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第64話 理に則り果てへと逝かん ❺
戸浪は姿勢を正すと
「私に協力出来る事はありますか?」と問い掛けた
烈には会社の立て直しをやって貰った
セキュリティーを入れ社員の教育も定期的にしてくれる様になり、かなり練度も上がった
鷹司緑翠が定期的に社員教育に向かわせろ!と言ってくれてるから、定期的に何人かずつ教育して貰っている
その教育を受けた社員達はみるみる内に、社内の中堅に収まり手腕を奮っていた
其れも此れも総て烈のお陰なのだ
【R&R】のビルにイギリスのオブライエン海運との交易の事務所を入れると告げると会社的な信用は一気に上がり株も上場して安定の企業になれた
だからこそ、烈が困っているならば、何か協力したい、そう思っていた
戸浪は「ならば八雲動物病院は私が建ててあげるよ!」と口にした
田代が「上モノだけ建っても動物病院は経営出来ないので、俺の知り合いに動物病院とかに関連する機械を売ってる奴がいるので、最新のを入れさせましょう!」と謂う
「あのね、今はその話は良いのよ!」
戸浪は悲しげな顔をすると
「いいえ、友が困ってるのに何も動かずにいたら男が廃ります!
烈、私は君とは友だと思っているよ?
息子達と同様に友だと思っているよ?
君は…………そう思っていないのかい?」と問い掛けた
「友よ、若旦那!
…………困ったわね………ならその時はお願いします!今は其れより鳳凰の禍が先だから!」
「解っているよ!」
「ねぇ若旦那、春になったらまた沖縄に行きたいのよ!その時はご一緒しませんか?」
「良いね!寒さから離れて暖かい場で春を満喫出来るなんて、最高だね!
その時は是非声を掛けてくれ!」
「ええ、その時は声を掛けるわね!」
「朝は食べたのかい?
まだなら買って来たから食べようよ!」
「それは良いわね!
暖かい飲み物用意するから2階に来て下さい!」と言いエレベーターを呼び、上がって来たエレベーターに乗り2階へと降りる
全員乗るのは無理だからメンバーは階段で降りて行った
リビングに行くと、出勤前の両親や祖父母が朝を食べていた
烈達はリビングテーブルに座ると一陽が飲み物を置いた
慎一が皆の分の飲み物を用意する
戸浪と田代は紙袋からサンドイッチやカスクートを取り出し並べた
康太が「あ!カスクート!」と言い朝食そっちのけでカスクートに食らい付いた
皆で朝食を分けて食べる
烈は田代に「和食食べておいでよ!」と謂う
田代は「俺が和食好きなの知ってるんてすか?」と問い掛けた
「えーちゃんがね、田代は和食好きで学生時代、食堂では何時も和食セット頼んでましたよ!って言ってたわよ、え?違うの?」
「好きですよ、和食!
ならお言葉に甘えて!」と和食を食べに行く
一陽は田代に和食を用意した
烈はサラダを持って来て、サラダとサンドイッチを食べていた
鷹司も和食を食べていて、阿賀屋はサンドイッチを食べていた
「シオ君は?」
「あ~アイツ会場の確保とか、演目とかで年末年始は潰れ3月まで公演で飛び回るだろ!」
「馬鹿ね、そんな事しても喜ばないのに………」
「アイツには今、動かせる資産がねぇからな
自分が動くしかねぇんだよ!
後援者の金持ちにお金と出させようとしたけど、裏がありそうだから、烈の話を聞いて直ぐに切っりに行ったからな!」
康太は阿賀屋を視て
「あ~天羽家当主か………今は育って年食ったオレよりも烈に鞍替えかよ………
好色家の親父とは縁切るに限るな!」と嫌な顔をした
「真贋は結構言い寄られたりしたんだろ?」
「まぁな、高校の頃がピークで、飾っておきたいと言われたぜ!
オレはアイツのコレクションになる気はねぇかんな、半径1メートル以内に来たら消す!と宣言しておいた!
怖いから半径1メートル以内には入らなかったけどな…………クソジジイは知らねぇ内に烈に目をつけやがったんだな!
アレはもう病気だぞ!死なねぇと治らねぇぞ!」
烈は「大丈夫よ!天羽は次代が育ったから、そろそろ心不全でも起こしてこの世を去るんじゃないかしら?」と言った
康太は「その理由は?」と問い掛けた
「天羽家の連中は現当主の異常性に気付いて、見切りを付けているのよ!
で、この機会に世代交代を狙っているのよ!
このままではお家がお取り潰しになりかねないからね!
鷹司が苦言を呈すれば、近衛の家からも是正の勧告はされるわよ!
そんな事態になる前に少しずつ、少しずつ、当主の座を明け渡す様に手を打ってるのよ!
好みの男を宛てがい籠絡させ、家の事から切り離し始めているって、緑道から聞いたからね!」
阿賀屋は「ならば次代の天羽ならば後援者としても申し分ないではないか!」と謂う
「大丈夫よ、その内鷹司を筆頭に摂家 五家あたりから後援会に入るとの知らせが来るから!
その前に養子を迎え入れられるのよ!
この1年、絆を深める、本当に仲良く家族ぐるみで付き合われたわ!
そして満を持しての養子縁組だからね!」
「ならば、全てはその後か?」
「でしょうね!」
康太は食後の紅茶を飲み遅め出勤でスーツに着替えに行く
そして榊原と共に出勤して行った
戸浪も田代と共に会社へと戻って行った
烈はスーツに着替えるとオフィースビルへ移動した
【R&R】のメンバーと竜馬と阿賀屋と鷹司もゾロゾロ着いて来た
オフィースビルの6階へ向かう為エレベーターに乗り向かう
ドアを開けて中へ入ると………其処はモニタールームだった
幾つかのPCとモニターが並んでいた
烈は全国各地に散らばる宗教団体の者達とPCで繋ぎ話をする
10時ジャストに定例会を開き、会議に突入する
竜馬が兵藤をオフィースビルに呼んだから、兵藤がやって来た
「烈、通帳持って来たぜ!」と謂う
ヘンリーが「それ写メさせて!」と謂うと兵藤はヘンリーに通帳を渡した
烈はサコッシュから通帳を取りだすと、ヘンリーに渡した
烈の通帳を確認すると自分からの振り込みしかなくて、ヘンリーは名義人の通帳の写メを撮り、ここ数ヶ月の通帳を写メして父に送信した
兵藤の通帳、烈の通帳を写メして送信する
ヘンリーは「ヨニー©イギリスの新入社員のボーナスの方が、イギリスからの準備金より高いって………」とボヤいた
竜馬は通帳を覗き込み
「結婚資金が50万円って巫山戯過ぎじゃない?
