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「⋯⋯さっきのことはごめんね。驚かせちゃったよね⋯⋯。けど、ずっと見てくるのは恥ずかしいから、プリン食べてくたら嬉しいな」
「そうですよ、大河さま。でないと、ママさまの愛情たっぷりのお手製プリン、わたしが食べてしまいますよ」
大河の斜め後ろにいた小口が煽るようにそう言うと、我に返ったような反応し、すぐにスプーンを持っては、プリンにがっついた。
「いい食べっぷりですね〜」
「そんなに急いで食べなくてもまだあるから、ゆっくりね⋯⋯!」
慌ててそう声を掛けると、落ち着きを取り戻したのか、段々とゆっくりと食べ始めた。
その様子にホッとした姫宮は、「美味しい?」と尋ねた。
すると、少しの間の後、こちらに顔を向けた大河がゆっくりと頷いた。
一瞬、驚いた。
けれども、目尻を下げた。
「⋯⋯良かった。今日はね、固めのと柔らかめのも作ってみたから、食べてみてね」
何故か一瞬、動きが止まったような大河であったが、やや食い気味に頷いては誤魔化すように食べていた。
どうしたのだろう。
少し首を傾げていた姫宮だったが、先ほど大河にずっと見てくるのは恥ずかしいと言った手前、自分もそのようなことはしてはいけないと思い、姫宮も目の前に用意されているプリンを口にした。
今井と江藤が見てくれていたのに、少し焦がしてしまったカラメルソースの少々の苦さがちょうどいいビターな味となって、大河の好みに合わせた少し甘めのプリンが上手く調和されている。
つまり、これは。
「⋯⋯美味しい」
その言葉が思わず出るほどだった。
「納得されるものが作れて良かったです」
「はい」
微笑む今井を見るのも惜しむほどに一口、二口と口に入れる。
「さっきの急いで食べる大河さまと同じ食べ方をしているじゃないですか〜」
「よっぽど美味しくできたのですね」
「良かったですね、姫宮さん」
三人にそれぞれ言われた上に暖かい目で見られていたことで、また自身の行ないに恥じることとなった。
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