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第54話 果てへと続く為に ❷
康太は「嘘、バッキンガム宮殿の地下に……彼奴姿を現しやがったのか?
結界も弱まって来たって事なのか?」と信じられなくて呟いた
ラルゴは「それは知らん!が、現実は彼奴が姿を現し、我等も烈も傷付いた、と謂う事だ
オーディーンは、未だに創造神の所で癒されているそうだぜ!」と謂うとクーがやって来て
「オーディーンまだ駄目か!
仕方ないな、あの方は兵藤貴史やシャルロット、竜馬を護る為に自らの身体で壁になっていたからな!」と答えた
「オーディーンでそんな感じなら、熱出て当たり前やんか!
この前の自爆の怪我だって完治してねぇのに…
んとにクソ野郎が来やがったのか!」
と腹立たしげに答えた
暫くして榊原が戻って来て
「烈は取り敢えず熱が下がるまで入院とりました!」と伝えた
康太はラルゴから貰い受けた薬を榊原に渡した
「此れを烈に飲ませてくれ!」
慎一は烈の部屋に行き、入院の準備をする為に、バッグにパジャマや洗面道具を入れた
榊原は慎一に康太から渡された薬を渡し
「此れを烈に飲まさて下さい!」と言い渡した
ラルゴは「んなら伝えたからな!またな炎帝!」と告げて姿を消した
病院へ連れて行った烈は、熱が結構高くて入院となった
【R&R】のメンバー達は皆 倭の国へと戻って来ていた
RODEOÑとStrong Hiは飛鳥井の家に食費を払い居着いていた
クーは「さぁ宴会や!客間に行きデリバリー頼もうやないか!」と謂う
ルーも「ならば食器とコップ運ばねば!」と言い走って行く
スーも「蒼佑はん、奢り頼みますわ!」と謂う
阿賀屋は「紫園、飛鳥井の皆様に奢って差し上げなさい!俺は皆様に美味しい酒を屋敷から運ばせる!」と謂う
烈不在ならば、皆で協力して盛り立てると決めていた
紫園は「みかちゃん、皆何を食べたいかな?
どんな料理なら喜ばれるかな?」と御影に相談して、助け舟を出して貰おうとする
御影はタブレットを取り出すと、瑛太や清隆もタブレットを覗き、神野達も仲間に入り、あ~これ食べたいな、とか決めて注文をした
神野達はヨニー©イギリスで仕事をしていた烈より早くイギリスから帰国して来ていた
イギリスでは別行動だった
鳳城由香里に送り届けてから、烈とは連絡が付かなくなった
だから飛鳥井の家で待っていたと謂うのもあるのだ!
が還って来た烈の怪我を見て、何時やったの?何したらどうなる!と思った程だった
瑛太が「烈が退院して来たら、盛大な快気祝いをせねばなりませんね!」と謂うと
神野も「なら俺らも協力するぜ!」と謂う
清隆が「烈が退院して来たら盛大にやるからその時は、烈の好物で満たしてあげたいね!」と謂う
玲香は「但しヘルシーなのに限るぞよ!」と謂うと皆笑った
皆で協力してデリバリーを頼み、お酒を飲む
外は鈴虫や虫が鳴いて秋の始まりを告げていた
烈は中々熱が下がらず、やはり3日入院した
ラルゴから渡された薬を飲ませねば、もっと時間が掛かったかも知れない
RODEOÑとStrong Hiは、【R&R】にステージの企画構成を頼んでいた
が、リーダー不在と謂う事で…………動かないのが【R&R】だった
特に竜馬、リーダーがいなきゃ話さえ耳を貸さない
3日後、烈は退院して来た
其処からの巻きが早いのが【R&R】だった
8月21日のスカウトキャラバンを終え、チケットを確保した後、イギリスへと旅立った
このまま兵藤の件を放置も出来ないし、そろそろ第1王女の想いに発破をかけて玉握り潰す位の気概に火を点ける為でもあった
そして兵藤とシャルロット、兵藤夫妻と正義と閣下を呼び寄せ
兵藤とシャルロットを地下に放り込み、とんでもないアクシデントで、烈を始めとする者は傷を負った
が、怪我でスケジュールを頓挫する訳にも逝かず
翌日 話し合いをした
話し合いはまぁ何とか【合意】と謂う事でケリを付け、話し合いを終えてその日の晩に帰国
が、14時間以上のフライト時間を掛けて、倭の国へ帰国して来た時には26日は過ぎていた
で、烈が3日入院したから、8月29日だった
烈は入院中に竜馬や【R&R】のメンバーを集めて、RODEOÑとStrong Hiの舞台構成に着いて話し合った
「ただ並んで演奏しても仕方ないわよね?」
軽くジャブ程度の話をして来るから
「だね、左右で分けちゃう?」と話す
「左右なら沖縄でやってるじゃない!」
「なら上下…………難しいな!」
「あの会場 広いじゃない
中央まで通路でステージ作れるじゃない!」
「あ!観客により近い皆に特設ステージ!」
「そうね、左右に楽器は仕方ないわよね
バンド二組が同じステージに立つんだから!」
「ならば特設ステージ!どっちかの歌の時だけ渡れる様にしたらファンは楽しいだろうね!」
「で、プロジェクションマッピングを会場中に仕込んておけば当日はファンも何処から見ても歌ってるシーン見えるから楽しいだろうしね!
但し、竜ゅー馬、協賛に【R&R】の名前入れる様に頼むわね!
後 早瀬のギャラ!」
「了解してるよ!ヘンリーがリアルタイムで実況してるからね!」
「なら大丈夫ね!」
と準備万端で退院した訳だった
そして迎える8月30日31日のコンサート
RODEOÑとStrong Hiの合同コンサートが火蓋を切って落とされた
烈は「エイセイは貸すわよ!でも用法用量間違えて失敗しても、ボクは責任は負わないからね!」と念を押した
マネージャーは「それは当たり前です!もし失敗したのならば、其れは2グループが未熟だったとしか言えません!」と断言した
マネージャーに確約を貰い、始まるコンサート
曲目は烈チョイスだった
第一曲目の曲はStrong Hiのroar(絶叫)と謂う曲から飛ばして始まった
前半 六曲は、かなりイカしたバードなビートで熱狂した
後半 六曲はスローな歌で聴かせた
I miss youをエイセイと共にRODEOÑは歌った
エイセイの掠れた低音が物悲しく響いた
その次にStrong HiのLovin youを歌い上げた
エイセイは誰かを愛した事があるのか?
