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道中何事もなく、無事に大河の口の代わりになりそうな物も見つかり、帰りも家まで送ってもらった。 大河のことに関しては喜んでくれるかどうかは不安な面はあるが、ひとまず良かったと思った。 それよりも今は。 ──御月堂様と深い関係のある人にもう脅かされることがなくなったのが、個人的にめちゃくちゃ安心してしまいましたよ。 車中の袋田の言葉が脳裏に浮かぶ。 御月堂と深い関係があって、脅かす存在。 ──あたしので、経営が傾くのを楽しみにしているわ。 真っ赤に塗った唇を歪ませる"あの人"。 自分が関わったせいで御月堂にも嫌な目に遭ってしまうかもしれない、いや、事件の関係者として前よりも多忙を極めているようで、結果的には自分のせいではあった。 しかし、複数ではなく、一人を指しているところを考えると、姫宮が関わる以前に御月堂の身に危険が及ぶことがあったのかもしれない。 代理母していた時から御月堂とは四六時中一緒にいないから確証は持てないが、その可能性があるとしたら。 「──おかえりなさい、姫宮様! 姫宮様が何事もなくご無事に帰られて、私は心底嬉しく思います」 「本当にご迷惑をおかけしました」 「いえ! そんな謝るほどではありませんよ! ⋯⋯その憂いごとがあるような顔をされているのは、まさか私のことででしょうか?」 持つ手がピクッと動く。 顔に出ていたのか。 「そうでしたら、嬉しくも姫宮様にそのような顔をさせてしまう自分が恥だと思ってしまいますが、そのようなことではなさそうですね。大河様に贈る物も見つけられたようですし、他に何か⋯⋯あ、やはりあの護衛の方に何かされたとか⋯⋯!」 「いっ、いえ、袋田さんは私に気を遣って話しかけてくださり、こうしてきちんと家まで送って頂きましたし、袋田さんは何も⋯⋯!」 「なら、いいのですけど⋯⋯」

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