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第49話 雲外蒼天 ❷

烈は顔色一つ変える事なく 「そうね、多少の妨害なら有るとは思ったていたから想定内よ………でもさ妨害して来たりしたら逆効果なの解らないから愚かだと想うわよ!」と答えた 「妨害来るの解っていたのか? それと逆効果って?何だよ?」 「それはボクが放った終焉の章は、一族にだけしか効果の無い呪文じゃないからよ! 破滅の序章ならば、その一族がジワジワと長年月掛けて廃れて逝くだけだけど、終焉の章は違う! 関わりのある者、今も狗神の穢れを受けて敵意を向けて潰そうとする者等には、総て粛清対象として後を追いかけて発動して逝く少し厄介な呪文なのよ! 本当に一族郎党根絶やしにする為に発動した呪文だからね、その一族と縁があると認めた瞬間、狗神の穢れを察知した瞬間 その者も一族の者として終焉へ向かう事になるのよ! ボクに妨害を仕掛けて来る奴なんて、鴻池の翁の息が掛かってます!甘い汁一杯吸わせて貰いました! なんて言ってるのと同じなのよ! だから捨てて置いても、ジワジワ終焉へと近付いて逝くのだから捨ててあるのよ!」 「………んとに容赦がねぇ奴だな………」 「容赦してたら、此方が息の根止められるわよ! 後が無い奴等は弱みを見せて、何もしませんアピールして油断した瞬間に喉元掻き切って反撃に出て逆襲しようとするからね! 堕ちるなら諸共を狙って来るのが定石なのよ! そんな奴等を腐る程に見て来たから、トドメを刺すならば確実に息の根を止めてやる!と決めてるのよ!」 阿賀屋は諦めた顔をして 「其れが宗右衛門だから仕方がねぇな………」と言った 「明日 朝イチで買い物に行かなきゃ! グループラインで水着買ったか?皆に聞かなきゃ!」 烈はそう言い【沖縄グループ】と謂うグループを作り、沖縄に行く者達の連絡ツールとして利用していた 「皆 水着買った? まだなら明日の朝 ボクは水着を買いに行くから一緒に行きましょう!」と送信した 澄香には個別に「明日 水着買いに行くわよ!お迎えに行くから弥勒も一緒に待っててね!」と伝えた 澄香は即座に『解りました!楽しみです!』と返した  そして着々と沖縄へ逝く準備に取り掛かった 烈は凛に「沖縄から還ったらお盆に一族集めて集会ね!一族に招集掛けさせなきゃね!」と言った 竜胆は「其れは次代の総代にやらせれば良いだろ!総代の引き継ぎは着実にされてるんだろ?」と謂う 「其れはもぉ着実に引き継ぎされてるわよ! 一族の中では次代が精力的過ぎて怖い………とまで謂わしめてる程にね!」 「なら流兄さんと話し合い進めるとする!」 「頼むわね!お盆の15日に一族集会をするから、其れまでに鴉に報告させてね!」 「解っとるわ!一族を纏めるのはお前だが、喝を入れるのは俺の死命だからな! 弛みも緩みも破滅の第一歩だと痛い程に思い知ったからな!」 何度も何度も転生して、その都度思い知る一族の舵取りだった 緩めばトコトン緩み謂う事なんて聞かなくなる 締め付ければ不平不満が爆発して、飛鳥井から出て行く奴が暴走して大変な事になった事もある 宗右衛門はそれを実践で竜胆に知らせたのだ 飛鳥井が崩壊する危機を突き付けて、教育したのだ 半数以上一族を失ったとしても、宗右衛門は笑い飛ばし、失った分の一族は入れ替えして果てへと導いて来たのだ 何度も何度も竜胆にそれを知ら示め教育し、竜胆と謂う存在に思い知らせて来たのだ 竜胆として後何回転生出来るかは解らないが、竜胆は宗右衛門に叩き込まれた手腕を思う存分に奮い1000年続く果てへと逝くつもりだった 椋はそんな二人の絶対の信頼を目にして、自分も其処へ逝かねばならないのだと実感する 椋は今 宗右衛門としての教育を受けていた 宗右衛門は星詠みも死命の一つとして、占星術を教えていた 東矢は元々が呪術に長けて、呪う相手を調べる為に式神は使えるし、相手の運気や行動を詠む様に教えを受けて来た過去があるから、宗右衛門になるには相応しい存在だと思っていた 一番は阿吽の片割れを身に持つ存在だが、東矢は呪う為に教えを受けて来た能力があり、今も其れは体に刻まれていた その呪いは基本呪いだが、転じて唱えれば祝いとなる事を教えた 呪文は一つではない 色んな用途で唱えられると教えた 椋は元々呪文に長けていたから、其れ等を吸収して行っていた 東矢も「僕は次代の宗右衛門として甘く見られない為に、やる時は徹底的に頑張りますとも!」と爽やかな笑みを浮かべる この子の性格はどうやら少しネジ曲がっているのかも………とは思うが宗右衛門をやるならば、もっと悪どくネジ曲がっても大丈夫だと想うのだった 翌朝早く 烈は弥勒の家を尋ねた 澄香はラインを受け取っていたから、ドアチャイムを鳴らすと直ぐにドアが開いた 澄香は綺麗に化粧して笑顔で迎えてくれた その顔はやはり京香に似ていて、姉妹なのだと想うのだった 「すみちゃん支度出来てる?」 澄香は笑顔で「はい!出来てます!」と言い弥勒を引っ張って外へと出た そしてリック・村上が運転するステップワゴンに乗り込むと竜馬は座席を倒して楽に座れる様にしてやった 烈は「お腹 苦しくない?」と聞く 澄香は笑って「大丈夫よ!」と答える 烈は沖縄にはプールあるから、そこで泳ぐと良いと話す 楽しく話してると【花菱百貨店 横浜本店】に到着した 烈は水着売り場のコーナーへ向かい水着を探す その合間に竜馬は受け付けに 「マタニティ水着を頼んでいた者です!」と申し出ると受付嬢は「直ぐに専門スタッフをお呼びします!」と言ってくれた 暫く待つと専門スタッフがやって来た 烈は「すみちゃん、スタッフの人と水着選んでおいでよ!妥協せず楽に着れるの選ぶのよ!」