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「あっ、笑ってくれましたね。というか、姫宮様の笑った顔初めて見ましたね、とても嬉しいです」
「⋯⋯あ、そうでしたね。⋯⋯その節はすみません」
「謝って欲しいわけじゃないんッスよ。ただ気になっていたことが晴れて良かったというか⋯⋯余計なお世話かもしれませんけど」
姫宮からすれば、いつの時の護衛か忘れていて、それに一度きりで終わりのような関係の相手に、そのようなことを心配されていたなんて。
いや。身近にだっているじゃないか。
御月堂の依頼で仕事の間柄だったはずの関係が個人的にも一緒にいたいと思ってくれて、それから表情だって思い出すように少しずつでも、自然に出すきっかけにもなった人達が。
「今を楽しんでいるようで何よりですよ、ほんと! 御月堂様のご依頼でしたから、また何かあったのかと思ったら、まさか姫宮様とまた会うことになるとは思いませんでしたし!」
「また⋯⋯?」
「あ」
しまったというような顔がルームミラー越しに見えた。
「いやぁ〜、今日も天気がいいっすね!」
「⋯⋯え、は、はい」
「こんなにも天気がいいと、お散歩したくなりますよね!」
「まぁ⋯⋯そうですよね」
急に何の話をしているのかと思ったが、苦笑いのような笑い方に、冷や汗もかいていることから誤魔化していることが見て取れた。
「⋯⋯いくらご本人がいないとはいえ、口が滑りそうになるだなんて、愚かな行為を働くところでした。⋯⋯深いことは言えませんが、御月堂様と深い関係のある人にもう脅かされることがなくなったのが、個人的にめちゃくちゃ安心してしまいましたよ。因果応報っすね」
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