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第57話 対談 幸せって………
その夜は楽しく飲んで、皆大満足な一夜を過ごした
翌朝 烈達は美容室へ行ったりして、髪を整え軽くメイクをして、メンバーは変装を完璧にしていた
烈は「スーツ、デルタス航空へ行った時ので良いわよね?」と聞いた
スーツは其れしか持って来ていなかった
竜馬が「それで良いよ!メンバーはレンタルでも可能だけどリーダーはそう言う訳にいかないし、そうなると揃えられないから仕方ないよ!」と謂う
スーツは一応、その日の内にホテル内のクリーニングに出しておいた
それを着て支度をしていると、何故かStrong Hiの皆もスーツを着て身なりを整えていた
烈は神野達に「今日は対談なのよ!終わったら美味しいの食べに出ましょう!
晟雅ゃ達も一緒に来れば良いのよ!
お迎えはバスだし8人増えても変わらないわよ!」と謂うと
イーサンは「それ良いね!ジョージにニューヨーカーしか解らない美味しい店に連れて行って貰おう!」と謂う
メンバーは喜んでいた
烈はスーツの下に、軽量の防弾チョッキを着ていた
メンバーはそれを横目で見て………何かあるのだと思いつつ楽しげに話をしていた
ジョージは「ならさ、凄いボリュームのダイナーに連れて行くよ!」と言った
烈は「アメリカでダイナーって謂うと、アメリカ料理中心の安価な大衆食堂を指すんだよね?
楽しみだわ、行ってみたかったのよ!」と謂う
阿賀屋も「あぁ、俺もダイナーは興味があったんだ!」と喜ぶ
支度をして皆で一階へ降りてフロント横のラウンジで座って待っていると、ヤンキースの職員 ヤングマンが迎えに来てくれた
「烈君、今日は本当にありがとうね!
フロントまで降りて来てくれたけど、対談はこのホテルの一部屋を借りてやるんだよ!
そしてこの方がバリー・マックレイ選手だ!」と紹介した
マックレイ選手は烈に手を差し出すと
「バリー・マックレイだ!宜しく!」とご挨拶した
烈はマックレイと握手をすると
「宜しく飛鳥井烈です!」と自己紹介した
ヤングマンは「其れでは部屋へ行きましょう!
貴方達、物凄い注目集めてますよ!」と謂う
烈は人集りが出来ているのを目にして
「あ!ヤバい!」と呟いた
物凄いスピードで人混みを掻き分けて一人の男性が「ファンです!」と言いつつ突っ込んで来る
物凄いスピードで来るから……ヤバいと警戒する
すると次の瞬間、アメリカ軍の隊員が烈の周りを取り囲み、突っ込んで来る奴の手を捻り上げ確保していた
その手にはやはりナイフが握られていた
隊長となる男は敬礼して「貴方の日常は我らが守ります!」と告げてくれた
烈は深々と頭を下げ、そして踵を返すとその場を離れた
ヤングマンは慌てて烈の後を追った
そして対談の部屋へと向かうと、ヤングマンは烈をソファーに座らせ
「相変わらず護衛されてるんだね!」と問い掛けた
「そーね、でないと油断したらナイフが突き刺さるからね仕方がないわ!」
マックレイは驚いた顔をして
「君はそんなに命を狙われているのかい?」と問い掛けた
「そうよ、直近ではイギリスで殺されかけ、最悪な事に暗殺部隊まで派遣されてね
この年で家族と暮らせない生活送ってるのよ!
必要ならば、ボクはメンバーや親しい人達とも距離を取るわ!
其れが被害を拡散させない為の手段だからね!」
「何故………君は……そんなに命を狙われているんだい?」
「それは生まれて来た家が、特殊な力持ちの家だから、常に命を狙われてしまうのよ!
ボクの母ぁーさんはずっと命を狙われて来たわ
今も隙あらば、って感じで狙われているわよ
ボクはね特別な【眼】を持つ一族なのよ
そして幾度も幾度も転生をして1000年続く果てへと導く死命を持って生まれて来てるのよ!
そしてボクの瞳には貴方の心が弱って闇に染まっているのが解るわ!」
「え!………何を………」
「刺客手引きさせたわね!」
ヤングマンは「烈君!!」と立ち上がった
「阿賀屋がこの場にいると謂う事は、ボクに近寄ろうとしている奴等は、尽く遠ざけてくれてるのよ!其れがいたって事は………ヤンちゃんか?マックレイ選手しかないのよ!」
ヤングマンは「え?私?私は貴方の信頼を失う愚かな行為など致しませんよ?」と訴えた
烈はずーっとマックレイを視ていた
そして「クーたん、レイたんのお水、貯蔵してない?」と問い掛けた
クーは時空を切り裂きお水が入ったペットボトルを取り出した
「レイはせっせと烈が、必要になったら出すんですよ!と言い作り置きしでくれてる!
まぁレイと言うより他の時の奴がだな!」
と言いクーはペットボトルを烈に渡した
烈はペットボトルを受け取ると
「飲みなさい!」と言った
マックレイは唖然としていた
が、ヤングマンがペットボトルを掴むと、マックレイの口に突っ込んで無理矢理飲ませた
「さぁ飲みなさい!
そして吐きなさい!何故烈君を狙ったのか!
君さ、私の報復受けたくないなら吐きなさい!
君を球団から消すのなんて容易いよ!
そして二度と陽の目を見させない様に潰してやります!嫌なら吐きなさい!」と強引に水を飲ませていた
その迫力…………その強引さ、その熱さ……
「私は烈君をそれはそれは大切にしてるんです!
