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第72話 粉骨砕身 ❸
西園寺維弦は覚悟を決めた瞳をしていた
烈は此れで維弦の未来は分かれると思っていた
話を終えると維弦は菩提寺を出た
隣で黙って話を聞いていた花山院が
「本当にお前って……過酷な現実突きつけるよな……」とボヤいた
「何処が過酷よ!総ては自分の眼で確かめないとならない未来なのよ!
自分が決めて進まないと【悔い】が遺るじゃない
その悔いは美化されて現実を見失う時があるのよ
だから現実は誰よりも確りと叩き込み進むのよ!
其れが過酷だろうが、地獄だろうがね!」
「何かそれと同じ言葉……じぃちゃんが言ってたな」
「花山院秀雅………彼の基礎を叩き込んだのはボクだからね!
士官学校の時の後輩だからね!」
「…………今はもう鬼籍の人だから………話す事なんて叶わねぇけど、繋がりあったんだな……」
「そりゃ古く続く【家】と言うのは繋がり逝くが定めだからね!
と言う事で弥勒、楓雅の覚醒の儀 協力してね!」
すると何時の間にか来ていた弥勒が座っていた
全く気配は感じなかった
何時からいたんだよ?と花山院は思った
弥勒はじっと花山院を見て
「覚醒の儀なんて要らねぇだろ?
コイツの祖父が黄泉の旅路に出向く前に全てを託し能力も権限も総て渡しているからな!
【落胤】がコイツの額には入っている
そう謂う奴は総て受け取っているんだよ!
だから覚醒の儀やっても意味はねぇぜ!」と言った
「【落胤】………母ぁーさんの目には視えていたのね!ボクにはそんな眼はないから解らなかったわ
そうか、総て渡して秀雅は黄泉の旅路へ旅立ったのね…………」
「まぁ同じ眼有っても仕方ねぇからな!
お前はお前の遣り方で良いんだよ!
まぁ落胤は受け継いでいても、花山院家ってヤツの【力】は使い熟せてねぇな!
やるとしたら落胤を定着させて、力の解放だな!」
「それ弥勒ゅは無理なのかしら?」
「無理じゃねぇが、専門家に頼んだ方が的確だ!
どうせ近々神髄師に合うんだろ?
ならば落胤は神髄師に、力は釈迦にでも頼めよ!それが完全な力を取り戻す事になる!」
「そう、ならば神髄師と釈迦に頼むわ!」
「あぁ、俺が力を解放しちまったら………人に与える影響は計り知れねぇからな!」
「あ、そうだっだったわ!
無理言ってゴメンね弥勒ゅ!」
「良いって事よ!
其れより、さっきの西園寺の倅……揺れてるな
その為に式神着けたのか?」
「心に隙があると漬け込まれやすいのよ!
だから護衛の為にね式神着けたのよ!
其れと………上間美鈴は永久牢獄へ入れてあるから意識さえ飛ばせないんだけど、此処最近……またあっちこっちで上間関係の話を耳にするのよ
まるで意図的に……操作されてるみたいね!」
「きな臭い話だな………ソイツの親族とか、兄弟はいなかったのか?」
「妹が一人いたかしら?」
「ソイツは今何してるのか?
今一度調べたらどうよ?
悪意的なの感じるのなら、それしかないぞ!」
「そうね、其れしかないわね!」
と、呟き烈は唐沢に
「上間美鈴の妹、今何処にいるのか?
居場所とか解らないかしら?」とラインを入れた
烈からのラインに気付いた唐沢は、何故今上間美鈴?と想いつつ
『上間に妹なんかいたのか?』と呟き、思い出した様に
『そう言えば妹の給料も使い込みしてたとか言ってたな………ならば妹は今何処で何してるんだ?
其れは俺等も把握してなかったわ!』
と唐沢も気になり、部下に上間美鈴のファイルを持って来る様に指示を出し確かめる
その中には経歴が書かれているからだ
【上間美鈴 上間智樹と明美との間に生まれた一人娘!熊本の高校時代に、スカウトオーディションに受けて上京
四方芸能事務所で新人からかなりの人気を上げ………】
と謂う資料をパシャッ写メして烈に送信した
本当ならは外部に情報漏洩はさせてはならぬが、飛鳥井烈は内閣調査室の特別監視官の役目を担っているから問題ないと送信した
烈はそれを目にして
「え?上間に妹いたわよね?」と呟いた
あれ?名前が思い出せない………確かにいた気がする
烈は母に電話を掛けた
ワンコールで出た母に
「母ぁーさん聞きたい事が有るんだけど?良いかしら?」と切り出した
『おー!あんだよ?』
「上間美鈴には妹いたわよね?
名前を思い出せないけど、確かにいたわよね?
妹の給料まで奪っていたって言われていたわよね?」
『おー!いたな!あれ?名前はなんだったっけ?
思い出せねぇねど妹いたぜ!
あれ?気持ち悪いな………顔も思い出せねぇ……』
「母ぁーさん、上間一人っ子だった……」
『え!嘘!須賀の事務所に姉妹で所属してるって言ってたぞ?………あれ逢った事あるのに顔思い出せねぇし……名前も思い出せねぇ……
お前は今直ぐに須賀に聞け!』
『了解したわ!』
そう言い康太との電話を切ると須賀に電話を入れた
ワンコールで出た須賀に烈は
「聞きたい事があるんだけど?」と切り出した
須賀は『何ですか?聞きたい事って?』と嬉しそうな声で問い掛けた
「上間美鈴って妹いたわよね?」
『え?上間美鈴の妹ですか?
確かに姉妹でうちの事務所に所属していましたね!でも妹の方は姉が警察に捕まって直ぐに、事務所を辞めると言い退所して姿を消しました
あれ?顔が思い出せません……後………名前も……
資料を出して確かめるので、後で掛け直します!』
須賀は電話を切って直ぐに過去のタレントの資料を取り出して調べた
芸能事務所には辞めて行った者、他の事務所へ移籍した者等の資料も一応残って置いてあった
その資料は紙の束で頑丈な金具で綴じて年代別に置いて在った
須賀は最近の退所者の資料を取り出すと……手にした瞬間、バラバラと地面に写真入りの名簿が落ちた
須賀は「え?………綴じてあるのに?」と訝しみ事務員に
「何故バラバラになってるんです?」と問い質した
事務員は「え?誰も触ってません………」と言い資料を拾い、戻そうとして
「え?社長、このファイル……金属の金具を壊して、無理矢理破かれてるんじゃないんですか?