胸が痛くなる程の想いを込めて………愛を歌った
そして早瀬と共にredoと謂う歌を歌った
redoと謂う曲はやり直しと謂う意味の英語だった
其れを烈はこの日RODEOÑとStrong Hiに託したのだった
早瀬と歌うならば、この歌を歌って!………と。
RODEOÑのアーティストは歌う前に
「この曲は【R&R】リーダーとサブが早瀬の為にプレゼントしてくれた曲なんだよ!」と謂うから早瀬は感極まって歌ってる最中に泣いた
泣いて………泣いて………泣きながら歌った
全 12曲
総て歌い切りラストは特設ステージで肩を組んで絆を歌った
この日のコンサートの様子はWOWOUとディスティニープラスで放送される事が決まっていた
取材クルーも撮影を申し出て、かなりの謝礼を戴いた2グループは総ての謝礼を飛鳥井の家に持って行った
RODEOÑマネージャー エドワルド
Strong Hiマネージャー ウィル
は、辞退しようとする家族を尻目に
「「貰って戴かねば、我等は帰国は許されぬ!
我等を倭の国で留めるおつもりか?」」と謂われれば受け取るしか無かった
そしてマネージャーもスッカリ飛鳥井が気に入り、飲兵衛の仲間入りをしたのは言うまでもない
コンサート二日目 8月31日
この日はスローバラード始まりのトーク炸裂して
同時通訳をスクリーンに流して、観客も笑った
もっぱらこのグループの会話は【R&R】リーダーの話だった
そして後半を迎えラスト2曲と謂う所で、烈が姿を現した
半袖と短パンと謂う軽装で姿を現した
「あら?RODEOÑとStrong Hiのコンサート会場は此処かしら?」と突然出て来た
アーネストとジョージは「「リーダー!!」」と叫び声を上げた
烈は「煩いわね!お尻ペンペンするわよ!」とボヤいた
竜馬も姿を現し、その後ろを【R&R】のメンバーが姿を現す
アーネストは「リーダーどうしたのさ?出るなんて言ってた?」と問い掛けた
「良いじゃない!協賛してやってるんだし、其れにね……巫山戯た事をされ掛けてるから、この場を借りて五寸釘大の釘刺しとこうと思ってね!」
ジョージは「え?何があったのさ!
リーダーに巫山戯た事をするなんて、俺等も許さない!」と訴えた
烈は英生の手を取ると
「エイセイは、ボクの弟子で、彼は沖縄の芸能事務所の喜屋武社長から譲り受けた大切な子なのよ!
今は修行中の身だから、このコンサートにも貸し出ししたわ!
でもね、元のグループに戻すつもりも、況してやエイセイを迎え入れてプロデュースするなんて話も持ち上がってなんかないわよ!
誰がエイセイ弾いたグループに戻すのよ!」
と、身も凍る嗤いを浮かべ謂うもんだから………
観客も………水を打った様にシーンと静まった
「さてと、祭りはまだまだ終わらないわよ!
中断しちゃったからブッチギリで行くわよ!」と叫んだ
観客はわぁー!と叫んだ
其処からはアーネストとジョージと早瀬とエイセイが歌った
次がラストと謂う所で、烈は走ってステージの裾まで向かって消えた
そして一条隼人におんぶされて再びステージの上にやって来た
烈は隼人の背中から降りるとマイクを手にして
「今日はボク、家族で観に来てるのよ!
でね、やっぱボクのお兄ちゃんに歌って欲しいから連れて来ちゃったのよ!」
と可愛い、幼い顔で謂う
観客は拍手を贈った
アーネストとジョージは興奮して
「「隼人!!」」と喜んだ
そして皆で、遥かな想い、STARTを歌った
本当はラスト一曲だが、気を良くして歌い始めてしまった
エイセイを新しく迎えて、更に鳥肌が立つ程に感動を与えた
RODEOÑ Strong Hiの合同コンサートは、大盛り上がりの歓声が鳴り止まない中終わりを告げた
打ち上げは近くのホテルでやるつもりだった………が、料理を総て持ち帰りにして貰い、飛鳥井の家で打ち上げをやった
飲んで歌って騒いで飲んで、楽しい時間を過ごす
隼人は「有り難うなのだ!烈!」と礼を言った
結婚以来、パッとした仕事はしてなかった
隼人自身が結婚した事により、萎縮していた所為でもあった
其れがステージに上がり歌を歌い、歌が好きだと痛感した
演じる事は大好きだ
が、それと同じ位、歌も好きだと気付いた
烈は笑い「隼人にー、カニパンミュージアム、逝けなかったわ!
RODEOÑとStrong Hiがコンサート開いちゃうから………逝けなかったじゃない!」とボヤいた
隼人はニコニコで「秋休みに行くのだ!」と謂う
「約束よ!」「あぁ約束なのだ!」と約束しちゃっていた
そんな感じて烈の夏休みは終わりを告げた
まぁ少し前に終わってるんだけど、夏休み
そして9月に入り烈はCM撮影に入った
二階堂亜希と連絡を取るまでに、飛行機が空を飛ぶ情景や、雲の中へ突入するリアルな映像を、撮影しようと話し合った
そしてやはり一生に「ねぇカズ協力して欲しいの?駄目かしら?」と協力を願った
一生は「良いぞ!俺で出来る事ならば何でも言え!」と言ってくれた
「デルタス航空の飛行機の横や後ろ!乱気流に飲まれて飛行機が揺れる映像とか欲しいのよ!」
「おっ!前に話していたCMのヤツか!
良いぞ!協力してやる!」
「協力してくれる報酬として、北斗を秋休みに戻してあげるわね!」
「え?北斗、毎日ラインしてるし元気そうな顔は定期的に見せて貰ってる!」
「其れでも逢いたいでしょ?」
「そりゃな………でも北斗は帰国して大丈夫なのか?」
「あぁ、もう大丈夫よ!
キッチリと弥勒ゅがカタを取って、その件は片付いたからね!
