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第74話 魔界大法廷
閻魔庁の職員
魂の管理庁の職員
魔界大法廷に出席する神々は翌朝
閻魔庁の前で整列されて待たされていた
其処へ閻魔が正装してやって来た
「此れより魔界大法廷へと向かいます!
皆 魔法陣の上に乗って下さい!
魔界大法廷は他者の介入を許さない機関として隔絶された場に創り変えられました!
閻魔庁も閣議決定の場の採決を取る時は魔界大法廷の横に出来た別館の会議室を利用させて戴く事になっている!其れでは行きます!」
と言い職員達を魔法陣の上に乗せると、瞬時に転送されて行った
司録は遺ったのがいないか?確認の為に遺っていた
意図的に魔法陣の上から降りた者を見逃す事なく、司録はその者達を捕縛した
「何故魔法陣に乗って行かなかった?
その意図は何処にあるのか?
青龍殿が来庁なされてるので、直々に話を聞いて貰うとする!」と言い閻魔庁の警備に当たる猛者にその者達を捕縛させた
魔界大法廷には捕縛した者を入れる牢獄もちゃんと作ってあるからだ
目隠しをされ、何処へ連れて行かれるか?解らない者達は暴れた
が、そんな事などびくともせぬ猛者は、その者達を締め上げた
そして魔法陣に乗り魔界大法廷へと向かった
魔界大法廷の場は、元青龍が住んでいた湖の前に在った
湖からの水を汲み上げて出来た様な球体(ドーム状)の中に、お城みたいな建物が建っていた
その建物を中心に湖を囲む様に建物が建てられていた
元在った青龍の屋敷は………何処にも見当たらなかった
湖には妖精が飛び交い、白鳥も優雅に泳いでいた
湖の水はドーム状となった空間に円を絵描きキラキラと光り、どう言う仕組みなのかは解らないが、空みたいに青く揺らぐドーム状の中には、綺麗な魚が優雅に泳いでいた
まるで絵物語の中に登場する様な幻想的な空間が其処には在った
青龍は「私の家の在った場が……物凄い様変わりしてて驚きました」と言葉にした
炎帝は「あそこで優雅に泳いでるのスワンだよな?」と笑って謂う
烈は「夏生ちゃんは少し体調崩していたから呼んだのよ
此処は空気が良いからね!
あ、父ぉーさんが昔住んでた家は壊しちゃったから、対岸の湖の方に新しい家も在るのよ
当然、夏生ちゃんの終の棲家もあるのよ!」と話す
「それで良いです!私は炎帝の屋敷を改築して貰って住みやすくやりましたからね!
でも仕事で帰れそうもない時は重宝しますね!」
青龍はそう言い烈の頭を撫でた
炎帝は「この地に振り注ぐ光は神の門と同じのか?」と尋ねた
「ええ、直接此処と迎賓館に注いで貰ってるのよ!」
「だよな、心地良いなぁ~芝生で寝てぇ気分だ!」
「寝て良いわよ!
魔界大法廷での決議が終わったら!」
「それが一番厄介やんか!」
「まぁこの地に立てる存在が何人残るか?楽しみだわ!」
「この地はその他に細工してあるのか?」
炎帝が聞くと青龍が
「このドーム状の球体の中にはニブルヘイムの創成期の泉の水が霧状に霧散してますよね?」と確信を突いて話す
「そうよ、それとは別に炎帝が唱えた原始の書を呪文にして散りばめられてるのよ!
この空間にはどんな奴でも入り込むのは不可能となっている!」
「おっ!原始の書を織り交ぜたのか?
まぁ賢人と賢者なら楽勝だろうな!」
「此処は公明正大な青龍の為の戦地となる場となるのよ!
その為にボクはかなりの労力を削り創り上げて来たのよ!」
青龍は驚いた顔をして
「この建物は父に贈る為の建物なのですか?」と問い掛けた
烈は笑顔で「そうよ!戦地に相応しい建物にしたのよ!」と答えた
「それは嬉しいです!」
息子の父への愛だった
血は繋がらずとも、両親との絆を日々結び、繋げた日々の果ての愛だった
「其れでは早く片付けますか!
君はこの後やる事があるんでしょ?
ちゃんと君の要望通り赤いのが来てますからね!
君は君のやる事をやりなさい!」
「はい!父ぉーさん!」
烈は両親の傍を離れ、閻魔が転送されて来るのを待った
この地には元々住んでいた青龍以外は空から入る事は不可能となっていた
そんなに待つ事なく閻魔庁の職員、魂の管理庁の職員、神々が転送されて来た
皆を魔界大法廷へと案内する
魔界大法廷は人の世のコンサート会場の様な造りで、階段に沿って座席が並んでいた
かなり広い魔界大法廷の座席は300は超えて在った
魔法陣で転送された瞬間、灰になり砂の様に消えた存在など最初からいなかった様に気にも止める事なく皆を、大法廷の中へと案内する
魔界大法廷の中には十二天が守護席に既に座り、その間に四龍、次代の四龍が座り、金龍、天龍、虹龍が座っていた
一番前の席に職員達を座らせる
神々は中段の席に、名前のプレートが示されいるから、その席に着く事になった
皆が席に着くと閻魔大魔王が壇上に立った
「今日 皆を集めたのは我等が管轄する、倭の国の名家が消えている事実を伝える為です
我等天界と魔界は、人の世に死命を持った人間を配置させ、倭の国を先導して行く存在、経済を担う存在を創り回して来ました
ですがその【名家】と謂う家も一握りになり、殆どが消えてなくなりました
此処に花山院家の後継者がいます!
彼は理不尽に家を追われ、偶然出会った聖神が花山院家の不正を見つけ現在いる正統な血を保たぬ者達に断罪を与えたとの事です
で、家を復興させて逝く事を視野に入れ花山院家の先代とコンタクトを取ろうとした所、輪廻の輪の中に入ってはおらず……
剰え、終焉を迎えた家として処理され、知らない間に花山院家は終焉を迎え葬り去られていた
誰の許可も取らず、告知もせずに名家は潰された
此れは由々しき事態です!