その所為でバラバラになったんじゃないんですか?」と破かれたファイルを指さした
力付くでファイルの金具を外され破かれ強引に破かれた形跡があった
「この事務所のセキュリティは………許可なくば侵入するのは不可能な筈……」
と言い神野や柘植を呼び出した
そして烈から上間美鈴の妹の事を聞かれたから資料を取り出そうとしたら………無理矢理金属を破壊され破かれ持って行かれた形跡があった
全てを話した
上間姉妹までが、今のビルへ事務所を移転する時の退所者だったので、これ以降の名簿は別に作り直すか紙媒体を廃棄してPCへ取り込ませようかと、厳重に金属で外れない様に綴じた事を伝えた
神野は「この事務所のセキュリティは完璧だ!
なら外から来るのは無理だと謂う事だろ?」と須賀の言いたい事を変わりに口にした
須賀は「ええ………晟雅が言った様に……内部の犯行と………考えるしかないんですよね?」と言い難そうに口にした
柘植は「ならば【R&R】のビルに引っ越す前に………片付けねばならないって事だね………
だって烈狙いなら【R&R】のビルに入れちゃうならば、仕掛けて来てもおかしくないからね!」とやはり其処へ話が辿り着くしかないと思う
小鳥遊は「【R&R】のビルへの引っ越しは決定なので、その前に康太に頼み弥勒に社員を見て貰いましょうか………」とそれしか残された道はなおと口にする
神野は康太に電話をした
ワンコール出てた康太に神野は「夕方……行っても良いか?少し相談に乗って貰いたい事がある!」と頼み込んだ
『遊びに来るなら無料だけど、相談ならオレは高いぜ!』
其れは烈の口癖だった
「それ、烈が何時も言ってるぜ!」
『ちぇっ!晟雅の癖に!
話だけなら手ぶらて良いけど、酒を飲んて行くならツマミ持って来いよ!』
と言い電話を切った
そうして夕方、神野達は横浜橋商店街へ行きツマミを買ってから飛鳥井の家を尋ねた
無論 須賀は破壊された名簿を持って行く事に決めた
飛鳥井の家へと向かう為に立体駐車場の前に駐車して、ゲートを開けて貰おうと連絡をしようとすると、丁度菩提寺からレイ達を連れて帰宅して来た英生が
「晟雅さん!」と声を掛けて来た
「あぁ、エイセイ、飛鳥井の家に用があるから、連絡入れてゲート開けて貰おうかと思っていた所だよ!」と言う
英生は「なら俺が車を停めたら操作するので待ってて下さい!」と言いゲートを開けて車を入れる
そして車を停めた後に、神野の車が入れる様に操作してゲートを開けた
車からレイ達が降りる
レイ 凛 椋 響 奏 が降りて来ると、神野達を待っていた
須賀が荷物を持って車から降りるとレイは
「ダメ!」と言い須賀の荷物を叩き落とした
其処へ榊原の車が入って来て、自分の所定の位置へ車を停めると、車から降りた
康太は須賀の荷物を視て
「其れを持ち込まれたら困るな!」と言った
須賀は「え?このファイル……何か細工がされてますか?」と問い掛けた
レイは「やみに ちょまってる!」と言った
康太も「んなの家に持ち込んだら、黒いジャガー来ちまうやんか!
烈が苦労して建ててくれた家に住めなくなるのは許せねぇな!」と言う
榊原は「レイ、闇を剥離しなさい!」と謂う
レイはファイルにこびり着いた闇を剥離させ、闇を操っていた
そして総て剥離すると、黒い水晶の様に丸めて浄化して逝く
すると黒い水晶が透明の美しい水晶へと変貌を遂げた
そうして穢れのない水晶にすると、ふうぅ〜と息を吹きかけた
そして印字を斬り時間を呼び戻した
「元の姿になりなさい!」とニブルヘイムの声で謂うと、ファイルは元通りの姿になった
レイは「ちゅかれた………」と謂うと、榊原はレイを抱っこした
そして「さぁ帰りますよ!」と謂うと飛鳥井の家へと帰って行った
通用口から入り、通用口に新しく作った下駄箱に靴を入れた
康太が「玄関まで持って行くの面倒だよな!」と言ったから、烈は施工の社員に頼んて下駄箱を取り付けさせたのだった
レイは榊原に下ろして貰うと下駄箱に靴を入れ、洗面所へ行き手洗いうがいをした
そして自分の部屋に行き着替えをする
神野達はツマミを慎一に託すと、リビングに通された
暫く待ってると康太がリビングへやって来た
「要件は何だよ?」
康太が問うと須賀が事情を話した
そしてファイルを持って来た事情を全て話した
柘植は「烈はどうしました?」と問い掛けた
「烈は多分家に帰れねぇだろ?」
「え?其れは何故?」
「近衛の家の顔見世の儀を執り行う準備をしているからな!
色々とアクシデントがあり、予定のホテルが使用出来なくなったりして伸び伸びに伸びていたから阿賀屋家から場の提供を受けた
今回は失敗出来ねぇからな、招待状も改めて発送しねぇとならねぇし、大変なんだろ?」
「………ならば烈には会えませんか………」
「その件ならば少し待て!
烈が三社共同事務所の社員バッチを考えていたからな!
飛鳥井と同じ社員バッチを着けさせ、ある程度の行動の把握をする
そうしねぇと新しいビルで活動させる気なんてねぇんだろ?
今度の事務所は紛い物が混じる事は不可能な建物となるかんな!」
須賀は「其れはどうしてなのか?お聞きしても?」と問い掛けた
「あのビルは色んなセンサーやカメラが配置されてるビルだ!
例えば人気のない階段なら防犯カメラなんてねぇから大丈夫だと思うだろ?
が、目視は出来なくとも、そこら中にカメラは仕込まれて監視されている!
最先端のセキュリティが入ってんだよ!
例えば、お前の所の社員が別の区域に侵入を試みようとする
そしたら即座に警備員が駆け付け捕縛され、内閣調査室の方へ引き渡される!