でも留学させてるのはね、ほっ君を執拗に虐めていた奴がいてね、ソイツと離す意味合いもあったからなのよ!」
「え?それ………俺知らない………」
「あのさカズ………虐めの中に性的なモノ入っててね、そんな事父親や母親役してくれてるリキちゃんに言えると想うの?」
「え??桜林の悪癖………同性を性の対象にしちまう傾向あるからな………」
「そうよ、だから離したのよ!
ほっくん、帰国して来ても桜林には通わないし、大学も別の所へ行くし、しかも、もう追う事もないから大丈夫よ!」
「………烈……何かしたのか?」
「何もしてないわよ!
北海道のクソ田舎の宿舎に行かさないと、会社ぶっ潰す、位しか言ってないもん!」
それ十分言ってるって…………
一生は笑って烈の頭を撫で
「有難うな!」と呟いた
だから、余計頑張って飛ぶと決めたのだ
榊原は「父がやっても構いませんよ?」と少し残念そうだった
が、そんな榊原に烈は
「父ぉーさんの背中に乗れるのは、母ぁーさんとボクとレイたんだけだから!他は乗せないわよ!」と断言した
榊原は嬉しそうに笑って「君達ならば何時でも乗せます!」と言ってくれた
そんな一生の協力により よりリアルな空の旅の映像が手に入れられた
撮影中は、デルタス航空の飛行機の横を龍になった赤龍が【R&R】のメンバー乗せて飛んでくれたのだ
オリヴァーは俄然頑張り、撮影した
上空は凍える寒さだから、完全防備して赤龍の背に乗った
まぁ乱気流の中は………怖かったし、よりリアルな撮影が出来たと喜んだ
そして二階堂亜希を使った撮影の前に、烈は
「空の旅を演じるならば、飛行機がどれだけ安全で、快適な乗り物か?演技一つで魅せねばならないのよ!
そんな亜希ちゃんに特別に、よりリアルな安全を体験出来る様に、龍の背中に乗せてあげます!」
と言い、二階堂亜希は赤龍の背中に乗せられ空を飛んだ
飛行機が飛ぶであろう高さは一般的に39,000フィートあると言う
それよりはかなり低めに飛んではぐれているが………
体感温度は………肺も凍る程に寒く………そして揺れる
乱気流の中なんて……死ぬかと思う程怖かった
二階堂亜希は空の旅の安全性を肌で感じた
其処から撮影に入り、撮影はセットではなく実際の飛行機の中で、実際に飛んでいた
撮影の為だけに飛行機を飛ばしてくれたのだった
撮影の風景はYouTubeに乗せる事を約束して、カメラを固定させ撮影もさせた
編集した後にCMと同時に流す予定だった
赤龍に乗っての空の旅を体験した二階堂亜希は、それはそれは優雅に寛ぎ、機体のリクライニングの椅子を倒して珈琲を飲む
その姿だけでも絵になる
窓の外を眺める二階堂亜希は、珈琲をテーブルに置くとリラックスして背伸びをした
そして長い飛行機の旅だが機内は快適空間を味わえると演じた
乱気流に機体が音を立て揺れても、機内は変わらぬ空間を満喫していた
二階堂亜希は烈の期待する以上の出来栄えを魅せてくれ、感激のままクランクアップとなった
編集をして9月20日にアメリカへ納品しに行く予定になっていた
そして烈は大きなイベントを終わらせた後は、会社の行事を完遂させる為に燃えていた
9月1日は兼ねてから計画していた飛鳥井建設 飛鳥井施工、同時刻に避難訓練を開催した!
施工の方は副社長の飛鳥井凛太郎が総指揮を執る
かなり大規模な避難訓練をやる
事前に社員達には会社内の避難経路を渡してあった
烈はコンサートを終えたばかりだが、社員の前に立ち
「日頃の訓練の成果を見せて下さい!
避難経路は頭に叩き込みましたか?
此れより、社内は身体に影響はない白煙で充満されます!
火災もそうだけど、地震でも出火は必ずやある事を想定してます!
この白煙はこの会社の規模で、実際に起きたビル火災からデーターを取り再現しています!
其れでは良いですか?
当然火災が発生してるのでエレベーター、エスカレーターは使用は出来ないので、ちゃんと非常階段を使い避難して来て下さい!
ボクがスタートと言ったら開始です!
皆 無事に一階から外へと出て下さい!
其れでは飛鳥井建設 避難訓練スタートです!」
と掛け声と共に避難訓練は開始された
社員達は開始を各部署の中で聞いていた
開始の前にピル内は白煙に包まれていた
逃げようと扉を開ければ、其処から煙がどんどん侵入して来るのた
パニックになりかけた社員に瀬能和寿は
「落ち着け!避難経路は頭に入ってるなら、それを描いて落ち着いて足元に気をつけて進めば良い!」と叫んだ
愛染恭輔も「ハンカチを取り出して!鼻を押さえ進め!
パニックになるのが一番駄目な行為だ!
落ち着け!落ち着いて進め!」と声掛けした
城田琢哉は「瀬能が珍しいな!」と問い掛けた
瀬能は「深い深い意識の中、僕は烈に導かれ絶望から抜け出せた!
そんな烈のいる会社だから、社員達と一丸になり、ブッチギリのタイムで避難成功させたいんだよ!」と答えた
愛染と城田は「「なら皆を誘導して頑張ろうな!!」」と言った
皆は、冷静になれ避難経路を迷う事なく、全社員揃って避難完了出来た
烈は祖父と祖母の手を引いて、一階へと降りて来た
「ばぁしゃん、じぃしゃん大丈夫?」
「大丈夫だよ!」
「烈は怪我などしておらぬか?」
「ボクは大丈夫よ!」
暫く待つと榊原と康太が一階から外へとやって来た
その後ろには瑛太もいた
京香は菩提寺に初出勤となるから、会社にはいなかった
まぁ元々幼稚園にいて、会社には居ないんだけど………
栗田が転んだのか腕を押さえ、痛みに顔を強張らせながらやって来た
烈は駆け寄り「栗ちゃん大丈夫?」と問い掛けた
横にいた陣内が「すまん、俺が迷ったから栗田とぶつかった!」と謝罪した
栗田は「大丈夫だ!ぶつかった瞬間、壁に激突した……だけだから!」と謂う
か、烈は「大変!先生ぇーに診て貰わなきゃ!」と慌てた
康太は「烈!落ち着け!」と宥めた
烈は少し涙目になり
「母ぁーさん、煙幕使ったから怪我しちゃった」と訴えた
栗田は「煙幕の所為じゃない!陣内は方向音痴なんだよ!それ忘れてた俺等が悪い!」と言った
愛染も「陣内さん、会社リニューアルした時、何度部屋間違えた事か………この人壊滅的な方向音痴なんだよ!だから大丈夫だから!
