78 / 82

第78話 艱難辛苦 ❹

「其れは俺は解らねぇ! 何でも正義が総理になって一斉に秘書にも秘書バッチを義務付けたらしいのは聞いた!」 「そう、ならばそれ待ちしてるのね!」 「………何か人間不信になりそうだな………」 「仕方ないわよ、この先は疑ってなんぼの世界になるからね!」 兵藤は言葉もなかった が、竜馬は「だからこそ仲間の絆は大切なんじゃないか!」と言葉にした 竜馬と兵藤はその夜は烈の個室に泊まった そして宗右衛門の仕事を上げて行く 行き詰まると烈に話を聞き、自分なりに調べて仕事を上げていた 翌朝 宗右衛門の仕事がかなり上がって来ていて、康太と榊原は出勤前に烈の病室へと見に行った程だった ソファーで寝転ぶ竜馬と兵藤の姿を見て 「お前等が宗右衛門の仕事上げたのかよ?」とボヤいた 兵藤は康太の姿を見るなり 「何か食わしてくれ!」と訴えた 烈も起きていてPCを開いてポチポチしていた 榊原は「烈、昨日兄達が菩提寺のランドリーからジャージを持って来てくれたんですが、瓦礫や木が刺さっていたのか? 穴が空いていたり破れたりして、汚れを落としても使えないそうです! サコッシュも泥汚れは取れなくて、兄達は相当ショックを受けてます 太陽なんか「今から縫うから!」と言い出す始末てした!」と現状を知らせた 「あ~グサグサ何やら刺さっていたから、服も破れたり穴あいて当然ね! 良いわよ、退院したら新しいの買いに行くから!」 竜馬は「なら俺がデービッドに言うから、新しいのはデービッドに作って貰えば良いよ!」と謂いラインをした メンバーは烈が入院してる事も知らなくてショックを受けていた そして今直ぐに個室に行きたいと訴えた 竜馬が迎えに行くと謂うと康太は 「飛鳥井へ行くならば、慎一に言い飯を作って貰っとくから食って来いよ オレから慎一に言っとくかんな!」と謂う 竜馬が個室を出ると、康太は慎一に 「竜馬と貴史は烈の個室で付き添ってくれていた だから食えそうなのを竜馬が戻るから持たせてやってくれ!」とラインした 慎一は『解りました!朝食と昼食のお弁当作って待ってます!』と返した 康太は兵藤に「烈を頼むな!無茶しねぇ様に見張っててくれ!」と言った 兵藤は「この子は無茶振りばかりで謂う事聞かねぇだろうが!」とボヤいた 康太は笑って榊原と共に会社へと向かった 溜まりに溜まった宗右衛門止まりの仕事が決済の印を押して書類を上げて来ているのだ そして注意書きをしている箇所は、もう一度チェックを入れて調べ直さねば!と忙しくなるのを感じていた 竜馬が病室に戻るとメンバーもやって来た デービッドは「サコッシュは泥だけでシミは抜けなかったし、ジャージは破れたり穴が空いていて使えないから捨てるしかないねん!」と口にした 「解ってるから大丈夫よ!デビたん! サコッシュは一つしかないから紙袋になるけど、ジャージはまだあるから大丈夫よ!」 「烈が退院するまでに作るねん!」 「無理しなくても大丈夫よ! カタチあるものは必ずや壊れるのだから!」 「其れでも、其れでも…………リーダーの為に何かしたいねん!」 「有り難う!」 デービッドは怪我だらけの烈に触れた 「リーダー、また顔も怪我してたらヤングマンに始球式依頼されそうやな?」と縁起でもない事を口にする 烈は嫌な顔をして 「辞めてよ!デビたん! どうして顔に怪我ばかりしてる時に始球式しなきゃいけないのよ!」と訴えた メンバーも竜馬も烈も兵藤も笑っていた 烈が入院して三日目に竜之介が烈の個室を訪ねて来た 「烈、本堂に置いて在った熊のぬいぐるみが切り裂かれました!」 と告げた 竜之介は憔悴しきっていた そりゃ城之内にしたら弟の魂が入ったぬいぐるみを切り裂かれれば……正気を失うだろう それを見てなきゃならない竜之介も憔悴して当たり前なのだ 烈はそれを聞いても顔色一つ変えなかった 「あ~ならば犯人は彼岸に堕ちたわね…… あの場は彼岸と繋げてあったから、本堂には入らない様に言い付けておいたじゃない!」 「はい!なのでそれを知ってる者は近寄ってさえいません!」 「社員は全員揃ってる?」 「…………一人行方が解らない者がいます! そして太極拳に来てるお年寄りも今 行方不明らしくて、老人会の方から捜索依頼が来ています!」 「ならば、その社員と老人会の奴は共謀してぬいぐるみを切り刻み魂を持ち去ろうとしたのよ! で、彼岸と繋いてある場に足を踏み込んだから、彼岸へ堕ちたのよ! 悪いけどもう二度とこの世には戻れはしないわ!」 「え?………遺体もなしで………消えたと謂う事ですか?」 「本体ごと彼岸へ堕ちれば戻る道なんかないのよ こっちも命を懸けているのよ! 悪いけど同情すらしてやる気はないわ! 唐沢の方へは連絡入れとくから、菩提寺は知らぬ存ぜぬを貫いてくれれば良いわ!」 「解りました……所で魂は消滅してしまったのですか?」 「まぁ其れもボクが退院したら話すわ 葬儀を取り仕切らねばならないからね! 竜之介は帰ったら葬儀の準備をなさい!」 「了解したよ………親父の落胆ぶりが凄くて………」 「まぁボクが行くまで腑抜けになるな!と伝えといて!葬儀をやらないと腐るわよ遺体が!」 「解ってるよ!烈………ごめんね弱音吐いたりして………」 「良いのよ竜之介! でも我等は死者弔い、礼を尽くして送り出す死命があるのよ!」 「そうだね、烈から嫌われたくなきゃ葬儀の支度するんだよ!と父さんには言っておくよ!」 「それで良いわ! 其れよりも竜ちゃん、何時婚礼するのかしら? 菩提寺は49日法要まで喪に服すから婚礼出来ないじゃないの!」 「烈………俺なんかが結婚しても良いのかな?」   「何を言ってるのよ、愛してるんでしょ? 一目惚れなんでしょ?  まぁ過去の事を言ってるのか知らないけど、貴方は今 楽巌寺住職の長男 竜之介よ! 貴方は貴方の人生を歩みなさいよ! 