だから何時でも球場貸して!と言われれば調整して貸しちゃう段取りならば、喜んでするんですよ
そんな私の楽しみの烈君を良くも殺そうとしてくれましたね!」
ヤングマンは止まらなかった………
水を全部読ませると………
マックレイは黒い涙を流し始めた
ヤングマンは「え!黒い涙!!!」と驚いてマックレイを離した
竜馬は着ていたスーツが汚れるのを危惧して、タオルをマックレイに渡した
マックレイは心の澱が流れ出るのを感じていた
ずっと、少しずつ、心に蓄積して行った哀しみの澱………嘆きの澱………苦しみの澱………
烈は「息子さんのビリーは、NYの大学祭に従兄弟のキースと共に行き、銃乱射事件に巻き込まれ亡くなられたのね………」と問い掛けた
マックレイは驚愕の瞳を烈に向けた
マックレイの息子の名前は非公開にさせたのに………
マスコミに追い掛けられ悲しみに暮れる家族や自分を晒し者にされたくないからだった………
「ビリーは従兄弟のお兄ちゃんに憧れがれていた
だからキースが通う大学祭が見たいと言って、キースは快諾して共に見に行き
運が悪く、キースはトイレに行ってた時に銃乱射事件は起こった、貴方の息子のビリーは銃弾に倒れ、キースは助かった………
だから貴方は我が子が死したのに、キースが生きているのが許せなくて執拗にキースを責めた
そしてキースは自らの命を絶ち……自殺した
奥さんは我が子を亡くしばかりなのに………
仲の良かった従兄弟家族とも、険悪になって……失望して、自殺未遂を何度も繰り返し入院した
夫の所為で従兄弟が自殺し…板挟み……そんな事になれば精神も病むわよ
そして退院して来た今も別居中
そりゃ闇に染まって当たり前じゃない!」
マックレイは頭を抱えて泣いていた
「お前に何が解る!
突然我が子を失った親の何が解る!」と叫んでいた
「解らないわよ!ボクはまだ子供だからね!」
マックレイは「あ…………」と声を上げた
八つ当たりだ……
こんなのは八つ当たりしかない………
無関係な子に声を荒らげて何をしてるんだ?自分は………
宗右衛門は「なら主に問おう、目の前で愛する者を奪われる苦しみを主は知っているのか?
藻掻いて足掻いて………それでも奪われる苦しみと絶望を知っているか?
心の底から憎くて………殺してしまいたかった
それか出来ない者の苦しみを、主は解るか?
復讐と謂うカタチでしかカタを付けられず、己を終えられないと思った者の……愚かな苦しみを主は理解出来るのか?
解らぬであろうて!
所詮は他人の苦しみなど、本人にしか分かりはせぬ!」と吐き捨てた
子供なのに…………老人の様な声に………マックレイは言葉もなく烈を見ていた
烈はふうっ〜と息を吐き、自分を落ち着かせると
「ビリーの従兄弟のキースはずっと責任を感じていた
自分が大学祭へ連れ出したからだ………と自分を責めていた
そんな時に、貴方から執拗な追い打ち掛けられれば、精神的に追い詰められて………死を選んで当たり前じゃない!
貴方が殺したのよ!
ビリーが死んだのはお前の所為だと、キースを責めたのよ
そしてキースは自ら命を絶った
貴方の所為で、貴方が奪ったのよ!
貴方は銃乱射事件の犯人と同じよ!」
「…………それは………妻が………俺を責めた時に言った言葉だ………」
「言われても仕方ない事したのよ!」
「解っているよ………後になって後悔しても………戻っては来ない………どんだけ自分を恨んでも取り返しは付かないって理解してるさ!」
「まぁ闇に乗っ取られていたから、心が疲弊してて、態々人を傷付ける言葉を吐くしか己を保っていられなかったのよ!
貴方はその後どうしたの?
従兄弟の両親には謝罪に行ったのかしら?」
「え………行ってない………行っても逢っては貰えないよ………」
「貴方がせねばならないのは、現実を受け止める事!受け止めたならば歩き出さないと!
歩き出したならは、その足で謝罪に行きなさいよ
そしてボクに謝りなさい!
良くも刺客を呼び寄せやがったわね!
軍の人がいなきゃ刺されたじゃない!」
「あ…………ごめん………」
「ヤンちゃん、やっちゃって!」
烈が謂うとヤングマンはマックレイを殴り飛ばした
椅子がひっくり返り、マックレイも吹き飛んだ
ヤングマンは「こんな感じで良いかい?
一応まだシーズン中だからさ、選手傷付ける訳には行かないんだよ!」と謂う
「それで良いいいわ!
それじゃ対談と行きましょうか!
今のはジャブ程度のご挨拶よ、闇に染まった奴と同じ空間にいるの嫌だったからね!」
ヤングマンはマックレイを椅子に座らせるとメイクのスタッフを別室から呼び寄せた
そしねメイクして殴られた怪我など隠して
「対談だよ!プロ根性で頑張ってね!」と謂う
マックレイは姿勢を正して
「解ってますよ!球団の重役様に謂われれば頑張るしかないですから!」
竜馬は「え!球団の重役なの?」と呟いた
烈は「一介の球団職員の判断で回せる仕事じゃないのはメンバーの皆は解っていたわよ?」と謂う
「え?そうなの?」
メンバーは頷いていた
逆に何故解らないんだ?竜馬……と想っていた
「こんな対談、翌日に設けられるの上層部しかないわよ!」
「あ〜言われてみればそうか!」
「ならば対談始めるわよ!」
烈が謂うとカメラマンがパシャパシャと写真を撮った
二人仲良く握手して撮影
【R&R】のメンバーと共に仲良く写真を撮る
無難な話をして、笑顔で話していた
【R&R】のメンバーもStrong Hiのメンバーも対談の席には同席していた
…………が、今回も………ジョージは……ずっとマックレイを睨み付けていた
不穏な空気を感じつつも、烈も竜馬も【R&R】のメンバーもプロ根性を魅せて対談を盛り上げた
マックレイもプロ根性で話を盛り上げた
そしてサイン入りの色紙とサイン入りのボールを烈にプレゼントした
「後でメンバーの皆の分も有るので渡して貰って下さい!」と謂う
烈は「頑張って下さい!ワイルドカードシリーズを見事に勝ち取って下さい!
今の貴方なら、今シーズン最高の成績叩き出せますから!」と笑った
マックレイは「有り難う………」と言った
対談は終わった
マックレイは引き摺られる様にして還って行った
部屋へと戻りスーツを脱いで防弾チョッキも脱いで、ジャージに着替える
皆も着替えて寛いでいると竜馬は
「烈、マックレイ選手の事調べたの?」と問い掛けた
「マックレイを調べた訳じゃないのよ!