姫クラスの婿の結婚準備金が50万円………
金銭感覚ない姫ならソファーも買えないわよ!と暴れそうな値段ですがな………」とボヤいた
ヘンリーは烈の通帳を見ながら
「烈、この年始に入金ってお年玉?」って問い掛けた
「そうよ、一族詣での時にお年玉貰えるのよ
まぁここ数年不景気で、金額は下がる一方だけどね!」
「なら毎月の振り込みのはお小遣い?」
「そうよ、ボクのお小遣いよ!」
「使わないの?」
「ボクは基本欲しいのはないのよ
で、ちまちまとした食べ物とか竜ゅー馬が出してくれるから、竜ゅー馬には宗右衛門事業団の方から給料出してるわよ!」
「通帳ってこれだけ?」
「ボク個人のはこれだけよ!
後は宗右衛門事業団の通帳ね!
其れは事業団の者が管理して持っているわよ!」
クリストファー・オブライエンはその通帳の写しを見て皇太子にアポを取り王宮へと向かった
「君達、巫山戯た事し過ぎでしょう?
横領ですか?此れは?首相を呼びなさい!
倭の国でシャルロットが住む筈だった土地の代金も踏み倒したとか?
由々しき事態なの?解ってますか?」
と怒りオーラ全開でやって来たクリストファーに震え上がった者達もいた程だった………
皇太子も王女の伴侶に結婚資金50万円しか送金してない事態に
「嘘………こんな事が罷り通る事などある筈がない!」と驚きのあまり……信じれずにいた
「烈は自腹でセキュリティーの高い家を建てたそうだ!その所為で彼はビルを幾つも売りに出したと聞く………自腹で支払ってれば………お金など湯水のように潰えて消えて当たり前だ!
この責任はどう取るつもりだ?」
「至急、この件に関わった者たちを呼びます!」
と言い使用人を呼び、シャルロットに関する手続きをした職員を呼びに行った
イギリス首相は G7の準備に忙しく、後に補佐官を行かせると約束してくれた
バッキンガム宮殿の中は上へ下への騒ぎとなり、そんな中使用人が慌ただしく駆け寄り陛下に跪いた
「皇太子様、この前の黒い涙を流したり、バタバタ倒れて死した者達の中に………
シャルロット様の資金の管理をしておりました者がいました!」と走って来て告げた
皇太子は「あぁ………烈君が傀儡が混じっているかも………と言っていた件は職員も混じっていたのですね!
直ちに、倭の国へ謝罪を入れます!
シャルロットが来日した時に建てるビルの土地のお支払いを直ちに致します!
そしてシャルロットの受け継ぐべき会社の役員報酬を支払わせ、王室の準備金と合わせてお支払い致します!
また今回の見届人となられた三木竜馬殿と飛鳥井烈君には謝礼を幾らか包み渡すとします!
そしてシャルロットが住むう住居の費用はお支払致します!」と約束した
クリストファーは苦笑して
「まさか王女クラスの婿の婚姻の準備金が50万円と通帳を見て…………驚いて取り乱した!
失礼した!皇太子殿!」と謝罪した
「嫌々 叔父上、私だとて同じです!
まさか第一王女の娘の婚姻準備金が50万円だなんて思いもしませんでしたから…………
王族たるもの何時たりとも、その身分を笑われない様にせねばならなぬ!と謂うならば、それなりの準備金をお支払いせねばなりません!
しかも烈君は無償で新居を建てられたとか?
心よりの謝罪をせねばと思っています!
しかし……何ですか、このちまちまとした入金は……こう言うの見ると彼は子供なんだって想いますね!」
王室は直ちに職員を増員して、支払いの準備に取り掛かった
そして特使として再び………キャヴェンディッシュ家の次期当主に倭の国へ行き謝罪行脚をせよ!と命じた
クリストファーは部下に言い烈の通帳に取り敢えず百万円振り込む様に言った
皇太子は取り敢えず謝意を示して兵藤と竜馬と烈に百万円すつ包み持って行く様に!と指示された……
キャヴェンディッシュ家次期当主は勅命を戴き、謝意をする為に倭の国へと旅立った
兵藤は何故に通帳を持って呼ばれたのか?
理解出来なくて躊躇していた
兵藤は「なぁ何で通帳を持ってこないと駄目だったんだ?」と問い掛けた
ヘンリーが「貴史さぁ、イギリスからの振込安すぎるとか思わなかったの?」と問い掛けた
「え?50万円も入っていたんだぜ?
其れが安いものかよ!
今 俺の部屋の家具とか見てるんだよ
…………此れに使っちゃ駄目とか?」
烈が「使っても良いわよ!早く家具を揃えなさいよ!引っ越し蕎麦まだ奢って貰ってないわよ!」と文句を言う
「それ美緒にも言われてるんだよ!
今度買い物に付き合ってくれ!」
「良いわよ!兵藤きゅんが選んでたら引っ越し蕎麦じゃなく、年越し蕎麦になりそうだからね!」
「ヒデェな烈!此れでも俺は悩んでて、困ってるんだよ!」
烈と兵藤の言葉に皆がほっこりする
が、10時ジャストになると空気は一変
緊張感を孕み、烈は宗教団体や新たに責任者となった者達とでZoom会議を始めた
宗教団体の責任者は『各地の自治体と連携する事がやっと可能になった!』と言うから
「ならボクも始動するわね!
YouTube立ち上げて、芸能事務所回りするわ!」
状況の擦り合せ、今後の展開
鳳凰の禍が到来する日までに、やらねばならぬ事を優先して動き出す
裏表高野は『『呪符の大量生産には成功した
主が防御の文字を書いた紙を大量生産して新たに呪文を唱える、取り敢えず百枚効果を見た
呪いを跳ね返したから、このまま大量生産をし、新年の紙にて配布をする!
今後は全国各地の自治体との連係が必須となるであろう!』』と謂う
「だね、緻密な連係が必須となるだろうね!