其処から烈の研究室に移動させて徹底的に調べ上げられ、企業スパイか?傀儡か?を選別して対処する!
ヨニー©イギリス屈指のセキュリティ技術をぶっ込み建築した建物だからな!
セキュリティが時代に追いつけなくなったら経路ごと取り替えられる実に無駄のない作りで、此れからビルを建てる会社はヨニーモデルと呼ばれるセキュリティ基準を考え始めているとも言われてるビルだから、好きになんて出来ねぇんだよ
その為に喫煙室は必ずやロビーの横に作ってあるから、ウロウロと彷徨けねぇし、場が解りませんでした、なんて理屈は通らねぇんだよ!」
神野は「やけに詳しいんだな!」と呟いた
「我が家は建築馬鹿が揃ってるかんな、ヨニー©基準と言われるセキュリティは烈にレクチャーされてるんだよ!
そして飛鳥井の新社屋にもそのセキュリーが入っているんだよ!
それで盛り上がってレクチャー受けたってのがある!其処まで徹底的に管理して監視しねぇと………
この先の1000年続く果てへとは逝けねぇ!
獅子身中の虫に腸食われてスカスカになり、飛鳥井は終わると言われてるかんな!」
柘植は「其処まで………」と驚いていた
康太は「其れよりも相賀はとうしたのよ?」と問い掛けた
柘植は「相賀は少し風邪を引いていたのです
『老人にとって風邪は大敵なのよ!
油断してたら知らない内にコロッとあの世って事になるわよ!』と烈が怒ったので、正月開けてから入院してます!」と伝えた
神野も「無理して引っ越しの作業の埃の中にいるのは体に良くないからな、烈が怒ってくれて助かったんだよ!」と答えた
須賀は「其れよりも烈がいないなら………どうします?このファイル………」と問い掛けた
康太は「其れはコイツに持って行って貰えば良いやんか!」と毘沙門天を指差す
毘沙門天は「持って逝くのは明日だぞ!今宵は神野がツマミを買うから飲めると来てるんだからな!」とボヤいた
「其れだけやねぇんだろ?」
毘沙門天は「やっぱおめぇは騙せねぇな!
儂は烈に『毘沙、晟雅ゃ達がファイル持って来るから、取りに行って!
ファイルは明日でも良いから飲んでらしっしゃいよ!』といったんじゃ!
まぁ其れと、顔見世の儀までは帰れねぇ事を伝言も頼まれてるんだよ!」と説明した
「やっぱ顔見世の儀までは帰れねぇか!」
「現天皇陛下も御出席下さるそうだから………警備体制は半端なモノじゃ駄目だし、色々とチャンスとばかりに出て来られたくねぇからだろ!」
「だよな、ここ最近は本当に形振り構わずになって来てるからな!」
「だからこその警備体制なんだろ?
半径三キロを見据えた警備体制を今 警視庁の警官達と共に敷いている最中だ!
何処に地元の警察官を配置するか?
何処に狙撃班を配置するか?
指示出してる最中だから、顔見世の儀前日に還って祭事用の着物に着替えて、ってスケジュールになるそうだ!」
「彼奴の敷く警備網はネチネチとイビリ倒す姑バリの緻密さあるかんな!」
「それってどんなのよ?」
「う〜ん、例えば部屋の中を掃除したとする!」
「うんうん!」
「掃除した後のチェックをするのは当たり前!
毘沙子さん、貴方の部屋は丸く掃除なさるのかしら?ほら良く御覧なさい、隅に埃が有りますよ?
毘沙子さん、障子の桟に埃がありましたわよ!
的な陰険な責め方してくからな………」
「あ〜解る!彼奴は姑か!と良く大歳神がボヤいてるからな!
でも其れだけなら陰険と謂うより、嫌味で通る話になるよな?」
「例えだけど、区間区間に配置された警官がいるとするだろ?
そしたら必ず、他の区間を警備している警官が視界に目に入る!
まるで見張ってるみてぇな配置とか、結構やったりするんだよ!
其れってかなりのプレッシャーだって思うぜ!
まぁ互いの連携が取れて最高に動きやすかった!と謂う輩も少なくないからな!
悪い事ばっかじゃねぇけどな!」
毘沙門天は、あ〜其れは嫌だわ、陰湿だわ……と思った
「…………因みに最高に動きやすかった!と言ってるのは何処の誰よ?」
「門倉追い込み作戦で動かしていたバイク便の奴等だよ!
蜘蛛の子を散らす包囲網はオレよりも陰湿なのを引きやがるからな!」
康太が言うと一陽は
「あれ、康太じゃなかったんだよね………
俺はずっと康太を追い掛けていて、ずっと康太の掌の上で踊らされていたと思っていたよ
でも違うと感じたのは、追い掛けてる奴等を分断させ互いを衝突させ事故らせた遣り方が、康太なら此処まで徹底的にやらないのに………って思ったな………康太は追い詰めて拿捕だけど、烈は追い詰めて互い同士で自爆させるんだよ!
其れか、高度なドライブテクニックで翻弄され事故らされるんだよ!
其れを車から降りて嗤って見ていた子供を何度も見た
今思えばあれは烈だったんだよね………」
榊原が「やる時は徹底的に禍根も遺さない!と謂うのが宗右衛門ですからね!
其処までで終わってるなら、烈の方も唐沢に引き渡さなきゃならなくて譲歩したんでしょう!」と謂う
康太も「だな、人一人消すのなんて楽勝なんだよ!彼奴は!
地獄に落とすなんて生易しい事しなくても、んとに呪文一つ唱えれば、人なんて消せる!
しかも彼奴は念には念を押す時以外は呪文を唱える必要もねぇ!
短縮した呪文で、それを告げれば良いだけの事だしな!
生かす価値もないと思ったならば、彼奴は徹底的に罪を暴き司法の場に引き渡すか、いっそ消すか
本当ならば大仏消したかったろうな…………
が、罪を総て吐かねばならないから我慢した
飛鳥井宗右衛門と謂う御仁は親だろうが兄弟だろうが、道を踏み外せば一刀両断で断ち切らねばならない!