マックレイの息子を大学祭に連れて行った従兄弟
その子は………ジョージと友達だったらしくて………ジョージはマックレイが大嫌いなのよ!
何故リーダーはあんな男と対談したいの?と抗議して来たのよ!
抗議する癖に何故なの?と聞いたけど話さないのよ!腹立つわ!
だからマックレイの星を視たのよ、そしたら闇に染まって真っ黒で………用心の為に防弾チョッキ着たのよ!」
あぁそれでか………と納得
ジョージは「アイツが責めたから……キースは死んだんた!
毎日毎日毎日毎日………キースはマックレイに責め続けられ………
キースの両親は何度も何度も止めてくれ!と抗議した
家族が争うのを見たくなったのか?
アイツは自分の部屋のクローゼットのポールにロープを掛けて首を吊った………
まだ19歳だった!なのに何故死ななきゃいけなかった!俺は悔しくて……仕方がないんだ!」と涙ながらに訴えた
「感情の方向が悪意に満ちて向いてしまったのね
奥さんも、従兄弟の家族も可哀想ね………
闇に染まっていないか?ジョージペットボトルの水あげるから持って飲ませなさいよ!」
「え?良いの?」
「今 どの家族も暗闇のトンネルの中を手探りで歩いてる状態ね
どっちに転んでも不幸にしかならない
ならば、歩き出す手助けして上げなさい!
其れが、貴方の友達の望みだとしたら?」
「え?………キースの望み?」
「貴方の横にいるわよ!
彼は争いを好まない性格だったんじゃないの?
今 誰も幸せじゃない状態を彼は悲しんでるわ
そうね、視せてあげるわ!」
烈は呪文を唱えるとジョージの両目を、両手で押さえた
「竜ゅー馬、姿見位の大きさの鏡あるかしら?」
「クローゼットの鏡ならかなり大きいよ!」
「ならそれで良いわ!」
烈は「目を開けて良いわよ!」と謂うとジョージの手を引っ張ってクローゼットの鏡の前へ連れて行った
ジョージは半信半疑で鏡を見て…………固まった
「キース!」
ジョージの背後に立つのは友人のキースだった
言葉が直接、頭に響いて聞こえる
『ジョージ、やっと気付いてくれた………
ねぇジョージ………僕は死ぬべきじゃなかった
どれだけ責められても罵られても死ぬべきじゃなかった
僕が死んだ事で……皆が悲しみ皆が憎しみ合い………大きな溝を広げ傷を付けた
だけど………もう遅い………どれだけ後悔しても、僕はもう死んでしまっているんだ
だからジョージお願いだ
僕の両親と叔父さんと叔母さんの悲しみを少しでも和らげてあげて………
もう良いんだよ………ビリーは穢れを知らない魂を持っていたから、数年前には転生の道を辿り天へと召されて上がって行った
僕も君に想いを託したら………思い残す事なんてないよ………』
「キース、俺じゃ無理だ
だからお前の両親に合わせてやる
其処で話せば良い!」
『無理だよ、その子が視せてくれてるけど、その子がいなきゃ姿さえ見えないよ!』
「なら烈に頼むから!
烈は安くはない奴だから、俺の給料の1年分支払うから!」
『有り難うジョージ……本当に君は良い奴だよ!』
そう言い鏡からキースの姿は消えた
振り返ると烈は鼻血を流して、竜馬が慌ててタオルで押さえていた
「ボクの力じゃ此れが限界だわ!
困ったわね、面倒だから両家合わせて姿を見せて話をさせたいんだけど…………」
烈が謂うとスーが「ガブはん呼んで皆に見せればええやんか!そしてその帰りに、自死は大罪やけど、魂は穢れてなさそうやし輪廻に入れればええやんか!」と謂う
ルーが「なら僕が迎えに行きます!」と言い姿を消した
烈はジョージに「今直ぐにこのホテルにマックレイの家族、キースの家族を呼びなさい!」と簡単に言った
ジョージは「直談判に行く!」と言い部屋を出て行った
烈は鼻血が止まると横になり体を休めた
竜馬は「無理しないでよ烈!」と言った
「だってジョージの横にずっといるのよ!
そしてジョージ、ずっとマックレイ睨んでいたのよ!何時殴り掛かるか………ハラハラしたわ!」
ダニエルが「あ〜だからずっと目つき悪かったのか!」と言った
睨み付けていたのを、目つき悪かったのか………と言っちゃえるズレた男だった
烈は竜馬に手当てをして貰い、スポーツドリンクを半分にして薄めたのを飲んでいた
2時間位待っていると、ジョージが両家の親族を連れてやって来た
烈はガブリエル待ちだから
「少し待つのよ!ジョージの奢りでルームサービスで飲み物頼んでよ!」と謂う
するとジョージは何が飲みたいか?聞いてルームサービスを頼んだ
そして給仕の者が運んで来ると皆のテーブルに並べた
暫く待つとルーがガブリエルを連れてやって来た
ルーは「ガブさんが忙しいからキリが良い所まで待ちなさい!謂うので時間食いました!」とボヤいた
ガブリエルは「急に来るのが悪いんです!」と一蹴した
そしてジョージの背後にいる者に目を向け
「彼の姿を見せてあげれば良いんだね!
彼は己が死した事をずっと悔やみ、神に贖罪し続けていた!
そしてずっと願っていた
ずっと皆が仲違いしてるのを悔やんでて、只管贖罪して続けていた
この子は罪が許されても、天に上がるのを拒んでいた
だから仲直りとまでは行かなくても、その子の想いは受け止めてあげなさい!」
と言い呪文を唱えた
するとジョージの背後にいたキースは皆に見える様になった
ガブリエルは「ビリー・マックレイは2年前に家族の幸せと、従兄弟家族の幸せだけを願い、転生の道を辿られました!
あの子は穢れてない魂を持っていたから、数年の後転生は可能です!」と伝えた
バリー・マックレイの妻のキャシーは涙を流し安堵の息を吐いた
ガブリエルは「さぁ君の口から伝えてあげなよ!そしたら君は僕と共に天界へ行き転生の準備を始めるんだ!