我等は今一度見直しをせねばならない!
其れを告知する為に不正など絶対許されない地として生まれ変わった地に建てられた魔界大法廷での話し合いとなった
既に数人………この地に来る時に灰となり消えたとか?其れは何を意味するか分かりますか?」
毅然と話す閻魔の声が響く
素戔鳴尊 転輪聖王 建御雷神は眉を顰めて聞いていた
迦楼羅は手を挙げると、閻魔に発言権を与えられ立ち上がり
「魂の管理庁の不正に御座いますか?
そしてそれらを手引きしていたのは………灰となり消えた存在なのでしょうか?」と問い掛けた
閻魔は「名家が終焉を迎えのは、殆どが魂の管理庁が出来る前の行いです
が、実際………魔法陣で転送して来た時、消滅した職員はいました!
更なる徹底した管理は必要となるでしょう!
そう謂う事も踏まえて転生者の魂を管理する場も変えました
今後は……そんなに簡単には手などは加えられないでしょう!
では聖神、紹介をお願いします!」と謂う
烈は豊の姫と紅花に赤子を抱かせて壇上へと上がらせた
会場にいた者はその力の強さに唖然として、壇上にいる赤子を見ていた
「其れでは閻魔大魔王様の奥方が抱っこしておいでの子は、天照大御神様と同等の力を持つ女神として魔界を照らして行く存在となります!」
そう言い豊の姫の子を紹介した
「そして地獄界の龍王様が娘 紅花様
魔界名を静姫(しずき)様と改名され鳳凰が母として魔界史に名を遺されるであろう!
次代の鳳凰を此処にご紹介致します!」
と言い次代の鳳凰を紹介した
「鳳凰が輪廻転生の道を創り、朱雀が輪廻転生を司る!其れは皆も周知の事ではある!
今回 魂の管理庁が建立される前に好き勝手にされたのは鳳凰の力が弱って来たのも一因する!
魔界は次代の鳳凰を誕生させねば、創造神にリセットされる道しか遺されてはいなかった!
魔界のリセット、其れは今いる神々の消滅
そして総て新しい神々でスタートされる事になる
ボクは其れはさせたくなかった
天魔戦争で命を落とした神々の歴史も綺麗サッパリと………リセットされるのは嫌だった
だから可能性を導き出し占った
そして黒龍が地獄界の龍王の娘と婚姻した後、誕生される子が鳳凰と導き出し、その可能性に賭けた!
そして見事に静姫様は鳳凰を誕生された
皆も目にすれば解るでしょう?
次代の鳳凰と最高位の女神になられる二人の力は今後の魔界の礎を刻む事になると!
もう魂の管理庁の不正など許されはしない!
次代の力を受けて、現鳳凰は頑張ってくれるから!ねっ!ほーちゃん!」
烈に言われ、現鳳凰は立ち上がる
その焔の赤さに、全盛期の鳳凰を垣間見て、その場にいた者は息を飲んだ
現鳳凰は「次代が継ぐ日まで我は走り続ける!
我が生涯に一片の悔いなんて遺さない様に必死に走ると誓おう!
魔界は安泰だ!
次代の鳳凰、そして次代の朱雀!
彼等が魔界を牽引して繋げて行ってくれるのだから!」と言い連れて来ていた次代の朱雀を立たせて紹介した
「この子は次代の朱雀だ!
この子も春になれば人の世に修行に行く事になっている!
この子等が安心して継げる魔界にせねばならぬ!」
と現鳳凰は声高らかに宣言した
绿发は母の手から抜け出て高らかに旋回すると
『我は次代の鳳凰である!
今後は不正など絶対にさせはせぬ!
我が創る輪廻転生の輪の中へ入り不正など出来はせぬ!
其れを此処に宣言する!』と言い高らかに笑った
静姫は「もぉ、本当にヤンチャな子なんたなら!」とボヤいた
绿发は母の手に戻りニコッと笑う
静姫は大切に我が子を抱き笑っていた
「豊ちゃんも静ちゃん、有難うね!
もう控室に行って構わないわよ!
疲れたでしょ、クロウがデザート持って来てくれてるから休んでね!」
と謂うと二人は笑って、その場を後にした
烈は「魔界は次代の二人が支えて逝く事になる!
そして魔界は闇を寄せ付けぬ様に生まれ変わるわ
此処へ来るまでに数人灰になり消えた
その人達は闇に蝕まれ下僕にされていた、と謂う事になるのよ!
そりゃ下僕がいたら不正も罷り通る訳ね!
消えて当たり前なのよ!
貴方達も消えなくなりたくなかったら、心を強く持ちなさい!そして此処からが今回皆を呼び出した本題となる!
花山院家は復活する!
終わるべき家ではないし、終わらせるべき力でもない!
花山院楓雅、彼は釈迦の協力により力を取り戻した!花山院家は【耳】の力を持つ
その耳の持ち主は真実を暴く
嘘を幾ら述べようが、その耳には真実しか聞こえない耳を持つ
飛鳥井の真贋と同等の力を持つ家として復活すべき家として此処に復活の宣言を致します!」
烈は声高らかに宣言した
魔界に連れて来られた花山院は、八仙の所で地獄界の者と会い落胤のツボを押され記憶が流れ込み気絶しそうになってるのに、素戔鳴尊に連れられて釈迦の所へ連れて行かれた
釈迦は花山院を女神に預けた
天女みたいに美しい女神達は花山院を預かり……
花山院はドキドキして天女みたいな女神を見ていた………
が、女神は頗る男前で………力を戻す為に、力を使いこなせる為に、それはそれは厳しくスパルタで叩き込んでくれたのだ
ヘロヘロのボロボロになってるのに、正装させられ立たされて何が何だか……解らずにいた
閻魔大魔王は「其れでは花山院家の復活の可決を取りましょう!
そして今後、この様な不正が起きない様に、会議や採決の場は此処に移し協議を致しましょう!