ならばその紙、配る前に宣伝するから、早目に下さい!」
『『承知した!!』』
と、定時連絡を入れ毎日 10時ジャストに始まる定例議会は終了した
烈はふぅ~と息を吐き出すと
「今日は芸能事務所を回るわ!」と予定を口にした
阿賀屋が「ならば神野達に声をかけてやれ!」と謂う
「え?迷惑しない?」
そんなに何度も自分の事で仕事を中断させてしまうのは忍びないのだ………
阿賀屋は呆れた顔をして「声を掛けぬ方が寂しがるだろうが!お前がビルを売っぱらっていると聞き、康太に相談に行ってたんだぜ!彼奴等!」とボヤいた
烈は「竜ゅー馬、なら晟雅ゃの事務所へ連絡を入れて!」と謂う
竜馬は即座に神野達のグループラインに連絡を入れた
「晟雅さん達今お時間ありますか?
少しお話したいんですが、大丈夫ですか?」
竜馬がラインすると神野達は『何時でも良いぞ!来るか?行くか?どっちが良い?』と返信が来た
竜馬は無言でラインを見せると
「2階に行きましょうか………この部屋は半数以上モニタールームだからね!」と謂う
「ならこの2階の部屋に呼ぶ?」
「そうね、竜ゅー馬お迎えに行ってね!」
「了解っす!」
竜馬は「ならオフィースビルに烈がいるんで来て下さい!」と頼んだ
神野は『すぐに行くよ!』と返信があった
暫くしてオフィースビル横の立体駐車場の前にいるとラインが来た
竜馬はIDを手にしてピルを出て行った
立体駐車場の一階のゲートを開けさせて、車を停めて貰うと、車から降りオフィースビルへと向かった
IDを翳してロックを解除してビルの中へと入って行く
2階のドアをノックするとクーがドアを開けた
烈は神野達が席に座るを待って
「晟雅ゃ達に話があります!
その話をする前に信じられない様な話をしないとなりません!」
と言い、今自分が何の為に動いているか?を話した
鳳凰の禍が降りかかるから、倭の国の政治家も自治体も経団連も企業も協力体制を敷いて、それに臨む事
其れには企業の協力が必要となる事!
そして神野達に他の芸能事務所へ行く事になっているから、付き添って欲しい事を伝えた
神野は「朝一番で政府から全面協力してくれ云々の依頼を小鳥遊が受けていた
三社共同事務所は全面的な協力を約束する!
其れよりも烈、俺は心配してるんだぜ!
それに対しての話は有耶無耶なんたが?」と問い掛けた
「晟雅ゃ、あれ以上の話はないわよ!
蔵之介の入る筈だったビルを売りに出したのは本当よ!
だって本来の人が入れないのに………持ってるなんて辛すぎるからね…………
で、晟雅ゃ達のビルは使える機械だけ引き上げたら解体して取り壊し更地にして売りに出すわ
今のボクにビル建てられるだけの資産はないからね…………仕方ないのよ!」
「それって飛鳥井の新居建てて、兵藤の家を建てたからか?」
「それもあるわ、それと並行して飛鳥井建設の新社屋建ててるって言ったじゃない!
セキュリティーに特化した新社屋に資産投入したから、そんなお金ある理由ないじゃない!
ボク、そんなにお金ないし、そんなにお金に困らない大富豪じゃないのよ!
資産は底をつくわよ!
でも、其処からまた始めてビルを建てる!
如何に儲けて資産を運用してビルを建てるか?
そうしてボクは前世より生きて来てるのよ!
今はね、出費の時期が重なり過ぎて、少しビル建てる資金がないだけよ!
あ!ついでにぜんちゃんちも建てたのよ!
今夜引き渡しなのよ!見に来る?」
須賀は「家を3軒、新社屋を建設中、そりゃ次のビル建てるのに資金は出ない筈だ………」と呟いた
柘植は「兵藤の家は何故君が建てねばならなかったのか?教えて貰えませか?
まぁ兵藤さんちの貴史君いるのに聞くのは憚られますが、教えて下さい!」と問うた
「イギリスがお金出す気がなかったからよ!
話が一転二転して、資金を出す気配すらなくて………倭の国の方としても土地は確保してあるのに、建設が始まらなくて困っていたのよ
このまま倭の国が建設して良いのか?それさえ解らなくて頓挫したのよ!
イギリスを待っていたなら半永久的に無理だと思ったのよ!
でも今の家に元姫なんて連れて来たら、強盗に押し切られたら一発アウトなのよ!
だから県と国と話し合い、国有地を貰い受けたのよ、まぁタダでくれないから働かされたわよ
で国有地に家を2軒建てたのよ!
敷地面積一杯に使ってね、建てたのよ
其れが兵藤の家と蔵持の家よ!
まぁ兵藤はセキュリティー万全で何かゴツくなっちゃったのよ!
それに比べてぜんちゃんちは素朴な家って感じになったのよね!
其れで取り敢えず引っ越しして貰って、元いた家を取り壊さないと駄目なのよ!
あの兵藤の土地はボクがマンション建てるつもりなのよ
何故なら、空き地にしておけれないからね
空き地にして変なの居着かれたら、前が久遠先生ぇーんちじゃない!
紅たんも子供産んだ事だし、家族増えるのに変なのいたら子育て出来ないじゃない!
と謂うのが理由なのよ!
そしてぜんちゃんちに八雲動物病院を建てるつもりなのよ!
まぁ此れが話の全てよ!
別に隠していた訳でもないし、秘密な話でもないのよ!」
柘植は「セキュリティーですか?確かに姫を住まわせるならば……大切ですね!」と呟いた
「もっと豪華な豪邸とか考えていたけどね
今の御時世にそんな人目につく、さもありなんな豪華な豪邸建てる奴なんて滅多といないから、逆に標的にされちゃうじゃない!
狙われて強盗カモーンしちゃうからね
だからセキュリティーに特化して、尚且つ個人のプライベートな空間を保てる家目指したのよ
階数で分けてあるから、全く顔を合わせなくても生活は出来るし、家族としての空間もある
まぁ政治家になり儲けたら自分で豪華な豪邸建てて貰ってくれれば良いからね!