今度は陣内さんには案内人付けないと駄目だね!」と謂う
康太も「忘れてたわ、最近じゃ統括本部長として、ちゃんとしてるから………方向音痴なのも、忘れちまってた!」と謂う
避難訓練が終わり、煙幕もなくなると烈は締めの言葉を口にした
「今回の避難訓練は………怪我しちゃった人いたから失敗です
皆 安全で、怪我もなく、迅速に避難出来ないと、いざと謂う時、その人から必ず被害に遭います
なので、日頃の避難訓練はとても大切です!
ヨニー©イギリスはロケットランチャーをぶっ放されましたが、社員達が日頃から避難経路を覚えていて、迅速に避難出来、シェルターへ逃げ込めたから竜ゅー馬以外は無傷で済みました!
常日頃からの訓練は皆の為に必要な事なので、避難経路は忘れないで下さい!
ボクからは………以上です!」
クシュンとして皆の前から離れる烈を目にして………社員達は胸が痛んだ
瀬能は「陣内許さざるべし!」と怒りに震えていた
陣内が悪いんじゃない………と言っても聞いちゃいないだろうな………と愛染と城田は痛感する
栗田は即座に康太と榊原の手により病院へ連れて逝かれた
そしてレントゲン撮りまくりで、肘にヒビが入ってる事が発見された
康太は「カルシウム食え!一夫!陣内が絶対に恨まれるだろうが!」と怒った
栗田は「すまん康太!カルシウム摂ってるんだが………おじさんはカルシウムの吸収悪いのかな?」と困り果て口にした
康太は即座に恵太に「一夫にカルシウムとなるもの食わせまくれ!骨にヒビ入ってやがった!」とラインした
するとラインを見た恵太からは電話が掛かってきた
『え!!バカっ!一夫!!恨まれるってば!何で今ヒビなんか入れてるのさ!』と返って来た
「恵兄………一応………伴侶やんか………」
『今の僕は烈命だから!
烈泣かせて怒ってるのに、ヒビ入ったなんて聞かれたら、社員全員敵に回しちゃうよ!』
「恵兄………労ってやってくれ!」
『解ってるよ!でもさ、僕達は烈に助けられたんだよ!恵美が姫巫女として菩提寺に行くと決まった時………近くに土地買って、ずっと傍にいよう!と決めたんだよ
なのに烈は、持ってる土地なんかとじゃ、比べモノにもならい程に立派な、菩提寺敷地内のマンションの部屋くれたんだよ!
それだけでも凄いのに………鍛錬さえ続ければ普通に学校に通い、普通に生活して、普通に恋して結婚しても良いって……言ってくれたんだよ!
一夫はもぉ何日も何日も泣きまくったよ
僕も………手放さなくても良いって聞いて安堵したんだ!そんな僕らの為に尽力してくれた烈を泣かせるなんて………僕も許せないんだよ!康太!!』
電話の向こうの恵太は泣いていた
『そして母さんとも今は普通にカフェで茶をしたりして過ごせているんだよ!
母さん、飛鳥井で働く様になったから、会える機会も増えたし、僕と蒼太兄とも気軽に会ってくれて、本当に感謝しても足らないよ
烈ね、時々カフェに父さんも連れて来てくれるんだ……時々兄さんも………伊織も時間が合えば茶をしてるよ!』
「え?伊織とも茶してるのかよ?」
康太は笑って問い掛けた
『してるよ、今度康太を誘ってくれるって言ってくれてるよ!』
「なら今度茶をしようぜ!恵兄!」
『あぁ、楽しみにしてるよ
それと………瀬能………治したの烈なんだって?
本人がそう言ってるよ!
烈の事が心底好きなんだよ!うちの会社の奴等は!無論 僕もね!
好きに図面引かせて貰ってるし、仕事で悩んた時は相談に乗って貰ってる!
だからね社員全員許せないんだよ!』
「恵兄、社員全員の気持ちは烈に伝えとく!」
『………有り難う康太………一夫の肘がヒビ行ったなら、仕事に影響出しちゃったらゴメン!』
「其れは陣内に頑張って貰うから大丈夫だろ!」
恵太は笑って電話を切った
康太は榊原に「我が家の末っ子は愛されてんな!」と口にした
その日の昼、社食を食べに食堂へ行くと…………
烈君 励ます食券入れ!と謂う箱が作ってあった
皆は態々食券を買って、その箱の中へ入れていた
綴で購入して箱の中へ入れる者もいる
食券の後ろに部署と名前を明記して箱に入れましょう!
と書かれているから皆 備え付けのボールペンで部署と名前を書いて箱の中へ入れていた
そして食堂で昼を食べていた陣内たが………
社員から冷たい視線を受けてしまっていた
すると榮倉真奈美がやって来て、食堂でお昼を食べてる社員へ向かって深々と頭を下げた
「皆さん!本当にごめんなさい!
夫は………子供の小学校へ迎えに行くだけで迷子になるので、一緒にじゃないと……辿り着けません
この人が絶対に迷わないで行けるのは、会社と飛鳥井の菩提寺だけです!
会社と菩提寺ならば絶対に迷いません!
今も道場に通い稽古を付けているのです
でも、他はサッパリ駄目です!
なので避難訓練大丈夫かしら?とは想いました
私が気に掛けて行けば良かった………
あの人も会社長いし大丈夫よね?と思った事が間違いでした!
本当に肘にヒビ入れた栗田さんには詫びても詫びきれません!
社員の方々にも、謝罪します!
本当に申し訳御座いませんでした!」
と言い深々と頭を下げた
陣内は「真奈美ぃ〜」と泣いていた
烈が其処へやって来て
「榮倉!夫の分の謝罪した?」と問い掛けた
榮倉は「はい!謝罪しました!」と答えた
烈は「陣内、次の避難訓練は妻に引率して貰いなさい!良いわね!此れは罰なんだからね!」と言った
榮倉は赤い顔をして「次からは迎えに行き待機します!」と答えた
「と謂う事で次は頑張るのよ!