だから思い残す事なく全てを話すんだ!」と謂うとキースは話し出した
キースは自分の両親に深々と頭を下げた
「ゴメンね父さん、母さん………僕はビリーがこの世を去った日から、何故あの時僕はトイレへ行ったんだろう………と後悔ばかりしていたんだよ
叔父さんが僕を責めるのは当たり前だよ………
僕が大学へ連れて行ったから彼は命を落としてしまったんだから…………
僕が死を選択したのはね、叔父さんに責められたからとかじゃないよ
まぁ毎日毎日毎日責められて、おかしくなりそうだったけど………原因はそれじゃない
僕達家族とピリーの家族は仲の良い従兄弟同士だった………なのに啀み合い傷つけあっているのが耐えられなかったんだよ
母さんと叔母さんは姉妹かと言われる程に仲良かったのに…………大学の銃乱射事件以降………顔さえ合わせなくなり疎遠になった
それが悲しくて哀しくて………僕なんか消えた方が良いんだって思っていたんだ
そしたらまた昔みたいに………笑って同じモノを見て、手を繋げるのかな?って思ってしまったんだ
其れには自分は邪魔なんだ………ってね
でも全然…………皆幸せじゃない、笑ってない
ビリーが死んだ時から時を止めてしまっている
そして叔父さんは…………悔やんで……苦しんでいる
こんな状況にする為に………僕は死を選んだ訳じゃないのにね…………
だからずっと僕は誰かに解って欲しくて、皆の傍にいた
だけど誰一人、僕が解らないんだ…………
だから友のジョージの傍で何時か誰かが解ってくれる日を待っていたんだ
其処の小さい子とは何度も目が合ったんだ
彼はジーッと僕を見てる時があった
だから訴えた………でも中々聞き届けられなくて………諦めていたんだ
僕の体は日に日に薄くなって行き………その内消滅するのが解っていた
だから………焦っていたし、伝えたかった
君………最初から僕が視えていたんだよね?」
キースに問い掛けられ烈は
「そうよ、最初から視えていたわ!」と答えた
ジョージは「え?最初から?最初からってNY市長のセレモニーの時には視えていたの?」と聞き返した
「そうよ、霊を背中に背負って僕に喧嘩を吹っかけるんだから、貴方共々、天国送りにしてやろうかと想っていたのね!」と嗤う
ジョージは「ゴメン!ゴメン!リーダー!あの頃の俺は少し人気が出て有頂天になっていたんだよ
その後誰からも振り向かれなくなり、打ちのめされている時にリーダーから挑戦状を叩き付けられて………本当に解散して逃げ出そうか………と想ってた程だよ………」と泣きそうに謂う
キースの母 アイラはキースの傍に寄り、我が子を抱きしめた
その姿は大天使ガブリエルだけあり、生前同様に触れる事も可能にしてくれていた
「キース、キース、私の子……」
「ママ………ゴメンね………」
キースが謝るとマックレイの妻のキャシーも、キースの傍に行き抱き締めた
「ゴメンね苦しめてしまって……ゴメンね……ゴメンね……」と泣きながら謝った
「キャシー叔母さん……母さんはすっと贖罪の日々を送り後悔していた………
貴方に顔向けが出来ない………と悔やんでいた
そして今も深い悲しみから抜け出せず……何度も僕の所へ来ようと自殺未遂を起こしている………
夜は睡眠薬がなきゃ眠れないんだ………
許してとは言わない、言えない
だけど、そろそろ………亡くした者同士、寄り添いませんか?
叔母さんも何度も何度も自殺未遂を繰り返し、病院に入っていたのは知ってます
だからこそ、もう傷つけ合うのは止めませんか?」
キャシーは「夫は許されない事をした…………
ビリーが亡くなったのは辛い出来事だった
だけど、キースがビリーを手に掛けた訳じゃない
なのに………ベリーは………貴方を追い詰めて………自死させた………そんな夫も私自身も許せなかったのよ…………
少し前にビリーが夢の中に出て来たわ
『僕は転生するよ、そしたらママの子供になってまた生まれたいよ!ママ愛してるよ
だから憎しみに染まらないで、悲しみに染まらないで………』と言ってくれたのよ
それで何とか持ち直して、考えたわ
でも……アイラに合わせる顔はなくて………会えなかったわ………あんなに仲良くて毎日逢ってお茶してたのにね………」と涙ながらに語った
「キャシー叔母さん、叔父さんを許してあげて!」
キャシーは驚愕の瞳でキースを見た
「憎くはないの?」
「憎くなんかないよ、叔父さんは僕を責める事でしか、気持ちを保てなかったんだよ
それ程に我が子を愛していた………
愛していたから、遣る瀬無くて、感情がセーブ出来なかったんた!
我が子を愛していたんだよ?当たり前じゃない!」
「キース、キース、私は貴方を失って、貴方を追い詰めた夫を許せなくて………夫を止められなかった自分も許せなかった………
そんな私が………アイラに逢える訳ないじゃない………」
キャシーは胸の内を話す
アイラは思わずキャシーを抱き締めた
「キャシー、私達は啀み合うのではなく………
こうして互いを抱きしめるべきでしたね………
支え合い乗り越えて行くべきでした………」
「アイラ………私は貴方に合わせる顔なんてない………」
「もう良いのよキャシー
我が子は貴方と啀み合うのが嫌でこの世を去った
ならば、此れからは………我が子の思いに報いる為に支え合いましょう………」
「アイラ……出来るかしら?
私は自分が許せない、それよりもっと夫が許せない…………」
キャシーが謂うとキースが
「キャシー叔母さんは叔父さんを愛しているんだよ!嫌いになって顔も見たくないなら離婚するもの!そうしてないって事はまだ愛はあるんだよ!」と謂う
キャシーはキースの頬に手を添え
「本当に優しい子………貴方が大学に受かって通い始めた時、本当に我が子のように嬉しかったわ
そうね、私はまだ夫を愛しているわ
だから………離婚を切り出せなかった………」
「ならさ、仲直りして、少しずつで良いからさ 歩み寄りなよ、うちの母さん達とも歩み寄ってくれたら、それは僕の嬉しい願いだよ!