その時は飛鳥井建設の御用命 お待ちしております!」
兵藤は「儲けたら烈にあの家の分の支払いはするさ!」と口にした
「あ~イギリスに請求するから、それは大丈夫よ!兵藤きゅんは其れよりも早く家具を買うのよ!」
烈が謂うとイーサンは「ヒッコシソバ!」とボヤいた
竜馬は「結婚準備金50万円じゃ紗理奈の家具なんか買えないじゃんか!
ねぇ烈、紗理奈の家具とかどうなってるの?」と問い掛けた
「まぁ来年の5月まで菩提寺で暮らす事になるからね!
6月にイギリスと倭の国とで結婚式を挙げて以降はあの家で暮らす事になるからね
その時に考えても良いし、今回の件で正式な結婚準備金が支払われるなら、紗理奈と共に家具を見に行けば良いじゃない!」
兵藤は「仕事部屋ってのがな………イマイチどんなの買ったら良いのか?解らなくてな、頓挫してる!」と決まらない現実を口にした
「ぶっちゃけ………50万円じゃ書斎の机と椅子でギリかもね
本棚とかは買えないわね!
安物で揃える気なの?安物は長持ちしないわよ
まず作りたい書斎をイメージするのよ
その書斎に合う机は安物の量販店ので良いかしら?想像してみて?」
兵藤は自分の書斎を思い浮かべた
作りたい部屋、作りたい書斎
その書斎に合う机は?椅子は?どんなのか良い?
机は木の温もりがあり、尚且つ長い間仕える机が良い
椅子は長時間仕事しても、疲れないリクライニング式のとかが良い
そして、その書斎には同じ様な木の温もりのある本棚を……………
想像していたら「50万円じゃ足らねぇわ!」と口にした
「だからね、取り敢えず書斎の机と椅子よ!
兵藤きゅん、ボクの部屋とか入ってるじゃない?」
「あぁ、お前の部屋は良く行くな!」
「あの椅子10万円するのよ!」
「え!嘘!あの椅子が10万円!!」
「後で座らせてあげるわよ!
あれはね父ぉーさんが宗右衛門の仕事を始めた時に疲れない椅子ってのを探して買ってくれた椅子なのよ!」
物凄い笑顔で話される…………
飛鳥井の子は本当に両親が大好きだった………
兵藤は「父の愛やんか………昔の感情も何も感じられない執行部 部長からは想像も付かんな……」とボヤいた
「兵藤きゅんだって電子頭脳とか動くコンピューターとか謂われてたんでしょ?
今じゃ想像も付かないけど卒アル見れば、その片鱗は見えたかも知れないわね!」
「え?それ、何処で見たのよ?」
「四季ちゃんが見せて話してくれるのよ!」
「…………学園長………職権乱用してねぇ?」
「そうでもないわよ!昔話は職権乱用にはならないわよ!
さてと、仕事に取り掛かるわ!
晟雅ゃ芸能事務所回り付き添ってくれたら嬉しいんだけど……」
神野は「無論!」
須賀は「連絡入れとくよ!」
柘植は「ならば手分けして連絡入れます?」と話し合う
神野達が連絡を入れていると、烈は
「メンバーとおーちゃんは飛鳥井へ行って休んでて良いわよ!」と話をした
相賀は「儂も行っても構わぬぞ!」と謂う
「ん~疲れちゃうし、晟雅ゃ達で話は事足りるわよ!政府から応援要請が出てるなら、話はスムーズに行くでしょ!
変な芸能事務所も潰れた事だし、ね!」
須賀が「ええ、応援要請なら行ってるので話はサクサク行くでしょうね!」と謂う
「なら皆、おーちゃんを連れて飛鳥井へ行ってね!竜馬がID持ってるから、それで開けるからね!」
竜馬は「了解っす!俺は皆を入れたら玄関から出れば大丈夫っすか?」と問い掛けた
「そうね……一陽たんいたら運転頼んて来て!
マイクロバスで行った方が皆乗れるわよね?」
「烈、行き先は東京だよ、交通期間使った方が早くない?」
「…………だから東京って嫌いなのよ!」
神野が「小鳥遊、事務所の社長を東京のホテルに集めるのは不可能か?」と電話を掛けていた
『応援要請の件ですか?』
「そう、それ!」
『政府から集めて貰うのは無理なのですか?
皆 忙しいから強制的でなくば、時間なんて作りませんよ!』
ぶち当たる現実
神野は即座に小鳥遊が言ってる事を伝えた
「なら今日集まるのは無理じゃない!
1件1件回ってもトップいなきゃ振り出しに戻るじゃない………
なら予定着けてからになるわね………」
烈がボヤくと阿賀屋が「芸能事務所のトップを集めれば良いのか?
うし!屋敷の奴等を総動員して集めてやるよ!」と言い動き出した
【阿賀屋家 当主より
芸能事務所各社へ通達
本日 阿賀屋家総本家へ芸能事務所のトップである者達は集まって下さい!
議題は政府からの要請の案件一択!
阿賀屋家当主と致しても、芸道に携わり何時の世も見守り守って来た自負がある!
何としても政府からの要請の案件は貫き通す所存である!
尚 この通達を飲まれない芸能事務所は、今後は阿賀屋の支援を一切受けられない事を此処に宣言致します!
本日 午後2時に阿賀屋家総本家へお越し下さいます様にお願い致します!
阿賀屋 蒼佑 】
阿賀屋は珍しくPCを手にしてポチポチ打っていた
そして完成し出来上がった様式を烈に見せた
「此れを屋敷の者達に転送したら、芸能事務所に一斉送信してやる!
そうすれば芸能事務所は総本家へ来るしかねぇ!それで話は一気に進む!
俺等は早目に昼を食おうぜ!」
「なら飛鳥井へ帰ろうかしら?
宗右衛門の着物着たいし、帰りましょうか!」
そうして皆で一階まで降り、関係者以外立ち入り禁止のドアを開けて裏の通路に出る
少し歩き通用口に出るとIDを翳してロックを解除して家の中へと入る
靴を持って玄関へ向かい靴を下駄箱に入れて手を洗いに行く
キッチンに向かうと一陽がいて
「一陽たん、早目にお昼取ってお出かけなのよ、ボク!」と謂う
一陽は「全員の分必要ですか?」と問い掛けた
「そうね、頼めるかしら?」
「了解です!」
烈はリビングのソファーに座ると皆もソファーに座った
メンバーは「烈、YouTubeは立ち上げといたよ!後で撮影して上げるだけだから!」と協力体制を敷いてくれていた
竜馬は皆の前に暖かい飲み物を置くと、自分もソファーに座った
「リーダー、どんな風なイベントにするんすか?」
「今回は鏡を使うのよ
国立競技場の会場に来てくれる人達には皆 鏡を持参して来て貰うのよ!