竜ちゃんは良いお父さんになるわよ! ってか、もうパパと呼ばれてるじゃないの!」 竜之介は覚悟の瞳をして 「喪が明けたら結婚するよ!」と言葉にした 「そうね、一陽たん押し退けて結婚するんだし、誰よりも幸せにして貰わなきゃ!」 「え?一陽を押し退けてって?」 「花婿の候補は竜ちゃんと一陽たんだったのよ 一陽たんはやはり過去引きずり過ぎて………結婚に前向きじゃなかったからね」 一陽の過去の話は城之内から聞いた事があった 門倉として生きて来た過去も聞いた事があった 「ならば俺は一陽の分まで幸せにならないとな!」と竜之介は笑った そして葬儀の準備をするね!と言い帰って行った 烈は怪我の情状を見て、酷い傷が引っ付くまでは退院させては貰えなかった 暦は3月中旬に差し掛かり、早い桜は咲き始めていた 飛鳥井家恒例のお花見は、今年は無理かも知れない……… 寒い外は傷が痛むだろうし………完治する頃だと、散ってしまっているだろう……… 烈は「あぁ……ボクの花見が!」と悔しがった そんな頃、司法解剖した遺体が返されると唐沢から連絡があった 死因は窒息死だった 肺にも土砂が入り込み、藻掻いて足掻いて………息絶えた そんな感じたと言われた 葬儀社の方へ引き渡される前に泥は総て洗い流して綺麗な状態での返還となっと話してくれた 「ボクもそろそろ退院するしタイミング良かったわ!」 『この前は話が出来なかったからな 今一度話がしたいんだけど?』 「ボクはまだ退院してないから病室に来てよ!」   『了解した!ならば病室へ行くとするわ!』 暫く待つと唐沢が西園寺維弦と真田班の班長 真田光成を連れてやって来た 真田は烈の顔を見るなり深々と頭を下げた 唐沢は「捜索隊から遺体の発見に時間が掛かると思われていたのに、難航する遺体捜索も迅速に回収され遺族に渡せられた事を感謝しています!との事だ!」と捜索隊からの感謝の言葉を伝えた そして「その時、コイツが余計な事を言ったとか?」と続けた 「まぁあの場では至極正常な思考回路だったと思えるから大丈夫よ! でもねボクは万人を助けられる神じゃないのよ! まぁ神だとて万人の人間を助けるにしても限界はあるわよ! そして何よりボクは今 一族の為に生きている飛鳥井宗右衛門としての死命があるのよ! 生半可な想いで動いてるわけじゃないのよ! まぁ理解しろと謂うのは無理だから見逃してやるわよ! でも次はないわよ! 次ボクに何か言おうものならば許しはしない! それだけ覚えておいてくれれば良いわ! 其れよりも唐ちゃん、ボクは今 菩提寺の本堂を彼岸と繋いでおいたのよ そしたら彼岸に堕ちた馬鹿がいてね、そいつ等は死したわ! 生きたまま彼岸に堕ちれば二度と戻れる道はない 楽巌寺の職員一人と太極拳に来ている老人一人が行方不明だそうよ!」 「おめぇは行方不明者が出るのを解ってて彼岸に繋いだのか?」 「まぁね用心に用心を重ね、疑って仕掛けるのは宗右衛門の死命だからね 幾つかのトラップと対策はしてあるのよ! でも遺族は彼岸に堕ちる事なく会える様にはしておいたわよ! それ以外はまぁ………お察しよ!」 「彼岸に堕ちた奴も家族はいる! 死亡通知が出せねぇから遺体は何処かへ戻してやれよ!」 「なら鬼ちゃん達に頼んで住んでる家とか近所の公園とかに置いて貰っておくわ!」 「そうしてくれ!遺体なき死者は本当にクソ面倒なんだよ! あの吸血鬼とダンピールが闘っていた時に幾つそんな遺体が出たと思ってるんだよ!」 「今後はもっと盛んに出るかもよ?」 「んとに勘弁してくれ! あ、そうだ、総理が何度かお前に会いに来られているが、目の前でお前は病院行きになったりしてロクな礼も言えてない!と嘆いておられたぞ!」 「礼なんて食べれないもの要らないわよ!」 康太と同じ台詞に唐沢は苦笑して 「んとに康太と同じ事謂うんだな………」とボヤいた 「唐ちゃん研究室に行き、総理が公務に出られる時用の高性能で軽い防弾チョッキを貰って来て渡してくれないかしら?」 「総理の命はそんなにヤバいのか?」 「多分ね、ボクよりも母さんに聞いた方が解るんじゃないかしら? ボクは果てを視られる眼ないし!」 「でも康太が言ってたぞ お前の占いは真贋の眼に匹敵する性能だと!」 「多少出力は劣るわよ! 堂嶋正義の父親は増渕の秘書をしてたって知ってるわよね! 増渕は其れは其れは鴻池の爺の威光を笠に好き放題したからね 今は政界を引退したけど、其れも堂嶋正義の所為でもあるし、飛鳥井家真贋の所為でもある 傀儡の二階堂を離脱させて増渕を解体させた そして翁も殺した 鴻池の一族も消した 憎しみ倍増、恨みも倍増、アレは生きてる呪物よ!いるだけで祟るわ!」 「それって………ひょっとして元増渕議員の事か? 鴻池に縁のある奴は死に絶えたんじゃねぇのかよ?」 「直系血縁者や、親類縁者、とかは影響を受けて直ぐに落ちぶれて消えるだろうけど、甘い蜜を吸ってた奴はね、時間を掛けてジワジワ落ちぶれるのよ! 影響は受けているだろうから、今必死に藻掻いているんでしょうね 自分が落ちぶれて死ぬのなら鴻池翁に世話になった残党と手を組み増渕残党はこれから壮大な復讐計画を立てたのよ ケネディ大統領の様に大衆の目の前で死に絶えてくれれば、溜飲が下がる との見解は鷹司緑道 飛鳥井宗右衛門 阿賀屋蒼佑 西園寺国司 一条弦斎 五稜院直建 有栖院暦也の総意と言っても過言ではないのよ!」 唐沢は黙って話を聞き 「直ちに閣下へ話を持って行く事にする! 其れよりも猫は?最近見ねぇよな?」 と、ふとした疑問を呟いた クー ルー スーは姿を現した クーはお口の横にご飯粒を着けて 「別にサボってる訳じゃないからな!」 と、何処のツンデレよ!