この地は青龍が管轄する、法務庁となります
一切の不正が許されぬ地、それがこの魔界大法廷なのです!」と説明し採決を取る
神々も職員も花山院家は復活されるべきと賛成した
そして魂の管理庁は朱雀と共に別館の会議室へと移動し、今後の話し合いをする
閻魔大魔王は神々と職員達を連れて、今後の不正防止策をどうするか?話し合いの為に、会議室へと移動した
守護席にいる十二天達は別邸へとご案内した
素戔鳴尊や転輪聖王、建御雷神も連れて移動を始めた
素戔鳴尊は「よい所じゃな!」と口にした
建御雷神は「この様な場が建設されていたとはな!」と辺りを見渡して謂う
転輪聖王は「この地は青龍が地ではなかったのか?」と問い掛けた
「父ぉーさんから貰い受けたのよ!
魔界大法廷と共に会議も出来る別館を作り会議室を幾つか作り、そして今後は世界を見据え、会議の場を提供する為に必要な場となる筈!
父ぉーさんは炎帝の屋敷を快適に暮らせる様にリフォームしたから、この地はボクの好きにして良いって言ってくれたからね!」
そう言い湖の傍に建つ大きな建物から出て、湖の辺りを歩いて行く
すると青龍の家に似た家ががあり、その横には幾つかの家が建っていた
建御雷神は「あの家は青龍の前の家に似ておるな!」と口にした
「ベースは青龍の家を似せて作ってあるのよ
今は炎帝のスワンが住んでるのよ
その横にホテルみたいな屋敷を建てたから、其処は避暑地の様に過ごしても良いからね!
ボクの家も建てたし、妖精達のマンションも建てたから、妖精達は此処にも住んでるのよ」
そう言い元青龍の家に似た建物の横の、立派な屋敷へと入って行く
湖が見える一面のガラス張りの部屋へ皆を招き入れると席に座らせて鬼ちゃん達を呼び寄せて宴会の準備をさせた
奥の部屋は畳張りで座布団と机が並べられていて、素戔鳴尊の家の様な安気さがあった
適当に座布団に座り宴会を始める
烈は「夕刻までは此処で飲んでて、帰って来ないでね!
ボクはまだやる事があるから!弥勒ぅ来るのよ!」と言い弥勒を連れて出て逝く
転移装置へ行くと赤龍が待っていた
「烈、頼まれから連れて来たぜ!」
「有難うね!カズ!
今夜は宴会しちゃうからね!」
「おっ!其れは楽しみだな!」
そう言い、転移装置に乗り閻魔庁へと向かう
閻魔庁に到着すると、烈は愛馬を呼び寄せた
烈は「じゃ、弥勒は連れて来てくれるかしら?」と謂う
弥勒は少しだけ躊躇して「本当に合わせるのか?」と問い掛けた
「約束した以上は約束は守るのよ!」
「………あの地から離れて生きてられるのか?」
「許可は出されるから連れて来ても消えないわよ!許可なくやるなら魔界へは入るのは不可能だけどね、許可は出されてるから消滅なんてしないわよ!だから連れて来てよ!」
それを聞き弥勒は姿を消した
烈は赤龍と共に愛馬を駆け巡らせ、食堂まで逝く
食堂には雪がせっせと働いていた
烈は「雪ちゃん!」と声を掛けると、雪は嬉しそうに「烈!」と近寄り抱き締めた
「あのね雪ちゃん、話があるのよ
ボクんちに北斗来てるから話をしましょう!」
「うん!あの話だね!良いよ!」
北斗は嬉しそうに呟くと烈と一緒に出て行った
厩舎に行くと北斗の馬が待ち構えていた
北斗は最近 閻魔に馬をもらった
アル君よりは少し大きい馬だが、白馬としては小さな欠陥品として昔ならば処分される馬を、北斗に渡したのだ
茶色でアル君より少し大きい馬に乗り、雪は嬉しそうだった
烈は「なんて名前なの?」と問い掛けた
雪は笑顔で「ハナちゃん!」と答えた
大切に大切にされているのが毛並みで解る
そして皆で素戔鳴尊の屋敷を目指す
素戔鳴尊の家に着くと、レイが起きてて寂しかったのか?烈に飛び付いた
だが雪の存在に気付き雪に抱き着いた
「ゆきちゃん!」
「レイちゃん元気だった!」
「けんきだったよ!」
レイに手を引かれて素戔鳴尊の邸に入る
一生は炊事場に行きお茶淹れた
そして流生と北斗、烈とレイの前に置き、自分の前に置いた
雪は「北斗!元気だった?」と問い掛けた
北斗は「少し……色々あって元気じゃない時もあった………でも今は元気だよ!」と正直に答えた
「大きくなったね北斗!」
雪は其処まで変わらない
魔界の時間は遅いのだ
無論成長も遅い
だから四龍や金龍 天龍 虹龍を人の世に連れて行き成長させて学ばせて訓練しているのだ
特に四龍は蛇の時期をスッパ抜いての誕生だから未熟だったと言うのもある!
北斗は「僕は日々育って大人になるよ!
そして大人になって寿命を迎えて………何時か雪と一つに溶け込むと思っていたんだよ!」と口にした
雪は「そんな事………望んでなんかないよ!」と叫んだ
「でもね、僕は北斗であり、雪でもある
何時か雪の中に溶け込んで一つになるのが正しいと思っていたんだよ………」
「そんなのは嫌だよ!
北斗は北斗だよ!
北斗として生きてよ!」
「…………雪は優しいね………
僕はそんな雪の一部になって生きて行くんだと思っていたよ………」
北斗は雪を抱き締めて
「でも君と一つになっちゃったら………こうして抱き締めてやれないと烈が言ったんだ
僕は君の傍に行くから、そしたら何時でもこうして抱き締めてあげるからね!」と口にした
「北斗………」
「僕の事恨んでない?」
「何で恨むのさ!
鬼の僕は人の世では生きられない………
何時か殺されるんだって解っていた
それを生かしてくれて魔界での居場所を炎帝は作ってくれた!