でね、その鏡を空に掲げて貰うのよ
人体に影響のないレーザーで鏡に当てて夜空に転写するのよ」
ダニエルが「それは神秘的な夜になるね!」と喜び口にする
「それに伴い告知もあるのよ!
今年は倭の国全国各地で新年の門松の紙を貼るのよ!」
イーサンが「それ聞いてて思ったんだけど、独身とかだと玄関に貼るのは無理だと想う!
僕がそれをやれと謂われたとしても…………
他の部屋はやってないのに、うちだけやる…何か破かれそうだし、嫌かな?」と自分の考えを口にした
烈は驚いた顔をして「え!!」と声を上げた
「そうか、そう言う考えもあるのよね
なら窓に貼るとか、内側のドアに貼るとか考えないとね!」
烈が考え込んで言うと竜馬が
「ならアンケートやる?」と問い掛けた
「そうね、やりましょう!
貼らない人には禍が直撃……なんて嫌だものね!」
ダニエルが「なら僕がアンケート立ち上げて、統計取っておくよ!」と名乗り出てくれた
メンバーは【ならそれ手伝うから!】と皆で協力し合い作ると約束してくれた
早めに昼を食べて烈は、宗右衛門の着物に着替えた
阿賀屋が「屋敷から迎えが来る故、竜馬と其処の芸能事務所の社長だけ阿賀屋の屋敷に招待致す!」と口にした
烈は「そうね、メンバーが行ったならば戦国時代???未だに忍者いる!と興奮しちゃうからね!それが一番ね!」と謂う
兵藤は「俺はどうしたら良い?」と問い掛けた
「ならば、アンケートを作成し直ちに年代に合わせて統計を取ってね!」
「了解!それはお手の物だ!」
阿賀屋は竜馬と烈と神野達と共に、阿賀屋家総本家へと出向いた
阿賀屋 本家からはバスがお迎えにやって来て烈と竜馬とバスに乗り込んだ
続いて神野、須賀、柘植が乗り込む
ラストに阿賀屋と鷹司が乗り込んだ
かなり走って、東京に入る
が、此処は何処?と想う程の緑が豊富な道を走る
「皇居外苑か………」
烈が呟く
竜馬は「え?東京なの?此処??」と思わず呟いた
皇居外苑を見ながら只管走る
そして坂を登り走る………只管走る 走る 走る
其処には大きな門が聳え立ち………物々しい風景があった
バスが近付くと門は自動に開いてバスを招き入れた
阿賀屋がバスを降りると屋敷の者が近寄り跪いた
「芸能事務所のトップか揃っております!」
「来なかった奴とかいるのか?」
「いいえ、今後阿賀屋の家の支援が受けられない
それは即ち、芸能事務所の存続の危機と成ります故、東京と横浜で事務所を構えております者は皆 お越しになっておいでてす!
沖縄の喜屋武社長は東京に今から行くのは無理だと早々に連絡が入ってます!」
「うし!行くとするぞ!」と言い颯爽と歩いて行く
その後ろを鷹司と宗右衛門の着物を着た烈が続いた
竜馬はその横を並んでて歩いていた
「御館様がお越しです!」
と屋敷の者が言うと正座した屋敷の者が左右に並び襖を開いた
芸能事務所の者達は頭を垂れて、御館様が座するのを待った
阿賀屋は何時もの席に座ると、烈達は空いてる所へ座った
「あ~呼び付けて悪かったな!
皆 面をあげられよ!」
と謂うと芸能事務所のトップは姿勢を正した
「其処に坐っているまだ小学生位の奴は、我が盟友 飛鳥井宗右衛門だ!
政府からの依頼で、其奴が責任者として動けと命じられたから、芸能事務所の者達は皆 全面協力を頼む!」
と告げた
振り返ると不敵に嗤う飛鳥井宗右衛門の着物を着た小学生が座っていた
烈は「政府から役目を拝聴致したので、今後は政府、政治家、経団連、自治体、各企業、そして各宗教団体と連携をして対策を取れと命を受けたので、ボクは告知を担当致します!
宗教団体を纏めるは鷹司緑道!
我等は使命を持ち、この未曾有の禍から生き延びる死命がある!
なので皆さん御協力お願いします!」と口にした
みゆき芸能事務所の社長は、海外タレントを多く所属させる芸能事務所だった
「何故他事務所に協力要請等出されるのですか?
飛鳥井宗右衛門は三社共同事務所と懇意にしておられる!
其れで事足りるのではないのですか?
自分でやると仰られるのならば、御自分で御自分のケツを拭かれれば宜しいかと?」と嫌悪の表情をして嫌味を口にした
阿賀屋はみゆき芸能事務所の社長を睨み付け
「主は協力は出来ないと言うおつもりか?」
「協力するしない以前に、懇意にしてる事務所で事足りると申しているのです!
我が事務所のタレントを貸し出すまでもないと申しているだけです!
しかもノーギャラって、彼がギャラを独り占めなさる為ですか?
今時 ノーギャラでやれと言う政府も政府ですよ!」
不平をタラタラと垂流す
阿賀屋は不愉快な顔をして
「ならば、去るがよい!
今後一切、阿賀屋からの支援は期待するな!
今後は阿賀屋の支援は一切受けさせぬ!
其れで何時まで芸能事務所を維持出来るか?見ものじゃない!
………誠 情けない!
此れから皆で協力して禍を乗り越えようと謂う時に、こんな非協力的な存在がいるとは…………
こんなのが混ざっていたら士気が下がる!
烈!政府にもみゆき芸能事務所は非協力的だったと報告書をあげておけ!
別に此れは強制でもなければ、命令でもねぇ!
倭の国が一丸となり、禍を受けない方法を生み出し協力をして行こうと言っているんだ!
非協力的な奴ならば、要らない!
お帰り戴いけ!」
と御館様が謂うと屋敷の者達はみゆき芸能事務所の社長を取り囲んだ
「お帰りはあちらに御座います!」
「何も、協力しないとは申してはおりません!
