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第60話 理に則り果てへと逝かん ❶
シャルロット王女と兵藤貴史の婚約会見は華々しく執り行われた
会見場は贅の限りを尽くした様な調度品が並べられていた
兵藤貴史とシャルロット王女の左右には、三木竜馬と飛鳥井烈が同席していた
烈が「この度は兵藤貴史、シャルロット王女の婚約会見にお越し戴き、有り難う御座います!』と謂うと竜馬が
「此れより生前 女王陛下からの御指名を受けた特使 飛鳥井烈と私、三木竜馬が見届人として同席させて戴きます!」
「我等は公爵の称号とナイトの勲章を女王陛下から下賜されたました者!
女王陛下たっての願いなので、今回私たちが同席させて戴きました!
婚礼までは女王陛下に変わり見届けさせて戴きます!」
そう言い二人は立ち上がり女王陛下の写真に一礼する
そして着席すると、婚約会見の始まりだった
兵藤貴史は「この度シャルロット王女と婚約を致します兵藤貴史と申します!
王女は私との結婚後、王室を離脱して倭の国へと迎え入れられます!」と謂うとシャルロットが
「私は一介の女性として兵藤貴史の妻となり、共に生きて逝く所存です!
この婚姻は亡き女王陛下の願いであり、それにより多大な御恩を受けました!
この二人を見届け人として下さった女王陛下には感謝しても足りません!」と言い女王陛下の肖像画の方を向くと深々と謝意を伝え、そして続けた
「わたくしシャルロット・ボワージュ・フィリップスは来年の婚姻の際に王室の全ての権利を返上いたします!
結婚して王室を離脱致しますか、王室の女王として生きて来た総てを賭けて、亡き女王陛下に恥じぬ日々を送りたいと思っています!」
と前を向き優雅な笑みを浮かべ宣言した
パシャパシャとフラッシュが炊かれる
「婚約会見は此れで終了です!
さぁ皆様に幸せなお二人の姿を!」と烈が謂うと
二人は立ち上がり並んで笑みを浮かべた
とても幸せそうで輝いた二人を内外に伝える
それは成功した
イギリス首相が姿を表すと、烈と竜馬は横に並んだ
イギリス首相は国旗と陛下の肖像画に深々と頭を下げ謝意を伝えるとマイクの前に立った
「今後の事をお話致します!
御二人は婚約会見をなさったので、結婚を前提として今後は扱われます!
王女は6月、王宮の礼拝堂で結婚式を挙げられ、正式な王室の離脱を宣言なされ、シャルロット様は一般人となられます!
その後、倭の国で結婚式を挙げられ、婚姻届を出され、名実共に御夫婦となられます!
シャルロット王女に置かれましては、王室を離脱され一般人となられますが、亡き女王陛下の思いを忘れる事なく王室には恥じぬ様にお過ごし戴けます様に、と我等は願っております!」
と、首相が伝えると、首相は一歩下がった
烈は「倭の国とイギリス王室の橋渡し的な立ち位置を拝聴致してますので、私はあくまでも公平な立場で見届けられたと思っております!
シャルロット様に関しては、此れより一般的な生活を送るに辺り、色々と学ばねばならない事も多いでしょう!
ですが、二人で力を合わせて乗り越えて行って下さい!」と言葉にした
竜馬も「我等は特使と謂う死命を授かった者として、御二人の婚姻までは見届けさせて戴きます!一般人になられるシャルロット様のサポートも我等は力を尽くして当たる所存です!」と言い後ろに下がった
イギリス首相は「此れにて婚約会見を終わりと致します!」と告げた
三人は深々と一礼して、兵藤貴史とシャルロット王女が立ち上がり退室するまで頭を下げる見送っだ
そして二人が帯出すると、姿勢を正してその場を去った
烈は控室に行きソファーに座ると
「あ〜疲れたわ………」とボヤいた
竜馬が「休んでる所、悪いけど……今ライン見たら、この近くのホテルにヘンリーがシャステナ呼んじゃったから行くよ!」と謂う
「え〜何も今日呼ばなくても………」
「呼んだのは仕方ないよ!行くよ!烈!」と言い
懇親会のお茶会には出席せずに宮殿を後にする
首相にそれを伝えると、首相は残念がったが急用と言えば行かせるしかなかった
竜馬はマンションの地下駐車場に停めてある車を運転して来てるから、直ぐ様 駐車場へ行き車に乗り込んだ
烈は「竜ゅー馬車で来て良かったわね!
お迎えの車で来てたらハイヤー呼ばなきゃだけど、バッキンガム宮殿にハイヤー来るのか?となるから……それは無理な話となるのよね………」とボヤいた
竜馬は少し走りホテルへ入り、車停めに車を停めると、バレーサービスのスタッフが来た
チップと鍵を渡すと竜馬は烈を連れてホテルへと入って行った
ホテルの客やスタッフは………今記者会見していた特使の二人が…………何故いるんだ?とパニックになりつつ驚いていた
ヘンリーが迎えに来て部屋へと向かう
ヘンリーは「目立つね……」と謂う
烈は「夜で良いじゃない!何でこうもタイムロスなく呼ぶのよ!」とボヤいた
ヘンリーは「ダニーがダメ元で連絡したら、直ぐに行くと連絡が来たんだよ!
だからバッキンガム宮殿から近いホテルを取ったんだよ!」と説明
ナイトの勲章を着けた二人が優雅に歩くもんたから、目立つ事間違いなしだった
部屋のドアをノックするとイーサンがドアを開けた
イーサンは「婚約会見見てたよ!」とつけっぱなしのテレビを指さす
烈は「もぉ脱ぎたい、ジャージ着たいのに!」とボヤく
部屋に入るとシャステナのメンバーが来ていた
シャステナのメンバーは烈を見ると立ち上がり謝罪した
「すみませんでした!
貴方の命を狙おうなんて思っていません!」
烈はソファーに座ると足を組んた
「ボクを殺す気なら……今頃貴方達は生きてはいないわよ!
ボクはやられた事は倍返しをモットーにしてるからね!」
シャステナのリーダーは
「後から………【R&R】のリーダーの命を狙う秘密情報部の裏部隊の人間が混ざっていたと聞きました………我等は…唯……話がしたかっただけです………」
と本音で話し始めた
「丁度のタイミングだったから、あわよくばボクを殺せたら、なんて想って混ざっていたのよ
だから貴方達が刺客を送ったなんて想ってないわ
でもね、何もかもが遅いのよ貴方達は!」
ニャッと嗤われ………背筋に冷たいモノが流れるのを感じる…………
「エイセイはボクの所有する、ボクのモノなのよ
所有権はボクにあるからね、欲しいと言われても譲れないし、貸す気もないわ!
