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第52話 スカウトキャラバン in東京
横浜に還って来て、暫くして夏季休業は終わった
会社が始まり日常が始まった
工事は再開され、烈と康太と翔達は、現場に足を運び工事の着工状況を確認する作業に追われていた
今の所、たいした遅延もなく工程通りに進んでいた
烈は横浜に還り直ぐに研究室に連絡を入れた
早瀬の憧れだった高嶺の花子さんの様子を聞く為だった
早瀬の憧れの高嶺の花子さんは、スカウトキャラバン2日目の朝に捕獲された
市民会館へ向かう早瀬の目の前に、目の下に隈を作り窶れて様変わりした高嶺の花子さんが飛び出して来た
自爆するつもりだったのか?
殺すつもりだったのか?
助けを求めるつもりだったのか?
解らないが早瀬の前に、飛び出したて来た
が、その瞬間、内閣調査室の唐沢班の西園寺維弦により捕らえられる事となった
まぁ取り押さえ捕獲したのは、現地の警察なのだが………
洗脳を受けていたのか?闇に染まっていたのか?
物凄い力で抵抗するから、維弦は早々に吹き飛ばされてしまっていたのだ………
「副班長、飛び過ぎだって!」と、班の子に起こされ、維弦は「ならお前捕まえてみろよ!」と言った
が、班の子も吹き飛ばされ……股間を蹴られてもっと被害を受けていた
地元警察の警官の手により捕獲され猿轡を噛ませ、拘束具で拘束した
そして自爆をさせない為の大判サイズの特殊コーティングされてる布で包んだ
維弦は烈が泊まっている屋敷に向かい
「神威さんいますか!」と神威を呼んだ
プールにいた神威は「何じゃ?儂に何の用じゃ?」と問い掛けた
「烈君が、拘束された人は、神威さんに頼み研究室まで連れて行って貰ってね!と言われたので、神威さんお願いします!」
烈からの頼みなら断れないやんか………と神威は想う
「着替えて来る故待つがよい!」
そう言い神威は着替えて来た
そして神の道を開き、拘束具で包まれた女を肩に担ぐと維弦と班の子を連れて研究室まで向かった
維弦はまた髑髏の道か………と思いつつ進む
班の子は案外平気で進んでいた
研究室へ出ると神威は紫峰洋平・洸平兄弟に頼み、女を引き渡した
維弦は「洗脳されてるかもです、そして闇に染まり過ぎみたいです!」と伝えた
洸平は「この研究室にはレイの水が引き込んであるから、闇に染まってるのは何とかなる!
洗脳は時間が掛かるな……」と現状を見て答えた
洋平は「取り敢えず預かった!烈に連絡する様に言っといてくれ!」と謂う
「はい!伝えときます!」
神威は「なら逝くぞ!」と神の道を開き沖縄へ戻って来たのだった
そして水着に着替えて………温泉の様にトレーの上に酒を浮かべて飲兵衛と共に飲んでいた……
維弦は班長に経緯を伝えて、後の指示を伺った
唐沢は『お疲れ、15日には横浜に還るだろうから、それまでお前は烈と共に過ごせば良い!
報告書はちゃんと上げるのは忘れるなよ!」との事で残りの日数はプールで泳いで過ごした
取り敢えず食費払うよ!と言ったが、康太が
「残り少ないし良いわ!
皆から烈がかなり会費取ったし、大丈夫だろ!」と笑って言った
そんなこんなで、沖縄で過ごした日々は楽しい時間を送れた
後日 唐沢から高嶺の花子さんの子供の報告があった
高嶺の花子さんの子供は児童養護施設の前で置き去りにされ保護されていた事を伝えられた
高嶺の花子さんの子供は二人
何方もまだ未就学児童と謂う事で、烈の所持する児童養護施設へ移し保護された後 正式に預けられる事となった
と報告を受けた
唐沢は『女は………どうだ?洗脳か?脳がイジられていたりしたのか?』と研究室へ運ばれるにあたって報告書を書かねばならないから問い掛けた
「洋平と洸平に聞いたら、闇が酷すぎて研究室の職員にも影響を与える程だから隔離してるって言ってたわ!
だからまだ当分は闇を抜かなきゃ調べられないってのが現実なのよね!」
『面会して聞きたい事は山程あるんだが、無理か………』
「唐ちゃんも闇に穢れるわよ!
しかも鴻池の狗神の穢れの方の闇だからね!」
『え?そっちに繋がっていやがったのか?』
「もっと奥深くまで辿れは何処かで大仏と繋がって、あの教団とも繋がっていたりしたのかもね
根っこは同じよ、炎帝が邪魔なのよ
その為に周りにいる奴から削りたいのよ
そしてニブルヘイムも転生して来たりしたから、邪魔で邪魔で仕方ないのよ!
そろそろ本格的に本人登場で邪魔して来るかもね
最終決戦までそんなに猶予ないかもね………」
『まぁ、其れでも俺等は市民を護る為に動かねぇとならねぇんだよ!
んな、人外の思惑なんぞ知るかよ!』
「唐ちゃんらしくて助かるわ!
じゃ、横浜に戻ったら連絡するわね!」
『おー!また茶をしばこうぜ!』
そう言い唐沢との電話を切り、ため息を付く
本当に何処まで人を弄ぶのかしら?