と謂う言葉を吐いた 烈は「最近ボクの周りにいる【猫】を狙ってシャッターチャンスを狙っている奴がいるのよ 二足歩行 喋る猫 そんなのが現実にいるならば、それは誰もが興味津々になるわよ! もし姿を撮られたら平穏な生活は韜晦するじゃない! だから姿を消して貰ってるのよ! まぁカメラ程度じゃ姿は捉えられないけどね 其れでも余計な火種は遺さない様にね!」と説明した 唐沢は「んとに馬鹿な事で火が着いて大騒ぎされるからな!」と用心は用心を重ねるのは仕方ないか………と思った そして気を取り直して 「じゃ堂嶋の件は閣下に話を通して内閣の方で対策を取って貰う事にする! 烈は退院したら飛鳥井へ戻るのか?」 「葬儀を執り行った後はボクは白馬に留まり今後の対策を取らないと駄目になるのよ! 幼稚園は土石流に飲まれて消えてしまったからね 潰すか?再生するか? 其れを考慮して行かないとならないのよ!」 「なら当分は白馬にいるのか?」 「そうね…………そうなるわね!」 「了解した、ならまた今度は連絡取れる様にしててくれ!」と言い真田と共に帰って行った 烈は一週間入院して7日目の朝、退院した 退院した足で菩提寺へ向かい葬儀の準備をする 密葬で親族のみで葬儀は執り行われた 遺体が戻り棺の中には目を閉じ眠っているかの様な穏やかな顔をした故人がいた 葬儀の経典は城之内が唱えた そして紫雲龍騎もお見送りの詞を詠み、死者を労った 皆が焼香をして別れを惜しみ 志津子と水萌は気丈に葬儀に参列していた 飛鳥井の兄弟は翔を除いて参列していた 菩提寺で暮らしている者達も、働いている者達も焼香を上げさせて下さい、との事で許して焼香をして貰った 葬儀が終わると棺の扉は閉じられ、出棺の時間となった 遺体が霊柩車に乗せられるとクラクションをファーンファーンファーンと3回鳴らし発車した 遺族と葬儀に参列する事にした者は斎場まで葬儀社の方が手配してくれたバスで向かう 烈が先頭の車両に乗り、竜馬と兵藤は後ろのバスに乗り込んだ そして斎場へ向かい棺が炉の中へと納められた 竜馬と兵藤、翔を覗いた兄達が同席し、葬儀を見届けてくれた   煙突から白い煙が上がる 志津子は斎場の外に出て煙突を眺めていた 「悟……」と我が子を見送る 炉で焼いた遺体は冷まして、遺骨上げの儀式へと移る 我が子の骨を拾い小さな骨壺の中へ収めて行く 志津子はそこでやっと泣ぐんだ あんな大きな子だったのに………こんな小さな骨壺に入るなんて……… 我が子を亡くした哀しみがじわじわと侵食する 骨壺に骨を全て収めると葬儀社の方が後はやってくれ、遺族は別室で待っていた 暫くすると名前を書かれた遺骨が遺族の元へ返された 志津子達はマイクロバスに乗り菩提寺へと帰って来た 本堂に3人の遺骨を並べて城之内は経を上げた 3人の遺骨は納骨堂へと納められる 納骨堂はもう既に定員オーバーで新規の受け付けは出来ていなかった 烈はまだ切り開いてない竹藪の土地を切り開き納骨堂を新しく作る気でいた 其れまでは今ある納骨堂に収めるつもりだった 納骨堂に遺骨を収め書類を書く タダではないので親族価格で費用は要るのだ 志津子はその書類にサインした 総てが終わると「さぁ逝きましょうか!」と言った 城之内は「え?何処へ?」と問い掛けた 「黄泉の旅路を見送らねばならないから、ボクは葬儀の執行者に名を連ねた 其れは貴方達を故人と共に魔界へ共に見送って行く為よ! まぁ魔界に行って閻魔大魔王様に会って死後の裁判を受けさせるまでを、葬儀の執行者がやらねばならぬのよ! 其れは次代に受け継がれるべき仕来りでもあるからね!」 城之内は立ち上がると深々と頭を下げた 志津子も義泰も久遠も立ち上がり、深々と頭を下げた 水萌は「私も同行しても良いだろうか?」と問い掛けた 「良いわよ!では行きます!」と謂うと本殿儀式の間へ向かった 神の道を開くには許可がなくば通る事も出来ない が、本殿儀式の間からならば、大人数でも黄泉の旅路へ出掛けられるのだ 烈は季節外れの鬼灯を手にすると、本殿儀式の間の襖をスパーンと開けた そして皆が入るのを待つ 皆が入ると襖は自動的に閉まった 「飛鳥井宗右衛門が黄泉の旅路へ一族の者を見送る事となった!道を開かれよ!」と告げると辺りは真っ暗になった が、烈が手にする鬼灯が薄っすら赤く光り辺りを照らした 『さぁ逝かれるかよい!宗右衛門よ!』 と声がする 烈達は許されて黄泉の旅路へ出られる事になった 「さぁ出て来て良いわよ! 黄泉の旅路を一緒に向かいたいならば、手を取りなさい!」と告げた 烈が手を広げると明るく光る球体は人の姿を取り戻した 悟は「母さん 父さん 譲、4人で歩く最初で最後の散歩に出向こうか!」と謂う その笑顔は元気な頃の顔のままだった 星も「兄貴、義姉さん、こうして歩くのが最初で最後だなんて………悲しくはありますが……其れでも最期に兄貴と会えて良かった!」と告げた もう城之内は涙で前が見えない程だった 透も水萌と手を繋ぎ歩く 初めて感じる母の手の温もりだった 烈は「お二人は輪廻転生は成さる気はないらしいので、魂の修練場を経て魔界で働いて貰う事は決定しています!」と告げた 義泰は「え!再び飛鳥井へ還るのではないのか?」と問い掛けた 悟は「僕達が生まれ変わる頃、父さん達いないじないか!ならば烈が魔界で待っててくれるならば来るわよ!義泰と志津子は魔界で働くから! もうスカウトはしてあるのよ!と言ってくれたから、僕は魔界で父さんと母さんを待つよ!」と言い笑った 義泰は目頭を押さえて 「タダでは魔界には置いては貰えぬ! 対価は何なんじゃ?」と問い掛けた 悟は「僕は閻魔庁の職員として会計監査を!」と言い 星は「俺は子供達の体操のお兄さんを!」と言った 「魔界には職員の宿舎も在るし、給金も出すからね!生活には困らないのよ!」 悟は「僕は母さん達が来るまでに素敵なお嫁さん探しておくとするよ!」と言った 星も「俺も元奥さんバリのお嫁さん探すから!」