そして烈が狩りに行かなくても生活出来る様に市場を作ってくれたから、給料貰って買い物に行くんだよ!
もぉね毎日が楽しくて仕方がないんだ!」
「雪………」
「北斗、僕の部屋に今夜は泊まりなよ!
僕の部屋はランプがあるんだよ!
でも内緒ね、ランプさえない家あるから!
だから雨戸閉めてから使ってるんだよ!」
「なら今夜は雪んちに泊まるね!」
「どうせ飲兵衛の巣窟になるから、避難しないとだもの!」
そう言い雪は笑った
元は一つだったのに…………こんなにも雪は強い………
北斗は雪を抱き締めて泣いた
烈は茶を啜り「弥勒ゅ遅いわね!」とボヤいていた
赤龍は「誰か来るのかよ?」と問い掛けた
「そう、この際だから纏めて……ね!」
赤龍が首を傾げて、ほんの少しだけ胸騒ぎを感じていた
其処へ弥勒がやって来た
「烈、連れて来たぞ!」と謂うと二人の背中を押して雪の前に追いやった
烈は笑顔で「雪ちゃん、この方が貴方を産んだ母よ!」と紹介した
雪は「そうですか………ならばずっと聞きたかった事を聞けますね?」と口にした
翡翠は覚悟を決めた顔をして雪の前に座った
「何でも聞いて下さい!」
「何故僕を孕んだ?
呪詛を吹き掛けられると解っていて何故孕んだ?」
生まれるのがまるで罪だとばかりに呪詛を吐き掛けられ続け、その憎しみに体内を焼き尽くされ鬼の子に変わり果てた
「愛する人の子だったから、罪だと解っていても産みたかったのです!」
翡翠は素直な心で答えた
「………罪だと解っていても?生んだというの?」
其処で烈が口を開いた
「翡翠には惚れた男がいた
が、互いが家の為に生きねばならぬ運命を持っていたのよ
まぁ駆け落ちしてしまえば良い話なんだけど、其れでも家を捨てられなかった
その愛した男がその目の前にいる男よ!
貴方の父親は元を辿れば美濃部の一族の血が流れていたのよ!
海坊主の、弥勒院厳正の若かりし頃に酷似していて、翡翠は愛する男と息子とを区別出来なくなってしまっていた
まぁ翡翠と契って人生狂わせた男は飛鳥井蓮として違う人生を生きていたけど、海坊主が利用しちゃったから闇を抜く為に最近まで釈迦の池につけておいたのよ
今は魂の修練場で夫婦して人の世に戻れる様に鍛錬してるわ!
子供達も一緒に住まわせ、人の世に戻る準備をしてるのよ!
んとに余計な事をやりがって!」
烈の怒りの口調に海坊主は
「済まなかった!」と謝罪した
「翡翠は罪を犯した
だから地獄に落とされた
だけど翡翠は海坊主を利用するのに邪魔で冥府の異空間に出来た闇の中に葬られて消滅する寸前だった
彼女をこの世に引き留めていたのは、一言我が子に謝罪して生きているのを確かめる為
ボクも時を同じくして冥府の異空間に出来た闇の中に落とされた
ボクがヘルメースに救われて輪廻転生の輪に入る前に翡翠は球体に入れ闇の侵食を防いて、少し前に回収しに行ったのよ!
さぁ、翡翠、謝罪しなさい!
未練も悔いもない位に謝罪しなさい!」
烈が言うと翡翠は「ごめんなさい………雪……」と口にした
「あ〜翡翠、雪は魔界に人の部分は北斗として分けられてるから雪だけの謝罪じゃ駄目よ!」
翡翠は北斗を見た
雪が育てば………北斗となる
鬼の子の雪の成長は遅い…………
そんな雪の成長した姿が北斗だった………
翡翠はそっと北斗の頬に触れた
「雪が育つとこんな風になるのね!」
「ん〜それは違うかな!
北斗は人として日々苦悩して生活してる過程があるし、雪ちゃんは魔界で日々生きてる過程があるのよ!
北斗が魔界に来て生活しても同じ顔になんてならないわ!
この二人は別人なのよ!」
烈の言葉に北斗と雪は涙を流した
元は一つの体を持つ
だが今は別々の身体として生きる過程も違う別人だと言ってくれた
翡翠は「そうね北斗は北斗として過程があり、雪は雪の日々生きて来た過程あるものね
お二人に会えて………もう消滅しても良い程に………
悔いはなくなりました!」と言葉にした
海坊主は慌てて翡翠を抱き締めた
烈は「弥勒ぅ!」と謂うと弥勒は面倒臭そうに
「消滅しねぇだろ!オメェ等は!」とボヤいた
翡翠は烈に深々と頭を下げた
「厳正が妻にも合わせて貰い謝罪が出来ました!
本当にあの人は………潔の良い人でした
『悔やんでたら転生できないから、もう良いって!』と謂れ………私も悔いのない日々を過ごさねばと思っています!」
「あのさ、悔いを募らせる為に生かしてないから!貴方達を生かして姿を戻させたのは意味があるのよ!
悔いを募らせる為じゃないのよ!
海坊主は法力を使う武術に長けてるから、もう少し身体が安定したら魔界に住まわせ武術を教える立場にならせたいのよ!
翡翠は呪文を得意とし、式神も使かうから、魔界の力のない子達に式神と契約する方法や、式神を使役する経緯も教えさせ、軽い戦闘の呪文なら使える様にして貰いたくて生かしてるのよ!
魔界は近い内に戦火に巻き込まれるわ!
その時、戦える存在を育てないと、力のない者はバタバタと死ぬしかないのよ!
まぁ魔界は死の概念はないわ、死、即ち消滅よ
だから早く体を定着させ働きなさいよ!