幸せになって!ビリーや僕達の分まで幸せになって!其れが僕とビリーの願いだから!」
キャシーはキースを抱き締めた
アイラはキャシーとキースを抱き締めた
烈はマックレイのお尻を蹴り上げた
「ほら、時間がないのよ!」と謂う
マックレイはキースに
「ごめんな………キース、俺は………お前に総ての責任を押し付けて………楽になりたかったんだ………
卑怯者の俺なんだ…………許してくれとは言えない
だから俺は地獄へ堕ちるからお前は天国に行ってくれ!」と謂う
烈は「本当に地獄へ落としてやろうかしら?
地獄舐め過ぎよ!」とボヤいた
キースは「叔父さん、タイトル総なめしてよ!
そして優勝旗をビリーと僕に見せてよ!
そして………叔父さんは最強なんだぜ!って言ってガッツポーズしてよ!僕達はずっと見てるから!」と謂う
マックレイは「キース………あぁ、死ぬ気で頑張る!」と約束した
「叔父さんはさ、先ずは叔母さんと仲直りをしなよ!ビリーも気にしてたよ
ビリーの願いは、父さんと母さんはずっとずーっと仲良くいて欲しい!だから!
そして僕の願いは、ずっとずーっと僕の両親とも仲良く過ごして下さい!です!
あぁ………言えた………本当にありがとう!」
キースはそう言い烈を抱き締めた
そして烈を離すと「もう思い残す事はないよ!」と言った
ガブリエルは「なら逝こうか?」と謂うとキースは頷いた
ガブリエルは「烈、貸だから!今度取り立てに行くからね!」と笑って謂う
烈は「無理難題以外なら聞くわ!」と笑って手を振った
ガブリエルはキースの魂を球体にすると、天高く飛んで行った
烈はそれを見送り、意識を手放した
竜馬は慌てて烈を抱き留めた
マックレイは「烈君!」と叫んだ
竜馬は冷たい目をして
「先ずは座って下さい!」と告げた
ヘンリーが慌ててタオルを濡らして持って来た
ダニエルが 「力を使えば、倒れて当然だから、静かに待ってて下さい!」と告げた
マックレイは「この子は…………」物凄い力持ちなんだね………と言おうとして言葉を飲み込んだ
竜馬は烈の顔を冷たいタオルで拭いた
「飛鳥井烈、彼は元は神で、神の記憶も力も所持する飛鳥井と謂う家の転生者で宗右衛門と謂う存在だ!
で、先程来ていた天使は大天使ガブリエル様だ!一介の人間が呼び出せる存在ではない!
なのでキースは大天使ガブリエルに導かれ、天国へ逝かれた、安心されよ!
パチモノの天使じゃなく本物の上級天使だから!」と言葉にした
アイラはニコッと笑って
「心から………安堵致しました
本当に有り難う御座いました
最期にあの子の声が聞けた………本当に有り難う」と言葉にした
キャシーはアイラを抱き締めていた
アイラの夫のサリーは妻の笑顔など………我が子を失って以来目にしてなくて…
「アイラ………」と名を呼んだ
「あなた………我が子の為にも歩み寄りましょう!」と言葉にした
サリーな涙を流しつつ
「其れが我が子の想いなら………受け止めねばならぬな!」と言葉にした
マックレイは言葉もなく立ち尽くしていると、妻のキャシーが手を引きソファーに座らせた
「私達も、我が子とキースの願いなら歩み寄らねばなりませんね」
「キャシー………」
「我が子達は歩み出し、転生の道を辿られた
何時か、あの子達が誰かの子になって生まれて来たとしても、何処で出会うか分からないじゃない!その時萎れて見る影もないなんて嫌よ!」
マックレイは妻の手を強く握り締め泣いていた
「あぁ………そうだね………」
サリーは「バリー、また試合を観に行くよ!」と言葉にした
アイラも「そうね、最強の男を観に行かなくっちゃね!」と謂う
マックレイは「今シーズン最強の男として成績上げるよ!」と約束した
キャシーは「楽しみね姉さん!」と謂う
アイラは「ええ、楽しみがこうして増えて行くのね!」と言葉にした
サリーは妻の肩を抱いて「何処か他の子達を連れて逝こうか?悲しみに暮れるばかりで、キースに囚われて他の子が疎かになっていた」と謂う
マックレイも「あぁ、うちもそうだ!……もうあの子は父なんて見てくれないかもだけど、頑張って逝くしかないからな!」と言葉にした
サリーは「私達も全力で背中を押すさ!
だから君も全力で私達の背中を押してくれ!」と謂う
マックレイは「あぁ、任せろ!そして頼むな!」と笑顔を向けた
まだぎこちないが……二つの家庭は着実に再生の道を歩き始めた
が、良い話は其処までで終わりにはさせてくれなかった!
烈は目を醒まし
「サリー貴方闇に囚われていたのね!」と叫んだ
漆黒のジャガーが隙を狙って出て来ようとした
が、その時、粛清の光が部屋を包み込んた
ゼウスが「烈が寝てる間位、静かに寝かしてやれ!」と漆黒のジャガーを吹き飛ばした
烈は「ゼウス様………」と呟いた
「烈!力の使いすぎは寿命を確実に縮めるぞ!」
そう言い烈の頭に手を翳した
そして失った体力を与えた
烈は「解ってるんだけどね………皆が不幸に染まってるのは見てると……苦しくなるのよ……」と言った
そんな所はヘルメースに良く似てる
ヘルメースは黙ってられなくて常にお節介を焼いていた
そんな所はソックリだった
息子に似てるのか?
息子そのモノなのか?
解らないが、二人は融合して、互いだと自覚している
「漆黒のジャガーは吹き飛ばしてやった
吹き飛ばした先は天国の門、三神がどうにかするであろう!」と言った
烈の顔に赤みが差して来ると、ゼウスはその手で烈の頭を撫でた
「無理はするでないぞ!
ではなくば皇帝炎帝が天界に喧嘩を売りに来るからのぉ〜」と笑う
「有り難う、ゼウス様!」
「サービスじゃ!烈!
