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朝食を終えてすぐに安野に外出すること、護衛を頼んで欲しいと伝えた。 小口との会話を聞いていたのもあるが、何より姫宮が外出することにものすごい抵抗があるのだろう。行きたいと言うや否や、「駄目ですっ!」と強い口調で言われた。 顔を強ばらせ、ピクッと肩を震わす。 「強く言ってしまい、申し訳ございません。ですが姫宮様、ご自身の立場を分かっておられますか。法的に裁かれ、あの時姫宮様を害した人達がいないですが、そのことがなくても姫宮様は目を引くような容姿をされてますし、その辺で歩いている人達に遠巻きでも何かよからぬ目を向けていると思うと、安野はいても立ってもいられません⋯⋯!」 およよ⋯⋯とエプロンの裾で涙を拭う安野に、やや引いていた。 性風俗にいた頃、客によく「可愛い」だの「男とは思えない綺麗だ」と言われたことがあったが、それもこれも自身の欲のため、あるいはこっちをその気にさせる常套手段と思い、本気で心から言われているとは思わなかった。 結局、客の満足のいく性行為をしないと、殴られたり蹴られたり、挙げ句、身動きのできない状態にされたまま放置されたりするのだから、心のない言葉だ。 代理母していた時もそれこそ心のない言葉や、嫌そうな視線を浴びていた。 だから、そんな目で見られるなんて。 「先ほどの小口との会話を聞いていましたが、何も姫宮様自身が行かれなくても、私が代わりに行ってもよろしいんですよ?」 「そうなんですが、大河のためにしたいことですので。⋯⋯こういうことをしないと自分の立場がないといいますか⋯⋯」 「誰よりも大切なご子息ですからね。ですけど、何でもかんでも大河様優先ではなくてもいいのです。でないと、姫宮様のことですから、体を張ってでも行動なさいますから」 分かっているつもりだが、自分が思っている以上の行動をしてしまい、結果的に周りにも迷惑をかけてしまうことだってある。 けれども、今回は。

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