魔界へ来れば雪とも顔を合わせるから、その前に蟠りをなくしたいのよ!」
海坊主は「烈の為にこの命は捧げるとする!」と謂う
「命なんか要らないから働きやがれ!」
「解ってるよ!烈!今 法力使える様に毎日鍛錬して全盛期の自分を取り戻してるから!」
海坊主が言うと翡翠も
「私も当時を思い出して頑張ってます!」と訴えた
「貴方達が魔界に来る前に飛鳥井蓮と家族は人の世に戻すから気にしなくても大丈夫よ!
蓮もね下手に拗らせていたから鬼ちゃん達に鍛え上げて貰って少しは素直な子になったみたいだし、そしたら名前も存在も変えて人の世で生息させるわ!」
赤龍はその話を聞き、それはそれは腕によりをかけて叩き上げられたんだろうな………と思った
雪は「今は憎しみもありません!
僕は幸せな日々を送っています!
僕には烈もレイも北斗も付いててくれるから!」と笑顔で答えた
翡翠は顔を両手で覆い
「其れは………良かったです………」と答えた
北斗は「蟠りも憎しみも悲しみも………乗り越えて雪は生きているのよ!
僕も、雪としての記憶はある!
生まれる前からの記憶もある
雪とは別の人間になり人の世で暮らし始め………でも思うのは雪の事ばかりだった
そんな僕は人の顔色ばかり伺い……我儘さえいえず消えてしまいたいと思った時
本当に身体が薄くなって消えそうになった………
そんな時雪にも逢ったよね?
我慢し過ぎだと皆に言われたよ
それ以来は自分の意見は口にする様になった
そして烈がそんな僕のイジイジした性格も直してくれたんだ!
僕は僕の人生を逝くよ、そして死したら雪の所へ行き共に生きると決めている!
まぁ出来るならばじぃさんになった僕の姿じゃなく雪と同じにしてくれたら………って思いはあるよ!」と本音を口にした
雪は北斗を見て微笑んだ
北斗は雪を見て微笑んだ
そして二人は「「もう蟠りも憎しみも悲しみも、此処で終わらせましょう!
魔界で生活なさるならば余計にね!」」と言葉にした
雪は「烈が配置した人ならば……いいえ………聖神が配置した者ならば、聖神に恥じぬ存在になり過ごして下さい!」と言葉にした
「「僕達は其れしか望みません!」」と口にして翡翠と海坊主を抱き締めた
弥勒はそんな光景を見て、そっと涙を拭った
赤龍も流生も涙を拭いていた
レイは烈の腕の中で寝ていた
北斗は「大変!レイが寝ちゃった!」と謂うと流生がお布団を敷きに行った
その上にレイを寝かせた
烈は「カズ、折角だからその丸いの切っちゃって!」とぶどうを指さした
赤龍は「これ、ひょっとして葡萄?」と問い掛けた
「ひょっとしなくてもぶどうよ!」
「俺一人で切るのか?」
「弥勒ゅがいるじゃない!」
弥勒は「あ〜俺も駆り出されるのね!」とボヤき立ち上がった
雪はブルーシートみたいな敷物をすると赤龍は畳大のお皿を取り出した
そしてタングステンで作られた包丁で、弥勒と二人でぶどうを切り分けた
レイはパチッと目を開けて「ぶどう!」と叫んだ
烈は「ほらほら、皆で食べるわよ!」と言う
翡翠も海坊主もぶどうを食べ始めた
その甘さと美味しさに、翡翠は感激し食べていた
ぶどうを食べ終わると、烈は持ち帰り用に包み渡した
深々と頭を下げる二人を弥勒が連れて行く為に玄関へと出た
烈は「此処まで来るのに体力かなり消費してるでしょう!まだ魂が身体に定着してないのよ
其れも後少し、そしたら魔界で戦力として働いてね!」と言い見送った
弥勒は二人を送って行き、その場は静けさを取り戻した
烈は「母ぁーさんの誕生日前には還るからね!
花山院家の復活も確定させられたし、ボクが魔界でやらねばならないのは次代のお披露目だけよ!
その為に流にーに来て貰ったんだから!」と言う
赤龍は「次代のお披露目?それって今しねぇとならねぇのか?」と聞く
「そうね、身分の確定は必要なのよ!
鳳凰が描く羅針盤に刻み付けないとならないのよ
次代の鳳凰の描く新しい魔界を刻む羅針盤に、刻み付けて揺るがない未来を逝かねばならないのよ!その為に態々呼びに行って貰ったのよ!」
「次代の鳳凰、めちゃくそ力強そうだな!」
「あの赫が本来の産道の赫よ!
やはり………ほーちゃんの焔は日々弱っていたのよ
その影響が出たのね……」
「神の命も永遠じゃねぇからな………」
「其れより赤いのは明日パレードに出なさいね!」
「え?パレード?其れは何?」
「だから次代のお披露目よ!」
「…………お前がやれと謂うならやるさ!」
「父ぉーさんと母ぁーさんは今夜には帰るのかしら?」
「どうだろ?俺には解らねぇよ!」」
「…………ねぇカズ、カズは何があっても母ぁーさんを護りなさい!」
「?………おー!任せとけ!」
何故今そんな事を謂うのか?疑問に思ったが、赤龍は笑って答えた
素戔鳴尊達が魔界大法廷のある屋敷から帰って来ると、宴会は再び始まった
酔っぱらいの巣窟になる前に雪は北斗を連れて自分ちへと連れて行った
烈は軽く夕飯を食べると流生とレイと共に寝に行った
素戔鳴尊の屋敷には何時までも楽しげな声が響いていた
翌朝 早くから烈は一生とレイと流生と共に湯殿へ行きお風呂に入っていた
綺麗に体を洗い、お湯で流し湯に浸かる
そして湯殿から出ると烈は
「じいさん、金ちゃん次代の衣装作っておいてくれたかしら?」と問い掛けた
素戔鳴尊は「あぁ、ちゃんと作らせて流生の分は持って来てくれた!」と謂う
烈はレイに衣装を渡すと、レイは着替えを始めた
そして流生には次代の赤龍の衣装を渡すと
「早く着替えるのよ!」と謂う
流生は真紅の赤の衣装を手にすると着替え始めた
赤龍も衣装を持って来ていて着替えをしていた
赤い衣装は………赤龍と同じで………流生は何故か照れくさく感じていた
烈もレイも正装に着替えると、金龍が
「準備は出来たか?」と呼びに来た
烈は「金ちゃん!出来てるわ!」と謂う
金龍は烈やレイ、流生を撫でて
「其れでは行くとするか!
