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「⋯⋯ありがとうございます、皆さん」
小さく礼を言うと、それぞれにこやかに笑って「いえいえ」と返してくれた。
それからプリンを食べながら楽しくおしゃべりをし、大河が先に食べ終えたタイミングで背もたれに立てかける形で置いていたあいうえおボードを掲げた。
「たーちゃん、あたらしいおもちゃをかってもらったの?」
『ままがかってくれた』
「いいねぇ、あ、じゃあそれでたーちゃんとおはなしができるんだ! うれしい」
声を弾ませて、嬉しそうに笑った。
「じゃあ、たべおわったから⋯⋯あ」
何かを思い出したかのように伶介は声を上げ、次に母親の方を向いた。
「ねぇ、たーちゃんとあそんでもいい?」
「そうねぇ⋯⋯」
そう言って、ほぼ同時にこちらを向いた。
二人して見てくるとは思わなく、とっさに身構えた。
一体自分に何の用か。
「厚かましいお願いで恐縮ですが、大河君と遊んでもよろしいでしょうか?」
「え⋯⋯」
拍子抜けした。
そのようなことをわざわざ訊いてくるなんて。
こちらの予定があるかもしれないのに、急に来て、おやつをご馳走してもらい、あまつさえ大河と遊びたいと申し出ていた。
それはすなわち、まだ帰らないことを示唆しているわけだが、姫宮にとっては気に障ることでもなかった。
「本当に都合が合わなければいいのです。元はといえば、私達が勝手に来たものですから。あまりにも厚かましいことですし⋯⋯」
「私は構いません」
「えっ」
今度は玲美が素っ頓狂な声を上げることとなった。
「え、いいのですか?」
「? ええ、はい。伶介くんが大河と遊びたがっているのにここで帰らせるのは可哀想ですし、主に私と小口さん相手ばかりではつまらないと思いますし⋯⋯」
「そもそも姫宮さんのご予定があるかと思いますが、そちらのことを聞かずに突然押しかける形も大変失礼だったかと」
「私はいつも予定がありませんので、いつ来てもいいんです。ですから、私なんかで気にされなくてもいいのですよ」
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