次!誰かとぶつかったら…………」
「ぶつかったら?………」
陣内は顔を青くさせて聞き返した
「公開チューさせるからね!
皆の目の前で糸引っ張る熱烈なチューさせるからね!」
榮倉が「それは嫌です!絶対に嫌です!」と即答した
皆がドッと笑い出した
「沙織たん、チューよね?ディープなチューよね?」
烈が謂うと西村が顔を出して
「だな!遠慮するな!糸引きまくるディープなヤツをかましてくれて構わんぞ!」と言い切った
榮倉は「私が構うわ!」と怒って食堂を出て行った
西村は皆を見ると「昼からの勤務!更に気合を入れて励むのだぞ!」と言葉にした
そして烈と共に食堂を後にして、会社から還って行った
西村をケントの車に乗せて、向かうのは菩提寺だった
西村は顔を青褪めさせて何も言わなかった………
烈も何も言わずに、外を見ていた
西村は外を見つつ
「娘は…………」と言いかけて止めた
我が子の為を想い育てて来たが………
娘達の人生はずっと………暗い過去が付き纏っていた
今 傍を離れた今………西村はどうして良いか?解らずにいた
「ねぇ、沙織たん……」
「何………」
「唐沢は良い男でしょ?
今まで出会った中で一番マトモで、常識的で裏表ない男でしょ?」
「………だな………」
「最後の男として選びなさいよ!」
「それは無理だな………私は男を狂わせる何かを持っているのかも知れない………」
「それは違うわよ!沙織たんの元夫達は見かけ倒しのクズばかりじゃない!
そうね、ボクね最近ねイギリスに行ったのよ
其処で沙織たんの元夫に良く似たヤツ見たから、覚悟決めて握り潰しなさいよ!とアドバイスしといたわ!」
西村はクスッと笑った
「私の人生の最初の内に宗右衛門いたらな、また違っていたのにな………」
「其れは仕方ないわよね!
ボクは冥府の異空間に出来た闇の中へ葬り去られていたんだもん!
生まれて来る年に差があるのは仕方ない事なのよ
本当ならば神威と大して変わらない年に生まれる予定だったのよ
其れが……ボクの魂紛失させて………気紛れに戻したかと思ったら、にーに達の直ぐ後に生まれる予定だったに………流れて………闇に堕とされ………
もう駄目だと思った程だもの!」
「何か大変な目に遭わされ、今も命狙われてるんだもんな
お前に比べたら俺の悩みなんか………屁の河童じゃねぇかよ!」
「まぁ人の悩みなんて千差万別
その人が辛ければ、其れは誰かと比べ物になんかならないのよ!
で、唐沢と結婚しないの?」
「………彼奴………と私とじゃ釣り合わねぇよ!
結婚したいと言っても✘3の私とじゃ釣り合わない!」
「其れって反対する家族がいる設定よね?」
「設定???普通は家族いるだろ?」
「唐沢は親なし兄弟なし、まぁ………親と兄弟はいたわ
でも母とは死別、父親は再婚して、継母は父親の連れ子だった唐沢をいびり倒した
継母は本当にキツい性格で、唐沢を嫌って食べ物さえ与えられずに過ごして来た
唐沢の母親は保険金を沢山遺して死んだけど、唐沢が手にする事なく使い込まれていた
だから横領で告訴して両親は実刑判決を食らった
以来 親とは逢ってないし、生きてるか?死んでるか?さえ解らない
だから反対する親族なんていないわよ
天涯孤独なのよ、彼は!」
「…………嘘………」
「叩き上げで現場で働く唐沢を拾い上げて内閣調査室で働かせたのは三木敦夫
今じゃ三木敦夫の後ろ盾もなくなり、かなり苦労したみたいよ!
まぁ今は掃除してやったから、少しは働きやすいとは想うけどね!」
「…………私は………人を不幸にする……」
「不幸ねぇ……貴方さ自分で不幸呼んでるの気付かないと何時まで行っても不幸なままよ!
森紅緒ってタレントいたじゃない!
彼女は久遠先生ぇーと別れてからずっと不幸だった!まぁ半分は自分で不幸呼んでたから当たり前なんだけどね
不幸だと嘆く
不幸だと泣く
不幸だと自分を憐れむ
すると不幸の連鎖が始まるのよ
沙織たんが不幸なのは、自分が呼んてるからよ
娘が不幸なのは、母親から何も学ばかったからよ
顔だけとか、金持ちとか、表面しか見てないのよ
まぁ金がありイケメンなら釣れちゃうけどね
中身がないからクズばっかりなのよ!」
「耳が痛い………烈、おめぇ今日は容赦がねぇな!」
「悲劇のヒロインは似合わないわよ!
唐沢と結婚しなさい!」
「今度前向きに考えるし、彼奴と話をする
其れで………良いか?」
「まぁ許してやるわ!」
「其れより………娘は退院して何故に菩提寺へ行ったんだ?」
「働く為よ!子供を抱えて働く場を与えてやったのよ!」
「あの子は………世間知らずな子供だ………」
泣いてばかりいた我が子を想う
赤子を抱いているのに、辛い現状に悲観して………死にたいと口にして泣いていた………
「世間知らずは教えれば何とかなるし、生温湯につかれる時間は等に過ぎてるのよ!」
西村は言葉もなかった
車は菩提寺に到着すると、烈は車から降りた
そしてサクサク歩き保養施設の方へと向かう
途中 城之内がやって来た
「烈、謂われた通りに働かせてるぜ!」
「城之内、水萌元気になった?」
「あぁ、今じゃ前より元気に動き回ってるよ!」
烈はニコッと笑って「それは良かったわ!」と返した
其処へ太極拳の見張りしていた京香がやって来て
「烈、初出勤ですよ!」とジャージ着て木刀持った姿で来るから………西村は言葉もなかった
「ママ、初出勤はどう?やってけそう?」
「当たり前ではないか!
姉妹で盛り立てる楽巌寺!