と謂う 澄香は「はい!」と言いスタッフと共にマタニティの水着を選びに行った その間に竜馬は「弥勒、赤褌じゃ泳げないから水着選びなよ!」と謂う 弥勒は「俺は赤褌で泳がねぇよ!」とボヤく 「なら水着あるの?」 「水着なくても泳げる! ズボンで泳いで、後で着替えれば大丈夫やし、水着要らんやんか!」 「…………水着、選ばないと飛行機で吊るされて沖縄行きだよ!烈なら絶対にそうするよ!」 「…………それは嫌だから選ぶよ!」 弥勒は水着を選び始めた 竜馬に見繕って貰い水着を選んだ 澄香も水着を選んで来ると、竜馬は弥勒の水着と澄香の水着を受け取り支払いへと向かった 澄香は「え?……お支払いは私で致します!」と謂う 烈は「出産の準備始めたんでしょ? 一希のベビー用品があるから、すみちゃん生まれる頃には一希使わないし綺麗なのあげるわね! それと退院のお包みもプレゼントするわよ! ママがね今 暇があると刺繍して作ってくれてるから、出来上がるのは出産の頃だから!」と話す 澄香は烈の嬉しい言葉に涙した 支払いを済ませた竜馬が戻って来て、紙袋を弥勒に渡した 「何か食べてから帰る?烈」と竜馬が聞く 「そうね、朝食べずに来てるから、何か食べて帰りましょう!」 そう言い車に乗り込み近場のレストランへ向かう 車の中で烈は澄香に御守りを渡した 「この御守りは肌見放さず着けてるのよ! それとこの鏡を服帯の中に必ず入れておきなさい!」と言い弥勒に其れを渡した 弥勒はそれを受け取り確かめた そして驚愕の瞳を烈に向けた 「烈………こんな事までしてくれるのか?」と呟いた 澄香は「これは何ですの?貴方?」と問い掛けた 「此れは妊婦用の御守りだ! 服帯の中へ忍ばせておくのは、呪いや災いを祓ってくれる御守りで、肌見放さず着ける方は身代わりの御守りだ! お前がどんな災いが降り掛かろうとも、そのお守りを持てば身代わりで受けてくれるって奴だ 此れを作るのは大変な時間と大変な労力を要する 今 この時代に作れる者は少ない…………」 そんなモノを………と澄香は泣きながら礼を言った 「弥勒ゅ、貴方これを作って売り出しなさいよ! 菩提寺の住職は作ってくれるなら喜んで売り出す!と約束してくれてるわよ! 弟子でも取って教えなさいよ!」 「弟子か、それ良いな!」 「まぁ弟子を取って教えるのは時間が掛かるから、倅に教えるのが一番ね! 通いで週五で手を打つから、そちらで生活を始めなさいよ! そして倅にそれを教えて売り出しなさい!」 「烈………倅は戻っても良いのか?」 「母の手助けをしたい!と申し出たから、獅童がならばネットで課題を片付け、週末は泊まりで学びに来なさい! その代わり書生で居続けたいのならば、授業はアーカイブを残して置くので、それを見ながら家で片付けなさい!と言われて、食らいついても頑張ると言ったから通いで良くなったのよ! だから家に戻ったら学校に通わせなさい! そして週末には鷹司にも通わせ両親の手助けをさせつつ、護符と妊婦の身代わり御守りなど作らせなさい! そして家族で今度は赤ちゃんを育てて行きなさい まぁその前に沖縄ね! そして弥勒ゅは色んな服を今後は着なさいよ 少しカジュアルな親父になりなさい! 仕事と私生活、オンとオフを切り替えなきゃね!」 「頑張るよ………でもカジュアルはハードル高いかもな………俺はファッションとは程遠い奴だからな………」 「そーちゃんやカズが頑張ってくれるし、メンバーも今から弥勒に着せる服考えてくれてるわよ」 「え?……何故に?」 「何時も代わり映えしない服ばかりだからよ! 少しは自分の姿も考えつつ、ニーズに合った服を着なさいよ! ボクはジャージ好きだけど、散歩以外で外に出る時はニーズに合った服を着るわよ! 弥勒ゅも作業する時は作務衣で、普段はTシャツとジーパンでも良いけど、外出する時は行く場に合わせて服を着なさいよ! それと一張羅のスーツは新調しなさいよ! デービッドが誕生日に合わせてプレゼントしてくれるわよ!」 「ハードル高いし、んな高いのプレゼントしなくて良いって!悪いってそんなのは!」 「まぁ仲間じゃない!仲間からのプレゼントは受け取っておきなさいよ!」 仲間………仲間として受け入れられていると想うと胸が熱くなった レストランの駐車場に車を停めると、車から降りてレストランへと入った 其処で軽く食事をする事にした 「弥勒ゅ、好きなの食べなさい! すみちゃんもね、好きなの頼みなさい!」 竜馬がせっせと注文コードを携帯で読み、ドリンクバーを4人分頼む、そして烈と自分の分の注文をすると澄香に携帯を渡した 弥勒は結構お腹空いてたのか、あ、コレ!コレも!と澄香に注文させていた 澄香もランチを頼みサラダを頼み竜馬に携帯を返した 竜馬は「此れて良いの?まぁ後で追加すれば良いか!」と言い注文を完了させた 暫く待つと注文して料理が運ばれて食べ始めた 弥勒は烈には饒舌に楽しそうに話すのを見て、澄香も笑顔で話していた 烈は「その笑顔、ママと同じね!」と謂うと竜馬も「あー!本当に良く似てるね!京香の姉さんなんだよね!」と謂う 「そうよ、すみちゃんが長女でママが次女、モモちゃんが三女の真壁三姉妹なのよ! モモちゃんは少しだけ顔付き違うのよね、まぁ生きて来た過程が違うから仕方ないけどね!」 「あー!モモさんは巫女って顔だもんね! 巫女の衣装着せたら似合うもんね!」 「一応 姫巫女だった人だからね! でも姫巫女辞めたから、良く笑う様になったのよね、笑う顔は良く似てるわよ!」 「言われて見れば、ソックリだね!」 「今度 菩提寺にママ呼んであげるから、今後は暇があれば三人で茶でも飲みつつ、姉妹で助け合って生きて行ってね!」 「烈………私は今 菩提寺の近くに住み、菩提寺で働く様になり桃香とも合う様になりました! 