政府からの要請ならば、お引き受け致します!
どうか、今一度お考えを!」と謝罪を口にした
阿賀屋はみゆき芸能事務所の社長を睨み付け
「余分な事が多い芸能事務所は生き残れねぇぞ!
己の口で、己の首を絞めていると思われよ!
まぁケチが着いた故!お前とは話す気はしねぇ!
今直ぐに帰りやがれ!
でねぇと即座に潰すぞ!」
低い声で謂われ、ひぇぇぇ〜とみゆき芸能事務所の社長は逃げる様に帰って行った
阿賀屋は「クソな事務所もあったもんだ!」とボヤいた
烈は何事もなかったように
「さてと、ボクはYouTubeを立ち上げたら、その番組の中で共演してくれるタレントを日替わりで出して欲しいのよ!」と言葉にした
四方芸能事務所の社長は
「私は四方芸能事務所をやでている
四方達哉と申します!
タレントを貸し出せと申されるのですか?」と問い掛けた
「そうよ、でなきゃ政府からの協力要請なんてしないわよ!
この世に確実に降りかかる禍から、国民を守る為に、我等は動き出すのよ!
それに無償で協力して欲しくて阿賀屋蒼佑氏の協力を仰ぎ、この場を開かせて戴いたのよ!
でも、嫌なら断ってくれて良い!
その旨を最初に言っていてね
そして帰っても貰って構わないから!
その後、阿賀屋から報復があるとか恐れているなら、それはないと約束するわ!
貴方達には一切の手出しはさせない!
その上で協力して貰えるのか?決めて下さい!」
四方は「因みにどんな風に協力したら良いんだい?」と問い掛けた
「鳳凰の禍を無効化する為に部屋に護符を貼り一定時間外出を控えて貰う呼び掛けとか
夜 7時から9時まで夜空に鏡を向けよう!とか
本当に些細な呼び掛けをします!」
「ならば、うちは全面協力させて戴くよ!
好きなタレント使ってくれて良い!」
「どの子も?良いのかしら?」
「あぁ、君になら全面協力を約束しよう!」
「四方芸能事務所なら、浅葱 仁って子いるじゃない!あの子はクールが売りなのかしら?」
「良いや、そんな訳じゃない
クールを売りにした事はないが………顔付きが冷たいからかな?」
「なら笑顔でYouTubeに出ても可能かしら?」
「あぁ、構わないよ!
因みに私は飛鳥井瑛太、君の叔父の友達です!
なぁ?晟雅、そうだよな?」
話を振られて神野は「そうだ、桜林の腐れ縁だ!」と言う
「そうなのね!えーちゃんの友達なのね!」
ニコニコ笑う顔は物凄く幼くて…………
その場にいた者達は言葉をなくしていた
君島音楽事務所は歌い手を多く抱えるエージェントだった
「私は君島晴貴と申します!
私は何と瀬能和寿と愛染恭輔の親友でこの前代替わりしたばかりの若輩者ではありますが、私も全面協力約束いたしましょう!」
「moniは活動休止中よね?」
烈は其々の事務所のタレントの名前を頭に叩き込んでいた
「moniはもう解散したも同然です……」
「そうなのね、でも一度だけYouTubeに出てと言っていてね!
そしてBREAKを出来たら使いたいわ!
エイセイとハモらせたら楽しみね!」
「好きにYouTubeで使ってやって下さい!」
どの事務所も全面協力を約束してくれた
烈は「イベントの間だけ、連絡出来るツールを作ります!それにこまめに状況を載せます!
なので其れでチェックして下さい!」
そう言い烈は宗右衛門の声で
「阿賀屋蒼佑、貴殿のお陰で実りある話し合いが出来た!
貴殿には感謝しても足らぬ!
本当にこの場を作ってくれ感謝致す!」と言葉にした
そして芸能事務所の社長には
「貴殿達のタレントの意外な一面をYouTubeで魅せられたら、其れはノーギャラでタレントを貸してくれた貴殿達への礼になると想い頑張らねばと思っておる!
この禍を乗り越えて………行こうではないか!
今日は本当に有り難うじゃった!」
と感謝の言葉を贈った
芸能事務所の社長はマネージャーの名刺を渡して
「何時でも予定はつけますので!」と言い烈と固い握手をして解散となった
皆が阿賀屋の総本家から出て行くと、烈は阿賀屋に
「有り難うね!真央たん、1日で何とかなったわ!まぁ最後まで何も言わなくても不満を滲ませたのとかいたし………全員には頼むかは解らないけど、取り敢えず友好的な事務所の人達には友達の輪、やって貰うつもりよ!」と謂う
烈が謂うと阿賀屋は不快感を滲ませ
「不満を顔に出しちゃいけねぇよな?
おめぇもそう思わねぇか?宗右衛門!」と言葉にした
「まぁね、ポーカーフェースは企業人として第一条件よ!
其れが出来てないって事は………どんだけ頑張っても後が無い事務所って事なんじゃない?」
鷹司が「不平不満を顔に出す政治家が一番信用にならんのと同じじゃよ!
腐っても社長を背負っているならば、阿賀屋の屋敷に召集掛けられて不満だったとしても、それは笑顔の下に隠しておかねばならぬ!」とボヤいた
「まぁ昔の芸能事務所社長 松平光三郎みたいな男前で色男で稀代の社長なんてのはいないわよ!
彼は本当に誰からも愛され人徳もあり、世も動かしたって伝説の芸能事務所の社長だったからね
今 芸能界で力を持ってる芸能事務所って三社共同事務所でもあるからね
そりゃ不平不満出ちゃうわよね!」
「烈、みゆき芸能事務所はとうするのよ?」
「捨てて置いて構わないわよ!
興味もないし、別にどうでも良いわよ!」
「主は変な所で倍返しする癖に、基本………難癖付けて来る奴等は捨てて置くのじゃな!」
「構うだけ時間の無駄だからね!
ボクは遥か昔から嫌なら断れば良い!との考え方は変わらないのよ!
無理して取り繕われる方が不愉快だからね
そんな非建設的な時間を送る事こそが拷問級の不毛な時間だと思ってるからね!
だから協力したくないって顔に出ていた奴には声さえ掛けないわ!
その代わりノーギャラでYouTubeに出てくれるタレントには意外な一面を魅せて行かなきゃと思ってるからね!
