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「そういえば、慶様が買ってきてくださった物はなんでしょうか」 「ああ、見てみるか」 そう言って遠慮なく包装紙を破いたことに、御月堂が大河のために包んでくれたものなのに自ら開けさせるなんていう、虚しくも愚かなことを言ってしまったと密かに自分を責める姫宮の目に包まれた物が露わになった、のだが。 「⋯⋯これはもしかして⋯⋯」 「違う種類のものだが、本質は同じなんだろうな」 揃って唖然としてしまった。 姫宮が買ってきた物とは違うメーカーの物のようだが、そうであっても御月堂が言うように押すと言葉が出るボードのそれだった。 「こないだの診断を聞いてから、口以外で意思の疎通ができないかと松下に探させていたが、まさか同じ物だとは思わなかった」 しまったと低く唸っていた。 やっぱり、松下が代わりに選んで買ってきてくれていたようだ。けれども、どっちにしたって大河のために時間を割いて買ってきてくれた上にこうして自ら訪れてきたのだ。文句なんてものは言えるはずがない。 「いいえ。大河のためにありがとうございます。同じ物であっても、それは大河のために時間をわざわざ作ってまで選んでくださった、その気持ちが嬉しく思います」 ふと顔を向けた御月堂に、安心させるように笑った。 が、ぎこちなく感じるが、きちんと笑えているだろうか。 「⋯⋯そうか。そう思ってくれているのなら私も嬉しい限りだ」 少し驚きを混じえた顔から一変、小さく笑みを含ませた顔へと変わった。 どくっと鼓動が高鳴った。 言葉通りの心から思っているその気持ちが表面に現れていると思うと、言って良かったと思える。 『まま』 自分でも驚くぐらい心臓が飛び上がった。 慌てて音がした方へ振り向くと、大河がこちらを見ていた。 先ほどと変わらずの無表情であるはずなのに、どことなく不貞腐れているような。

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