に存在して尚且つ今目の前に立っている……… 何だか狐に摘まれた気分だった が、気を取り直し 「本部長、CMの打ち合わせに行かねばなりません!」と急がせた 紫峰は「ならな、蒼佑、シオ君 緑翠!また今度!」と言い立ち去った 栗田は「紫峰とお知り合いなのですか?」と問い掛けた 阿賀屋は「飲み仲間だ!アイツは烈の駒だろ? 神威が連れて来たのが切っ掛けで一緒に飲んでる!栗田も今度一緒に飲まないか?」と声を掛けた 栗田は嬉しそうに笑い 「それは楽しみだ!是非お声掛けて下さい!」と言い名刺を阿賀屋に渡した 「それは親しい人に渡す方の名刺ですので、ラインも乗せてあるのて是非!」と謂う 阿賀屋は喜び「それは嬉しい!儂等は社交辞令は言わぬからな! 社交辞令を言うならば、それなりの席を用意させて其処で受ける事にしてる!」と返した 栗田は仕事モードに戻ると、社内を案内して回った そして案内が終わると、秘書に連絡をして最上階へと行くエレベーターを回して貰い、三人を連れて行き、社長室のドアをノックした 榊原自らドアを開け、皆を招き入れる 秘書はお茶を淹れに行き、三人の前にお茶を置いた 榊原は「どうでした?我が社は?」と問い掛けた すると阿賀屋が「悪くはない!」と答えた が、鷹司が「が、良くもない!」と答えた 榊原は眉を顰め「其れはどう言う事ですか?」と問い掛けた 鷹司は「エレベーターで上がって来たのじゃが、喫煙室に行かずに廊下の隅で煙草をふかしている者、何やらキョロキョロと隙を狙っている者 宗右衛門が見たならば嘆くレベルだぜ真贋!」と謂う 紫園は「ルー!」と謂うとルーは携帯を取り出して「PC貸して下さい!」と言った 榊原が使ってないPCを渡すと、ルーはPCを立ち上げて携帯とPCを繋いで映像を見せた 紫園は「此れはルーが、我らが来る前に潜んでて映像を映したモノだ!」と伝えた 確かに廊下の隅で煙草を吸ってたり、キョロキョロと辺りを伺う者………これ幸いと仕事を押し付ける者等などが映し出されていた 阿賀屋は「此れで良い会社とは云えぬからな、悪くはないが良くもないとしか答えられはせぬ!」と謂う 榊原は「宗右衛門が回らぬと……こんなに堕落しますか!」とボヤいた 阿賀屋は「鬼の居ぬ間に………と謂う可愛いレベルならば見過ごしてやったわ! が、この件は烈の兄達が動いてるんだろ? まぁ俺等が出張って見回りに来るまでも無かったと痛感した 流石としか言えぬな我が友は!」と言葉にした 康太は「この件は翔達が調べている……と謂うのか?」と問い掛けた 「あぁ、社内の至る所にカメラは潜んでいた 其れ等は烈のPCへ送られてるんだろ?」 と阿賀屋が言うと鷹司が 「やはり宗右衛門が直に鍛え上げてる兄達は、練度が違うのじゃな! パッと見は解らぬよ、実際我は解らなかった が、蒼佑とシオが其れを即座に察して、その場を後にしたのだから、ルーに頼んだ映像など等の昔に熟知しておると謂う事じゃ!」と説明した 紫園は「俺は演者だから何処にカメラがあるか? 即座に解る………がそんな生活など皆無な人間には解らぬであろう! 後、カメラがあるのは社内だけではない! この会社を中心に半径1キロメートル四方は宗右衛門の眼の範囲内だと申そう! あの眼から逃れるのは至難の業…… 後 カメラも会社の重要起点だけに留まらず、その数ざっと見ただけでも100は超えておる! 用心深い宗右衛門らしくて笑っちまうぜ! その教えを受けている飛鳥井の兄弟は一筋縄では逝かぬ教育を日々叩き込まれてるのだから……… 末は伊織を超すだろうて! 何故ならば伊織は一人だけど、烈の兄達は5人もいるんだから、数で負けると謂う意味でね!」と笑って言った 榊原は「まぁ日々我が子は宗右衛門に鍛え上げられてますけどね、私だとて負けはしません! 愛する妻の為に、我が子達の為に、日々闘っていますからね!」