だって貴方達は目先のデビューをチラつかされ、エイセイを切ったんじゃない!
何もかも、今更よ!」
と吐き捨てた
竜馬は静かに話し出した
「昔、【R&R】にデビューの話が来たんだよ
デビューの条件はリーダーを切る事だった
理由はリーダーが子供だったから!
我等がリーダーは飛鳥井烈 唯一人
例えデビューをチラつかせられ様とも、我等はリーダーを切らなかった
リーダーなくして、デビューしたとしても、それは………【R&R】じゃないからだ!
だから我等は何処にも属せず活動する事を選んだ
だけどヨニーがデビュー当時の事を突っ突かれると【R&R】を使うな!と妨害して来た
だから我等は活動の拠点をイギリスに移して、スポンサーを得て活動していた
そのスポンサーが名だたる有名企業で、ヨニーは廃業を迫られ我等が買収したんだよ!
我等 【R&R】は誰一人欠けても【R&R】にはならない!
しかもリーダー切るなんて、論外だった
だって【R&R】は俺と烈の頭文字を取って【R&R】なんだから欠けたら【R&R】にはならない!」
そう言い切り竜馬はシャステナのメンバー見た
「君達はどうだった?
デビューの条件を飲んだからエイセイは沖縄に還ったんだよね?
ならば今更なんだよ!
今更エイセイに合って何を話すのさ?」と問い掛けた
シャステナのリーダーは
「また……もう一度一緒にやりたい気持ちはある
お前を切ったのは間違いだった…………
デビューして少し経って後悔したよ………」と話す
烈は「支えてくれたファンも裏切ったんだものね
そりゃ見向きもされなくなるわよ!」と謂う
リーダーは「言葉もない………」と呟いた
「【R&R】のコネ欲しいし、RODEOÑとかも繋がり、俺等は捨てたもんじゃないアピールしたいんだろうけど、それすると本当にトドメ刺されちゃうわよ?」
「え?………それは?」
「だって実力に伴ってないからよ
知名度もないし、実績はない
まぁエイセイでデビューしてたとしても、何処まで行けたかは解らないわね!
だってエイセイの声はライブ向きかも知れないけど、テレビを視野に入れたら癖のある声は受け入れ難い………だから貴方達はどっちに転んでもどん詰まりなのよ!」
「………」
シャステナのリーダーは頭を抱えた
英生は何も謂う事なく烈の隣で座っていた
「でも、態々ボクに逢いに来た勇気は買ってあげるわ!
取り敢えず謝罪も受けたしね!
ならば貴方達の演奏を聴かせてよ!」と謂う
シャステナのリーダーは「え!今 この場で?」と聞く
「此処で演奏したら苦情来るわよ!」
ヘンリーが「貸しスタジオ借りるしかないね!
リーダーは言い出したら聞かないから!」と謂うと
オリヴァーがPCを取り出してパチパチとキーボードを弾く
暫くすると「貸しスタジオ借りたよ!」と謂う
烈は「あ〜ジャージに着替える時間が過ぎて逝くわ………」とボヤく
竜馬が「それ終わったら美味しくてヘルシーなの奢るから!」と謂う
「竜ゅー馬 そのスタジオにRODEOÑ呼んでよ!」
「え!また………酷なことする気?」
「そして早瀬もイギリスに来てるんでしょ?
なら早瀬も呼んでよ!」
竜馬が「なら俺はRODEOÑ!」と謂うとデービッドが「ならわいは早瀬呼ぶわ!」と謂う
二人は手分けして連絡を取った
早瀬に電話した時、柘植が『早瀬に何か用ですか?』と問い掛けた
「そうやねん!用がなきゃ呼ばへんわ!」
『誰が、呼んでるのか?お聞きしても?』
「そりゃ無茶振り大好きなリーダーですがな!」
『え!バッキンガム宮殿で婚約会見してたんでは?』と問い掛けた
「あ〜してたな、今も正装やからジャージに着替えたがってるで!」
『早瀬を何処へ連れて行ったら良いのですか?』
「地の利が得意やないから、わいがタクシーで迎えに行ったるわ!」
『え〜宜しいのですか?』
「なら早瀬を用意しといてな!」
デービッドはそう言い電話を切った
竜馬も「ならスタジオで待ってるからな!
俺等はそんなに滞在出来ないから、早く来てくれよ!」と言い電話を切った
烈は「スタジオに行くわよ!」と言い歩き出す
デービッドはいち早く部屋を出ると、下へと降りて外に出ると、タクシーに飛び乗り早瀬を迎えに行った
威風堂々と歩く姿に、横を通り過ぎ様とした客も壁側に寄り一礼する
烈はホテルを出ると「スタジオなら歩いて行った方が早いわ!」と言い早足で歩く
竜馬も慣れてるのか?横を歩いて行く
メンバーはシャステナを連れてその後ろを歩いた
注目を集めてるのに烈と竜馬は知らん顔して歩いていた
メンバーはスタジオに到着すると、烈と竜馬を押し込んだ
そのスタジオは楽器をレンタルで貸してくれる事で有名だった
英生は「やっぱ速いよ烈ぅ〜」と息を切らしていた
「そんなんじゃライブで息切れよ!
帰ったらメニュー増やさないと!」
英生は「俺………生きてられるかな?」とボヤいた
烈はエレキギターを手にすると竜馬はベースを手にして共に弾き始めた
メンバーは【リーダー、ギター弾けるの!】と驚いていた
かなりの高度なテクニックでシャステナの音を奏でる
英生はシャステナの歌を歌い始めた
英生は沖縄に還った癖に………当時より断然上手く歌っていた
太極拳をする様になって息継ぎが楽になって来たと思えた
シャステナのメンバーは唖然として…………烈と竜馬の演奏と英生の歌を聴いていた
其処へRODEOÑと早瀬が到着した
RODEOÑと早瀬は烈と竜馬の息の合った演奏と、英生の歌を聴き鳥肌が立っていた
烈はRODEOÑを目にして演奏を止めた
「ほら、シャステナ、演奏するのよ!
早瀬はシャステナの演奏で歌を歌うのよ!」と謂う
シャステナは演奏を始めた…………
烈と竜馬の後じゃ………歴然とした差が出る
烈は「音程狂ってるわよ!早瀬を気持ち良く歌わせなさい!」と謂う
何度やっても早瀬は歌いづらそうだった
烈は「RODEOÑ、演奏して見せてよ!音ズレなんてなく演奏出来て当たり前よね?」と謂う
アーネストは「めちゃくそプレッシャーかけて来るがな!」とボヤく
そして演奏を始め早瀬とアーネストが歌い出す
烈は「シャステナの演奏は荒削りだけど、悪くはないわ!