と謂う 元々はノーマルな性癖を持つ存在なのだ 危機感に迫られ何となくだったけど、新しく生きるならば総て忘れて幸せになりたいと思う そんな話をして黄泉の旅路は終わる 光が差し込む出口が見える、その先へ進むと、其処は閻魔庁の前だった 烈は閻魔庁の職員に 「聖神が閻魔大魔王様にお目通りを願うとお伝え下さい!」と謂うと職員は走って閻魔に申し付けに向かった そして戻って来ると「執務室までお願い致します!」と入庁を許可され閻魔の執務室まで向かう 結構長い廊下を歩いていて、一際重厚な扉の前で足を止めドアをノックすると、直ぐにドアを開いた 閻魔大魔王は烈達が来るのを待っていた 烈は「えんちゃん 連れて来たわ!そして魔界に役務してくれる子達をスカウトして来たわ!」と笑って言う 閻魔は「それは助かります!消えたのもいたので人手不足なので助かります! で、聖神としては何処に配置されるおつもりか?」と問い掛けた 「悟は計算が強いのよ、不正なんて見逃さない飛鳥井の漢だからね、会計監査に於けば楽しい事この上ないわ! その時は聖神御用達の職員と紹介してね! 手を出すなら倍返しで仕返ししてやるから! そして星は子供達の体操の先生にお願いね 子供のうちから基礎体力着けておくのは大切な事だからね!」 「了解したよ!聖神肝煎りの人材として魂の修練場を経て、勤めて貰うとする! これより貴方達は死後裁判に入り、罪の数だけ魂の修練場で償い魂を浄化して貰います! その後は閻魔庁の職員として派遣いたします! そして透よ、主はこの後双子の片割れと融合して一つに交わる事となる!」 透は「はい!お願いします!」と元気に答えた 「個々の人間としての転生も可能であるぞ?」 「其れも考えました! でもね個々の人間として転生しても、僕の片割れは欠けたままなのを感じる……… 僕は永遠に欠けたまま生きるのは嫌です 元は一つの魂だった だから一つになり僕達は共に生きて生きたいのです!僕の中にアイツの想いが伝わる様に、アイツの中にも僕の想いが伝わってます! 僕等は一つの細胞だった だから一つになりアイツの中で生きて生きたいのです!」 「そうか………ならば主はこのまま母と共に人の世に還り、母の手により一つになるがよい!」 「はい!有り難う御座います!」 「此れより死後裁判を行う! 死者の魂をお連れしなさい!」 閻魔が言うと職員がやってきて悟と星を連れて行った 志津子と義泰と久遠は深々と頭を下げ見送った 閻魔は透の魂を球体にすると、水萌に 「手を出しなさい!」と告げた 水萌が手を差し出すと掌に透明の球体を乗せた そしてその球体は掌の中へスーッと溶け込んで消えた 「主が人の世に還り我が子を抱いた時、二人は一つに生まれ変わる!」 粋な計らいをしてくれた閻魔に水萌も泣きながら礼を言った   何度も何度も「有り難う御座います!」と礼を言った 志津子と義泰と久遠は菩提寺で良く見る顔やんか………と思ったが何も言わなかった 閻魔は「烈よ、もう帰るのか?」と問い掛けた 「そうね、やる事が山積してるからね!」 「そうか………」 「何かあったの?工程が遅れてるとか?」 「そうではなく、素盞嗚殿が別室においでなのですよ!烈が来ると聞いたからお仕掛けて来てるのです!ついでに我が父も来やがって待っているので逢ってから帰って下さい!」 あ~ 最近来ても直ぐに帰っちゃうからお仕掛けて来たのね………と烈は思った 「ならば別室に行くわ 皆も来るのよ!どうせ見た顔だし、久遠先生ぇーはお世話した事ある顔だから大丈夫よね?」 と言い閻魔と共に別室に向かう 別室と謂うか来賓室で待たされてるのか? 烈達は来賓室まで行き、ドアを開けると素盞嗚尊が「烈!!」と飛び付いて抱き締めていた 建御雷神もニコニコで烈の頭を撫でた そしてソファーに慇懃無礼な風体で座る男に目を向け 「何でとーさんもいるのよ?」とボヤいた 久遠は「神威?」と呟いた 神威は「父者、此処は堅苦しい故、早く屋敷に戻ろうではないか!」と急かす 素盞嗚尊は「そうじゃな、烈!客人も連れて参るがよい!」と言い喜んでいた 閻魔庁から馬車を出して素盞嗚尊の屋敷まで送る事になり志津子や義泰、久遠、城之内、水萌はドキドキして馬車に乗った 烈は素盞嗚尊の愛馬に乗り駆けて行く 神威は「歩くのは面倒じゃ!」と姿を消した 素盞嗚尊と共に愛馬で走れば 「聖神 お帰りになられていたのですか!」と声が掛かる あっちこっで「聖神!」と呼ばれる 魔界の人気者だった 素盞嗚尊の屋敷到着するとアル君が出て来て 「帰っていたのか?なら何故呼んでくれない?」 と少し拗ねて謂う 久遠は「アル少し大きくなってねぇか?」と笑って言う 「そうなのよ、見るたびに大きくなって行くのよね!」 まぁアルパカみたいな風体なのは変わらず……… 大きくなったと言っても本当に前より少し大きくなってる程度なのだが……… 屋敷に通され………酒が出た 烈は「お茶出しなさいよ!」とボヤいた 「まぁよいではないか!」と神威は酒を出す 「飲んだら帰れないじゃない! 魔界に朝までいたら一日半は消費してるのよ!」 素盞嗚尊は「時間が違うからな………これ倅よお茶を出ししなさい!」と謂うか聞いちゃいない 「さぁ飲むぞ義泰! 精進落としだ!飲まねぇとやってられねぇって!」 と言われると義泰は酒を貰い飲み始めた 「あ~帰るの明日の朝コースね」 城之内も水萌も志津子も久遠も、酒を飲み始めた 建御雷神が天照大御神と共にやって来ると 天照大御神は「烈、久しいな!最近は直ぐに帰ってしま………ってその顔また怪我したのかえ?」と烈の傍に行き怪我した顔を撫でてやった 「あまちゃん大丈夫よ! 其処の先生ぇーが治してくれるから!」 「お〜鬼ではないか!」 天照大御神は久遠を見て鬼と言った 志津子は何したのよ!譲!と思った 天照大御神は「其処のおなごは来客か?」と問い掛けた 「この人達は飛鳥井の一族の方です! 