この者達を浄化の光で浄化した後、絡まり合った運命の糸を糺しておいてやろう!」と謂う
呪文を唱えると、部屋は浄化の光に包まれた
闇に染まったサリーは黒い霧を霧散させ浄化されていた
そればかりかアイラもキャシーも黒い霧を霧散させていた
皆………やはり闇に染まっていたのだ
アイラとキャシーはまだ少量なのは自分で自分を傷付け自傷行為をしていた所為だろう………
そして絡まり合った糸を、前の状態に正した
すべてを終えるとゼウスは「無理はするでないぞ!」と言い残し姿を消した
烈は姿を消したゼウスを想い………
「ゼウス様出しちゃったわ………」と溜め息を吐いた
そしてマックレイの家族と、サリーの家族を視た
もう絡まった運命の糸は視えない!
「完璧に元に戻るかは?解らない
解らないから人は努力をするのよ!
努力を積み重ねて行けば、我が子に合った時に恥じない人生を送れる筈よ!
そうなりたいなら、日々精進して生きて行きなさい!
互いを哀れるのではなく、互いを想い共に生きて行くのよ!
それこそがキースの願いなのだから!
ビリーの願いなのだから、忘れないで!」
烈が謂うとマックレイは烈を抱き締めた
「有り難う!有り難う烈!!」
「マックレイ、ボクはタダでは仕事しない主義なのよ!」
「え?」
「ワイルドカードの頂点に立ち
『最強の男を!見てるか?烈!
そしてビリー、キース約束だ!』と叫んでね!」
「…………え…………それは………ビリーとキースがよく言ってた言葉だ………」
「期待してるから、支払ってね
さてと、ボク達は部屋で夕飯食べるしかないわね……ダイナーに行く予定だったのに………」
烈が謂うと神野は「明日行けば良いさ!」と謂う
相賀は烈を抱き締め「ルームサービスを頼むとしよう!
明日ダイナーへ行くとしょう!」と言った
マックレイは「世話になった!この礼はワイルドカードで果たしたいと想う!」と言い妻と、サリーとアイラと共に還って行った
四人は清々しい顔をしていた
もう闇に囚われたりはしないだろう…………
烈達はルームサービスを頼むと、デザートがマックレイ様からです!と言われ運ばれた
皆で楽しく夕飯を食べ、明日はダイナーへ行こうと話す
烈は「明後日の昼には帰るわよ!翌日の朝に倭の国へ到着した後、飛鳥井へ帰るわよ!」と謂う
神野は「俺等も着いてって良いのか?」と問い掛けた
「今更よ!アメリカでの食事奢ったから、倭の国ではオツマミお願いね!」
柘植は笑って「任せておいてよ!」と謂う
須賀も「明々後日の朝には倭の国なら、会社に連絡を入れて必要ならば顔を出さないとな!
帰りにツマミを買う為に慎一と共に買い出しに行くよ!もうラインはしてあるんだよ!」と謂う
「あ、シャステナ関係どうなったの?」
聞いてなかった………と思い今更ながらに聞く
「事務所が今回の件を重く受け止め、シャステナの契約の解除したと公表していたよ!
で、今 解散の危機にあるんだよ、あのグループは!
デビューして以来、パッとしなくてね
エイセイあってのシャステナだったんじゃない?と昔のファンは口々に言い……離れて行ったそうだし、だからエイセイを戻せば、前みたいに…と想いコンタクトを取ろうとしていたんだろ?
そしたらエイセイは電話も何もかも変えて、連絡すら取れなかったと謂う!
住んでる場所も解らないし、倭の国の興信所に頼むしかないか?と想っていたら、RODEOÑとStrong Hiのコンサートにエイセイが出たのを見たらしい
それに伴いYouTubeも出たりして、エイセイの実力を思い知らされた………と言ってた
出来るならシャステナに戻って来て活動とかして貰えないか?と謂う事だったよ
まぁそれも総て御破算になったみたいだけど……」
「そんな虫の良い話はないからね
デビューの条件出された時、躊躇する事なくエイセイを捨てたのよ!」
「事務所側としても、探りを入れられ突かれたくないから、その前にトカゲの尻尾切りかったんだろうね
で、今回の事を踏まえての契約解除らしい!」
「全ての罪をシャステナに被せて終わらせる気なのね…………」
相賀は「詳しい事は知らぬが、上から相当な圧力あったのか?知らないけど謝罪云々と言って来てるよ
総ては烈に聞いてから!と答えてあるよ!
我等は烈を無視して話を進める事は一切ない!と申しておいた」と謂う
「おーちゃんらしいわね、有り難うね!
でもまぁ謝罪はどうでも良いけど、このままにはしておけないわね………
まぁ新居に引っ越して、ボクイギリスに行くから、シャステナにはその時逢っても良いわよ!
まぁ今は見通し付かないから、まだ話さなくて良いし、事務所側の謝罪は永遠に無視で構わないわ!」
「了承してるよ!」
「ならボクは寝るわね!
明日はダイナーだからね!
明日までアメリカを楽しみ尽くして帰国するからね!」
竜馬は「了解したよ!ねぇリーダー!
ジョージには友人を成仏させてやったんだから、1年分のギャラちゃんと貰うんだよ!」と言い笑う
「そうね………」と考え、ハッと思い付きニコッと笑うと
「お買い上げ有り難う御座います!
Strong Hi様には1年分のギャラに似合った物件を多数揃えて御座います!
特にさ来年完成予定のビルをご購入なさる気は御座いませんか?」
とセールストークで話す
ジョージは「その家何処ら辺になるの?」と問い掛けた
「兵藤貴史が住んでた家で御座います!
年内中に建て壊し、来年着工、再来年には売りに出します!
場所は元 飛鳥井の家の裏、と言っても、ジョージ達は知らないか…………」
「ゴメン知らない!」
「兵藤きゅん知ってる?」
「あぁ、タカシは知ってる、何故に最近彼は来ないんだ?」
「あぁ彼はもう宗右衛門預かりじゃないからね
倭の国へ還ったら鷹司に正式に終了宣言に行かねばなのよ!