でもね、RODEOÑの二番煎じなの理解してる?
本人出たら劣化が目立つわよ!
自分達の演奏しなさいよ!
下手でも良い、それが自分達の演奏なら!
そして再出発する気なら三人で修羅の道を歩きなさい!
その代わりボーカルが気持ち良く歌える様に演奏出来る様になるまで早瀬貸してあげるわ!
シャステナWith早瀬、で取り敢えず倭の国でヒットさせたらボーカルのオーディション出てやるわよ!
エイセイはあげられないのよ!
エイセイの唯一の肉親から託されてるからね
キャンちゃんがボクにくれた子だからあげない!
でもどうせ僕の暗殺の濡れ衣着せられて、貴方達は解雇されたんだし、活動の場を倭の国へ移しなさい!
そして早瀬を歌わせられる様に努力して、コンサート開けるまでになったら、考えてあげるわ!
期限は1年間、来年の10月までにカタにしなさい!
それが嫌なら、この話はご破算よ!」
シャステナのリーダー マークは
「早瀬さんの歌、何度も【R&R】のイベントの映像で見ました!
そしてアメリカのイベント………見に行ったんです
その早瀬さんを貸して貰えるのですか?」と問い掛けた
「よりちゃん、仕事の合間で良いから付き合ってくれるかしら?」
烈に久しぶりに…………よりちゃんと呼ばれて早瀬は泣いていた
早瀬は「イギリスにいる間だけ?」と問い掛けた
「違うわよ、シャステナは事務所から正式に契約切られてるし、倭の国へ行って本格的なレッスン受けなさいよ!
そして歌わさせて貰いなさい!
下手で歌えないなら、ちゃんと伝えてお互いを高めて逝くのよ!
倭の国の住居は菩提寺の独身寮貸してあげるわ
そして楽器は菩提寺の体育館で皆が使用しない時間帯に練習しなさい!
無論!よりちゃんも仕事しなきゃ食えないから仕事するわ!
シャステナの皆も演奏の単発バイト入れて働きながら特訓しなさい!
そしてまぁ何とかなったら、其処に事務所の社長さんが三人もいるから、唸らせて契約させてみなさい!もう一人いるんだけど、高齢だから今回は用心の為にお留守番してるわ!
と謂う事で11月迄、由香里のレッスンを受けて、今レッスン受けてる子達と同じ生活なさい!
よりちゃんはそうしてるわ!
まぁ倭の国へ帰ったら1年間泣いて貰い菩提寺で住んで貰わなきゃだけどね
マンション解約したし、今は下積み時代並みの生活でも仕方ないわよね?」
烈が謂うと早瀬は清々しい顔で笑い
「あぁ、今はマンションも解約してないし、住み込みで己を鍛え上げられるなら、願ってもない事だよ!」
「よりちゃん、シャステナのマーク アーク リュークのスリーピースバンドよ!
少し前はフォーピースバンドだったけど、不協和音飛び出てるし、パッとしないし、契約しただけ損となって、飛鳥井烈暗殺の濡れ衣着せて契約を解除されたバンドよ!」
「………何か凄い………バンドだね!」
「よりちゃんが入って1年間シャステナWith早瀬でライブの前座とか出て顔を売り歌を売るのよ!」
「頑張るよ!」
「と謂う事でイギリスでの仕事終わったから帰るわね!あ~服脱ぎたい!ジャージ着たい!」
英生は「正装よりジャージ好きだもんね烈!」と笑って謂う
「そうよ!着やすいジャージ最高よ!
バッキンガム宮殿から呼び出しないわよね?
もう脱いても大丈夫よね?」
「取り敢えずマンションに帰る?」
「そうね、婚約記者会見やってあげたんだし………もぉね早く着替えたいわよ!」とボヤき歩く
烈は「よりちゃん、ボク達は明日には帰るから!
よりちゃんは11月まで由香里のレッスン受けて、宿舎で生活するのよ!」と謂う
早瀬は「了解です!」と答える
「其処のグループも同じメニューさせて基礎体力、発声練習、そしてダンスレッスンを受けさせておいてね!」
「え!あればキツいよ、初心者には………」
「体力ないから、この子達
だから何曲か演奏して疲れたらゴリ押しで演奏するのよ!
其れにはやはり基礎体力必要なのよ!
菩提寺で生活するなら太極拳やって武道も鍛え上げてやるわ!」
「ハードスケジュールとなるね!
でも俺にとっては心に刻む1日1日となれば良いと思ってます!」
「よりちゃん、後には道は出来てるわ
でも進むへき己の前には道はないのよ
此れは母ぁーさんが常に言ってた言葉よ!
よりちゃんの目の前には何も道はない
だからこそ、どんな風に生きたいのか?
描いて軌道修正掛けるのよ!」
「烈………」
「後ろは振り返っても道しかないわよ
悔いも後悔も悲しみも喜びも………それら総ては過去なのよ!
それを心に刻んて、前を向いて進んで下さい!」
早瀬は「はい!はい…………」と何度も頷いた
「と謂う事で解散です!」
烈が謂うとRODEOÑが「相談に乗って欲しい!」と言って来た
「マンションに戻ってジャージに着替えてからね!」
烈が謂うと、アーネストは頷いた
スタジオの外に出て、烈は竜馬はまた早足でホテルへと向かった
竜馬は「俺は車で来てるから、ホテルに戻ったら車に乗ってマンションへ戻るから!」と謂う
デービッドが「了解やねん!わいらもマンションへ向かうわ!」と答えた
ホテルへ到着すると早瀬とシャステナの三人はタクシーに乗り由香里のレッスン場へと向かい別れた
バレーサービスのスタッフに車を持って来て貰うとメンバーは車に乗り込んだ
RODEOÑのメンバーと神野達はタクシーに乗り込み、イーサンが道案内の為に助手席に乗り込み一緒に行く
サムエルが車を運転してマンションへと向かう
マンションの駐車場に車を停めてエレベーターの前に行くと
メンバーは皆を待っていた
そしてメンバーとRODEOÑのメンバーと神野達と合流してエレベーターに乗り込んだ
ヘンリーは兄に「帰りの飛行機のチケット取れた?」と問い掛けた
オリヴァーは「バラバラに取ったよ!」と謂う
「え?バラバラ?」
「リーダーの指示だから!」
「そっか………仕方ないね!