このキャッチコピーで売りに出したらどうじゃ?」
「それ良いわね!タウン誌の取材受けさせようかしら?」
あまりにも楽しそうに話す烈と京香に西村は
「あの、京香さん何してますの?」と問い掛けた
京香は「私は9月1日から菩提寺の総管理者となった故、働いておるのじゃよ!」と答えた
「何故に木刀………」
「腰を入れて太極拳せずにケツ触ろうとするジィさんいるらしくて、桃香に持たされた!」
其処へ木刀を手にした姉妹がズラッと並んだ
どれも美人な姉妹だった
澄香は「エロジジィは愛の鉄槌よ!エロ流さずに気を流せ!ってね!」と笑う
西村は「菩提寺って妊婦多いのな………」と呟いた
しかも強い
芯の通った女達なのだ
桃香は「さぁ、姉さん達!怠けた奴いないか?見に行くわよ!」と謂うと姉妹は太極拳の方へと戻って行った
竜之介が赤子を手にして、西村の娘を連れて来た
西村の娘は母の顔を見ると笑顔になり
「母さん!どうしたの?」と問い掛けた
「貴方が退院したと聞き……心配で………」
保養施設の3階に場を移し、烈は西村と西村の娘を座らせる
竜之介は「子供は俺が見ておくから、ちゃんと話するんだよ!」と謂う
娘は「解りました!避けては通れぬ現実ですので、ちゃんと話します!」と西村と酷似した顔で言う
本当にこの親子は容姿がソックリなのだ………
娘は母に深々と頭を下げた
西村は「瑠奈………」と名を呼んた
「私、その名前は捨てました!
病院へ入院中に名前の変更しました
姉さん達も名前を変えて日野家に養子いりしてイギリスへ旅立ったとか?
私もそうしました!
私は………日野果歩と姓も名も変えて、夫から一生逃げ続けます!
その為に裁判所で手続きして、氏と名の変更を許可されたので、今は………その名じゃありません!」
と、退院するまでの経緯を口にした
イギリスへ行った娘達も、元夫から探られない為に、養子に入り名も姓も変えた
其れでイギリスへ旅立ち、今じゃ別人となり生活をしていた
今の日々が物凄く幸せだと、娘達からはラインを貰っていた
今まで使っていた携帯は処分し、イギリスで作った携帯からラインしてるのよ母さん
とラインが来て涙が出た
娘二人は別の人生を歩み始めたのだ
西村は「貴方が幸せならば………其れだけで良いの………」と言い涙した
気丈な母の涙は………物心付く頃から1度も目にした事はない………
母は血も涙もない冷徹な女なのだと思った時もあった
だが違うのだ
誰より傷つき
誰よりも我が子を愛したのは母だったのだ………
そんな事に今 気付いた
今までの私は何を見ていたのかしら?
果歩は母を抱き締めた
抱き締められた西村は驚いた顔をしていた
「母さん、名も姓も変わろうとも、私の母は貴方だけです!大好きです母さん!」
「…………っ!」
西村は嗚咽を漏らして泣いていた
今まで娘の目の前で、泣いた事はない
1人、夜更けに泣くのた
耐えきれずに泣くのだ
だか、朝になれば何時もと変わらぬ強がりな鎧を身に着ける
今ならば母は弱い人なんだと知る事も出来た
見なかったのだ
何も見ないから道にも迷う
果歩は母から離れると
「私も母親ですから、母さんみたいに強くなります!」と言葉にした
西村は「私は強くなんかないわよ!痩せ我慢して………一人で泣いてるのよ!」と本音を吐露した
「母さん、貴方が全身全霊賭けて護ってくれた愛は忘れません!
姉さん達とも話したんだけど、親孝行するから!
イギリスにいたって逢いには来れる
距離も時間も親子には必要なんかないのよ!」
「親孝行してくれるの?」
「そう、そんな母さんの結婚式、菩提寺で挙げてあげるわよ!」
「え?何をやったらそんな話になるんだ?」
「恋人いるんでしょ?
烈ちゃんが良い人よ、裏もなければ表は底抜けにお人好しな男よ
面倒な仕事してるけど、何年かすれば上へ上がれるわ
まぁ本人、現場好きな人だけどね!と言ってくれたわ!今度会わせて貰うから!」
「果歩………」
「母さんが歩けないなら、私が背中を押してあげるわ!
私は母さんの娘だもの!
そうやって………この先も繋がって生きて行くの!何か暗い長いトンネルを歩いてるつもりだった
出口なんかないトンネルに迷い込んだと想っていたら、逃げてたのね私は其処へ!
私は烈ちゃんが導いてくれた先に今、立ってます
もう二度と命を粗末にはしません!約束します」
「それが聞けただけで………安心ね………」
「母さん、姉さん達が帰国して来ると言ってるし、食事会しましょうよ!
勿論 唐沢さんもね!」
「あぁ………時間を作ろう……前向きに話をしよう!」
「それは良い事ね、さてと私は子供を受け取り仕事しなきゃ!」
「子連れで仕事してるの?」
「そうよ!桃香さん澄香さんだって出産にしたら抱っこして働くのよ!
京香さんも子供を抱っこして仕事してますから!」
果歩が言うと烈は
「え!!本当に一希連れて来てるのね!」と叫んだ
「眠ったから寝かせて太極拳してたんですよ!」
「あの子はボクの子なのよ!」
「え!烈ちゃんの?」
「まぁボクが作った子じゃないけどね、次代を継ぐ子だからね、ボクの子同然の立場の子なのよ!」
「そうでしたか!あのエロい赤ちゃんは烈ちゃんの子でしたか!」
「あのさ、ボクはエロくないからね!」
「解ってますよ!」
果歩は笑いながら立ち上がると、持ち場に戻った
西村はその光景を見ていた
果歩は竜之介から子供を渡して貰うと、せっせと持ち場へ戻った
竜之介はそんな果歩のサポートをさり気なくしてやり、子の面倒も見ていた
「飛鳥井の女は弱くはないのよ
そんな飛鳥井の女の傍にいる女も弱くはないのよ
だから沙織たん、肩の荷下ろしなよ!
貴方の娘はどの子も我が人生を歩み始めたのよ!」
「その様ね………何か………涙が止まらないわ!」
「そんな沙織たんの為に呼んでおいたわよ!」
そう言うと唐沢が烈に呼ばれて来ていた
「烈、用か?兵藤の事か?」
「違うわよ、ほら貴方の恋人が泣いてるじゃない!此処でキメるのよ!唐ちゃん!
