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第4話

数刻前…… 「父親は俺だ」 「え?」 突然のことに驚いて固まって…始めは俺のことを不憫に思ってそう言ってくれてるって思ったんだけど 「証拠もある」 といって自分のプライベートのスマホをいじりだしたかと思うとある動画を見せられた。 それはとても衝撃だった。 確かに俺はゲイなのだがこれまで一度もボトムをしたことはない。 あの記憶をなくした日が初めて男を受け入れた日で… 起きたとき隣には誰もいなくて…だけど記憶にはないのに体への違和感はすごくて… 酒で記憶を飛ばしたのも、相手を覚えていないのも、事に及んだ翌朝一人だったことも初めてで…そしたらなんだか自分が恐ろしくなって… …その日から今日まで大人しくしていようと誰とも寝ていなかったのだ。 そんな俺に見せられた画面には俺がだらしない顔をして足を大きく開いて男のものを受け入れる秘部を晒し、腰を振って悦んでいる動画で… そこに甘く囁く声も入っててそれは紛れもなく目の前の人の声で… 「まだあるぞ。あの日のお前はなぁ。俺が離れたら泣いてしがみついてきて…抜こうとするのも嫌がって…げへっ…そんで何度も何度もお前の中に注ぎ続けて…」 上司は俺を片手で後ろから抱きしめたまま器用に操作してもう一度画面を見せる。 そこには後ろから抱きしめられたまま男にもたれる俺の姿とともに映り込むそんな写真には相応しくないような美しい顔。そうこの人だ。 その後も出てくる出てくる俺の痴態の数々やこの人との裸で寄り添う姿 そして何より俺の体が覚えてた。 画面を見ながらここが人通りは少ない場所とはいえ外なのにも関わらず大きくなったものを服越しに俺に擦りつけ腰を振るこの人に反応して俺の体の奥が疼くのだ。 そしていつの間にか俺のシャツに忍び込んできた大きな掌が腹回りを撫でながら耳をぺろりと舐める。 「あっ…ん…」 「ふふっ…いい声…げへへっ…」 「ちょ…ここ…外…やめっ…て…んん…」 「この日お前は始めは俺を抱きたがったんだよ。それを制して俺が…ぐへへっ…始めは必死に抵抗していたお前が徐々に従順になっていく様はさいっこーだったんだ…アハッ…あ。やべぇ。イキそ…っくっ」 はぁ!?今ここで?このタイミングで!?マジかこの人…  「安心しろ。こんなときのために毎日替えは持ってきてる。お前見てると我慢効かなくなんだよね。俺さお前と初めてあったときからお前のこと愛しててさ。だからお前が視界に入るたびに反応しちゃって最高な時はその瞬間でイケるんだよ」 「はいっ!?」 この人本当に変態なんだ…キレイな顔と似合わない下品な笑い方する変態だ…こんな姿見たら卒倒する人いそうだな… 「まぁそれは置いといて…だ。俺は紛れもなくこの子の父親だ。あの日ホテルを出る前に中に出したもの掻き出して風呂にも入れたんだが…」 俺の腹を撫でながら耳元で優しく囁く。甘く痺れるいい声で…ただしめちゃめちゃパンツ汚れてるけどな… 「…不安だったよな…初めてのことだったのに一人にしてごめんな。…正直孕めとは思ってはいたが…男だし…それはないと思いつつ…だけどこうなったからには責任を取る…というか俺が父親になりたい。お前と一緒にこの子と生きていきたい。これから一緒に喜び、悩み共に過ごしたい…俺が一緒に考えるから一緒に歩んでいくから…だから…俺と一緒になってくれないか?」 彼の真剣な表情にそのまま頷きそうになる。 …だって…ずっと彼に憧れを抱いていたのだから… まさか抱かれるとは思ってもいなかったが… だけど…俺の想いは叶うはずもないと思ってて… だから彼に似た人と体を重ねてきたのだ…彼を相手に投影し抱いてきたのだ…罪悪感はあれどどうしてもやめられなかった…それを考えると俺は相当酷いやつだしそれこそ変態だ… この人は一人一人と真剣に向き合ってくれる。厳しいが温かい人で…勿論見た目は俺の好みで…同じ部署に配属された時は天にも上るような気持ちで… 仕事中に彼を盗み見ながら夜のオカズにしたことだってある。 けどとても不思議なのだ… 「…何で…あの朝…俺を置いていったんですか?」 こんなに愛してくれてるのならば一人にした理由がわからない。

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