晟雅達はどうするんだ?」
小鳥遊が「帰国するよ!出来を見に来ただけだから!」と謂う
エレベーターを降りて烈の部屋へと向かう
烈の部屋を開けて入ると、リビングには兵藤とシャルロット王女が来ていた
烈の姿はなく、オリヴァーは「烈は?」と問い掛けた
「着替えに行った!」
メンバーは【婚約おめでとう!】と祝辞を述べた
竜馬は一足先に着替えて「晩餐会は?」と問い掛けた
「喪中なので、喪が明けるまでは晩餐会はないと言われました!
お茶会をして解散となりました。」と答える
竜馬は「まぁ婚約会見事態が異例だから仕方ないか………」とボヤく
兵藤は「異例?それは何故なんだ?」と問い掛けた
それに答えのはジャージに着替えて来た烈だった
「バッキンガム宮殿は女王陛下に哀悼の意を示し、派手な事はやらないと決めていた
だけど、シャルロットの婚約会見は生前の女王がお決めになった事だから、異例なのよ!
結婚式が来年のはその為よ!」
「成る程………で、シャルロットは今後はどうしたら良い?首相は宗右衛門殿が決めた事に従って下さい!と言われた!」
「なら倭の国へ帰るわよ!
そしてシャルロットは菩提寺に住み込んで鍛錬するのよ!
皆には女王だとは伝えないし、ただの外人として生活をなさい!
そして日々鍛錬して己の身位、己で守れる様になりなさい!
泣いても誰も助けてはくれない!
夫に甘えて生活するのが夢なら、悪いけどこの婚約事態が御破算になるしかないわ!
政治家の妻がそんなに甘えた軟な女では務まらないからね!
覚悟なくば先へは進めない!
バッキンガム宮殿の地下の時みたいに泣くだけの女は足手まといなのよ!」
シャルロットは唇を噛み締め………
「強くなります!」と口にした
「そう、夫と共に行くならば、互いを守り互いを愛し進みなさい!」
それ以上は何も言わなかった
RODEOÑボーカルのアーネストは話が終わるのを見計らうと
「やはりリーダー、プロモーション頼めない?」と問い掛けた
「今は無理としか言えないわ!
色々と状況を見て動かないとならないからね
総ては倭の国へ帰って、落ち着いてから考えようと想っているのよ
それが皆の命を守る事へ繋がるからね!
コンテ見てやるから、他のメンバーで撮るのはどう?」
「………リーダーがいねぇと動かねぇだろ?
動いても………かなり手を抜きやがる!」
「困ったわね………まぁそれら総て倭の国へ帰国してからね……」
アーネストは「俺等は来月からはワールドツアーとなる!世界4カ国のコンサートツアーだ!
倭の国も入ってるから、寄れたら寄るからね!」と謂う
「それは大変ね、でもワールドツアーならホテルから出るのは至難の業となるわ!
SPがそれを阻止するだろうし………海外から来るアーティストの護衛は国際問題になるからね!」
「え!そうなの?なら倭の国へ行っても会えないのか?」
「気軽にホテルから出られないのよ
プロモーターがファンで取り囲まれたホテルから出すと想う?」
烈が謂うと柘植は「そうだね、気軽にアーティストが遊びに行ったりしたら……護衛する側としては、怪我でもされたら大変な事になるから止めさせる!
お忍びならば、警備しやすい近場のレストランとか、警備の確かな店とかじゃないと条件は厳しいかな?
飛鳥井へ遊びに行くなんて論外だね!
我等が招いた海外のアーティストなら物凄い警備体制を敷いて、格式高いお店にお連れする、は出来てもホイホイ遊びに行かれるのは困るかな?」とプロの観点で言葉にする
アーネストは「そうか、ワールドツアー楽しみやったのに…………」と残念がった
竜馬は「Strong Hiも少し前にワールドツアーやって倭の国に来たけど、飛鳥井へ行く事が出来なかったってボヤいてたぜ!」と謂う
「ワールドツアーは諦めた………でもツアー終わって年末年始は遊びに行く!」と謂う
烈は「其れなら新居にご招待するわよ!」と謂う
「え?飛鳥井引っ越したの?」
「だってイギリス秘密情報部の裏部隊がボクの暗殺に動いていたからね、住める訳ないじゃない!
少し前まで家族はまたバラバラだったのよ
だから新居には案内したくないかもね………
また変なの彷徨かれたら………また引っ越しになるし…………」
そりゃプロモは作って貰えないのが良く解る………
皆で部屋で飲み始めたが、烈と竜馬はジュースだけだった
「アレ?竜馬は飲まないの?」と聞くと
竜馬は「あぁ、俺等は後少しで空港まで行くからな!」と謂う
アーネストは驚いて「え?帰るの?」と問い掛けた
「そうだよ!婚約会見に来ただけだから!」と謂う
烈は「竜ゅー馬、変装アイテム買って来てくれた?」と問い掛けた
竜馬は紙袋を手にしてダサい服をシャルロットに手渡した
「ほい、此れに着替えて来て!」と謂う
そして兵藤にも服を渡す
一人ずつサブの部屋へ入り着替えて来る
烈はシャルロットに黒髪の鬘を手にすると髪用のネットで髪を束ねて鬘を被せた
そして黒目のコンタクトを入れさせ、眉毛を黒くしてメイクをする
そして黒縁のダサい眼鏡をはめさせ、ソバカスを入れた
兵藤もオタクな服に着替えてダサい眼鏡とソバカスを入れる
烈も【R&R】のジャージは着てるけど、ソバカスを入れダサい眼鏡をはめた
竜馬も汚い格好になり
「さてと空港に逝くわよ!兄ちゃんと姉ちゃん!」と謂う
パッと見………ダサいカップルみたいな「姉ちゃん、兄ちゃん!」だった
烈が謂うならば兄弟だと思われるだろう………
シャルロットは鏡に映るダサい存在が自分だとは思えなかった
烈と竜馬と英生と兵藤とシャルロットは一足先に夜の便で倭の国へ帰国した
烈達が出て行くと、神野達に飛行機のチケットが渡された
神野は「お前達は逝かないのか?」とメンバーに聞いた
オリヴァーが「僕は冬季休みまでは仕事だから残るけど、メンバーはリーダーからミッション与えられてるから、それを片付けてからしか、倭の国へ行けないんだよ!
ヨニーの人事異動や、正式にヨニー©ウッズスタンJAPANが【R&R】のビルに入り始動するからね!