しかも奥さん貰うし、前と同じにはなれないわよ!」
「結婚すると変わるから?」
「違うわよ、彼は元々が竜ゅー馬と同じ政治家になる者なのよ!妻を得るならば、そろそろ足場の確立せねばならないからね
ボクの所で社会勉強してる暇なんてなくなるのよ
まぁ竜ゅー馬もね政治家になれば、其処まで活動は出来なくなるかもね………」
烈が謂うと竜馬は
「大丈夫、その前に俺は表向きはサブを抜けると公表して、裏方に回りサポートに徹するから!
俺は永遠に【R&R】だから!
そして死しても仲間と共にいると誓ったから!」と言い切った
メンバーは嬉しそうに笑っていた
烈は歌を歌った
永遠なんて陳腐な言葉
信じてないよ
永遠なんて夢見た明日
今日は明日の積み重ね
明日は過去の上に立つ
毎日 毎日 ボク達は
時を刻み今を生きる
永遠なんてないかもね
永遠なんて信じない
永遠 永遠 永遠は
何処にあるかも解らない
でも、信じられるよ
君と繋いだ絆だけは
何処へ行っても
我等には
固く結んた絆がある
離れていたとしても
出逢った瞬間、ボク達は
何時でも時間は蘇る
今を絡め 明日を絡め 未来を絡め
強く 強く 生きて行く
イーサンは「リーダーがこの歌を歌うなんて珍しいね!」と口ずさむ
皆で声を揃えて歌う
Strong Hiは歌い終えた烈に
「なんて言う歌なの?」と問い掛けた
「bonds!」
「絆?………あの歌とは違うね?」
「この歌はね、ボク達の応援歌なのよ
商売にはしない歌なのよ
仲間を思い、愛した人を思い、過去も今も未来も、繋いだ手を離さない
そんな想いを託した応援歌なのよ!
メンバーは嬉しい時悲しい時歌を歌うわ
だってボク達は絶対に足を止めない!
生きてる限り止まらない
そんなボク達の応援歌なのよ!」
ジョージは「何か羨ましい……」と呟いた
烈は笑って「やっとこさ、背後に何もいないジョージになったわね!」と謂う
「俺さ………キースに見られてたのか?
あの………その色んな事を…………」
「あ〜黒髪の美女とスポーツなセックスして、う〜んイマイチと謂われた事?
後、金髪美人見て自家発電して励んでる事?
お尻は一度知ったら忘れられなくなるよ?と謂れ掘られそうになった事?
アクロバットなセックスして腰痛めた事?」
「あ〜!謂わなくて良いから!」
Strong Hiのメンバーからは白い目を向けられていた
「ジョージはね、前戯に時間掛けないから捨てられちゃうのよ!
自分より相手を悦ばせイカせる前にイッちゃうからね、それ改善したら一発勝負に出たら成功よ」
「………リーダー、それが一番難しいんだって!」
「そう?まだまだね!ジョージは!
小童は性急過ぎていけないわ!」
烈のボヤきに阿賀屋は
「宗右衛門、ハードルを上げてやるな!
若さ故に早くて楽しみ方を知らぬのだ!」と謂う
ヘンリーは「蒼佑、あんたの言葉が一番キツいってば!」とボヤく
阿賀屋は笑っていた
鷹司も紫園も笑っていた
神野達も楽しそうに酒を飲み、夜更け過ぎに自分達の部屋に還った
翌朝 烈は昼過ぎまで寝て、皆でダイナーへと出向いた
烈は初めてのダイナーにワクワク、ドキドキだった
烈は生まれて初めて………ビッグサイズのお子様プレートなるものを出されて
「サービスだよ!ヤンキースタジアムでの始球式見てたよ!」とサービスしてくれたのだった
烈は笑顔でお子様プレートを食べていた
店の店主が色紙を持って来て
「お店に飾りたいんだよ!お願い出来るかい?」と、頼んてきた
お子様プレートをサービスにして貰った事だし、烈はマジックと色紙を貰うと、書道で培った技で、色紙の中央に
【何者に囚われない
何者にも干渉しない
我等の世界
それが【R&R】で在る】
と書き、その横にサインを入れた
メンバーもマジックを回してサインを入れる
竜馬が烈の横にサインを入れると店主に渡した
店主は色紙を透明の袋でカバーすると、目立つ場に張り出した
皆で鱈腹ボリューム満点の料理を食べて、お支払いはジョージが支払った
お子様プレートはサービスと言っただけあって、料金の中には入ってなかった
皆でほろ酔い気分でホテルへと戻る
途中で酒を買い込み、飲む気満々だった
ホテルに戻るとブルーノ・アーキスが訪ねて来た
「明日 お帰りになるとか?」
「はい!そうです!
明日の昼には帰り、朝方に倭の国へ到着する予定なのよ!
ブルーノさん、有り難うね!
めちゃくそ楽しい休日が味わえたわ!」
「今回は最高の出来のCMを有り難う御座いました!YouTubeで撮影風景の映像を流したら、本当に乱気流の中へ突入したのですか?とのコメントが凄い事になってね
1日で再生数億単位叩き出したのは初めてだよ!
凄い反響と、撮影風景の映像とで、飛行機の中がどれだけ寛げるのか?伝えられたよ!
本当にリーダー、【R&R】の皆!
有り難う御座いました!
私は航空会社のCMはどれも座席に座り心地を伝える様なCMになってるのが残念で仕方がなかった
たけど今回、積乱雲の中や突風の中飛んでる映像が流れ、衝撃だとコメントが凄かったよ
人々の心に残るCMを有り難う【R&R】の皆さん!また機会が有りましたらお願い致します!」
と、丁寧なご挨拶を受けた
「またの機会に!本当に有り難うです!」
と烈が言う
翌日の昼、烈達は倭の国へ行く飛行機に乗り込んだ
そして14時間掛けて再び倭の国へと帰るのだ
飛行機に乗る前に烈は母に
「倭の国へ明日帰ります!
お出迎えは要りません!