我が子を亡くされ黄泉の旅路へ出られる我が子を見送りにお見えになった方々です!」 と紹介した すると天照大御神は志津子と水萌の横に行き二人を優しく抱き締めた 優しい温もりが二人を包むと緊張していた心が緩む 「子を亡くす哀しみは我が身を切り刻まれる辛さよのぉ〜」 天照大御神の言葉が心に染み入る 気丈に気を張っていた志津子も水萌も何時の間にか泣いていた 泣いて泣いて………気絶するまで泣いた 素盞嗚尊は座敷の横の部屋に布団を敷いた 神威は志津子を布団に寝させ、次に水萌も布団に寝かせた 「どの道 伯母上が寝かせてしまった故起きねば還られはせぬだろ!」とガハハハハッと笑う 天照大御神は「我はおなごの味方故、気丈に振る舞う子には安らぎを与えて寝かせてしまうのが一番じゃから寝かせやるのじゃ!」と笑って謂う 烈は「あまちゃんは魔界の総てのおなごの憧れだもの!ボクも大好きなのよ!」と謂う 「我も大好きじゃぞ! 我が子は怪我せず元気にしておるか?」 「最近の母ぁーさんは楽し過ぎなのよ! 逆にボクが怪我だらけだわ!」 とボヤく 天照大御神は烈の傷を優しく撫でると 「早く治るとよいわいな!」と謂う 「あまちゃん 新作ワイン飲んでよ アレからもっと改良して甘口と辛口を頑張って作ってるのよ! 甘口を持って越させたのよ!」 烈が言う宇迦之御魂神は樽を割り尺を取り出すとコップに注いだ そして皆に配る 何時の間にか………毘沙門天達も来て飲み始めた 城之内はその中に見知った顔を見て苦笑した そして天照大御神と仲良く甘口ワインを飲んだ 建御雷神は「甘口じゃと、どんどん飲めてしまうから危険じゃな!」とボヤいた 「二日酔いになるまで飲まないでよ!」 と一応注意はする 閻魔がやって来て宴会に加わると、もぉ後は何時もの飲兵衛が大騒ぎして笑い声が響く楽しい時間となった 烈は早々に自分の部屋へ行き眠りに着いた 「まぁじぃさんが楽しそうだから良いか!」と呟き眠る 翌朝 まだ暗い内から起きると、烈は久遠を叩き起こして義泰と城之内を連れて湯殿へと向った 只管大きいお風呂場に義泰は興奮して湯を掛けてお風呂に入った 烈も湯を掛けてお風呂に入る 「あ~この湯は本当の源泉だから染みるわ!」と言い体を洗う為に湯船から出た 義泰は「源泉なのか?」と問い掛けた 「そうよ、地球のコアの近くを流れるマグマの下辺りの源泉を引いてるのよ! だからミネラルたっぷりよ! 早く出ておなごに変わらなきゃだから、サクサク入るのよ!」 烈に急かされ体を洗い、泡を流し湯船に浸かり出る 入れ替わりに志津子と水萌が入り、身を綺麗にして風呂から出ると帰宅の途に着く準備をした 「神の道を開くので、それで帰るわよ! 早く起きすぎたから時間は夜中かもだけど………まぁ良いわよね」 義泰や志津子 城之内 水萌と久遠は頷いていた 久遠は「龍の背中より髑髏の方がまだ自分で歩けるだけマシだ!」とボヤく 志津子と義泰は髑髏………と嫌な顔をした 城之内と水萌はどんな道でも帰れれば良いか、と思っていた 烈は神の道を開くと 「聖神が黄泉の旅路へと見送った遺族を連れて帰る故、神の道を通る事を許可されたい!」と大きな声で叫ぶと フードを被った髑髏が姿を現し 「閻魔様から聖神は帰りは多分神の道から帰られるので、人の許可をなさい!と申されてます!」と告げ入るのを許可した 暗い道を只管歩く 烈はこんな時にしか使えないじゃない!と、エンジェルリングを光らせ、懐中電灯の変わりをさせた 「便利よね、こんな暗闇は!」と謂う 久遠は、いやいやそんな使い道じゃねぇだろ?それは???と思ったが何も言わなかった 「人の世に着いたら一日半は経過してるから!  多分夜中か、早朝ね!早すぎてないと良いんだけどね!だからそんなに滞在は出来ないのよ!」と謂う 志津子は「夜中ならば烈は私の家に泊まりなさい!」と誘う 「大丈夫よ、竜馬呼ぶから!」 久遠は「神威は帰らねぇのか?」と問い掛けた 「あの人は多分もう少し後に出るんだわ 忌引き休暇取ってるから、ゆっくりでも構わないのよ!」 「忌引き休暇、弁護士でもそれ使えるのか?」 「まぁあの人一応所長だし、多少の休暇は取れるのよ!」 「所長なのか?すげぇな」 「オーナーはボク達だけどね!」 烈はケロケロ笑った 久遠は気を取り直して「明日の朝は消毒に来いよな!」と言った 「解ってるわよ!」 神の道が明るくなり出口を告げると、外へ出た すると其処は菩提寺の中庭だった まだ夜なのか?暗かった 携帯を取り出して時間を確認する 「午前4時を示しているわね! あら?早すぎたわ!もう少しゆっくり出来たわね! 取り敢えず家に帰ってくれて構わないわ!」 烈が言うと城之内と水萌、志津子と義泰は自分の家へ帰って行った 烈は竜馬にラインして「菩提寺まで迎えに来てよ!」と告げた 竜馬は『音信不通にならないでよ!葬儀の後から何処へ行ってたんだよ!』と謂う 「死者の魂を黄泉の旅路へと送り出す務めがあったから行ったのよ  なのにさ、その夜は帰れなくて魔界で泊まったのよ!義泰も飲み始めてたからさ!」 『あ~それは仕方ないか……… なら菩提寺へ迎えに行くよ!』 「まだ夜中と言っても良い時間なのにゴメンね! 保養施設の一階にいるから、近くまで来たらラインして!」 『了解!』 竜馬と連絡を取り烈は久遠に 「家まで送ってく?」と問い掛けた 久遠は「あ~頼めるなら送って貰いたい! タクシー呼ぼうかと思っていたからな!」と謂う 取り敢えず保養施設の一階へ向った   もう電気も切れ暗かったが、烈は電気を付けて中へ入った 久遠は「悟と合わせてくれて有り難う! アレから菩提寺へ何度も何度もバスに乗って来たんだよ! 一事は魂が入ったぬいぐるみが切り裂かれて心配したが、神威が魂を預かってるって言うから、母さんや父さんと一緒に会いに行き沢山話しをした もう後悔も悔いも何も残ってない程に話が出来て良かった! 