倭の国へ行かせる社員を増やさなきゃならないし、倭の国で雇用するなら書類を作って烈に上げないとならないから、ある程度片付けねば倭の国へは行けれないんだよ
ハードスケジュールでも、倭の国へ行く為に頑張るしかないんだよ!
だから神野達とは暫しの別れになるけど………リーダーの事を頼みます!」と謂う
神野達は頷き「あぁ、お前達の変わりになるかは?分からないが無茶しない様に見とくよ!」と約束した
時間差で神野達は帰る事になってるから、メンバーは神野達を空港まで送って行った
メンバーは神野達と、ハグをして別れを惜しんた
暫しの別れだが倭の国で待ってるからね!と須賀が言うから、メンバーは泣きながら神野達と別れた
神野達の飛行機が離陸して空高く飛ぶまで、メンバーは飛行機を見送っていた
そしてヨニー©イギリスへと出勤して行った
会社に行けば烈からのミッションを粛々と熟し、烈と竜馬もzoomで会議をした
デービッドは仕事の合間に、パリコレに間に合う様にショーの準備を始めていた
テーマはウェディングドレス、そしてパーティーファッション
今回はゴージャスなセレブな感じを前面に押し出す事にした
なんたって烈に「最近トンプソン華やかさがないわね!」と言われちゃったからだ!
「女性の憧れトンプソンのセレブでゴージャスなドレス着たいわね!と女性に言わせなきゃ!
そしてファッションショーのラストを飾るのはシャルロット王女が着るウェディングドレスよ!」
なんてデザイナー魂に火を点けられたら、もぉファッションショーを成功させるしかない!
そんな熱いデービッドの心を知ってか?知らずか?烈は飛行機に乗ると、今回は寝ずに只管映画を見ていた
飛行機の中では結構厳しい視線を浴びてしまっていた
まぁ【R&R】のジャージ着てるけど、烈モドキな子供に、同じく【R&R】のジャージ着てるけどサブモドキの竜馬
そしてオノボリさんツアーでも行ったのか?と思われるダサいカップルか?兄妹か?と思われるのが乗っているのだ
しかもファーストクラス!
が、ファーストクラスに搭乗されてる客達は、その優雅な身のこなしを見て、それは変装だと解っている風だった
しかも喋る言葉はクィーンイングリッシュ
訛はない正統派の英語だった
聞き齧りとかでない、品格が変な変装していてもあるのだ
倭の国まで只管、映画を見て過ごす
倭の国へ到着して飛行機を降りる時、ファーストクラスにいた乗客の一人が
「烈君なんだね?」と声を掛けて来た
振り返ると其処にはクリストファー・オブライエンの屋敷のパーティーで知り合ったホテル王が立っていた
烈はニコッと笑うと「気付きました?」と謂う
「そんな格好をしていたとしても、君の気品ある所作までは変えられはしないからね!」
「またお会いしましょう!サー・エドモンド!」
「あぁ、まただね!烈君!」と二人は握手を交わして離れた
飛行機を降り横浜までリムジンバスに乗り込む
そして横浜に到着すると電車とバスに乗り込み、飛鳥井記念病院横のマンションへと向かう
病院の前には新鮮な空気を吸いに来た久遠が立っていた
烈モドキな烈は通り過ぎ様として久遠に
「おい!烈!素通りとは良い度胸だ!」と言われた
「うし!診察な!」と小脇に抱えられ病院の中へと連れて行かれる
竜馬は苦笑して病院横のマンションのエントランスホールへと向かう
そして関係者以外立ち入り禁止の扉を開けて中へと入る
そして坂道を歩き新居の玄関横のドアに出た
竜馬は玄関のIDを翳してロックを解除して、玄関へ入りシューズクロークへと向かい下駄箱に靴を置くと、防犯カメラをチェックした
一生がその時帰って来て玄関のドアを開けた
「あれ?竜馬帰ってるのか?なら烈は?」
「烈は久遠先生に捕まってる!」
「なら少ししたら迎えに行かねぇとな
其れより、其処の変な変装してるの貴史とシャルロットだろ!なんでそんな格好してるのさ?」
兵藤は「えー解るのか!!」と驚いた
竜馬は「カズさんは汚い俺等でも一発で当てるからね!」と謂う
一生は「貴史!着替えて待っててくれ!
シャルロットは京香の服でも貸して貰って!」と言い烈の所へ慌てて出て行った
竜馬は「取り敢えず着替えるとするか!ママの服………と言っても無理だからな
お前の服でも着せとけよ!」と謂う
兵藤はシャルロットを連れて自分に与えられた部屋へ向かった
シャルロットは鬘を取り洗面所でメイクを落とした
そして兵藤の服を着た
ジーパンとギンガムチェックのカッターシャツ
それを着て髪を梳かす
兵藤も顔を洗いソバカスを落とすと、私服に着て着替えてリビングへと向かった
暫くすると烈と一生が病院から戻って来た
烈は「ボク お風呂場使うから!」と言い部屋に戻り着替えを持ってお風呂場へと向かう
竜馬も「なら俺も!」と言いお風呂場へと向かう
そして体を流して湯船に浸かる
「今回 めちゃくそ強行軍ね………」とボヤく
竜馬は「仕方ないよ、婚約会見は女王陛下たっての頼みだからね、無理くり入れて道筋立てないとだもんね!
其れよりまたスケジュール白紙なの?」と聞く
「其れもね、様子見ないと何とも言えないわよ
命狙われてるのに、巻き込んで死者を多数出しちゃう訳にはいかないからね!」
「あぁ〜面倒だね!」
「そうなのよね?」
一応入浴中の看板出しとけば、入っては来ない
女風呂も男風呂も分けてないから看板だけが頼りとなる
其処へ一生と英生と一陽が入って来て
一生が「ジジィくせぇぞお前達!」と謂う
一陽は「体洗ったの?」と聞く
烈は「まだ………」と謂うと一陽は烈を湯船から上げて体を洗ってやった
竜馬は一生が洗ってやった
そして竜馬を洗った後に英生を洗ってやる
英生は落ち込んでいた
「シャステナ………事務所に解約されてたなんて………」と謂う
「売れないし、売れる要素ないからよ!