と挑発的に謂う 其処へ西村がお茶を運んで来て、皆の前に置いた そしてサイダーをテーブルに三本置くと、阿賀屋のポケットから飛び出してサイダーを飲み始めた 阿賀屋は「西村、最近恋の予感ねぇのかよ? この前、歌舞伎座近くのホテルから出て唐沢と仲良く小走りでタクシーに乗り込んだやんか! あの後 交際に発展しなかったのかよ?」と問い掛けた 「あ~そんな浮ついた話じゃない…… あの日、お前が見かけた時、あの場にはもう二人いたんだよ! あの日………私は烈と神威に相談に乗って貰おうと思って出向いた 烈は唐沢との話があるからとホテルに部屋を取っているから、悪いけどその部屋まで来てくれる? と言われたから其処へ行って話を聞いて貰っていた………… が、ホテルで話をしている最中に、警察から連絡が入ったんだ……… 娘が子供を道連れにして、自殺未遂を起こしたと連絡が入った だから唐沢が付き添ってくれ先に病院へ送ってくれる事になったから一緒にタクシーに乗り送って貰った その後、烈と神威が来てくれたんだ………」 西村は疲れ切った顔を見せて呟いた その時、初めて西村は気丈な姿を綻ばせ……素の顔を垣間見せた 「一番下の娘が………旦那が浮気したとかで……… ずっと揉めている話はしていた ずっと話し合いをしていたが、その間も夫や夫の母親からは、浮気をしたのは妻であるお前が未熟だったから、お前の所為だと……かなり責められ罵声を浴びて追い詰められていた………… 娘はずっと自分を責めていた そして………プッっと糸が切れた様に………突然我が子の首を絞め道連れにして心中未遂おこしたと連絡が入りった…… 発見されたのは、息を吹き返した生後2か月の赤ん坊が泣き止まず………虐待を疑われ部屋を訪ねたけど、ドアが開けられず、不審に思った警察が管理人を呼び寄せドアを開けて部屋に入ったら……… 娘が我が子を道びれに自殺未遂を起こしていた……… 発見され時に既に娘は意識はなく………首を絞められた赤子は土気色した顔で泣いていたから、即座に病院に運ばれたんだよ 命は取り留めたが………娘はケアが必要となった まぁ私が養うのは簡単だがな、そんな簡単な話じゃねぇから烈に相談していたんだよ! 離婚するにしても、養育費も支払う気もなく、只々娘の所為と罵られ苛んでいたから……… 私も許せなくて、日々弱っている娘の力になりたくて………相談していた が、其れよりも早く娘の限界が来た………… 烈も神威も駆け付けて来てくれた お前が見た日は其処へ行く所だったんだよ!」 康太は驚いた顔をして 「…娘の傍にいなくて良いのかよ?」と問い掛けた 西村は涙を流して 「傍に行くな!と言われている…………だから逝けない………逝けないから私は仕事をするしかない!」と答えた 「烈が、言ったのか?」 西村は頷いた 「お前は自分が殺されそうになったとしても、絶対に屈しない! そんな力を持った女だよ!お前は! だけど我が子の痛みは耐えられない………少し過保護なまま育てた…………引き離されて当たり前か? お前の娘は母親なんだよ、母なればそんなに弱くちゃ我が子は育てられねぇよ! まぁそうは言っても、男に何の責任もなしで………なんて許されねぇよな? まぁ烈が出てるなら、動いてキッチリとカタは付けるだろうさ!」 西村は涙を拭うと姿勢を正して、何時もの強気の西村になり 「では、私は失礼します!」と出て行った 康太はそれを見送り 「んな事になってたなんてな………」と呟いた 阿賀屋は「済まなかった真贋………俺が余分な事を言ったから………」と謝罪した 康太は三人を見ると「気にするな、でも良い機会だから西村の事を話をしてやんよ!」