嫌になる…………
本当に嫌になる…………
が、日常は待ってはくれない
15日の夜の便で烈達は東京の空港へ到着した
東京へ到着した後は、其々バラバラに散らばり、其々のルートで帰宅して夏季休業の疲れを取る為に宴会を開いた
まぁ沖縄に行った奴等がそのまま飛鳥井に来たから、清隆も瑛太もノリノリで宴会へ突入させたのだ
清隆は「やはり我が家での宴会は落ち着きますな!」と謂うと瑛太も
「ですね!もう時期新居への引っ越しですが、新居に移ったら盛大に祝いをせねばなりませんね!」
とノリノリで言う
もう弟命だった頃とは違う
父として夫として会長としての死命に生きている顔をしていた
17日まで飛鳥井の家で皆と宴会したりして、休日をゆったりと過ごした
そして休日も終わり、日常に引き戻される
休みが終わると、かなり忙しく過ごしていた
烈は会社に顔を出したり、一族の会社を竜胆と次代の宗右衛門と見回り気合を入れさせたり一族にも目を向け、統制を図った
菩提寺の監査も定期的にやっていた
目を離すと直ぐに好き勝手されるからだ
9月に向けて人事の見直しをした
幼稚園の人事も見直しをして人事異動をした
京香を幼稚園の責任者にしていたが、今後は菩提寺の責任者に異動させる事にした
飛鳥井の総代に話を持って行き、後に一族の了承を取った
現 総代の瑛太は「京香を菩提寺の責任者に………ですか?その真意は?伺っても宜しいですか?」と心配して問いかけた
「今菩提寺には姫巫女を引退したモモちゃんと、菩提寺近くのマンションに引っ越して来て、菩提寺の手伝いをしているすみちゃんがいるのよ!
でね、ママを姉妹の元に………と思ってね
ママはずっと飛鳥井の女であろうと気を張って生きているわ!
だけど気を許せる姉妹と過ごす時間があっても良いじゃない!」
烈の優しい思いに瑛太は感激した
配置換えは心配だったが、そう言う理由ならば、感謝しても良い位だった
烈は笑顔で話し……そして遠い目をして
「次は………ばーしゃんの心配事片付けないと………なのよね………」と話す
瑛太は驚いた顔をして
「ひょっとして村瀬産科医院の廃業………知っているのですか?」と問い掛けた
「セレブ御用達の産院なんてコロナ禍直撃食らって、コロナ禍過ぎたら瀕死になるわよ!
コロナ禍で倒産しまくりの飲食店や、小規模な病院は持ち堪えられなくて倒産したり廃業したりしてるわ!
母ぁーさんが改革した時にそれを維持出来ていればね、彼処まで悲惨な末路は辿らなくても良かったのにね
あの莫大な土地は担保に入ってるから、どうも出来ないからね………
まぁ担保になってても足らないから自宅まて抵当に入っちゃってるみたいだし………
ちゃんと整理しなきゃなのに………出来てないらしいからね
しかもばーしゃんの両親……介護放棄されてたから、見つけた瞬間病院送りになったのよ……
病院の莫大な借金は総ての資産を整理してなんとかなるらしいけど、抜本的な解決出来てないからね…」
「烈………母の事まで背負わなくても良いんですよ?」
「ボクの大切なばーしゃんだからね
そりゃ考えるわよ、そして動くわよ!
母ぁーさんが動いてないのは、ボクが出ると思ってるからなのよね!
ばーしゃんの星が翳ってるから、手を打たないと………なのよね」
「星が翳ってますか?」
「えーちゃんの星もね、影響受けてるわよ
どうにかしたいのは家族だから一緒よ!
それ解ってる?えーちゃん?」
「…………本当に悩まさせてもくれないんですね………」
「悩むとハゲるわよ!
飛鳥井の家系はフサフサ多いけど、村瀬の家系はかなり頭に来てるわよ!」
「え?何故分かるんです?」
「暦也に調べさせたのよ!
そしたらばーしゃんの弟、ばぁしゃんより年若いのに……かなり干上がっていたのよ!」
「えー!!そんなに!!」
「気を付けないと干上がってピカピカよ!」
「それは嫌です!」
烈は笑っていた
瑛太も笑っていた
康太の子供はどの子も優しい…………
「村瀬の祖父母は取り敢えず、鎌倉の老人ホームに入れといたわ!
入居費用は出しといたから後は年金で何とかなるでしょ!」
「烈………」
「後はスカウトキャラバン終わってからね!」
「私に出来る事があれば何でも言って下さい!」
「解ったわ!取り敢えず菩提寺の責任者は、京香で良いわね?」
「はい!異論は御座いません!」
総代からの了承を得て、満場一致で菩提寺の責任者は飛鳥井京香が決定した
京香の後任は愛染 津葉木(つばき)がなる事が決定している
愛染 津葉木は愛染恭輔の姉だ
数年前に水木竜生と謂う今をトキメクIT企業の社長の妻になってその美しさに世の乙女の羨望の眼差しを一手に受けた女性だった
が、夫がグラビアアイドルと浮気して離婚した
離婚後 倭の国にいる事すら嫌気がさして、貰った慰謝料でイギリスへ行き、良い機会だからと大学に入学して情報学部へ入り勉強をする事にした
そして休日にイギリスの街をブラブラして楽しんでいる所をスカウトされ、何故かファッションモデルとしてランウェイを練り歩き、使いたいモデルNo.1になった
デザイナーが開いたパーティーで鳳城由香里と出会い、意気投合して飲み友達になった
由香里の辛い過去を酒のツマミに聞いた事があった
そして由香里を救った子の話も何度も聞かされた
だから津葉木は「ねぇ、私もその子に逢いたいんだけど駄目かしら?」とお願いされた
由香里は「何故逢いたいんだ?【R&R】のリーダーだからか?ヨニー©イギリスの副社長だからか?」と訝しんで聞いた
「別にその子の肩書なんて興味もないけど、気難しい貴方が全面的に信頼してる子に興味があるからよ!そして私も茶飲み友達になりたいからよ」
と返された
まぁ己の力で掴み取るのを持論としている津葉木なれば、そんな警戒する事もないか……と烈に紹介したのだった
それが切っ掛けで目出度く茶飲み友達になった
初めて紹介をされた時に、ひょっとして愛染の姉かな?とは想った
冷たい顔が何処か似ているのだ
竜馬も「彼女、恭輔の姉が何かかな?」と本人がいない時に言っていた
何度かお茶をしていると、由香里が「烈は飛鳥井建設の宗右衛門と謂うポストにいる存在なんだよ!」と話をした
由香里は不用意な事は言わない
かなり親しくならねば、烈は誰もが知ってる【R&R】のリーダー以外の情報は口にしない
由香里が話すと津葉木は
「飛鳥井建設!!飛鳥井建設ですって!
あぁ、そうか飛鳥井……そうだわな………
弟が其処で働いているわ!
私の兄弟は、私の下の弟だけなのよ!
