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第5話
「晴輝」
「ん?」
自宅に戻り二人で食事を終え、ソファーで年末の特番を見ていると、リオがモジモジしながら何かいいたげにしている。
「どうした?」
「これ」
「何?」
小さな箱を押し付けるように渡された。
「プレゼント」
「え?」
「結婚指輪も買えてねぇし…だから、それやる」
入籍時、入籍したのがリオの大学卒業直後だった事、そして俺の仕事の関係で指輪をつけられない事から結婚指輪を買わない結論に至った。
正直リオと一緒に居られるのであれば、指輪がない事など全く気にならなかったのだが、リオはそうでは無かったのかもしれない。
「まって、リオからプレゼントなんて初めてなんだけど!?」
「学生時代金無かったし…でも四月から働き始めて、金少しは貯まったから」
「リオ」
「ん?」
「ありがとう」
目をみて感謝を伝えれば、リオは顔を真っ赤にして顔を逸らした。
「開けろよ」
開けるのも勿体無いぐらいだったが、ソワソワドキドキしながら中を見て欲しそうにしているリオが可愛くて可愛くてわざと焦らすように包装を丁寧に剥がして小さな箱を開く。
「嘘…」
箱の中にはシンプルなシルバーのリング。
「晴輝は指輪は出来ねぇから」
リオはポケットからもう一つ箱を取り出し、その中からネックレスを取り出した。
「首から下げとくのはいいんだろ?見えねぇし」
リオは指輪にネックレスを通す。
予想外の出来事にリアクションが追いつかず、ただリオの指先を見つめる。
「リオ…」
指輪を通したネックレスが首に回され、胸元に指輪が輝く。
「やっと晴輝が俺の旦那って証明できんな」
「待って!リオのは?リオの指輪」
「お揃いにしねぇわけねぇだろ」
リオは得意げにもう一つ箱を取り出した。
その箱を奪い取って、指輪を手に取る。
リオの左手を取って、薬指に指輪をゆっくりとはめる。
指輪の輝く手の甲に優しくキスをした。
「ありがとう」
「バカ、やめろ。そういうのキメェだろ」
「嬉しいくせに」
「んなわけあるか」
「明日、休みだよ」
「んだよ」
「エッチする?」
リオは一瞬躊躇したが、次の瞬間には俺を抱き上げて寝室のベッドの上に下ろした。
「へんたーい」
「お互い様だ」
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