既に事前調査済みなのよ、みゆき芸能事務所が異論を口にするのも調査で知っていた
しかもあの社長ホストクラブでボクの悪口言いまくっていたと報告が上がってる程にね………
顔を見るだけで踏んづけてやりたいそうよ!」
阿賀屋は眉を寄せ顰めっ面になり、不快感を滲ませた
「それ本当の事なのか?」
烈はサコッシュから丸めた報告書を取り出すと、阿賀屋に見せた
みゆき芸能事務所 社長 田中みゆき
みゆき芸能事務所は外国人タレントを多く所属させている
私生活ではホスト三昧の日々を送り、お気に入りのホストのレント君に貢ぎまくっている
そしてホストクラブでは「飛鳥井烈ってウザい顔してる」「あんな子供に芸能界が左右されてるのが不快!」「三社共同事務所に搾取されてる哀れな子!」「あ~嫌になるわ!嫌でも飛鳥井烈と顔を合わせないといけないみたい!踏み付けてやりたいわ!」と好き放題言っている
ホストクラブでもブラックに乗る側で有名な女
等の報告書に目を通した
阿賀屋は「お前、この女に何かしたのか?」と想わず聞きたくなる程に恨まれていた………
「今日 初めて見る顔だけど?」
「接点ねぇのに何故に此処まで嫌われてるのよ?」
とボヤき報告書の続きに目を通す
田中みゆきは昔 売れないタレントで、柘植の事務所に所属していた
だがタレントとしては売れる事はなかった
田中は柘植にご執心だった
が、柘植は若いタレントばかり見て田中を見る事はなかった
タレントとして見切りを付けた田中は、クラブで働き外国人タレントを多く所有する田中芸能事務所の社長と知り合い愛人になった
その頃から田中が芸能事務所の手伝いをする様になり、妻を追い出し社長と結婚
その後に事務所を乗っ取り、社長を追い出し、みゆき芸能事務所と改名
以来事務所の社長をし、好き放題に外国人タレントを低賃金で雇い酷使させている
阿賀屋は「何、この絵に描いた様な最低最悪な女は………ひょっとして柘植を結婚させた烈に敵意剥き出しにしてるとか?」と報告書に目を通し感じた事を口にした
「あ~レントって子は柘植恭二に似たホストって有名なのよ!」
それを聞き柘植は「ひょっとして仲間みゆき??
彼女にはストーカーされてました
ドアを開けて家に入った瞬間 彼女がセクシーな下着姿で私を出迎えたので警察に突き出しました
以来、セキュリティーが確りしたマンションにしか住めなくなりました………」と顔を青褪めさせて呟いた
鷹司は「何じゃそのヤバい女は!」とボヤいた
烈は「あの女は放っておけば良いのよ!
実害が出ない限りは放置で良いのよ!
藪を突っ突いて阿修羅出したくないでしょ?
だから無視で良いのよ!」とボヤく
竜馬は「あ~烈に何かしたら真矢さんが鬼の形相で刺し違える覚悟で追い詰めるからな……
そりゃ無視するに限るね!」と謂う
榊原真矢は孫の為ならば阿修羅にてもなるのか………と今更ながらに想う
元は我が子なのだ
康太に託したがお腹を痛めた我が子なのだ
だが真矢は祖母として徹底的にどの子にも変わらぬ愛で接していた
大切な康太の子なのだ
神野も「なら箝口令敷かねぇとだろ!
真矢さんに要らぬ苦労させたくねぇだろうから、この事は絶対に真矢さんには知らせるのは禁止だ!」と謂う
須賀は「解ってるよ晟雅!不安要素なんて箝口令敷いて絶対に漏らさないよ!」
柘植も「孫命な人ですから!康太と孫の為ならば、あの人は阿修羅にも菩薩にもなれますからね
言わぬが仏………ですよ!」と笑う
皆は頷き、絶対に口外しないと心に決めた
阿賀屋が「さぁ飛鳥井に帰ろうぜ!」と謂う
烈は「真央たんは家にいなよ、此処は真央たんちじゃない!」と意地悪く笑って言う
「烈、そんな事を言うなら徹底的にみゆき芸能事務所を潰してやるぞ!」
「…………真央たんは手は出しちゃ駄目よ!
仕方ないわね、さぁ帰るわよ!
ボク 着物脱ぎたいのよ!」
そう言い立ち上がると阿賀屋の屋敷を出て、乗ってきたバスに乗り込んだ
そして飛鳥井の家へと帰ると、烈は自分の部屋へと行き宗右衛門の着物を脱いた
そして着替えと下着を持ち洗濯バッグを手にして【お風呂場】へと向かう
阿賀屋も鷹司も竜馬に兼右衛門の部屋にある服と下着を借りて【お風呂場】へとやって来たのだ
【使用中】の看板を表にしてお風呂場に入る
烈は体を湯で流すと湯船に浸かった
兄達が「烈、帰ってるの?」とお風呂場へやって来ると烈は湯船に浮いていた
「にーに達帰ってるわよ!」
流生は「もぉ、また湯船に浸かって体を洗わないんだから!」と言い脱衣所で服を脱ぎやって来た
烈を湯船から出して体を洗う
烈は何も言わず体を洗って貰っていた
クー プー ルー スーも湯船に浸かり
「酒浮かべたいわな!」と言っていた
烈は体を洗って貰い湯船に浸かり温まると、お風呂場から出て行ってしまった
翔は「烈何かあったの?」と問い掛けた
阿賀屋は「まぁあのお子様も色々とあるのよ!」と言葉にした
烈は部屋に戻るとベッドの上のクッションを殴り
「あ~見たくもないタイプの女見ちゃったじゃない!」とクッションをボスボス殴り付けていた
烈の声を聞いて部屋へ行こうとした康太だが、珍しく叫ぶ烈が気になり部屋を覗いた
基本 部屋は防音だが、クーが部屋に入って良いもんか………ドアを開けっ放して困っていたから………音漏れしちゃったのだ
康太は烈の部屋に入ると「何があったのよ?」と問い掛けた
烈はクッションを殴る手を止めて「母ぁーさん……」と呟いた
康太はスーツを着たままだが、烈のベッドに腰掛け我が子を抱き締めた
「何があったのよ?」
「嫌な過去を思い出させる女を見たのよ
涙して怒りに震えるボクを見て笑っていた女に良く似てて………少しトラウマを刺激されたのよ!」
その思い出は遥か昔の………復讐を遂げると決めさせた過去の出来事だった、
「過去は変えられねぇ、辛いなら記憶を消すぞ?と言ったオレにお前は総てが自分の戒めとして覚えておきたいと言ったんじゃねぇかよ!」
「そうなのよ、覚えておかなきゃ駄目だと想ったのよ………でもね時々本当に過去の1ページを切り抜いたかの様なゲスな女を目にすると記憶は蘇り消しちゃいたい衝動に駆られるのよ………」
「そんな時は薄めたカロリー気にしないヤケジュースだな!」
「ゴメン母ぁーさん…………こんな風にクッション殴るボクも情けなくてね………落ち込むのよ………」
「まぁ良いやんか!どんなお前でも我が家は受け止めてくれるさ!
