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第4話

「リオ!」 仕事終わり、リオと待ち合わせ。 実は今日十二月二十八日は俺の二十六歳の誕生日。 「お待たせ」 「待ってねぇよ」 「嘘つき、鼻赤くなってる」 「うっせ」 リオはマフラーで鼻の頭を隠して目線を逸らした。 「飯行くか?」 「イルミネーション見に行こう、ご飯は家で食べよう」 「ん」 そっと差し出されたリオの手を握り、自分のポケットに入れる。 「カイロ、あったかいでしょ」 「ん」 リオは外食苦手なのに、記念日の度に食事に誘ってくれる。口は悪いけど、こういう優しさがたまらなく愛おしくて大好きだ。 「あ、雪」 クリスマスには降らなかった雪が、今になってチラチラ振り始めた。今年最初の雪だ。 「雪だるま作れるぐれぇ降るといいな」 「大学生の時、サークルの新年の合宿で雪だるま作って雪合戦したの覚えてる?」 「あぁ」 「リオ顔面で受けてたよね」 「忘れろ…晴輝だってはしゃぎすぎて翌日熱出してたくせに」 「忘れてください」 あの頃は本当に若かった。 思い出したくもない黒歴史は沢山あるけど、それ以上にリオと過ごした楽しい思い出も沢山ある。 「ここ毎年人少ねぇよな」 「穴場だよね」 雪が降る中、木々に飾り付けられた電飾が光り輝く。 「来年も、二人じめしような」 ずっとこちらを見てくれなかったリオが、こちらに目線を下げて、笑みを溢した。 この笑顔が、堪らなく好きだ。誰よりもリオを愛してる。俺だけのリオでいてほしい。 「うん」 「雪、降ってきたな」 リオが空いた方の手で、俺の頭に積もり始めた雪を払う。 「帰ろうか」

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