甘くねぇのは当たり前じゃねぇかよ!」と言い、その会話を終わらせた
榊原は風呂敷を取り出すとファイルを風呂敷に包み
「毘沙、忘れずに持って行くのですよ!」と念を押した
「解ってるよ!其れより飲ませろよ!」
と催促するからリビングで宴会を始めた
久々の客人で、しかも宴会と謂う事で飛鳥井の家族は喜んだ!
神野達も楽し時間を送り、飛鳥井の家には笑い声が響いていた
翌朝 毘沙門天はファイルを烈に届ける為に姿を消した
榊原は「声を掛けずに行かせて良いのですか?」と問い掛けた
「良いんだよ、毘沙はファイル届ければ仕事は終わるんだしな!」
「………でもファイルにあんな事をされるなんて………不安要素残してしまいましたね……」
「烈ならもう引っ越しを見据えて動いているから、大丈夫だろ?
善之助は社員全員の社員バッチを依頼していた
蔵持運輸が其れをやるなら、三社共同事務所もやらねぇと新しいビルには入れねぇんだよ!
総てが管理され監視され不穏分子は早目に摘み取る、そこまでしてやっと正常に回せる段階だろうしな!今度のビルはセキュリティに近寄ろうとか、探ろうとした動きをした時点で警備が動き排除する!
そのシステムは飛鳥井建設の新社屋にも適用されている!その為の社員証バッチなんだからな!」
「なんか………人間不信になりそうですね………」
「………だな………でも烈はもっとそれを感じてるんだと思うぜ………
そして現実を目の当たりにした神野達もキツいだろうな………」
「ですね………時空虫放たれた時に警戒して事務所に人を入れないと言ってましたからね……
ならば疑うのは社員しかありませんからね………」
「まぁ其れも顔見世の儀以降で手を打つしかねぇかんな!」
「ですね、あ!顔見世の儀に着て逝く祭事用の着物、弁護士連れて行って一枚一千万円の鑑定証を見せて裁判にすると言いに行ったんですよね?」
「あぁ、神威が頑張って行って、出さねば損害賠償請求すると言ったら出て来やがったんだよ!
『すみません!手違いで倉庫に持って行かれたみたいです!』なんて嘯きやがって出して来やがった!
神威は遅れたお詫びをしろ!と謂うと、謝罪として1年使える無料のクリーニング券渡して来たのに、店 閉店して何処かへ消えて居なくなってたわ!」
「本当にセコい………今クリーニング屋はどうしてます?」
「神威が、んなに簡単に逃がすかよ!
意図的に隠し、意図的に儀式の妨害を図った!
って事で維弦に引き渡していたよ!」
「………やはり維弦が出ねばならない系の方でしたか………」
「しかし烈は良い仕事をしやがったな!
唐沢に引けを取らねぇ人材を育て上げやがったやんか!
あれから更に篩を掛けて幾度も班編成させて、資質の見極めをさせて今じゃ更に頭角を現した人材を使い西園寺班 庄司班 幸村班 結城班 真田班を完成させ連携させ切磋琢磨して成長して行ってるんだから!」
「引き受け過ぎなんですよ!あの子は!」
「でもあの時動かなかったら、唐沢は今も現場から抜け出せねぇ忙しさだから結婚なんて出来なさったろうさ!」
「…………あの方のお相手………西村でしたね
良くもまぁ西村の様な気の強いお相手を選びましたね…………」
「今はもぉ熟年カップル並みの阿吽の呼吸の夫婦らしいぜ!」
「それは………意外です………」
「自然でいられる相手ってのは中々見つからねぇんだよ!
互いが装う事なく自然体でいて楽だと感じられる相手ってのは貴重な存在なんだよ!
しかも娘達も唐沢を気に入って【パパ】と呼んでるらしいぜ!」
「唐沢がパパですか、いきなり娘3人のパパですか!嬉しいでしょうね!
………娘達の子供……あの子達は孫にはカウントされないのですか?」
「彼奴等は飛鳥井の礎に入れられた存在だから、【孫】にはなれねぇよ!
まぁ実際は孫なんだけど………其れを口にするのは許されねぇかんな!
会いに来るのは許してやってるけど、二度と同じ道は歩むのは無理だ、彼奴等は母親の元へは戻れはしねぇ!
其れが飛鳥井の礎に入った者のケジメだかんな!
彼奴等も其れは肝に銘じている
まぁ菩提寺の中でだけならば、合わせてもやるし【親子で】いても許してやるが、子供を返してなんて宣うならば即座に永久に会えない現状にされる、其れが解ってるから彼奴等は弁えているんだよ!其れが宗右衛門が敷いた果てだかんな!」
哀しい親子の関係に榊原はやるせなかった
「まぁ今の子は親ガチャなんて言葉を口にするやんか!親子でも相性があるし、子育てをするには、それなりの環境は必要なんだよ!
離れてやっと親子になれる………そんな関係もあるんだよ!
西村の娘は芸能界で仕事していただけあって、どの娘も美人で賢い
だが、男を見る目はなかった…………
西村も男を見る目がなかったから殺されかけた事がある
娘も同じだ、母と同じ様に男を見る目がなかったから虐げられ殺されかけたりした
だからリセットさせたんだよ!
親子を切り離し、正常な思考を植え付け生活させる!娘はイギリスで意見も言えねぇ人間は相手にもされねぇって現実を叩き込む為に!
子供は親から離して、自分の道を歩ませる為に!
果てを詠み配置したんだよ!
兄達の為の駒になるべき存在を!」
「………一族詣でで紹介された子達の中で、西村に似てなかった子達は誰なのですか?」
「…………あればな善之助の戸籍だけの子供だよ!
母親が逮捕され母親側の祖父母は夜逃げした、彼奴等を置き去りにして逃げたんだよ!
まぁ今後の事を考えたら孫の面倒なんて見てられねぇからな………
自分達の明日を考えなきゃならないのに、孫の面倒なんて見てられねぇ
まぁ子供なら保護され施設に入れるだろう……と踏んで置き去りにしたんだろう!
其れを拾い飛鳥井の戸籍に入れ、兄達の駒に育てている!
今は伸び伸びと生活してて、オレも時々彼奴等とは話をする!
烈は兄達の為に1000年続く果てへと繋いだんだよ!
其れには動かせる駒もいねぇとならねぇ!
総ては家の為、家族の為、兄の為に配置された存在なんだよ!」
「烈は兄達が大好きですからね!