あの子もさ女運悪くて………✘2だったりするのよね……兄弟揃って✘着いてるとか………情けなさ過ぎて………話せないんだけどね!」
とかなり熱血な感じで話してくれた
お茶友達になり時間が合えば茶をしていた
そんな津葉木が『東京でファッションショーあるなら帰国するから、帰国したら茶でも飲もうぜ!』と誘って来たから、親切な烈は愛染も同席させて逢う事にしたのだ
何も知らされてなかった愛染は「えー!!!姉さん何で此処にいるんですか!」と叫んだ
津葉木は「煩いよ!恭輔!友達なんだよ!烈とは!」と一蹴
愛染は「あんたの毒気に烈が当てられたらどうするんだよ!」と怒った
津葉木は「恭輔、あんた好い加減にしないとラリアートかますぞ!」と言われ黙った
そんな仲の良い兄弟喧嘩を目にして烈は
「ねぇ津葉木たん、倭の国へ還る予定はないの?」と聞いた
「帰る気はあるぞ!」
「なら幼稚園の経営に携わって欲しいのよ
イギリス仕込みのセキュリティ駆使した幼稚園作りたいのよ!」
と口説いた
上智大学で国際経済学を学び卒業後、OBだったIT企業の社長と結婚
だが夫がモデルと浮気して家に帰らなくなり、結果……夫は可愛げのある女がいいと、莫大な慰謝料を払い離婚
倭の国にいるのが嫌になりイギリスへ!
そして何故かケンブリッチ大学の情報学部に入り卒業
卒業後はスカウトされるまでは、上場企業に入社し………スカウトされた後はパリコレに出れるモデルとして活躍中
何ともまぁな経歴を持つパワフルな女性だった
そんな津葉木に白羽の矢を立てたのだった
烈は「【R&R】の方の仕事も手伝ってくれるなら、一ヶ月50万は保証するわ!」
津葉木は「食えるだけくれるなら、別に高額を保証してくれんでも構わねぇよ!
私は株とかもやってるし、金には困ってねぇからな!一般の社会人の給料と他の仕事するなら、その都度給料くれれば良い!
私もそろそろ親孝行せんとあかんからな!
帰りたかったんだよ!」と言い帰国後は京香の下で働いていたのだ
倭の国で働いて貰うと謂う事で、住む場所は用意した
津葉木は思った以上の仕事をしてくれたから、タワマンのマンションをプレゼントした
まぁ津葉木は「プレゼント?要らんて!」と言ったが
「近い内に京香は経営から離れるのよ
そしたら津葉木たんが責任者となるから、近い所に家を構えさせたいと謂う思惑もあるのよ!」
「うし!なら昇進祝いと謂う事で貰うとするわ!」
と喜んでくれた
が、3L・DKの部屋だったから、伴侶もいない津葉木は弟を呼び寄せ
「恭輔、お前今日から此処で住め!
父さんと母さんも呼び寄せるから、そしたら家族で住めるじゃない!」
と大喜びして両親を呼び寄せ家族で暮らし始めた
満を持して京香の移動となったのだ
京香を菩提寺の責任者にする
家族や一族に提案した所、文句を言うものは一人も出なかったので決定した
京香は「良いのかしら?」と躊躇していた
だけど烈が「良いのよ、ママだって楽しい時間送りたいじゃない!
姉妹で仲良く過ごすのも、今ならば出来るんじゃない?
ママとすみちゃんとモモちゃんが、頑張って菩提寺を取り仕切りイベントとか増やして行って欲しいのよね!」と言ってくれた
京香は「分かりました!体育館も完成しましたし、利用料金の管理等の不正は許さない姿勢で頑張るわね!烈!」と言う
「すみちゃんもモモちゃんもそろそろ生まれるから、気を付けてやってね!
後 水萌も………頼むわね!」
「任せておいてよ!
赤子の世話なら一希で慣れてるし、一希連れて行こうかしら?」
「ママ、大変なら託児所でも良いのよ!」
「大丈夫よ!皆のママだもの!
まだまだ頑張るからね!」
「ママ!」
烈が抱き着くと、レイ達も抱き着いた
京香は我が子同様に慕ってくれる子達を抱き締めた
そして9月からは新体制で、幼稚園の責任者は愛染津葉木(つばき)がなる事を告知した
そして菩提寺の責任者は飛鳥井京香がなると告知した
あれから水萌は何とか元気になり、菩提寺へ還って来た
菩提寺へ還ったら、澄香がいるし、弥勒も菩提寺で仕事したりして活気づいていて驚いた
体育館も完成し、スイミングスクールは募集人数を大幅に超えて希望されていた
スイミングスクールはコーチも決まり、本格的に始動した
スイミングスクールのコーチになるのは、水泳競技で世界を風靡した選手を康太が引き抜いてくれコーチになると決まった
公表した途端、前評判もあり大変な事になっていた
オリンピックの金メダリスト 後藤誠也は康太の知り合いだった
まぁ、高校の頃 康太に喧嘩を売ってボコされ……プールに放り込まれ、真っ当に生きろ!と説教をされ、お仕置きだ!と毎日しごかれ、死ぬ気で泳げ!と脅され、死ぬ気で泳いだ………
それが切っ掛けで自己タイムをバカみたいに伸ばし、その年のオリンピックの選手団に入った
そして何と金メダルを獲得した水泳選手となったのだ
スイミングスクールを体育館の下でやる、と烈が言ってたから、声を掛けたのだった
「康太!どうしたのよ?」
後藤は今、桜林で体育教師をやっていた
「おめぇスイミングスクールのコーチやらねぇか?四季には副業でコーチやって良いか?
事前に聞いてあるんだよ!
桜林の委託コーチと謂う名目でなら良いと言ってくれたし、生徒の数だけ給料払うし、どうよ?」
「スイミングスクールのコーチか、凄く心惹かれる話持って来るやんか?
お前が経営してるのか?」
「嫌、オレの末っ子が体育館ぶっ建てたんだよ!
で、体育館の下にプール作りやがったらしくてな!
ならスイミングスクール開こうぜ!と言ったら乗り気で、コーチは母ぁーさん探してね!って言ったんだよ!