でなきゃ貴方、生涯独身で、あ~あの頃は良かったな………と嘆いて四畳半の部屋で淋しく死んで逝くしかないからね!」
「それは嫌だよ!烈ぅ〜!」
「ならイカせまくって結婚して下さい!と絶叫させ塩でも吹かせまくって来なさいよ!」
「お前………本当に小学生か………」
唐沢が嘆くと背後から
「百戦錬磨の宗右衛門であるぞ!
泣かせたおなごは数知れず!
惚れたと包丁持って結婚迫られたのも一度や二度では収まらぬ宗右衛門であるぞ!
下の事ならば、宗右衛門の右に出られる者などおらぬて!」と謂う声が響いた
烈は眉を顰めると「真央たん!」とボヤいた
阿賀屋はヒラッと一枚の紙を渡すと
「ほら、床は用意してやった!
後は孕むだけじゃ!
生で勝負を賭けろや!唐沢!」と言いエールを贈った
唐沢は最高の笑みを浮かべると
「うし!頑張ってみるわ!」と言葉にした
紫園はそんな唐沢に紙袋を用意した
「ほら、そんなお前にアイテムやるよ!
1日丸々バイブでも突っ込んで、外して生で、蓋してバイブ!をやって孕ませてみろ!」とローションやバイブ、ディールドの入った紙袋を渡した
「有り難う紫園!」
烈はボッケから小瓶と錠剤を唐沢に渡すと
「飲む媚薬、塗る媚薬!プレゼントするわ!
人体に影響はないのは両親で確かめてるから大丈夫よ!」とエールを贈った
そして三人はハンカチを取り出すと、フリフリとハンカチを振った
唐沢は皆からの有り難いアイテムを受け取り、西村の手を掴むと離すもんか!と気迫で連れて行った
烈は西園寺維弦に「唐ちゃん腹痛で2日位休むわ!ついでに犯り過ぎで腰も痛めるかもね!
病欠申請しといてね!」とラインした
『畜生!俺も春が欲しい!
申請しときます!』
烈はニャッと嗤うと「孕むな!」と口にした
濡れ濡れのビチョビチョで子宮はカモーンな状態で精子を受け入れるってもんだ!
阿賀屋は「奢れや!烈!」と謂う
紫園も「あのアイテム揃えるのに、店員に誘われたり使い心地確かめません?と誘惑されて大変だったんだから!」とボヤいた
烈は「奢るわよ!此れから良い酒買って、ツマミも買いに行きましょう!
事務所で缶詰になって編集してるメンバーも喜ぶしね!」と言い慎一にラインした
そして家族や何時ものメンバーにグループラインを一斉に送信
「今日は蒼佑と紫園が一人の男の人生の応援してくれたので、そのお礼に宴会開きたいので協力お願いします!」
一斉送信のラインを受け取り康太は
『後でその一人の男が誰か視させろ!』とラインを返した
烈は「それなら垂れ流しで視られる様にしておくわね!」と返信
康太は帰宅して烈を視て大爆笑したのは謂うまでもなかった
その夜はかなり豪華なツマミと酒と料理を用意して皆で楽しんだ
兵藤から『お話をさせて戴きたいのですが?』とラインが届いた
「飛鳥井へ来るならば家族が聞く
それが嫌なら部屋を用意しなさい!」
『いいえ、皆に聞いて貰いたいので、お宅へ伺います!』
「今夜は宴会中だから明日ね!」
『了解しました!』
「なら明日午後7時に飛鳥井へ来てね!」
『明日 午後7時に必ずやお伺い致します!』
烈はラインを終えると家族に
「明日は宴会は入れないでね!」と伝えた
瑛太は「誰か訪問されますか?」と問い掛けた
「兵藤さんちの貴史君が、ご両親連れてやって来るのよ!」
烈が言うと康太が「面倒な話になるかんな、嫌なら部屋にいて良いぜ!」と言った
清隆と瑛太は「「見届ける事にします!!」」と答えた
玲香は「我は友を見届ける義務がある!」と告げた
京香は「ならば良いお茶、仕入れて来ねばなりませんね!」と謂うと英生が
「なら明日は皆で横浜橋通商店街へ行きましょう!俺、あの商店街、沖縄の市場みたいで好きなんだよな!」と謂う
烈は「たまには帰りなさいよ!キャンちゃん喜ぶわよ!」と謂う
「皆で逝くと決めてます!
俺は俺の道を確かめるまで只管走り続けます!」と謂うと家族は優しく英生を抱き締めた
そして楽しい時間を過ごした
竜馬は部屋に戻った烈の後を追い
「貴史、どうするんすか?」と問い掛けた
烈はパジャマに着替えて枕を持つとレイを迎えに行った
源右衛門の和室で寝る為だった
「もぉね賽は投げられたし、どうも出来ないわよ!」と答えた
「幸せな結婚、それを望むだけなのに………ね!」
「それが一番難しいのよ竜ゅー馬!」
「…………俺にはまだ難しいかな?」
「恋をしなさい竜ゅー馬!」
「愛じゃなく恋?何故に?」
「胸のトキメキを忘れちゃってるからよ!」
「あ~トキメキ、最近縁遠いや!」
レイは「とちめき、いいきゃら、ねりゅのよ!」と言うと竜馬は笑顔で「うっす!寝るっす!」と言いレイと烈と共に布団に入り眠りについた
こんな時間がずっと送れるなんて思ってはいない
だけど、少しでも一緒に過ごせるなら、共に過ごしたい
この時間はきっと自分に取ってかけがえのない時間となるのだから……
竜馬はそんな想いを噛み締めて眠りに落ちた
翌日は通常通りの仕事をして、夕飯を早めに取り
兵藤さん御一家を待ち構えていた
午後7時5分前に兵藤さん御一家は飛鳥井の家にやって来た
客間に通すと、家族や康太の仲間や、烈の仲間達がいた
上座に康太と烈が並んで座っていた
その前に座布団が3枚並べられていた
兵藤達は並べられた座布団の上に正座した
烈は「お話を伺おうかしら?」と問い掛けた
烈の顔を見ればまだまだ怪我が深く残っていた
兵藤は深々と頭を下げ、そして姿勢を正すと
「結婚についてお話に乗って戴きたいのですか?」と話を始めた
「結婚?式の事?家の事?」
「結婚そのモノについてです!」
「結婚すれば良いじゃない、何の障害もない
まぁ金銭感覚や一般常識は今まで以上に叩き込み、教え込まないと駄目かもね
姫の立場がない一般人になられるんだから!」
「普通の嫁入りと言う事で宜しいのですか?」
「まぁ王室離脱となるわね!
