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小口相手だと今のようにソファに寝そべり、携帯端末をずっと弄っていて、大河と遊んでいるところはほとんど見たことがなく、その分、姫宮がどうにかこうにか相手をしていた。
伶介だと同い歳で、好きなもの同士で遊べる。
現に大河はいつもよりも楽しそうにしているように見える。
急でもいいから、なるべく大河と遊んで欲しいとも思った。
「うちの子、大河君とどうしたら話ができるのか考えていたんですよ」
「そうだったんですか」
「ええ。ですから、あのおもちゃで大河君と話せて、伶介がいつも以上に楽しそうにしているんです」
「大河も伶介くんのおかげで楽しそうです」
「そうですか! 少しでも姫宮さんのお役に立てて良かったです」
勢いよく振り向いたかと思うと、喜びに満ち溢れた顔を見せた。
少し驚いた姫宮であったが、やや目を細めて控えめに笑った。
「あのおもちゃは姫宮さんが買ってきたそうで、いいアイディアですね」
「⋯⋯そこまでではないかもしれませんけど⋯⋯」
とっさに素直に受け取れない自分が嫌になるが、本当は嬉しいことだった。
いつかはその褒め言葉も素直に受け取れたらいいなと思いつつ。
「姫宮さん。ここではなんですし、もう少し近くで見ません?」
大河達の方に指を差しながら玲美はそう提案した。
姫宮がその提案に頷いた後、揃ってソファへと移動した。
「おふたりとも来たんですか〜?」
「はい、大河達のことを見ていたくて⋯⋯」
「ま、そうですよね〜、じゃあどうぞ」
小口が横へと移動し、彼女が寝そべっていたところに並んで座り、大河達の様子を眺めた。
「そろそろちがうあそびをする?」という伶介の案で、少し考えていた大河はお絵かき帳を掲げた。
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