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第7話
「妊娠でしょ?うん。驚かない。だって俺も妊娠できるから」
「えっ!?」
俺より先に大袈裟に反応したのは観音原さん。友人でそれを知ってるからここにつれてきたんじゃないのか?色々?マークを浮かべていたら社長が不思議そうに問うた
「あれ?何でお前が驚くの?世羅。お前俺の子ども知ってんじゃん?何度も会ってんじゃん?」
「いや。…お前あの子のこと引き取ったって…子どもが欲しくてって」
「あぁ…。…そんなこと言ったっけか…?そっかぁ…あの時は…あぁ…説明面倒だったからそう言ったんだっけ?その後草摩がちゃんと話したと思ってた。ごめんごめん」
草摩とは社長の隣にいる美人秘書さんだ。
草摩さんも設立当初のメンバーだ。
「草摩が父親?」
「うん。そうだよ?俺が草摩以外だめなの知ってるだろ?」
普通に頷く観音原さんの隣で俺は声にもならない声で叫んでた
「俺もさ始めは驚いて戸惑ってどうしていいのかわからなくて一人でパニックになっていたわけ。仕事どうすんだ?社員に迷惑はかからないか?ってな。けどさ、結局愛する男の子供なんよ。諦めていた子どもを産むということが叶うなんてそんな奇跡がおこったわけよ。だけどそれでも不安はすぐには拭えなかった。こいつが仕事を優先しろって言うかもしれないって。こいつに限ってそんな事ないのにな。不安で不安でどうしようもなかった。そうやって一人で悩んでいる間に子どもはどんどん成長していって…どうしても産みたくて…やっとの思いで話したんだ。反対されてももう産む選択しかなかったからこれでだめならこいつとの関係もこれまでだって思って…草摩に話したら泣かれてなぁ。早く話してほしかったって…んで今に至るわけ。でもさぁ…何度も聞くけどさぁ…本当にいいのか?これで…こいつ君がまだ中学生くらいの頃から君のストーカーしてんだよ?」
「えっ!!??」
社長が特大の爆弾を投下した。何それ?どういうこと?
でもその直後、それよりも衝撃が走るなんて思いもしなかった
「それは違うぞ?生まれた頃からだ」
「はっ?」
「生まれたその瞬間から俺はこいつの虜だ」
いやいやいや。どゆこと?
「ついこの間もお前のご両親に会いに行ったとこだよ」
本当に意味がわからない…
「あぁ…お前が入院してたとき」
「そうそう」
そういえば母親がなんか言ってたなぁ…
……………
「あんたが生まれたときね。小学生位の子が入院してたの。もともと身体が弱い子でねぇ。入退院を繰り返していたみたいでたまに廊下で出会してはお話をしてて。あんたを産む前から私の状態はあまり良くなくてずっと入院しててそこにお話しに来てくれてたのよ。あんたが無事生まれた時はとても喜んで看護師さんの目を盗んでは新生児室のガラスの向こうからあんたを見てたの。今でもお手紙くれたり会いに来てくれたりするのよ。あんたはいつもタイミングが悪くて会ったことないけどとても素敵な男性なの。あんたにどうかなぁ?って勝手に思ってたんだけど…まぁ向こうはうちとは格差もあるしねぇ。独身とはいえあちらは女性が対象かもしれないし…男性も大丈夫ならあんたを是非にと話したいんだけどねぇ。確か中学まではこのあたりに住んでて高校進学を機に家族みんなで都会へ引っ越していったのよねぇ。この間会ったとき想う人がいるんだって聞いてがっかりしちゃった…」
………
そう母がぼやいていた人って…この人のことだったのか?
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