で、水泳得意そうなのお前位しか思い付かなくてな………」
「お前の末っ子って飛鳥井烈か?」
「おー!そうだよ!」
「あの子………お前より怖いんだけど?」
「何もしなきゃ、アイツは人畜無害だろうが!」
「何かする気なんてないさ!
何かしたら………この世から消されそうだし………」
「まぁな、アイツなら余裕で消しそうだな!
でも何もしなきゃ、アイツは動かねぇ!
そして何よりオレの愛すべき我が子だ!」
「俺を見て………気にいるかな?」
「どうだろ?アイツ学園に中々逝けねぇかんな……お前の体育なんて受けてねぇだろ!」
「だな………教えたい想いはあったんだけど、近寄り難いからな!
孤高の戦士だな、彼は………
お前とは違い彼は一人でいる事が多い……」
「巻き込まねぇ為に距離を取ってるんだよ!」
「学園長が言ってたね
何度も何度も殺されかけたんだって?」
「今も狙われて殺されかけてるさ!」
「あ!戸浪と蔵持の記者会見!
目の前で犯人自爆したんだったね……」
「今も治っちゃいねえよ!」
「其れでも………彼は立ち止まらないんだ………
良いよ、コーチになる、やらさせて下さい!」
「なら頼むな!」
そう言う経緯で、コーチを引き受けて貰い、スイミングスクールは始動したのだ
体育館も道場の試合を優先的に予約に入れるが、それ以外は時間制で有料だが貸し出ししていた
地域指定の避難所としても、この度指定をされた所だった
菩提寺の管理は水萌一人じゃ足りない
そして人手も足らない………
だからこそ京香が管理者となり、管理して逝く事が決まった
まぁ会計監査とか、必要な事は三木敦美と城田麻由里が手伝う事は決まっていた
人事異動と配置換え、其れ等をしつつ
東京オーデションを見据えて試行錯誤する
時間がないのだ
連日 オフィースビルへ集まり会議を開いた
英生は由香里のレッスンを受けて、ボイトレをしつつ、花柳隆悦 花笠夫妻に特別に頼み、所作の美しさ、身の熟し等を訓練してくれる様に頼んだ
「指先から爪先まで、美しい所作をする人は、其れだけで美しいと想えるのよ!」
烈はそう言い、花柳流に通わせたのだ
良く見れば踊りの所作は指先から爪先まで、意識され魅せ場を熟知している
英生は必死に食らいついて覚えていた
そして迎える8月20日
スカウトキャラバン東京へ突入した
スカウトキャラバン前日の19日
設営の為夜に機材を運び込み、設営をしていた
沖縄と一緒だと猿芸だと言われかねない
だから東京はガラッと変わり、【R&R】の色は控えた
ステージ左右にRODEOÑとStrong Hiが交互に演奏する為に楽器を運び込んた
RODEOÑとStrong Hiはまだ帰国していなかった
近い内に倭の国で公演をやるのが決まり、チケットの売り出しも開始された
公演は8月30日と31日の2公演
RODEOÑとStrong Hiの合同の公演となっていた
その為にスカウトキャラバンで公演の告知もする為に残っていたのだ
イギリスとアメリカからマネージャーが来日して取り仕切っていた
マネージャーからは「エイセイ君 貸し出しては貰えないかな?」と話があった
烈は英生を呼び寄せ「どうする?」と問い掛けた
英生は「俺は貴方のですから、貴方が決めても構いません!」と言った
だけど烈は「エイセイ、この機会だからちゃんと言うわ!
今後貴方は自分の意志で考えを導きなさい!
決して人が決めた仕事なんてしちゃ駄目よ!
自分で決めて、自分でやると決める!
総ての仕事は自分で責任を負わなきゃいけないのよ!
人が決めた仕事なんかしたら、責任転嫁しちゃえるじゃない!
失敗したら、その仕事を選んだのはお前だろ?
ならばお前が悪い!と責任を押し付けられる
だけど、それはさせない!
総ての責任は自分が負う!
其れは仕事をする者の責任の取り方だと思ってるからね!
ボクは常にリスクヘッジを考えて、この仕事を引き受けたら、自分にはどれだけのリスクがあるのか考えるわ!
リスクが有ろうとなかろうと、決めた事なれば、それは自分が負う責任となる!
だから貴方が決めなさい!
今後の仕事は総てそうやって常に考えて決めなさい!近い内に貴方にマネージャー着けるから、そしたらマネージャーと話し合い仕事を決めて行きなさい!」と言い切った
英生は烈の言葉に楽な方へ逃げさせない覚悟を感じていた
そして目を閉じ考えた
この仕事がどれだけ自分の運命を変えるか?
考えた
そして引き受けた
「是非やらせて下さい!」と答えた
そしてRODEOÑのマネージャーは
「ありがとう!エイセイ君!
きっと2グループも喜びます!
それと……早瀬氏とは話をしてお誘いしました
良い答えは…………貰えませんてました残念です!」と言葉にした
烈は「早瀬………そうね、そろそろ話をする頃合いかしら?」と言葉にした
そしてオフィースビルに呼び出す事を決めた
烈は相賀に「早瀬呼んでくれない?」と言った
相賀は真野に「今直ぐ早瀬を連れて来てくれないか?」と頼んだ
真野は『何処へ連れて行けば良いのですか?』と問い掛けた
相賀は「何処へ連れて行かせれば良いんだ?」と問い掛けた
烈は「このビルへ頼むわ!」と謂うと、竜馬が電話を代わり
「千秋さん、桜林学園知ってますか?」と問い掛けた
『知ってるよ!』
「ならばその近くまで来て下さい!
そしたら駐車場を教えるので、其処へ車を停めて貰ったらビルに案内します!」
『了解したよ!桜林まで近付いたら電話するよ!』
と言い電話を切った
烈は「じゃあ3階の部屋で話し合うしかないわね!
竜ゅー馬連れて来てね!」と言い部屋を出て行った
神野は「二人きりにして大丈夫か?」と心配して呟いた
小鳥遊は「避けて通れない事だから………この先を考えるなら合わせるしかないよ!