姉妹なのに………離れて暮らしていましたが、やはり逢えば懐かしく姉妹なのだと想いました 姉妹でいられる今は………凄く幸せです」 「もっと幸せになるのよ!すみちゃん ママも今後は菩提寺に顔を出す機会を増やしてあげるから、保養施設で茶でも啜れば良いのよ!」 「有り難う烈……」 そんな他愛もない話をして料理を食べて、家まで弥勒を送って帰ると昼を過ぎていた 神野達はオフィスビルでメンバーと書類選考をしていた 公募の日は毎日オフィスビルに通い、書類選考をする、そんな日々を過ごした こうして7月25日から始まった公募は7月31日に締め切りを迎えた 応募総数15000を越していた 終了の時間を迎え受け付けを停止させた 書類選考のプロフィールと添付の動画を見て、100名まで絞り込んでいた そして最終日を迎え100名からの選考は、8月1日から沖縄入りして、選考する事になっていた 烈達、【R&R】のメンバーと竜馬は31日に沖縄へ旅立った 時間差で翔達も沖縄へと向かった 8月1日 早朝の便で一陽と聡一郎と悠太とで幼児の姿をした響と奏と一希を連れて沖縄へ向かった 慎一は和希と和真と永遠と有栖を連れて栗栖と共に沖縄へと向かった 康太と榊原は真矢と清四郎、蔵持夫妻と神威、義泰と志津子と共に沖縄へ向かい 瑛太と京香と玲香は美緒と昭一郎と兵藤と共に沖縄入りした 御影と一生と洋子と隼人は、最終便で沖縄へと向かう アレから隼人と洋子はやっと飛鳥井の家へ帰って良いと許可が出た が、目眩ましの為に病院横のマンションの一部屋を購入させ、其処へ住んでる体は取った 隼人は大枚はたいてマンションを買う事になったのだった だが其れでも飛鳥井の家から離れるよりはマシだと泣いた そして沖縄へも一緒に行かせて貰えて喜んでいた が、あくまでも家族として、だった 神野達は烈達より前に沖縄入りしていた 阿賀屋と鷹司と紫園、そして鷹司緑道夫妻と獅童の妻も烈を追って沖縄入りしていた ホテルとした屋敷の大広間に、テーブルと椅子とPCを置いて最終選考を始めた ホテルのリビングには部屋割りした紙を張り 沖縄に来た人は必ずやそれを見て、部屋へゴーして荷物を置いて後は好きにする!と書いて鍵と共に置いておいた もう一つの屋敷の鍵も夫妻で来てる者はそちらへゴーとして鍵と部屋番と地図を置いておいた そんなに距離はなく歩いていけるから、行き来は出来る 清隆・玲香 瑛太・京香 真矢・清四郎 蔵持夫妻 榊原・康太 弥勒・澄香 聡一郎・悠太  鷹司緑道夫妻 獅童夫妻 一生は力哉がまだ治療中で病院だから沖縄には単身で行くと話をしていた アレから力哉は素直になり、何でも本音で話せていた やはり何処か………線引きしてる部分があったのだが、今はそれも無くなっていた 力哉は一生に「ちゃんと子供達の面倒を見て、 怪我なんかさせちゃ駄目だよ!」と注意して念を押して送り出した 一生は「あぁ、解ってる!沖縄に行ってる間はラインはするし、帰ったらすぐに会いに来るから!」と謂うと力哉は嬉しそうに笑い 「沖縄の写真一杯撮って来てね!」と言った で、一生は単身者用の部屋に泊まる事になり 熱い夜を送るであろう夫婦には声漏れ音漏れを考慮して部屋を決めてあった 烈達は30部屋あるホテルを占拠するつもりで、1階の一番大きな部屋を烈と竜馬が取った 後は1階の部屋は、神野と小鳥遊が一部屋 相賀 須賀 柘植は単身用の部屋を一部屋ずつ取った それでもまだ部屋は空いている この屋敷は30部屋あるが1階はそんなに部屋はなかった 入って直ぐには大きなホールがあり、豪華なシャンデリアがお出迎えしてくれ、玄関脇にシューズボックスがある ホールの横には左右に階段があり、物凄くお洒落で高貴な屋敷の作りだった まるでオブライエン家並みのお屋敷だった そして広間の横には、リビングに匹敵する部屋がある その反対に大きな食堂 そして部屋がある 単身用の部屋が5部屋と客用の大きな部屋が一つ、そしてダブルベッドの有る部屋が一つ 大きな部屋に竜馬と烈が入り、ダブルベッドの部屋は神野と小鳥遊を放り込んだ 単身用に須賀 柘植 相賀が部屋を決めた そして2階にメンバーや翔達兄弟 一生 慎一 一陽 瑛智 柚 和希と和真と永遠が入る事にした 慎一の部屋は双子と一希の面倒を見て貰う為に大きい部屋を取った ツインベットの部屋には2人ずつシェアして入ると、まだまだ部屋は空いていた スタッフ達も空いた部屋に入ると決め荷物を置いて準備を始めた 兄達は掃除を始めた そして水着に着替えて慎一達と海へと向かった ちっこい子達はプールで泳いでいた 烈達は最終選考に余念がなく、煮詰まると海に出かけ、烈はプールで泳いでいた そして義泰に手当を受けて薬を飲み、再び書類選考を始める 榊原は慎一と一陽と共に買い出しに出向いた 軍資金は皆から会費と称して五万円ずつ徴収していた 烈は夕飯はもっと豪華にならないかな?とRODEOÑとStrong Hiにラインした 「ボクね今 沖縄に来てるのよ!」 と竜馬に海をバックに写真を撮らせ送信した 竜馬もメンバーも沖縄の海で戯れる写真を送る アーネストとジョージからは『『ズルい!』』とラインが返されて来た 「一人五万円ずつでご招待するわよ!」 『うし!新曲も売れたし一人五万円なら楽勝だよ!泊まる場は提供してくれるの?』 「勿論よ!」 と言い30部屋あるホテルを写して送信 ついでにプールで泳ぐレイや凛 椋 響と奏と一希も送信 『楽しそうやんか!行く!絶対に行く!』 そう言いラインは途絶えた 烈は「晟雅ゃ、サプライズとして歌ってくれるかもね!」と謂う 神野は「それは凄すぎてぶっ倒れそうやんか!」とボヤいた 「良いじゃない!何事も視聴率重視なテレビに如何に奇抜な演出をするか?