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第19話
「ユージーンさんとは友達?」
帰り道、何となく気になっていた事をさり気なく聞いてみた。
「腐れ縁。アイツの家は代々仕立て屋で、うちの家がずっと世話になってる。アイツとは生まれた時から高等部までずっと一緒だった」
「へー、じゃあまだ未成年なんだ。ユージーンさん」
「混血の吸血種は成長が止まる二十五歳が成人だかんな。俺たちの感覚で言えば、まだ未成年だな」
「未成年なのにお店継いでるの、凄いね」
「ユージーンの家系は、もう随分前から混血が続いてて、吸血種の血はかなり薄くなってんだよ。ユージーンの親父さんも、人間に近くて、短命だった」
純血と人間の間に生まれた混血は約三百年で寿命が尽きるらしい。心臓に杭を打たれない限り死なない純血種と比べたら、短い生涯となる。そして混血と人間の子は、更に短くなり約百五十から二百年とされている。
「それでも、たった一人でお店やれてるの、凄いと思うな」
自身で店を経営する難しさは他人より知っているつもりだ。
「凄いけど、あんまアイツと仲良くなるなよ。ていうか、ぜってぇ二人で会うな」
「何で」
「他人のもの何でも欲しがる奴だからだ。ったく、油断も隙もねぇ」
「リオは俺が他人に靡くと思ってるわけ?」
こんなにもリオだけを愛しているのに、簡単に他所に行ってしまうと思われている事が癪だった。
「なっ…!思ってねぇよ!」
「へー」
「信じてねぇな!…俺はな、他人が晴輝の半径一メートル以内に入ることすら、本当は嫌なんだよ!」
顔を真っ赤にしながら恥ずかしい事を言うリオの小脇を小突く。
「かわいい所あんじゃん」
「黙れ!」
「安心しなよ、こうやって触れ合えるのは、リオだけ」
ひんやりと冷たい手を握り、体を寄せた。
「嘘じゃねぇよな」
「嘘なわけあるか!」
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