俺も死後は魔界へ行くから、そしたら……また会えるんだと思うと………これで終わりじゃないと思えたんだよ!」と本心を告げた 烈はにこやかな顔をして「それは良かったわ!」と言った そして「人って想いばかり募る生き物でしょ? そして思い出は誰よりも輝いて美化しちゃうから、断ち切るのは日が経つ毎に不可能になって行くのよ! だからこそ話し合わせる必要があったのよ! 志津ちゃんが歩き出す為にね 義泰が後悔で生きる屍になる前にね 合わせて話をさせる必要があったのよ でなきゃやっと歩き出した歩も止めてしまうじゃない!」と付け加えた 「烈………」 携帯がブーブーと通知を伝えると烈はそれを見て 「竜馬が、迎えに来てくれてるわ!」と言った 駐車場で待ってると竜馬が迎えに来てくれた 烈は助手席に乗り、久遠は後部座席に乗った 飛鳥井記念病院へ先に送り届け、久遠を降ろした後に駐車場へと行き車を停め通用口から飛鳥井の家へと帰った 家の中へ入ると竜馬は「ご飯食べる?」と問い掛けた 「朝早いから無理よ!」 「大丈夫!皆起きてて待ってるから!」 と竜馬は笑って答えた キッチンに行くと皆が席に座って烈を待っていた 烈は唖然として「まだ朝はかなり早いわよ?」と呟いた 瑛太が「さぁ席に座って朝を食べますよ!」と謂う 烈が席に座ると慎一が朝を置いた 烈はそれを食べて何時もの飛鳥井の朝に安堵した 翔が「少し寝る?」と問い掛けると 「病院が開く時間になったら病院に行き、その足で白馬へ行くわ!」と話す 清隆は「白馬?それは幼稚園の件でですか?」と問い掛けた 「そうね、遺すか閉鎖するか?決めないとならないからね!残務処理しないと宙ぶらりんが一番保護者にとって不安なばかりだからね!」 瑛太は「天災と言えども、行き先の無くなった保護者は不安になりますからね!」と現実を見据えて口にする 「白馬には土地はあるのよ! でもあの規模を建設するのは1年は掛かるのよね …………その1年間どうするか?考えないと! 跡形も無くなった以上ゼロからの出発だから……… 厳しいと言ったら厳しいわね!」 康太は「白馬に土地って?何処の土地よ?」と問い掛けた 「二階堂晃嗣の白馬の御屋敷を取り壊したのよ 蔵は歴史的建造物らしくて、欲しいと謂う人へ売ったわ! で、あの土地はボクが譲渡して貰ってるのよ! まぁ悠一と三鶴はブーブー言ってたけどね、何かの為に布石は打っとこうと貰っていたのよ だから代打として建てるならば、その土地に建てられない事もないけど………前と全く一緒と謂う訳には行かないのよね………」 「でもお前幼稚園は既に経営してるやんか!」 「あれは母ぁーさんが作ったんじゃない! ボクが作った訳じゃないからね!」 「でも国際社会を見据えて英語で話すとか、毎年定員オーバーで凄い人気だと聞いたぜ?」 「ボクは運動が苦手だからね………ムキムキになれそうもないし……」 「ならお前の好きな様に作れば良いやんか! 天災と謂う事で前の幼稚園の方は閉業となるやろうし、そしたら継続じゃなく新しく人員募集掛ければ良い訳やし! まぁ前の幼稚園の子達には申し訳ねぇから引き受け先はオレが見付けて交渉してやんよ!」 「え?母ぁーさん良いの?」 「おー!オレが始めた事だからな! 悟と星を白馬の土地で第二の人生を送らせる為の場だったが……もう居ねぇならば………執着する必要もねぇかんな! 保護者には説明して受け入れ先を見付けて移動して貰うしかねぇかんな!」 「…………成果を上げて来ていたのにね………本当に残念で仕方がないわ……… でね、その代打と謂う訳じゃないけど、櫻堂神社から少し離れるけど、二階堂の土地がかなりの土地面積であるのよ! その土地に幼稚園を建てて、運営は悠一と三鶴ちゃんにさせて幼稚園経営して貰おうと思ってるのよ!」 「其れ良いやんか!たまに寺や神社が幼稚園経営してたりするよな?」 「菩提寺も考えてるのよ! でもその前に納骨堂ね! 菩提寺もね竹藪切り開いて納骨堂を建てるのよ そしてその時、反対側の土地もテツが購入してくれたから幼稚園開こうと思ってるのよ 園長は竜之介にさせるのよ! まぁ監査や基本的な経営はボクが見るけどね、行く行くはにーにー達が見てくれる様に経営戦略の実践の場として用意しようかと思ってるのよ!」 「其れは良いな! まぁ菩提寺は人手あるから何とかなるとして………白馬でそれやるなら許可は必要だろ? 悠一と三鶴は知ってるのかよ?」 「知らないわよ、でも押し付けたらやるわよ必ずね!だから既成事実作って認めさせてやらせるのよ!」 「ゴリ押しやん!」 烈の言い草に瑛太や清隆や玲香は爆笑した 瑛太は「いやはや流石伊織の子供ですね!」と笑った 烈は「え??ボクは父ぉーさんと母ぁーさんの子よ?」と不思議そうに言う 榊原は顔を赤くして「余計な事は言わなくても良いです!」と怒り 「烈、白馬に行くならば久遠先生に話をしてから行きない!知らせずに行くと痛い消毒液で消毒されますよ?」と言った 「其れは嫌だから報告してから行きます!父ぉーさん!」 榊原は烈の顔の傷に触れ、優しく頭を撫でた 「君が怪我すると僕達も痛いのですよ! 無論 君の兄弟やちっこいのも痛いんです……」 「父ぉーさん………」 「病院の時間までゆっくり過ごしなさい!」 「はい!」 食洗機に食器を入れて食事を終えると烈は竜馬やメンバーと共に6階へ向った 6階は何時の間にかソファーが置かれTVも壁に着けられて………すっかり様変わりしていた まぁ奥の方の部屋は雑魚寝しても大丈夫な広さなのだが、一区画は扉を閉めて応接間みたくなっていた 竜馬は「ヤングマンが飛鳥井に来たいと言ってるんだけど?【R&R】の事務所の方に打診があったんだよ!」と謂う 「あの人、ボクが顔に怪我したら始球式やるセンサーでも付いてるのかしら?」 「マックレイの件での謝罪と依頼らしいよ!」 