用意したボーカルの為のバンドと化したら、前からのファンは見切るわよ!」
「知らなかったな…………」
竜馬は「メンバーを入れ替えのデビューは一番やっちゃ駄目な事だって俺等は想う
だからリーダーを切ったらデビューさせてやると言われても、俺等はその選択はしなかった
其れと同じだよ、選んだのは彼奴等で、切られたのはお前だ!」と厳しい事を口にする
一陽は「それさ頭では英生も解ってるんだと想うよ!でも気持ちが着いて逝かないんだよ!」と謂う
「でしょうね、人の心はそんなに簡単じゃない
そんなに簡単なら、ボクはとうの昔に再婚してたわよ!」
「…………だね、俺も何時か結婚したいけど……
どうやら俺は女運悪いし………無理だと想ってる」
今度は烈に背中を洗って貰い謂う
「一陽たんは永遠の愛をあげるから待ってるのよ!もぉね護りたい女からは卒業するのよ!
見せかけだけの女じゃなく、愛していい女をあげるからさ!
そして見事に慎一きゅんも栗栖も最愛の漢………いえ、女性を紹介するわよ!」
一陽は「今………ひょっとして漢…………と言わなかった?」と聞く
「言ってないわよ!
一陽たんはノーマルなの知ってるもの!」
「…………嘘言ったって………」
「言ってないわよ!
さぁ湯船に入るわよ!」
烈が誤魔化すと一生は笑っていた
お風呂を出ると兄達が菩提寺へ逝く準備をしていた
烈はリビングにいる兵藤とシャルロットに
「さぁ菩提寺へ逝くわよ!
シャルロットは其処で暮らしなさい!
経済観念なってないし、一人で生活するのに幾ら掛かるか?実践で思い知りなさい!」と告げた
ケントに呼びに来て貰い兵藤とシャルロットを乗せて菩提寺へと向かう
菩提寺へ到着すると城之内に
「近い内に男性4人が独身寮に入り、此処で生活を始める事になるわ!
そして其処のお嬢さんは、この菩提寺で女子寮で暮らす事になる!
まぁ世間知らずだから、唐沢から女性を一人回しておいてと言っておいたけど来てるかしら?」と問い掛けた
城之内は道場を指さして「来てるよ………強すぎな漢が……」とボヤいた
烈は着替えて道場に行くと、頗る美人が道着を着て立っていた
烈は「神宮寺 菖蒲?」と問い掛けた
すると頗る美人は烈を見て「おー!そなたが飛鳥井烈殿か!」と笑顔で近寄って来た
その横には美人な三姉妹が立っていた
「来てくれたのね?」と嬉しそうに近寄ると
美人な女性は「お前の頼みなら三度の飯より優先させるさ!」と謂う
烈は四人を並べて兵藤とシャルロットに紹介する
「右から神宮寺 菖蒲、彼女は神宮寺家の姫にあられる方です!まぁ今の時代姫と謂う立場は皇室しか存在しない!
が、それ程の身分の方です!
そしてその横、鳳凰院家 結月 睦月 皐月
この子達も家柄的に言えば有栖院家と同様
昔で言えば旧華族のお家柄で、今も鳳凰院家は倭の国の経済を支えるお家柄!
どちらも姫と呼ばれるに相応しい女性よ!
菖蒲は宮内庁内部調査官としてシャルロットの護衛に当たるわ!
結月達は、独身寮が襲撃されたら一溜りもないから、その為の人材として住んで貰うのよ!」と紹介!
兵藤は「腕は確かなのか?」と聞く
「ならば飛び掛かってみなさいよ!」
「京香に飛ばされたから嫌だ!」
「なら彼女達の帯を見なさいよ!」
四人は赤帯を結んでいた
京香が薙刀を持って来て、薙刀を兵藤とシャルロットに渡す
烈と竜馬は薙刀を手にすると、一礼をして
「さぁ皐月 結月 睦月 掛かって来なさいよ!」と謂う
三人は烈と竜馬に掛かって行った
烈は長い薙刀をまるで体の一部の様に、優雅に使い闘っていた
いち早く戦線離脱したのは竜馬だった
皐月は「誠 情けない!鈍り過ぎじゃよ!竜馬!
敦美はもっと戦えるぞよ!」と謂う
竜馬は「畜生!彼奴は女じゃねぇんだよ!」と叫んだ
兵藤は「敦美って?」と聞くと皐月は
「竜馬の妹御である!
同じ職場の仲間じゃよ!」と謂う
其処へ愛染津葉木がやって来て、京香とお手合わせしていた
睦月は「さてとシャルロット、貴方の和名は紗理奈、解りましたか?」と問い掛けた
シャルロットは紗理奈……と口で呟き
「了解しました!」と答えた
菖蒲は「貴方には毎朝ランニングに行き、寺の掃除、そして手伝いをします!
そして夕刻より私達とお手合わせして上達して戴きます!宜しいですか?」と問い掛けた
シャルロット、いいや紗理奈は
「はい!了解しました!」と答えた
「料理は烈が基礎を教えてくれます!
なので私は食べてあげるので頑張るように!」
一斉に疑いの目をする奴等に向けられる
「あ、私、料理は叩き込まれてますの
でも亭主以外には作らないので!」と付け足した
「あやめちゃん、その前に亭主見つけないとでしょ?」
「其処なんだよな!内閣調査室なんそにいたら良い男は見つからねぇのな!
でもさぁ、あの同期の唐沢でさえ結婚するんだよな?なぁ烈、私も亭主探して来てくれよ!」と謂う
「維弦は?」
「あ~パス!西園寺家みたいな格式高い家に嫁いだら地獄見るだろうが!
しかも彼奴は後継者だぜ!嫌だよ!」
「神宮寺も名家だから釣り合い取れてるわよ?」
「あ~俺はそう言うの要らないから!」
「あやめたんの婿か………いるかしら?」
「俺も子供産みたい!ボロボロ何人産むんだよ!と謂う位に産みたい!」
そんなに………ボロボロと………それは凄すぎる………
そんな話を烈と菖蒲がしていると、その横では京香が
「貴史、来なさい!カタを教えます!」と謂う
兵藤は薙刀を手にして京香へと向き直った
烈は三節棍を手にすると、見事なジャッキーチェーンバリの技を見せた
「此れはヌンチャクじゃなく三節棍ね!
兵藤きゅんには、この武器も使い熟して貰うわ!闘いに特化した武器だからね!」
兵藤は「あんまりハードル高くしてくれるな!」とボヤく
だけど兵藤貴史は持ち前の運動能力の高さが有るのだ
覚えたらメキメキ強くなるだろう!