兄達も烈が大好きですから!」
「んとに良い子に育ったよな?
最初はオレ等に子育て出来るのかよ?と思ったけどな、皆が協力してくれて育った!」
榊原は嬉しそうに頷いた
そしてふと気になる事を口にした
「所で竜馬と貴史、蒼佑とか見ませんね?」
「蒼佑は烈のサポートしてるんだろ?
鷹司も兄貴と共に働かされていると思うぜ!
紫園は全国ツアーが始まったばかりで帰れねぇだろ?
竜馬は烈と共にいるだろ?
貴史は解らねぇな………」
「貴史と言えば、彼は鷹司から突っ返されたんですよね?」
「あぁ、こんな刃毀れした刀剣など受け取りはせぬ!宗右衛門も甘くなられたな!と嫌味言われたそうだぜ!
だから骨身を削る働きさせられてるんじゃねぇのか?」
「淋しくありませんか?」
今は昔の様に傍にいられる訳じゃない………
「淋しくなんかねぇよ!
オレにはお前がいてくれる!
家族も仲間もいるんだからな!
此処最近は烈の飲兵衛達もお仕掛けて来やがるからな!寂しさなんて感じる暇なんてねぇよ!
さぁ会社に行かねぇと西村に怒りの電話されんぜ!」
「ならば、支度をして行きますか!」
と言い支度をして会社へと向かった
康太と榊原が会社へ出社して仕事している頃
毘沙門天はファイルを持って烈の所に来ていた
「ほらよ!烈、頼まれてたの持って来たぜ!」と渡す
烈はそのファイルを受け取り、テーブルの上に置いて頁を開いた
パラパラと頁を捲って逝く
阿賀屋も鷹司も毘沙門天もその横に座りそれを見ていた
そして【か】行を捲り上間を探す
「かみ、だから後ろの方ね!」と【か】行の後ろの方を探す
が、上間美鈴の経歴の書かれた名簿は、何処を探してもなかった
既に消された後で、復元させる事すら許さずに消去したのだ
「上間美鈴の妹も芸能界にいたなら写真は残ってないのかしら?」
阿賀屋が「今探っておる!暫し待つがよい!」と言った
花山院は「上間の姉妹は知らねぇけど、姉妹の様に仲良くしていた奴なら知ってるぞ!
「確か……モデルをしていたカスミとか謂う奴だったかな?」
「何処の事務所の人なの?」
「四方さんちのタレントだった!」
ならば次に狙われるのは四方の可能性は大きい……
「ヤバいわ!四方ちゃんが次は狙われる!
クーたん達!四方ちゃんを助けに行って!」と謂うとスーとクーが姿を消した
阿賀屋の前に屋敷の者が姿を現し跪いた
「お館様………此れを!」と言う屋敷の者は倒れた
よく見れば血塗れで……大怪我と言って良い程の怪我をしていた
即座に屋敷の者が倒れた者を連れて行き、不浄を拭き取り、お館様の目の前の血を拭き取り除菌した
烈は阿賀屋の屋敷の者が命からがら持って来てくれた写真を手にして見た
「あ!!!」
叫ぶ烈に阿賀屋は「どうした?」と問い掛けた
「この女………門倉をATM扱いして、お金を搾り取り続けてた女よ!
メイクは違うけど、基本的な顔の造形まては変えられはしないわ!
今 刑務所の中に入っていたんしゃないかしら?」
そう呟き烈は唐沢に電話を掛けた
ワンコールで出た唐沢に烈は
「唐ちゃん、上間の妹っての阿賀屋家の者が手に入れてくれたのよ!」と告げた
『写真あったのかよ?
あれから俺も気になって情報を収集してるけど、出て来ななかったのにか!』
「でね、上間の妹ととして芸能界で仕事していた女は、門倉に貢がせていた女だったわ!」
『え!ならば大仏と繋がっていたのか!』
「そうね、上間も駒として色んな男に金を引き出させ、吸い上げて来ていた
妹と名乗った女も門倉や他の男から吸い上げて、今警察に捕まってると思うけど?」
『…………今調べてみるから待っててくれ!
でもな被害届がそんなに出てなきゃ、裁判まで釈放される可能性もあるぞ、早急に調べてまた連絡する!』
そう言い唐沢は電話を切った
ねぇ一陽たん………貴方の愛した女が貴方に助けを求めて来たら………
貴方はどうするのかしら?…………
烈は唐沢に「門倉に会いに来るかもね?」とラインした
門倉仁志は死んだ
戸籍上も故人となって何処にもいやしない………
が、目を付けた男が………生きてる可能性を感じるならば………来るかも知れない………
そしたら………どうするの?
そう思い………胸を痛めたが、今はそんな事は言ってられはしない、と切り替えて顔見世の儀の準備に取り掛かった
阿賀屋は「神野達の事務所、やはり今一度調べ上げる必要はありそうだな!」と話し掛けた
「そうね、こんな細工されちゃうんだもんね……」
烈は兵藤貴史にラインを入れた
「兵藤君、三社共同事務所へ行き、【R&R】の新社屋へ引っ越しする前に社員章バッチを作る様に言って来てくれる?
社員章バッチは個人情報をチップに入れるから、その社員しか持てない証明となるのよ
事前に本人の証明写真を会社のIDに登録しておくから、社員章とその容姿が合わなきゃ社内にも入れないわ!
その費用は三社共同事務所持ちでやって貰わなきゃなのよ!」
『了解した!竜馬なら社員章バッチの事詳しいのか?』
「そうね、竜馬傍にいるなら連れて行った方が話しは早いわね!」
『了解した!なら行って来る!』
ラインを終えると、警備体制の不備はないか?を確かめて実戦的に警官を投入する
烈はドローンの操作のプロに、ドローンを操作させて、司令室のモニターからそれを見ていた
「警備体制をどれだけ強化しても、咄嗟のアクシデントに❜(コンマ)何秒か出遅れたら誰かが殺られるのよ
そんな緊張感がないのよね!」
と言い実戦訓練に突入
プロの仕事をする【R&R】警備保障の人間を投入!