晟雅は烈が心配なんだよね?」と問い掛けた
「当たり前じゃねぇかよ!
康太の子供だぜ、瑛太の甥っ子なんだ!
そして俺の大切な大切な奴だから………心配して当たり前じゃねぇかよ!」
「僕も烈は大切な存在です!
皆にとって烈はかけがえのない存在なんだもの!」
小鳥遊が言うと柘植も須賀も相賀も頷いていた
真野が桜林近くまで来た!と連絡が入り竜馬は部屋を出て行った
桜林近くの塀の前で真野の車は停まっていた
竜馬が近付くと真野は窓を開けた
「竜馬君、何処に車停めたら良い?」
そう聞かれ竜馬は「この学園の横に立体駐車場あるから、其処へ停めて下さい!」と言う
真野はバックして立体駐車場まで逝くと、立体駐車場の中へ車を入れた
そして車から早瀬を降ろして一緒に竜馬の所へ向かった
竜馬は駐車場横のオフィースビルへ向かう
オフィースビルに設置されたタッチパネルを操作して部屋番を押す
烈はセキュリティを解除してドアを開けると、竜馬は真野と早瀬と共に階段を上がり2階の部屋のドアをノックした
すると神野がドアを開けて出て来た
「晟雅さん、真野を頼みます!」
と言い真野を神野に頼み、早瀬だけ連れて3階へと向かう
3階のドアをノックすると、烈がドアを開けた
烈は何も言わず部屋へと入るとソファーに座り早瀬を待った
早瀬はソファーに座ると
「すみませんでした!」と謝罪した
色んな謝罪の言葉を考えて来たが、烈を目にしたら、そんな陳腐な言葉しか出て来なかった
烈は早瀬を視て静かに問い掛けた
「何も無い世界へ放り込まれて何を思った?」
早瀬は魔界を思い浮かべ
「君の………壮絶な……熾烈なイジメを受けいてる過去の夢を見ました
その夢を見て俺は涙が止まりませんでした……
あの日、貴方に放った言葉は………貴方を侮辱するモノでした!本当にすみませんでした!」
と深々と頭を下げた
そして顔を上げると
「目が覚めたら、全く見知らぬ地で、本当に何もなくて驚きました
ですが初めは怖い鬼さん達でしたが、貴方が頼んでくれたので優しく仕事を教えてくれました
何も無い世界でしたが、其処には人が忘れた優しいさが有りました
素戔鳴尊さんも何度も会いに来て下さいました
そして不便な思いはしてないか?と気を遣ってくれました!
こんな見ず知らずの者の為に、こんなにも気を配ってくれるのか?と俺は胸が熱くなりました
そして俺は考えました
この地で俺は何を感じで、何を思い、何をすべきなのか?
だから鬼さん達を先ずは笑わせようと思いました
中々笑いのツボと謂うのが解らなくて、笑ってはくれなかったけど、パフォーマンスをする俺を見て笑ってくれました
そして歌を歌えば、拍手をくれました
忘れてた……と言うか、生まれて初めて何の駆け引きもない人達との触れ合いでした
毎日が楽しくて仕方がなかったです!」
「鬼ちゃん達も楽しかったと言ってたわ
あの世界には音もないし、笑いもない
死者を管理して、魂は罪の数だけ贖罪をしながら架された罪を償う労役をする
そう、彼処は通称地獄と謂う場なのよ!
中々生きたまま行ける人はいないから、良い体験したと思ってね
そして人は生きてるだけで罪を課しているのだと想いなさい
放った一言が相手を傷つければ、其れは罪を重ねる事になる
全ての罪は、死した後に架せられる
そう言う場所なのよ!」
「最初は何故俺は此処へ連れて来られたのか?
解りませんでした、だけど日々を過ごすうちに、俺は自分の本質、自分の………弱くて認めたくなかった部分と向き合いました
鬼さん達は黙って俺の話を聞いてくれました
鬼さん達は『俺等は生まれた時から魔界で、食う為に地獄の仕事をやっている
仕方ないからやっていた
だが、聖神が貴方達は人の魂の再生に力を貸している仕事をしてるのよ!
誇りなさい!鬼である事を誇りなさい!
と言ってくれたんだ!
俺達は鬼でいて良いと言われたのが嬉しくてな
聖神の頼みならば何でも聞いている!
お前は聖神に連れて来られたからな、お前が何か掴んで帰ってくれたならば、俺等は其れだけで嬉しいんだ!』と言われた
俺は何処かで過去を哀れんでいた
そして過去を突き付けられ受け入れられたい想いが………姑息な行動に走らせた
莫迦だと思った
こんなにも自分は莫迦なのか………と自己嫌悪した
だけど俺は…………もう迷わない
無い物強請りは止めます!
そう結論に達しました!」
早瀬は思いの丈を全て話した
烈は「そう………」と答えただけだった
「貴方への信用は地に落ちました
だけど俺は此処から………今日この場から這い上がり、勝ち取って逝くつもりです!」
「ならば8月30日31日の仕事は決定ね!
竜ゅー馬、千秋たんに伝えておいてね!」
「了解っす!話が付いたなら戻るっす!」
「そうね、スカウトキャラバンが先だもんね!」
「エイセイが訓練先から戻ってる頃っすね!」
「あ~ヘトヘトね!」
烈は笑って立ち上がった
そして3階の部屋を出て2階に戻った
竜馬は2階の部屋をノックすると神野がドアを開けた
神野は烈を見ると「烈!」と言い抱き締めた
烈は笑って「千秋たん!」と真野を呼んだ
真野は烈に呼ばれ「何ですか?」と問い掛けた
竜馬は烈をバリッと神野から剥がすと、ソファーに座らせた
「早瀬の仕事沢山入れなきゃ食えないわよ彼!
今月は給料ないだろうし、仕事させなさいよ!
そして8月30日と31日はRODEOÑ Strong Hiのたっての希望でコンサートに出しなさい!
