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「私、大河のために見に行きたいです」
「⋯⋯姫宮さま、わざわざ外に行くほどでもないかと。紙に書いたりとか、それに欲しい物があれば通販がありますし。何もそこまででは」
自分の軽率な行動のせいで怖い目に遭わせてしまった、あの時のように危険を晒してまで行くよりも断然いい方法を提案してくれる小口に、その案に頭の中では納得していたのだが。
「失念してました。普段よっぽどじゃない限り使わないので、そのような頭はありませんでした」
今だって自分の手元にはなく、部屋に置きっぱなしだ。⋯⋯多分あるはず。
「わたしが代わりにやりましょうか」
自身の携帯端末を手に持っていた小口に、「では、お願いします」と頷いた。
普通はポケットに入れてあるものなのか。
小口の場合は、隙あらば仕事を放棄したい人のようだから参考にはならないかもしれないが、なるべくポケットに入れておこうと思う。
「⋯⋯──うーん⋯⋯。わたしの検索の仕方が悪いせいか、なかなかいいのが見つかりませんね⋯⋯」
味噌汁を少しずつ喉に通していると、小口が指を滑らせながら唸っている。
「やはり、自分で見に行った方がいいですね」
「わたしはあまり勧めたくはないことですけど」
「仕方ありません。小口さんの手をそれ以上煩わせたくはないので」
「わたしは別にいいんですよ、暇なんで」
大河の世話という大事な大きな仕事があるのでは。
そう思ったが、彼女なりの冗談で気遣いなんだろうと思いつつ、「ありがとうございます」と礼を言った。
大河の口の代わりになりそうな物を探さなくては。
大河のために。
ご飯を一口食べながら姫宮は肩肘を張っていた。
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