「維弦、実戦で通行人装った人間を投入するから!」
インカムで支持を出す
『了解です!あ、後で少し話を聞いてくれませんか?』
「良いわよ!お仕事終われば雑談ならばしてやるわよ!でも相談ならば、ボクは高いわよ!」
『報酬として花山院家跡継ぎの着物を献上致しますとも!』
「ならばアドバイス位はあげるわよ!」
そう言い通信を終えて【R&R】警備保障の人間に「通行人として歩いて!」と指示を出した
通行人として歩く【R&R】警備保障のスペシャリストは警備の甘い所を狙って襲い掛かった!
するとパニックになった警官が実弾を【R&R】警備保障の人間に向けて撃った
バァーンと言う銃声の音が響き、烈は
「C区警備中の警官が実弾撃ったわ!
直ちに駆け付けて!」と指示を出した
そして唐沢にも「スペシャリスト投入して警備体制見ていたら銃を撃った警官いたから拘束して!」と連絡を入れた
『あ〜もぉ~国家権力の無駄遣いしやがって!』とボヤき唐沢は即座に現場へと向かった
現場は騒然となり、維弦が駆け付けその場を沈静化させた
銃を撃たれた【R&R】警備保障のスペシャリストは瞬時に弾道の予測をして身を翻し傷一つ付いていなかった
警官はガクガク震えていた
烈は「その警官は使い物にならないし、咄嗟の判断が銃口を市民に向けるなんてあってはならない事よ!どんな教育されているのかしら?」と嫌味を言った
警部は直ちに銃を発砲した警官を連れて行った
その穴の開いた部署には自衛官を配置して、再び始める
其処へ四方が血だらけでクーに連れられて姿を現した
烈は「四方ちゃん!怪我したの?」と心配して問い掛けた
四方は「有り難う烈君……君の猫さんが助けに来てくれねば………今頃は生きてはいなかったよ」と口にした
烈は維弦に連絡を入れ
「維弦、四方芸能事務所の社長さんが命狙われたんだけど?」と謂う
『え!えー!!どうしたら良い?
今この場を抜けられないよ!』
「今手の空いてる班は?
その班の子達に血塗れだから、久遠先生ぇーの所へ連れて行って欲しいのよ!」
『了解!真田班の班長に頼むよ!』
維弦は烈との連絡を切ると、即座に司令室にいる烈の所へ行って!と真田班に頼んだ
真田班の班長は「了解された!」と即座に司令室へと向かった
暫くして真田班の隊員がやって来た
「烈君、怪我人だって?」
「そうのよ!此方、四方芸能事務所の社長さんです!危ないとクーたん達向かわせたら、案の定狙われていて怪我しちゃったのよ!」
「四方芸能事務所社長さん?
何故狙われたのか?聞いても?」
真田班 班長 真田正和が問い掛けた
烈は三社共同事務所の須賀の事務所に、上間美鈴の妹が働いていたと思い出し名簿を持って来て貰った時から始める話をした
そして上間は元は四方芸能事務所にいたと謂うから、四方芸能事務所にも退所した者の名簿は保管してあるから危険だとクー達を向かわせたらビンゴだった!と話した
「此方の人と猫さんは久遠先生の所へ連れて行きます!」
「ならば、フーちゃんが付き添うわ!」
「あの、フーちゃんとは?」
真田に問い掛けられ、花山院は「あ〜俺です!」と答えた
「あ〜何時も見てるドラマの俳優じゃないですか!ファンです!」と思わず言っていた
烈は「仕事終わったらサイン貰えば良いから、クーたん達と四方ちゃんを頼むわね!
フーちゃん、治療が終わったらホテルへ戻るのよ!その時四方ちゃんも連れて来ると良いわ!」と告げた
花山院は「了解です!さぁクー、ルー、スー、四方さんも行くよ!」と猫を抱き上げて真田と四方を促して逝く
交通量や帰宅の人が増える時間に突入して、その日の警備訓練は終了を迎えた
「今日の警備体制の事前チェックは此れで終了致します!皆様、持ち場に戻られて構いません!」
とインカムに放送を入れると、その日のチェックは終了した
終わる頃を見計らってか?唐沢が司令室にやって来た
「烈、誤射させやがった輩は即座にお前の研究室に送り込んだから!」
「唐ちゃん、手間掛けたわね!
それにしてもお粗末過ぎて……其処でパニックになる?と思っちゃったわよ!
当日は拳銃の所持は禁止にした方が良いかもね?
一般市民撃っちゃったら洒落にもならないわよ!」
「だな、それは警視庁の方に話を通してある
一応、総理にも話は通して政治家も立ち会わせ話し合いとさせている!」
「其れより四方ちゃん襲われたわよ!」
「え!何故?お前に協力したからか?」
「違うわよ、最近ボクの回りで上間美鈴の話が意図的なのか?良く出るのよ!
そして四方芸能事務所には、須賀の事務所へ移籍するまでは籍を置いていたのよ!」
「それでか!」
と、唐沢は話が繋がり納得した
「しかし身動き取れねぇ時にやってくれるよな?」
「狙ってるのよ!その内大きなのが来るわよ
天災か人災かは解らないけどね
本格的に仕掛けて来る頃よね?」
「……ソイツは一体何がしてぇのよ?」
「最初はね自分の思い通りになる人間だけ残したユートピアでも創る気なんだと言われていた
が、年々信仰が薄まる中、人を思い通りには出来やしない
だから今は手にはいらないなら、諸共消えろ!
総てが消えろ!なんて思っているのかもね!
七色に輝く地球(ほし)を尽く欲しがり、最後は核のボタンを押させて死の星にさせたり、惑星同士衝突させて地球(ほし)を消滅させたり……
そりゃもぉ好き勝手して来てるのよ!
無論 この蒼く輝く地球(ほし)がラストだから頑張ってるのよ!
馬鹿ね、既に新しい七色に輝く地球(ほし)は作られていると謂うのにね………
でも、それは銀河系ではなく彼奴が逝けない宇宙の彼方だからね
そりゃ頑張って人を不幸に陥れて破滅させて逝くしかないわよ!」
「…………クソだな!」
「クソなのよ!まぁボクらは其れでも逝かなきゃならないのよ!
唐ちゃん、君島音楽事務所の方も警備頼むわ」
「警備なら既に配備している
でも人手不足だ、回らねぇよ!」
「まぁ顔見世の儀が終われば、少しは人手出来るだろうから、それまでは踏ん張らなきゃね!」
「だな、絶対に失敗出来ねぇからな!