離脱したのに戻りたいと、父親にコンタクト取ってる何処かの王子様の様な事にならなきゃ、大丈夫なんじゃない?」
其処を突っつく!と兵藤は言葉もなかった
「ならば、嫁入りの準備をしたいと想います!」
「仲介人として安曇勝也を指名してあげるから、貴方は王室離脱する姫を支えて、結婚へ進みなさい!そして美緒たん、さぁ貴方は政治家の妻の何たるやを嫁に教えなさい!
速やかに警察署の横の新居に引っ越し、引っ越しが終わった後に、あの土地建物の譲渡を頼むわね
10月には取り壊しに入りたいのよ!」
新居を貰うならば、今住んでる場所は烈に返すのは当たり前の事だ
美緒は「烈………いいえ宗右衛門!新居を戴けると申すならば、今の家は当然譲渡の方向で神威さんに連絡を取り正式な書類はお作り致します!
ですが、今の家と今度の新居、どう考えても釣り合いませぬが?」と申し出た
「あ~新居気に入らないの?
嫁来ても良い様に完全二世帯住宅にしたのよ?」
「いやいや、宗右衛門!
あれを二世帯住宅と申すのは……お辞め下され!
アレはどう見ても飛鳥井程度の家族なれば住める住居ですし、あの敷地面積考えれば………今の家程度では………貴方が割を食うではないか!」
「ビルで食ってる飛鳥井の推移を結集して建てさせたのよ!
完全セキュリティ、避難経路、防犯システム
総てにおいて、飛鳥井の新居と釣り合いの取れる家でしょ?」
「宗右衛門!知ってて話を摩り替えるのは主の悪い癖じゃな!
んとに食えねぇクソジジィじゃよ!貴方は!
あんな兵藤の土地建物なんて資産価値ないのに、交換で良いよ!なんてのは酔狂だと申しておるのじゃよ!」
「だって美緒たんは、ばぁしゃんの大切な親友じゃない!」
と笑い宗右衛門の声で
「飛鳥井は人を大切にする家なのじゃよ!
人を大切に出来ぬ奴は、誰にも大切にはされぬ!
其れがモットーなのじゃよ!
飛鳥井の家訓じゃからな!
対価も見返りも求めぬ、其れが飛鳥井宗右衛門じゃからな!
まぁ少しの見返りは不景気な世の中だから貰うがな!土地建物と交換となる!
が、それだけじゃよ!
あ、玉藻の君よ!セコいとか申すでないぞ!
仕方ないのじゃよ!
飛鳥井もこの未曾有の不景気に飲まれ、出血大サービスしていたら明日はないからのぉ〜
ブツブツ交換になってしまうのは、許せよ!」
「宗右衛門、セコいとか申さぬよ!
玲香の傍におられれば……我は其れだけで幸せだと申そう!」
「なら交換じゃな!玉藻の君よ!」
「うし!交換じゃ!宗右衛門!」
烈と美緒のやりとりを………兵藤貴史は唖然として見ていて………
昭一郎は美しい妻を嬉しそうに見守っていた
烈は「ばぁしゃん、徒歩3分距離よ!」と謂う
玲香は「其れは嬉しいのぉ〜!家族と………共にいられ……友の傍にいられるのは………」と言葉にし
烈に深々と頭を下げ
「今日、我は鎌倉へ行って来た………
一陽が付き添って運転してくれ、逢いに行ったのじゃよ…………」とそう切り出した
「大じじと大ばばは結構普通に戻ってるでしょ?
久遠先生ぇーに診て貰った時は骨皮筋衛門だったけど、大分肉付きも良くなったとケアマネジャーが報告くれたからね
後 痴呆も安定してるって言ってくれてるから、ばぁしゃん見ても娘だと理解出来たし、良かったわ!」
「母も父も……我を見て泣いて謝罪していた
我は………両親に合わせる顔がなくて距離を取ってしまっていた…………
今後はこまめに逢いに逝くとする!」
「そうしてあげてね!」
「後…………弟とも逢って来た……」
「どう?かなり干上がって来てるでしょ?」
「主がそう言うから………弟と逢った瞬間爆笑してしまったではないか!」
「それはボクの所為じゃないわよ!」
「弟は………主が建てている医療ビルで仕事するのじゃな……」
「そうよ、総合病院と連携を取り、飛鳥井記念病院、総合病院、医療ビルの連携を完璧なモノにして、地域医療の体制を取るのよ!
その手始めとして村瀬産婦人科跡地には総合病院の分院となる西部総合病院の建設が始まるからね
でも村瀬の借金凄くてね、あの土地だけじゃ、借金チャラになる分だけの資産価値なくてね、住居の方も手放したのよ
ばぁしゃんの生家なのに………守れなくてゴメンね」
「別に………構わぬよ!
我は清隆に惚れて押しかけ女房になり飛鳥井へ来て………家も家族も捨てる想いで嫁いで参った
だから家など戻らぬつもりじゃった………
だから構わぬのじゃよ烈…………」
「今度からは姉弟仲良く大ばばはと大じじの見舞いしてやりなよ!
新ちゃんね、あの年で妻子失ったからね………
男鰥にウジがわくって言うじゃない!
医師がウジわくのは勘弁だから、連絡取り合って見張ってるのよ!」
「あの、新ちゃんって弟ですか?」
「そうよ、新太じゃないの?」
「新太ですけど、オッサンじゃからな………」
「良いじゃない!医療ビルもう時期建つし、そしたら真紀たんと切磋琢磨して病院を盛り立ててくれる筈だから!
そしてあの二人の医者は飛鳥井記念病院、総合病院と西部総合病院にも日替わりで勤務するわ!
今はね周産期医療も活発にして逝かないと、産院で産める所減って来てるからね
地域医療に貢献する為にも頑張って貰わなきゃ!
後さ………ばぁしゃんアデランスをプレゼントしてあけてね!
彼処まで干上がった医師は…………エロく見られちゃうからね!」
烈が言うと康太は大爆笑した
康太は最近、かなり干上がってる玲香の弟の写真を見せて貰ったのだ
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