その日から兵藤と紗理奈との鍛錬の日々が始まった
紗理奈は菩提寺の女性用独身寮で生活し、一人暮らしを始めた
ジャージを着て掃除や料理を手伝う
水萌は紗理奈に料理を教えた
食費を給料から引いているから、独身寮に入っている者は寮で食事を取る
食事は基本 桃香と澄香が作るのだが、皆協力して作っていた
水萌は丁寧に野菜の皮剥きから、切り方等料理の初歩から紗理奈に料理を教えていた
水萌の教え方は分かりやすかった
紗理奈は必死に覚えた、手を切ったとしても必死に覚えた
そして一人暮らしの仕方は夏美が教えてくれた
華絵は魔界に還り、紅花は今絶賛卵温め中だから、夫婦で協力して温めているから桃源郷近くの場から動けなかった
竜王様夫妻は、甲斐甲斐しく娘に会いにお越しになられているそうだ!
そろそろ大きな禍が来る頃だろう
鳳凰が誕生する時、人の世を巻き込んで禍が訪れる
鍛錬が終わると烈と竜馬は、兵藤を乗せて菩提寺から飛鳥井へ帰る、帰り道の車の中で
「兵藤きゅん、シャルロットとセックスした?」と問い掛けた
「えぇぇぇ!」
またまたド直球な質問を!!
「まだだよ!
王女が結婚式前に孕むなんて論外だから、名誉の為にしてねぇよ!
何でそんな事を聞くのよ?」
「そろそろ鳳凰が卵の殻を割って誕生するからよ!妊娠初期なら流産する確率が高くなるかもね………だから聞いたのよ!」
「え?菩提寺には妊婦沢山いたよな?
彼女達は大丈夫なのかよ?」
「安定期過ぎてれば、ね
定着する前だと衝撃で流れる可能性あるのよ
そして来年に掛けて出生率低下しちゃうからね
落ち着いてからの方が良いのよ!
それなら婚姻後の夜初夜で良いわ!」
「烈………俺はお前とこう言う話をするのが結構恥ずかしいんだけど?」
「そう?まぁ好きなら体を繋げたいのは恋人同士なら当たり前よ!
それに関してボクは野暮な事は言わないわよ!
避妊しなさい、とだけ言っとくわ!」
「俺は………シャルロットとの間に子を作って大丈夫なのか?」
「あぁ、神の子が生まれるんじゃないか?心配になるのかしら?
大丈夫よ、次の鳳凰が生まれて、次の朱雀もいる
今の現状で朱雀に由来する神なんて出ないわよ!
生まれて来るのは人間よ!
レイたんがイレギュラーだったのよ!
あれば飛鳥井の誰かの腹の中に誕生する筈だった
悪意に満ちた結果が齎した事だから気にしなくて良いのよ!
シャルロットとの間の子は、ちゃんとした人間が生まれて来るわよ!
でも………貴方に似た子は………どうやらレイたんのみなのよ!
シャルロットとの子は、貴方には似ない…………と少し前に三乙女の一人に聞いたのよね」
「え?どうやって聞いたんだ?」
「『シャルロット王女のお子様は、シャルロット王女に良く似たお子で………ニブルヘイムとは違い
あまり兵藤貴史には似ないお子となる………』とね
まぁ、それも貴方が仕出かした行いなのだから仕方ないのよ!
そんな都合よくは行かないと謂う事ね!」
兵藤はそれを聞き静かに目を瞑った
そして顔を上げて「あぁ、其れで良い!だが俺は自分の子を誰よりも愛すと………決めている」と口にした
「当たり前じゃない!貴方達は息が止まる瞬間まで夫婦でいると天空神 三神の前で誓ったじゃない!誓った以上は貫き通さないとならないのよ!」
「え?俺、何時、天空神 三神に愛を誓ったんだ?」と問い掛けた
「婚約の会見する前に、神殿に行き婚約の意の確認の儀で、貴方は神に誓いを立てた筈よ!
朱雀が婚姻するって言ったら三神がならば我等が誓いを見届けてやろう!と言って下さったのよ!
その時、天空で三神が見届けて下さったのよ!」
「え?俺、それ知らない?」
「本当にね、中々天空神三神に婚約の誓いの言葉を聞き届けて下さる事はないのに、本当に幸せ者ね!兵藤きゅん!」
それは幸せ者過ぎな気はする………
中々いないのは分かるから………
が、中々に恥ずかしいのだ
「………シャルロットは独身寮で大丈夫なのか?」
「神宮寺菖蒲、彼女が常に傍にいる
それはある意味の、護衛なのよ!
彼女には神宮寺家の守護神付いてるし、内閣調査室に勤めるだけあって腕っ節も強いのよ!
そして鳳凰院家の三姉妹が日替わりで泊まってくれるし、竜ゅー馬の妹の敦美も泊まるだろうし、下手な暴漢ならば、締め上げてくれるわよ!」
「強いんだな彼女達は………」
「津葉木も隙を見つけて来てくれるし、紗理奈は大あやかしの狐と契約したから大丈夫でしょ?
さっき紗理奈の額に印字切って来たし!
ピンチの時は守ってくれるわよ!」
「何か………お前の周りの女って………めちゃくそ強くねぇか?」
「そうでもないわよ!
ピンキリよ、強く生きてる奴の殆どが…………強くならざるを得なかった過去があるからね!」
兵藤は言葉もなかった…………
飛鳥井の新居に到着すると、ケントは皆を降ろして帰って行った
烈はIDを翳して門を開けて中へ入る
そして玄関のドアをIDを翳してロックを解錠すると家の中へと入る入った
シューズクロークに靴を入れ、防犯カメラモニターを確認!
変なのがいないのを確かめた後、手洗いうがいをして部屋に着替えに向かった
夕飯の手伝いをしてると両親が菩提寺に修行に行ってる凛達を連れて帰って来た
その後に祖父母が帰って来た
両親と祖父母が着替えに行き、食卓に着くと夕飯は始まった
夕飯を終えて、後片付けをしてリビングで寛いでると康太が話し掛けて来た
「あのさ烈、社員達から、もう一度避難訓練をやってくれないか?との、申し入れがあって凄いんだよ
もう一度やり直しを考えてくれねぇか?」
烈は驚いた顔をして
「避難訓練?…………前回失敗しちゃったからな……」と呟いた
「だからだよ!社員達はお前が悲しそうにしてたからこそ、避難経路を何度も何度も覚えて練習して、陣内対策も確りと取る様に練習してるんだよ!だからやってやれよ!」
皆の想いが嬉しかった
「なら計画立てるわね!