其れが家族ってもんだからな!」
烈は母に抱き着いた
そして「あ!!大変忘れてた!!」と思い出して騒いだ
「落ち着け烈!どうしたよ?」
「ぜんちゃんの新居、案内する予定だったのよ」
「明日約束して行けば良い!
今夜は飯食ってヤケジュース飲んで寝ちまえ!
でもなあんまし飲むと、チビる危険あるか……
ならトレパンマン履いて寝るか?
其れともおねしょシーツ敷いとくか?」
「母ぁーさんチビらないってば!
チビったとしても、こっそり洗濯機に入れるわよ!」
「そうか、こっそり洗濯機に入れるか!」
康太は笑った
そして背中を撫でて「もう大丈夫か?」と問い掛けた
烈は頷いた
康太は笑って立ち上がると「ほら、兄達が心配して来てるぜ!」と言い自分の部屋へと向かった
兄達は烈の傍へ行き、弟を抱き締めた
烈は私用の携帯を取り出すと
「ぜんちゃんゴメンね!
家を案内する予定だったのに、案内出来なくてゴメンね!」とラインを入れた
『竜馬から今夜は多分烈は新居の案内は出来ないかも知れない、との連絡を受けてるから大丈夫だよ!』
「明日午後6時にお時間ありますか?」
『明日は土曜日だから朝から時間はあるよ!』
あぁ…………もう週末になっていたのね
気付かずにいる自分が、どんだけ忙しかったのよ………と思った
「なら明日の朝、一緒に朝を食べましょう!
新居に来てくれて良いから!」
『解りました、ならば明日の朝8時頃伺いますね!』
とラインを終えた
音弥は「今夜はヤケジュースなのよね?さぁ客間に行きヤケジュース飲むのよ!」と言い弟の手を引っ張り客間へと向かう
兄達はクー達を抱き上げ一緒に客へ向かった
今夜は阿賀屋に礼の為に奢る宴会をするから!とメンバーにラインを入れた
メンバーは隙を見つけて一陽と英生と慎一とで買い出しに出掛けた
事前に烈からは費用が渡されていた…………が、メンバーが受け取らず自分達で費用を出した
そして準備万端で待っていたのに…………烈は能面の様な顔をして風呂場に行き、出て来たと思ったらクッションを殴って叫んでいたのだ
言葉も掛けられず竜馬により客間へ連れて行かれ
「さぁ宴会の準備をするよ!」と謂われ準備をしていた
阿賀屋は烈を見るなり「大丈夫か?平気そうな顔してたのにダメージ受けていたのだな!」と話す
「虎と馬が刺激されたのよ!
遥か昔………ボクが吐き気がする程に憎み消したいと思った一族の女に似てて………
あの蔑む目してる女目にしたら………消してやろうか!と想って我慢するの大変だったのよ
真央たんは………あの手の女が嫌いなの知ってるから早めに排除してくれたのよ!
悪かったわね………ボクも未熟なのね……」
其処へ着替えた康太がやって来た
「それは違うぞ!烈
苦手意識は誰にでもあるんだよ!
それを未熟と想うのは良くねぇぞ!
そんなの克服する必要なんてねぇし、慣れる必要なんてねぇんだよ!」
「母ぁーさん………」
「得手不得手は誰にでもあるんだよ!
良いじゃねぇかよ!
クッション殴ってストレス発散してるお前の方がらしくて良いぜ!」
「あのクッションは父ぉーさんが特注で作ってくれたのよ!
破れない、中身が飛び出さないクッションを、買ってくれたのよ!」
父は何時だって烈の味方だった
母だって何時だって烈の味方だった
烈は「母ぁーさん!目にするのも嫌なのよ!」と泣き出した
康太は烈を抱き締め
「そんな奴ならオレだって五万といるさ!」と言った
飛鳥井家真贋として人の醜い部分を目にして来た
見たくもない過去も見て来た筈だ
烈が泣いているから祖父母はおろおろとしていた
清隆は「烈どうしたんだい?お小遣いあげようか?」と口にする
玲香も「烈、我に話すのじゃ!烈を虐めた奴がいるならば、鍬を手にして殴り飛ばしに行ってやるわ!」と言った
康太は「母ちゃん、それ本当にやるからな!」と笑った
烈は涙で濡れた瞳で祖母を見た
「昔 蒼兄が怪我した時、怪我させた奴の家に鍬を手にして乗りこんだもんな!
オレ、その鍬どうしたのよ?と思ったかんな!」
「あれはたまたま其奴の家の近くに畑があったからな、鍬を拝借したのじゃよ!
鎌か鍬か、悩んだが鍬の方が武器になるから鍬にしたのじゃよ!」
「まさか向こうの両親も鍬持って来られるとは想ってもいなかったろうな!」
康太が謂うと瑛太は
「母さんは父さんに怪我させた現場監督の家にハンマー持ってお仕掛けた過去があります!」と暴露した
「あれは愛する夫が怪我させられたのじゃからな!其処にあったハンマーを手にしただけじゃ!
ぶっちゃけ烈にハンマー飛ばした奴が我の目の前にいたならば、チェンソー持ってバラバラにしてやる気で謝罪させたわいな!」
烈はその時はまだ会社に携わった部署にいなくて良かった……とつくづく思った
いつの間にか涙も乾き、家族が笑顔になり、その夜は楽しく皆で飲んだ
烈もヤケジュースを飲み、夜中に何度もトイレに起きて少し寝不足となった
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