ギャラは幾らか出す様に交渉してやるから!」
「了解したよ!スカウトキャラバン沖縄をテレビで見た人達からは暖かい応援の手紙も事務所に届いてるし、幾つか仕事も入ってるから仕事させるよ!」
「千秋たんに任せておけば大丈夫ね!」
「任せておいてよ!」
「三社共同事務所のマネージャー業の応募しなさいよ!マネージャーって唯仕事させておけば良い仕事じゃないのよ!
時には営業もかけなきゃだし、タレントの管理もしなきゃならないのよ!
だから業界は常に人材不足なのよね!」
柘植は「それ話していたんだよ!最近は偉そうな事務所も潰れたから仕事がスムーズに入って来ているからね!
タレント増やすならマネージャー増やさないと回らないねって話していたんだよ!」と話すと
須賀も「だね、此れから若い子達も活躍して行って貰うのを考えると今のままでは回らない
事務関係は阿賀屋様からの徹底した教育で、変わったけど、マネージャー業はね、増やさないと回らないねって話していたんだよ!」と謂う
相賀も「三社共同の方もタレントが増えて管理も大変になって来た
三社共同の方の事務員とマネージャーを増やさねばと思っているんだよ!」と謂う
「ならばスカウトキャラバン終わったら、大々的に人材募集やるしかないわね!
竜ゅー馬、YouTubeのチャンネル立ち上げに協力してあげなさいよ!」
烈が言うと竜馬は「了解っす!」とやる気になっていた
それを聴いていたオリヴァーは
「ならば、プロの本気魅せてあげるよ!」と不敵に嗤った
竜馬は「オリヴァーさん、貴方は出なくて大丈夫ですってば!早くイギリスに帰りヨニーの社長してなよ!」と謂う
オリヴァーは「夏季休業は一ヶ月あるんだよ!
還るのは9月なの!其れまでにやるから!」と燃えていた
ヘンリーは「その前に東京オーデションだってば!」と謂う
横浜に還って休む日まもなく始まるオーデションだった
英生がオフィースビルにやって来ると、イベントの本業をやっていただけあって設営とかは詳しかった
図面を見て「此処はこの製図だと四角になるよ?」とか「此方の方が良くないかな?」とか現場にいた者のアドバイスをしてくれるから重宝された
烈は英生に「エイセイ、三社共同事務所のYouTube取り仕切ってくれる?」と言った
英生は「え?YouTube??」と驚きの声を上げた
「そう、YouTube、マネージャーとか企画、構成、等の資格持ちも募集するから、其れ等をYouTubeで説明して、人材を集める為に一役買って欲しいのよ!
如何に人を惹きつける仕事をするか?
カメラを相手に魅せて欲しいのよ!」
烈が言うとデービッドは「リーダームチャ振りしてはるがな………」と慌てた
イーサンも「沖縄から貰って来てまだ日にちも経ってない子にムチャ振りし過ぎだよ!」と執り成した
烈は「マルチタスクな奴を育てたかったのよ!
この先を見据えるなら、歌さえ歌ってれば良い!みたいな奴は飽きられちゃうわ!
まぁアーティストなら歌さえ歌ってれば良いんたけど、其れでも日々彼等も努力してブログ更新したり、YouTube駆使したり、グッズを作る為に企画したりアイデアを考えたりしてるのよ
ボクは世界を見据えてるから、中国語とか韓国語、ドイツ語、ロシア語なんかも追々教えて行くつもりよ!
世界のコンサート考えるなら言葉は武器になるからね!」
竜馬は「烈はトリリンガルだったわ!」と今更ながらに思い出し言う
英生は「え?烈………3カ国以上話せるの?」と呟いた
烈は「まぁボクは本場へ行き会話を叩き込まれたから、話せるだけよ!
後 仕事の為ね、話せないと仕事すら出来なかったから!
今の規模にするまで出稼ぎは当たり前だし、金の為なら何だってしたわ!
あ、人殺しはしてないから安心してね
言葉はね生活の中で培った武器として使っているのよ!今も錆びてなんかいないからね通用すると想うわ!」と話す
「会社って飛鳥井建設だよね?
犬小屋からビルまで御用命下さい飛鳥井建設の、建設屋だよね?そんなに言葉喋らなきゃ駄目なの?」と驚いて聞いた
「社交界デビューするならば、最低限の言葉を話さなきゃ足元見られるのよ!」
「上流階級の家って大変だな………」
「え?何処の家の話してるのよ?」
「烈んち!」
「うちは一般的な家よ!
上流階級の人間なんかじゃないわよ!
肩凝るのよ、上流階級の奴等って!
上品ブッてるのに腹の中真っ黒でさ、ならば我が家は上流な所作は教え教育は教えるけど、中流階級の人間でええやん!と謂う事になってるのよ!」
「何か………金持ちって面倒なんだね!」
「金はひけらかす道具じゃない
其れ知らない莫迦が多いからね
うちはそんな莫迦出さない為に日々生活目線を世間一般にしてるのよ!
金に目がくらんだ奴等の末路は何時の時代も同じなのよ!
成金と本当の金持ち、何が違うか?知ってる?」
英生は考えたけど何が違うか?解らなくて答えられなかった
「良いわ、近い内に摂家五家 近衛に行くから連れて行ってあげるわ!
其処で本当に金持ってのを見せてあげるわ!」
烈が言うと竜馬が「あの品格は真似が出来ないからね!」と言う
が、やはり英生には理解出来ないでいた
烈は笑って「エイセイはボクが連れ歩くから、その中から何かを考え何かを模索行ってくれたら良いのよ!
人に言われて何かするのはロボット程度の奴なのよ、ボクはそんなの望んでないから!
世界を見据えた先までを、貴方が考えて動き出してくれるならば、ボクが貰った意味があるのよね!」と話す
英生は何も言わず頷いた
烈は笑って「花柳流の稽古はどう?」と問い掛けた
「もぉね、体バキバキだよ!」
「日ごろ使わない筋肉だからね!
英生、早瀬を連れて明日からは一緒にレッスン受けなさい!