主等は儂が乗せて行くとしよう!」と謂う
「次代は着替えたの?」
「あぁ、青龍も着替えてパレードに出るそうじゃよ!」
「それは助かるわ!
流石ね!父ぉーさんは、ボクの意図をちゃんと解ってくれているわ!」
あの感情も見せない冷徹な青龍が、今じゃ我が子の為に骨身を削り努力していた
あれから何度も何度も魔界に来て、法の是正やルールをきめ細かく決めて、学校や市場等に貼って、小さいがそこからルールを決めて法と謂う概念を植え付けて行く努力をしていた
烈は「母ぁーさんの誕生日やらなきゃだから、そろそろ帰らなきゃなのよ!」と呟く
流生は「今頃は皆でケーキ作ってくれてるよ!」と謂う
赤龍の衣装が似合っていた
襟元は赤龍が直して、身嗜みを整えてやっていた
レイも烈も整えてやり、それが自然にされるから………流生はそれを自然に受け入れていた
烈は「赤龍の衣装似合ってるわね!流にー!」と謂う
レイも、うんうん!と頷いていた
支度が整うと烈達は金龍の背中に乗り、閻魔庁へと向かう
赤龍は愛馬を呼び寄せその後を着いて行った
閻魔庁の前に行くと正装をしている青龍と黒龍と地龍が立っていた
その横には次代が並び、金龍 天龍 そして虹龍が正装をして立っていた
烈は「虹!似合ってるわよ!その衣装!」と謂う
虹龍は「烈が仕立ててくれた正装だもん!当たり前だよ!」と笑っていた
「皆も似合ってるわよ!
さぁ、気合を入れ次代の鳳凰と共にパレードするから!
このパレードの意味合いは、鳳凰が描く羅針盤にその身分を刻む為
次代の身分を鳳凰の羅針盤に刻んだら、もう他の何者もなれはしないわ!
其れでも良いかしら?」
天龍が「今更だよ烈!我等は次代として人の世で学び魔界を築いていく礎となる!
他になる気なんてないんだから!」と嗤う
「ならば行きましょうか!
次代を連れて場所の移動お願いします
次代の鳳凰が先導してパレードは各省庁、市場を経由して世界樹の木のある広間まで逝く事になります!
次代の鳳凰は皆を瞳に刻みつけ羅針盤へと刻み付けて次代の継承者として認められます!」
烈の説明が終わると閻魔が愛馬に跨った
烈とレイと炎帝は閻魔の後ろにある馬車に乗り込んだ
閻魔が先導してゆったりと走る
その後を烈達の馬車が続き、その後を次代と共に乗り込んだ黒龍 青龍 赤龍 地龍の馬車が続く
その後の馬車に虹龍、金龍、天龍が乗り込んだ
その頭上を次代の鳳凰が飛んで逝く
焔は燃え盛り羅針盤を描き飛んでいた
パレードの馬車の後ろを素戔鳴尊 建御雷神 転輪聖王、その後ろの馬車に金龍 迦楼羅 現鳳凰が乗り着いて行く
朱雀はパレードの最後尾を愛馬を走らせて着いて来ていた
パレード見たさに住民は沿道に出て手を振る
パレードのコースには閻魔庁、魂の管理庁、そして市場横の馬車道も含まれていて走る
閻魔庁 魂の管理庁の職員は皆 整列して深々と頭を下げ見送った
世界樹のある広間まて行くと次代の鳳凰は
『鳳凰の描く羅針盤に皆を刻んだ!
この道は違える事のない未来へ続く事となる!』と宣言した
そしてキキキキッ〜!と鳴くと羅針盤は燃え上がり消えた
烈は馬車から降りると
「次代の継承のパレードは混乱もなく終われました!皆さん、お疲れ様でした
一万年続く未来は次代の鳳凰の羅針盤に刻まれました!
次代は立派な後継者となり、この魔界を盛り立ててくれる事でしょう!」とご挨拶した
閻魔も「目出度い事なので、振る舞い酒が有ります!皆 祝いの酒を飲まれてから帰宅して下さい!」と謂うと鬼達が酒樽を手にしてやって来た
樽酒を酌で容器に注ぐのは宇迦之御魂神だった
スマートな身の熟しで皆のお酒を注ぐ
そしてどう言う訳か牛頭も来ていて皆に酒を配っていた
烈は「牛頭ちゃん、後でお酒差し入れに行くから、今日は鬼ちゃん達と宴会するのよ!」と謂う
牛頭は「了解したよ!烈!」と嬉しそうに答え
「皆の分あるから心配するでないぞ!」と言い皆に配る
烈は大きな鍋で野菜とお肉を入れて汁物も作り配る
そして皆は楽しい時間を過ごして自宅へと帰って行った
閻魔は「烈、お疲れ様でした!」と労いの言葉を掛ける
「えんちゃん 明日には帰るわね!」と言葉にした
「現場の工程表通りに建ち始めてるので、定期的にチェックはお願いしますね!」
「解ってるわ!まぁ今回色んな事が持ち上がって、問題山積なっちゃったからね………
其れでも建築は止まってはくれないから仕方ないわよ………」
「そんな問題も今宵は忘れて…………皆で楽しみましょう!」
「そうね、なら後で閻魔庁の方へ行くわね!」
烈はそう謂うと流生と赤龍の傍へと向かった
そして虹龍達に「明日には人の世に帰るからね!」と言った
金龍が「今宵は儂の家に泊まらせ、明日の朝に間に合うように人の世に連れて行く!」と約束してくれた
「さぁ行くぞ!」と言い、金龍が皆を連れて自宅へと連れ帰った
黒龍は寝てしまった我が子を静姫に抱っこさせ、龍に姿を変えると自宅へと帰って行った
康太は「明日には帰るのかよ?」と問い掛けた
「だって母ぁーさんの誕生日祝わないと、なのよ!
