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第2話

また失敗した。 入籍後直ぐに吸血されると思っていたのに、一年経ってもリオは全く吸おうとしない。 大食漢でパックの金もバカにならないし、少しぐらい俺の血を吸ってもらいたい。 それに、吸血…めっちゃ気持ちいいらしい 昔の人間は吸血行為に苦痛しかなかったらしいが、どうやらこの数百年の間、互いに苦にならないように進化したらしく、めちゃくちゃ気持ちいいらしい。しかも体の相性がいいともっと凄いらしい。 なにそれ、興味しかない。 普段のセックスも頭おかしくなるくらいいいのに、吸血されたら俺どうなるんだ?! 「三崎さん!」 「あっはい!」 職場の吸血鬼の同僚がこちらの顔を覗き込んでいた。 「試作の寒天、旦那さん用に持って帰りますか?」 「リオ人工血液加工食品全く興味ないから食べないかも」 リオは大食漢なわりにあまり食べ物に興味がない。基本的に人工血液パックを摂取し、人間の食べ物や人工血液パックから作った食べ物を食べようとはしない。 何度か、経営しているこの吸血鬼対応料亭の試作品を持ち帰ったが、一度も口にしてくれなかった。 「三崎さんって、吸血休暇取らないですよね?鉄剤も全く飲んでなさそうですし、旦那さん少食ですか?」 「少食ってより、偏食かも」 「珍しいですよねー」 「生身の人間の血って美味しい?パックと違う?」 「そりゃ違いますよ!私はもうパックは飲みたくないですね、旦那の以外胃が受け付けません!それに腹持ちが全く違います。本物を飲んでから、昔は常に飢えてたんだなぁって気がつきました」 「そっか…偏食治るかな…」 きっとリオも本人が認識していないだけで、きっと飢えているに違いない。 はやく飲ませてやりたい。 「まぁ、躊躇するのもわかります」 「躊躇?」 「だって人間脆いんですもん!傷の治りは遅いし、すぐ死んじゃう!怖い!好きな人相手に吸血とか、戸惑わないわけないじゃないですか!私も未だに毎回遠慮しちゃいます」 「そこまでひ弱じゃないつもりなんだけどな」 「人間にはわからないんですよ、人間の弱さが」 吸血鬼の同僚の話は新しい発見がある。 吸血鬼は人間が弱く見えてるのか。 リオも俺のこと、か弱く見えてるのかな?

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