じゃ俺は部下達を拾って帰るとするわ!
お前は誰が迎えに来るのよ?」
「ボクは阿賀屋の屋敷のお迎えの車に乗るから構わないわ!」
「あ、忘れてた!!
お前が言っていた女、保釈されるぞ!
裁判までは連絡さえ着けば良い状態になってる
が、地元の警察官を向かわせたが、書かれた場には存在すらしてなかった!
それで保釈取り消し請求されて今身元を探されている所だ!」
「そう、たぶん消されるかもね……」
消される前に………多分……
「まぁ今どうこう出来ねぇ状態だって伝えくわ!残念だが司法の場に引き摺り出された人間をどうこうは出来ねぇんだよ!」
「有り難う唐ちゃん!」
「なら気を付けて帰れよ!」
そう言い唐沢は還って行った
烈は阿賀屋と共にホテルへと帰宅した
四方は入院となり花山院だけがホテルへ戻って来た
竜馬からは逐一報告が上がって来る
その為の別行動なのだ
そうして1月20日の顔見世の儀を成功させる為に動いていた
顔見世の儀の前日
烈は皆にラインを一斉送信する事にした
「今夜は飛鳥井へ帰ります!
なので美味しいモノを食べて過ごしたいのでカンパお願いね!
そしてお買い物お願いね!」
いち早く烈のラインを受け取ったのは神野と小鳥遊だった
小鳥遊は『今夜は飛鳥井に帰るのですか?
ならば奮発します!』と嬉しそうに返信した
去年………小鳥遊は悩みを烈に占って貰って道筋を立てて貰った
悩みは養子にした子供の事だった
不規則な仕事で、中々子育ては出来なかった……
小鳥遊の母に預けている内に、小鳥遊に懐かなくなり………もう一人の部屋で留守番はしたくない!と泣いて訴えられた
烈に相談すると、子供の生年月日と写真を用意する様に言われ用意した
すると烈が小鳥遊の星、神野の星、子供の星を占った
「母ぁーさんの果てが悉く狂って来ているのよ
多分、この子は事務所は継がないわ!
三社共同事務所はおーちゃんが死去した後、三人で続け貴方達が死した後は事務所に貢献した人がなるべきなのよ!
人望も人材も動かせない存在では、芸能事務所は受け継がれはしない!
親の代で終わる事務所多いのはその所為よ
受け継がれたとしても、事務所の人間が納得した者がトップに収まるのが一番なのよ!」
そう言われ………小鳥遊は子供を母の養子に出して育てて貰っている
陣内と榮倉には、烈が場を作ってくれたから伝えた
榮倉は「あの子が望んでいる場にいられる事が一番なので………此れで良かったと想います!」と答えた
テーブルの上には、小鳥遊の母と笑顔で料理してる写真や、小鳥遊の母に甘えて可愛い髪に結わえて貰ってる写真が並べられた
それを見て榮倉は答えたのだ
神野は「俺等は時間が不規則だったから一人で留守番させたりしていた
それか事務所で過ごさせるしかなかった
でも、繁忙期はそれさえ叶わなくて小鳥遊の家に預けていた
そしたら帰りたくないと言われたんだ!」と苦しげに謂う
小鳥遊も「母の方には毎月養育費は支払ってます!母さんは『そんなの要らないわよ!』と言うけどケジメとして支払ってます!
烈が運命を占ってくれたら、必然だと言われた
康太が視た瞬間の果ては後継者として生きていたかも知れないが、今は歪まされた果てに配置されしまった現在だと言われ………離れるしかないわ
そのままだと歪んでグレちゃう可能性があるからね!と言われたんです!」と説明した
烈は事前に二人には説明して話したと謂う
そしてそれを受け止め、此処にいるのだと告げた
それでやっと小鳥遊は肩の荷を下ろす事が出来たのだ
小鳥遊の母の子になった子供は東矢のコピーの様な顔をしていた
やはり似ているのだ………こんなにも似ているのだ
可愛い髪を結って貰い笑う顔は……とても幸せそうだった
で、榮倉と陣内は納得したのだった
だから烈には返せない恩がある小鳥遊は、誰よりも頑張り買い出しに一陽と英生を連れて出かけたのだった
烈は飛鳥井の家に還って来た
榊原は「祭事用の着物は部屋に干してありますから!」と告げた
「有り難う!父ぉーさん!」
康太は「其れよりもお前の猫、絆創膏だらけやし、この包帯だらけの男は誰なんだよ!」と言った
花山院が「うちの事務所の社長 四方達也さんです!」と紹介した
「どうも、四方達也です
殺されかけた所を烈君の猫さん達に助けられたんです!」と改めて挨拶した
康太は顔色を変えて「漆黒のジャガーか?」と問い掛けた
クーが「嫌、突然事務所のスタッフに襲われたらしくて、俺等が駆けつけた時はかなり怪我していたし、無闇矢鱈にナイフ振り回すから俺等も傷付いたんだよ!」と答えた
「ならその犯人はどうしたのよ?」
「スーが桃源郷近くに住まわれる烈の師匠の所へ生きた実験体として提供してた!」
「そりゃどの検体より確かな検体だわな!」
と康太は爆笑した
「烈、コイツんとこの事務所も移転させてゲート着けてた所へ引っ越しさせたら?
無論 今は烈は貧乏だから費用は本人持ちだけどな!」と付け加えた
四方は「君島の事務所移転するのですよね?
事務所は移転させて、レッスンスタジオもボイトレ教室も閉鎖させて、事務所の土地を売却すると聞きました
何でも烈君に更地にした土地を譲渡しようかと聞いたら、東京の霞ヶ浦にドーム一つ建つ分の土地持ってるから要らないわよ!と言われたとか?」と問い掛けた
「君島は無駄なコスト掛けすぎなのよ!
ミュージャンのサポートに特化する事務所にするべきとアドバイスしたのよ!
その御礼に土地を譲渡します!とか言って来たから、東京にこれ以上土地持つ気はないのよ!
東京に飛鳥井建設ないしね!と断ったのよ!」
「ならば私も東京に事務所あるので………譲渡は出来ませんね………」
「君島が入るビルのワンフロアを貸してあげるわよ!6LDKはあるワンフロアを破格の値段15万円でお貸ししますよ!
