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第20話

「皆様、本日は私リアンの成人の祝賀会にお集まりいただき、誠にありがとうございます。無事成人を迎えられたこと、こうして皆様にお集まりいただいたこと、本当に嬉しく思います。これからもベネット家の長男として精進して参りますので、これからもご支援のほどよろしくお願いいたします。本日は限られた時間ではありますが、楽しんでいただければ幸いです」 リオのお兄様、リアンさんの挨拶が終わり、パーティーが始まる。この日に備えて服は仕立て、立食パーティーのお作法もリオに仕込んでもらった。唯一の誤算は、ブーツのヒールがヒールが高いこと。送迎の車を降りた瞬間、絶望し、明日の仕事への支障を考えた。 「リアンさん、しっかりしてるね」 リアンさんには、リオにはない、貴族の気品がある。それにあの堂々とした挨拶、感動した。 それに比べリオは…あんな風に挨拶すること自体想像できないし、今も会場の隅っこで気配を消している。 「普段魔界で生活してるからな、こう言う場に慣れてんだよ。俺はこういうのあんまり好きじゃねぇ」 そんな事を言うリオだが、悔しいぐらい、正装が似合っている。背が高く、足が長いからこの微妙な丈のジャケットを着こなす事など造作もない。 「こっち」 リオに促されるまま、リアンさんの元に向かう。吸血種は皆背が高いが、リアンさんは特に大きい。182センチあるリオでも、リアンさんを見上げるほどだ。 「お兄様、成人おめでとうございます。本日はこの様な素晴らしい会にお招きいただきました事、大変嬉しく思います」 え……?! リオも貴族の雰囲気出せるじゃん!! っていうかそんな話し方できたの!? 「リオ、いいよ。そんなにかしこまらなくて」 リアンさんは優しく微笑む。 「ご挨拶遅れましたが、こっちは夫の晴輝です」 「はじめまして、リオの夫の晴輝と申します。この度はご成人おめでとうございます」 あまりの緊張に声が震える。 リオと俺は結婚式もしておらず、互いの両親が挨拶しただけだったので、実はほとんどの人が今日がはじめましてなのだ。 「ありがとうございます。二人も、ご結婚おめでとうございます」 「ありがとうございます」 軽く挨拶をし、リオはリアンさんの近くから離れた。 「主役は大変だな」 リオにそう言われ、リアンさんの方を見れば、他の招待客とまた挨拶をしていた。 「リオも成人したら、こういうパーティーするの?」 「やらなきゃうるさいだろうな」 「大変だ」 「俺の時は魔界でやるよ。晴輝には負担が大きすぎる」 「舐めてるな」 「舐めてねぇよ」 「まぁ、でも、俺も頑張るからさ、二年後俺が成長してたら人間界でやってよ。俺もリオの成人祝いたいし」 「…まぁ、、、考えとく」 リオはグラスの中の人工血液を一気に飲み干した。

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