で差は着くのよ!」 竜馬も「まだ、部屋あるし大丈夫でしょう!向こうのホテルの部屋も空きあるしね!」と呑気に答える RODEOÑとStrong Hiは半日以上掛けて倭の地の沖縄までやって来た 那覇空港まで迎えに行ったのは神威だった 「おー!おめぇら早く乗れ!目立つんだよ!」と皆を乗せてホテルまで送る! 神威は「烈、連れて来たぞ!」と謂うとRODEOÑとStrong Hiのメンバーがやって来た オタクな格好してる奴とか、汚いホームレス一歩手前してる奴とか………逆に目立つ格好で奴等は来ていた 烈はそれを見て 「それ余計に目立たない?」とボヤいた アーネストとジョージは会費五万円をメンバーの分も合わせて烈に渡そうとした 烈は竜馬に「父ぉーさん呼んで来てね!」と謂うと、海パン履いてプールで泳いでいた榊原がやって来た 「烈、どうしました?」と榊原は問い掛けた 「あのね父ぉーさん、ご飯が少し豪華にならないかな?って、イギリスとアメリカから呼び寄せたのよ!だから会費五万円ずつ支払ってくれるのよ!人数増えるけどお願いします!」と頼んだ 榊原は笑って会費を受け取り 「今夜は庭でバーベキューですよ!」と謂うと烈と竜馬やメンバーは喜んだ! RODEOÑとStrong Hiのメンバーもバーベキューに喜び、部屋へ荷物を置きに向かった ツインベッドの部屋を3部屋用意したから、其処へ荷物を運びに向かった 烈は「一人が良い人は一人用もあるけど、どうする?」と聞く アーネストは「別に構わないよ、部屋なんて寝るだけだし!皆とリビングで楽しく飲みたいし!」と謂う ジョージも「会費とは別に社長から軍資金貰って来たから、お酒を買いに行くとする!」と謂う そして慎一か一陽を探しにプールへと向かった 烈達はこの時点では書類選考はほほ終わりを迎えていた 後はプロフィールに胡散臭い部分はないか? 【R&R】企業系調査会社にプロフィールの紹介をしてから決める所まで来ていた 其れ等を一つずつ片付けて連日話し合っていた 8月5日 朝早く 戸浪も沖縄に遊びに来ているとラインがあり、一部屋空いてるからどうですか?と聞くと喜んで其処へ行きたいと申し出た 会費は一人五万円ですけど、と謂うと喜んで支払うよ!と言ってくれた 万里と海と煌星は友人としてサービスで30部屋の方でお泊りする事となった 2階に丁度 3人寝ても大丈夫な部屋が一部屋あるから、其処の部屋を使用して貰う事にした その夜は中庭でバーベキューをする事になった 人数多いから榊原達は、三人で安くて新鮮なスーパーや市場へ手分けして買いに向かった 榊原は現地でも安くて有名なスーパーAプライスでお肉を買い 慎一は道の駅とまんで新鮮な野菜を買い 一陽は沖縄市海産物市場で安くて新鮮な海産物を買う か、お互い情報提供しあい、この商品はどっちが安いですか?と買う時にはチェックして安い方で買う、を徹底した 別にケチる訳では無いが、沢山いるから少しでも多く買いたいから、そうして買い出しをしていた そしてドッカーンと買い物をして来て、厨房の大型冷蔵庫に保管する 昼過ぎに戸浪家族は沖縄に到着した ホテルにやって来ると、戸浪は榊原に夫婦2人と子供達3人分の会費を渡して来た 榊原はその封筒の中から10万円を受け取り、後は返した 「煌星達はサービスだそうです! 学園に出席出来ない烈の為に、色々と協力してくれているとの事ですから、受け取らないでね!と言って来ましたから、お二人の分だけ戴きます!」 戸浪は封筒を妻に渡し 「悪いね、でも沖縄にいる間は沙羅もテザートを玲香さん達と作りたいと言ってるから、思う存分に楽しまさせて貰うよ!」と笑顔で謂う 「それは助かります! 朝と昼は沢山のおにぎりや食パンを用意してあるので、バイキング方式で食べて下さい! 全ての料理はこの屋敷のキッチンでやるので此方へ来て下さい!」 「解ったよ、そんなに離れてないから歩いて来られるのが良いね!」 榊原は戸浪達を聡一郎に部屋へ案内して!と言い忙しそうに動き回っていた 食事を作り、後は海かプールで泳いだ 康太も海とプールで泳ぎ回っていた 沖縄にいる間はキスマークは厳禁とした 「だって沖縄にいるのに泳げねぇのは嫌だし、やっぱ……ちいせぇのもいるのに教育に悪いかんな!」と言われれば約束は守るしかなかった でも夜になればラブラブな熱い夜を送る 愛は尽きない 愛は溢れて体内に浸透されて募って行くのだ 榊原は烈や我が子に「父ぉーさんカッコいい!」なんてサングラス掛けてプールサイドで目を光らせてる姿を褒められれば嬉しかった 響と奏も人型になりプールで泳いでいた 疲れたら今はヘビサイズになりニョロニョロ泳ぐ 一希はオムツを外して外でデッキチェアーに寝そべり、日焼けをしていた 脱水症にならない為に適度に水分補給させ、日焼けさせていた 翔は「日焼けした幼児なんて嫌だよぉ〜」とボヤく 兄弟はうんうん!と頷いていた でも一希は凛と仲良く真っ黒にこんがり焼けていた 義泰は皮膚が火傷みたいにならないか?心配したが、案外一希は皮膚は丈夫だった 【R&R】企業向け調査会社から、オーデション当選者の調査書類が届き、それを確認し確かめ、やっとオーデション書類選考は総て終わリを迎えた 選考を突破した出場者に連絡し、出場の手続きをする様に伝えた そしてインスタやX、HPで公表し、合格者が決定しオーデションに出場する者達の名前を公表した オーデション会場を告げ、8月10日の出場者と11日の出場者に日時を告げた そして東京会場の出場者に8月20日の出場を告げた 総て終わったのは8月6日だった 後は沖縄市民会館での開催に向けて、テレビ局の担当者との打ち合わせに余念がなかった 打ち合わせをして泳いで宿題を片付ける そのハードなスケジュールに煌星と海は 「「お前忙し過ぎだな………」」とボヤいた 万里は秋になるとイギリスへ逝く事が決定していた 経営学を実践で経験する為にヨニー©イギリスへ入社してオリヴァーに叩き込まれる事になっていた そして許可が出るまでは倭の国の地を踏めるとは思うな!