千秋たん、英生も乗せて行ってね!」
真野は「了解だよ!烈!」と言う
そして「英生は今 花柳流だけ?」と問い掛けた
其れには竜馬が答えた
「エイセイは由香里、ボイトレ、花柳だね!」
「フルコースか………早瀬はその合間に仕事やらせるよ!」
「頼むわね、何たって無職だからね今!」
真野は苦笑して「了解!」と答えた
次の瞬間からはスカウトキャラバンの話に入り、イベントの話をメインにした
本番は翌日になっていた
夜になり武道館入りして設営
そして迎えるスカウトキャラバンin東京
東京予選、そして翌日最終予選
其れで決定した後 イギリスへと向かう
その為に鳳城由香里は倭の国にいるのだ
まぁ孫に会いに来たってのもある
倭の国でのレッスンは最近 弟子に任せていた
当然由香里も定期的に見に行きレッスンの出来を確認する
そんな感じてイギリスと倭の国と半々で過ごしているのだ
英生のレッスンは倭の国の弟子が引き受けてくれる事になっている
8月20日
スカウトキャラバンin東京 当日
烈と竜馬は今日も真っ黒なスーツを着ていた
この日も30名の子がパフォーマンスを披露する
観客がゾロゾロと会場入りをする
其れを烈と竜馬はステージの上で待ち受けていた
RODEOÑとStrong Hiも左右におかれた楽器を持ち待ち受ける
観客は「きゃぁー!」と歓声の声を上げた
烈と竜馬の左右には【R&R】のメンバーも同じ黒のスーツを着て立っていた
スーツを着た早瀬頼朝がマイクを持って出て来ると
観客に一礼、烈に一礼して前に向き直った
「本日は遠路遥々三社共同事務所スカウトキャラバンin東京へお越し下さり、ありがとう御座います!」
と言い深々と頭を下げた
そして姿勢を正すと
「今日の企画構成は【R&R】
そして特別ゲストは【R&R】です
其れでは今日の審査員をお知らせします!
【R&R】、三社共同事務所社長各社、鳳城由香里、一条隼人 キャン芸能事務所の社長 喜屋武則義社長、そしてサッカー選手の中澤広大さん以上の方々です!
其れではスカウトキャラバン始まりです!」
早瀬の言葉でスカウトキャラバンは開始された
この日の30名は粒揃いの子達だった
その中でも女子高生5名組のパフォーマンスが光っていた
そして男子高校生3人組のブレイクダンスが光ってた
烈は「あぁ言うダンス系は沖縄が多いと思っていたんだけどね………」と呟いた
竜馬も「だね、沖縄の子達ダンス系一人もいなかったね………」と思い出し呟く
ヘンリーは「アクロバットなパフォーマンスは見ていて気持ちいいけど、使い道を考えたら一発屋的な要素しかない………今後を考えないと……だね!」と言葉にする
イーサンは「リトルグリーンモンスター意識してるのか?ハモリは上手いけど二番煎じは……」とボヤいた
サムエルは「イケメンやと相当思ってるのか悦に浸ってキモいだけやわ!」と辛口
ダニエルも「派手だけど中身ないの多いな!」と辛口
デービッドも「使い道を考えればあるけど、其れだけやな………」と半ば嫌気が来てるのか?投げやりだった
25人位そんな感じで、26番目の子に一同釘付けになった
「三島晴人です!」と名乗った子のパフォーマンスは最高だった
烈は「この子、あの秋野修造の息子よ!」と、【R&R】企業向け調査会社からの報告書を見て知った事を口にする
神野は「秋野修造………その息子なのか?
何故父親のコネで出ないのかな?」と疑問をくちにする
小鳥遊は「親父のコネなんか使いたくないんだろうね!反骨心なのか?それとも実力を確かめてるのか?」と呟いた
秋野修造は舞台系の俳優さんで既に大御所寄りにいた
皆其々のパフォーマンスを披露して、この日のスカウトキャラバンの応募者のパフォーマンスは終わった
最終予選に出場した者を早瀬は発表した
「最終予選に歩を進めたのはステグマ、マリオネット、愛川麗美 三島晴人 三輪藤吾 寒山弘道の六組です!
明日の最終予選頑張って下さい!
そして本日のサプライズは、RODEOÑ Strong Hi エイセイ 早瀬によるSTARTです!」
そう言いSTARTを歌い出す
早瀬は泣いていた
泣きながら歌う早瀬を英生は肩を組みながら歌った
早瀬が英生の顔を見ると、英生はニコッと笑った
とても優しい笑みだった
英生の容姿を見れば……多分この子は自分より苦労して来ているのだと察する
この倭の国で、他国の血の入った子が育つのは自分が想像する以上に苦労はあるのだろう………
そんな事を考えつつ、STARTを歌い、その日のスカウトキャラバンは終わった
そして早瀬はマイクを持つと
「此れにて本日のスカウトキャラバンは終了と致します!
明日は最終予選、各社にスカウトされる子達が選ばれます!
明日の最終予選、悔いのないパフォーマンスが出来る様に皆さんで見守っていて下さると嬉しいです!」と言葉にして締めくくった
烈達はその日は近くのホテルに泊まった
烈はRODEOÑとStrong Hiに
「エイセイはノーギャラでも良いけど、早瀬はギャラを払って欲しいのよ!」と言った
2グループはマネージャーを呼び寄せ話をした
マネージャーは「何方もギャラはお支払い致します!」と言った
烈は「エイセイはボクんちで生活してるから、仕事してくれる分はボクの方から出してるから良いけどね、早瀬は仕事していなかったからギャラ出して欲しいのよ!」と伝えた
マネージャーは「無論です!お支払いさせて貰います!エイセイさんの方はならば謝礼程度ですが、お支払いするので受け取って下さいね!」と伝えた
英生は頷いた
そして迎える8月21日
スカウトキャラバン最終日
沖縄から始まったスカウトキャラバンは、この日終わる事となる
三社共同事務所の新しいタレントが生まれる日だった
早瀬はマイク持つと、観客に深々と一礼した
そして審査員席に一礼
「遠路遥々お越し下さいました観客の皆様
本日 三社共同事務所の新しいタレントが誕生いたします!
スタート地点に立てられる人間はほんの一握りの人しかいない
そして磨かれプロとして皆の目の前に立てられる人間も、ほんの一握りの人しかいない
此処で選ばれたからと言って終わりではない!