「あ~余計なお節介した所為で会社の経営にも影響でちゃったからね! それは会社の方へ謝罪が欲しいわよ!」 「まぁ其れも謝罪して貰いなよ! で、どうなの?会うの?会わないの? あの人もう倭の国にいるらしくてさ、返事待ちしてるんだけど?」 「え!!もう来てるのね ならば逢うわよ! でもボクはこの後白馬へ行き仕事して来ないとだから、直ぐにはアメリカへは行けないわよ?」 「其れは大丈夫でしょ?烈は家業優先だからね! 其れと紫園の最終公演に相応しい舞台構図だけは考えてよ!皆も色々と工夫を凝らしてみてるんだから!」 「そうね、其れも考えないと時間がないわね!」 「ならば皆で移動して、って考えていたんだけど、無理っすかね?」 ヘンリーは「其れ良いね!」と喜んでいた 「と謂う事で竜馬、サクサク呼びなさいよ! で、サクサク移動して、サクサク仕事上げて逝きましょうか!」 「そんにスムーズに行ってくれれば良いんだけどね!そんな調子良くは行かないっす!」 竜馬はボヤきつつもヤングマンに連絡を取った 連絡を受けたヤングマンは 『タクシー呼んで直ぐに行きます!』と言ったが、竜馬がホテルまで迎えに行くと言った 竜馬は「さてとホテルへ行きヤングマン連れて来るよ!」と言い部屋を出て行った 暫く待つと竜馬はヤンキース職員 クロード・ヤングを連れてやって来た ヤングマンの両手には紙袋が沢山握られていた その紙袋を総て烈の前に置いて 「ジョージ・マックレイの件では貴方に多大な迷惑を掛けました! 我が球団と致しましても、もっと早く謝罪へ越させて貰うつもりでしたが、アメリカの方で止められてて機会を持つ事が出来ませんでした!」と言い深々と頭を下げた 「会社が多大な迷惑を被ったのよ! 霊視して死者の声を聞いて貰えるならば、自分も大切な人を亡くしているから、その声を聞かせて欲しい!との訴えが凄くてね 会社の方はその電話で業務に支障が出てしまっていた程にね!本当に迷惑したわ! 営業妨害で被害届出します!と公表してやっと収まったけどね……… 今も時々『死した我が子の声を聞かせては貰えませんか?』と謂う電話は掛かって来るからね! 本当に迷惑千万だったのよ!」 烈の口から語られる現状は、想像以上のモノで言葉もなかった しかも烈は先手を打って牽制する 「其れと開幕戦に始球式を、と言われてもボクはこの先時間が取れないのよ! ボクは飛鳥井と謂う一族の為にだけ在る存在だから、基本一族のことを最優先にしてるのよ 倭の国は春の長雨で、一族の者が土砂災害に見舞われたのよ! だから今後の事を考えて行かないと駄目なのよ!」 「開幕の始球式は無理そうですか?」 「そうね、専用機押さえててくれて、投げたらトンボ帰りで送ってくれるなら可能だけど……… 今はボクとしても時間が詠めない状態だからね!」 「そうですか、専用機押さえるのは出来ますが、丸2日空の上は旅はお勧め出来ませんからね! 諦めましょう! ならば応援メッセージとかは無理ですか?」 「それも嫌よ!」 「え?何故にですか?」 「今は悪いけどマックレイ関係は関わりたくないのよ!また火が着いて迷惑騒動再びとなったら、はっきり言ってあの件で、あの月の売り上げは半分に落ちてるのよ! 下手した倒産とか視野に入れた動きしないと駄目になるからね、イヤだと言ってるのよ!」 「其処まで………」 「まぁ遺族に取ったら死者の声が聞きたいと謂う想いは誰にでもあるだろうと思うわ 可能性があるならば縋りつきたい案件だろうけど、タダでそれをしたいからって迷惑行為はもうそれは犯罪の領域だと言っても過言じゃなかったのよ!」 「ヤンキース側としましても改めて謝罪致します!そして迷惑行為は犯罪行為だと知らます! 倭の国との交流試合で選手達も来日して来てます!改めてマックレイには話を致します!」 「ボク個人としてはヤンちゃん大好きだから、どんな無理でも聞いてあげたいんだけどね 線引きは大切なのよ! それをしないと会社に多大な迷惑を掛けちゃうからね! 前世より守り続けた会社を己の手で終わらせたくはないのよ! 会社を潰したりしたら、もうボクは宗右衛門としてこの先は生きられないからね! ボクは生きている死命を持って存在している それはボクの矜持でもあり誇りなのよ!」 「君の言いたい事は解ります! マックレイと、これは異例中の異例なのですが、今回球団オーナーも来日して、ホテルに滞在させてます! 元々交流試合の為に来日したのです! それを纏めて片付けようじゃありませんか!」 ヤングマンはやる気に満ちて燃えていた 無理難題!どんな高い壁だとて気合と根性で成し遂げて来た男だった ヤングマンは「烈君、ホテルで会食しましょう! わざわざやって来た私の為に、少しだけお時間を下さい!」と強引に迫る 烈は「嫌と言っても聞かないんでしょうね………」とボヤいた 竜馬が「ホテルに行くならば着替えて来ねば! 英生を呼ぶから応接間に降りて待ってて下さい!」と言い着替えに向かった 英生にヤングマンを頼み、皆着替えに向かった メンバーは6階の壁を間仕切り、変装と着替えを始める 竜馬と烈は階段で降りて、部屋へと向かった 烈は自分の部屋に行くと竜馬は、烈の部屋に入って来た 「竜ゅー馬 お着替えは?」 「もう既にスーツはクローゼットに入れてあるっすよ!」と謂う 烈はジャージを脱ぐとスーツに着替えた そしてネクタイを整えて貰うと、応接間へと向かって階段を降りて行った 途中の階段でメンバーと会う メンバーも皆 スーツを来ていた 皆 合わせた様に黒のスーツだった 皆で応接間へ行くと、ヤングマンは電話をしていた こうして見ると商社マンばりの出来る男的な容姿をしていた ヤングマンは皆が来ると立ち上がって 「それではお願い致します!」と言い歩き出した 烈はケントを呼び出し竜馬と共に車に乗った フレディは小型バスのドアを開けると  「さぁ乗ってよ!」