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その気持ちが同調したのか、初めて作った時よりも失敗する回数が減ったと思うこのデザートを、いつしか大河以外の人達にも食べて欲しいと思うようになった。 果ては、愛を教え合う約束をしたあの人にも。 だから今日も微力ながらも上達していきたい。 「今日は何を作りましょうね」 「前に作ったものでもまた作ります?」 「そう、ですね⋯⋯あ」 あるページが目に飛び込んだ時、声を上げた。 「どうしました?」 「あ、いえ⋯⋯こないだ、大河とテレビを観ている時、プリンの特集をしていたなって⋯⋯」 昼間の情報番組を観ていた時のこと。 小口が適当に付けていた番組をぼうっと眺めていると、芸能人らしい人が色んな店に行って、その店の自慢であるプリンを食べている映像が映し出された。 その大袈裟なぐらいの表情とコメントに、喉を鳴らしてはいつしか釘付けになって観ていた。 それは、いつものようにお絵描きをしていた大河も同じようで、いつの間にか夢中になって観ていた。 その様子に小口が「親子ですね〜」という言葉を添えて。 「心が惹かれたならそれにしましょう」 「はい」 今井の言葉に、返事をした。

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