と言われてるから、感慨深く兄弟の時間を噛み締め世話を焼いていた 当分会えなくなる弟達との時間が愛しかった 烈は海と煌星に忙し過ぎとボヤかれても、投げ出す訳にいかなくて坦々と片付けるしかないと、動いていた 昼を大分過ぎてから、食堂に置いてあるおにぎりを片手に、全然時間取れないね!謂う海と煌星に 「仕方ないわよ! 遊びはついでで、本題此方だからね!」とボヤく 山盛りのサラダを突っついて遅めの昼食 それでも友達との時間は大切にしていた 昼を食べ終わり少しプールでプカプカ浮いていたと、レイが見事なクロールで泳いでいた 【R&R】のメンバーやRODEOÑ Strong Hiのメンバーも真っ黒だった 彼等は烈の兄達やレイ達響や奏 一希の面倒を見てくれていた 玲香 真矢 京香 美緒 志津子はその衰えぬ肢体を惜しげもなく晒して海で連日泳いでいた 翔達も海で泳ぐ時は一生や一陽が付き添い、何かあれば直ぐに動けるようにサポートしていた プールの方も大人が、子供達が安全に泳げる様にサポートして、皆で楽しく過ごしていた 戸浪も蔵持も久し振りの休暇に海で泳いで楽しい時間を送っていた 沙羅と和華子はプールで泳ぎ、そしてキッチンでスイーツを作っていた 安い食材で作るスイーツのレシピやつくり方を、沙羅は和華子に聞いていた 「本当に知らない料理多くて勉強になりますわ!」と沙羅はご機嫌で言う 和華子も「いえいえ私の方こそ、こうして一緒に作って貰えて嬉しいです!」と嬉しそうに言う 其処へ美緒 玲香 京香 志津子が参戦して作って逝くから、かなり豪華なスイーツを完成して逝く そして夜は宴会をして皆 開放的な沖縄の地を存分に楽しんでいた 皆 リラックスして沖縄の夜を楽しんでいた 翌朝 早くからオーデションの調整を行い、遅めを昼を取っていると 康太から「当初の予定やと13日には帰る言ってたやんか?」と話し掛けられた 烈は「そうね、視えちゃう子には沖縄はキツいって話してたからね……」と切り出す 「でもそれって海とか戦地だった地に近づいたりしたら?って事だろ?」 「そうね、お盆辺りは引っ張られるから海は避けたかったのよね」 「でもさプールなら目も届くし、横浜に帰るまではプールで過ごせばええやんか! で、横浜に帰るのは15日の夜でえくないか? で、横浜に帰り2日休み日常に戻ればええやんか! 見た所、この屋敷は相当な金をかけて作らせたのか?結界はバッチリしてあるから、この屋敷にいるならば変なのなんて視えねぇだろうし、どうよ?」と話し掛けた 当初の予定ではオーデション終えたら横浜へ帰ると決めていたが、この屋敷にいるならばお盆の晩に帰っても問題はないだろう、との事だった 烈も「そうね、皆 それなりに過ごすならそれで良いわね!海は出ちゃ駄目だけどね!」と謂う 「視える奴なら出ねぇだろ?」 「それもそうね………」 と、話が決まり、康太が家族や皆に話した そうして沖縄でゆったりまったり過ごす事に決めた オーデションの出場者に連絡して、必ずや1時間前に市民会館へ来る様に連絡を入れ、最終チェックに余念のない日々を送っている頃 小鳥遊から「烈、このホテルや市民会館を借りるに当たって絶大な協力して下さった沖縄の芸能事務所の社長さんが、是非とも烈に逢いたいと仰っているんだけど…… どうかな?嫌でないなら逢って貰えないかな?」と言って来た 烈は「一席設けてくれるのかしら?」と尋ねた 小鳥遊は「沖縄にいる間に事務所へ遊びに来て下さい!との事だよ!」と話す 料亭や席を設けるのではなく、事務所へどうぞ!と言う当たり、本当に会いたいだけだと想い 烈は「お世話になったならお会いしてお礼を言わないとね!」と了承した 了承を貰えた小鳥遊は、社長に話を通して翌日、芸能事務所を訪ねる事を社長に伝えた 社長はならばずっと待ってるので来て下さい!との事だった オーデションを行うに辺り、会場も無論だけど、ホテルも借りるのは簡単ではないと思っていた 其れが社長のご厚意で総てがスムーズに行う事が出来たのならば、礼は言わねばならないと思っていた そしたら小鳥遊の顔も立つだろうからと、竜馬と烈の配慮でもあった 小鳥遊自らが運転して、キャン芸能事務へと向かった 小鳥遊は芸能事務所へ到着して、事務所の中へ入るとスタッフに 「社長がお逢いしたいと申されていた飛鳥井烈君を連れて参りました!とお伝え下さい!」と告げると、スタッフは小鳥遊や烈、竜馬を社長室に案内した 烈は社長室に通され、キャン芸能事務所の社長と初顔合わせをした 烈は社長を見ると「飛鳥井烈です!この度は社長さんには多大なご尽力を戴き感謝致します!」と礼を口にした 「私はこの事務所の社長をする喜屋武則義と言います! 君には一度でいいから逢いたかったんです!」と言われ、笑顔で握手を求められた 烈は手を差し出すと、社長は烈の手を握りブンブンと盛大に握手をした 小鳥遊が会場を借りるのに口利きを頼んだ沖縄の芸能事務所を経営する喜屋武則義と謂う社長は、混血なのか外人っぽい外見のガタイの良い体躯を持つ50歳位のかなりイケメンな男性だった 南国の地に住む所為か、大らかな性格で豪快な人だった 社長は感激して烈の手を、ブンブン振り回わし力強く握り締めていた そして「あぁ、嬉しくて興奮しちゃいました! どうぞ、座ってください!」と言われると、小鳥遊と烈と竜馬はソファーに腰掛けた 暫くすると社長は内線ボタンを押して「飲み物を頼みます!」