と言い話し始めた 「アイツの人生は常に苦悩と悲しみと絶望に染まっていた……… 西村沙織はミス・ユニバースの世界大会の優勝者となる程の才媛だ! その経歴に一片の穢もない乙女だった が、最初の結婚から躓いた 嫉妬深い男は西村を閉じ込めて飼い殺しにした 男の両親が息子の異常な言動を見兼ねて、会社から連絡が入り、様子を確かめる為に部屋を訪ねて強引に部屋に押し入った時に嫁が監禁されているの気付き、救急車と警察に連絡を入れた 食事も与えられず、監禁されていた西村は……… 十日間生死の境を彷徨い、助けられ後に離婚した それが1度目の結婚だ 離婚した時腹に子供がいた 其れが第一子となる長女だ その後、会社に入り社会人生活を送り上司と結婚 最初は普通に回っていた生活だが………嫉妬深い旦那は次第に暴力を振るうようになった そして肋骨を骨折、第一子も虐待されて腕の骨を折る暴力を受けていた 男の親が膨大な慰謝料を支払い、男を田舎へ連れ戻し離婚させた その時、離婚後に妊娠が発覚 その子を産んで以来自暴自棄になって私生活も荒れていた時、竜ヶ崎斎王に拾われ身の立つ様に資格を取らせ教育をした 教育してる間に講師の男と結婚した 斎王も認める男だったが、ケチな男で連れ子に掛けるお金は無いと我が子を憂さ晴らしの様に虐待していたから離婚、その時3番目の子供が腹にいたが離婚した 斎王は責任を感じてオレの秘書にすべく教育しまくり、見事オレの秘書になった 西村入れてオレは三人の秘書を貰い受けた が、他のヤツは皆退職して、今は西村しか残っちゃいねぇ……… 西村は女手一つで娘を育てた 後に西村の子は如月三姉妹と有名になり、芸能界デビューした事もある程に美人揃いの姉妹だ 因みに、長女と次女も離婚して、相談に乗った烈によりイギリスのヨニー@イギリスに出稼ぎに行かせたそうだ! 西村が娘二人がイギリスへ行った後に話してくれた………… そして何故長女と次女をイギリスへ出したかと謂うと、海外でなら如月三姉妹の容姿など取るに足らない存在にしかならないから………と説明されたと言ってた 実際 イギリスに行き長女と次女は生き生きと仕事してると聞いた そして三女は乳飲み子がいるから、身動き取れず追い詰められて行ってたんだな……… まだ姉達が倭の国にいたならば助けを求められたかも知れないけどな…………」と説明した 阿賀屋は「壮絶すぎる………言葉なんてない!」と呟いた 「まぁ西村も我が身ならば殺されても自我を貫き逝けるならば満足と逝くだろうけど、娘となると違うからな………アイツは我が子には少し甘くて親バカだからな、この機会に離したろうな……… オレは烈からは何一つ聞いてねぇけど、西村や菩提寺の住職から色々と話は聞いてるから、状況は把握していた あ、そして西村の長女と次女の子供は、菩提寺に住んでるぜ! 宗右衛門に引き取られ今は心のケアの為に、安らかに過ごしていると住職が言っていた まぁ子供は一番の被害者だからな! そして西村の娘も美し過ぎるから母親と同じ理由で、監禁されたり、お前が俺の人生を狂わせた!と逆恨みされたり大変な思いしてたからな……… そして何の皮肉か、西村の娘の子供は全員男の子だ………まぁイケメンは引き継いでいるが、烈が駒にすへく教育する気なのかは定かじゃねぇが、ケチな烈が無償では動かねぇからな………… 行く行くは使える存在として、何処かで使う気で日々学ばせて磨いているんだろう!」 鷹司は「ならば我が離婚に強い弁護士を貸すと致そう!神威と協議させて絞れるモノは搾り取り離婚させる事に協力致そう!」と約束を口にした 阿賀屋は「ならば俺はクソ男とその両親を調べ上げて、窮地に追いやってやるとする!」と約束する 紫園は「俺はコネないから協力出来そうもないやんか!」とボヤいた 榊原は「その思いだけで烈は喜びますとも!」と、その優しさに感謝を込めて口にした 紫園は「伊織、今夜は冷しゃぶしよう!」とワクワク謂う 「ならばお肉を買いに行かねばなりませんね!」 「「「お肉!!!」」」と三人は喜んだ こうして阿賀屋、鷹司、紫園の謝罪行脚は幕を閉じた この三人の行動が密やかなに騒がれ………大変な事態を巻き起こしているのは、本人達は何も知らない!

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