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「⋯⋯こういう時も母親の方か」
「なんだかすみません⋯⋯」
「御月堂さまもまだまだですねぇ〜」
「ソファに寝転がっているお前に言われたくない」
さっきから気になっていた大河を一瞥することなく、仰向けになって携帯端末を弄っている小口と少々揉め出し、「おふたりとも止めてください」とどうしたらいいのかと困惑している姫宮達を黙らせるように、ビリビリに破く音が響いた。
つられて見ると、姫宮からの贈り物の包装紙を構わずに破く大河の姿があった。
「大胆ですね、大河さま」
「包みよりも中身ですもんね⋯⋯」
「で、その中身であるそれは何なんだ」
「あいうえおボードというものです」
大河が箱のまま持ち上げてじっと見ていたそれは、あいうえお順に並んだボードのおもちゃであった。
それぞれのボタンを押すとその声が出るもので、これなら大河の口の代わりになると思い、見つけた途端、一種の感動を覚えた。
「なるほど、そのような便利な物があるのか」
「ええ、本当に。これで使ってもらえたら嬉しいものですが⋯⋯」
「大好きな母親から贈られた物だ。それだけでも嬉しく思っているのだろう。ほら、今も興味津々で触っている」
一抹の不安を感じている姫宮に御月堂が促した目線の先には、箱を開けることに手間取っていた大河に小口が仕方なしといったように開けてくれ、その出された物を受け取った大河は、まだ電池が入れてない状態のようで、その状態ででたらめに押しているようだった。
「電池を入れてないから押しても意味ないですよ」
世話の焼ける子ですね、と腰に手を当てて怒っている風に見せたが、いつもの眠たそうな顔で言っていることからふざけて言っているのだろうと思うと、面白く思える。
「そうですね。慶様が仰るなら」
電池を入れてあげて再度渡して、今度こそは押すと鳴ることに最初は驚いていた大河が夢中になって押している様子に目を細めて見ていた。
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