と申し付けた 暫くしてドアをノックして入って来ると、二十代後半の男性が飲み物をトレーに乗せて現れた 烈は男性スタッフに一礼をした 男性スタッフは「どうぞ!冷たい飲み物です!」と言い烈の前にソーダーを置き、小鳥遊と竜馬の前にはアイスコーヒーを置いた その声は少し嗄れて独特な喋り方をしていた 耳障りの良いその声には聞き覚えがあった 飲み物を運んで来てくれたスタッフの声を聞き烈は、何だか神妙な顔付きをして、その人の顔を見ていた そして飲み物を配ったら戻ろうとするスタッフの服の裾を掴んでいた 「え?あのどうされました?」と困り果てるスタッフを目にして、竜馬は何時もは、そんな不躾な事はしないのに?どうしたんだろ?と想い 「烈、どうしたの?何かあった?」と問い掛けた 「彼、シャステナのボーカルと同じ声なのよね…………」 と烈が呟くと喜屋武社長は驚いた顔で烈を見た 「声で………解るのですか?」と問い掛けた 「そうね、特徴的な声の持ち主だったからね 話し方や声でそうかと想ったのよ! シャステナのライブを観に行きたいと思っていたけど、ボクは殺されかけていたからね……… 諦めたのよ!」 喜屋武社長は「烈君、此奴は私の甥の喜屋武英生(ひでお)、皆からは【エイセイ】と呼ばれていました! 当たりです、甥はシャステナのボーカルをしていました!」と言った 烈は「そうよね、独特な嗄れた低い声は、そんなに簡単に出せれるモノじゃないものね!」と納得していた 「甥は………シャステナがスカウトされプロへ転向する時に………此奴だけ弾かれたのです 他のメンバーは用意されたボーカルと組むと言いプロになったそうです!」 「あ~、それは知ってるわ! でもデビューしたシャステナは何の魅力もないグループになっちゃったからね 聞く気もなくなったのよね!」 「其れは…………甥の声が………良かったと謂う事ですか?」 「う〜ん、声は良かったわね でも、その声で歌うならば、やはり難しいモノがあったから弾かれたのかしら?」 烈が言うと英生は顔色を変え 「何で解るんですか?」と問い掛けた 「其れはね、ライブならば魅せられるかもだけど、TVを視野に入れたならば、少し変わった声だけでは、其処までの魅力を見出せない可能性があるから、一種の賭けになるからよ ライブとTVは違うわ、どっちも通用するにはやはり本来の魅力すら出せない状態は難しかったのね………きっと貴方もそう言われから帰国したんじゃないの?」 「…………そうです………なので総てどうでも良くなって………倭の国に帰って来て叔父さんの事務所で働かせて貰ってました………」 英生は苦しげにそう呟いた が、其れ以上は英生は何も言えなかった 社長も言葉なんて何一つ出て来る事はなかった…… 烈も何も言わず携帯を取りだすと、ポチポチして嗤っていた 竜馬が「烈、失礼だよ………まだ話してる最中だよ?」と窘める が、烈は聞いちゃいなかった   「烈?………どうしたの? 小鳥遊に悪いよ?」 小鳥遊は「良いよ!烈は何の考えもなく勝手な行動は取らないだろうからね!」と笑っていた 烈は携帯から目を離し、顔を上げると英生の瞳を射抜き 「腐るのは良いけど、ずっと腐っていたら芯まで腐って使い物にならなくなるわよ! このまま、ずっと、スタッフとして生きるつもりなの?」と問い掛けた 英生は何と答えて良いのか?解らずに黙っていた 「まぁ臆病に怯えてるならば、震えて毛布でも被ってなさい! さてと逝くわよ!竜ゅー馬!」 竜馬は慌てて「え?何処に??」と問い掛けた 「そりゃ生配信するしかないじゃない!」 そう言い烈は英生の手をグッと握った 英生は「え?え?え?????」と躊躇した 「喜屋武社長、ボクと散歩に行きませんか?」 「あぁ、君とならば地獄の果てでも、喜んで共に逝くとするよ!」 「地獄は楽しくないから、楽しい時間を送れる所へね!」 そう言い事務所を出て逝く その間ずっと英生の手を掴んでるから竜馬は 「俺が捕まえてるから!」と言い英生の手を掴んた 烈は笑って「ならお願いね竜ゅー馬!」と言う 「何処へ行くのさ?」 「屋敷に行きYouTubeの生配信するのよ!」 烈が言うと喜屋武社長は 「其れなら音漏れしないスタジオを貸そう!」と申し出してくれた 「なら竜ゅー馬、そのスタジオにメンバー達とRODEOÑとStrong Hiも連れて来て頂戴!」 と言うと小鳥遊が「あ、なら僕が晟雅に連絡入れて連れて来て貰うよ!」と言ってくれた 「ピアノとドラムとギターお願いします!」 と烈が言うと喜屋武社長は「任しておいてくれ!総て用意されたスタジオがある!」とノリノリで請け負ってくれた そして社長は「RODEOÑとStrong Hi………来日してるなんて聞いてないよ…………」とボヤいた 英生は「あの〜俺は………何処へ連れて行かれるんでしょうか?」と問い掛けた 「貴方の未来へ逝くのよ! 其処で道を途切れさせても良いし、繋いで歩き出しても良い! 果てを決めるのは本人の覚悟なくば歩めはしない! 貴方はどうしたいのかしら? 腐る前に冷蔵庫に入れる手助け位はしてあげるわ 冷蔵庫に入っても腐る奴は腐るのよ! そしたら其処までだとキッパリと諦めも付くでしょ!」 言ってる口調は優しいが、言ってる事はとても厳しい……… 相手は子供だと言うのに………… まるで断頭台に乗せられて刃が落ちて来るのを待ってる心境だった 小鳥遊は烈と竜馬と英生を後部座席に乗せてドアを閉めた 社長は忙しく電話を掛けていた そしてスタッフを総動員させて指示を出して逝く スタッフは社長の一声で蜘蛛の子を散らす様にシャキシャキと動き始めた スタッフが「スタジオ確保しました!」と謂うと社長は小鳥遊の車の助手席に乗り込み 「さてと行こうか!」