皆バラバラになりタワマン横へ帰ります!」とラインを送った
康太はそれを見て
『気を付けて帰るんだぞ!』と送った
倭の国では烈の始球式の映像がニュースで流れていた
清隆は今朝、そのニュースを見て
「烈………アメリカなんですね………」と寂しそうに呟いた
瑛太も「帰国するなら宴会をせねばなりませんね!」と謂う
皆 康太の末っ子がいなくて淋しいのだ………
康太はそんな寂しそうな家族に
「烈は今空の上だ!明日の朝には帰国して来るぜ!夜は多分宴会だな!
そしたら多分引っ越しだな!」と告げた
清隆と瑛太は烈の帰還に喜び
「伊織、暑いけどおでんにしませんか?
冷ましてテーブルに並べれば大丈夫じゃないですか?」と謂う
「しみしみ大根マシマシで作ってくれると助かる
そうなるとレイも巾着のお餅欲しがるから、其れもマシマシで!」と頼む
本当に祖父叔父バカなのだ
レイは「やっちゃー!まちまち!」と喜んでいた
英生は不安気な顔をしていた………
「どうしたよ?英生?」と康太は尋ねた
「康太さん、シャステナのYouTube見ました?」
康太は「嫌、見てねぇよ!まぁその話は烈が帰って来てからでええやんか!」と謂う
そして英生の背中をバシッと叩き
「お前は飛鳥井烈のモノなんだよ!
喜屋武社長が烈に託した存在なんだ!
都合の良い話なんかには乗らねぇだろうし、お前の今後は心配しなくても宗右衛門が敷いてくれるさ!」
と発破を掛けた
優しいこの家族が英生は大好きだった
出来るなら家族と共にいたいと思っていた
一陽も一生達も既に家族はなく、飛鳥井で過ごしているという
一陽は烈のモノだと、一陽に謂われた
「俺は烈のモノですから!
烈がくれる毎日が楽しくて仕方がないんだよ!」
と謂う
英生も「俺も………そうなれるかな?
ずっとこの家にいられるかな?」と問い掛けた
「いられるさ!烈を裏切らない限り………はね!」
「彼は裏切ると怖い………」
「彼は怖いさ、本当に地獄に落とされるからね
早瀬も少し前まで烈の怒りに触れ、地獄送りにされていたからな………」
「え?地獄………本物の地獄に落とされちゃうの?」
「そう、容赦なくね!躊躇する事なく烈はやる
それに情けも感情も一切入れない!
彼は親でも兄弟でも規律を乱せば斬らねばならない死命を持ってるからね!」
「何か………小さいのに………」
一陽は笑って「小さいけど、荷物は誰よりも重いのを持ってるいるんだよ!
だから俺は烈の助けをしたいと、飛鳥井に住んでいるんだよ!
まぁ俺は親の優しいさや温もりを知らないから、飛鳥井の家族の温もりと優しさは本当に嬉しいんだよ
英生も……そうだろ?」と謂う
「あぁ………そうだよ、この家は暖かい………ずっといたいんだ!」
慎一は「ならばいればいい!その代わり食費と手伝いはするんだよ!」と謂う
英生は「俺働いて金を稼ぐから!」と謂う
一陽は「嫌々お前は歌わないと駄目じゃないか!」と笑って謂う
「歌うよ!そしてお金を稼ぐよ!」
慎一は「午前中にやる事をやっちゃうよ!」と謂うと皆動き出した
烈が帰って来るまでに、やらねばならない事を片付けねば!と皆が動き出した
飛鳥井の家が日常に戻ろうとしていた時
世界を震撼させるニュースが飛び込んで来た
イギリスの地を粛清の光で包む約束を、ガブリエルが果たしてくれた所為でもある
イギリス全土を粛清の光+創世記の泉の雨が降らして闇に染まった者を徹底的に排除する
イギリスは黒い涙を流す者と、バタバタ倒れて息を引き取った者とか出て………パニックになっていた
朝起こしに行った家族が…………目を醒ます事なく他界していた
皆と楽しい飲み会の最中に………バタッと倒れて帰らぬ人になったり………
夜中と謂う事で、部屋で息を引き取った者が殆どだった
闇に乗っ取られた者は命を落とし、闇に染まった者は黒い涙を流した
イギリス政府は0時ジャストに粛清の光りに包まれる事は知っていた
アメリカへ渡っていた烈と接触をした使者から、詳細を聞かされ準備をして迎えた
連座制で罰する者達はバッキンガム宮殿の1部屋に入ってもらい処遇を決める事にして準備をしていた
深夜0時の金が鳴らなされると、バッキンガム宮殿の職員達もバタバタと倒れたり、黒い涙を流す者達が出ていた
告知はされて分かっていたが………
イギリス始まって以来の出来事に、国民はパニックになり………
これはテロだ!と叫び、毒ガスが撒かれたんじゃないのか?とパニックになり暴動になりかけていた
国を上げての対策が追いつかず、国王陛下がこの危機的状況の回避の為に記者会見を開いた
【皆さん落ち着いて下さい!
パニックになってはなりません!
他国から侵略され毒ガスをバラ撒かれた訳ではありません!
外務省が今 事実確認を行なっています
どの海外の飛行機も、わが国の上空は侵犯などしておりません!
落ち着いて下さい!】
と国民を落ち着かせ言葉を発する
この映像は街頭ビジョンやテレビ、ラジオで流されていた
【我等はこの試練に打ち勝ち、乗り越えねばなりません!
命を落としてしまった者は………直ちに荼毘に付して下さい………
愛する人が突然亡くなってしまう、この異常な事態を我等も悲しく受け止め………ています
我が国は女王陛下を亡くし………まだその傷を癒えぬ内に…………この様な事態に突入してしまい………
途方に暮れるばかりです………
ですが我等 イギリスの誇りに賭けて………紳士的な態度を貴婦人的な態度を崩してはなりません!
亡き女王陛下が哀しむ行動は避けて下さいます様に、お願いします!】
国王陛下の言葉に市民はイギリス国民の誇りに賭けて、落ち着きを取り戻した
烈はこのニュースを帰国するネットニュースで目にした
ガブリエルは約束を果たしてくれたのだ
ガブリエルは愛すべき蒼い地球(ほし)を護るべく動いてくれた
ならば、自分も動かなきゃ……
愛すべき蒼い地球(ほし)の為に………
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