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第17話

「世羅」 不意にお母さんが怖い顔をして世羅さんを睨みつける 「世羅。あなたは、何を考えているの?本当に愛しているのなら大切にしないとならなかった。それを男だから妊娠しないと思っていたんでしょ…避妊もせず…負担をかけ不安にさせ…本当に信じられない。あなたは親になることがどれだけのことなのか本当に理解しているの?これからどれだけ大変なのか理解しているの?肉体的にも精神的にも相当な負担があるのよ。初めから妊娠できる女性でも色々なことに悩み、苦しむことだってある。それなのに男性でもともと妊娠するために必要な体ではない、女性以上に気をつけなければならないことも多いキララくんを本当に大切にできる?助けてあげられる?無理させないでいられる?覚悟はできているの?親になる覚悟は?」 「…俺は…」  「…お母さん。正直俺は…とても不安です。怖いです。だけど…世羅さんと一緒に…成長したいです。軽く考えているわけではないです。だけどこの子も…世羅さんも愛しているから…だから…」 「はぁ…キララくん。」 お母さんは呆れたように息を吐いた。 「はい」 「…もう…そんな顔しないで?私がいじめてるみたいじゃない?反対する気はない。けれど…心配なのよ。あなたは人を頼るの上手じゃないでしょ?一人で抱えるでしょ?世羅は世羅ですぐ暴走するじゃない?そんな世羅に大切なキララくんを任せられない。だから…約束して?私たちにできることがあれば何でも言って欲しいの。そして…世羅。キララくんはあなたのことは、一番に出来なくなる。耐えられる?どうしたって子供が一番なんだから」 「理解している」 「…」 「…でもね。これだけは言える。世羅はあなたを大切にはできる。だけど子供はわからない。ずっと思い続けたのよ。一切脇目も振らず。そんな世羅が自分たちの子供とは言えその子を愛してあげられるのは無理かもしれないわ。それでも…」 「その時は俺が世羅さんを叱ります。二度と顔見せるなと」 「キララくん。簡単なことではないのよ?一つの命を守り育てる。そんなに重要なことを簡単に考えてもらっちゃ困るわ」 「簡単なことだなんて思っていません。だからお願いします…助けてください…色々なこと教えてください…お願いします」 「…わかったわ…世羅。あなたもよく考えなさい。いい?親になることがどういうことなのか」 「…はい。」 2人で返事をして目を合わせ手を取り合う。 「これからよろしくお願いします」

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