此処から始まりなのだと僕は言いたい!
そんなスターの誕生の場に立ち会えて、本当に光栄です!
其れではスカウトキャラバン最終予選始まりです
エントリーされのは沖縄から
雑賀海鈴 比嘉里奈 具志堅勝志 勝頼正宗 轟 蓮二 喜屋武兄妹 仲間海人 東雲柊哉
東京からは
ステグマ、マリオネット、愛川麗美 三島晴人 三輪藤吾 寒山弘道
以上の14組です!
其れでは始まります!」
そう言い早瀬はステージ裾に走って行った
泣いても笑っても、この日で全てが決まる
皆 更に練度を上げたパフォーマンスを繰り広げられた
喜屋武社長は前日入りして東京に来ていた
この日は翌日オーデションと謂う事で、飛鳥井には招待はしなかった
オーデションが終わると飛鳥井へ来て貰う事になっていた
前日に一万円づつ会費として徴収して、榊原に渡してあるのだった
だから最高のお持て成しをしてくれる事間違いなしだった
ホテルで泊まるのは寝床が変わるから、烈はあまり好きくなかった
竜馬も右に倣えで、ホテル生活は無理だと自負する位嫌だった
そんな思いの中、かなり練度の高いパフォーマンスか繰り広げられていた
ブレイクダンスを主流としていたグループ、ステグマはこの日ダンスに切り替えてアイドル張りのバク転や息の合ったダンスを披露していた
女子高生グループのマリオネットは、更に磨いて寸分違わぬダンスを披露した
鳳城由香里は瞳を輝かせ
「めちゃくそ鍛え甲斐がありそうやんか!」と言っていた
やはり東雲柊哉は今日もクセが強かった
顔が悪いとか、演技やパフォーマンスが下手、とかではなくいるだけでクセが強く目立つのだ
そのクセの強さは………後に続く者を圧し折るから、映画とかドラマとかでは絶対に使われないタイプなのた
その昔の 高校時代の一条隼人の様なモノと言えば分かりやすいか………
烈は「あの垂れ流してるクセだけ直れば考えられるんだけどね……」と謂う
ヘンリーは「ならは血反吐を吐いて貰うしかないか!」と謂う
【R&R】のメンバーは頷いた
総ての出場者の演目が終わると、協議に入った
泣いても笑っても今日が最終オーディション
神野達は協議を重ね擦り合せをする
そして三社共同事務所からスカウトすべき者の名前をプロジェクションマッピングに映し出した
神野 Ever yous芸能事務所
喜屋武流二 勝頼正宗 ステグマ
柘植 Effort芸能事務所
喜屋武陽菜 雑賀海鈴 三島晴人
須賀 Effot芸能事務所
喜屋武則人 比嘉里奈 寒山弘道
相賀 三社共同事務所
仲間海人 三輪藤吾 マリオネット
キャン芸能事務所
轟 蓮二 具志堅勝志
東雲柊哉は【R&R】預かりとなる
そう発表された
事前に轟 蓮二と具志堅勝志は沖縄で活躍したい!との要望を聞き入れキャン芸能事務所が取る事は決まっていた
烈はステージの上に立つと
「どうですか?貴方達は事務所に選ばれた
その事務所で奮起してやる気は有りますか?
決めるのは貴方達です
この先へ進むのも貴方達です
貴方達のやる気次第でデビューを手にする機会も有るかも知れない
だけど、貴方達がそれなりに過ごすならば、それなりの未来しかない
希望も夢も現実も掴むのは自分達で、他の誰かでもない
自分がスターになりたいと想うならば、その未来に親は介入させるべきではない!
貴方達はこの場をスタートとして、己の足で立ち、己の力で前へ進み、掴み取って下さい!」
と一礼して前を見据えると不敵に嗤い
「東雲柊哉、貴方はクセが強過ぎる
貴方の鼻っ柱を圧し折り、叩き込むつもりだから、そのつもりでボクに着いて来なさい!
この先、進むのは地獄よりも厳しい修羅の道となるかも知れない
だけどその先に………その果てに、貴方の未来は絶対に続いていると言えるわ
決めるのは貴方
進むのも貴方
どうしたいか?考えて答えなさい!
ボクはその答えを待って貴方を果てへと突き落とすと決めているのよ!」
東雲柊哉は嗤っていた
こんな楽しい事はない
退屈しない時間が味わえるならば、其処へ行きたいと想う
退屈だった
やろうと思えば、大概の事は出来る
出来ない事はない
そんな自分を地獄に突き落とし、修羅の道を用意すると言うのだ
東雲柊哉は「望む所だ!」と受けて立った
本当に何処までも烈好みの男だった
早瀬はマイクを持つと
「三社共同事務所スカウトキャラバンは此れを持って終わります!
皆様 見守っていて下さりありがとう御座いました!
この日 選ばれた者達はチャンスを掴み必ずや皆様の前に立つ日が来ると想います!
楽しみに今後を見守っていてやって下さいます様にお願い致します!」
そう言い深々と頭を下げた
そして顔を上げると
「既に報道各社で御存知の事だと思いますが、RODEOÑ Strong Hiの倭の国での公演が8月30日31日に横浜国際総合競技場にて開催する事が決定致しました!
今の所 映像各社からの依頼はないとの事なので、この機会に奮って依頼下さいます様にお願い致します!
そして今夜は一条隼人も参戦して果ての旅路、苦難 希望 そしてSTARTをメロディーで歌います!」
早瀬が言うと英生と隼人も姿を現した
隼人が英生と歌うのはこの日が初めてだった
メロディーで歌い始めると、鳥肌が立つ程に凄いハーモニーとなり観客は言葉もなく見ていた
メロディーが終わると英生 隼人 早瀬は深々と頭を下げた
RODEOÑ Strong Hiも頭を下げ、そして手を繋ぎその手を上に上げた
隼人は「ありがとう!」とマイクもないのに叫んだ
早瀬も英生も「「ありがとう」」と叫んだ
そして繋いだ手を下げて頭を下げた
そして手を離すと手を振った
ステージの幕が下がり、スカウトキャラバンは幕を閉じた
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