前日に帰ってケーキ完成させないと!」
「あ〜オレの誕生日か………」
すっかり忘れてて、今更ながらに康太は呟いた
「そうよ、にーに達はケーキ作ってくれるからね!飾り付け位はしたいから帰らなきゃ!」
「んなら片付けて来いよ!」
と謂うと、烈は「流にー、魔界を案内するから、一緒に行きましょう!
カズ、レイたんを家までお願いね!」と謂う
流生は頷き、赤龍は「了解!」と言いレイを抱っこして愛馬を呼び寄せ一緒に乗り込んだ
烈はアル君に乗り込み、流生はマカロンに乗り込み魔界を案内して走る
畑を目にすると流生は
「色んな野菜を育ててるんだね!
どれもデカくて驚いたよ」と笑って口にした
「ボクが死したら………流にーは神の道を契約して魔界に来てよ
そして野菜指導してくれたら助かるわ!」
「烈………そんな悲しい事言わないでよ………」
流にー哀しいけど、ボクもレイたんも………
最終決戦では消えてなくなるかも知れないから………
でも、それは言葉にはしない
「それもそうね、じゃ手伝ってよ
そして流にーも新しいお花とか作物作ってよ!」
「それなら協力するよ!
だけど大きくない?魔界の作物は………」
「何かねデカいのよね………でも成長も早いし、魔界の食を担うには丁度なのよね!」
「そうか、今度は長期に連れて来てよ!
そしたら手伝えるから!」
「そうね、夏休みにでもお願いしようかしら?」
「そうだね、それは楽しみだよ!」
楽しげに話をしつつ、馬に乗り元禁足地へと向かう
青龍は我が子達を見送り
「まだまだ問題は山積なんですね………」と呟いた
炎帝は「仕方ねぇだろ?灰になり消えた奴いる以上は警戒レベルは下げられねぇだろ?」と謂う
其処へ弥勒が釈迦と花山院を連れてやって来て
「んな辛気臭え話は此処ですんな!」とボヤいた
「弥勒は何処へ行くのよ?」
「大歳神が仲間連れて来てるだろうから素戔鳴んちに行き飲むんだよ!」
「あ〜飲兵衛仲間な………此処にも来るのかよ?」
「まぁ酒が有ればアイツ等は何処へでも行き飲むだろ?」
「あ〜何でも品種改良したぶどう酒が話題になってるやんか!」
「あぁ、あのブドウはそのままでも酒にしても美味いんだよな!」
「今夜行くと言っといてくれ!」
「了解!ならな!」
そう言い弥勒と釈迦と花山院は、スッっと姿を消した
連れられてる花山院は大変だろうと……苦笑しつつ見送った
炎帝と青龍は取り敢えず朝早くからのパレードだったから家に帰りご飯を食べて風呂に入ることにした
魔界にいられる時間も後少し
ならば此処で休息を取らねば!と青龍は龍になり妻を背中に乗せて飛び立った
烈は流生に魔界を案内した
活気付く市場や馬車が通る官庁街、学校やマンション等を案内した
そして禁足地に行き工事を確かめて工程表を決めて来た
そして閻魔と話し合う事になるから、素戔鳴尊の屋敷に戻り流生を屋敷の中へと戻した
「流にーはレイたんといてあげて!」
「解ったよ!気を付けて行くんだよ!」
「魔界の1日は人の世の2日位に相当して長いのよ!流にーも疲れたならレイたんの横で寝ちゃってて!」
と言い、素戔鳴尊の屋敷を出て、閻魔庁へ行き閻魔と話をした
閻魔と魂の管理庁の職員達と話し合う
魂の管理庁の職員は「少し質問宜しいですか?」と手を挙げた
閻魔は「何ですか?」と問い掛けた
「魔界大法廷へ転移装置で飛ばされた時、消滅した職員がいましたね
あれは…………何故なのか?質問しても宜しいですか?」
閻魔は何も答えなかった
烈は「やっと聞いてくれる職員いたのね?
本当ならば魔界大法廷へ行った時に聞かれるかと思っていたのにね!」と皮肉めいて嗤った
その冷たい瞳に職員達は背中に冷や汗をかいていた
青龍とは違う、異質の怖さがあるのだ
烈は「魔界大法廷と迎賓館の場は天空神三神がおられる場と同じ光を受けている場となるのよ!
闇に染まってない職員ならば、芝生に寝っ転がって寛ぎたいと思う程に祝福された光を受けている場となる!
聖なる地、公平な地、粛清の地、青龍が司る地となる!その為の魔界大法廷と謂う場なのだから、不正など罷り通る場であってはならない!
公明正大、的確な判決を下す立場として闇も不正も入り込めない地とした
なので消えて灰になったのならば、その者は闇に漬け込まれていた者となる!
見せかけは変わらずとも、中身を侵食され闇に穢された
そんな者が神聖な地に降りれる理由などない!
皆にも其れは言える事となる!
弱い心には闇が巣食う切っ掛けを与えてしまう
まぁそんなに順風満帆には行かないだろうけど、闇に付け込まれる心の隙間があれば、乗っ取られるのよ!」
職員達は言葉もなかった………
「貴方達は地龍を見習いなさいよ!
彼は妻を庇い、虐められ軽視され屈辱的な日々を受けても闇になど染まりはしなかった!
二人して黄泉の旅路を渡ろうと決意をしたとしても、誰も恨まず、誰にも復讐する事もしなかった
ボクならば…………皆 滅べと復讐するのにね
地龍は総て受け止めて闇にも染まらずにいた
そんな強い心を持つ地龍の様になれとは言わない
だけどせめて闇に乗っ取られない努力をなさい
闇は貴方達の心の隙間を狙っているわ!
弱れば直ぐに乗っ取られるのよ!