とナビにポチポチ行き先を打ち込んだ そして竜馬に「ホテルへはうちのスタッフがバスで迎えに行きスタジオに連れて来るから連絡だけ入れておいて下さい!」と謂う 小鳥遊は神野に送らせようと思っていたが、社長がそれをしてくれると言うのだ 「済みません!お手数かけます!」と礼を口にした 社長は「いやはや、途轍もなく揺さぶられる何かをもってるね彼は!」と興奮気味で話す 小鳥遊は苦笑して「社長もやられましたか………」とボヤいた 竜馬は皆にラインで「お迎えの人が逝くから、それに乗って来るんだよ! 勿論 変装してだからね! RODEOÑとStrong Hiも一緒にね!」と送信する メンバーからは了解!のスタンプが送られて来た 烈は「You must forge your own path.……Did you know?」と言葉にした 自分の道は自分で切り開く………知ってる?と英語で言われた……… 物凄く綺麗な発音で言われるから自然と 「Ah... yeah, that's right.」と答えた 烈は沈黙する車の中で歌を歌い始めた On days when I was in pain On days when I cried On days when I despaired On days when I couldn't see ahead Look ahead Let's walk forward No matter what day it is The night will end Because the morning sun shines on everyone 竜馬はコーラスを入れ、綺麗な歌声が車内で響き渡っていた その歌声を聴いて…………英生は泣いていた 悲しくもないのに…………涙が溢れて……… 知らない内に涙が溢れていた 小鳥遊は「聴いた事のない歌だね」と問い掛けた 烈は歌うのを止めて 「この歌はね売り物じゃないからね この歌は竜ゅー馬の為の歌だもの」 「竜馬の歌なの?」 「そう、竜馬の為に作った歌なのよ! だから此れを売り物にする気はないのよ」 「今後は誰も聞けない歌なんだね 何だか光栄だな………有り難う烈!」 「大好きな小鳥遊だからね!」 そう言い烈は笑った その顔は幼く…………何処から見ても子供だった スタジオに到着すると社長は車から降りた そして待機するスタッフにスタジオの周辺を警備させた 其処へマイクロバスが到着した バスの中からメンバーやRODEOÑ Strong Hiが降りて来た ヘンリーは「烈、スタジオで撮影?YouTube?」と問い掛けた 「オーデションも近いし、YouTubeで生配信して少し歌っちゃおうかなって?思ってね!」 ダニエルは「それは嬉しいよ!CMの撮影も近いし、気分転換出来て良いね!」と話す 「どう?コンテ描けた?」 「う〜ん、中々ハードル高いよ!」 「ならオーデション終わったら詰めましょうね!」 「了解!リーダー!」 一つずつこうして着実に歩を進めるリーダーは絶対の信頼の上にあるのだと英生は、メンバーを見て痛感していた スタジオへと向かうと、其処には楽器があり 皆は喜んでいた 烈は「エイセイ、RODEOÑの【myself】を歌いなよ!」と告げた RODEOÑのメンバーは楽器の傍へ行き演奏の準備を始めた 「アーネスト、マイクをもう一本貰って歌うのよ!」と謂うとスタッフがマイクを持って来てアーネストに渡した イーサンが「先ずは聞かせて貰うとするね!」と謂うとRODEOÑは演奏を始めた オリヴァーが「音合わせしたら撮影始めるよ!」と謂う カメラの調整をしている中、演奏は始まる アーネストは見知らぬ人間の存在を気にしつつも…………プロ根性で演奏が始まると歌い始めた 英生もそれに合わせて歌い始める 酷く嗄れた声がアーネストの声に合わさり、深みを増して逝く 英生は………音楽を聴くと歌い始めていた 久し振りのマイクだった 久し振り生の演奏だった 自分は歌が好きなのだと………痛感した 通用しないならば…………止めてしまおう…… そう想い…………サッパリ綺麗に忘れようとしたのに…………… こんなに簡単に………あっさりと引き戻されてしまうのか…………… 血が滾る 体がリズムを刻む 夢中に歌い、マイクを抱き締めた 烈はその声を聞き 「やっぱこの声よね、竜ゅー馬」と口にした 竜馬も「あ~この声だわ」と謂う   小鳥遊はこんなに凄いボーカルだったのね………と烈の人を見る眼を痛感していた RODEOÑのmyselfを歌い終わると、オリヴァーは瞳を輝かせ 「彼、凄いね、その声は烈が見に行きたがっていたシャステナのボーカルなの?彼は?」 と図星を突いて話す 【R&R】はリーダーがシャステナのライブを観たいと言っていたから、事前調査はしていた 配信の曲も購入して歌もチェックして、リーダーが好きそうな魅力を感じていた が、デビューしたシャステナは雰囲気も違っていて…………何時の間にか話にも上がらなくなっていた そのシャステナのボーカルが何故か此処にいる そして何故か歌を歌っている オリヴァーは「なら生配信いくよ! 遥かな想い…… Loveme GetLifeの3曲をRODEOÑが、そして入れ替わりStrong HiがStar Remember 遥かな想い…の3曲を彼と共に歌って!」と告げた 烈は「楽譜なしで歌える?」と問い掛けた 英生は「総て頭に入ってるから歌える!」と答えた その顔付きはもう全て諦めてスタッフしていた頃の英生ではなくなっていた オリヴァーはカメラをセットすると 「なら演奏始めて、此れは生配信で直ぐに配信しちゃうから!」