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第17話

「リオー、お父様から話聞いた?」 狭い浴槽に張った、ぬるめの湯に二人で足を折りたたんで向かい合わせで浸かる。リオが翌日休みの日に限った、特別な時間。 「パーティーだろ」 「うん」 「気がのらねぇなら、別に無理して行くことなんかねぇよ」 「うーん、行きたいんだけどさ、そう言うの初めてで勝手がわからないし、リオのご兄弟、まだ完璧には覚えられてなくて」 愛する人の兄弟の顔と名前すら覚えていない自分が不甲斐ないのと、リオに対して申し訳ない気持ちで胸が苦しくなり、視線が下がる。 「まだ一回も会ったことない奴もいるしな」 「ごめんね」 「いや、俺も滅多にあわねぇし、わからなくなる時あるかんな」 リオは何か考えているのか、暫く天井を見上げ黙り込む。 「リオは勿論参加するんだよね?」 「あー、こっちだと成人のパーティーって結構大事で、行かねぇって訳にもな。行かなかったら新聞に俺の名前が出て、不仲とか言って叩かれるだろうしな」 「待って!新聞?!そんなに一大イベントなの?ってか思ってたより家、名を馳せてる?!」 貴族ということは知っていたが、想像していた貴族とは格が違う様な気がする。 「あ?地方紙だよ、地方紙」 「リオ、このパーティー、絶対参加します。リオの名誉がかかってる」 リオの旦那として、ここで舐められたくないという思いが沸々と沸き上がる。その地方紙とやらに、リオの悪口を載せられてたまるか。 「名誉?はる、顔怖くなってる」 「リオ、俺にお作法を叩き込んでくれ」 「鼻息荒いな…わかったよ」 何がなんでも失敗する訳には行かない。 「取り敢えず、今度の休みは服を仕立てに行くぞ」 「よろしくお願いします」

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