そして乗っ取られたら、魔界大法廷へ行くならば灰になり消えて跡形もない塵となる!
そんな運命辿りたくなくば、心を強く持ちなさい!」
閻魔も「総ての庁舎の職員に武術を習えと申し付けます!強い体に強い心が宿るのですから!」と言葉にした
職員達は言葉もなく現実を突き付けられていた
烈は更に続ける
「消えた奴等は勢力争いしてる中心人物で、常に事を荒立て半勢力図を描こうとする者だった
トップが消えたから、その勢力図は無効になった訳だけど、そもそもたかが職員が偉そうに上がった気になるな!
己の本分を弁えないから踊らされるのよ!」
言葉もなく完膚なきまでに叩き潰された………
閻魔は笑顔で「閻魔庁 魂の管理庁 法務庁 総務庁、総ての庁舎は月に一回の定例会議を魔界大法廷 別館で開きます!
別館と謂うのは魔界大法廷の横に建てられた会議室の事です!
大会議室から小会議室まで、ニーズに合わせた会議室があるので決議や会議はそこでやります
まぁ毎月毎月、職員に消えられては困るので、皆さん武術で体を鍛え、強い心を持ちなさい!
私からは以上です、聖神の方からは何かありますか?」と締め括った
烈は「もう大丈夫です!」と謂うと話し合いは終わった
皆 持場へと帰って行く
烈も「じゃボクも帰るわね!」と言い閻魔と別れた
閻魔は烈を見送り
「一難去ってまた一難ですね………」と呟いた
正しても正しても…………底に穴が空いている様に、パラパラと零れ落ちて行く………
だが踏ん張らねば、全部が崩れて崩壊の一途を辿るしかない
閻魔は気を取り直して仕事を再開させた
烈が素戔鳴尊の屋敷に戻ると、宴会の準備がされていた
烈は庭から家に上がると花山院に声を掛けた
「フーちゃん、力取り戻せた?」
花山院は烈を見て苦笑すると
「何とか、めちゃくそ恐ろしい女神に叩き込まれて使える様になったよ!」と答えた
「それは良かったわ!
なら人の世に還ったらお引越しね!
花山院の土地はボクが貰って活用するわ!」
「あぁ、好きにしてくれ!
あんな家に戻る気はなかったが、違う場所ならば行っても良い!」
「そう、其れは良かったわ!」
「また遊びに行って良いか?」
「良いわよ、友達じゃない!」
花山院は驚いた顔をして
「友達………に、なってくれるのか?」と問い掛けた
「あら、友達だと思っていたのはボクだけなのかしら?」
「いや、俺もお前とは親しくなりたかった
友達になりたかった!」
花山院は嬉しそうに笑った
「取り敢えず人の世に還ったらモップ、退院させ子供達を引き取らないとね!」
「子犬、引き取ってくれねぇか?」
「良いわよ!なら今度小虎番わせたら子供をあげるわ!」
「トイガーか、それは楽しみだな!」
「役者は続けなさい!
演じるが貴方の天賦だから、演じなさい!
その変わり【家】を再興させたら【仕事】が入るから、両方管理させる秘書を着けてあげるわ!」
「【仕事】?………」
「国や企業、法曹関係の方から【仕事】が入るのよ!
花山院は真実だけを聞く【耳】を持っている!
その【耳】で真実を暴いて動かねばならない【立場】が貴方には与えられるのよ!」
「まぁやれと謂うならばやるさ!
その変わりちゃんと教えてくれよ!
俺は何も知らねぇんだから教育してくれ!」
「ちゃんと教えてあげるわよ!
だからボチボチやれば良いのよ!
考え過ぎるとハゲになるからね!」
「おい!デリケートな髪の毛事情は………」と口籠る
烈は笑って「お風呂に入って来るわよ!」と言い皆で風呂に入りに行った
飛鳥井もそうだけど、広いお風呂は開放的で気持ちが良かった
ゆったりと風呂に入り、上がると素戔鳴尊が料理をテーブルに並べていた
大歳神が来ていて、花山院は「親子!」と叫んだ
素戔鳴尊と大歳神と烈が並ぶと、ソックリな顔が血縁を物語る
大歳神は「親子3代じゃわ!」と笑う
毘沙門天は「んとに主等はコピー級にソックリじゃからな?!」とボヤいた
飲兵衛がテーブルを占拠する
クロウ タロウ 兄弟がワインの樽を運び込む
炎帝も青龍もやって来て宴会は始まった
雪も北斗と仲良く食べていた
流生は魔界を案内され、何時か人の世を終えたらならば、此処で暮らすのだと実感した
建御雷神 天照大御神 転輪聖王は御機嫌で飲んでいた
夜中になると青龍は
「そろそろ帰りますか?誕生日の前日に帰りたいなら、そろそろ出ないと間に合いませんよ!」と謂う
烈は祖父に「それもそうね!また来るわね!じぃさん!」と声を掛けて花山院を連れて、レイと北斗と流生と共に外に出た
青龍は龍に姿を変えると、背中に乗り込んだ
花山院は「落ちない?」と不安げに呟いた
烈は「心配なら落ちない様になら背中に縛り付ける?」と返した
縛り付けられるのは、もっと嫌だから黙って乗っていた
青龍は「朱雀はどうしました?」と問い掛けた
「パレードの後に帰ったわよ!」
「あぁ婚約者が気になりますか?」
「………美緒たんが怪我したってカズが言って来たのよ
だからパレードまではいて、その後に帰ったのよ!」
「で、その赤いのは?」
「大歳神に捕まり神の道で帰って、その後車に乗せて【R&R】弁護士事務所まで送らせるつもりよ、あの人!」
炎帝は「何か………きな臭いよな………」とボヤいた
烈は何も言わず頷いた
飛鳥井記念病院の横のマンションの屋上に降り立ち、非常ドアを開けてマンションの中へ入り、エレベーターで一階まで降りる
そして地下から飛鳥井の家に帰り、やっとこさ我が家に帰って来た
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