と伝えると皆 頷いた RODEOÑの演奏で3曲、Strong Hiの演奏で3曲 そして黙って見てられない【R&R】のメンバー乱入で3曲 彼等は歌いまくった 烈は「隼人とは違う歌の響きね」と呟くと竜馬が 「だね、彼の声は重いんだよ! そして心に響く歌を歌うんだよね」 歌ってる奴らの横で烈と竜馬は話す 「オーデション前の露払いは成功だねリーダー!」 「気合が入った事だし、ここいら辺で本格的な活動再開しましょうか!」 「だね!何かワクワクするよ!リーダー! 俺も歌ってくるとする!」と謂うと竜馬はマイクを奪い歌い始めた 烈はカメラから外れて壁際へと立った 喜屋武社長は、生き生きとした顔で歌う甥の姿を目の当たりにして、スタッフとして過ごさせるべきではないと腹を括った 喜屋武社長はカメラから外れた烈の傍に近付くと 「英生は君にあげるよ!烈君」と言った 烈は「え?ボクにくれるの?」と信じられなくて聞き返した 「あぁ、こんなに楽しそうな顔………沖縄に来てからは一度もしなかった アイツが活躍する場があるならば………生かしてやってくれ!」 そう言い喜屋武社長は深々と頭を下げた 烈は慌ててそれを止めた 「社長さん、大盤振る舞いし過ぎじゃない? でも貰えるならば貰うわね!」 「あぁ、君ならば………英生が生きる道筋を立ててくれる気がしたんだよ………」 染み染みと謂う社長の顔は、肩の荷を下ろした様な顔だった 烈が見ているのが解ると社長は 「アイツは………私の妹の子なんだよ……… 妹は……米軍基地にいる軍人と恋に落ちた 家族は反対したよ 本国に帰ったら音信不通になってしまうって反対したが…………妹はそれを聞き入れる事なく英生を身籠り…………出産した 英生が一歳になる頃………妹の恋人は本国へ帰国して案の定、音信不通になった 妹はあまりのショックに………気が触れ………恋人を探して彷徨うから病院へ入れるしかなかった……… 妹は何時しか………英生の存在すら記憶から消して、只管恋人を求めた 目を離せば何日も何日も恋人を探して彷徨うから………鍵付きの病院で暮らしていた……… 妹は………自分が子を産んだ記憶すらなくし……… 英生は母すら知らない子として育った………悲しい過去を持つ 私を見るならば、大凡の察しはしていると思うが、私の母も基地にいる軍人と恋に落ち私と妹を産んだ そして母は恋人に捨てられシンクルなまま私達を育てた そして何度も基地の人間に恋をして………今度は捨てられない様に………私と妹を捨てて恋人に付いて行きアメリカへと渡った 今はどうしているか? 生きているかさえ解らない……消息不明だ 私は母方の祖父母に育てられて大人になった この容姿を最大限に生かし金を稼いで荒れていた頃、この芸能事務所の社長と出逢った 彼は私に真っ当な生き方を教えてくれ、食ってく為の手腕を叩き込んでくれた 妻子を持たなかった社長は………病に倒れた時、この事務所を譲ってくれ私は社長をして今に至るんだよ! あの頃の私は忙しく、そして祖父母は立て続けに逝去し……… 英生は中学の頃にはグレて………手がつけられなくなっていた 困り果てていると…………知らない内にイギリスへ渡り去年まで疎遠になっていた 甥の事は忘れた事はないよ 私も家庭を持ち、子を持つ親になった だからこそ親の愛を知らず育った英生の歪んだ想いを知っていた だから助けてやりたくて、事務所で働かせていた だが、英生の生きる道は此処じゃない それは解るよ…………だから烈君、英生を君に託したい………お願い出来るかな?」 「良いわよ、ボクにくれるならば徹底的に叩き直してやるとするわ! ボクね飛鳥井の菩提寺の責任者をしてるのよ 其処へ先ずは修行の為に入れて、徹底的な体力と折れない心を叩き込むわ! そして鳳城由香里にレッスンを受けさせ、ボイトレもやる事にするわ そして折れない刀剣になったなら、あの子の道を示してあげる事にするわ!」 「甥が………どんな成長をするか楽しみです! 烈君、時々横浜にも逝くから、その時は一緒にお茶でもしてくれないかい?」 「それは良いわね! ラインを交換しましょうか? そしたら些細な事も話が出来るし、仲良も深まるわよ!」 「それは嬉しいよ!」 「で、此処からが本題なんたけど、貴方の事務所潰れるわよ!」 「え?…………其れは?何故………」 「だって金を生み出す卵いないじゃない! 芸能事務所なんてのはタレントがいてなんぼじゃなないの? 其れなのに英生をボクにくれちゃって良いの?」 喜屋武社長は手痛い所を突かれ、観念した様に苦笑を漏らすと 「容赦なく図星指して来る子だね………其れに情け容赦もない……… 英生は私じゃ……好きに歌わせてはならない……… 私の身内だ……… 妹は………英生が何時の間にか姿を消していなくなった頃 病院のスタッフが………目を離した隙に飛び降りて命を絶った……… 私の祖父母も立て続けに病に倒れ逝去して………もう血縁と呼べる人間なんて………我が子と……英生しかいない……… だからだよ、だからこそ英生は己の道を歩んで欲しい………」 「奥さんと離婚したのは何故? 子供も連れて出て行ってしまったのは何故? ひょっとしてキャンちゃん浮気したの?」 喜屋武社長は驚愕の瞳で烈を見た 「ボクは飛鳥井宗右衛門、星詠みを生業にしている者です! あなたのプロフィールと生年月日を元に、貴方の星を見つけ出し詠みました! 星は嘘はつかない! さっき携帯で調べていたのは、貴方の星、貴方の運命、そして定め………宿業等を見ていたのよ!」 「あぁ………君は飛鳥井宗右衛門殿でしたね……… そして私は………此処で朽ち果てると?出てましたか?」 喜屋武社長の絶望に満ちた声に烈は「戯け者めが!」と宗右衛門の声で叱りつけた 嗄れて威厳のある声に叱られ、社長は唖然として烈を見た

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