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第11話

おかしい。 晴輝の血を摂取してからもう二週間、一度も食事をしていないのに、全く腹が空かない。 配達が再開した飯は、冷蔵庫の中に溜まっていく一方で、減る気配がない。 「リオ、冷蔵庫パンパンなんだけど?!」 元々一日二十個前後摂っていたため、数日飲まないだけで冷蔵庫はパックに占領されてしまった。 「腹減らねぇ」 「本物ってそんなに腹持ちいい?」 「すげぇ、満たされてる」 知らなかった。本物の血がこんなにも満足度が高いなど。 それに、困ったことに晴輝の血がパックよりも数百倍美味かったせいで、今はパックに手をつける気にすらならない。 「定期便、暫く止めるわ。今あるのは冷凍」 ソファから立ち上がり、冷蔵庫前に立つ。 冷蔵室を圧迫しているパックを冷凍室に詰め込んだ。 「冷凍、味落ちるよ」 「冷凍したぐらいで変わんねぇよ、晴輝のに比べたらな」 「へ〜」 晴輝はニヤニヤしながら、俺の服の袖を掴む。 「なんだよ」 「そんなに美味しかったんだ、俺の」 「愛してる人の血だぞ、不味いわけないだろ!」 「そんなはっきり言うな!こっちが照れるわ!」 普段言い負かされていることもあり滅多に見ることがないが、こうして照れて赤くなってたじろぐ晴輝も新鮮で可愛くて好きだ。 「照れんなや」 「うるさい、吸血素人童貞!」 「はぁ?」 「直に吸血するまで、素人童貞って呼んでやる!」 「ふざけんなよ」 「嫌なら、次お腹空いたら俺から直接吸うことだな!」 「両方嫌に決まってんだろ!本当に悪い口だな!俺より口が悪りぃ!」 バカにしてくる晴輝の唇を摘む。 晴輝はそれに対抗して脇腹を突っついてきた。その手を掴んで引き寄せ、俵を担ぐ様に晴輝を担ぎ、寝室に連行した。 「降ろせ!素人童貞め!」 担いだ晴輝をベッドに優しく降ろし、両手首を頭上で掴む。 「うるせぇ、素人童貞じゃないこと、その体にわからせてやる」 「おまわりさーん、臭い台詞を吐く変態はここでーす」 うるさい口を唇で塞いだ。

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