ねぇ………母ぁーさん、形振り構わなくなってきてる今………イベントは無理な話となるわよね?」
「それ言ってたらもう二度とイベントなんて出来ねぇぞ?お前はそれで良いのかよ?」
「それは嫌ね……xmasイベントやりたかったし……」
「なら考えろよ!常に最適解を導き逝くしかねぇんだよ!」
「母ぁーさん………」
「其れより、おめぇめちゃくそ強い女を菩提寺に入れたんだって?」
「え?なんで知ってるの?」
「今日、ちっこいののお迎えオレ達が行ったんだよ!」
「そうなのよね、鳳凰院家三姉妹が菩提寺に住んでくれてるのよ!
神宮寺菖蒲も護衛の為に菩提寺の女性用独身寮に入って警護をしてくれてる」
「菩提寺に警護が必要って………ひょっとしてシャルロット菩提寺に放り込んだのか?」
「そうなのよ!
菩提寺で料理、防御、闘いに特化した鍛錬の日々となり、来年の結婚式までには、何とか婚家に入れても生活出来る様にはなると想うわ!
あ、和名は紗理奈よ!」
「了解、紗理奈だな!
オレの眼には二人が仲睦まじく老いる姿が映し出されているかんな!心配なんてしてねぇよ!」
「此処からが化けるからね
純粋栽培のお姫様から、政治家の妻になるのよ!」
「しかし………か弱いおなご……飛鳥井には縁がねぇよな?」
「其処なのよね………其れより母ぁーさん、良いかしら?」
康太は烈を視た
そして笑みを浮かべて
「良いぞ!お前の想う通りにしろよ!
やはり鳳凰院家は輝夜以外は残さねぇか………」と言葉にした
「其れが仕来りだから仕方ないわよね!
本人も納得してるから、菩提寺に入ってくれてるのよ!たまに敦美も泊まってくれるし!」
「なら大丈夫か……でもそろそろ誕生するだろ?」
「やっぱ母ぁーさんも肌で感じてる?」
「これ、解らねぇのは一般人しかねぇだろ?
一般人も敏感な奴なら、何らかの肌で感じて不安を抱いてる奴はいるだろう………其れ位の圧だぜ!」
次代の鳳凰の誕生は目前だった
殻を割り生まれた瞬間
物凄いエネルギーを放つ
そのエネルギーはこの世の禍(わざわい)となり、人の世に乱世を齎す
政局は苛烈に混迷を迎え、そして人は漠然とした恐怖を抱く
この先、色んな禍が人を混迷させ惑わせるだろう
終末論まで出て、預言だ、預言通りになるんだ……と騒がれるだろう
そんな不安を抱きつつも、烈はまた日常へと戻って行った
午前中はオンライン授業を受け、昼からは会社に出社する
そして会議を開き、社員の相談に乗ってやる
やはり社員達は漠然とした不安を口にした
【何が?】とは答えられないが、テレビを付ければ終末論の予言は本当だった………だの
災害や人災、火事や事故が増えたとテレビやネットは恐怖を煽る
世の中が少しずつ不安を抱き騒がれつつある11月1日
鷹司緑道は「捨て置けん事態になっておるな!」と立ち上がった
裏、表の高野 ユタ ノロ 各宗教団体のトップを引き連れて菩提寺へやって来た
城之内は異様なオーラを燃やす緑道に恐怖を抱きつつも
「楽巌寺に御用ですか?」と問い掛けた
緑道は錫杖で地面を叩きジャラン!と謂う鈴の音を響かせ
「鷹司緑道と申す!
飛鳥井真贋 飛鳥井真贋の伴侶 飛鳥井宗右衛門に用があって参った!
飛鳥井家菩提寺以て待ち申す!とお伝え下され!」と言い放った
城之内は緑道と皆を取り敢えず、本殿へと案内し、本堂にお招きし座布団を並べて座らせた
城之内は即座に康太に連絡をした
康太はその電話を会社の社長室で取っていた
『おい!鷹司緑道とか謂う御人が何だか大勢引き連れて菩提寺に来たぞ!
頼むから本堂まで直ちに来てくれ!』
と悲鳴に似た要請をして来た
「早目にそっちに向かうから暫し待て!」と言い電話を切ると、康太は宗右衛門の部屋を訪ね
「烈、とうとうアイツらが動き出したぜ!
緑道自ら引き連れて来やがったみてぇだぞ!」と謂う
「あ~来たのね!
そりゃ来るわよね!」
「だよな………」
「なら帰って正装に着替えないと!」
「だな、帰るとするか!」
烈はケントの車に乗り飛鳥井の家へと帰った
康太と榊原も飛鳥井の家へと帰り正装を着る事にした
車の中で烈は神威に「毘沙門天達勢揃いで来てくれるなら、今夜は宴会しちゃうからお願い出来る?」とラインした
神威からは『承知した、で、何処へ行けばよいのじゃ?』と問い質す
「菩提寺に来てくれる?」
『良い酒を期待してええのならな!』
「八海山用意するわよ!
しかも霊峰八海山ね!」
『うし!頑張って行ってやるわい!』
と言ってくれラインを終えた
兵藤にも「即座に菩提寺に来るのよ!」とラインすると、兵藤からは『了解!もう俺は菩提寺にいる!』と返って来た
飛鳥井の家に帰り自分の部屋へ走りクローゼットを開く
そして宗右衛門の着物に着替える
クーがポケットから出て着付けの手伝いをしてやる
スーが「難儀な事になってるな!」とボヤいた
ルーは「やはり肌にビンビン感じる不協和音は、解る奴には解るんですね!」と冷静に謂う
正装に着替えて「さぁ行くわよ!」と謂うとクー達は袂に入り気配を消した
一階に降りて逝くと両親が正装をして烈を待っていた
榊原が「僕が乗せて行くのでケントは呼ばなくても大丈夫です!」と謂う
通用口から駐車場の方へ出て榊原の車に乗り、菩提寺へと向かう
菩提寺の駐車場に到着すると、城之内が待ち構えていた
「何なんだ?あの集団は!!」と城之内は康太に訴えた
康太は「多分倭の国で名のある宗教団体なんじゃねぇのかな?」と口にして
「行くしかねぇから逝く!
本堂には誰も近づけるなよ!」
と言い付け榊原と烈と共に本堂へ向かった
本殿の前には神威と十二天と兵藤が立っていた
康太は「呼んだのか?」と聞いた
烈は「向こうも大人数そうだから、ボクもね大人数で迎え撃つのよ!」と笑って答えた
康太は笑い「んなら逝くぜ!」と言い本堂へと向かって歩いた
本堂へと向かうと何とも………異様な空気を孕んていた
鷹司緑道を筆頭に其々有名な宗教団体のトップが座して待ち構えていた
ともだちにシェアしよう!