場所は今入ってる三社共同事務所の近く!
高速の乗り口があるから東京まで朝早く動けば、東京に事務所構えてるのと変わらないわよ!」
「そんな安くだと君が損しませんか?」
「あ〜ボクは損得で動かないから気にしないで!
100%損でも、見返りなんて求めやしないわ
果てへと続く飛鳥井の助けとなる存在ならば、損して得を取る気で布石を打つのよ!
其れが飛鳥井の為になり、果ては兄達の手助けになるのだからね!
1000年続く果てへと繋いで逝くのが、ボクの死命だからね!」
あまりにも重い言葉に………言葉なんてなかった
烈は「まぁ其れも明日の顔見世の儀が無事に終わったらね!」と告げた
康太は「だな、顔見世の儀終わったら少し会社に顔を出せよ!」と謂う
「解ってるわ!」
「んじゃ、烈も還って来た事だし宴会と行くか!
何でも小鳥遊が頑張って御影連れて行って値切りやがったらしいからな!」
「え!みかちゃん連れて行ったのね……」
小鳥遊は「烈見てるみたいで最高に気持ちよかったです!」と嬉しそうに謂う
久し振りの我が家だった
久し振りの気の合う仲間達だった
が、その場に竜馬と兵藤はいなかった
無論 【R&R】のメンバーもいなかった
康太は「メンバーは来日してねぇのかよ?」と問い掛けた
「ヘンリーはオブライエン家後継者として、オブライエン©Japanでの事業計画を立てて軌道に乗せねばならないのよ!
その為に帰国してるわ、デービッドはトンプソンの新作を世界に発信するとかで忙しそうよ!」
「まぁお前が身動き取れねぇから皆バラバラか……」
「そうなのよ、でも雪のあるうちにスキー場に行きたいのよね
今度は仕事じゃなくゆっくり過ごしたいのよね」
「だな、其れは言えるな!
それも追々考えて行けば良いさ!」
「そうするわね!
あ、慎一君、カズ、エイセイ少し話があるのよ!」
と言い烈はキッチンの奥へ三人を連れて行き話をした
慎一が「え!」と驚いた声を出す
一生は「………了解した!」と押し殺す様に謂う
英生は言葉もなくて頷いた
「じゃ、楽しい宴会よ!さぁ行くわよ!」と言い
後は客間に行き宴会となった
何時の間にか来た神威と毘沙門天が既に阿賀屋と共に酒を飲んでいた
兄達は烈の横に行き弟の心配をしながら、ヘルシーなのをお皿に入れていた
レイは烈にベタッと抱き着いていた
「ほらほらレイたんも食べるのよ!」と謂うと、やっと離れて食べ始めた
花山院は「モップの子供、引き取ってくれねぇか?」と烈に問い掛けた
「良いわよ、ガブたんはどの子も大切に育ててくれるからね!」
「トイガー可愛いな、ずっと欲しい猫だった!」
「なら今度番わせたら子供をあげるわよ!
小虎は前回番わせた時に引き取った子なのよ!」
「でも……忙しくて可哀想だと連れ歩いて……妊娠させちまったからな………
俺は多分 生き物は飼っちゃダメかもな………」
「そんな事はないわよ!
モップは貴方といられて本当に嬉しそうだったし、貴方は良い飼い主よ!
でも猫は室内じゃなきゃ気まぐれだからね
ウロウロ歩いてる間に盗まれるわよ!
トイガーは高く売れるし希少価値高いからね」
「なら考えてみるよ!
だけど俺は………役者に戻って大丈夫なのか?」
「其れは貴方の気持ち次第よ!
当主に据えられても、飛鳥井に来て酒飲んてるのもいるんだし、当主になっても当主の仕事してれば何も言わせない確かなモノを築き上げれば良いだけの事よ!」
花山院は阿賀屋を横目で見て苦笑した
そうか、好きなのは続けて良いのか………
少しだけ気が楽になっていた
阿賀屋は日付が変わる頃、屋敷の者が迎えに来て還って行った
康太と榊原は早々に寝に行った
あとは残った者とで楽しく飲んでいた
烈は部屋に行きパジャマに着替えると、ピカピカと点滅している携帯を手にしてベッドに入った
差出人は西園寺維弦からのラインだった
『烈君、忙しくて中々話せる時間なかったのでラインしました
後 君と面と向かって話したら泣いちゃいそうで………ラインにさせて下さい
彼女には飛鳥井建設の社長の話が来ている………と話したんだよ
そしたら何としてでも社長になって!そしたら貴方と結婚したい………って言われた
予想はしていたんだよ…………
でも答えを聞くのが怖くて………無駄に引き伸ばしてしまったな………と痛感した
彼女に………だけど僕が西園寺以外の家を選ぶならは………勘当されるかもだし、妨害を受けたら、飛鳥井建設も手を引くしかないと思う
そうなったら僕は無職になるかも知れないけど結婚して僕に着いて来てくれない?と申し込んだんだ
彼女は『無職なんて将来もない結婚なんて………無理だから!
仕来りだらけの家も、無職もハッキリ言って無理
別れましょう!それが一番互いの為ね!』
と、キッパリ別れを告げられたよ
何か凄くサッパリした!有難う烈君!
僕は僕だけを愛してくれる人探すよ!
それこそ西園寺出ても私が食わしてやりゃぁー!
と言ってくれる人、探します!
ケジメ着けられて本当に良かったよ!』
ケジメを着けて西園寺はきっと泣いているのだろう………
人との別れはそんなに簡単な事じゃない
烈はそのラインを見て西園寺維弦の人生の分岐点がカチャと導かれて行くのを感じていた
烈は「全部終わったらお茶奢るわ!」と返した
泣いても哀しんでも………結ばれぬ縁と謂うのはあるのだ………
それを先延ばしにしてても結果は同じなのに………
人は其処まで強くなんかないのだ………
烈は窓の外を見上げて
「ボクだって強くなんかないわよ……」と呟いた
其れでも行く道しかないから立ち上がり………
逝くのだ
後悔などしない為に逝くのだ
維弦………泣いて、泣いて、涙が枯れたら立ち上がるのよ………
立ち上がったら悔いのない日々を生きるのよ
烈は西園寺維弦に心の中でエールを贈った
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