と謂う フレディは仕事を休んていた間に大型2種の免許を取った 裏方に回るならば、皆を乗せて行ける様に免許は必要だと取ったのだった ヤングマンは「今はNPB(日本野球機構)の計らいより倭の国での滞在中のホテルを貸し切って貰い、そこに滞在してます! 球団オーナーや選手達も皆、そこに滞在してます! ですので、そちらへお越しになり球団オーナー自らの謝罪をさせて戴きます!」と滞在先のホテルを告げて、スケジュールを伝える 本当に卒のない男 ヤングマンだった ホテルは東京にあった かなり走らせてやっと滞在先のホテルへ到着した 烈と竜馬が到着すると、バスは既に到着していて、メンバーはバスから降りて、烈と竜馬が来るのを待ち、ヤングマンが先導する中ホテルの中へ入って行った 先ずは、そのホテルの中で一番広くて会議とかも出来る部屋に通された ヤングマンがノックをし 「May I come in!」と言うと「Please come in.!」と嗄れた男性が許可を出しドアを空けた 「オーナー!この方が飛鳥井烈君です! そしてサブリーダーの竜馬さんとメンバーの方々です!」と紹介した 球団オーナーは倭の国の言葉で 「大変な目に遭わせてしまい申し訳なく思っています! 貴方は親切で申したのに、会社の方まで電話が殺到したとか? 本当に軽弾みな言葉でした!」と謝罪した 烈は「危うく倒産の危機でした! そして謝罪は会社にお願いします! ボク個人に謝罪されても、どうしょうもない現状ですから!」と辛辣な言葉を紡ぐ 「無論です!この後謝罪会見を世界に向けて発信致します! その後で飛鳥井建設の方へはお伺いして謝罪を致します! なので………また始球式をやっては下さいませんか? 実は我が孫も【R&R】の大ファンでして、特にリーダーのファンなので始球式は物凄く楽しみにしているんですよ!」 「今は少し時間は詠めないので、直ぐに行うであろうモノには諾とは返事は出来ません! ですが、予定を立ててスケジュールを調整した後になら、不可能ではありません!」 「交流試合は無理そうですか?」 「…………ボクさ、今、土石流の中一族の者の魂を回収に行き、遺体を捜索して傷だらけなのよ! どう言う訳が、ボクが顔に傷作ってる時ばかりヤンちゃんが始球式の話をしに来るのよね 狙ってる?ヤンちゃん?」 烈が言うとヤングマンは慌てて 「偶然ですって!狙ってなんかいません!」と訴えた 竜馬は「リーダー、倭の国にいる間だけでも始球式は協力してあげられない?」と問い掛けた 「一連の作業をやってくれたら、出来なくもないけど、電話回線パンクさせられる程の電話は……御免だからね………」 オーナーは「無論 謝罪は致します! それは世界に向けて発信させて貰います! 外国記者クラブの方も参加させて、このホテルで会見をするつもりです!」と誠心誠意の態度を見せてくれた 「ならば倭の国にいる間だけね!でもボク………」 と言い服を捲り上げると包帯と絆創膏だけの姿に唖然となった 「土石流の中での捜索だったから、流れて来た瓦礫や硝子、木の枝が刺さって負傷してるのよ だから投げるのは無理かしら? しかも数日前に退院して来たばかりだし! だから竜ゅー馬が投げるのよ!」 「え?俺………俺は無理だよ………」 「マヒたんが特訓してくれるから大丈夫よ!」 「あの人体力馬鹿だから情け容赦ないから嫌だ!」 「文句言わないのよ!ボクは投げるのは土台無理なのよ!」 球団オーナーは「頭の怪我も土石流の時のかい?」と問い掛けた 「あ~頭はね暴漢に襲われそうな友達を突き飛ばしたらナイフの切っ先がボクを抉り切りつけた時に出来た傷だから土石流の時じゃないのよね!」 「……言葉もないとは正にこの事ですね……」 「其れでもボクは止まらない 立ち止まったら1000年続く果てが途絶えて消えてしまうからね! この命尽きるまでが闘いなのよ!」 「烈君に始球式をやって貰いたかったです………仕方ありませんね……」 球団オーナーは至極残念そうに呟いた 「……主治医に補強テープ貼って貰えば出られなくないけど………其れには条件があるのよ 其れを飲んてくれるなら、無理してでも良いわ!」 「其れはどんな条件ですか?」 「早瀬頼朝withシャステナに歌わせて欲しいのよ!大盤振る舞いしてくれるならブレイクに踊らせてくれるなら出ても良いし、投げても良いわ!」 ヤングマンは笑って 「それだと君に何の徳もありませんよ?」と謂う 「ボクは損得考えた事はないのよ まぁ商売では損得考えないと倒産しちゃうから、最適解を導き出すわよ! でもボク個人は損得は度外視して、やりたい事をやる様にしてるのよ」 「良いですよ、彼等は君島芸能事務所の方でしたね!」 リサーチは怠らないヤングマンだった 烈が親しくしてる人を起用すると言い出しても手が打てる様に常にリサーチを欠かさないのだ 「そうね、君ちゃんちの子達だけど、早瀬は違うのよ!今は貸し出しているだけで、彼は三社共同事務所に席を置いてるわ!」 「ならば三社共同事務所の方にも連絡は致します! 私は【R&R】リーダーの為ならば、どんな融通も利かせると決めているのですから!」 「ヤンちゃん 有り難う……… ならば3月最終日以外ならば、始球式に出ても良いわ!」 「3月最終日に何があるのですか?」 「我が盟友 観世音紫園の最終公演の日となるのよ!能とか興味がないかしら? でも和の心を知りたいならば、招待するので一緒にどうですか?」 「歌舞伎ですか?」 「能よ!」 「其れは観た事はないですね……」 「ならば是非この機会に観て下さい! 御招待致しますから! 最終公演は我等【R&R】も携わる世界を観て下さい!」 「それは楽しみだね、何名まで許可されるんだい?1名ならば私が代表して観に行こうと思います!!」 自分だけでも行く気満々の発言だった

ともだちにシェアしよう!